まとめ
- 欧州各国の指導者は、出生率を上げることを優先課題と位置づけているが、これまでの奨励策はほとんど効果がなかった。
- 研究者らは、出生率2.1の達成は困難で、少子高齢化への適応が必要だと主張する。
- 出生率低下の理由は経済的事情や価値観の変化など多岐にわたる。
- 高齢化への対応として、退職年齢の引き上げ、女性の労働参加拡大、移民の受け入れ等が考えられる。
- 単なる出産奨励ではなく、社会全体の議論が必要だとの指摘もある。
人口統計に関する会議に出席するイタリアのメローニ首相(左)とローマ教皇フランシスコ。ローマ2023年5月 |
欧州各国の指導者たちは、出生率の低下を重大な国家的課題と位置づけ、子育て支援策の大幅な拡充などを通じて出生率の向上を目指してきた。フランスのマクロン大統領やイタリアのメローニ首相も、子育て世代への支援強化を公約としている。
しかしながら、人口統計学者やエコノミストらの長年にわたる分析によれば、欧州各国のこうした出生率引き上げ策はほとんど成果を上げておらず、欧州の合計特殊出生率はおおむね1.5前後で推移している。これは人口置換水準の2.1を大きく下回っており、現状の出生率が続けば各国の人口は確実に減少することになる。
研究者らは、欧州の出生率低下が社会構造の変化を反映していると分析している。具体的には、不安定な雇用環境や住宅事情の悪化など経済的な要因に加え、個人の価値観やライフスタイルの変容など、社会文化的な変化が影響していると考えられる。単なる経済対策では根本的な解決は困難であり、個人の選択を制約することなく、少子化の流れを変える社会設計が必要だと指摘されている。
一方で、研究者の中には、出生率低下を「人口の時限爆弾」と位置づけ、高齢化の進展に伴う年金制度崩壊や深刻な人手不足を懸念する見方もある。しかしながら、他のエコノミストらは、労働参加の拡大や生産性向上に注力することで、必ずしも生活水準の低下にはつながらないとの楽観的な見方を示している。
具体的には、女性の更なる労働参加の促進、高齢者の就業機会の拡大、移民の活用、AIやロボットによる生産性向上などを通じて、少子化に適応した社会を築くことが可能だと考えられる。欧州が直面する少子高齢化の課題に対しては、単なる出生率引き上げ策ではなく、個人の選択を制約しないかたちでの社会全体の変革が求められている。
AIやロボットを少子化対策として活用する取り組みは、すでに日本各地で始まっています。
具体的な事例としては、以下のようなものが挙げられます。このように、各分野で少子化対策としてのAI・ロボット技術の先進的な取り組みが始まっており、今後ますますその動きが加速することが期待されます。
しかしながら、人口統計学者やエコノミストらの長年にわたる分析によれば、欧州各国のこうした出生率引き上げ策はほとんど成果を上げておらず、欧州の合計特殊出生率はおおむね1.5前後で推移している。これは人口置換水準の2.1を大きく下回っており、現状の出生率が続けば各国の人口は確実に減少することになる。
研究者らは、欧州の出生率低下が社会構造の変化を反映していると分析している。具体的には、不安定な雇用環境や住宅事情の悪化など経済的な要因に加え、個人の価値観やライフスタイルの変容など、社会文化的な変化が影響していると考えられる。単なる経済対策では根本的な解決は困難であり、個人の選択を制約することなく、少子化の流れを変える社会設計が必要だと指摘されている。
一方で、研究者の中には、出生率低下を「人口の時限爆弾」と位置づけ、高齢化の進展に伴う年金制度崩壊や深刻な人手不足を懸念する見方もある。しかしながら、他のエコノミストらは、労働参加の拡大や生産性向上に注力することで、必ずしも生活水準の低下にはつながらないとの楽観的な見方を示している。
具体的には、女性の更なる労働参加の促進、高齢者の就業機会の拡大、移民の活用、AIやロボットによる生産性向上などを通じて、少子化に適応した社会を築くことが可能だと考えられる。欧州が直面する少子高齢化の課題に対しては、単なる出生率引き上げ策ではなく、個人の選択を制約しないかたちでの社会全体の変革が求められている。
この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。
以下に、EU全体と日本の特殊出生率推移(1990年~2022年)の表を掲載します。
【私の論評】AIとロボットが拓く日本の先進的少子化対策と世界のリーダーへの道のり
まとめ
- EU全体と日本の出生率は1990年代以降減少傾向にある
- 従来の少子化対策では出生率の改善は困難で、AIやロボットの活用が必要
- 日本は育児・介護支援ロボットの研究開発で世界をリードしている
- 日本のロボット技術への投資は米国やEUに比べて少ない
- 政府はロボット技術への投資を拡大し、少子化対応で世界のモデルになるべき
この表は、1990年から2023年までのEU全体と日本の特殊出生率の推移を示しています。
EU全体の特殊出生率は、1990年の1.62から2023年には0.96まで減少し、日本の特殊出生率は、1990年の1.57から2023年には0.87(推計値)まで減少しています。上の記事では割愛しましたが、元記事の最後の部分は以下のようなものです。
また、掃除、洗濯、食事作りなどの家事を支援する家庭用ロボットの開発も重要です。家事と子育てを両立させることの大変さが、少子化の背景にあると指摘されています。家事ロボットが普及すれば、子育てと仕事を両立させやすくなり、出産・育児への決断が促されるでしょう。
さらに、高齢社会を迎えた日本では、子育てと介護の両立問題も深刻です。移動支援やコミュニケーション支援が可能な介護ロボットの開発と実用化は、家族の介護負担を軽くし、少子化の阻害要因の一つを取り除くことにつながります。
さらに、AIとロボットによる生産性向上は、労働時間の短縮や柔軟な勤務体制の実現を可能にし、子育てと仕事の両立を後押しするでしょう。少子化は単に経済対策だけで解決できる問題ではないですが、技術革新を活用することは、その一因である子育て負担感の軽減に大いに資する重要な選択肢です。
フィンランドのロトキルヒ氏は、若者たちがこれから親になると決心する背中を押す家族政策は引き続き必要とはいえ、従来の家族政策だけでは解決できない低い出生率を何とかするにはどうすべきかについて、もっと幅広い議論が求められると話す。
OECDのアデマ氏は「長期のトレンドを見て、人々が子どもを欲しがらないならば、無理強いしても意味がない」と述べた。
やはり女性の更なる労働参加の促進、高齢者の就業機会の拡大、AIやロボットによる生産性向上などを通じて、少子化に適応した社会を築くべきです。移民の活用は、欧州の失敗に学び、すべきではないでしょう。
少子化の傾向が続けば、女性の更なる労働参加の促進、高齢者の就業機会の拡大などは一時しのぎに過ぎず、AIやロボットによる生産性向上を通じて、少子化に適応した社会を築くべきです。
EUでも様々な対策を行っても、少子化対策は成功していません。これでは、岸田政権による少子化対策は、実を結ぶ可能性は低く、少子化に適応した社会を築く方向に転換すべきです。
そのためにAIやロボット技術の活用は、少子化対策として必須となってくるでしょう。例えば、AIを搭載した育児支援ロボットの開発と普及は、育児の大変さを軽減し、子育て家庭を支えることができます。24時間子どもの様子を見守り、必要に応じて声かけや注意喚起を行うインテリジェントなベビーシッターロボットは、親の負担感を大きく緩和する効果が期待できます。また、掃除、洗濯、食事作りなどの家事を支援する家庭用ロボットの開発も重要です。家事と子育てを両立させることの大変さが、少子化の背景にあると指摘されています。家事ロボットが普及すれば、子育てと仕事を両立させやすくなり、出産・育児への決断が促されるでしょう。
さらに、高齢社会を迎えた日本では、子育てと介護の両立問題も深刻です。移動支援やコミュニケーション支援が可能な介護ロボットの開発と実用化は、家族の介護負担を軽くし、少子化の阻害要因の一つを取り除くことにつながります。
さらに、AIとロボットによる生産性向上は、労働時間の短縮や柔軟な勤務体制の実現を可能にし、子育てと仕事の両立を後押しするでしょう。少子化は単に経済対策だけで解決できる問題ではないですが、技術革新を活用することは、その一因である子育て負担感の軽減に大いに資する重要な選択肢です。
AIやロボットを少子化対策として活用する取り組みは、すでに日本各地で始まっています。
具体的な事例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 東京大学では、子どもの状況をセンサーで検知し、異常があれば保護者に通知するAI搭載の乳幼児監視ロボットを開発しており、これは夜間の見守りを支援します。
- 産業技術総合研究所は、掃除や洗濯を自動で行う家事支援ロボットの研究開発を進めています。2021年には実証実験を行いました。
- 介護現場では、移乗支援ロボットの導入が進みつつあります。寝たきりの高齢者をベッドから車いすへ移す際の重労働を軽減しています。
- 自動運転技術の発展により、移動支援ロボットの実用化が期待されています。これにより外出時の介護負担が減ると考えられます。
- 製造業などで産業用ロボットが活用され、省人化が進みつつあります。これによる労働時間短縮が仕事と子育ての両立を後押ししています。
AI・ロボット化で家事に余裕ができた女性 AI生成画像 |
上の具体的事例では、日本の例をあげましたが、これは日本が少子高齢化対策としてのロボット技術活用で世界をリードしているからです。
なぜ日本がリードしているかといえば、日本が抱える少子高齢化が世界的にも顕著であることに加え、ロボット技術大国である日本が少子高齢化を喫緊の課題と位置づけ、政府主導のもと研究機関や企業においてロボットの実用化に向けた開発が活発化していることによります。
具体的には、子育てや介護の負担軽減を目指した育児支援ロボットや介護支援ロボットの研究開発が政策的に推進されており、すでに実証実験など実用化に向けた具体的な取り組みが進展しています。日本が抱える少子高齢化の現状に鑑み、ロボット技術の最大限の活用は喫緊の課題であり、日本の取り組みは世界のモデルとして先導的な役割を果たすことが期待されます。
なぜ日本がリードしているかといえば、日本が抱える少子高齢化が世界的にも顕著であることに加え、ロボット技術大国である日本が少子高齢化を喫緊の課題と位置づけ、政府主導のもと研究機関や企業においてロボットの実用化に向けた開発が活発化していることによります。
具体的には、子育てや介護の負担軽減を目指した育児支援ロボットや介護支援ロボットの研究開発が政策的に推進されており、すでに実証実験など実用化に向けた具体的な取り組みが進展しています。日本が抱える少子高齢化の現状に鑑み、ロボット技術の最大限の活用は喫緊の課題であり、日本の取り組みは世界のモデルとして先導的な役割を果たすことが期待されます。
ただ、世界のモデルになるためには、政府としては、もっと予算を増やすべきです。その根拠として以下の表を掲載します。
この表は、以下の情報源からデータを取得してまとめたものです。
日本:
- 経済産業省
- 厚生労働省
- 内閣府
米国:
- National Science Foundation (NSF)
- National Institutes of Health (NIH)
- Defense Advanced Research Projects Agency (DARPA)
EU:
- European Commission
- European Regional Development Fund (ERDF)
- 一人当たりGDPは、国際通貨基金(IMF)のデータに基づいています。
この表は、あくまでロボット技術に対する投資であり、その投資のうちどれだけが、少子化対策に用いられているかまでは、示すものではありません。
しかし、現在のロボット技術には当然のことながら、AI技術も含まれていますし、すべてのロボット技術は、少子化対策に転用可能です。そう考えると、日本はもっとAI・ロボットに投資すべきです。できれぱ、少なくともも欧米の数倍、できれば桁違いの投資をすべきです。
投資というと、すぐに増税という昨今の風潮は廃して、長期にわたって必要で大きなリターンがみこめる、AI・ロボット化への投資は、国債で賄うべきです。多くの人が、投資にはリターンがあることを忘れ、投資した分がこの世の中から消えてしまうような考えは捨てるべきです。
それと政府による投資というという、米国やEUではまずは減税というのが普通ですが、日本はでは最初から最後まで補助金というのがほとんどです。これは「公金チューチュー」や「中抜き」を助長します。
少子化対策のために、AI・ロボットに投資することにより生産効率はあがり、一人当たり生産性もあがり、経済も上向くことになります。
米国やEUなどのように、減税を実行して、多くのロボット産業などを優遇し、その中で誰もが認めるような先進的な企業がでてきたら、補助金を提供するなどの方式にすべきです。
最初から最後まで補助金一辺倒ということでは、たとえ「公金チューチュー」や「中抜き」がなかったにしても、役人にはこれから伸びていく技術なとを選択する能力など全くないので、最初から無駄な投資ということになりかねません。
新技術によるイノベーションなどは千に三つといわれるくらい、ヒットする率は低いです。であれば、当初は減税などで支援する方法は最も効率的です。その後、誰もが認めるようなところに、補助金を提供するというような方式が望ましいです。
日本としては、AI・ロボット化で少子化を乗り切るという戦略を強力に打ち出し、世界のモデルになることを本気で追求すべきです。
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