中国共産党中央統一戦線工作部についての会合で演説する習近平氏(中央) |
中国の習近平(シーチンピン)国家主席は2日までに、中国共産党に対して香港、マカオ、台湾の人々の「心をつかむ」ことを強く求めた。それこそが「国家を再生する」取り組みの一環だとの認識を示した。
習氏の要求は、週末にかけて開かれた高位の当局者が集まる会合でのもの。中国共産党中央統一戦線工作部(統戦部)に向けて提示された多くの重要任務の一つだった。この組織は中国内外で影響力を獲得する任務を担う。
国営新華社通信によると、習氏は北京での会合で統戦部について、中共が敵を打ち破るための重要な保証になると指摘。国の統治と再生のほか、国内外の全中国人を結集させ、国家再生を実感させることも請け合う組織だと強調した。
具体的な取り組みとしては、国内において「共通性と多様性の適切なバランスを取り」「香港、マカオ、台湾、さらに海外の中国人の心をつかむ」ことを含むべきだとの見方を示した。
香港は民主化を求める大規模な抗議行動を受けて習氏による弾圧の対象となり、現在は中国政府が統治する半自治区として運営されている。マカオでも同様の体制が敷かれる。台湾では民主主義に基づく自治が行われているが、中国共産党はこれを自国の領土とし、「再統一」を目指すと公言している。中国が台湾を統治したことは過去に一度もない。
「複数の取り組みを通じて海外の愛国者らを強化するほか、より多くの外国人にも理解を促し、中国に対して友好的になるようにするべきだ」(習氏)
海外に暮らす中国人向けの業務も統括する統戦部の動きについては、近年国際社会が否定的な目を向けていた。背景には、世界的な影響力の増進を図る中国に対する懸念がある。
他方、統戦部の国内での活動を巡っては、共産党に反発する可能性のある人々を鎮圧する手段と長く目されてきたが、ここにも国際社会からは否定的な見方が出ている。その権限によって特定の宗教や民族に属する集団を弾圧していると考えられているためだ。
習氏は統戦部の任務として、「民族問題」において「中華民族への強い共同体意識を育てる」ことに言及。また各宗教に関しては「中国的な背景の中で」発展させていく考えを示した。人権擁護の活動家などからは、このような認識の一環として最近特定の宗教や民族に対する弾圧が行われていると非難する声が上がっている。
習氏はさらに「中華民族の全ての息子たち、娘たちを1つにする」必要性も強調。専門家によるとこの言葉は共産党の構想を指しており、中華民族であればたとえ中国籍を持っていなくても全員を結び付けるというのがその主旨だという。
この構想に対しては反発する中国系住民もいる。とりわけ物議をかもしているのは、一部の西側諸国で中国系の人々が不当な取り締まりの標的にされているとの見方が出ている点だ。これらの国々では、中国によるものとみられるスパイ行為の封じ込めに取り組んでいる。
中国の習近平国家主席は先週の首脳会談でバイデン米大統領に対し、台湾問題で「中国の国家主権と領土の一体性を断固として守る」とし、「火遊びをする者はやけどを負う」と語ったとされています。
中国が全面的な台湾侵攻を計画している兆候はほとんどないですが、外国の当局者による過去の台湾訪問の際、台湾の防空識別圏(ADIZ)に中国軍機の大規模侵入があるなどしました。
台湾のテレビ局TVBSは、多数の中国軍機が1日午前に台湾海峡の中間線に接近したと伝えるとともに、台湾の複数の軍艦も通常任務を展開していると付け加えました。
空母「山東」 |
米海軍は2日、台湾東方のフィリピン海に空母を含む艦艇4隻を配備していることを明らかにした。「通常の」配備と説明している。
配備されているのは、空母「ロナルド・レーガン」、ミサイル巡洋艦「アンティータム」、駆逐艦「ヒギンズ」、強襲揚陸艦「トリポリ」。
海軍関係者はロイターに対し匿名を条件に「万一の事態に対応できるが、通常の配備だ」とし、正確な場所についてはコメントできないと述べたそうです。
以上、ペロシ訪台を巡ってのドタバタを掲載しましたが。これは、本当にドタバタです。なぜなら、ペロシが訪台するかもしれないと公表されている最中、習近平(シーチンピン)国家主席は中国共産党に対して香港、マカオ、台湾の人々の「心をつかむ」ことを強く求めているのです。
習近平が、もし本気でペロシが訪台すれば、軍事的報復に打って出ると考えていれば、いずれの会議においても台湾の人々の「心をつかめ」などと言う必要性など全くありません。
習近平として、恫喝は恫喝、本心は本心と使い分けているのかもしれませんが、これは本当に不自然です。それに、中国外務省の華春瑩報道官は2日、予想されるペロシ米下院議長の台湾訪問について、米国と連絡を取り合っていると述べました。
ペロシ米下院議長、アジア歴訪を発表も訪台は明示せず 割れる賛否―【私の論評】ペロシの台湾訪問は米国による対中国「サラミスライス戦術」の一環(゚д゚)!
米オハイオ級攻撃型原潜 |
中国はASW(Anti Submarine Warfarea:対潜戦)においては日米に著しく劣る中国海軍には、これに対抗する術はほとんどありません。中国軍は、米攻撃型原潜が台湾沖に恒常的に潜むことになり、米軍がそれを公表する事態になれば、第三次台湾海峡危機(1995年-1996年)において、米軍の空母に対応できず、軍事恫喝を継続することができなかったときのように、再度米国の攻撃型原潜に屈服することになります。
これについては、米国の著名な戦略家、ルトワックも台湾有事には米軍は攻撃型原潜を2、3隻攻撃型原潜を台湾沖に派遣(ブログ管理人注:年中休みなしに24時間体制するなら、2〜3隻は必要という意味と考えられる)すれば、十分防衛できると主張しています。台湾有事に、わざわざ空母打撃群などを最初に派遣して、中国軍に大きな標的を与える必要性など全くありません。
一部の米評論家は、この事実を見ようともせず、米国がやっていることはまだ十分ではない、米国は台湾に軍隊を駐留させるか、あるいは習近平氏により明確な公開警告を発するべきと信じているようです。
しかし、米軍の海戦能力が中国を遥かに凌駕している現在、「曖昧戦略」は取り消しても良いかもしれませんが、それ以上は必要があるとは到底思えません。無論、サラミスライス戦術が功を奏して、台湾に米国が軍隊を駐留させても良いとか、習近平にはっきりと警告を出しても良い時期が来た場合には、すべきとは思います。
米軍に中国に比較すると、圧倒的に強い対潜水艦戦能力を有しているので、海戦ということになれば、未だに中国は米国の敵ではありません。
実際に、米中が台湾を巡って武力衝突したとすると、米国は台湾近海に派遣した攻撃型原潜から大量にミサイル、魚雷を発射し、瞬時に台湾海峡に存在する中国艦隊、航空機のほとんどは壊滅、それだけではなく、 中国軍の台湾侵攻に用いる、防空施設、監視衛星要施設を破壊します。
これで、事実上中国の台湾攻撃部隊は、ほとんど壊滅しますが、それでも足りなければ、米軍は、二次攻撃、三次攻撃もするでしょう。これで、中国海軍と関連施設は崩壊するでしょう。
そのようなことになるのは目に見えているので、中国が台湾に武力侵攻できる見込みはほとんどありません。
ただ、米中が台湾を巡って軍事的に対立した場合、米軍によって中国の台湾侵攻を阻止することはできるものの、中国は台湾に向けてミサイルを多数発射するかもしれません。場合によっては、核ということも考えられます。
それどころか、日本や韓国も攻撃するかもしれません。そうなるとかなりやっかいです。ですから、米国としてもできれば、中国とは直接武力衝突をしたくないと考えているでしょう。
このブログでも何度も述べきたように、米国と中国の真の戦場は、経済とテクノロジーの領域にあります。なぜなら、軍事的には中国はいまだ米国に対抗できる力がなく、外交戦略においては、中国に対峙しているのは、米国一国ではなく、すでにより広範な反中国同盟だからです。
地経学的な戦いとは、兵士によって他国を侵略する代わりに、投資を通じて相手国の産業を征服するというものです。経済を武器として使用するやり方は、過去においてもしばしば行われてきました。
その意味で、中国は国営企業、民間企業を問わず、「地経学的戦争における国家の尖兵(せんぺい)」なのです。たとえば過去に英国がアジアを侵略する際の東インド会社のような存在なのです。
トランプ政権になって、米国がそうした行為を厳しく咎め、制裁を行うようになったのも、それを正しく「地経学的戦争」だと認識したからであり、だからこそ政権が交代しても、対中政策は変わらなかったのです。
習氏はさらに「中華民族の全ての息子たち、娘たちを1つにする」必要性も強調。専門家によるとこの言葉は共産党の構想を指しており、中華民族であればたとえ中国籍を持っていなくても全員を結び付けるというのがその主旨だという。
この構想に対しては反発する中国系住民もいる。とりわけ物議をかもしているのは、一部の西側諸国で中国系の人々が不当な取り締まりの標的にされているとの見方が出ている点だ。これらの国々では、中国によるものとみられるスパイ行為の封じ込めに取り組んでいる。
と締めくくられていますが、なぜこのようなことになってしまうかとえば、2010年7月1日に施行された『国防動員法』は、「満18歳から満60歳までの男性公民及び満18歳から満55歳までの女性公民は、国防勤務を担わなければならない」「必要な予備役要員を確保する」「公民及び組織は、平時には、法により国防動員準備業務を完遂しなければならない」と規定しており、外国在住の中国人も免除対象ではなく国防勤務の対象者なのですです。
有事の際には、外国の国内の中国資本企業や中国人が所有する土地や建物が中国の国防拠点になる可能性も十分にあるのです。
さらには、中国には厄介な『国家情報法』があります。これは、2017年6月28日に施行されました。
国家の安全・利益の擁護を目的として、「国家情報工作」に関して法的根拠を与え、工作機関や工作員の権限、一般の組織や市民に対する工作活動への協力についても定めています。
『国家情報法』でも、外国国内において中国資本企業や中国人が諜報活動を行うことを、国家が保護するようにも読めます。
これについては、高市早苗氏のコラムに詳しく掲載されています。です。興味のある方は是非読んでみてください。
米中の真の戦いのフィールドは「地政学的戦争」、表のドタバタに惑わされるべきではないのです。ただし、米中双方とも、軍事的な対立が有利とみれば、そちらがわに舵を切ることも十分にありえるので、軍事衝突の可能性も捨てきることはできないですし、中国が台湾を武力で侵攻できる力をつければ、威嚇も何もせずに、速やかに武力で侵攻するでしょう。その後は尖閣でしょう。しかし、現状ではあまりにも武力ばかりが強調されすぎるきらいがあります。
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