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2019年2月7日木曜日

統計不正でも「アベノミクスによる経済回復」という評価は覆らず…雇用者報酬は増加―【私の論評】野党は、中国の統計をなぜ批判しないのか?

統計不正でも「アベノミクスによる経済回復」という評価は覆らず…雇用者報酬は増加

根本匠厚労相(右)を追及する立民の長妻昭元厚

各省庁の経済統計の不正が次々と発覚し、こうした統計データに基づき評価されてきた「アベノミクスの成果」自体を疑問視する指摘も出ている。そこで、各種経済統計を見直した場合、「アベノミクスによる経済回復」という評価が覆る可能性はあるのか、もしくは統計不正と「アベノミクスによる経済回復」は無関係なのか、さらには一連の統計不正はなぜ起こったのかについて考えてみたい。

まず、マクロ経済の見方から考えてみよう。マクロ経済政策を評価するには、まずは雇用、次に所得で行うのが基本である。要するに、まず仕事があって、その上で衣食が足りていれば満点である。これを具体的にみるには、以下の評価基準を用いる。

(1)雇用は就業者数、失業率
(2)所得はGDP、雇用者報酬

筆者はアベノミクスに対して、雇用はまずまずであるが、所得の観点からまだ不満があるので、これまで70~80点という評価を下してきた。今回の統計不正により、GDPなどを算出する際の基礎データである毎月勤労統計の数字が変更になった。そのため、雇用者報酬も変更された。2017年の名目雇用者報酬は前年比1.6%増、実質雇用者報酬は同1.2%増。また、18年1~11月の名目雇用者報酬は同3.1%増、実質雇用者報酬は同2.3%増となった。18年1~11月の雇用者報酬は、名目、実質ともに前年より増加している。

その理由は簡単だ。このデータは毎月勤労統計から作成されるが、毎月勤労統計は本来全国200万事業所を対象とするが、実際には3万件程度のサンプル調査となっている。しかし、東京都において1500事業所を調べるところが500事業所しか調べなかったので、実際のサンプル数は全国で2.9万だった。本来の統計処理であれば復元すべきだったのに、それを怠った。例えていえば、2.9万で割り算すべきところ、3万で割り算したため、過小の数字になったというのと同じだ。それが是正されると、数字としては大きくなるだけだ。

とはいうものの、統計不正の前後で数値を比較すると、せいぜい0.3%程度の違いでしかない。これは、グラフにすると線の太さに隠れる程度にもなるので、今回の統計不正によって、これまでの経済分析が一変するというほどのものではない。

西日本新聞に掲載された給与額公表値と再集計地の違い
縦軸が0.5%刻みになっているので、差異が確認できるが、
通常のものであれば確認できないほどに小さなものである

一部野党の批判は“木を見て森を見ず”

雇用者報酬は、概念として人数×賃金である。雇用の増加により、人数が増加しているのは間違いない。問題は賃金である。名目賃金が増加しているのは間違いないが、実質賃金については顕著な増加でない可能性がある。

一部野党とメディアは、この点だけをついている。まさに、木を見て森を見ずである。

そもそも、マクロ経済政策で一番肝心の雇用では、民主党政権時代は最悪の状況だった。雇用が満たされると、次に雇用者報酬がよくなる。その次に名目賃金、最後に実質賃金が上がる。

一部野党やメディアは、雇用、雇用者報酬、名目賃金の改善を無視して、最後の実質賃金の上昇が顕著でなかったという点だけをあげつらっている。いずれにしても、前に述べたマクロ経済の評価について再び見ても、

(1)雇用の回復は確実
(2)雇用者報酬は名目でも実質でも上昇

と確実にいえる。

ただし、報酬を人数×賃金と分解した際、名目賃金の上昇はいえるが、実質賃金については、上昇かどうかは現時点ではわからないという状況だ。もっとも、この状況は統計不正発覚の前から同じである。

今回の統計不正を、試験で例えてみよう。ちなみに筆者のような大学教員は今、学期末の採点で忙しい時期だ。どこの大学でも似たような採点基準であろうが、学生への通知は、S、A、B、C、Dの5段階で通知し、教員が大学に提出するのは100点満点での点数だ。90点以上をS、80点以上90点未満をA、70点以上80点未満をB、60点以上70点未満をC、60点未満をDとし、60点以上で及第である。ちなみに、筆者のクラスの採点は、S19%、A8%、B17%、C25%、D31%という結果。今年は例年よりSが多いが、それでもSはあまりいない。

筆者の試験ではないが、もし出題の一部が不適切だったとしよう。その場合、すべての学生に該当問題では点を与える。すべての学生の点数は上がるが、不適切な出題がごく一部であれば、大学から学生へ通知する5段階評価は変更されることはない。今回の統計不正は、アベノミクスの評価そのものを根底から覆すものではない。筆者のアベノミクスの評点はBであったが、この評価は統計不正後でも変わりはない。

もっとも、このように結果として経済分析においてこれまでの評価が変わらないというのは、単に偶然なだけだ。統計不正は、統計の信頼を根底から揺るがすので許されるべきものではない。

横断的な専門組織の必要性

今回の統計不正について、以下の点が問題である。

(1)04年から、全数調査すべきところを一部抽出調査で行っていたこと
(2)統計的処理として復元すべきところを復元しなかったこと
(3)調査対象事業所数が公表資料よりも概ね1割程度少なかったこと

手続き面から上記は、統計法違反ともいえるものでアウトだ。実害では、(2)のために04~17年の統計データが誤っていたということになり、統計の信頼を著しく損なうとともに、雇用保険の給付額等の算出根拠が異なることとなり、追加支給はのべ1900万人以上、総計537億円程度になる。統計技術から、(1)はルール変更の手続きをすれば正当化できるし、(3)では誤差率への影響はなく、統計数字の問題自体は大きくないのはすでに述べたとおりだ。

今回の統計不正については根深いものがあるので、経緯を考えてみよう。

驚くべきは、統計職員が最近急減していることだ。04年でみると、農林水産省には4674人の統計職員がいたが、農業統計ニーズの減少のため、これまで4000名以上を削減してきた。他の省庁でも若干の減少である。今回問題になった厚生労働省は351人の職員だったが、今や233人に減少している。

日本政府の統計職員数は1940人であるが、これは人口10万人当たり2人である。12年でみると、アメリカ4人、イギリス7人、ドイツ3人、フランス10人、カナダ16人であり、日本の現状は必ずしも十分とはいえない。

どこの世界でも同じだと思うが、統計の世界でも従事人員の不足は間違いを招くという有名な実例がある。1980年代のイギリスだ。政府全体の統計職員約9000人のうち、2500人(全体の約28%)を削減したところ、80年代後半になって国民所得の生産・分配・消費の各部門の所得額が一致せず、経済分析の基礎となる国民所得統計の信頼が失われてしまった。

日本の統計事務は省庁縦割りであり、世界の標準的な省庁横断的組織になっていない。統計職は対象がなんであっても応用が効くので、各省庁ごとに統計職員を抱える必要性はなく、しかも統計の公正性を確保するなら各省から独立した横断的組織のほうが望ましい。

一刻も早く、国会における独立委員会を含めて第三者委員会や捜査機関による徹底した調査を行い、統計に対する国民の信頼を回復しなければいけない。その際、人員・予算の確保、横断的な専門組織の創設が重要だ。
(文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授)

【私の論評】野党は、中国の統計をなぜ批判しないのか?

上の記事では、統計不正の前後で数値を比較すると、せいぜい0.3%程度の違いというのですから、これは極端なことをいうと誤差のようなものです。他の人為的な間違いをしたとしても、この程度の誤差が出ることはあり得ます。

よって、「アベノミクス」の成果、特に雇用上の成果に関する統計の評価に関しては、間違いはなかったということです。

ただし、これは誤差でもないし、意図して意識して行われた不正の結果出た違いであるということが重大な問題であるということです。

だから、国会における独立委員会を含めて第三者委員会や捜査機関による徹底した調査を行い、統計に対する国民の信頼を回復しなければいけない。その際、人員・予算の確保、横断的な専門組織の創設が重要だということです。

ここで中国の統計について振り返ってみます。

中国の「経済統計」については、以前から、中央政府が発表する「全国GDP」と各地方政府が発表する「地方GDP合計」に大きなかい離があるとこのブログでも指摘してきました。2018年1月には、内蒙古、天津が相次いで、経済統計に水増しがあったことを明らかになっています。

全国GDPと地方GDP合計の差異の推移

地方政府のみならず、中央政府も統計をねつ造しているとの疑念が、以前から各方面で出されてきまし。その真偽はともかく、中央が発表する各種統計に必ずしも整合性がなく、また政治的考慮から、ことさら楽観的な面を強調する一方、都合の悪い部分は意図的に無視する傾向があることは事実です。

例えば、国家統計局が1月に発表した17年経済実績や3月全人代政府活動報告(以下、報告)での説明ぶりに関連し、以下のような疑問があります。

昨年3月5日に開幕した全人代で演説した李克強首相(前列)。
汗を拭う姿はCCTV(中央テレビ局)には映らなかった。 

①17年、都市部住民の1人当たり実質可処分所得が6.5%増に対し、農村部住民は7.3%増、この結果、都市部と農村部の収入格差が縮小したとされています。

ところが、全国ベースの1人当たり実質可処分所得も7.3%増とされており、都市部常住人口比率が17年58.5%、また都市部の収入は農村の約2.7倍と高水準であることを考えると、全国の1人当たり可処分所得伸びは、上記6.5%と7.3%の間の6.5%に近い水準になるはずです。

②産業構造の高度化を見る上で、中国当局は以前からハイテク技術製造業の伸びと装備製造業伸びを重視しています。国家統計局は2017年のハイテク技術製造生産3.3兆元(13.4%増)、装備製造9.1兆元(11.3%増)、また、総工業生産伸び6.6%増に対するハイテク技術製造の貢献率23%、装備製造52%と両分野が大きく伸びているとしています。

17年の総工業生産額およびハイテク技術製造と装備製造生産額の対総工業生産シェアは発表されていないため、これら数値から各々のシェアを推計すると、

11.3%(6.6%×23%÷13.4%)、30.4%(6.6%×52%÷11.3%)となるのですが、16年実績として国家統計局から発表されているシェアは各々12.4%、32.9%(図表)。17年いずれの産業も総工業生産伸びを大きく上回る伸びとなっているにもかかわらず、シェアは下がる形となっており、各種数値間の整合性がとれていません。

[図表]工業生産伸び・シェア(%)

(注)国家統計局分類では、ハイテク技術製造は医薬、航空、電子通信、コンピューター、医療・精密計測機器。装備製造は金属製品、通信等各種専門設備、自動車・鉄道・船舶・航空等輸送設備、コンピューター等電子設備、精密計測機器。両概念は重複していると思われるが詳細不明。2017年シェアはハイテク製造の総工業産伸び率貢献度23%、装備製造52%から推計。
(出所)中国国家統計局の統計公報、記者会見議事要旨より筆者作成
消費、投資、輸出がそろって成長に寄与とされるが・・・
③報告は過去5年、消費の成長への貢献率が上がったとし(54.9%→58.8%)、投資・輸出主導から消費、投資、輸出がそろって成長に寄与するパターンが実現したこと、また民間投資が奨励され投資構造が改善したとしています。しかし、17年全国一人当たり消費支出は18322元、実質5.4%増でGDP伸びより1.5%ポイント低い。うち都市部住民は4.1%増でGDP伸びの60%程度、農村も6.8%増でGDP伸びより低いです。

他方、全国固定資産投資は成長率減速に対応して11年以降伸びが鈍化しているが、17年7.2%増と成長率との関係ではなお高水準。投資構造も国有企業(国企)が10.1%増と高い一方、民間投資は6%増とGDP成長率より低いです。また各級政府が行う基礎インフラ投資はGDP伸びの3倍に及ぶ。さらに不動産投資の全投資に占めるシェアは引き続き20%近い高水準で、国企や地方政府中心の製造業・インフラ投資、不動産投資が成長をけん引する構図に大きな変化はないです。

④報告は「政府のミクロ管理、市場や企業への直接関与を減らし、マクロ調整や市場監督に注力した」とし、その根拠として、過去5年、各省庁の許認可事項が44%減少したこと、中央・地方政府が価格を統制している財が各々80%、50%以上減少したこと等を挙げています。

しかし、住宅市場のバブルを抑えるための政府の住宅購入抑制策、政府が企業に強制的削減目標を課す形で進められている鉄鋼、石炭等の過剰生産設備削減、またその過程で大型国企の集中合併が進み、国企が保護される一方、過剰設備整理で相対的に大きな影響を受ける中小民間企業が置き去りにされていることは、習政権が発足以来掲げている「市場機能に十分な役割を発揮させる」との方針やこれまで進められてきた「国退民進」に明らかに逆行しています。

中国の国民経済計算の中で分配国民所得は見当たらないですが、別途、国家統計局は17年企業利潤21%増、中でも国企45.1%増と発表。また財政部統計で全国一般公共財政収入は7.4%増(うち中央7.1%増、地方7.7%増)。報告は「人民中心の発展思想を堅持し、民生の保障・改善に注力し、人々の獲得感(豊かさの実感)が継続的に増強」と主張していますが、統計は発展の果実がむしろ政府と国企に向かったことを示しています。

この他、最近公表されたデータについても、一定規模以上(主要営業収入が2000万元以上)企業の利潤が18年1〜5月2.7兆元、前年同期比16.5%増と発表されたましたが、昨年発表されている17年1〜5月の数値は2.9兆元。国家統計局は発表文の脚注で、①「一定規模以上の企業」に分類されている企業には出入りがあり、また新企業参入、破産もあること、②地域や産業の垣根を越えて活動している企業の統計の重複計上を精査したこと、③「営改増」、つまり営業税の増値税への移行に伴い、一部工業企業で、税負担が軽減されるサービス活動を切り離しサービス業とする動きが出たことを挙げています。

また、18年5月小売販売高前年同期比8.5%増と発表されたが、昨年5月発表された数値を基に計算すると3%増にしかなりません。これについても、脚注で前年数値を精査し改訂したためとしています。いずれも当局から一定の説明はあるものの、必ずしも市場関係者等から十分かつ透明性のある説明とは受け止められておらず、統計の信頼性、比較可能性、連続性に疑問が生じる結果となっています。

ブログ冒頭の記事を書かれた、高橋洋一氏はテレビの番組で中国のGDPの出鱈目ぶりを暴露しています。

以下にその番組の一部を含むツイートがあったので、それを以下に掲載します。


これは、昨年のGDPの伸び率に関するものですが、学者によっては、中国のGDPは未だ日本を超えておらず、ドイツ以下であると結論を出している人もいるくらいです。

いずれにせよ、中国の統計の出鱈目ははっきりしすぎるくらいはっきりしています。これを批判せずに、倒閣のために「アベノミクスによる経済回復」という評価が覆えそうと日本の野党は躍起になっているようですが、これまた政局にするのは無理筋で「もりかけ」騒動よりもさらに小粒なワイドショー民向け劇場パフォーマンスに終わることになるでしょう。

そんなことより、韓国が北朝鮮の手に落ちたり、中国が経済冷戦に負けて経済が弱体化した場合などに、かなり大勢の難民が日本に押し寄せる可能性があります。それにどのように対応すべきか等、今から警戒を強めておくべきです。

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2018年7月30日月曜日

元官僚の筆者も驚いた「霞ヶ関ブローカー」の暗躍と文科省の腐敗―【私の論評】雇用・外交を蔑ろにすれば、安倍政権は評価されなくなる(゚д゚)!


やっぱり解体的出直しが必要だ

髙橋 洋一

久々に現れた霞ヶ関ブローカー

また、文科省の局長クラスが逮捕された。息子の「裏口入学」で話題となった佐野太・前科学技術学術政策局長は収賄罪で逮捕され起訴されたが、今度逮捕されたのは、川端和明・前国際統括官。容疑は収賄である。

佐野氏の起訴とともに、佐野氏へ接待をしていたコンサルタント会社元役員の谷口浩司氏も起訴されていたが、同氏は川端氏への接待も行っていたと報道されている。

チャート・写真はブログ管理人挿入 以下同じ

佐野氏と川端氏は、旧科学技術庁に1年違いで入省した先輩後輩の関係であった。両氏を接待していた谷口氏は、いわゆる「霞ヶ関ブローカー」といわれる人で、両氏以外にも、経産省や総務省官僚らとの繋がりもあったと噂されている。

まだ残っていたのか…

2000年以降、国家公務員になった人からみれば、今回の文科省の2局長の接待事件は、まるで違う世界のような出来事であろう。筆者ですら、旧時代の悪いものを見せられた気がする。

筆者は、海外勤務が終わって帰国した後、小泉政権の中で、郵政民営化や政策金融改革を行いながら、公務員制度改革も準備を進めていた。小泉政権では政治リソースを郵政民営化に使ってしまったので、公務員改革ができなかったが、その後を継いだ第一安倍政権では、その一部である天下り規制を、国家公務員法の改正として行うことが出来た。国家公務員改革委基本法は、その後の自公政権や民主党政権でもできなかったが、第二次安倍政権になってようやく成就した。

こうした歴史を見てきた人からみれば、まだこんな古典的な接待が、そして霞ヶ関ブローカーが残っていたのか、と驚くしかない

この文科省2局長は、筆者と同世代であるので、当然「国家公務員倫理規定」は知っていたはずだ。もっとも文科省では、昨年初めに組織的天下り問題が発覚したから、そうした規定に鈍感なのかもしれない。文科省の報告書(http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/04/19/1382987_04.pdf)によれば、前川喜平前文科事務次官らが中心となって天下りが行われたということになっている。天下りもまた、かなり古典的な手法である。文科省は、接待、天下りという、他省では絶滅した旧来の官僚の得意技が今でも横行しているのだろうか。

前川喜兵衛

ちなみに、前川氏の天下り斡旋も今回の二局長の接待も、それぞれ国家公務員法違反、国家公務員倫理規定違反である。収賄となれば、二局長は刑法違反にもなる。

それにしても、報道によれば、二局長は霞ヶ関ブローカーと家族ぐるみの付き合いを行っていたという。これは、さすがに驚いた。この家族は、そんな接待攻勢を何とも思わなかったのか。家族の弱いところを聞き出して、そこをじわじわと突いていくのは、霞ヶ関ブローカーの手口であるが、その手に易々と乗ってしまったのだろうか。

そういえば、佐野氏の息子は東京医科大学の試験直前に、セブ島に旅行していたというSNSが出回っている。このセブ島旅行にも、霞ヶ関ブローカーが関与しているという噂もある。佐野氏関係では、佐野氏、東京医大の前理事長臼井正彦氏、谷口氏が密談している音声も報道された(http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3430300.htm?1532866636353)。

佐野氏が収賄を否定しているので、贈賄側からの情報がリークされたのだろう。佐野氏が職務権限なしで争っても、文科省職員が「官房長がこわかった」と法廷証言すれば有罪になりうるだろう。

こうした「霞ヶ関ブローカー」は、政治家との繋がりもあり、谷口氏は野党議員2名との関係もあるとされている。はたして野党は「モリカケ」のようにこの問題を追及することができるのだろうか。

谷口氏との関係を指摘されている吉田統彦(左)衆議院議員 
立憲民主党  羽田雄一郎(右) 参議院議 国民民主党

筆者はこの関係者の構図を見て、かなり以前にあった話を思い出した。それは20年前の「大蔵省スキャンダル事件」のことだ。あのときも、今回のような「霞ヶ関ブローカー」が存在し、大蔵省幹部に食い込んで、次々と交友関係を拡大していた。

当時は、金融機関の大蔵省担当者、いわゆる「MOF担」が接待のキーパーソンであったが、それ以外にも外資系情報機器メーカーの得体の知れない人物などが、大蔵省内を闊歩して、幹部室に入り浸っていた。筆者も、ある幹部から急に幹部室に呼ばれ、その「霞ヶ関ブローカー」を紹介されたこともある。そうした人たちは、大蔵省の過剰接待が問題になった時、自分たちの持っている情報を捜査当局に提出して捜査に協力したので、誰も起訴されなかった。

今回、谷口氏は起訴されているが、多くの情報を捜査当局に提供しただろうから、これからはその情報の一部がリークされ、霞ヶ関や政界(今のところ、経産省、総務省、野党)にもスキャンダルが波及する可能性がある。

また、今回谷口氏が接待という手法を採っていたというのも、驚かされる。かなり古典的な手法だからだ。20年前の大蔵省スキャンダル事件が起こったことで、国家公務員倫理法が1999年に作られ、2000年4月から施行された。同法に基づき国家公務員倫理規定(http://www.jinji.go.jp/rinri/new/kitei170401.htm)が制定され、利害関係者との接待は禁止され、利害関係者との飲食は届け出ることされている。

筆者は、その当時海外勤務であったが、この倫理規定をしっかりと頭にいれたことを思い出す。同時に省庁再編が行われたので、つくづく新しい時代になったと実感したものだ。

なにをすればいいのか

筆者は、予算と権限をもっている官僚が利益を受けるという意味では、天下りと賄賂は同じであると考える。組織的な天下りを行っていたのと、個人で賄賂をもらうのはまったく同じ構造である、ということだ。

組織的な天下りと接待・賄賂が可能であるのは、文科省が大学などの教育機関に対して、文科省が絶大な予算と権限を持っていることを示している。

これは、大学関係者であれば、誰でも知っている。国立大学なら運営交付金、私立大学なら私学助成金なしでは経営は覚束ない。学校運営のすべてについて、箸の上げ下ろしまで、微に入り細に入り、規制でがんじがらめである。文科省は教育関係者からみれば、紛れもなく「お上」であり、意見できる相手ではなく、従わざるを得ない。

本コラムでも、加計学園問題について、学部新設の許認可制度は別として、大学の認可申請すら、文科省が拒否するのは、行政不服審査でも行われたら文科省が負けるのは確実であると指摘した。他省庁では滅多に見れない強権行政である。

なお、特区で行ったのは、認可申請アシストにすぎず、文科省が学部新設の許認可を一切手放さなかったのは、権限に対する並々ならぬ執着のあらわれであろう。

文科省に関する話題は、筆者のような大学教員だと、正直に言えば指摘しにくい。国立大の場合、大学事務局には文科省からの出向者が多いし、教授の中にも天下りが多い。私立大学でも、そこまではないが、程度の差である。それと、大学に対して、文科省は絶対的な権力者である。大学を生かすも殺すも、文科官僚のさじ加減で決まっていると言っても過言でない。

そのため、「大学は文科省の一部局」になっているというのは、決して大げさな表現ではなく、実態そのものである。

2004年までは、国立大学は文科省に置かれている「施設等機関」であり、まさしく「文科省の一部局」だった。そのときには、文科官僚は普通の人事異動によって国立大事務局にいた。その後、国立大学は「独立行政法人」になったが、文科省との関係は従来と同じで、今では文科省から国立大学法人へ「出向」という形にかわっているだけだ。

今後の対応として「官僚の中抜きシステム」も必要ではないか。

日本の財政が危機であるという煽り文句と文科行政の悪弊が組み合わされると大変なことになる。なぜなら「財政が厳しいので、文科行政の資金は選択と集中を行う」という議論が起こり、ますます文科省の権限が強化されることになりかねないからだ。しかも、選択と集中を行うのが文科官僚なので、さらに酷いことになる。

やっぱり解体的出直しが必要だ
今回のような文科省の不祥事が起こると、教育無償化のような資金を要する新たな政策が非難される。

しかし、資金の配分は官僚を経由しなければならないとは限らない。例えば、バウチャー制度なら、事実上官僚抜きで、学生に直接バウチャー(クーポンのようなものだと思ってくれればいい)を配れる。文科省官僚にすべてを任せる今の仕組みがおかしいだけだ。官僚に不要な仲介をさせずに、国民が直接行政の対象になるような制度作りが求められている。

その具体例として、筆者が第一安倍政権にいたときの体験を話そう。私立大学を含めて大学は外部資金が必要なので、寄付金を税控除する仕組み(当時の菅総務大臣が発案した「ふるさと納税」と同様に、寄付先を地方自治体から大学に変えて、税控除するもの)を税制改正要求した。残念ながら、このときは文科省が望んでいないとされたため、日の目を見なかった。

その一方で文科省は、こうした外部資金を拒否しつつ、国立大学法人に対する運営交付金を毎年絞っていった。私学への助成金でも同じだった。と同時に、大学への助成金について、選択と集中という名のもとで、官製競争化を進めていった。

これらによって、文科省は大学への有利な立場をますます高めていった。当然であるが、少なくなった資金を大学は競うように得ようとするから、文科省と大学の関係において、文科省がますます強くなったわけだ。

これではますます文科省に頭が上がらなくなる。そうした構図をなくすためにも、教育機関には文科省に頼らない外部資金が必要である。それとともに、前日のようなバウチャー制度も必要である。これらが導入されれば、文科省はかなりスリムになるだろう。その上で、官僚経由の補助金では、選択と集中をやめて機械的に割り振る、などを実現すればいい。そもそも官僚に「選択と集中」ができるはずなく、せいぜい官僚の裁量を増やすだけで、いい結果はみえないからだ。

教育制度は国の根幹なので、文科省は不要というわけではない。しかし、大学などの教育機関を文科省の一部局と思うような体質であってはならなず、解体的な出直しが必要だ。

最後に、学者として少し愚痴を言っておこう。筆者は、今年度科研費として「天下りの実証分析」をテーマにした研究を申請したが、あまりに「挑戦的」すぎたのか、やはりというか、落選だった。

申請内容は、研究者2名、研究期間3年、研究費490万円。仮に採択されても申請額×0.6が実際の交付額なので、2名、3年、300万円で、一人あたり50万円/年というもの。内容は筆者が役人時代に公務員改革制度の中で、ほとんど利用していないデータがあるので、それらを活用して、公共選択論アプローチで実証分析を行う、というものである。とはいえ、あきらめてはいない。来年度は、「天下リと接待の実証分析」をテーマにして、再提出するつもりである。

【私の論評】雇用・外交を蔑ろにすれば、安倍政権は評価されなくなる(゚д゚)!

ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事にもあるとおり、第一次安倍政権においては、バウチャー制度が検討されていました。しかし、これは上の記事もあるとおり、日の目をみずに安倍第一次政権は崩壊しました。

これは具体的にどのようなものだったのか以下に掲載します。

安倍第一次政権は「抜本的な教育改革」の実現を発足前から重視して生まれた内閣でした。

安倍首相が首相になる前に書いたあの『美しい国へ』(文春文庫)では、首相は1章を割いて「教育の再生」を論じていますし、政権発足後は教育担当の首相補佐官を任命(山谷えり子参院議員)、 10月には「教育再生会議」を発足させています。

その安倍政権が目指す「安倍教育改革」はどのようなものだったのでしょうか。

それは学校と学校のあいだの競争、教師と教師のあいだの競争。

この競争によって学校はよくなり、教師の向上心も上昇する……これが、安倍政権が考える教育改革の根幹です。そして、学校間競争を生むためにバウチャー制度や学校選択制などが、教師間競争を生むために免許更新制や成果報酬制度を導入しようとしていました。

このような大胆かつ壮大な教育制度改革の基礎となるのが、「新・教育基本法」というわけです。ご存知のように、この基本法にはバウチャー制度などは取り入れられませんでしたて。
安倍首相はアメリカの教育制度にも関心があり、特にアメリカの一部で行われている「教育バウチャー制度」を高く評価していました。

以下に安倍総理の著書『美しい国へ』からバウチャー制度に関する部分を引用します。
……期待されるのが教育バウチャー制度である。バウチャーとは、英語でクーポン券みたいなもののことをいう。アメリカでは、私立学校の学費を公費で補助する政策をスクール・バウチャーという。それによって、保護者はお金のあるなしにかかわらず、子どもを公立にも私立にも行かせることができる。
いったい、安倍総理はどうのような教育を目指していたのでしょうか。

ノーベル経済学賞を受賞した有名な経済学者フリードマンが教育バウチャ-制度の提唱者といわれています。

彼もまた、アメリカにおける教育の競争原理の導入を考えていました。そこで彼が提案したのが、親にバウチャーという券を配るというものでした。

子どもの通わせる学校を選んだ親は、配られたバウチャーをその学校に渡して通学します。学校は集めたバウチャーを当局に換金してもらい、学校の予算にする。これが、フリードマンの考えでした。

この制度は、公立・私立問わず、競争原理によって評判のいい学校だけが残り、教育の質が向上するものだということで評価が高まり、アメリカの一部の地方で実施されるに至りました。

お金がない家庭でも私立学校に通えること、そしてその動きに対抗し生徒の流出を防ごうと公立学校は努力をするため、結果的に教育の質が高まる、というところに安倍首相が評価する点があったようです。

当時の第一次安倍政権が考えていた、バウチャー制度の概要を以下に掲載します。

アメリカの場合は高校などを想定していますから、親にバウチャーを発行するというものですが、こちらの場合は大学を想定しているので、バウチャーは親ではなく大学生本人に発行します。

こうなると確かに、競争原理が働くことになります。大学側も少しでも多く学生を集めようということで、真剣になるてじょうし、官僚に不要な仲介をさせずに、国民が直接行政の対象になるような制度となったに違いありません。

さらに安倍政権・自民党独自の案として、「教員免許の更新制導入」というものがありました。これは、平成19年6月の改正教育職員免許法の成立により、平成21年4月1日から教員免許更新制が導入されました。

教員免許は、一度とったら死ぬまで更新されません。そのため、一度公立学校の教師になったら、よほどな不祥事を犯さない限りは教師を辞めさせられることはないのが現在の制度です。

しかし、それでは教師には緊張感をもたせることができず、自らの質の向上を図ることができない……こうしたことから、安倍首相や自民党は教員免許を更新制にし、「ダメ教師にはやめていただく」(『美しい国へ』から)ことにしよう、というわけです。

これができてからは、従来は能力の極端に低い教員であっても、どうすることもできなかったのですが、今では、現場から異動させることができるようになりました。

安倍晋三氏は、この内閣を「美しい国づくり内閣」と命名し、小泉純一郎の構造改革を加速させ、補強していく方針を表明しました。しかし、この内閣は結局崩壊しました。

崩壊の原因としては、やはり経済政策にみるべきものがなく、「教育」「構造改革」だけでは、多くの国民に納得が得られることはなかったためと考えられます。私自身は、「教育」などに興味はあったものの、第一次安倍政権に関してはあまり関心がありませんでした。

ただし、第一次安倍内閣は短期間であったにもかかわらず、かなりのことをやり遂げたということは評価に値します。

以下に第一次安倍政権で成立した主な法案を掲載します。
2006年(平成18年)12月15日成立 - 教育基本法改正
2006年(平成18年)12月15日成立 - 防衛庁設置法等改正(防衛庁・省昇格法)
2007年(平成19年)4月19日成立 ‐ 海洋基本法
2007年(平成19年)5月14日成立 - 日本国憲法の改正手続に関する法律(国民投票法)
2007年(平成19年)5月15日成立 - イラク復興支援特別措置法改正
2007年(平成19年)5月25日成立 - 児童虐待防止法改正
2007年(平成19年)5月25日成立 - パートタイム労働法改正
2007年(平成19年)6月27日成立 - 学校教育法・教育職員免許法及び教育公務員法・地方教育行政の組織及び運営に関する法律改正(教育改革関連三法)
2007年(平成19年)6月30日成立 - 日本年金機構法、国民年金法改正(社会保険庁改革関連法)
2007年(平成19年)6月30日成立 - 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律(年金時効撤廃特例法)
2007年(平成19年)6月30日成立 - 国家公務員法改正(公務員制度改革関連法)
第二次安倍内閣に関しては、最初に金融緩和、積極財政などを打出したため、私は、特に経済政策を支持するようになり、結果として安倍政権を支持し今日に至っています。

結局のところ、まずは国民生活基本である経済を良くしなければ、国民の支持は得られないということです。

現状の安倍政権は、アベノミクスで経済を良くしつつ、憲法改正などにも取り組んでいます。

そうして、第一次安倍内閣のときには、成立した法案などみていると確かにかなり仕事をしていたのは間違いありません。にもかかわらず、当時は現在のようには支持率はあまり高くはありませんでした。特に若者からの支持は今日ほどはありませんでした。

現状の若い世代の内閣支持率の高さに応えるためにも、現在の安倍政権は安易な財政再建路線はとるべきではありません。それは、財務官僚をはじめとする官僚を喜ばすだけです。国民が喜ぶことはありません。現在の安倍政権の真価は雇用の回復と外交にありました。特に若者からの絶大な支持は、雇用の劇的な回復でした。今後よりそれを強化すべきです。次は雇用の質を改善していくべきです。

バウチャー制度などの教育改革や公務員の汚職撲滅も、雇用が良いのは当たり前という水準で、今度はさらに雇用の質(さらなる失業率の低下、実質賃金上昇、働き方改革など)を改善したうえで実行すれば、実行しやすいし、さらに評価も高まることになります。

雇用を蔑ろにして、教育改革や、公務員の汚職撲滅等に積極的に取り組んだとしても、第一次安倍内閣のときのようにあまり評価されることはないでしょう。

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2017年6月3日土曜日

日本の“海軍力”はアジア最強 海外メディアが評価する海自の実力とは―【私の論評】日本は独力で尖閣の中国を撃退できる(゚д゚)!


画像出典 海上自衛隊HP
昨今の日本の“海軍力”の強化が海外メディアの注目を集めている。その象徴の一つが「事実上の空母」との呼び声が高い、ヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」だ。5月中旬から戦後最大規模の外洋遠征中 で、26、27日には中国の進出が著しい南シナ海で「航行の自由作戦」を実施した米海軍ミサイル駆逐艦「デューイ」と共同訓練を行った。3月には、この「いずも」と同型の「かが」が就役。これで一回り小さいヘリコプター搭載型護衛艦「ひゅうが」「いせ」と合わせ、“空母4隻体制”になり、「日本海軍はアジア最強」(米ナショナル・インタレスト誌)といった論調や分析記事が目立ってきている。

 反対に、国内メディアは、改憲論議とも大きく絡むデリケートな問題なだけに、「いずも」の動きなどにしても、まるで腫れ物に触るかようなあっさりとした報道がほとんどだ。日本ではあまり公に語られることのない海上自衛隊の実力と、ライバル・中国とのパワーバランスはどうなっているのか? 海外メディアの見方を紹介する。

◆最新鋭空母4隻を保有?

 英BBCは、英国国際戦略研究所(IISS)のアレクサンダー・ニール氏の分析を紹介。同氏は、6月2日から開催されるアジア太平洋地域の防衛問題を話し合う国際会議、「IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)」に参加予定の有力な研究員だ。「いずも」は、5月15日に同じシンガポールで開催された国際観艦式に参加しており、その姿を目にしたニール氏は、「日本が第二次大戦後に建造した軍艦で最も大きく、(護衛艦というよりは)むしろ空母に見える」と表現する。

ヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 インドのビジネス・スタンダード紙は、「いずも」と同型の新造艦「かが」が、ミッドウェー海戦で米海軍に撃沈された旧帝国海軍の空母「加賀」と同じ艦名を戴くことに着目。中国はそれに反応して「悪名高き軍艦」という表現を使って「かが」の就役を非難したが、同紙は「加賀がヘリコプター搭載艦として復活したことにより、日本はアジアで唯一、2隻の航空母艦サイズの軍艦を持つ海軍大国になった」と書く。「いずも」「かが」よりも小型の「ひゅうが」「いせ」についても、垂直離着陸戦闘機「ハリアー」を搭載するイタリア、スペイン、タイの小型空母に匹敵する戦力だとしている。

 もちろん、日本側の公式なアナウンスは、上記の4隻はあくまでヘリコプターの搭載を前提とした「護衛艦」である。ニール氏も、憲法上の制約のある日本が「いずも」や「かが」の運用において慎重な姿勢を崩さないことは十分に承知している。しかし、同氏自身を含む大半の海外の識者やメディアの見方は、共通して「垂直離着陸機を用いれば十分に空母として運用可能」=「空母としての能力を十分に持っている」というものだ。たとえば、航空自衛隊はF-4の後継機としてステルス戦闘機F-35Aの導入を決めたが、F-35の短距離離陸・垂直着陸(STOVL)タイプのF-35Bを艦載機として運用すればその時点で最新鋭の「空母」になる、とニール氏やナショナル・インタレスト誌は見ている。

◆海上自衛隊は「アジア最強の海軍」

 対中国の視点では、純粋な戦力としては、海上自衛隊が中国海軍を上回っているという見方が主流のようだ。ナショナル・インタレスト誌は、海上自衛隊の艦艇と人員の数、装備の性能、組織力のどれをとっても「アジア最強」だと指摘する。主要装備の性能や役割を詳しく説明したうえで、東日本大震災発生時の災害救助活動の実績を紹介し、海上自衛隊の展開力の高さも折り紙つきだとしている。ビジネス・スタンダード紙は、「そうりゅう」型8隻と「おやしお」型11隻を擁し、2021年までに23隻に拡大する予定の潜水艦戦力も、中国に脅威を与えるとしている。

「そうりゅう」
 また、南シナ海を経てシンガポール入りし、その後さらに南シナ海で「デューイ」との共同訓練を行った「いずも」の動きを、ニール氏は尖閣諸島など日本周辺海域での「中国の執拗な動き」への対抗策だと断言する。そして、「『いずも』は安倍政権下で進む日本の軍拡の象徴だ。それは、第二次大戦中の日本の強力な空母艦隊によってもたらされた痛みを強烈に思い出させるものだ」と、中国側の見方を代弁する。

 ビジネス・スタンダード紙は豊富な防衛予算も海上自衛隊の強みだと見る。「防衛費の上限が全体の1%という制約がありながらも、日本の2017年の防衛予算は436億ドルで、インドの535億ドルよりも少し少ないだけだ。そして、インドや中国と違い、日本は陸軍よりも海軍と空軍に多くの予算を回している」と、予算面でも決して自国や中国に負けていないと指摘する。

◆防衛装備の海外移転で強化される防衛力

 我々日本人の多くは、自衛隊の装備はかつての「武器輸出三原則」の制約などにより割高だという認識を持っている。しかし、ビジネス・スタンダード紙は、自国との比較において逆の見方をする。「川崎重工、三菱重工といった巨大企業を擁する日本の洗練された造船産業は、軍艦を迅速に安く作ることができる。そうりゅう型潜水艦は6億8500万ドルだが、これは半分以下のサイズのインドのスコルペヌ型潜水艦とほぼ同コストだ。排水量690トンのあわじ型掃海艦もたった1億6000万ドルで作っている」などと書く。

 日米の連携強化も、中国にじわりとプレッシャーを与えていると各メディアは分析する。「いずも」と「デューイ」の共同訓練は、デューイが中国の南シナ海での動きを牽制する「航行の自由作戦」に従事している艦なだけに、中国のみならずアメリカや周辺諸国の注目も集めた。日本側は「いずも」は航行の自由作戦には参加しておらず、あくまで一般的な編隊・通信の確認だったと説明しているが、ニール氏は、こうした日米の動きを中国は「アメリカによる地域支配の準備をカモフラージュするものだと見ている」と指摘する。また、ニール氏らアナリストは、武器輸出三原則の緩和により、インド、オーストラリアといったアジア太平洋地域の同盟国に高性能な日本製装備が行き渡ることも、広く日本の防衛力強化に貢献すると見ている。

 こうした論調を俯瞰すると、アジア太平洋地域の覇権をアメリカから奪おうと目論む中国にとって、日本の“海軍力”が目の上のたんこぶになりつつあるのだと思えてくる。それが地域の安定にどのように影響していくのか、気になるところだ。

【私の論評】日本は独力で尖閣の中国を撃退できる(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では、日本の海軍力はアジア最強と結論づけています。これは、私もそう思います。このブログでも以前、日本の海軍力は世界第二位から五位であり、アジアでは最強であると掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国紙が社説で「尖閣に自衛隊派遣なら軍艦出動」「数、日本の比ではない」―【私の論評】中国が一番恐れるのは、日本の武力によって尖閣付近から中国の勢力が排除されること(゚д゚)!
2012年10月4日午後6時から7時にかけ、沖縄県の宮古島の北東海域で中国艦艇7隻が通過。写真は
そのうちの三隻。上より、ルージョウ級ミサイル駆逐艦(116)、ジャンカイⅡ級フリゲート艦(546)、
ダーラオ級潜水艦救難艇(864)
この記事は、昨年4月のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に日本の海軍力が中国よりはるかにまさっていることを記載した部分を引用します。
そもそも、海外からの評価では、日本の海軍力は世界第二位とも、世界第五位ともいわれていますし、中国海軍よりは数段上とされています。海軍力は見方によって、いろいろ変わりますが、それにしても日本二位から五位であり、中国海軍よりははるかに優っています。 
日中海軍を対比すると、最大の違いは、対潜哨戒能力と潜水艦の攻撃力です。これらが、中国は日本に比較すると全く劣っています。日本の潜水艦が、中国側に知られることなく、隠密行動ができるのですが、中国の潜水艦はすぐに日本の潜水艦や哨戒機に発見されてしまいます。 
そうなると、最初から中国側にはほとんど勝ち目がありません。航空兵力もそうです。中には、いやそうではない、中国の最新鋭の、殲31はステルス機であり、どの日本の航空機より強力であると信じてる人もいるようですが、現実にはそうではありません。米国の軍事専門家の中には、殲31 は実質第三世代戦闘機の域を出ていないと酷評する人もいます。いずれにせよ、まだまだ実験段階で実用にはほど遠いという代物です。 
中国の現状の航空機など、まだまだ技術的に劣っています。特にレーダーなどの電子機器はかなり遅れていて、日本の航空自衛隊と実際の戦闘になった場合、かなり非力です。 
「空母遼寧」も、海上自衛隊の哨戒機P3Cがいとも簡単に捕捉して、出港した途端に魚雷かハープーンの餌食になってしまいます。他の中国の艦艇や潜水艦も同じことです。

このことは、中国の人民解放軍の幹部は誰でも知っていることで、軍事的にまともに戦ったのでは全く勝ち目がないため、これを牽制するために、ブログ冒頭のように、環球時報で吠えて見せたのでしょう。日本の艦船や潜水艦などと比較するとはるかに旧式のものを多数尖閣付近に派遣してきたとしても、日本の海上自衛隊に勝ち目はありません。 
唯一中国が、日本より上回っているとすれば、核兵器を用いることができることでしょうが、現実問題としてこれを使えば、米国による反撃も予想されし、核兵器を用いた後は、あの天安門広場事件の後の世界のほとんどの国からの制裁を受けたことと同じようなことが起こることも予想され、中国としてはこれは避けたいので、これを使用することはほぼ不可能です。
 中国の軍事力、特に軍事技術は日本と比較すると、まだかなり劣っているので、もし日本と中国が戦争になったにしても、日本が中国大陸に攻め入るなどのことをすれば、負けるかもしれませんが、尖閣付近で海戦、航空戦などをする限りにおいては、中国には全く勝ち目はありません。

だからこそ、中国は尖閣付近で度重なる示威行動をしても、未だ尖閣を奪取するには至らないのです。結局、尖閣で軍事行動に出ても全く勝ち目がないですし、仮に海上民兵を上陸させるようなことをしたとしても、結局排除されるだけに終わります。

それに、現状以上の挑発をすると、日本の国民が激高して、世論が急速に沸騰し、中国の挑発阻止に傾き、日本が尖閣付近に海上自衛隊を派遣して本格的に中国と対峙することにでもなれば、二度と尖閣付近での挑発行為ですらできなくなる可能性もあるからです。それだけは、絶対に避けたいのです。

さて、現状はそうなのですが、そうはいっても未来永劫にわたった、絶対に中国が尖閣諸島を奪取しないなどということは、保証の限りではありません。

しかし、軍事力が非力な国であれば、島嶼を他国に奪取されても何もできませんが、日本の海軍力は中国を大幅に上回っているわけですから、やりようは十分あるし、やらなければ、世界中から腰抜けぶりを揶揄されることになります。また、うまくやれば、今後中国のさらなる海洋進出を阻止する貴重なケーススタディーとなるかもしれません。

それについては、私は軍事専門家ではないので、私の見解を述べてもあまり意味はないので、ここはやはり米国の戦略家である、ルトワック氏の「中国4.0」からその対処法を引用します。

エドワード・ルトワック氏
ルトワック氏は、「中国の戦略は15年間で3回も変わった」と言います。
中国1.0(2000~09年)=「平和的台頭」
これは、ルトワック氏も大絶賛のすばらしい戦略でした。中国は、誰にも警戒されることなく、世界第2の大国になることができたのです。
中国2.0(09~14年)= 「対外強硬路線」
08年から始まった「100年に一度の大不況」で、中国はアメリカの没落を確信しました。「もう邪魔するものはない!」とばかりに、「平和的台頭」戦略を捨て去り、「強硬路線」に転じます。日本、ベトナム、フィリピン、その他東南アジア諸国、インドなどなど、あちこちで問題を起こすようになりました。
中国3.0(14年~)=「選択的攻撃」
ところが「強硬路線」による反発が強まったのです。結果として、中国は孤立して追い詰められていきました。そこで14年、「選択的攻撃」戦略に転じたのです。その本質は、
彼らは抵抗の無いところには攻撃的に出て、抵抗があれば止めるという行動に出た。(p58)
この「抵抗があれば止める」というのが大事です。中国を挑発しつづけるべきではないのです。しかし、中国が日本の主権を侵害するような行為をしたら、「抵抗」しなければならないのです。抵抗しなければ、彼らは「どこまでいいのか」と探りをいれつつ、どんどん浸食してきます。しかし、ベトナムのように抵抗すれば、「ああ、これは駄目か」と引っ込むのです。ベトナムにできて日本にできないはずがありません。

尖閣は自分で守れと主張するルトワック氏

「尖閣有事の際、アメリカは日本を守ってくれるのか?」

これは、日本国内で大きな論争になっていました。ルトワック氏の見解は以下のようなものです。
率直に言って、アメリカは、現状では日本の島の防衛までは面倒を見切れないのである。(p148)

端的に言って、これらを守るのは、完全に日本側の責任だ。(同上)

日本が自ら対処すべき問題なのである。(同上)
誤解のないように掲載しますが、ルトワック氏は、「日米安保は機能していない」とか、「アメリカには日本を守る気がない」とか言っているわけではありません。
たしかにアメリカという同盟国は、日本を「守る」能力と意志を持っている。しかし、この「守る」とは、「日本の根幹としての統治機構システムを守る」という意味である。

中国軍が日本の本州に上陸しようとしても、アメリカはそれを阻止できる(同上)
尖閣に関して言えば、日本は「自分で守る!」という決意を固める必要があるようです。

ルトワック氏は、日本が中国の脅威に対抗するために、「三つのこと」が必要だと言っています。
1.物理的手段(船、飛行機など) 
2.法制上の整備 
3.政治的コンセンサス
要するに、日本は「中国軍が尖閣に上陸したことを想定し、それに備えよ!」と言っているのです。

尖閣防衛に必要な武器を確保し即座に尖閣奪回に動けるような法整備をし「中国軍が尖閣に上陸したら、即日奪回する!」という政治的コンセンサスを今からつくっておく。

そうして、もっと具体的に書いています。より具体的に言えば、
(A)「領土を守る」という国民的コンセンサスと、
(B)それを実現するためのメカニズム、

つまり電話をとって自衛隊に尖閣奪回を指示できる仕組みの両方が必要になる。(p150)
人民解放軍がある日、尖閣に上陸した。それを知った安倍総理は、自衛隊トップに電話をし、「尖閣を今すぐ奪回してきてください!」という。自衛隊トップは、「わかりました。行ってきます」といい、尖閣を奪回してきた。

こういう迅速さが必要だというのです。なぜ? ぐずぐずしていたら、「手遅れ」になるからです。ここで肝に銘じておくべきなのは、
「ああ、危機が発生してしまった。まずアメリカや国連に相談しよう」
などと言っていたら、島はもう戻ってこないということだ。ウクライナがそのようにしてクリミア半島を失ったことは記憶に新しい。(p152)
安倍総理は、「人民解放軍が尖閣に上陸した」と報告を受けたとします。「どうしよう…」と悩んだ総理は、いつもの癖で、アメリカに相談することにしました。そして、「国連安保理で話し合ってもらおう」と決めました。そうこうしているうちに3日過ぎてしまいました。尖閣周辺は中国の軍艦で埋め尽くされ、誰も手出しできません。

米軍は、「ソーリー、トゥーレイトゥ」といって、動きません。国連は、常任理事国中国が拒否権を使うので、制裁もできません。かくして日本は、尖閣を失いました。習近平の人気は頂点に達し、「次は日本が不法占拠している沖縄を取り戻す!」と宣言するなどという悪夢のようなことにもなりかねません。こんなことにならないよう、政府はしっかり準備しておくべきです。

政府は人民解放軍が尖閣に上陸したら、何をすべきか、
決めておくことが必要と主張するルトワック氏
ルトワック氏は、さらに詳細を述べています。今の段階から、「人民解放軍が尖閣に上陸した」ことを想定し、
1.海上保安庁に任務を与える
2.海上自衛隊に任務を与える
3. 陸上自衛隊に任務を与える
4.航空自衛隊にも任務を与える(制空権を掌握し、島を隔離する)
これは軍事面です。

次にルトワック氏は、「外交面」についても述べています。「尖閣有事」の際、外務省はどう動くべきなのか? 今から「準備をしておくことが大事」だそうです。
外務省も、中国を尖閣から追い出すための独自の計画をもたなければならない。中国が占拠した場合を想定して、アメリカ、インドネシア、ベトナム、そしてEUなどへの外交的対応策を予め用意しておくのだ。(p171)
では、外務省は具体的に何をするべきなのでしょうか?ルトワックさんは例として、こんな提案をしています。
たとえば中国からの貨物を行政的手段で止める方策なども有効であろう。EUに依頼して、軍事的な手段によらずに、中国からの貨物処理の手続きのスピードを遅らせるよう手配するのだ。

(中略)

こうすれば、中国は、グローバルな規模で実質的に「貿易取引禁止状態」に直面することになる。

(中略)

全体としては、かなり深刻な状況に追い込まれるはずだ。(p171)
結論を言えば、「日本政府は今から、人民解放軍が尖閣に上陸したら、何をすべきか、決めておくことが必要」ということです。

このようにすれば、たとえ人民解放軍や海上民兵が尖閣に上陸したとしても、必ず撃退することができます。

ルトワック氏は、意味のない戦略や実現可能性のない戦略を提示はしません。やはり、ブログ冒頭の記事にあるように、日本の軍事力特に海軍力が中国に勝っているからこそこのような提案をしているのです。そうでなければ、軍事的に米軍がすべきこと、日本が具体的に他国に頼るべき点なども付加したはずです。日本は、独力で尖閣の中国を撃退できるのです。

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2017年5月8日月曜日

【痛快!テキサス親父】「反日」韓国人訪日増加のナゼ 日本人は世界で評価も、フランス人や中国人は人気がない―【私の論評】エリートではない一般の日本人の底力(゚д゚)!

【痛快!テキサス親父】「反日」韓国人訪日増加のナゼ 日本人は世界で評価も、フランス人や中国人は人気がない

京都・金閣寺。訪日した外国人の多くは、日本と日本人の素晴らしさを実感する
ハ~イ! みなさん。

 世界のホテル従業員が選ぶ「ベストツーリスト」(最高の旅行客)や、世界中をカバーしている大手旅行代理店が出しているアンケート結果で、常に「好まれる旅行客」のトップは日本人だ。日本人が世界に与えている良い影響は、一度でも日本に行ったことがある人なら納得できるぜ。(夕刊フジ)

 俺が初めて日本に行ったとき、街にゴミが落ちていないことに驚いた。そこで、「なぜ、ゴミ箱がないのに、日本の道路にはゴミが落ちていないんだ?」って聞いてみた。実に、面白い答えが返ってきた。

 「日本では、小学校から授業が終わったら児童が掃除をするからです」っていうんだ。つまり、日本では「汚したら、片付けるのは自分」という教育をしているわけだ。日本人が外国に行っても、他人に迷惑をかけず、誠実な対応をする理由が納得できたぜ。

 一方、世界で人気がないのは、フランス人や中国人のようだ。

 俺は中国には行ったことがないが、フランスには何度か行ったことがある。フランス人は、パリでもそれ以外でも、ゴミ箱にゴミを捨てない。「道路にポイ!」なんだぜ。おまけに街中を歩くときには、犬の糞(ふん)を除けながら歩かなければならない。そんな国の人々が海外に行けば、渡航先が同様の状況になるのは理解できるよな。

 さて、日本ではいよいよ大型連休(ゴールデンウイーク)らしいな。日本の友人によると、海外旅行に出かける人の渡航先の一番人気は「台湾」だという。台湾には「親日」というイメージがあるよな。

 これに対し、韓国への旅行者は2012年から減少傾向だと聞いたぜ。慰安婦問題などで、あれだけ一方的な「日本たたき」をしているうえ、お隣の北朝鮮が「核実験」や「ICBM(大陸間弾道ミサイル)発射」を示唆しているから、当然といえば当然だ。俺が日本人なら絶対に行かない。「1社で3000~4000人減少した」という旅行会社もあるそうだ。

 反対に、韓国からの日本への旅行客は3月で約48万8400人と、昨年の同時期に比べて30・6%も増加したそうだ。旅行会社によっては「8割増」だという。

 韓国は世界有数の「反日」国家で、歴代大統領が「日本たたき」をやってきたのに、なぜ、日本への旅行客が増加しているんだ? 円安の影響だけとは言えないよな。自らの国を「ヘル朝鮮」(地獄の朝鮮)と呼ぶ人々だけに、実は、日本に大きな憧れを抱いているのかもしれないぜ。

 親愛なるみなさんと、日本と米国に神のご加護がありますように。韓国人は日本を恨むことに力を注ぐのではなく、日本人が世界から好まれている理由をしっかり学んだ方がいいぜ。

 では、また会おう!


 ■トニー・マラーノ 評論家。1949年生まれ。テキサス州在住のイタリア系米国人。サラリーマンを定年退職後、動画サイト「ユーチューブ」などで連日、評論活動を行っている。世界のあらゆる“悪”と戦う「プロパガンダ・バスター」でもある。大変な親日家であり、日本でも圧倒的ファンを獲得している。自著・共著に『テキサス親父の「怒れ! 罠にかかった日本人」』(青林堂)、『日本は、世界の悪を撃退できる』(産経新聞出版)など。

【私の論評】エリートではない一般の日本人の底力(゚д゚)!

日本人の公共性や協調性の高さは、訪日外国人たちに感心されています。

しかし、それは国内に留まらず、海外でもいかんなく発揮されており、とても高い評価を受けているのです。

フログ冒頭のテキサス親父の記事にもあるように、以前、世界最大級の旅行サイトであるエクスペディアが、ヨーロッパの1万5000以上のホテルを対象に「ベストツーリスト」のアンケートを行ったところ、2位のアメリカを大きく引き離して、日本が見事1位に輝いているほどです。

日本人観光客の何が評価されたのかというと、マナーのよさ、礼儀正しさ、そして不平不満をいわないところ、だそうです。

また、部屋をきれいに使う、という点も高評価を得ています。

これらは、日本人の国民性ともいえる、個人よりも和を重んじる心が根づいているからにほかなりません。

「個性がない」「自分の意見をいえない国民性」と揶揄(やゆ)されることもありますが、世界の多くの人々からは好意的に見られているわけですから、変える必要はないでしょう。

この高評価は、パスポートの強さという部分にも表れています。

日本人観光客の礼儀のよさは古くから評価されており、
それが現在のパスポートの強さに反映されたのだ。
ビザなしで行ける国の多さで順位づけされるランキングの2015年版ではアジア1位の座を韓国と分け合い、総合では3位タイの172カ国。

今、世界で観光客の奪い合いが起こっている中国が45カ国で83というのを見ると、日本の順位がいかにすごいかがわかります。

さらに、入国審査では他国に比べてかなりスムーズ、かつ親切な対応を受けられるのは、日本が経済大国だということ以外に、とてもマナーがいいと歓迎される立場にあるからなのです。

本日は、テキサス親父の語る日本の凄さの他に、意外と当日本人もあまり気づいていない2つの事柄を以下に掲載します。

美容室&理容室の数は、じつに36万軒以上

国の規模や文化によって、美容院であったり床屋だったり、はたまた露天の散髪屋だったりという違いはあったとしても、「髪を切る」という習慣は万国共通のものです。


代金は世界的に見ても高額ですが、コストパフォーマンスも高いと評判。海外に進出する店舗も増えています。

ご存じのように、日本も理髪産業はとても盛んで、全国にある美容室&理容室の数は、合わせてじつに36万軒以上。

コンビニの総店舗数が5万ちょっとですから、この数字がいかに多いかがわかります。

そんな理髪大国の日本ですが、海外からは「理髪天国」として熱い視線が送られているのをご存じでしょうか。

その理由として、理髪技術が高いことも挙げられますが、外国人がとくに高い評価を与えているのが、理髪以外のサービスが多く、しかもクオリティが高いという点です。

なかでも美容室ならばシャンプー、理容室ならばシェービングが、大絶賛されているのです。

また、衛生管理もしっかりされていて、終始細やかな気配りのある接客も、外国人からは驚きと賞賛の声が上がっています。

このように、日本が理髪天国となったのは、相手の気持ちに配慮し、おもてなしの心で接するという国民性によるところが大きいのですが、理髪に関しては、江戸時代からこのような形態で行われてきたようなのです。

当時は「髪結い」と呼ばれ、理髪だけでなく、髭を剃り眉を整え耳掃除をするところまでがワンセットとされており、それが現在のおもてなしにつながっているではないかと思われます。

現代日本は人口が減少傾向にあり、理髪業界も苦しくなっているようですが、外国人をうまく取り込んでいくことができれば、再び成長産業へと転換できるでしょう。

「新幹線劇場」ともいわれる車内清掃!!

東北・上越・北陸・北海道新幹線などが発着するJR東日本の東京駅で、日本人からは「すごい!」「神業!」、外国人から「ソークール!」と賞賛され、毎日行われているのが新幹線の車内清掃です。

折り返し時間は12分。降車に2分、乗車に3分かかるので、清掃に費やせる時間はわずか7分間。

この7分間に清掃員たちが完璧な清掃を行い、それはまるでパフォーマンスを見るかのようで「新幹線劇場」ともいわれています。

 主人公はJR東日本テクニカルハートTESSEI(テッセイ)の車内清掃スタッフたちです。

10分足らずの猛スピードで進められる清掃作業(作業中に撮影した写真17枚を合成=7月30日
新幹線が速いのは、技術力だけではありません。東京駅のホームにいるピンク色の制服を身にまとった清掃員も、重要な役割を担っているのです。

ホームに滑り込んできた車両が、折り返し新大阪方面に向けて出発するまで平均16分程度。車内清掃はこの間、「超特急」並みのスピードでこなさなければならないのです。

ドアが開くと同時に車内に駆け込むと、ものすごい勢いで座席のほこりを掃き、窓やテーブルを拭き、座席カバーを取り換えます。手には、電動クリーナーやゴミ袋。10分足らずですべての車両をピカピカにすると、ホームで乗車を待つ乗客に一礼。作業終了後の一礼では、ホームで乗車を待つ乗客へ「お待たせしました」と礼を尽くします。

これは「お客さまに気持ちよく新幹線をご利用いただいてほしい」というスタッフ一同の気持ちの表れです。そうして風のように去っていきます。

ホームで乗車を待つ乗客に一礼するアロハシャツ姿の清掃スタッフ
清掃員は東海道新幹線だけでなく各地の新幹線にも広がっています。JR東日本が運行する東北新幹線などを担当する清掃員は利用客に「魅せる清掃」を楽しんでもらおうと、アロハシャツや浴衣、冬はサンタクロースの衣装などをまといます。

車内清掃のことをJRでは「新幹線劇場」と呼ぶほどです。米CNNなど海外メディアから「奇跡の7分間」などと紹介され、米ハーバード大のビジネススクールで、新幹線の車内清掃が必修科目で取り上げられることになりました。

ただ、一番の栄誉は、新幹線と速度競争を繰り広げ、「技術力では負けない」と自負する欧州の高速鉄道TGVからのこんな言葉でしょう。TGVを運行するフランス国鉄総裁も視察に訪れてすっかり脱帽し、こんな言葉を残している。
「これだけはかなわない。清掃員を連れて帰りたい」

日本では、どこの街角にもある理髪店や、美容院、それに日本で旅をするには欠かせない新幹線。日頃当たり前に思って使っているものです。

しかし、これらに従事する人たちの心意気が素晴らしいです。今度利用するときには、彼らの心意気に感謝して「ありがとう」と大きな声で応えたいものです。昨年は、函館から新幹線で仙台まで行きましたが、やはり清掃の方々が素早く清掃をしていらっしゃいました。そうしてもちろん清掃が終わった後に「ありがとうございます」と声をかけさせていただきました。

それにしても、これは他国にはとても真似出来ないことではないかと思います。日本では、いわゆるエリートといわれる人ではなく、このような人たちが日本を支えているのです。それが、日本の底力です。

いくらエリートが檄を飛ばして、外国からの人々へのおもてなしを良くしなさいと叫んだにしても、外国から来るお客様と直接接してサービスを提供するのは一般の人々です。一般の人々のレベルが高いからこそ、日本は世界に誇るサービスを提供できるのです。

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2016年2月1日月曜日

【ジャカルタ高速鉄道】受注した中国の書類ずさん過ぎ… 事業契約も調印できず 「中国語だけでは評価しようもない…」―【私の論評】中国の国際高速鉄道事業の背後の軍事的意図(゚д゚)!


バンドン郊外で開かれた高速鉄道の着工式典に出席したジョコ大統領(左から2人目)
と中国鉄道公司の盛光祖社長(中央)ら=21日、インドネシア
インドネシア・ジャワ島の高速鉄道整備工事が、監督官庁の許認可が下りず、足踏みを続けている。中国が日本との受注合戦に競り勝ち、21日に着工式典が開かれたが、提出書類が中国語で担当官が理解できないなど準備不足が露呈。事業契約もまだ調印できず、工事の“出発”にすらこぎ着けられない状況だ。

■空軍基地の敷地に駅を予定

整備計画では、首都ジャカルタと西ジャワ州バンドンの約140キロを結び、2019年前半の開業を目指す。事業費約は55億ドル(約6420億円)で、インドネシア政府は負担や保証はしない。事業権期間は50年で、終了後は政府に引き渡される。

着工式典で、インドネシアのジョコ大統領は「インドネシア、中国の両国政府が協力して着工に至った」と胸を張った。だが、式典を欠席したジョナン運輸相は26日、議会公聴会の質疑で、「評価が終わっていない」として、建設許可はまだ出していないとした。

運輸省幹部は、地元英字紙ジャカルタ・ポストに、「5キロ区間の式典向け使用だけ許可した」と説明。必要書類が未提出なうえ、提出された書類も多くはインドネシア語や英語ではなく中国語で記載されており、「評価のしようがない」とし、事業契約も調印できない状況を明かした。

中国側の計画では、4駅が整備されることになっているが、うち1駅はジャカルタ東部にあるハリム空軍基地の敷地を予定。このため、一部政治家から、「首都防衛のための不可欠な施設だ」と、計画見直しを求める声もあがっている。

■「反対を力で排除、慣れてしまっている」

東南アジア研究所(シンガポール)の趙洪氏は、28日の英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)に、中国の国有企業は母国で、反対や障害を力で排除することに慣れてしまっていると指摘。インドネシアのような民主主義下では違った対応が必要だとして「地域社会をもっと深く理解する必要がある」としている。

インドネシアの高速鉄道計画をめぐっては、日本が受注を前提に地質調査などを長年進めてきたが、昨年3月、中国が参入を発表。インドネシアは同9月、費用が安い「中速度」の鉄道にプランを変更し、日中両案を不採用としたが、その後、事業費を丸抱えする中国の新提案の採用を決定。日本は選考過程の不透明さをインドネシアに抗議するなど波紋を呼んだ。

 【私の論評】中国の国際高速鉄道事業の背後の軍事的意図(゚д゚)!

インドネシア高速鉄道計画は、2015年7月にインドネシア政府が発表した高速鉄道計画です。首都ジャカルタと西ジャワ州バンドン間150kmを結ぶ計画で、将来的にインドネシア第二の都市である東ジャワ州スラバヤへの延伸が計画されています。東南アジアにおいて最初に開通する高速鉄道となる予定です。

この計画には、日本および中国が高速鉄道システムの売り込みに興味を示し、入札を競っていました。

2015年9月3日、インドネシア政府は高速鉄道計画の撤回を発表し、入札を白紙化しました。 9月29日、インドネシア政府は財政負担を伴わない中国案の採用を決定しました。

2015年中に着工し、2019年に開業する予定でした。

それにしても、中国の国際事業の展開の仕方は、非常にお粗末なものです。インドネシアという相手国に対して、必要書類が未提出なうえ、提出された書類も多くはインドネシア語や英語ではなく中国語で記載されており、「評価のしようがない」とは、お粗末の極みです。国際的な事業をするというのなら、最低限英語の書類は用意するというのが当たり前です。

確かにこの状況では、事業契約も調印できないのはもっともなことです。

ここで少し、このインドネシアの高速鉄道計画の受注に関してふりかえっておきましょう。

日本の新幹線E5シリーズ
さて、2008年より, 日本はインドネシアに対し新幹線の輸出を働きかけてした。2009年には、ジャカルタ - スラバヤ間730kmを時速300kmで結ぶ高速鉄道計画のフィジビリティスタディが行われました。

当区間はインドネシアで最も人口密度が高い区間であり、旅客および貨物輸送において慢性的な渋滞が発生しています。国際協力機構により、高速鉄道の建設費を円借款による低金利の融資で賄うことが提案されました

新提案では複数の期間に分けて建設することになりました。第一期はジャカルタ - バンドン間150kmを35分で結ぶ計画となり、建設費は50兆ルピアとされました。2014年1月、国際協力機構は詳細な事業化調査を開始しました。

当初、日本案は有利であるとみられていました。2014年10月にインドネシアにおける政権交代によりユドヨノ政権からジョコ政権に代わると、2015年1月、ジョコ政権は高速鉄道計画を費用がかかりすぎるとして中止を表明しました。

それでも日本案の有利は揺るがないと見られていましたが、2015年3月に中国が受注競争に参加することを表明しました。

2015年3月、ジョコ大統領は東京と北京を訪問。3月22日から25日までの東京滞在期間中、日本の安倍晋三首相と会談を行い、ジャカルタの都市鉄道路線ネットワークにおいて日本の支援を得ることで合意をしましたが、高速鉄道計画においては進展が見られませんでした。

中国案のCRH380A
2015年4月、中国はインドネシア高速鉄道計画の入札を表明しした。

2015年3月26日、ジョコ大統領が北京を訪問し、中国の習近平国家主席と会談を行った。中国側はインドネシア高速鉄道計画への支援を大々的に発表した。

2015年7月、インドネシア政府はジャカルタ - バンドン間の高速鉄道建設計画において競争入札を行うことを発表した。2015年8月、中国はジャカルタのショッピングモールにおいて高速鉄道技術展示会を行った。

日本案と中国案の競争は熾烈なロビー活動に及んだ。高速鉄道計画の受注は経済的理由に留まらず、東南アジアにおける両国の戦略的影響力を競うものとなっていました。

日本側としては、全く納得のいかない結果となりましたが、結局のところインドネシアは、安物買の銭失い的な行動をしてしまったようです。しかしこんなことになるのは、最初からわかっていたことです。

そもそも、中国の現在の高速鉄道の技術は日本から盗みとったものです。というか、盗ませてしまったというのが正しいかもしれません。

新幹線技術を供与した張本人は、JR東日本(東日本旅客鉄道)の松田昌士・元会長&社長です。中国はもともと、国産技術と僭称して米国やアジア諸国に売り込みをかけていました。

中国から技術を盗まれると確信していたJR東海の葛西敬之会長は技術を出しませんでした。JRの経営トップでもこれだけ対中国観が違ったということです。さらに、JR東日本と組んで新幹線の車輌(技術)を提供した、川崎重工業の契約が「技術を盗んで下さい」といわんばかりに杜撰だったことが、新幹線技術を中国に盗まれる原因ともなりました。

とはいいながら、現在の中国の鉄道技術は、前世代の古いものです。現在の最新の新幹線の技術ではありません。

盗みとったものであるからこそ、中国はインドネシアに対して、高速鉄道を安く提供できるということです。この技術日本は、自主開発でそれこそ何十年もかけて培ったものです。

とはいいながら、所詮自主開発したものと安直に盗みとったものとでは、自ずから差がつきます。実際中国では、2011年にあの高速鉄道の大事故が起こっています。この事故、中国はあろうことか、事故列車を地面を掘り起こしそこに埋め、事故の原因を隠蔽してしまいました。

2011年温州市鉄道衝突脱線事故
この事故、中国側はいろいろ理由をつけていますが、私自身は線路の敷設なとを含む鉄道システムの突貫工事も大きな原因の一つではないかと思います。何しろ、中国は日本なら一年かけて工事するところを3ヶ月くらいでやってしまいます。

経済再優先では、安全性は二の次です。そうして、中国は比較的領土が広いので、線路も直線が多く、日本と比較すると、カープや勾配などが少ないです。インドネシアも、領土が狭く、谷あり山ありで、日本と同じようにカーブや勾配などが多いです。

突貫工事をやる中国が、インドネシアに限ってまともな工事を実施とも考えられません。

それと、上の記事で、4つある駅のうち1駅はジャカルタ東部にあるハリム空軍基地の敷地を予定しているとありますが、これは、中国の軍事的な意図がありありです。

そもそも、中国では駅は軍事施設の一つともみられています。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。
中国の高速鉄道には重要な軍事的意図が隠されている―米誌―【私の論評】敵に塩をくれてやっただけではなく、軍事力の増強にも手をかしている平和ボケ日本!!
中国高速鉄道と女性乗務員
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より米誌による、中国の高速鉄道には、重要な軍事的意図が隠されているという指摘の部分のみを以下に掲載させていただきます。
2011年5月14日、米ジェイムズタウン財団が発行する雑誌チャイナ・ブリーフは、中国人民解放軍総後勤部・軍事交通運輸部の話として、中国の1000を超える鉄道駅には軍事輸送施設が備わっていると報じた。以下はその概略。 
国際社会における中国の台頭に伴い、中国の軍事力も大幅に増強。中国指導者たちの理想は日増しに膨らみ、さらに積極的に自国の利益保護を追求するようになった。中国が鉄道網の整備に全力を挙げているのも、人民解放軍の移動能力を向上させるため。それらはさらに周辺地域にまで延伸しており、米国を始めとする西側諸国の同地域における利益に重大な影響を及ぼしている。 
中国は現在、チベットとネパールに続く高速鉄道路線を開通させており、さらにラオス、シンガポール、カンボジア、ベトナム、タイ、ミャンマーにも伸ばす予定。また、昨年11月には新疆ウイグル自治区−キルギスタン−タジキスタン−アフガニスタン−イランを結ぶ路線を建設することで各国と合意。このほか、イラク−シリア−トルコ−欧州を結ぶ路線の開通も計画している。 
これらは国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)が提唱するアジア横断鉄道(TAR)の理念に基づいたもの。これは中東を中枢としたアジア間およびアジアと欧州を結ぶ鉄道路線網である。こうした鉄道網の充実に加え486.1キロという世界最高速度が、中国の遠征能力を格段に向上させるだろう。現代版の「シルクロード」が米国および西側諸国の脅威になることは間違いない。
鉄道が軍事的にも意味を持つというのは、本来は常識です。日本でも、戦車など今でも鉄道で運ぶこともありますし、今の日本ではほとんど見かけなくなりましたが、兵員を鉄道で運ぶということもあります。

鉄道は、他の輸送機関から比較すると、鉄道網が破壊されなければ、もっとも確実で安価な輸送手段です。

鉄道輸送中の中国59式戦車。トラベリング・ロックで100mm砲を固定している

インドネシアの空港の敷地内に、中国が鉄道の駅を設置するというのは、やはりこのような考え方にもとづいていると考えられます。

空港の敷地内に鉄道の駅があれば、いざというときに、中国は空港に兵員や兵器、戦車や車両など送り込み、そこから高速鉄道で、それらを迅速に展開することができるわけです。

中国としては、インドネシアで高速鉄道事業に成功して、アジア一帯に中国の高速鉄道網を張り巡らし、この地域で、どこにでも人民解放軍を迅速に展開できるようにするという意図があるのでしょう。

それにしても、インドネシアはどうしてしまったのでしょうか。これでは、本当に安物買いの銭失いどころか、敵に塩をくれてやるようなものです。

それも、今から10年前などというのならまだ理解できますが、最近の中国の南シナ海での暴虐ぶりをみて、それでも中国に高速鉄道を発注するというその、考えが全く理解できません。

それにしても、中国の国際鉄道事業、まだ実際に着工する前からこの体たらくです。何やら、先がみえてきたように思います。いずれ、その軍事的意図も多くの国々に知られるところとなり、いずれの国も発注しなくなると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年6月27日土曜日

中国株また暴落 習政権の経済対策評価されず 中国経済へ不信感―【私の論評】今のままだと中国の社会経済活動は今後数百年何らの進展がないどころか、低迷し続ける(゚д゚)!

中国株また暴落 習政権の経済対策評価されず 中国経済へ不信感
2015.06.26


中国株がまた暴落した。25日の上海市場で、代表的な指数である上海総合指数の終値が前日比3・46%安となり、26日午前も5%超暴落する場面があった。習近平政権は6兆円規模のファンド設立や銀行の融資規制緩和を打ち出したが、市場の評価は厳しかった。

26日午前の相場では、上海の米ドル建てB株指数が一時7%超下落したほか、深●(=土へんに川)の香港ドル建てB株指数は一時4%超安。深●(=土へんに川)のベンチャー企業向け「創業板」指数は約8%下落するなど、いずれも前日に続く暴落となった。

証券当局が28社の新規株式公開(IPO)を承認したことから需給悪化の懸念が広がり売りが相次いだとの市場関係者の解説もあるが、最大の要因は中国経済への不信感だ。

習近平政権は24日、保険会社の資金を集めて3000億人民元(約6兆円)規模のインフラ建設にあてる「中国保険投資基金」の設立と、預金残高の75%を超えてはならないと規制されている銀行の貸出残高比率を撤廃すると打ち出した。

ところが、25日の上海市場では、恩恵を受けるはずの大手銀行やインフラ関連株が売り浴びせられた。市場で「融資拡大の効果は限定的で、追加金融緩和の期待も遠のいた」との見方が広がったためで、習政権の政策が真っ向から否定された形だ。

先週に約13%暴落した上海総合指数は、今週に入って2日連続で上昇したものの再び腰折れした。投資家の疑念は払拭できていない。

【私の論評】今のままだと中国の社会経済活動は今後数百年何らの進展がないどころか、低迷し続ける(゚д゚)!

中国の悪あがきが続いているようです。結局平たく言うと先の6兆円に及ぶ「中国保険投資基金」が、中国国内資金の“巻き上げ" ツールであり、「AIIB」が外国資金の“巻き上げ”ツールということです!! 要するに中共は今、資金が枯渇し、減速する経済成長へのテコ入れ策が採れなくなってきたということです。それが、投資家に見抜かれて株が暴落したということです。

そりゃそうです。以前にもこのブログでお伝えしたように、過去10年間で、天文学的な数字の金が国外に流れているのですから。それに関しては、このブログでもたびたび掲載してきました。その記事の輪駆を以下に掲載しておきます。

中国寄りの専門家さえついに唱えだした「中国大崩壊」の論拠―【私の論評】ニッポン人中国スパイ、親中派、媚中派は速やかに転向せよ、そうでないと飯のくいあげになるぞ(゚д゚)!
中国寄りのデービッド・ジャンボー教授ですら、最近で中国崩壊の可能性を示唆
詳細、この記事をご覧いただくものとして、この記事では中国金融の空洞化を掲載しました。その部分のみを以下に掲載します。
2000年から2011年統計で、中国からの海外逃避資金のトータルが3兆7900億ドルとなると、史上空前の新記録。邦貨換算で417兆円弱。日本のGDPの80%にあたる。 
これは中国の金融が空洞化していることを示して余りある。 
以下に掲げる「ワースト・ランキング」はGFIが集計した2002年から2011年の合算統計である。
1)中国      3兆7900億ドル
2)ロシア      8809億ドル
3)メキシコ     4618
4)マレーシア    3704
5)インド       3431 
とんでもない額の金が不正資金してして、海外に垂れ流されている中国。これでは、国際的信用は丸つぶれです。

それに外貨準備高もどんどん減っています。これについても、以前このブログで掲載したことがあります。その記事の輪駆を以下に掲載します。
【日曜経済講座】インフラ銀…その正体は「共産党支配機関」 参加論を斬る―【私の論評】中国主催のインフラ投資銀行に出資すれば、敵に塩を送るようなものどころか、振り込め詐欺の誘いに乗っかるようなものである(゚д゚)! 
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、中国の外貨準備の昨年度の状況を示すグラフを以下に引用します。


外貨準備がどんどん減っていて、対外銀行の借り入れをマイナスすれば、実質上中国には外貨準備などないどころか、マイナスといっても良いくらいです。

それに直近の経済は低迷しています。以下に昨年度の成長率を掲載します。



中国政府はすでに、中国経済の「新常態」ということを発表しており、今後の経済成長率は、7%前後になるとしています。従来中国では保八というスローガンがあり、経済成長率8%は中国政府が守るべき最低水準としてきました。

なぜなら、中国は未だ発展途上であり、経済成長率が8%を割ってしまっては十分に国内の雇用を吸収できないからです。しかし、政府が公式にこの保八を継続できない旨を公表したわけです。実際に、中国では大学新卒の就職率が極端に低く、なかなかまともなところに就職できない状況が数年前から続いいてました。

この有様であるにもかかわらず、中国は「AIIB」、「中国保険投資基金」だけではなく、「シルクロード基金」まで創設して、日本に対抗しようとしています。その概要を以下に図で示します。


以上を総合してみてみると、中国は借金に借金を重ねて、AIIB、中国保険投資基金、シルクロード基金を創設して、アジアのインフラ整備をしようとしています。

結局、金のない国が、金を借りまくって、金貸しの胴元をするということです。

なぜ、金がないのかといえば、そもそも過去においては中国は海外からの外国からの借金や、熱銭(海外に流れた中国の資金)による借金で、国内のインフラ投資をして経済発展をしてきたのですが、そのビジネスモデルが崩壊したからです。

さすがにインフラ投資だけでは、もう経済発展は望めないということです。にもかかわらず、中国は今度は国内のインフラ整備ではなく、中国外のアジアのインフラ投資をして経済発展をしようと試みているわけです。

しかし、これはどう考えてうまくはいきそうもありません。アジアのインフラ投資の前哨戦でもあった、中国のアフリカ投資はことごとく失敗しています。そもそも、中国国内では政府の都合で自分たちの押し付けで、インフラ整備をしてきたわけですが、中国以外ではそれだけですむはずもなく、中国にはそのあたりのノウハウが完璧に欠落しています。

そもそも、インフラ整備をするのは、当外国の社会を良くするために実施するのであり、インフラ整備をして、官僚などか肥え太るためにするのではありません。自国の社会をなおざりにしている国が、他国の社会を良くするためのインフラ整備などできるわけがありません。


そもそも、中国には海外でのインフラ投資のまともな実績がありません。海外のインフラ投資では、中国が過去にやってきたように、急ピッチで道路や橋、港湾、空港、建物などを作ればそれで良いというわけではありません。対象地域の現実にあわせた、インフラ整備をしなければなりません。そんな芸当は中国にはできそうもありません。

アジア・インフラ投資にも失敗することは確実です。そうなると、当面中国には全く経済が良くなるとか、現状を維持できる見込みは全くありません。

ただし、一つだけ実施できる可能性があります。

それは、過去に日本が数十年というとてつもなく短い時間で行ってきたこと、西欧先進国が数百年かけて行ってきたことを実施すれば良いだけです。


それは、何かといえば、いわゆる経済的な中間層を増やし、それらの社会・経済活動を活発化させることです。日本は、戦後の高度成長でそれを短期間に実行しました。

中間層が増えて、活発な社会・経済活動を行うようになれば、中国も日本が発展したようにかなり発展することが期待できます。

中国では、経済発展して、富裕層が存在します。しかし、この富裕層はほんの一握りにすぎません。富裕層がいくら贅沢をしたといっても、それには限りがあります。中間層がかなり増えれば、中間層の個々人の社会・経済活動は富裕層に比較すると、わずかなものですが、それでも貧困層よりははるかに活動するようになり、全体では富裕層のそれを凌駕するようになり、国内の内需が拡大します。

日本ができたのですから、中国でもできないはずはありません。しかしながら、中国がそれを実行するためには、大きな壁があります。

中間層を多く輩出させ自由に社会・経済活動をしてもらうためには、それなりの基盤が必要です。その基盤とは、民主化、経済と政治の分離、法治国家化です。これらがある程度整っていなければ、とても中間層は増えませんし、増えたにしも、社会経済活動を活発にすることはできません。

そもそも、本来経済がまともに発展するためには、ある程度まともで健全な社会が出来上がっていなければ無理な話です。あの経済の大家ドラッカー氏は、かつての日本の政治家・官僚に対して、彼らが重視したのは社会であり、社会が良くなることのほうを重視していたと語っています。確かに、池田総理大臣などは、社会を重視していました。社会を良くしようと努力した結果、脅威の経済成長がついてきました。

おそらく、これは、逆をやっても実行できなかったでしょう。まさに、日本の逆をやったのが、中国で鄧小平氏は「富める者から、富め」とのキャッチフレーズで、社会は二の次にして、経済発展することを最優先にしました。社会はなおざらにして、国家経済が発展する道を選択しました。しかし、もうそれは不可能です。

日本の高度成長の新幹線に乗った鄧小平 右奥
過去の中国は、海外の資金の流入と、インフラ整備だけで、経済成長をすることができましたが、今やそれは不可能です。国内や、諸外国のインフラ整備をするだけでは、もう無理です。

本当は、中国は日本の過去の政策などを謙虚に学ぶべきなのでしょうが、それはできないようです。そうなると、日本の経済発展などよりはるかに遅れることが予想されます。

日本が数十年でやってしまったことを中国は数百年かかってしかできないか、永遠にできない可能性だってあります。

いずれにしても、中国の社会・経済はこの先しばらくは良くなる見込みが全くありません。それどころか、現状維持もできず、低迷することになるでしょう。その頃には、中国の過去の経済発展は単なるイリュージョンになっていることでしょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣 渡邉哲也(作家・経済評論家) まとめ 米国司法省は500ドットコムと元CEOを起訴し、両者が有罪答弁を行い司法取引を結んだ。 日本側では5名が資金を受け取ったが、立件されたのは秋本司被告のみで、他...