2022年8月26日金曜日

複雑化する安倍氏不在の政界 旧統一教会問題追及、主導権争いが見え隠れする謀略も…真の後継者は政策論で浮かぶ―【私の論評】安倍元総理の真の後継者は、岸信夫氏と菅義偉氏か(゚д゚)!



 25日に安倍晋三元首相の四十九日を迎えた。安倍氏が暗殺されて以降、政界の動きに変化は生じているのか。

 自民党議員なら、表立って聞かれれば、ほとんどの人が「安倍さんの遺志を継いでいきたい」と答えるだろう。ただし、安倍さんの不在はあまりに大きく、まさに余人をもって代えがたかったことが改めて痛感された。

 もっとも、時は動いており、現実はかなり複雑になっている。その典型は安倍派の後継だ。当面は集団運営体制しかありえないが、裏を返せば、誰もが認める後継者がいないということだ。

 安倍さんの葬儀を仕切っていた安倍派幹部に対してさまざまな批判が出ていたが、これは水面下でさまざまな動きが渦巻いているということで、事態がただならないことを示していた。

 岸田文雄政権は事前の予想に反し、四十九日の前に党人事・内閣改造を急いだ。そして、党幹部・閣僚として、萩生田光一政調会長、西村康稔経済産業相、松野博一官房長官を指名した。安倍派のパワーバランスを効率した人事だろう。

 だが、内閣改造は岸田政権にとって逆風になっている。これまで内閣改造では、サプライズやご祝儀もあり、内閣支持率が上昇するのが常であったが、今回は各種世論調査で支持率が低下した。

 筆者の見るところ、以前の本コラムで書いたように改造人事がひどかったのが主因であるが、世界平和統一家庭連合(旧統一協会)との関係も足を引っ張っている。

 あらかじめ断っておくが、マスコミが政治家と旧統一教会との接点を問題視するというアジェンダ設定はまったくばかげている。宗教との関係は、あくまで憲法で規定された政教分離にとどまるべきだ。

 宗教からみれば、その政党を支持しようと自由だ。政治の方からみても、内面の自由である宗教の自由があるので、事前に相手に宗教を聞くのは不適切だ。なので、結果として接点を持っても構わないだろう。政教分離は、国(政府)が特定宗教をサポートすることを禁じているだけだ。ただし、接点を持った相手が法令違反をしていれば別だ。

 旧統一協会との接点に関するマスコミの追及では、特定の政治家だけが叩かれるというイメージ操作が行われているように感じる。その背後には、「ポスト安倍」についての政治家の主導権争いも見え隠れして、各種の謀略的なリークが横行しているのかもしれない。

 ポスト安倍は混沌(こんとん)としているが、これから安全保障と財政について、安倍さんの先見の明が見えてくる。そのときに真の後継者が政策論の中で浮かび上がってくるだろう。ただちに、世界のリーダーからも認められることはないだろうが、国内での政策論争によりずぬけた人が出てこないと日本にとっても困ってしまう。

 誰なのかはいまの段階では分からないが、しっかり政策を継承し、国民からの支持もあり、政界内でも実力を発揮できる人を期待したい。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】安倍元総理の真の後継者は、岸信夫氏と菅義偉氏か(゚д゚)!

自民党の安倍晋三元首相の「四十九日」を迎えた25日、安倍派(清和政策研究会、97人)は党本部で総会を開き、約60人が出席して安倍氏を追悼しました。

出席者は冒頭、安倍氏の写真を前に黙禱(もくとう)をささげ、会長代理の塩谷立元文部科学相は「安倍会長の遺志を継いで、心を一つにして政治を進めていくことを誓いたい」とあいさつしました。山口県下関市で10月15日に予定される安倍氏の県民葬について「基本的には全員で出席したい」と述べました。

7月21日に自民党本部で集会を開催した安倍派

総会に先立つ幹事会で、先の内閣改造・党役員人事を受けた派内の人事を決めました。安倍氏の実弟である岸信夫首相補佐官らを副会長、萩生田光一政調会長を常任幹事、西村康稔経済産業相の入閣に伴い高木毅国対委員長を事務総長に充てました。

事務総長代理ポストが新設され、柴山昌彦元文科相、福田達夫前総務会長、野上浩太郎参院国対委員長が就きました。塩谷氏は記者団に「結束を固めるため事務的にもう少しきめ細かくする」と狙いを説明しました。

9月27日の安倍氏の国葬(国葬儀)後、同派は新体制への移行が必要か否かも含め、派の在り方について検討する予定です。

岸氏は股関節を患われているとされていますが、私自身股関節の手術をしたことがあるので、その大変さはよくわかります。ただ、私自身も含めて、骨密度が低くない限り、手術するなどして、療養すれば、ほぼ元の状態に戻ります。私自身も現在では、松葉杖も杖もつかず、歩いて、普通の生活をしています。

ただ、リハビリなども含めて完治するには3ヶ月程度はかかります。病状が悪い場合には、人工股関節を入れるのですが、現在では医療も相当進んでいて、この場合でも骨密度が低くない限り、普通に歩き生活できるまでに回復する例が多いです。実際、そのような方を何人か知っています。

岸氏、股関節の本格的治療には、相当期間を要するため、一旦療養に入ると長期間入院することになるため、今までは治療を避けてきたのではないかと思います。股関節を患っていたにしても、たとえば骨の癌などではなく、ヒビが入ったとか、削れたなどの場合は、命に全く別状はないので、無理をすれば、仕事は続けられますが、それにしても、人によっては相当の痛みを伴う場合あります。

私の時も、手術の順番待ちがあったので、それまでの間は会社に松葉杖を突いて行って、業務をこなしました。一ヶ月くらいしてからようやっと手術が受けられるようになりました。

手術後の痛みも特になく、ただ長期間ベッドに股に三角形の形の枕のようなものを挟み、寝ていなくてはならず、しかも寝返りをうつときもそれを股に挟んだままで寝返りをうたなければならず、これは大変でした。

岸氏の股関節の状況は、細かなことは報道されませんが、今回防衛相を退いたといことで、今が根治のチャンスなのではないかと思います。

病院に長期入院というと、マイナスのイメージばかり思い浮かべる人もいると思いますが、そうとばかりもいえません。私自身は、比較的若い頃に入院しましたので、病室に書籍を持ち込み、かなり読書をしました。そうして、その時に読んだ書籍などその後の人生に随分役に立っています。

さて話しは変わりますが、菅氏が首相になったときに、岸氏を防衛大臣に抜擢した理由は何だったのでしょうか。 

それは、安倍前首相に気を遣うと同時に、同盟国アメリカの当時のトランプ政権に、「安倍政権の継承」を示すためだったと考えられます。その頃の、トランプ政権は、「台湾シフト」を鮮明にしており、今後は日本にも役割を求めてくるとみられていた次期でした。そうした日米台の連携に、最もふさわしいのが台湾にパイプを持つ岸氏の起用だったと考えれます。

当の岸防衛大臣(当時)は、2020年9月16日の就任会見で、官僚が用意したペーパーを読み上げて、こう述べました。

「今月11日に発表された(安倍)総理大臣の談話や菅総理大臣の指示を踏まえ、憲法の範囲内で国際法を順守し、専守防衛の考えのもとで厳しい判然保障環境において、平和と安全を抜く方策を検討していきたいと思います」

11日の総理談話」とは、次のようなものです。

<迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことができるのか。そういった問題意識の下、抑止力を強化するため、ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針を検討してまいりました。今年末までに、あるべき方策を示し、わが国を取り巻く厳しい安全保障環境に対応していくことといたします>

いわば安倍前首相の「遺訓」とも言うべき「敵基地攻撃能力の保有」です。「敵」とは表向きは北朝鮮ですが、実際には中国です。


当時から、日本の目の前には大きな地政学的リスクが横たわっていました。このことをしっかり認識していなければ、まともな「政策論」もできず、安保や経済政策について、何を話しても、何を考えても、浮いたような浅薄な内容になってしまいます。

そのようなことを考えると、岸氏こそ、高橋洋一氏の言う「しっかり政策を継承し、国民からの支持もあり、政界内でも実力を発揮できる人」なのではないかと思います。

ただ、高橋洋一は、政界にも一定の影響力があり、岸氏こそ安倍元総理の真の後継者であるなどと言ってしまえば、岸氏の芽を摘むことにもなりかねないので、敢えて言わなかったのだと思います。

菅前首相は、仕事師であり、安倍元総理の政策を着実に進めることはできると思いますが、新たな政策をつくり提唱するということになれば、やはり今では、岸氏に並ぶ人はいないのではないかと思います。

私は、菅氏も立派な安倍元総理の後継者ではあるとは思いますが、将来のことを考えれば、岸氏が一番だと思います。

菅総理(当時)と岸防衛大臣(当時)

菅氏と岸氏との良い協力関係ができ、それによって、安倍元総理の政策が確実に継承されることを期待したいです。

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