2025年6月20日金曜日

日本の護衛艦が台湾海峡を突き進む!中国の圧力に立ち向かう3つの挑戦と今後の戦略

まとめ

  • 2025年6月12日、護衛艦「たかなみ」が台湾海峡を通過。中国の圧力を抑える狙い。フィリピン海軍と演習「マリタウ2025」(4隻参加)を実施。
  • 6月7~8日、中国軍戦闘機が海自哨戒機に異常接近。日中緊張が高まり、中国は「たかなみ」を監視。日本は米国などと協力し、自由な航行を主張。
  • 2024年9月25日、護衛艦「さざなみ」がオーストラリア、ニュージーランドと初の通過。岸田首相のメッセージとして中国の海洋進出を抑えた。
  • 2025年2月、護衛艦「あきづき」が単独通過後、演習「IPD24」に参加。フランスが60年ぶりに空母派遣。日米欧の連携で中国を牽制。
  • 中国の妨害があれば、台湾海峡通過は継続。日中の信頼醸成は重要だが、中国の挑発は対話を拒む。日本の現代海戦の要となる対潜水艦戦(ASW)能力は優位であり中国はこれは脅威とみなすが、緊張緩和は中国の行動次第。

海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が2025年6月12日、台湾海峡を突き進んだ。中国の台湾への圧力を抑え込む狙いだ。複数の外交筋が6月19日にその事実を明かした。「たかなみ」は東シナ海から南へ進み、フィリピンのルソン島沖に到達。その後、フィリピン海軍と合同演習「マリタウ2025」を繰り広げた。この訓練は両国の戦術を磨き、絆を深めるため、護衛艦や哨戒艦4隻による中規模なものだ。6月7日と8日には中国軍戦闘機が海自哨戒機に危険な接近を繰り返し、日中の緊張が一気に高まった。中国軍は「たかなみ」の動きを逐一監視した。日本はこれまで中国への遠慮から台湾海峡を避けてきたが、中国の強硬な態度に立ち向かい、米国などと手を組んで自由な航行を貫く道を選んだ。




過去の挑戦とその意味

日本の初挑戦は2024年9月25日だった。護衛艦「さざなみ」がオーストラリアとニュージーランドの艦艇と台湾海峡を通過した。岸田文雄首相はこの航行を退任前の強烈なメッセージとし、石破茂政権に引き継いだ。中国の海洋進出を抑え、国際水域の自由を守るためだ。中国は反発したが、言葉だけで終わった( Al Jazeera, 2024年9月26日)。

 パシフィック・ステラー

2025年2月、護衛艦「あきづき」が単独で台湾海峡を進んだ。その後、米国、フランス、オーストラリア、フィリピンと合同演習「パシフィック・ステラー」」に挑んだ。これは2月8日から18日にフィリピン東方で行われた大規模訓練で、十数隻の艦艇と哨戒機が参加。フランスが1965年以来60年ぶりに空母「シャルル・ド・ゴール」を太平洋に送り込んだ姿が目を引く。日米の絆を土台に、欧州や地域の国々と手を組み、中国の動きを封じる狙いだ。

フィリピンとの連携と地域の安定

たかなみ

2025年6月の「たかなみ」の通過は、フィリピンとの演習「マリタウ2025」に直結した。南シナ海で中国と対立するフィリピンとの協力は、地域の安定を支える柱だ。これら3回の通過は、それぞれ明確な目的を持つ。2024年9月は国際協調で中国に立ち向かい、2025年2月は欧州との絆を深めて日本の存在感を高めた。2025年6月はフィリピンとの連携で南シナ海の安定を目指した。中国は台湾を自国の一部とみなし、他国の航行に神経を尖らせる。日本の行動は、緊張を抑えつつ、自由と秩序を守る強い意志の表れだ。

今後の展望と日中の緊張

今後、中国が日本に牽制や妨害を仕掛ければ、台湾海峡通過は単独や同盟国と、さまざまな規模で繰り返されるだろう。国際水域の自由を貫き、地域の安定を確保する戦略だ。2025年版防衛白書は、中国の軍事行動を「最大の挑戦」と断じ、日本の安全保障が厳しい局面にあると訴える。

先日もこのブログに掲載したように、日中の信頼を築くことは欠かせないが、2025年6月7日と8日の中国軍戦闘機の異常接近は対話を拒む行為だ。国際法を無視し、日本の対潜水艦戦(ASW)能力を脅威とみなした挑発は、中国の責任だ。ASWに優れる日本は戦略的優位を保つ。緊張の緩和は中国の挑発停止から始まる。

そうならない限り、日本の護衛艦は、これからも台湾海峡を通過し続けるだろう。

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