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2018年6月7日木曜日

「関与してたら辞める」を歪曲する常軌を逸したマスコミのロジックと財務省の歪んだエリート意識―【私の論評】本当は低学歴で非常識な財務官僚!その弱みにつけ込み真の政治システム改革を(゚д゚)!

「関与してたら辞める」を歪曲する常軌を逸したマスコミのロジックと財務省の歪んだエリート意識

田中秀臣 
財務省

森友学園に関する財務省の文書改ざんについての報告書が、6月4日に明らかになって、またマスコミや野党の政権批判が加速している。

この報告書を読むと、

https://www.mof.go.jp/public_relations/statement/other/20180604chousahoukoku.pdf
1)森友学園問題についての改ざん前文書などを参照にすると安倍首相も首相夫人も一切関係がない、 
2)文書改ざん・交渉記録の廃棄は財務省理財局と近畿財務局を中心に行われた。そして佐川宣寿前国税庁長官が方向性を決定付けた。その動機は、国会での問題の紛糾を回避するためだった、 
3)近畿財務局は本省理財局に抵抗する職員たちもいた

 などが注目ポイントだろう。

 財務省が国民の信頼を喪失させた責任は重大であり、今回の職員20人への処罰だけで終わることなく、同省の体質を含めて監視し、改革を求めていくものだと思う。ところがマスコミや野党は相変わらず政権批判に力を入れているだけだ。

 麻生財務大臣の責任は大きい。麻生大臣の進退については評価が分かれるだろう。私見では、単に文書管理の見直しや綱紀粛正程度では、麻生大臣はなんのために在任するのか皆目わからない。大胆な財務省改革でもしなければいてもいなくても構わない。安倍首相もこの機会に財務省改革と同時に、財務省の生命線ともいえる消費増税路線を終焉させるぐらいの大胆さがほしい。というか、(14年の増税以降)消費が低迷して日本経済を不十分な成長に押さえつけている状況を考えれば、財務省の権力の基盤ともいえる増税路線を廃止することこそ、国民にとって利益になる。財務省への忖度はいいかげんにやめよ。

 他方で、マスコミや野党は、財務省改革などはどうでもいいようだ。麻生大臣の進退も単に安倍政権への痛撃を狙うものにすぎない。野党はまだわかるが、「麻生氏、なぜ辞めぬ」と題した記事を書く毎日新聞などのマスコミはかなり政治的色彩に偏っている。麻生氏の監督責任があるにせよ、さすがに報告書を読めば財務省理財局と近畿財務局がまったく大臣の知らないところで勝手に改ざん・廃棄をすすめている。麻生氏がすべてを監視する目でももっていれば責任は重大だが、これでは予防のしようもない。むしろ監督責任よりも、麻生氏の財務省改革の姿勢のあるなしについて厳しく追求すべきではないか?

 問題は、財務省の役人たちが、まるで国会を仕切るかのように、国会審議でさらなる質問がでないようにすることが文書改ざん・廃棄の目的であったことだ。国会は国会議員が議論リードするべきところであり、財務省の役人が仕切る場ではない。ここに財務省の醜く歪んだエリート根性を見出すのはたやすい。財務省の歪み肥大化したプライドを傷つけることが今の日本には必要だ。その権限を分割・廃止し、さらに他省庁の下部組織にするぐらいの意識を政治家や国民がもつことが必要だ。90年代のような大蔵省改革がいかに無駄だったのかが今回明らかになった。財務省の歪んだプライドと権限の肥大化を正すべきだ。それには繰り返すが、消費増税を核にした「財政再建」を粉砕すべきである。

 いま財務省や国税庁は、小学校などの教育現場で、税や財政についての理解を促す教育プログラムを行っている。厳しい表現を使えば、これは一種の“消費増税のための洗脳教育”の可能性がある。検索すれば、国税庁などのホームページでも事例を確認できる。ただ筆者がみた事例だと、小学生たちは消費税について圧倒的に反対なようで心強い。財務省や国税庁の狙い(?)通りにはいっていないようだ。だが、財務省の増税への執念は“草の根”まで巻き込む悪質さがある。「悪質」と書いたが、それは現状の日本では財政危機の懸念はなく、むしろ上記した増税による経済低迷の方が懸念されるからだ。今の経済を悪くすることは、将来の子供たちの未来を危うくする。それなのに財務省とその周辺の増税政治家、増税マスコミたちの野望は潰えない。文書改ざん問題でも懲りることはないだろう。

 だが、マスコミや野党の多くは、報告書にはまったく書かれていない安倍首相に文書改ざんの責任を結びつけようと必死であるようだ。例の首相と首相夫人が森友学園に関与したら首相の職をやめるとする国会での発言が、文書改ざんの引き金になったというロジックである。

 だが報告書を読めば、そんな経緯はまったく書かれていない。むしろ森友学園に野党議員たちが押し寄せた出来事(テレビ向けのパフォーマンスの類)が大きなきっかけだった。そんな事実はマスコミや野党は無視である。当たり前だ。森友学園問題を無理やり、首相と首相夫人に結びつけようと派手なパフォーマンスをした野党、それを大々的にとりあげたマスコミ自体にいくばくかの批判の目がいくのを避けたいのかもしれない。もちろんそんな見え見えのパフォーマンスや報道姿勢であっても、財務省が文書改ざんや廃棄をした事実を弁護する材料にはひとつもならない。

 ちなみに首相の答弁自体は、森友学園の土地取引や価格交渉に首相と首相夫人が関与していれば辞めるという、当たり前の限定条件がついている。だがマスコミではなんの形であれ関与したらやめるとでもいった形で無限定に報道されている。悪質である。政治を常に距離を置き、その活動を批判的にみるのはジャーナリズムのひとつの在り方だ。だが、今回の麻生大臣の辞任要求とでもいうべき報道姿勢、また安倍首相の「関与」答弁への強引な関連づけなど、マスコミはこの一年以上そうであり続けたように常軌を逸していると思う。

田中秀臣氏

経済評論家 / 上武大学ビジネス情報学部教授

田中秀臣


上武大学ビジネス情報学部教授。早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。国土交通省社会資本整備審議会委員、内閣府経済社会総合研究所客員研究員など歴任。 著作『日本経済は復活するか』(編著 藤原書店)、『AKB48の経済学』(朝日新聞出版)、『デフレ不況』(朝日新聞出版)など多数。毎週火曜午前6時から文化放送『おはよう寺ちゃん活動中』レギュラーコメンテーターとして出演中。
https://twitter.com/hidetomitanaka

【私の論評】本当は低学歴で非常識な財務官僚!その弱みにつけ込み真の政治システム改革を(゚д゚)!

財務省の官僚は、実は低学歴である。などというと、皆さんは驚かれるかもしれません。しかし、これは世界水準の見方をするとこういう見方もできるのです。

財務省のホームページに公開されている「採用昇任等基本方針に基づく任用の状況(平成24年度)」という資料には、キャリアおよびノンキャリアの官僚の出身大学と学部の情報が掲載されています。この資料をまとめると次のような恐ろしい事実が判明します。

まずはキャリア官僚の出身大学および学部を見てみましょう(図表5)。

 [図表5 財務省キャリア官僚の出身大学ならびに出身学部]
  〈大学・学部〉        〈人数〉
  東京大学法学部         11
  東京大学経済学部         4
  京都大学経済学部         1
  慶応義塾大学経済学部       1
  慶応義塾大学大学院経済学研究科  1
  信州大学経済学部         1
  名古屋大学経済学部        1
  北海道大学経済学部        1
  早稲田大学政治経済学部      1
  東京大学大学院公共政策学教育部  1
  早稲田大学大学院公共経営研究科  1
  早稲田大学商学部         1
  東京大学文学部          1
  同志社大学文学部         1
  京都大学法学部          1
  慶応義塾大学大学院法務研究科   1
  千葉大学法経学部         1
  東京大学大学院法学政治学研究科  1
  一橋大学法学部          1
  北海道大学大学院法学研究科    1
  明治大学法学部          1
  早稲田大学法学部         1
  東京大学大学院工学系研究科    1
  〈合計〉            36

次に、大学の壁を取り払って学部別の人数を集計してみましょう(図表6)。ここにも驚くべき事実あります。

 [図表6 財務省キャリア官僚の出身学部]
  〈学部〉 〈人数〉〈割合〉
  法学部   20   55.6%
  経済学部  11   30.6%
  その他    5   13.9%

圧倒的に法学部が優位です。経済を取り扱う官庁なのに、大学時代に経済学を学んだ人が3割しかいません。ただし、財務省側の立場にたって、この現状を説明すると、定められた財政を実行するためには、法律に基づいて実施しなければならず、そのためには法学が必要とされているようです。

そしてもう一つ注目しなければならないのは、彼らの学歴です。学歴というのは出身大学という意味ではなく、大学卒の学士なのか、大学院卒の修士なのかという点です。

ちなみに、日本は学歴社会ではなく、大学格差社会ともいえるような状況です。欧米というか、世界では、大卒は学歴あるものとはみなされません。たとえ、どのような名門大学を卒業していようと、大卒は大卒という扱いで、大学院を出ていなければ学歴があるものとはみなされません。日本でいえば、高卒のような扱いです。

日本の場合は、学歴などといっていますが、その実どこの大学を出たかということが、重要視されるので、これは学歴社会ではなく、大学格差社会というべきだと思います。

そうして、世界標準という立場から見直してみると、先ほどの表で数えてみると、大学院卒の修士は7名で、全体の2割しかいません。言い方は良くないのですが、意外にも低学歴です。他の先進国であれば、財務省や中央銀行の官僚のトップや幹部はまずは大学院卒です。

では、次に財務官僚のトップである財務事務次官の出身大学と学部について、前職の佐藤慎一氏から20年ぐらい遡って確認してみましょう。
佐藤慎一 東大経済学部卒
福田淳一 東大法学部卒
田中一穂 東京大学法学部卒業
香川俊介 東京大学法学部卒業
木下康司 東京大学法学部卒業
真砂 靖 東京大学法学部卒業
勝栄二郎 早稲田大学法学部卒業、東京大学法学部学士入学卒業
丹呉泰健 東京大学法学部卒業
杉本和行 東京大学法学部卒業
津田廣喜 東京大学法学部卒業
藤井秀人 京都大学法学部卒業
細川興一 東京大学法学部卒業
林 正和 東京大学法学部卒業
武藤敏郎 東京大学法学j部卒業
薄井信明 東京大学経済学部卒業
田波耕治 東京大学法学部卒業
小村 武 東京大学法学部卒業
小川 是 東京大学法学部卒業
篠沢恭助 東京大学法学部卒業
例外は勝氏、藤井氏、薄井氏ですが、勝氏は学士入学で東大法学部に入り直して卒業しています。80%以上の確率で東大法学部の出身者が財務省のトップになるというシステムであることは明らかなようです。

ちなみに、前職の佐藤慎一氏は珍しく東大経済学部出身です。増税推進派だった佐藤氏は信念を曲げて増税延期を進める官邸にお願いしたといいますから、経済学の知識だけでなく腹芸も達者なようです。

さて、経済の司令塔として財政政策を取り仕切る財務官僚ですが、経済のプロフェッショナルに見えるでしょうか。

法学部出身の新卒プロパー職員が、基本的に内部の研修と職務経験だけで昇進し、最後に事務次官にまで上り詰めるのです。これが日本の経済の司令塔となる人を育てるプログラムということになります。こんなことで良いのでしょうか。

財務省の本来の役割とは、政府の財政方針と目標に従い、専門家の立場から、それを実現するための方策を選んで実行することです。専門家的立場から、方法を選ぶということになれば、やはり大学院卒のほうが望ましいのかもしれません。

しかし、ここにも問題があります。財務省の官僚の出身大学のほとんどが東大です。その東大のいわゆる日本の主流の経済学者のほとんどは増税派だからです。

これについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「2%インフレ目標未達」の批判は誤解で的外れ―【私の論評】復興を税で賄おうとか、8%増税の失敗を認めたくない輩の多いこの国で、いつまともな経済論議ができるようになるのか?間違いを認める潔さのない人々のリストはこれだ(゚д゚)!
日銀黒田総裁

この記事は、2015年3月19日のものです。この時期には、2%の物価目標がなかなか達成できないのは、日銀の責任ではなく、8%増税に原因があるとされていた時期です。

このブログには、高橋洋一氏が復興税を支持した、日本の主流派経済学者のリストが掲載されています。これらのリストに掲載されている人々はすべて増税推進派です。

そうして、このリストをみるとやはり東大が多いです。東大の経済学者らは、ほとんどが増税推進派です。

ということは、もし財務省が経済大学院卒を多めに採用するようにしたとしても、増税派の東大大学院の卒業生が多く入ってくることになり、何も変わりないといことになるということです。

結局東大を頂点とする日本の主流の経済学者も財務省の増税キャンペーンに協力しているのです。

これでは、どうにもなりません。しかし、財務官僚は西欧基準では低学歴だということがある意味では突破口になるかもしれません。

財務官僚は省益を優先するため、省益に物事を考えますから、国民のことなどはなおざりで、本当は日本経済そのものや、マクロ経済学には疎いのだと思います。本当は、省益など二の次、三の次にすれば、本当の日本の経済や社会の姿が見えるはずなのです。

それが見えたなら、日本経済のために、日本国民のために何をすればよいのかなどということは高度な経済知識がなくても、常識でわかるはずです。特に現状を見た場合増税などできるはずないと、普通の常識のある人なら理解できるはずです。

政府や政治家は、財務官僚が低学歴であること、それと常識に欠けることを逆手にとり、まずは財政の方針は政府が定めようにもっていくべきです。目標については、最初は実質財務省に定めさせるようにしても良いですが、いずれそれも財務省からとりあげるようにします。

財務官僚が何をいおうと、増税はしない、積極財政に踏み切るなどの方針を定めて、官僚に従わせるのです。もし、従わなければ、財務省の権限を分割・廃止し、さらに他省庁の下部組織にするぐらいの組織変革を行うのです。財務省は、財政の実行部分を担うだけにし、それでも企画と実行部門は別組織にします。

さらに、実行と統治の部分は完璧に分離し、政府が統治の部分を完璧に担うようにするのです。

その後というか、その過程におて、やはり以前このブログにも掲載したように、本格的な政治システム改革が必要になると思います。これについては、以下の記事をご覧になってください。
妄想丸出しで安倍政権の足引っ張るだけの政治家は市民活動家に戻れ ―【私の論評】本当に必要なのは財務省解体からはじまる政治システム改革だ(゚д゚)!


詳細は、この記事をご覧いただものとして、この記事では、財務省を解体した後に、政党の近代化を図るべきことを掲載しました。

この2つは、日本の政治システムの近代化には必要不可欠であると私は思っています。

【関連記事】 


マスコミ洗脳し財政危機煽る…財務省の災いは日本の好機だ 脱緊縮政策が経済に福となる―【私の論評】財務省は、現在の大企業に比較しても格段に遅れた時代遅れの組織(゚д゚)!

2016年4月25日月曜日

【湯浅博の世界読解】震災の弱みにつけ込む国々 国際政治の過酷な現実 ―【私の論評】緊急事態条項なしに、首都直下型地震や尖閣侵攻は対応できない(゚д゚)!


平成28年4月14日、総理大臣官邸で開催された「平成28年(2016年)熊本県
熊本地方を震源とする地震非常災害対策本部会議」(第1回)にて挨拶をする安倍総理
安倍晋三内閣の危機対処は、立ち上がりが早かった。熊本県を襲った大地震発生から5分後には官邸対策室を設置し、被害状況の把握に努めた。実はこのとき、政府は東シナ海を遊弋(ゆうよく)する中国公船の動向をにらみながら、被災地の熊本に自衛隊員2万人の派遣を決めなければならなかった。

この日午前、沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺の領海を中国海警局の船3隻が侵犯していたからである。海警の3隻は午前中、2時間近く領海内をうろつき、西南西の方向へ出ていった。この間、海上保安庁の巡視船は海警が尖閣に近づかないよう警戒し、海上自衛隊の艦船も距離をおいて警戒していた。その夜の大地震発生であった。

海警の3隻が去った後も、政府・自衛隊は依然として南西方面に気を配らなければならなかった。

2011年3月、未曽有の東日本大震災の際に米軍はいち早く2万人動員の「トモダチ作戦」を展開してくれた。まもなく、中国からも15人の救援隊が送られてきたが、1週間して帰国した。入れ替わりに、軍艦を尖閣諸島に送りつけてきたのである。

当時、菅直人内閣の動きに「日本は御しやすい」と判断したのだろうか。ロシアの空軍機は、「放射能測定」を理由に日本の領空ぎりぎりを飛び、中国の艦載ヘリも尖閣沖の海自艦に異常接近して、結果的に復旧の邪魔をした。

香港の「東方日報」は地震発生から約1週間後、尖閣を奪取すべきだと指摘して、「日本が大災害で混乱しているこの機会が絶好のチャンスである」とホンネを吐いていた。

内紛や天災で国が乱れると、そのスキを突いて敵対勢力がなだれ込むのは国際政治の過酷な現実である。腹に一物ある周辺国は、危機に陥ったときの日本のクライシス・マネジメント能力をじっと見ている。それが有事にも直結するからだろう。

過去にも大正12年9月の関東大震災の際、救援の外国勢と裏では虚々実々の駆け引きをしていた。

日本海軍は地震発生とともに、国内3つの鎮守府から艦艇が急行したほか、連合艦隊が東京湾に向かった。このとき、黄海にあった米国の太平洋艦隊も震災4日後に8隻が東京湾入りして、その早さに海軍当局者は度肝を抜かれた。

米軍の救援部隊の中には情報要員が紛れ込んでいた。驚いたことに、この時の震災と火災の関連調査が、後の日本本土空襲作戦の立案の際、焼夷(しょうい)弾使用の参考にされた(防衛研究所ニュース通算86号)。

東日本大震災から早くも5年が経過した。民主党から自民党政権にかわり、日本の危機対応能力は格段に向上している。制度面では、国家安全保障会議(NSC)を設置して効率的な意思決定システムを整えた。運用面でも、中国による領海侵入が繰り返されても、日本はそのつど押し返している。

安倍首相は集団的自衛権の一部行使が可能な安保法制を整備し、同盟国とは日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を改定し、いざというときの役割分担も整備した。

それでも足りないのは、予想される首都直下型大地震のような「国家存亡にかかわる事態」への対応である。現行憲法にない「緊急事態条項」を早急に補い、万全の態勢を組むのが国民への責務であろう。(東京特派員)

【私の論評】緊急事態条項なしに、首都直下型地震や尖閣侵攻は対応できない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では、14日午前、沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺の領海を中国海警局の船3隻が侵犯していたとあります。

これについては、このブログでも過去に掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国紙が社説で「尖閣に自衛隊派遣なら軍艦出動」「数、日本の比ではない」―【私の論評】中国が一番恐れるのは、日本の武力によって尖閣付近から中国の勢力が排除されること(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より熊本震災以降に中国の海警の艦船が尖閣付近を航行していた内容を以下にコピペします。この記事では、海上保安庁が装備を拡充して、尖閣付近の先住の部隊を創設したことも掲載しまた。
今日本は熊本地震で対応中です。ブログ冒頭の、環球時報の記事(ブログ管理人注:尖閣に自衛隊派遣な中国は軍艦を出動)は13日に公表されものであり、地震発生の前の日であり、特に地震を意識したものではありません。 
しかしながら、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海外側にある接続水域で16日、中国海警局の船3隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認しています。中国当局の船が尖閣周辺で確認されたのは3日連続です。これは、熊本の地震の後です。中国側としては、地震の影響があるかどうかを見極めてるのだと思います。まるで火事場泥棒のような、行動です。
第11管区海上保安本部(那覇)によると、3隻は海警2101、海警2307、機関砲のようなものを搭載した海警31241だそうです。領海に近づかないよう巡視船が警告していました。
「海警31241」※37ミリ連想機関砲4門搭載
この記事では、この三隻の中国公船は、尖閣諸島の領海外の接続水域を航行しているのが発見されたという内容ですが、ブログ冒頭の記事では、「尖閣諸島周辺の領海を中国海警局の船3隻が侵犯していたからである。海警の3隻は14日午前中、2時間近く領海内をうろつき、西南西の方向へ出ていった」とあります。 

熊本地震が発生したのは、4月14日21時26分ですから、この時点ではまだ地震は発生はしてませんでしたが、それにしても、確かにこのようなことがあれば、官邸としても神経を尖らせたものと思います。

それにしても、この記事で領海外を航行という内容ですか、ブログ冒頭の記事では、領海を侵犯としています。一体どちらが正しいのかと疑問に感じたので、サイトを調べてみました。

共同通信の報道によりますと、熊本で震度7の地震が起きる半日前の14日午前10時10分ごろ、中国の海警局所属の艦艇3隻が日本の領海を侵犯していたとありました。これは、今年に入って10日目のことだそうです。。

尖閣の周辺を1時間半にわたって「領海侵犯」していたのです。3隻の艦艇は海警2101、海警2307、海警31241です。 

このうち、「海警31241」は元々軍艦であることが問題視されています。これは、1990年代初頭に就役したジャンウェイ型フリゲート艦を改造して造られたものです。

以上のことから、14日は中国の海警は領海侵犯をしていました。その後、中国海警は15日、16日にも尖閣諸島の付近に姿を現したのですが、このときは領海侵犯はせず、接続領域を航行していたということのようです。

そうして、この海域では海上自衛隊の艦船も出動していて、距離をおいて警戒をしていたということです。海上自衛隊の艦船とはいっても、いろいろ種類がありますが、どの艦船が出ていたかまでは明らかにはされていないようです。

いずにせよ、中国側としては震災発生後にも、海警を派遣して日本側の様子を伺っていたということです。そうして、日本国内では、14日地震の前に、中国の艦船が領海侵犯をしていたということが、ほとんど報道されていません。

地震報道で、このようなことはかき消されたような形になっています。

震災とは、戦争ではありませんが、日本の国土が甚大な被害を受けるということでは、似ています。いずれの場合も、緊急事態であり、日本の危機管理能力が問われることには変わりありません。

震災での周辺諸国の動きというと、ブログ冒頭の記事にも出ていましたが、やはり東日本大震災の時を思い出します。

以下に、佐藤優氏の東日本震災当時のロシアによる挑発に関する記事を引用します。

"
【佐藤優の眼光紙背】東日本大震災とロシア


国家は本質において利己的な存在だ。東日本大震災で世界各国が日本を支援している。しかし、それと同時に被災者救済と福島第一原発の危機が同時進行している状況で、日本の統治能力が弱体化しているか否かを各国は探ろうとしている。特に露骨な動きを示しているのがロシアだ。3月21日付読売新聞電子版はこう報じた。
露戦闘機、日本領空接近…空自機スクランブル 
 防衛省は21日、日本海を飛行していたロシアの戦闘機スホイ27など2機が、日本領空に侵入する可能性があったとして、航空自衛隊の戦闘機を緊急発進(スクランブル)させたと発表した。 
 スホイ27は一時、領空の約60キロ手前まで接近したが、その後、両機とも北方に飛び去った。同省によると、ロシアの戦闘機に対するスクランブルは極めて異例。同省でロシア軍の目的などについて分析している。
ロシアの戦闘機スホイ27
  震災復興のため自衛隊の10万人動員が行われている状況で、日本の防空体制についてロシアがチェックしたのである。友好国ならば決して行わないことである。本件について日本政府は、「あなたの国は隣国が災害で危機に瀕しているときにこういうことを行うのか。こういう行為が日本の感情に与える影響を計算しているのか」と不快感を表明すべきだ。それとともにマスメディアも「いったいロシアは何を考えているのだ」と本件をとりあげ、ロシアに対して厳しい論調を展開して欲しい。

  東日本大震災後、ロシアでは対日政策を巡って融和派と強硬派の対立が生じている。融和派は、チェルノブイリ原発事故で被災したロシアがもつノウハウを積極的に日本に提供すべきと考える。それとともに日本とのエネルギー協力を進めるべきと考える。これに対して強硬派は、極東において日本に対するロシアの外交的、軍事的、経済的優位性を確保しようとしている。ロシア世論は東日本大震災後、日本に対する同情が増している。日本外務省、特に在ロシア日本大使館は、ロシア内部の事情をよく調べた上で、対日強硬論を封じ込め、対日融和論者の力が強くなる方向でロビー活動を展開しなくてはならない。

  日本海におけるロシア空軍の挑発に対しては防衛省だけでなく外務省も毅然と反応しなくてはならない。(2010年3月22日脱稿)

"

前回の、東日本大震災や、今回の熊本震災も、日本の中枢がある首都からは遠いところの震災でしたから、日本の中枢が麻痺するということはありませんでした。

しかし、ブログ冒頭の記事にもあるように、首都直下型大地震のような「国家存亡にかかわる事態」への対応はまだ不十分であり、現行憲法では「緊急事態条項」でさえ定められていません。現憲法は、あくまで、平時の日本を想定して、定められています。

しかし、日本が今後もいかなる戦争をしないにしても、東日本震災や熊本震災で明らかになったように、このような大災害が首都を直撃するような「緊急事態」は十分に想定できます。

平成23年3月11日の東日本大震災では巨大地震と大津波さらに原発事故に見舞われたが、民主党政権の対応はきわめて問題の多いものでした。
緊急災害対策本部の会議であいさつする菅首相。
左は枝野官房長官
=2011年3月15日、首相官邸
菅内閣は、次々と「本部」や「会議」を設置しましたが、それぞれの権限は曖昧な上、指揮系統は混乱し、結局、有効な対策も効果的な措置もとることができませんでした。
災害対策基本法では、「非常災害が発生し、その災害が国の経済や公共の福祉に重大な影響を及ぼすような場合」には、「災害緊急事態」を布告できると定めている(105条)。そして、この「災害緊急事態」が布告されると、政府は「緊急政令」を制定し、「生活必需物資の統制や価格統制、さらに金銭債務の支払い猶予」を行ったりすることができます(109条1項)。

にもかかわらず、菅内閣は「災害緊急事態の布告」を行わず、「緊急政令」も制定しませんでした。。そして、「生活必需物資の統制など必要なかった」とうそぶきました。実際には、震災直後に、現地ではガソリンが不足し、被災者や水・食糧などの生活必需物資、医薬品などが輸送できないという事態が発生していました。これが原因で、助かったかもしれない多くの命が失われていまする。明らかに、「物資の統制」は必要だったのです。
原発訪問で現場の混乱を招いた菅総理
にもかかわらず「物資の統制」を行わなかった理由について、官僚は「国民の権利義務を大きく規制する非常に強い措置であり、適切な判断が必要」であったと答弁しています。

結局「憲法で保障された国民の権利や自由―経済活動の自由―をそう簡単に制限するわけにはいかない」ということです。法律では明確に「権利・自由の制限」が認められているにもかわらず、憲法に根拠規定が存在しないため、そう簡単に権利や自由の制限を行うことなどできない、というのです。

ガレキの処理についてさえ、憲法の保障する「財産権」が問題となりました。流れ着いた家財や車等のガレキを処理し、緊急道路を開通させようとすると、「持ち主の了解なしに処分するのは財産権の侵害であり、憲法違反だ」といった声が上がり、中々処分が出来なかった自治体もいくつかありました。これも憲法に根拠規定がないため、迅速な処理が出来ず、二次被害をもたらした例です。
大規模震災などあった場合には、日本の対応は、世界が注視するところとなり、特にロシア、中国、北朝鮮などの近隣諸国は、日本に付けいる隙がないかどうか探りを入れるのは、当然のことです。日本が弱ったとみるなり、中国は尖閣を急襲するかもしれません。最近は北方領土に関しては、ロシアの経済力が弱り交渉のし易い条件がいろいろと整っていましたが、日本が弱みをみせれば、振り出しに戻すかもしれません。北朝鮮だって、何をやらかすかわかりません。
だとすれば、やはり抜本的な解決のためには、憲法の中に緊急時のための規定をしっかりと定めておく必要があるはずです。これ抜きに日本の大規模災害対応や安全保障は語ることはできません。
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2013年2月3日日曜日

「日本企業に足向けられない」 巨人サムスンの“強み”と“弱み”−【私の論評】韓国企業礼賛論を語る人は、視野が狭いか、売国奴か、それらに扇動された愚か者!!

「日本企業に足向けられない」 巨人サムスンの“強み”と“弱み”



【日の丸家電VS韓国】
韓国ソウル市。サムスン電子の本社で、創立記念日の11月1日に毎年行われる記念式典が昨年も盛大に催された。数日前に発表された2012年7~9月期連結決算は過去最高の営業利益を計上。それにもかかわらず、式典であいさつした同社幹部は厳しい表情で「サムスンの危機」を訴えた。「油断すれば一瞬で没落してしまう」

業績は絶好調だが、スマートフォン(高機能携帯電話)をめぐって米アップルとの特許係争が泥沼化。その上、中国企業が低価格スマホで攻勢を強めるなど、経営を取り巻く環境は決して順風満帆ではない。なかでもサムスンの弱点は「技術開発のノウハウの少なさ」(関係者)という指摘は多い。サムスンはライバル企業の研究者を引き抜き、技術を吸収することで成長してきた。日本の数多くの研究者も高額のヘッドハンティングの対象だが、引き換えに「収益に結びつく技術だけを求め、長期的な開発や研究者の育成を怠ってきた」(証券アナリスト)。

その“負い目”をサムスン自身も実感しているからか、パナソニックやシャープなど日本企業の技術力に対して畏敬の念を示す幹部は少なくない。「日本企業に足を向けては眠れない」。豪腕で知られる李健煕(イ・ゴン・ヒ)サムスン会長は口癖のようにこう話す。関係者によると、サムスンが半導体事業に本格参入した1970年代、日本のある大手メーカーから技術指導を受けた恩義があるという。日本は技術の“教師”だが、皮肉にも業績面では立場が逆転している。

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【私の論評】韓国企業礼賛論を語る人は、視野が狭いか、売国奴か、それらに扇動された愚か者!!

サムスンは、現在苦境に立たされています。なぜなら、従来はサムスンに有利に働いていた比較優位性が崩れてきているからです。最も大きいのは、アベノミクスによる円安基調です。サムスンは、韓国政府の国家戦略にのって、円高、ウォン安という輸出企業にとっては、絶好の条件で、好業績をあげることができました。


ウォン安に関しては、政府の国内インフレという犠牲を無視した誘導策により、輸出企業にとってはこれほど良い条件はないという条件下でぬるま湯につかり、一見素晴らしい企業にみせかけることができました。しかし、その実内容は、国際的にみれば凡庸の一言に尽きる企業に過ぎません。

日本のどの企業でも、おそらく、サムスンのようなぬるま湯に漬かることができれば、とてつもない成果をあげることができたと思います。決断もはやく下せて、どんどん様々な新製品・戦略製品などいくらでも、市場に投入できたと思います。無論、シャープだって、パナソニックだってソニーだってそうです。

私自身は、韓国についてはさほど詳しくはないので、韓国の社会が部品づくりなど軽視し、組み立てばかり尊重してきたことを如実に示す動画がを下に掲載させていただきます。






韓国のように差別社会であり、部品をつくることを蔑み、部品を組み立てることを評価するというのでは、まともな産業は育ちません。まして、組み立てることにより、アップルのようにまったく新しいものを生み出し、最初に市場に投入していくといのでなければ、どう頑張っても凡庸な企業から一歩もはみ出ることはできません。サムソンは、スマホも、タブレットも最初に出してはいません。すべての製品が、二番煎じです。ぬるま湯状態もいつまでも継続はできません。今後サムスンは否応なくぬるま湯からでなければなりません。このぬるま湯からでた時が本当の実力です。

サムスンは、ぬるま湯に漬かっていた!!

日本企業はひところ、株安、円高で元気がなかっただけであり、未だに素材を生み出す力は、ピカイチです。それに、創造性もかなりなものです。ただし、過去20年間デフレであって、大多数の消費者も、あまりモノを買わなくなったため、先進国的な高度なニーズも発生しなかったため日本企業も対応するべき高度なニーズもなく、凡庸に見えるようになっただけです。いずれ経済が活性化してくれば、高度なニーズが生まれ、それに対応しようと多くの日本企業が努力するようになり、新たな製品が生まれてくると思います。




韓国は、これ以上円高が続けば、特に経済がズタボロになります。さて、この状態がしばらく続けば、まともな社会である日本のほうが有利であることはいうまでもありません。

製造業というと、一昔のように、大量ロットの大量生産などの旧態依然とした体制の製造業を思い浮かべがちです。そうして、以下のような論評も目立ちます。

安倍政権「製造業の復活で経済成長」の大ウソ

詳細は、上記のURLをごらんいただくものとして、確かに旧態依然とした昔風の製造業だけでは、雇用も増えず、経済成長にもなかなかつながらないかもしれません。しかし、今製造業は変わりつつあります。その変化がわからなければ、上のURLのような結論になります。

誰もがものづくりができるようになる、メイカーズ・ムーブメントを提唱するクリス・アンダーソン氏

旧態依然としたとした製造業はどのみちあまり先に良いことはありません。しかし、最近は、このブログにも掲載したように、メイカーズ・ムーブメントがあります。このムーブメントを発展させてるためには、一方では、メイカーズの素晴らしいアイディアが必要ですし、このことばかりが強調されますが、もう一方ては、このメイカーズの要望に答えて柔軟な生産体制をとることができる工場を経営することのできる製造業が必要不可欠です。これらの、両方を満たすことができるのは、韓国ではなくもともとモノづくの伝統があり、部品づくりから取り組む日本だと思います。

サムソンや日本企業の実力など、もう少しすれば、はっきりすると思います。今すぐではなくても来年あたりにははっきりすると思います。私は、その時を待てばはっきりはしますが、待たなくてもメイカーズの動向や日本企業の本来の力を見極めれば、自ずと、日本のほうがはるかに優れていることが多くの人に周知されるようになると思います。来年になれば、間違っても、韓国企業礼賛論などはでではこないでしょう。現在韓国礼賛論のたまう人は、視野が狭いか、売国者か、それらに扇動された愚か者だと思います。私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

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2012年8月19日日曜日

他人の行動をしっかり評価できない人は、心理学的なマジックにとらわれている―【私の論評】マネジメントは、根本的な帰属の誤りをどう防いできたか!!

他人の行動をしっかり評価できない人は、心理学的なマジックにとらわれている:


鍵が見つからないとき、あなたは「ツイてない」と思うでしょう。でも、あなたの友人は「不注意な人だな」と思うかもしれません。これを心理学用語でいうと「根本的な帰属の誤り(fundamental attribution error)」と呼びます。つまり、ある人の行動について、誤った部分に原因を当てはめる傾向のことです。イギリス「BBC」では、次のように説明しています。Photo by Thinkstock/Getty Images.

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】マネジメントは、根本的な帰属の誤りをどう防いできたか!!

人間というものは上の記事のような、「根本的な帰属の誤り」をするのが普通です。これは、特に職場においては良くあることです。特に、仕事ができない人に対しては、こうした見かたをしがちです。愚かなマネジメントは、こうした人を「仕事ができない人」と決めつけ、アメリカなどでは、解雇したり、日本の職場であれば、人事などに誤った情報を流し続けることになります。


これに関しては、駄目な職場ということになると思いますが、こんな職場ばかりであれば、アメリカでも、日本でも、組織そのものが、駄目になり、組織は存続できなくなくなります。しかし、優秀なマネジメントは、このような見方をせず、組織を存続させ、さらに高めていきます。


では、マネジメントは、根本的な帰属の誤りをどう防いできたかきたのでしょうか?それには、いくつか原則がありますが、もっとも重要な原則を下に掲載します。


マネジメントが、成果をあげるには、人の強みを生かさなければなりません。弱みを気にすべきではありません。利用できるかぎりのあらゆる強み、すなわち同僚の強み、上司の強み、自らの強み、部下の強みを総動員しなければなりません。強みを生かすことは組織特有の機能です。組織における権力の正統性の基盤も、この人の強みを生かすという組織の機能に置くべきです。


組織といえども、人それぞれが持つ弱みを克服することはできません。しかし、組織は人の弱みを意味のないものにすることができます。成果をあげるには、強みを中心に据えて異動を行ない、昇進させなければなりません。人事には、人の弱みを最小限に抑えるよりも、人の強みを最大限に発揮させなければならないのです。


リンカーンは、グラント将軍の同僚の将軍たちから、「グラント将軍は酒好きだ」という話聞いたとき、即座に「だが奴は仕事ができる」と言ったという逸話が残っており、その後も、リンカーンは、グラント将軍を重要なところに配置し続け、結局は南北戦争で勝利を収めました。

人のできることではなく、できないことに気をとられ、弱みを避ける者は弱い人間です。しかし部下が強みを持ち、成果をあげることによって苦労させられた者など、一人もいません。

アメリカの鉄鋼王アンドリュー・カーネギーが自らの墓碑に刻ませた『おのれよりも優れた者に働いてもらう方法を知る男、ここに眠る』との言葉ほど大きな自慢はないと思います。これこそが成果をあげる処方であり、「根本的帰属の誤り」に陥ることを防ぐ処方箋だと思います。

こういった精神を組織のものとした、組織においては、「根本的帰属の誤り」などが付け入る隙はなくなります。なぜなら、人を見るときに、その人の弱いところを見るのではなく、強みを中心に据えるからです。しかし、これは、簡単なことのように見えて、そんなに易しいことではありません。人の弱みについては、小学生でも、いくつもあげることができます。しかし、人の強みについては、なかなか指摘するのは難しいです。それどころか、自分自身で、自分の強みをあげられる人も少ないです。しかし、あげられるようにする方法はあります。ただし、これは、本日の本題ではないので、ここで、詳細をあげることはしません。いずれ機会を設けて掲載するものとします。しかし、難しいからといって、手をこまねいているようでは、いつまでたっても、大きなな成果をあげることはできないし、いつも「根本的帰属の誤り」につきまとわれることになります。

上の記事では、「根本的帰属の誤り」について解説していますが、その解消法までは掲載していません。しかし、このようなことは、まともな組織では、「人の強み」に着目するということで、解消してきており、成功しています。そうして、この原則は、何も民間営利企業だけに当てはまるものではありません。学校でも、研究所でも、官庁でも、非営利組織などおおよそほぼすべての組織においてもあてはまることです。

このような原則を当てはめている組織は、これからも、「根本的帰属の誤り」に影響されることなく、発展し続けていくし、そうではない企業は淘汰されると思うのは、私だけでしょうか?


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2012年4月29日日曜日

ピンチに負けない心を作る3つの方法―【私の論評】まずは、自己肯定できるできないかが、分かれ目か?

ピンチに負けない心を作る3つの方法:

ピンチに負けない心を作る3つの方法


人生に逆境はつきもの。仕事でも私生活でもたびたび訪れる逆境やピンチですが、乗り越えることができるか、潰されてしまうかはその人の考え方や精神状態によって大きくかわります。『自分ホメ... 続きを読む

著者の谷口祥子さん


【私の論評】まずは、自己肯定できるできないかが、分かれ目か?

私は、この書籍は読んだわけではないのですが、ガジェット通信では、この書籍の中でも特に逆境に負けない心を作るための方法をピックアップしていて、その内容が紹介されており、なかなか良い内容だと思いましたので、紹介させていただきました。

そのピックアップしている部分の要約を以下に紹介します。
■自分のかっこ悪い部分を、あえて周囲に話してみる 逆境に陥ると、誰しもが追い詰められた気持ちになります。そういったプレッシャーに押しつぶされないためには、プレッシャーを感じている自分を認め、さらに物事を前向きに考えること。周りの環境に追い詰められるのはまだしも、自分で自分を追い詰めないようにするべきです。
そのために有効なのは、自分のかっこ悪い部分や秘密にしておきたかった恥ずかしい部分をあえて人に話してみること。
■他人のセリフを引きずらない 普段は気にも留めないような他人の言葉が妙に心に残ってしまうのも、ピンチの時の特徴です。批判されたり、ネガティブなことを言われると、いつもより重く受け止めてしまいがちですよね。
人の言うことは、自分にとってプラスに思えるのならありがたく受け入れ、マイナスイメージを持つなら無視する、というように、他者の発言を受け流す力は普段から磨いておくべきでしょう。
■ネガティブな感情は、溜めこまない 言いたいことを言わなかったり、ネガティブな感情を抑圧して溜め込んでしまうのも、自分で自分を追いつめてしまう原因です。
私たちは普段「喜ぶこと=良いこと」「怒ること=悪いこと」といった評価をしがちですが、本当は感情に良い悪いはありません。喜んでいる時も、悲しんでいる時も、怒っている時も感情を発散させるべきです。
ピンチや逆境の時こそ、精神面の強さが問われます。そんな時は状況に流されずに一度自分を肯定してから物事に対処するべきです。
本書には、生きるうえでの自己肯定の重要さと、そのための方法が紹介されています。メンタルが弱いという自覚がある人や、自分に自信が持てない人は、本書のノウハウを試してみてはいかがでしょうか。
私は、上記のことに関しては、今では、特に意識しなくても、実行できるようになっているので、特に追い詰められるとか、あせるなどということはありません。今は、そうなのですが、特に若いうちはなかなかできませんでした。



しかし、あるときから、そんなことではいけないと思い考え方を根本的にあらためました。特に、それは、自己肯定ということです。自己否定ばかりしていては、永遠に逆境に付きまとわれ、いわゆる逆行にはまりつづけて、自分を見失ってしまいます。そればかりか、他の人のことも見失ってしまいます。本当に大事な人が離れていったりします。


今考えると、こうした自覚は、二段階あったように思います。最初は、まだインターネットが黎明期の頃でした、インターネットを検索していると、ある記事が目にとまりました。それは、アメリカ人が書いた英語のものでした。これは、特段有名な人が書いたものではありません。ごく一般の市井の人でした。だからこそ、当時の私の琴線に触れたのかもしれません。あまり詳しくは、覚えていませんが、とにかく、以下のような内容であったことは、はっきり覚えています。
「人とは、影の部分もあれば、光の部分もある。この世の中が、暗黒で影ばかりであれば、私たちは何も見えない。その逆に世の中に影がなく、光だけであれば、これも何も見ることはできない。光と影があるから、私たちは、はじめて見ることができる。
人も同じことだ、人には、光の部分があり影の部分がある。だから、人には、個性というものがある。光の部分だけ、影の部分というだけなら、個性も何もない。だから、自分自身をすべてを認めよう。今日あなたが、あるのは、光の部分があるだけではなく、影の部分もあるからなのだ。
だから、影の部分を認めよう。もし、この影の部分がなければ、あなたの光の部分が異彩放つこともないだろう。今日のあなたをかたちづくっているのは、あなたの影の部分があるからに他ならない。だからこそ、光と影のすべてを部分を自分であると認めよう。そうすることから、あなたの未来ははじまる」

原文は、英語で、しかもかなり詩的な素晴らしい文章でした。残念ながら、私は、あまり詩心もないので、それを再現することはできませんが、内容としては、このようなことでした。


この文章を読んでから、私も、この文章の通りに考えようと努めることにしました。それから、随分と楽になったような気がします。特に、青年期にあることですが、自分の影の部分をなかなか認めようとしません。しかし、上の文章によれば、どんな影の部分であっても、それがあるからこそ、今日の自分があるということです。もし、それがなかったら、今日の自分はないわけです。自分を大切にしたいなら、自分の影の部不も認めなければなりません。それを認めない限りは、明日はやって来ないということです。何と素晴らしい内容ではありませんか。

ちなみに、この方とは、いまだに交流があります。いまでは、SNSでときどき互いにメッセージをやりとりしています。後で知ったのですが、やはり、ただものではありませんでした。上の文章を書いたときは、確かに普通の若いサラリーマンで、市井の人だったのですが、あるとき会社をおこし今では業界ではかなり著名な方になっています。やはり、あれだけの文章を書く人ですから、当然といえば、当然なのかもしれません。

それから、2~3年してから、今度は、ドラッカーの書籍を読んでいるときに、そのような自覚がさらにできました。これに関しては、このブログには、ドラッカーについて何度も掲載していますから、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。それは、ドラッカーの人の「強み」にもとづく、マネジメントです。以下にその要旨だけ掲載しておきます。
「いかなる教養を有し、マネジメントについていかなる教育を受けていようとも、経営者にとって決定的に重要なものは、教育やスキルではない。真摯さである」(『現代の経営』)
経営者にとってできなければならないことは、そのほとんどが学ぶことができる。しかし、学ぶことのできない資質、後天的に獲得することのできない資質、初めから身につけていなければならない資質がある。才能ではない。真摯さである。
経営者は人という特殊な資源とともに仕事をする。人は共に働く者に特別の資質を要求する。 
経営が本気であることを示す決定打は、人事において断固人格的な真摯さを評価することである。リーダーシップが発揮されるのは人格においてであり、人の範となるのも人格においてだからである。
ドラッカーは、真摯さは習得できないと言う。仕事に就いたときに持っていなければ、あとで身につけることはできないという。
ごまかしはきかない。一緒に働けば、特に部下には、その人間が真摯であるかどうかは数週間でわかる。
部下たちは、無能、無知、頼りなさ、不作法などほとんどのことを許す。しかし、真摯さの欠如は許さない。そのような人間を選ぶ者を許さない。
「人の強みではなく弱みに焦点を合わせる者をマネジメントの地位につけてはならない。人のできることは何も見ず、できないことはすべて知っているという者は、組織の文化を損なう」(『現代の経営』)
以上は、経営者についてのものですが、ドラッカーは、自分自身についても、強みに焦点をあわせるべきであると言っています。そうして、組織の役割は、強みにもとづき、人の力を最大限にひきだし、弱みに関しては、中和してしまうべきとしています。そのために組織があるといっています。


弱みだけにもとづく、マネジメントは、組織の精神を低下させるとしています。そうです、先の文書とも通じるところがあるのです。自分のことでも、他の人のことでも、弱み=影の部分だけに着目するのではなく、強み=光の部分に着目せよと言っているのです。

人間は、20歳も過ぎてしまえば、いわゆる、強みはさらに伸ばすことはできても、弱みの部分は伸ばせない、弱みはせいぜい、仕事に支障がでないように、是正できるだけだとも言っています。

わかりやすくいえば、たとえば、税理士の資格を持っていて、経験があり税務が本当できる人にとっては、計算することが強みです。この人が、人とあって話をすることが苦手で、それが、弱みだったとします。この人が、一人で、税理士事務所をやろうとしてもできないでしょう。そんなときに、ある程度人数がいる税理士事務所という組織に入れば、営業的なことは、他の人やってもらい、自らは、強みである計算に集中すれば良いのです。

また、高等数学ができなくてそれが弱みの人も、それは、他の人にやってもらい、自らは、仕事に支障ができない程度に算術ができるようにし、自らの強みをして、成果をあげられるようになれば良いわけです。さらに、ドラッカーは、人には、見ることによって学ぶ人、聴く事によって学ぶ人、相手との会話などのやりとりで学ぶ人など型があることも強調していて、自分や他の人がどのタイプであるかを知っておくべきことも主張しています。要するに、自ら強みである学び方のスタイルを知っておけと言っています。現在の教育は、人の弱みを是正することにばかり集中しているし、学び方のスタイルなど完全に無視しているとも語っています。
考えてみれば、かなり有能な経営者にだって、欠点すなわち、弱みもあると思います。何から何までできる人などはいません。そんなときに自分の弱みの部分は、それが得意な人を雇ってその人にやってもらば良いわけです。そうして、普段から人の強みに着目して、その強みを最大限に伸ばすように、組織を構築すれば良いのです。だからこそ、有能な経営者は、他の人が足元にも及ばないほど成果をあげられるのです。なんでもかんでも、自分でやったり、隅から隅まで自分が監督していてはできることではありません。

しかし、このようなことをするにしても、まずは、最初に自己肯定ができなければならないということです。自己否定からは、何も生まれてこないのです。自己肯定できない限り、大方の人は、単なる自己中で、終わってしまいます。だからこそ、自己肯定ができるかできないかが、分かれ道になるということです。

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2012年4月13日金曜日

沢尻エリカ 5年ぶりテレビドラマで“虚飾の女王”に挑む―【私の論評】人をみるには、それが特に自分の持ち駒であれば、強みに着目しなければならない!!弱みには目をつぶらなければならない!!

沢尻エリカ 5年ぶりテレビドラマで“虚飾の女王”に挑む


女優の沢尻エリカ(26)が5年ぶりにテレビドラマに出演する。TBS系のドラマ特別企画『悪女について』(4月30日 後9:00)で、有吉佐和子の同名小説を原作に、マスコミに「虚飾の女王」などと悪評を書きたてられた女性実業家の波乱万丈の半生を演じる。学生服姿の15歳から謎の死を遂げる40歳までを演じ切った沢尻は、「人間って単純に『こういう人だよ』って語れないですし、そういう深いところまで描けているドラマだと思います」と手応えと自信は十分だ。続きはこちらか・・・・・

【私の論評】人をみるには、それが特に自分の持ち駒であれば、強みに着目しなければならない!!弱みには目をつぶらなければならない!!

いよいよ、沢尻エリカさん、本格的にドラマに復帰ですね。少し前にも、ドラマにでていましたが、あれは、携帯電話の動画ドラマということで、本格的な復帰は今回初だと思います。


沢尻エリカさんといえば、2007年の映画「クローズド・ノート」の初日舞台あいさつでの不機嫌な態度が波紋を呼び、それが原因で、5年間もの間、テレビなどに本格的に復帰できなかったわけです。それにしても、お仕置期間が、結構長かったんですね。つい、最近のことかと思っていましたが、結構時間がたっていることに時が流れることのはやさに、驚きました。


さて、5年前のあの出来事があったとき、私は、このブログにもあの件を掲載しました。詳細は、以下のURLをご覧いただくものとして、その内容は、いわゆる「芸能人の社会」の特殊性というものでした。結局あんな事件に関して、マスコミが連日連夜大騒ぎする国は、日本くらいということです。その点に関しては、いまでも私の考えは、変わらないのですが、その当時から、あの記事に関しては、まだまだ、突っ込みが足りないと思っていました。


沢尻エリカ解雇へ、理由は「重大な契約違反」-沢尻エリカは悪くない?!



その頃から、まだ、書きたりないと思っていたのは、本日のタイトルにもあるように、「人をみるには、それが特に自分の持ち駒であれば、強みに着目しなければならない!!弱みには目をつぶらなければならない!!」ということです。

「悪女について」の少女役のエリカさん

これは、特に会社であれば、いわゆる人にどのような仕事を実施させるかというときに、本当に重要なことです。弱みばかりに、着目し人の悪いことばかりには気がつくという人は、組織の精神を腐らすだけです。また、個々人にとっても自分の強みに着目すことは重要なことです。

少女時代から、中年女性まで演じたエリカさん

こういう観点から、今回の悪女役の女性主人公への抜擢は、どうだったのかと考えた場合、やはり、ある程度以上の美しくしはないと駄目でしようし、 さらには、年齢では、あまり若すぎると、現実感がなくなるということで、年齢容姿は十分に満たしていると思います。

そりゃそうでしょう。最近死刑判決を受けた、あの現実世界の悪女木嶋かなえのような女性では、とてもじゃないですが、最初から幻滅です。あの悪女をさして、多くの人が、「あの容姿で、セックスを生業としていたというの、単なる幻想、フィクションにすぎないのではないか」としています。


それから、5年間、テレビに復帰できなかったということ自体も、悪女役には、悪くはないというか、むしろ 良いくらいです。その他いろいろ、悪女のキャラクターを演じることができる、女優など思い浮かべてみましたが、意外と、現状では、なかなか良い女優がいません。

こんなことを考えると、監督など、エリカさん強みに着目して、弱みに関しては、目をつぶったのだと思います。しかし、これは、何も芸能界に限らず、先に述べたようにマネジメントでも、重要なことです。



ドラッカーは、以下のように述べています。
「日頃言っていることを昇格人事に反映させなければ、優れた組織をつくることはできない。本気なことを示す決定打は、人事において、断固、人格的な真摯さを評価することである。なぜなら、リーダーシップが発揮されるのは、人格においてだからである」(ドラッカー名著集(2)『現代の経営』[上])
ドラッカーによれば、人間のすばらしさは、強みと弱みを含め、多様性にあるとしています。同時に、組織のすばらしさは、その多様な人間一人ひとりの強みをフルに発揮させ、弱みを意味のないものにするところにあるとしています。

だからドラッカーは、弱みは気にしないのです。山あれば谷あり。むしろ、まん丸の人間には魅力を感じないないようです。ところが、一つだけ気にせざるをえない弱みというものがあります。それが、真摯さの欠如です。真摯さが欠如した者だけは高い地位につけてはならないといいます。ドラッカーは、この点に関しては恐ろしく具体的です。
人の強みではなく、弱みに焦点を合わせる者をマネジメントの地位につけてはならない。人のできることはなにも見ず、できないことはすべて知っているという者は組織の文化を損なう。何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者も昇格させてはならない。仕事よりも人を問題にすることは堕落である。
真摯さよりも、頭脳を重視する者を昇進させてはならない。そのような者は未熟である。有能な部下を恐れる者を昇進させてもならない。そのような者は弱い。
仕事に高い基準を設けない者も昇進させてはならない。仕事や能力に対する侮りの風潮を招く。
判断力が不足していても、害をもたらさないことはある。しかし、真摯さに欠けていたのでは、いかに知識があり、才気があり、仕事ができようとも、組織を腐敗させ、業績を低下させる。
「真摯さは習得できない。仕事についたときにもっていなければ、あとで身につけることはできない。真摯さはごまかしがきかない。一緒に働けば、その者が真摯であるかどうかは数週間でわかる。部下たちは、無能、無知、頼りなさ、無作法など、ほとんどのことは許す。しかし、真摯さの欠如だけは許さない。そして、そのような者を選ぶマネジメントを許さない」(『現代の経営』[上]) 
私は、少なくとも、エリカさんは、真摯さは、最初から持っていると思います。あの不機嫌会見は、彼女の弱みを示すものにすぎないと思います。

私達も、沢尻エリカを抜擢した監督のように、人の強みをもとに、人事を行っていくべきです。立場上人事ができない人でも、現場で仕事を割り振ることがあると思います。そのようなときは、このような姿勢で行って行くべきです。そんなことに縁がない人でも、人に対する見方では、そうしていくべぎです。それに、一番重要なのは、自分に対する見方もそうしていくことです。自分の弱みばかりに、着目すべきではないです。仕事には、自分の強みを存分に発揮して、弱みに関しては、他者の助けを請うという姿勢が一番だと思います。


沢尻エリカさんには、真摯さがあるとは思えない人、それは、見当違いだと思います。真摯さに欠ける人、いや、真摯さの欠片もない人の見本がいるではありませんか?それは、先日イランで二重外交をした鳩山さんであり、菅さんや、野田さんや、安住さん、であり、仙谷さんです。それから、あの亡くなった、中川さんを諜略した、悪女なんてのもいましたね。私は、沢尻エリカさんをこの人たちと同列には扱っては、いただきたくないです。



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