まとめ
- 米国の攻撃:2025年6月21日、トランプがイラン核施設を攻撃し「大成功」と主張。IAEAは被害限定的と報告。紛争エスカレート。
- IAEA検証:ナタンズ地上施設破壊、地下は部分損傷。フォルドゥ無傷、イスファハン汚染限定。イランは「打撃なし」と主張。
- トランプの猶予と攻撃:6月7日に2週間猶予を与えたが、イランの核加速と交渉決裂で強行。
- 日本の課題:政府によるイスラエル非難は核脅威軽視のリスクがある。イランからの原油5%輸入に影響はあるものの、米国とバランス外交が必要。
- 報復と今後:イラン報復、原油90ドル超。米軍は陸上兵力否定するものの、今後2~3回爆撃する可能性はある。IAEA検証が鍵。
2025年6月21日、トランプ米大統領が世界を震撼させた。SNS「トゥルース・ソーシャル」で、米軍がイランの核施設(フォルドゥ、ナタンズ、イスファハン)を攻撃し、「大成功」と宣言したのだ。B2ステルス爆撃機がフォルドゥに6発の地中貫通弾を投下し、ナタンズとイスファハンには30発のトマホークミサイルが撃ち込まれた。トランプはフォルドゥが「消滅した」と豪語したが、IAEAは被害が限定的で、イランのウラン濃縮能力は維持されていると報告する。
この攻撃は米国初の直接関与だ。イランとの紛争は一気にエスカレートした。米国はイランに「体制転換を意図しない」と伝えたが、イランは報復を警告。イスラエルは米国と完全に連携し、トランプはネタニヤフ首相と電話会談を行った。イランはフォルドゥの一部被害を確認し、イスファハンやナタンズでも爆発音が響いた。トランプは「平和の時」と訴えるが、緊張は収まらない。
核施設の被害とIAEAの検証
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IAEAのラファエル・マリアノ・グロッシ事務局長 |
IAEAのラファエル・マリアノ・グロッシ事務局長は、6月16日に攻撃の影響を報告した。ナタンズの地上施設は破壊され、電力供給が止まったが、地下の濃縮施設は部分損傷でウラン濃縮は続いている。フォルドゥは地下深く、ほぼ無傷だ。イスファハンでは、6月13日のイスラエル攻撃で4つの建物、米国攻撃でさらに6つが被害を受けたが、核物質は少なく、放射能汚染は施設内に留まる。過去のナタンズ攻撃で汚染が確認されたが、周辺地域への影響はない。イランは事前に機材を撤去し、「打撃は軽微」と主張する。トランプの「大成功」は誇張だ。軍事行動の限界が露呈した。
攻撃の背景と日本の否定的姿勢の問題
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イランのウラン濃縮施設 |
イランの核開発は危機的だ。60%濃縮ウランを増産し、核兵器6発分の高濃縮ウランを保有する可能性がある。イスラエルはこれを「存亡の脅威」とみなし、攻撃を正当化する。米国は交渉失敗後、軍事行動に踏み切った。トランプは6月7日、「2週間後に厳しい措置」と警告したが、IAEAの6月15日報告でイランの核活動加速が明らかになり、交渉が決裂。イスラエルの圧力とイランの挑発が攻撃を早めた。
ロシアや中国は「国際法違反」と非難する可能性が高く、EUは核合意の再構築が困難とみる。国連では、グロッシが攻撃の違法性を指摘し、イランはIAEAの「中立性」を批判する。日本政府は、6月13日のイスラエル攻撃を「状況を悪化させる」と非難し、米国攻撃にも同様の立場を取る。6月17日、イラン全土への渡航自粛を呼びかけた。
だが、イスラエルを非難し続けるのは危険だ。イランの核武装はホルムズ海峡を脅かし、日本経済を直撃する。2024年、日本はイランから原油の5%を輸入している。中東の不安定化はエネルギー安全保障を揺さぶる。米国との同盟やG7の協調を損なえば、日本は外交的孤立に陥る。イスラエルの行動に理解を示し、バランスを取る外交が急務だ。
報復リスクと米軍の次なる動き
中東の緊張は限界を超えた。ブレント原油価格は1バレル90ドルを突破。イランがホルムズ海峡を封鎖すれば、日本のエネルギー危機が迫る。フーシ派は米国船舶への攻撃を警告し、紅海の安全は揺らぐ。イランはミサイルとドローンで報復し、イスラエルは40機を撃墜。ヒズボラやハマスの動員も予想される。民間人被害は657人に達し、環境・健康リスクが懸念される。
日本がイスラエルを非難し続けるのは、イランの核脅威を見誤る。IAEAはイランの核能力が維持されていると警告するが、イスラエルの攻撃は核開発の遅延を狙う。日本のエネルギー安全保障を考えれば、イスラエルの行動には合理性がある。米国との同盟を軸に、イランの脅威に対抗する外交が求められる。
トランプは「さらなる攻撃」を警告する。フォルドゥの地下施設破壊には、複数回のバンカーバスター投下が必要だ。専門家は「2~3回の爆撃が現実的」と分析する。米軍は陸上兵力を投入せず、B-2爆撃機による追加攻撃を計画する可能性が高い。しかし、IAEAはイランの核知識が消えない限り、プログラム再構築のリスクが残ると警告する。
IAEAの検証、国際社会の動向、経済への影響が今後の展開を決める。日本は中東の安定と自国の利益を守るため、積極的な外交を展開すべきだ。
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