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2020年6月3日水曜日

麻生氏の「豹変」が象徴する政府と日銀の“対コロナ連合軍” 相変わらずのマスコミ報道には笑ってしまう ―【私の論評】ピント外れのマスコミには理解できない日本国債の真実(゚д゚)!

高橋洋一 日本の解き方

麻生財務大臣

新規国債の発行額が、当初予算と1次、2次補正を合わせて過去最大の90兆2000億円に達したと報じられた。

相変わらずマスコミは財務省の言う通りに国債発行額だけを報道しているのかと笑ってしまう。現状はマイナス金利なので、10年以内の年限で国債を発行すると儲かるのが実情だ。

今回の2次補正では予備費10兆円が計上された。本コラムで「100兆円基金」を提唱してきた筆者からみれば、金額は足りないけど、基金とほぼ同じ性格である予備費10兆円計上は一歩前進と評価できる。

なぜ基金の創設を提唱したかといえば、マイナス金利を活用するというのが基本にある。普通のプラス金利であれば、利払いコストを伴う基金を事前に準備する必要はなく、事後で十分だ。しかし、今はマイナス金利なので、事前に用意するのが理にかなっているのだ。

いずれにしても、戦前の大恐慌並みの経済ショックの際に、過去最大規模の国債を発行するのは当然である。それでも財務省の事務方は財政再建の旗を降ろさないが、麻生太郎財務相には、事務方とは違う良い兆候もある。麻生氏は5月12日の記者会見で、政府の借金が増え過ぎることによって日本財政が信頼されなくなる可能性を指摘してきた財務省を「オオカミ少年」と表現したのだ。

この麻生氏の「豹変(ひょうへん)」は、22日の黒田東彦(はるひこ)日銀総裁との共同談話の伏線だったと筆者はにらんでいる。

財務相と日銀総裁の共同談話発表は異例のことで、英国の欧州連合(EU)からの離脱を問う国民投票で金融市場が不安定化した2016年6月以来、およそ4年ぶりだ。

コロナ・ショックは戦争状態ともいえるような非常事態だ。そこで麻生氏が共同談話で「日銀と政府の関係は、きちんと同じ方向に向いていることがすごく大事なことだ」と語ったことが重要だ。

筆者はかねてから、こうした政府と日銀との連合軍を主張していた。経済政策としては、財政政策と金融政策の同時・一体発動を意味しており、コロナ・ショックという戦後初、戦前の大恐慌に匹敵するくらいの経済危機に対し、政府の危機感を示すものだ。

政府と日銀との連合軍では、政府が大量の国債発行によって財源調達を行うが、その一方で、日銀がその国債の買い入れを行う。これによって政府が巨額の有効需要を創出でき、不況の下支えをする。まさに大恐慌スタイルの経済政策だ。

この政策のリスクは、インフレ率が高まることだ。しかし、コロナ・ショックは基本的に需要蒸発した需要ショックなので、当面はインフレというよりデフレを心配すべきときだ。

こうした状況では、さすがに財務省の事務方もすぐには財政再建や増税を言い出すことはないだろう。ただ、ひそかにその準備くらいはしていてもおかしくない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】ピント外れのマスコミには理解できない日本国債の真実(゚д゚)!

麻生氏の5月12日の記者会見の模様を財務省のサイトから引用します。

麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の概要(令和2年5月12日(火曜日))

【質疑応答】

問)追加的な経済対策について伺います。安倍首相が昨日の予算委員会で必要であればこの国会でと述べ、自民党での2次補正予算に向けた議論も始まりましたが、改めて規模やスケジュール、予算措置についての考えを伺えますでしょうか。

また、追加の対策により財政の健全化がさらに遠のくおそれもありますが、そのことについてどう考えるでしょうか。

答)まずは先般、4月30日に成立をした1次補正をまず直ちに執行へ移していただいて、総力を挙げて支援を皆さんの手元に早いところ届けなければいけないというところが一番なんだと思うのですが、加えて先般の5月4日でしたか、安倍総理の方から飲食店の家賃負担の軽減の話とか、雇用調整助成金等についての運用等いろいろ出ておりましたし、よく言われるアルバイト学生の支援等、与党において今いろいろ検討もされておられるようなので、速やかな追加的な措置を講じていくというところなんだと思いますので、いろいろ野党もご意見があるようですから、検討を踏まえながら対応していかなければいけないということだと思っています。

2次補正という話は、新しい政策というより1次補正のところで不足しているんじゃないかと言われている部分について主に補足していく、補充していくというのが基本的な考え方かなとは思っております。財政健全化という話がありましたけれども、経済を成長しない限りは財政健全化しませんから、そういった意味では今度の緊急経済対策を速やかに実行することによって雇用とか事業とかが継続され、底割れしないようにしておいた上で、世界経済も今完全に止まった形になっていますから、日本だけが成長するわけではありませんので、そういったものと波長が合えば最高ですけれども、そううまくはいかないでしょうから、日本としては確かな成長軌道に乗せなければいけないところなので、経済の健全化というものをやっていった上での財政健全化ということにならざるを得ないということだと思っています。

問)今おっしゃった財政健全化のところで、経済が成長しないと健全化しないというのはそのとおりだと思うのですけれども、今月8日に発表された国の借金が既に2019年度末で1,114兆円ということで過去最大であるということで、これがさらにどんどん膨らんでいくことによって投資家から見た日本の財政への信認というのが損なわれてしまうのではないかというふうなおそれもあるかと思うんですが、そのあたりの懸念についてはどのようにお考えでしょうか。

答)何十年たって、そうすると金利が上がるんじゃなかったっけね。そこが問題なんだよね。借金が増えて赤字公債を最初に再び出し始めたのが1994年。1994年の金利が幾らだったか調べてごらん。そしてその頃の借金は270、280兆円じゃなかったかな。記憶だからあまり確かじゃない、金利が5%ぐらいだったろう。4.7だったか、そんなもんだ。今幾らだ、1,100兆円だろう。10年ものの国債の金利は幾ら。

問)0%。

答)借金が増えて、200ないし50~60から1,100といえば4倍に増えたんだ。

4倍に増えたら金利はもうちょっと上がるんじゃないの。何で下がるんだ。国債が増えても、借金が増えても金利が上がらないというのは普通私達が習った経済学ではついていかないんだね、頭の中で。

今の答えを言える人が多分日銀にもいないんだと思うけれどもね。そこが問題なんだ。金利が上がるぞ、上がるぞと言って狼少年みたいなことをやっているわけだよね。

だけど現実問題としては本当に上がっていないんだよ。そこのところは真剣に考えなければいけないところなので、我々は金利が低いうちにさっさと金利が高いものから低いものに交換しようとかいろいろ、低いは低いなりに考えなければいけないところなので、低いからできているという経済政策は今のうちだからやれるというのだったら、それは今のうちにさっさとそれを最大限に活用してやっていかなければ、経済対策、財政政策を考えなければいけないということだと思いますね。

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ここでは、狼少年(財務省)の言うように、なぜ国債の金利が上がらないのかその訳を解説します。

2020年3月末の国債及び借入金残高は1114兆円ですが、10年国債金利は0%前後で推移しています。この水準は日本銀行のyield curve controlによって引き下げられたものですが、QQEが始まる前から1%を割り込んでいました。


ちなみに、QQE(キュー・キュー・イー)とは、"Quantitative and Qualitative Monetary Easing"の略で、量的・質的金融緩和のことをいいます。これは、日本銀行が2013年4月の政策委員会・金融政策決定会合において導入を決定した、従来とは量・質ともに次元の違う金融緩和策を指し、FRBECBなどの「QE(Quantitative easing):量的金融緩和」とは区別されます。

「借金が増えても金利が上がらない」のは全く不思議なことではなく、経済学の常識で十分に説明できます。

個人や民間企業では借金が増えると金利が上がるのは、利払いや元本返済ができなくなるリスクが上昇するからです。個人には寿命があるので、借金が増えるほど死ぬまでに完済できなくなるリスクは上昇します。民間企業は寿命は定まっていないですが、かつて日経ビジネス社は「企業の寿命」という書籍を出していました。

その書籍では、「企業の寿命は30年」といわれていました。私は、これは正しいと思います。ただし、「企業の寿命」というよりは、「事業の寿命」といったほうがより正しいと思います。

現在の大企業だと、複数の事業を運営するのが当たり前なので、大企業が30年以内に潰れるということは滅多にありません。ただ、中小企業で一つの事業しか営んでいない企業は、他の事業を模索したり、複数の事業を営むようなことをしておらず、一つの事業だけ、営んでいるところで、何らかの革新を行わないところは、確かに30年もすれば、倒産の危機に見舞わています。

そうなると、事業の寿命は、人の寿命よりも短いともいえるわけです。

事業が業績悪化時に資金繰りが苦しくなると、借換できなくなり、倒産のリスクは借金が増えるほど上昇します。

しかし、政府にはのような寿命はなく(going concern)、さらには、政府には徴税権があり、民間企業の営業収益に相当する税収が途絶えるリスクも無視できます。フローの利払費を税収で十分に賄える間は「優良な借り手」なので、金利収入を求める貸し手がいなくなることはありません。


国債残高にかかわらず、いつまでも借り続けられることは、借金が増えることが信用リスクの上昇に直結しないことを意味します。従って、金利に織り込まれるもう一つのリスクのインフレリスクが上昇しない限りは国債金利も上昇しないわけです。


日本は消費者物価の上昇率も、名目GDPの成長率も低いままなので、国債金利が上がらないのは当然ということになります。

この当たり前のことがわからないので、高橋洋一氏は、「相変わらずのマスコミ報道には笑ってしまう」というのです。

笑う高橋洋一氏、笑う門には福来たる?

マスコミは、金融や財政のこととなる、ほとんど理解していないようで、狼少年の財務省が「金利がー、金利がー」と言うと、すぐに騙されてしまうのです。それも、何回も騙されて、騙されるたびに金利が上がっていないのに、まだ騙され続けているのです。

これを滑稽といわずして、何と言えば良いのでしょう。そろそろ、気づけよということです。

これくらいのことは、経済や金融の知識がなくても常識で考えればわかると思うのですが、どうもそうではないようです。そもそも、財政や金融に関して、知識どころか、センスもないようです。

多分、上のグラフや説明を読んでみても、ピンと来ない人も多いのではないかと思います。そのような方のために、以下の動画をおすすめします。



さすが、上念氏です。国債について本当にわかりやすく解説しています。これをご覧なれば、さらに良くご理解いただけるものと思います。

さて、その上で、マスコミの方に質問したいと思います。

野党はよく国会で、安部総理や大臣などに、クイズのような問題を出すことがおおいです。だから、本当はこのようなことはしたくないのです。マスコミの方々に質問してみたいです。

さて、経団連は2日、定時総会を開き、中西会長の3年目がスタートしました。中西会長は新型コロナウイルスの感染拡大によって、打撃を受けている経済を成長させるために、デジタル化に一層取り組む考えを示しました。

総会で中西会長は「全世界に未曾有の大打撃を与えている新型コロナウイルスの感染拡大の克服と、ダメージを受けた経済の成長の実現という2つの大きな課題に取り組む必要がある」と述べました。

そのうえで「感染拡大をきっかけにテレワークや遠隔医療、オンライン授業などデジタルのパワーを使った新しい生活様式への変化が出てきました。これを元に戻すことなく、むしろ先に進める形で推進していきたい」と述べ、新型コロナウイルスの感染対策として広がったデジタル化に一層取り組む考えを示しました。

さて、中西会長はデジタル化の推進で、生産性を高めるということを言っていました。

そこで、質問です。「デジタル化で生産性が飛躍的に何倍も上がったとします。その時に、日銀が何もしないでそのままにしていたとしたらどうなりますか?」

答えは「デフレになります」です。このくらいは常識だと思うのですが、マスコミ関係者の方々は、ひよっとするとこれも分からないのではないかと思います。

これに関しては、詳細は解説しません。なぜ「デフレ」になるのか、わからない人、考えも及ばない人は、自分は相当経済センスが悪いと思うべきです。

まずは、本当に簡単なことから勉強をし直したほうが良いと思います。そうして、まともな経済記事を書けるようなってください。

【関連記事】

2020年2月27日木曜日

まだ新型肺炎の真実を隠す中国、このままでは14億人の貧困層を抱える大きいだけの国になる=鈴木傾城―【私の論評】中進国の罠にはまり込んだ中国は、図体が大きなだけの凡庸な独裁国家になるが依然獰猛(゚д゚)!


 2月中旬の北京の地下鉄

中国はアメリカに強硬な貿易戦争を仕掛けられている。すでに経済成長も失い、打つ手が後手後手になってしまっている。そんな中で新型コロナウイルスが蔓延し、どんどん感染者や死者が増えている。中国が新たな成長を取り戻すには民主化と情報の自由化が必要になるが、現状は真逆の方向に向かっている。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。

最初から最後まで真実を隠し、今も規制を敷いている

新型コロナウイルスは中国でどのような状況になっているのか、誰も分からないと言っても過言ではない。

政府発表では2020年1月30日の段階で7,800人だったが、当時から現場は「10万人以上の患者がいる」と切実に訴えており、その乖離は壮絶なものがある(編注:2月24日現在、中国の保険当局によると感染者数は7万7,658人とされています)。

中国人ですらも中国共産党政権の発表など信じていない。中国共産党政権は、常に自分たちの都合に合わせて数字を歪曲し、情報隠蔽してしまう。中国では真実を言ったら公安当局に連行されてしまう。

日本でもアメリカでも政権に反対の人は堂々と反対運動を繰り広げて何事もなく日常生活を送っているのだが、中国では同じことをやったら無事に済まない。政権に不都合な人間は「みんな消される」のである。

新型コロナウイルスが封じ込められなかったのも、中国共産党政権は当初、情報を隠蔽していたからだ。いや、最初から最後まで真実を隠し、今もインターネットにも強い規制を敷いている。

情報を隠蔽する。都合の悪い真実はねじ曲げる。それが中国なのである。

中国の検索エンジンでは「絶対に検索できない言葉」もあって、たとえば「天安門事件」と検索しても何も引っ掛からない。それは中国政府は国民に知って欲しくない言葉だからだ。

そのため、今の若年層は天安門事件というものがあったことすらも知らない人もいる。

「何を知らないのか知らない」という状況になる

大陸に住む中国人は、中国政府が許可した情報だけアクセスできて、中国政府が隠したい情報は何も知らないままにされている。

「何を知らないのか知らない」という状況になるのだ。

都合の悪い情報はどんどん検閲されていく。この中国共産党政権の悪しき体質は新型コロナウイルスの蔓延で世界中が知ることになった。

中国はすべてにおいて、そうなのだ。中国では凄まじい大気汚染や環境破壊で癌で死んでいく人間が毎年数百万人レベルで出現している。しかし被害者は隠蔽されているだけで、今も依然として中国を覆い尽くしている。

中国共産党政権の都合の悪い事実は決して知らされない。消される。何も許されない。

次世代を作り出す技術革新は、その多くは自由な環境の中で生まれる。「あれは駄目、これは駄目、なぜ駄目なのか考えるな、政府に従え」という環境であれば、何も生み出せない。

政府が許可したものだけ、海外からパクリで持ってきてそれを運用するだけなので、すべてがワンテンポ遅れる。

そのパクリも、ハッキングやスパイ行為で情報を盗んで行われるので、情報が盗めなくなったら終わりだ。すべて盗んだものだから、そこから独創的な技術革新が生まれることもない。

そもそも下手に技術革新を進めていくと政府の都合の悪い領域に達する可能性もあるので何もできない。これが今の中国の現状なのである。

こうした情報統制や隠蔽体質は、通常の民主主義社会であれば、やがて薄まっていくのだが、中国は共産党の一党独裁なので逆にどんどん強まっている。

報道の自由などまったくない。北朝鮮と大差がない。

なぜ、中国政府は情報統制に走っているのか?

報道の自由と言えば、日本の報道の自由度も低いが、それもそうだろう。

日本では朝日新聞や毎日新聞などが捏造に歪曲に印象操作を行い、中国・韓国・北朝鮮の反日もまったく報道せず、誰が日本で売国スパイをしているのかすらも報道しないような体質なのだ。これで報道の自由が上がるわけがない。

しかし、中国の情報隠蔽というのは、もはやそんなレベルではなく、言論封殺と言っても良い状況だ。

中国では「国家安全法」で、中国にとって都合の悪い外国人もテロリストと決めつけたり、中国に不利な情報を報じる外国人ジャーナリストを国外追放したりしている。

それに飽き足らず、「反テロ法案」というものもあって、中国政府が「お前はテロリスト」と決めれば、その人物はテロリストになる。

たとえば、中国政府は海外から支援を受けたNGO団体の活動家を中国から追い出しているが、その根拠として「国家安全法」や「反テロ法」を持ち出している。

さらに習近平政権は「海外NGO管理法」を制定させて、中国のすべての人権向上のための活動を事実上、完全閉鎖に追いやった。

なぜ、これほどまで中国政府は情報統制に走っているのか。

言うまでもない。中国政府はもう政権運営に行き詰まっており、アメリカのドナルド・トランプとも対立して政治的にも経済的にもボロボロになっているからだ。

しかし、汚職・環境破壊・格差・経済不振を何としてでも隠し通して、中国共産党の一党独裁を維持し続けたいと思っている。

中国は絶対に次の時代の覇権国家になれない

中国共産党では中国の未来はない。しかし、中国はこの共産党の一党独裁なので、政権交代ができない。共産党が駄目になったときの受け皿がない。つまり、中国共産党が終わるときが中国の終わるときだ。

中国は格差問題が解消できないどころかますます広範囲に広がっている。こうしたことから、中国の内陸部では頻繁に暴動が起きている。

しかし、中国は弾圧国家であり、こうした暴動も警察や軍隊の激しい暴力で鎮圧させている。この暴動が抑えきれなくなれば、中国は崩壊するが、もし北朝鮮のように弾圧が延々と続くとしたらどうなるのか。

中国は発展もなく、進歩もなく、どんどんじり貧になりながら続いていくということになる。そうであった場合、中国という国は先進国に向かうのではなく、中進国から貧困国へと向かっていく。

14億人の貧困層を抱えるただの図体だけが大きな貧困国になってしまうのだ。

中国はアメリカに強硬な貿易戦争を仕掛けられている。すでに経済成長も失い、打つ手が後手後手になってしまっている。そんな中で新型コロナウイルスが蔓延し、どんどん感染者や死者が増えている。

中国が新たな成長を取り戻すには民主化と情報の自由化が必要になるが、現状は真逆の方向に向かっている。

中国共産党は、情報の自由化を認めたとたんに14億人の批判対象になって崩壊してしまうので、絶対に民主化も自由も認めない。それならば、中国はこれから情報封鎖と弾圧を繰り返しながら、徐々に途上国へと戻っていくだけだ。

今のまま推移するのであれば、中国は絶対に次の時代の覇権国家になれない。多くの日本人は漠然と中国が豊かになっていく想像ばかりしているが、実はその逆の動きもあることを知るべきだ。

【私の論評】中進国の罠にはまり込んだ中国は、図体が大きなだけの凡庸な独裁国家になるが依然獰猛(゚д゚)!

中国経済は、新型コロナウィルスが蔓延する前から、成長の限界に直面していました。投資効率の低下、個人消費の伸び悩みに加え、輸出を増加させることも難しい状況でした。
米中貿易戦争の影響に加え、効率性が低下する中で投資が累積され、中国の生産能力は過剰になっていました。このブログでも何度か指摘してきたとおり、中国は貯蓄過剰となり、そのため世界経済全体で需要が低迷するという状況になっていました。
あらゆる商品・製品の需要に陰りが出始めたことに加え、そもそも、中国の最大の輸出相手である、米国経済が成長し続けることも難しい状況です。その上、中国では生産年齢人口が減少しています。労働力の減少は、中国では潜在成長率の下振れ要因ともなります。
常識的に考えると、この状況を打破するためには、中国政府は構造改革を進めなければならないはずです。急務なのが、不良債権の処理です。1990年代初頭の資産バブルが崩壊した後のわが国のケースを見ても、不良債権処理は経済の安定に欠かせません。
中国の4大国有銀行は、2016年1-6月期に合計1303億元(約2兆円)の不良債権を処理したが・・・

中国政府もその重要性はわかってはいるようです。同時に、国内の不満を抑えるために目先は投資を増やさざるを得ません。しかし、成長期待(期待収益率)が低下する中で中国政府が公共投資などを増やすことは、不良債権の増大につながるだけです。
中国では、不良債権問題という“灰色のサイ”が、どんどん大きくなっています。灰色のサイとは、発生確率は高いが、対応があまりに難しく見ているしかないリスクのことです。
昨年の、社会融資総量を見ると、シャドーバンキングの代表形態とされる信託貸出(ファンド経由の貸付)、銀行引受手形が急増しました。特に、信託貸出の増加は見逃せないです。
公の統計がないので推論によらざるを得ないですが、中国人民銀行による金融緩和や財政政策を通して供給された資金が行き場を失い、利ザヤを稼ぐためにシャドーバンキングに流れ込んでいた可能性があります。
中国経済の今後の展開を考えると、短期的には、インフラ投資や減税などから景気が幾分か持ち直すことはあるかもしれません。
しかし、長期的に中国経済は一段と厳しい状況を迎えることになるでしょう。リーマンショック後の経済が投資頼みで推移してきただけに、中国経済は成長目標に合わせて投資を積み増さざるを得ないです。その結果、中国の債務問題は深刻化し、灰色のサイは一段と大きくなるでしょう。
中国の「灰色のサイ問題」はかなり深刻だった

以上が、新型コロナウィルスが蔓延する、前までの中国経済の実体です。


多くのエコノミストが、この状況をみて、世界の工場として成長率を高め、投資によって成長を維持しようとしてきた中国が、“中進国の罠”を回避できるか否かに、関心を高めていました。
このブログでも何度が述べていたように、今後中国が中進国の罠に陥ることを回避するのは難しいでしょう。

中進国の罠とは、開発経済学における考え方です。定義に揺らぎはあるものの、新興国(途上国)の経済成長が進み、1人当たり所得が1万ドル(100万円程度)に達したあたりから、成長が鈍化・低迷することをいいます。

中国経済が中進国の罠を回避するには、個人の消費を増やさなければならないです。中国政府の本音は、リーマンショック後、一定期間の成長を投資によって支え、その間に個人消費の厚みを増すことでした。

しかし、リーマンマンショック後、中国の個人消費の伸び率の趨勢は低下しいています。リーマンショック後、中国GDPに占める個人消費の割合は30%台半ばから後半で推移しています。日本は、60%台です。米国に至っては、70%台です。

中国政府は個人消費を増やすために、自動車購入の補助金や減税の実施をしましたが、結局のところ、その目論見は失敗しました。中国商務省は昨年12月29、30の両日、2019年の商務行政を総括して20年の方針を決定する「工作会議」を北京市で開き、低迷する自動市場へのてこ入れを図っていくことなどを確認しました。

しかし、このような試みはことごとく、うまくいかないようです。これは、中国政府は国営企業の成長力を高めることを目指しているからです。市場原理に基づく効率的な資源配分よりも、中国では共産党政権の権能に基づいた経済運営が進んでいます。

それは、国有企業に富が集中し、民間部門との経済格差の拡大につながる恐れがあります。それは、民間企業のイノベーション力を抑圧・低下させることにもなりかねない。

歴史を振り返ると、権力に基づいた資源配分が持続的な成長を実現することは難しいです。習近平国家主席の権力基盤の強化が重視される中、中国が1人当たりGDPを増やし、多くの国民が豊かさを実感できる環境を目指すことは、かなり難しいです。

本当は、この問題を解決するには、このブログでは、定番のように述べていますが、やはり民主化、政治と経済の分離、法治国家化は避けられないのです。

これらによって、かつての先進国が歩んできたように、中国も多くの中間層を生み出し、これら中間層が自由に社会経済活動を行えるようにするしか、経済を発展させる道はありません。

そのためには、この記事の冒頭の記事のように、情報の自由化は必須ですが、中国共産党は、情報の自由化を認めたとたんに14億人の批判対象になり、統治の正当性を失い、崩壊してしまうので、絶対に認めません。それならば、中国はこれから情報封鎖と弾圧を繰り返しながら、中進国の罠にはまりこみ、そこから先は、徐々に途上国へと戻っていくだけなのです。

最近の新型コロナウイルスは無論、中国経済に悪影響を及ぼします。しかし、過去の歴史などをみると、戦争や大災害、疫病により経済がかなり低迷した国々においても、その災害や疫病が終息すると、復興など過程において、災害や疫病などが発生する前よりもはるかに大きな消費活動が生まれ、比較的短期間で経済は元通りになるのが通例です。

今回の新型コロナウイルスが終息した直後には、中国でも比較的はやく経済が復興するかもしれませんが、それは新型コロナウィルスの蔓延の前の状態にもどるというだけで、諸問題は何も解決しておらず、そこから先はしばらく横ばいか下がっていくことになります。

新型コロナウィルスが蔓延直前の中国が、これを隠蔽せずに、世界に向かって情報公開し、世界の力も借りて迅速にこれに立ち向かっていたとしたら、中国はかつて米国などが信じていたように、豊かになり発展する可能性もあるという見方になったかもしれませんが、そうではありませんでした。

実質経済成長率と一人当たりGDPの推移(60年代以降):1万ドル前後で中所得国の罠に陥る国も

ここ数年で、中国は中進国の罠から抜け出ることはできず、その後は発展もなく、進歩もなく、どんどんじり貧になりながら続いていくことになるでしょう。その果てにあるのは、図体が大きいだけのアジアの凡庸な独裁国家です。

しかし、このアジアの凡庸な独裁国家は、軍事的には北朝鮮よりははるかに強大です。先進国のような過程を経て富を生み出すことのできない中国は、やがて八方塞がりとなり、それを解消するために、かつて中国が、東トルキスタンやチベットへ侵略したように、周辺国への侵略を開始するかもしれません。

あるいは、直接侵略しなくても、「一帯一路」などで、経済的に侵略して、周辺国の富を簒奪しようと試みるかもしれません。

そのようなことは、絶対に許すことはできません。我が国をはじめ、周辺諸国は、これから先中国が経済的に弱っても、安全保障面では油断すべきではありません。

【関連記事】

2019年7月29日月曜日

かんぽ生命の不正販売、背景にある民主党政権「郵政再国有化」の真実―【私の論評】官僚が商売や事業等を直接しても絶対にうまくはいかない(゚д゚)!

かんぽ生命の不正販売、背景にある民主党政権「郵政再国有化」の真実

「ノルマ」に頼る構造はなぜ生まれたか

「民営化の歪み」が原因ではない

かんぽ生命に、顧客に対し新旧契約の保険料を故意に6ヵ月以上二重払いさせるなど、かなり悪質な不正が多数発覚している。

かんぽ生命の顧客数は約2600万人だが、不正契約件数は実に約9万3000件にのぼるという。被害に遭った顧客のほとんどは高齢者層である点も悪質だ。「常套手段」とされていたのが乗換時の不正で、保険の二重契約(2万2000件)、無保険期間を作る(4万7000件)といったものだ。

被害者からは、「80歳代の母が、かんぽ保険の乗換で被害に遭い、30万円の不利益を被った。母は郵便局を信頼していたから、貯めたお金を言われるがままにだまし取られた」との声も上がっている。郵便局というブランドを信じていた人々の心を踏みにじる、詐欺的な行為だ。被害総額の詳細は、まだわかっていない。

この種の話が出ると、「郵政民営化による歪み」のために不正が起こったという、早とちりの意見がすぐに上がる。しかし経緯を調べれば、このような見方がすぐに間違いだとわかる。

マスコミの報道だけしか知らない人は「郵政は民営化された」と思い込んでいるが、実は民主党政権時代に「再国有化」されているのだ。不正の発端も、そこに潜んでいる。どういうことか説明しよう。

筆者は小泉政権時代、郵政民営化の制度設計を担当した。まず、郵政民営化が実行された理由をあらかじめ書いておきたい。マスコミはこの基本を理解していないし、そのせいで国民は郵政民営化の背景を知らなすぎるからだ。

民営化前の郵政は、(1)郵便事業、(2)郵貯事業、(3)簡保事業を営んでいた。しかし、郵便はインターネットの登場によりジリ貧、郵貯は貸出部門がなく、簡保は100年前の不完全保険である「簡易保険」しか商品開発できず、いずれの事業でも経営問題が起こることは時間の問題だった。

こうした経営問題を抱える事業を維持するためには、年間1兆円もの税金補填(ミルク補給)が必要だった。それでも、いずれ郵政が経営破綻するのは確実だった。このあたりの詳細については、拙著『財投改革の経済学』に記してあるのでご覧いただきたい。

小泉政権が成立させた郵政民営化法では、(1)日本郵政という持株会社の下に、郵便会社、郵便局会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命を設けること(4社分社化)、(2)日本郵政への政府株、郵便会社と郵便局会社への日本郵政の株式をいずれも維持しつつ、ゆうちょ銀行とかんぽ生命では、日本郵政の株式をすべて売却する(完全民営化)としていた。



こうした民営化を通じて、郵便会社と郵便局会社には「郵便」以外の事業展開を、ゆうちょ銀行にはまともな貸出を、かんぽ生命には「簡易保険」以外の商品開発を促そうとしたのだ。それと同時に、年間1兆円にのぼる血税からの「ミルク補給」も打ち止めにしようとした。

郵便局会社を作ったのは、そこで簡易保険だけではなく、他の民間生保の商品も販売できるようにしないと、郵政全体の経営が危うくなるからだ。後で詳しく述べるが、郵政民営化の制度設計当時から、簡易保険の商品性はあまりにお粗末であり、経営上簡易保険以外の商品も売る必要に迫られていた。

事実上、また「国有」に

しかし、2009年に政権交代が起こった。民主党政権は、この民営化スキームを変更して、郵政を事実上「再国有化」した。つまり、(1)日本郵政という持株会社の下に郵便会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命を設けること(3社分社化)、(2)日本郵政への政府株、郵便会社、ゆうちょ銀行とかんぽ生命への日本郵政の株式はいずれも維持する(非民営化)としたのだ。


公的事業の民営化のキモは、株式の民有化、経営の民間化である。郵政3事業にはすべてに政府株が係っている。しかも、小泉政権時代の民営化の際、民間から西川善文元住友銀行頭取ら20名程度の民間人が入った。まじめに経営しようとすれば、この程度の人員がいなければ、郵政のような巨大組織は運営できない。この意味で、西川氏は本気で郵政を民営化しようとした。

しかし、上述のように民主党政権で民営化は否定され、「再国有化」された。特に痛かったのは、政府株だけではなく、小泉民営化で馳せ参じてきた民間人もすべて追いだされたことだ。

さすがに、民間人なしではマズイと思ったのか、お飾り程度の人材は来たが、西川氏のように大量に腹心を連れてくるようなことはなく、ほぼ一人で来て、あっという間に元郵政官僚に籠絡されるのがオチだった。

その後民間では、民主党政権時代に、郵政へ送り込まれた民間人が追い出された事実が知れ渡ったから、経営の心得がある人材は誘われても敬遠するようになった。どちらかといえば、小粒な民間人が単発で来るようになったことも、郵政が実質的に「再国有化」されたことを物語っている。

要するに郵政は、小泉政権時代に民営化されたが、民主党時代に再国有化され、事実上、以前の国営とたいして変わりなくなったのだ。今回のかんぽ生命の不祥事を考える上で、この点をおさえておかなければいけない。

激化する競争に勝てるはずもなく

郵政が改革をサボっている間に、保険市場は激変した。

かつて、日本人は生保好きといわれていた。そのため外資系保険会社は日本市場への参入を強く希望していた。たしかに、1990年代の生命保険料のデータを見ると、日本は先進国の中でも高い部類だった。

一方、1990年代まで、日本の保険業界には金融縦割り規制があった。保険業界でも生命保険と損害保険は分離され、銀行、証券とも分離されていた。それが金融自由化の波とともに、業界の垣根が取り除かれていった。特に証券投資信託の販売は、証券会社だけではなく銀行にも広げられた。

実は、保険という金融商品は保障の面ばかりが強調されるが、運用面をあわせて考えると、保障と証券投資信託のハイブリッド商品であるともいえる。掛け捨ての保険なら保障機能だけといえるが、保障機能が弱く満期返礼金が強調される貯蓄型保険は、証券投資信託とほぼ同じなのだ。

かつて保険好きと言われていた時代の日本で主流だったのが、貯蓄型保険だった。それが金融自由化により、証券投資信託の販売が広く銀行などに認められるとともに、外資系保険会社にも参入が認められたので、本邦系生保会社の競争環境は激変した。

その結果、今では日本の生命保険料などは概ね標準的な水準に落ち着いた。もはやデータからは「生命保険好き」と言えない状況だ。日本の保険市場における競争はそれほど激化し、低金利・ゼロ金利環境も保険会社の収益に影響を与えている。

しかし、これらの環境変化が民間生保会社にもかんぽ生命にも等しく影響を与えている中、かんぽ生命では事実上、商品が簡易保険しかないという特殊事情がある。

簡易保険は今からおよそ100年前の1916年にに開発された古い商品だ。その特徴は、健康診断がないという点だ。

民間生命保険の場合、健康診断を要件としてリスク管理を行った上で、保険料率と保険額を決めている。しかし簡易保険の場合は健康診断がないのでリスク管理がうまくできず、それをカバーするために、保険額を低く抑えている。

単純なしくみだが、保険数理からみれば「どんぶり勘定」にも近いものであり、保険商品として保障機能が弱く、運用成績の悪い証券投資信託と同じような商品であるといえる。このため簡易保険は、金融自由化の波をモロに被ってきた。

そして「ノルマ」に頼った

筆者は郵政民営化の制度設計時に、簡易保険という旧来商品だけではまともな生保会社になれるはずもないので、新商品開発とともに、民間生保の特色ある保険も販売できるようにした。しかし、民主党時代の「再国有化」によって、その時間はムダになってしまったようだ。

かんぽ生命は新商品開発を怠り、その代わりに従来通りの「ノルマ」で戦おうとした。民間生命保険会社のような商品は開発能力がなく作れないので、旧来商品を体育会系のノリで、販売員へ「ノルマ」を課すことで乗り切ろうとしたのだ。

民間生保には「生保レディー」という強力な販売部隊がいたので、それを活用する人海戦術も行ったが、さすがにそれには限界もあり、現在では新たなステージに移行し対応している。しかしかんぽ生命は民間生保から見れば「周回遅れ」の状況だ。

ネット上では、かんぽ生命関係者を名乗る人物からのこのような書き込みがある。

「今回の問題は今に始まったことではなく、ずっと以前からあった問題です。お客様を騙してでも保険契約をした職員は評価され、それを指摘した職員は評価されないだけではなく、邪魔者としてパワハラされるのがかんぽ生命です」(元郵便局員)

「会社の上層部は昔から不適切な営業をして数字という結果を残してきた人がほとんどです。優秀成績者と呼ばれる人のほとんどは上から守られるようになっていました」(かんぽ販売員)

こうした営業実態は、10年くらい前から蔓延し始めたという証言もある。ちょうど「再国有化」のタイミングだ。

郵政を「再国有化」すれば元官僚主導の会社になる。新商品開発のための知恵もない。そのため、体育会系の「ノルマ」頼みにならざるを得ない。せめて他の民間生保なみのまともな保険商品であれば、それほどの「ノルマ」を課さなくても、郵便局ブランドである程度販売できただろう。

これで、かんぽ生命は「ノルマ」営業と決別せざるを得ないが、生命保険商品として簡易保険を売ることはもはや不可能だろう。かんぽ生命は経営危機に陥る。

今回発覚した被害の詳細はまだわからないが、現在のかんぽ生命は民間会社ではなく、国の関連企業と言っていい。この詐欺的な営業に、国の責任がないとは言えない。被害者が代表訴訟で訴える可能性もある。そのとき、国はどう対応するのだろうか。

いずれにしても、民営化を逆戻りさせた政策のミスだ。国の責任は免れないだろう。

【私の論評】官僚が商売や事業等を直接しても絶対にうまくはいかない(゚д゚)!

この類の話を聴くと、昔の電電公社の民営化の具体的なとんでもない話を思いだします。電電公社は民営化してNTTとなり、電電公社に所属していた逓信(ていしん)病院はNTT病院と逓信病院に別れました。

この逓信病院は現在でも存在しています。無論NTT病院も存在しています。民営化したばかりのある逓信病院の院長の話として今でもはっきり記憶している話があります。逓信病院にはNTTの職員が多く診断や治療を受けたり、入院したりします。無論、NTT職員意外の人も、逓信病院で普通に診療を受けたり、入院や治療を受けたりすることもできます。

当時ある逓信病院で、その地域のNTT職員でノイローゼになる人が極端に多く出たので、院長が詳しくその原因を調べました。そうするとその原因は、なんと当時まだ売上が伸びていた、テレフォンカードの販売に関係していました。

その地域では、とにかくテレフォンカードの売上を高めることが至上命題となっており、NTTの職員らは、とにかく全員がカードの販売に携わっていました。おそらく、ノルマもあったのでしょう。

懐かしのテレフォンカードは今でもコンビニで普通に売られている

そうして、あろうことが、毎晩9時から10時くらいまで、どうやって売上をあげるのか、議論されていたそうです。それも、営業の人間だけではなく、技術職も事務職もその話し合いに参加していたそうです。強制か、自主的かはわかりませんが、とにかく多くの職場でこの話し合いが行われていたそうです。

普通の感覚であれば、夜遅くまで、論議をしたからといって、それだけで売上が上がるはずもなく、適当なところでやめてしまうのでしょうが、これが数カ月も続いたそうです。そうして、無駄なことを長時間実施したことが、ノイローゼの患者を増やすことにつながったのです。

人は、希望が持てるなら、長時間働いたり、議論をしていてもなんともないですが、徒労としか思えないような話を長時間していれば、おかしくもなります。

そのため、この院長はこの無駄な話し合いをやめさせるように、強くNTTに指導をしたそうです。そのかいもあってか、その後ノイローゼ患者は極端に多くはなくなったそうです。

商売のセンスがない人たちが、追い詰められるとこのようなことになりがちです。結局その当時のNTTも、かんぽ生命のように、売れるテレフォンカード等新商品開発や、テレフォンカードに変わる事業の柱を開発することを怠り、その代わりに「ノルマ」や根性でで戦おうとしたのです。

それは、うまくはいきませんでした。現在のNTTでは、テレフォンカードも存在しているでしょうが、携帯電話やスマホが登場した現在ではそれはもはや主力商品ではありません。

おそらく、現在の郵政でもこのようなことが行われていたのでしょう。

更に驚くべきことかあります。かんぽ生命保険の不適切販売問題をめぐり、日本郵政がかんぽ生命株を国内外の投資家に売却した4月時点で、かんぽ生命の経営陣が不適切な事案を把握していたことが29日、分かったというのです。

同日開かれた政府の郵政民営化委員会の会合で、かんぽ生命幹部が報告しました。重大な経営問題を認識しながら株を売り出し、投資家の不利益を増大させた恐れがあり、経営責任が問われそうです。

29日の民営化委では、不適切販売問題について委員が郵政グループ幹部に聞き取りを実施。同委の岩田一政委員長は会合後に記者会見し、かんぽ生命幹部から「4月の段階で個別の(不適切な事案についての)苦情はある程度把握していた」と報告を受けたことを明かした。事案の規模がどの程度かは把握していなかったといいます。


今月10日の記者会見で、かんぽ生命の植平光彦社長は「不利益が発生している状況は直近の調査で判明した」と説明していました。

郵政民営化法では日本郵政は保有するかんぽ生命株をすべて売却することを目指すと定められています。平成27年にゆうちょ銀行を含めたグループ3社が上場した際に、日本郵政は100%保有していたかんぽ生命株の11%分を売り出し、今年4月の2次売却では89%の保有株を64%程度まで引き下げました。

2次売却の売り出し価格は1株2375円でしたが、その後不適切販売問題が深刻化してかんぽ生命の株価は下落。29日の終値は1797円でした。経営陣が問題を把握しながら株式を売り出したのであれば、市場に対する背任行為として株主代表訴訟も起こりかねないです。

岩田委員長は29日の会見で「契約者に不利益が生じたような事案があった場合は速やかに公表すべきで、透明性が極めて重要だ」と述べ、日本郵政グループの対応を問題視。また、「マーケットが評価しない経営には問題がある」と経営責任にも言及しました。

31日に開催される日本郵政の長門正貢社長らの会見では、かんぽ生命株の2次売却の適正性や経営責任が大きな焦点になります。

やはり、郵政は「再々民営化」が必要です。商売センスのない役人は事業運営にはタッチさせないようにし、民間の保険などのノウハウがある人を入れて、まともにすべきです。でないと、先に掲載したNTTでノイローゼ患者がかなり増えたのと同じことになります。

商売センス・事業センスのない官僚が事業を駄目にするのです。これは、郵政でなくても同じことです。政府は、インフラの整備などに専念して、そのインフラの上で活動するのは、民間に任せるべきなのです。

間違っても、インフラの上で官僚が商売や事業等(福祉事業や社会事業も駄目)を直接しても絶対にうまくはいかないのです。これがうまくいくというのなら、共産主義も成功していたはずです。

共産主義では、頭の良い設計主任が、事業を計画して、あとはその計画通りやれば、すべてはうまくいくはずでした。しかし、それはことごとく失敗して、いまや共産主義は崩壊しました。この基本を忘れると、今回のような事件が起こってしまうのです。

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2018年7月29日日曜日

【正論8月号】日本のマスコミが報じないトランプ・ロシア疑惑の真実 ~リベラルたちの“国家犯罪” オバマ・クリントン・ゲート―【私の論評】日本メディアのトランプ・安倍報道は最初から色眼鏡でみて疑え(゚д゚)!

【正論8月号】日本のマスコミが報じないトランプ・ロシア疑惑の真実 ~リベラルたちの“国家犯罪” オバマ・クリントン・ゲート


国際政治学者 藤井厳喜


トランプ大統領 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 ※この記事は、月刊「正論8月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

 今、アメリカでとんでもない事が起きている!

 しかし日本のマスコミはこれを一向に報道しようとしない。このアメリカ政治の歴史的大事件のあらすじを本稿では述べてみたいと思う。

 現在のアメリカでは、ウォーターゲート事件を上回る、米国憲政史上最大とも思われるスキャンダルが爆発している。ウォーターゲート事件で時のニクソン大統領は辞任に追い込まれた。しかし、この政治スキャンダルで追及されているのはトランプ大統領ではなく、オバマ前大統領やその政権の関係者、そしてヒラリー・クリントン前大統領候補(元国務長官)などのリベラル勢力なのである。

実体のなかったロシア・ゲート

 日本ではいまだに、所謂「ロシア・ゲート問題」でトランプ政権が揺さぶられていると思っている人が非常に多い。ところが今やロシア・ゲート問題などは全く存在しないことが誰の目にも明らかになっている。2016年の選挙中に所謂「ロシア・ゲート問題」が騒がれ出してから、丸2年経つ。トランプ政権発足後に、モラー特別検察官が任命されてから1年以上経つが、トランプ陣営がロシア側と共謀していた事実は何一つ見つかっていない。モラー特別検察官の捜査は完全な空振りであった。

 実は今年の2月16日に、モラー特別検察官はロシア人13人とロシア企業3社を詐欺・身分盗用・不正送金などの罪で起訴している。ところがこの折に開かれた記者会見で、モラー特別検察官の捜査を監督する立場にあるロッド・ローゼンスタイン(Rod Rosenstein)副司法長官が、「ロシアの違法工作はあったが、それに加担したアメリカ国民は一人もいなかった」と明言しているのである。勿論、このアメリカ国民にはトランプ本人や、トランプ陣営の要人も含まれている。つまり反トランプ色の強い司法省の責任者が、「長い時間をかけて捜査をしましたが、所謂トランプ陣営のロシア・ゲート事件は存在しませんでした」と明言したに等しいのだ。こういった単純明快な事実関係すら報道されていないのが日本のメディアの実情である。

モラー特別検察官

 それでいまだに筆者自身、時々、講演会などで「ロシア・ゲートでトランプ政権はもつのですか?」というような質問を受けることが多いのである。「ロシア・ゲートなど全く存在しません」と回答すると、質問者はあっけにとられている。そこで言葉を足して「安倍首相のモリカケ問題と一緒で、反対勢力は騒いでいますが、全く実体は存在しなかったのです」と言うと、どうやらみんな納得してくれるようである。

反トランプ・クーデターを仕掛けた「ディープ・ステイト」

 一連の流れを現在の時点から総括してみると、以下のようなことが分かってきている。

 先ず、恐らくオバマ大統領を含むオバマ政権の要人、そして司法省を中心とするリベラル派の官僚達は2016年の大統領選挙でトランプに脅威を感じていた。何としてもトランプ当選を阻み、ヒラリー・クリントン候補を当選させるのが、彼らの共通の使命感となった。ヒラリーを当選させる為には、2016年の6月には既に大問題になっていた所謂「e-mail問題」を隠蔽しなければならない。これはヒラリー・クリントンがオバマ政権第1期で国務長官を務めていた時に、国務省の機密扱いのメールまで個人サーバで扱っていたという明らかな法律違反問題である。実は法律の規定通りに判断すれば、機密情報を私用サーバで扱っていたというだけで重罪に値するのである。ところが、時のロレッタ・リンチ司法長官とコミーFBI長官は、明らかにヒラリーを政治的に支持する立場から、彼女を起訴せずに、事実上、“無罪放免”してしまったのである。これが第1のオバマ政権の大きな罪である。

機密情報を私用サーバで扱っていたヒラリー・クリントン氏

 そして第2の罪は、当選に向かってばく進していたトランプ候補の足を引っ張ったことである。その謀略として用いられたのがロシア・ゲートという仕掛けであり罠であった。あたかもトランプ陣営とロシア政府が関係があるかのような噂を流し、それによってトランプ候補にダメージを与え、当選を阻もうとしたのである。それをヒラリー・クリントン陣営や民主党が行なっただけではなく、司法省とFBIも行なったというところが最大の問題点である。つまり特定の候補の当選を阻む為に、本来、厳正に中立でなければならない連邦政府、特に司法省やFBIが、選挙に直接介入してしまったのである。現在では、違法なプロセスにより許可を得て、トランプ陣営を情報監視していた事実や、FBIが直接トランプ陣営にスパイを送り込んでいた事実まで明らかになっている。

 オバマ政権は、自らと同じ民主党のヒラリー・クリントン候補を当選させる為に、公的権力を利用して、大統領選挙戦そのものに直接、干渉していたのである。これは、オバマ大統領自身の指示によるもので、それにロレッタ・リンチ司法長官やコミーFBI長官が従ったものではないのか。であるとすれば、それは大統領の犯罪そのものであり、ウォーターゲート事件などをはるかに上回るアメリカ憲政史上最悪の政治スキャンダルの1つである。

 大統領が自分の仲間を選挙で当選させる為に、司法省やFBIという政府機関を使ったというのであれば、法の支配も民主政治もあったものではない。まるで発展途上国の独裁政治と少しも変わらないではないか。実際、この事件の実態が明らかになるにつれ、アメリカの愛国者たちは「アメリカもバナナ共和国になってしまった」と嘆いている。「バナナ共和国」とは、法の支配もデモクラシーも存在しないラテンアメリカの独裁国を皮肉ったアメリカの俗語である。アメリカももう、バナナ共和国を笑ってはいられないわけだ。

 ここで「ディープ・ステイト(Deep State:深層国家)」という言葉が登場してくる。これは、トランプ政権を支持している保守派の人達が好んで使う言葉である。ディープ・ステイトとは、謂わば、国家の中の国家とでもいうべき存在で、この場合は、連邦政府内におけるリベラル派官僚やリベラル政治家の暗黙の組織であり、常にリベラルな国家解体的な政策を推進し、保守的な政策の実行に抵抗している。連邦政府内では司法省や環境省や国務省内で彼らの影響力は著しく、またFBI、CIA、NSAなどの情報機関の中心部にも彼らは浸透している。ディープ・ステイトはトランプ候補の当選を阻むために、積極的に抵抗と妨害を続け、トランプ当選後は彼を弾劾や辞職に追い込むべく活動している。ディープ・ステイト派官僚が行なう情報リークと大手マスコミが一体となってアメリカ社会にアンチ・トランプ・ムードを蔓延させているのである。

 ディープ・ステイト派官僚のいう「リベラルな政策」とは、民主国家アメリカを解体させるような政策である。彼らは移民法の厳格な執行や、社会福祉詐欺の取締りを妨害し、環境条例の規制緩和に反対している。コミー前FBI長官やモラー特別検察官やローゼンスタイン副司法長官などはディープ・ステイトのこの目に見える氷山の一角に過ぎないのだ。


 ディープ・ステイトというような具体的な抵抗組織があるかどうかはともかくとして、事実上、連邦政府内のリベラル派官僚はトランプの当選を阻む為に、そして当選後はトランプを辞職に追い込むべく、様々な謀略を巡らしてきたのは否定の出来ない事実である。

リベラルメディアの堕落

 ウォーターゲート事件では、ニューヨークタイムズを始めとする大手リベラル派マスコミはこれを「権力の犯罪」として鋭く糾弾した。ニクソン大統領はこれに抵抗できず、大統領弾劾を待たずに辞職する道を選んだ。しかし現在、オバマ政権による選挙干渉と権力犯罪が明らかになったにも関わらず、リベラル派マスコミは一向に声を挙げようとしない。現在のアメリカでは、デモクラシーの基礎を成す法治主義、言い換えれば「法の支配」そのものが危機に瀕しているのである。時の政権が、自らのお仲間(クローニー)を当選させる為に、政府機関を使って策謀することが許されるならば、法の支配は最早、ないも同然である。そしてこのデモクラシーを危機に陥れる権力犯罪の責任が厳しく糾弾されなければならない。追求の矛先は当然、オバマ前大統領自身にも向かうことになるだろう。にも関わらず、リベラル派マスコミは、このデモクラシーの根幹を揺るがす権力犯罪に対して、沈黙を保つのみである。それだけではなく、有りもしないロシア・ゲート事件をいまだに騒ぎ立てている。保守派の権力犯罪は許せないが、リベラル派の権力犯罪なら許すとでもいうのだろうか。それではそもそも法の下の平等も、そして法治主義そのものも否定することになるのだ。アメリカのリベラル派メディアの堕落はここまで来ている。

「ヌーネス・メモ」が暴いた 恐るべき権力犯罪

 米下院情報委員会のデビン・ヌーネス委員長(Devin Nunes:共和党・カリフォルニア)は2018年1月18日に委員会として、FBIや司法省の不正行為を調査した結果を1つのメモにまとめた。これは、下院情報委員会のメンバーが司法省やFBIの内部機密文書を査読し、その調査結果をまとめたものである。

米下院情報委員会のデビン・ヌーネス委員長

 文書自体は機密扱いされているため、査読した下院情報委員会のメンバーも、その内容について公にすることが出来ずにいたが、ヌーネス委員長が調査内容に基づいてメモを作成したのである。このメモ自体も当初は、機密扱いであったが、これをトランプ大統領が2月2日に機密解除することによって一般に公開された。ヌーネス委員長は、デモクラシーと法の支配を守るために、FBIや司法省の違法行為を鋭く追及する立場である。

 ヌーネス・メモの本文は、たった3ページと3分の1ほどの簡潔なものであるが、その意味するところは重大である。以下、ヌーネス・メモの要点を紹介しよう。

 ●2016年の米大統領選挙の際にFBIがトランプ陣営を情報監視していた。

 ●直接の情報監視の対象となったのは、トランプ大統領候補の外交問題アドバイザーであったカーター・ペイジ(Carter Page)氏である。

 ●当然、FBIと司法省は、何故、カーター・ペイジ氏とトランプ陣営を情報監視しなければならないかの理由を外国情報監視裁判所(FISC)に申請しなければならない。その申請理由が説得力のあるものであれば、FISCは情報監視許可を出すことになる。

 ●ところが、FBIと司法省が提出した「証拠」は、実は「スティール・レポート」と呼ばれているものであった。この「スティール・レポート」はイギリスの対外諜報機関MI6の元ロシア課に所属していたクリストファー・スティール氏が執筆したものであった。ところがスティール氏をカネで雇い、トランプ候補を中傷するレポートを書かせていたのは、ヒラリー・クリントン陣営と米民主党全国委員会なのであった。(初期にクリストファー・スティール氏に反トランプのレポートを依頼したのは、共和党大統領予備選におけるトランプのライバル候補であったと言われている。)

クリストファー・スティール氏

 ●司法省とFBIは、誰が「スティール・レポート」を書かせたかという、その出所を隠蔽したまま「スティール・レポート」の内容を客観的な証拠と見せかけて、FISCの裁判官達を騙して、トランプ陣営の盗聴・情報監視許可を入手していたのであった。

 ●「スティール・レポート」の内容は、全くのガセネタであり、トランプ陣営とロシア側が共謀しているという全く根拠のない偽情報であった。

 「ヌーネス・メモ」を詳しく読んでいくと、次のような事実も分かる。

 ●司法省とFBIが、上記の外国情報監視裁判所に出した申請書を見ると、2016年9月23日にYahoo!ニュースが報じた情報が引用されている。これはトランプ陣営とロシア側の共謀を主張するものであった。著者はマイケル・イシコフで、カーター・ペイジ氏が2016年7月にモスクワを訪問したことを取り上げている。このニュースが謂わば、傍証であるということで、外国情報監視裁判所に提出されたのであるが、このYahoo!ニュースの情報源になっていたのがクリストファー・スティール氏自身なのであった。だからYahoo!ニュース自身は傍証にもならず、情報源は同じクリストファー・スティールだということが確認された。

 ●実はクリストファー・スティール自身が、2016年9月に他のメディアともコンタクトしていた事実が明らかになっている。スティールは、FBIの情報提供者として認知されていたが、そういった人物はマスコミとコンタクトし、情報を提供することは禁止されている。スティール自身は10月30日に、情報提供者不適格ということで排除された。

 ●スティールは情報提供者として排除される前も排除された後も、司法省次官補のブルース・オア(Bruce Ohr)とコンタクトを続けていた。スティールは2016年9月の時点でオア次官補に対して、トランプに対する極端な嫌悪感を伝え、「トランプの大統領当選を何としても阻まなければならない」と語っている。

 ●しかもこのオア氏の夫人は、フュージョンGPS社の職員であった。フュージョンGPS社はヒラリー・クリントン陣営とクリストファー・スティールを繋いだ仲介機関である。フュージョンGPS社がスティールを直接雇い「スティール・レポート」を書かせた。ヒラリー・クリントン陣営と米民主党全国委員会は、弁護士事務所を通じて、フュージョンGPS社に代価を支払い、その資金がスティールに渡されていた。

 単純化していうならば、ヒラリー・クリントン陣営とFBI幹部が、トランプ追い落としの為に共謀して、違法なトランプ陣営の情報監視を行なっていたのである。これを実証した動かぬ証拠が「ヌーネス・メモ」なのである。

 尚、これに反論する為に、下院情報委員会の民主党委員が、2018年2月24日にメモを公開した。執筆したのは、アダム・シフ下院議員である。これは10ページのメモであり、表面上はヌーネス・メモに反論するものである。しかし、2月25日のウォール・ストリート・ジャーナルによれば、このシフ・メモは詳細に読めば、ヌーネス・メモを裏付けるものでしかない。つまり「スティール・レポート」こそがFBIがトランプ陣営を情報監視する主要な証拠として提出されており、しかもそのスティール・レポートを誰が書かせたかは隠蔽されていたのである。シフ・メモはこの2つの事実を覆すものではない。

副司法長官自身が否定した ロシア・ゲートの存在

 所謂「ロシア・ゲート」でロシア人13人とロシア企業3社を起訴したのを受け、ローゼンスタイン副司法長官が2月16日に行った発表の中で、重要なのは次の様な事実である。

 ●複数のロシア人やロシア企業が2016年のアメリカ大統領選挙に影響を与えようとしたのは事実。

 ●しかし、これらロシア人の犯罪行為に、実情を知りながら加わったアメリカ国民は一人もいなかった。

 ●又、ロシアのこの違法工作によって、アメリカ大統領選挙の結果が変えられることもなかった。

 ●更に、プーチン大統領やロシア政府がこういった政治工作にかかわった証拠は何一つ発見されていない。

 中でも最も重要なのは、「実情を知りながらロシアの情報工作に参加したアメリカ人はいなかった」という点であろう。記者会見でも副長官はこの点を強調していた。この言葉をそのままに受け取れば、当然「ロシア側とトランプ陣営が共謀した選挙活動はなかった」という結論になる。というか、それ以外の結論を下すことは不可能である。

 モラー特別検察官の任務は「トランプ陣営がロシア政府と共謀して、大統領選挙の結果を歪めたのではないか」という疑惑の捜査だが、「そういった事実はなかった」ということが起訴を通じて明らかになったのである。「ロシア・ゲート」なるものが全く存在しないことを、モラー特別検察官とローゼンスタイン副長官が証明してみせたのだから、皮肉な結果である。ちなみにローゼンスタイン副長官は、コミーFBI長官などと共に、トランプの大統領選当選を妨害しようとした司法省高官の一人であり、モラー特別検察官と共謀していると批判されている。要するに、「ロシア・ゲート」は最早、完全に終わったのである。

 勿論、今後、別の事実が発見され、新たなる人物が起訴されるという天文学的な可能性は存在する。しかし、それ以上の可能性を議論することは神学論争になってしまうだろう。

反撃に出たトランプ陣営

 ロシア・ゲートが存在しないことは明らかになっても、モラー特別検察官などはトランプ大統領の個人弁護士マイケル・コーヘン氏に嫌がらせ的な捜査をして、トランプへの抵抗を続けている。しかし最早、勝負あったというべきだろう。

 トランプ陣営は反転攻勢に出ている。2018年5月21日、トランプ大統領は、自らの陣営が2016年の大統領選挙で、FBIによって、政治目的のために情報監視されていたかどうか調査するよう司法省に正式に命じた。焦点は、オバマ政権関係者がそのような要請をFBIに行なったかどうかである。状況を考えれば、オバマ大統領自身がトランプ陣営へのスパイ行為を命じた可能性が疑われる。もしセッションズ司法長官やローゼンスタイン副長官が大統領命令に従わなかったら、トランプは彼らを更迭する事が出来る。

 6月14日、司法省のマイケル・ホロウィッツ監察官はヒラリー・クリントンのメール問題で、報告書を提出した。報告書でコミーFBI長官やリンチ司法長官の判断ミスを指摘したが、違法行為はなかったと結論づけたのだが、早速、翌15日、トランプは「ホロウィッツ監察官の捜査は完全に偏っており、結論は間違っている」と批判した。監察官自身は司法省の役人であり、司法省やFBIを弁護する立場に終始している。

 それにしても、ウォーターゲート事件を上回るこれだけの大事件を一切、報道しない日本のマスコミとは一体何なのだろうか?

■ふじい・げんき 昭和27年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。米クレアモント大学大学院を経て、ハーバード大学大学院博士課程修了。著書に『日米対等』(祥伝社)

【私の論評】日本メディアのトランプ・安倍報道は最初から色眼鏡でみて疑え(゚д゚)!

オバマ・クリントンゲート事件に関して、これほどまとめて報道されたのはブログ冒頭の記事以外においては、日本おいては皆無だと思います。そのため、今回はこの記事を掲載させていただくことにしました。

ブログ冒頭の記事の内容に関しては、このブログでも過去に掲載したきたものも多いです。ただし、このブログでの紹介は、断片的なものを何度も掲載してきたため、上の記事のようにまとまったものではありませんでした。

それにしても、私自身はブログで何度かこの件について事実を調べつつ掲載してきたので、ロシア・ゲートなる疑惑は、虚構に過ぎないということはしっかりと把握していましたが、そうではない人も大勢いるということを改めて知り、驚いています。

ヒラリー・クリントン陣営とFBI幹部が、トランプ追い落としの為に共謀して、違法なトランプ陣営の情報監視を行なっていたのは、昨年の暮あたりには明らかになっていました。これを実証した動かぬ証拠が「ヌーネス・メモ」なのです。

最近は、ロシア・ゲートについてはほとんどテレビで報道しなくなったので、この件については日本のマスコミもロジア・ゲート疑惑は虚構に過ぎないことを理解してのことかとも思っていたのですが、そうではないようです。

私自身は、ニュースの入手先は、テレビや新聞ではなく、ネットによるものがほとんどあり、米国に関することは、保守系も含む米国のサイトも直接見ているので、やはり日本国内の一般の人とは感覚が少し違うということに改めて思い知らされました。

まさに、藤井厳喜氏が語るように、「安倍首相のモリカケ問題と一緒で、反対勢力は騒いでいますが、全く実体は存在しなかったのです」であり、そのことがほとんど日本国内では報道されていないのです。これについては、つい最近もこのブログに掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
米ロ会談が酷評でも支持率上昇のトランプ―【私の論評】日米マスコミの報道は鵜呑みにできない、特に総理と大統領関連の報道はそうだ(゚д゚)!
ベルギーの首都ブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、
北大西洋理事会の会合の会場に到着したドナルド・トランプ米大統領(2018年7月11日)

 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分のみ以下に引用します。
そもそも、このブログでも過去に何度か述べているように、米国のマスコミはリベラル派が牛耳っています。新聞はすべてが、リベラル派です。テレビ局では唯一フォックスTVだけが、保守派で他はリベラルです。 
報道する時の視点はすべてリベラル派の視点からによるものです。米国のマスコミの報道だけを見ていると、それは米国の半分だけみていることになり、もう半分の保守派についてはスルーすることになります。 
それは、日本の安倍総理の報道も、産経新聞などを見ることなく、朝日新聞やテレビ報道を真に受けていれば、とんでもないことになると同じことです。 
日米双方とも、マスコミの大部分は偏向しているとみなすべきです。そもそも、両方ともトランプ大統領の登場を予測できませんでした。そんなマスコミを単純に信じ込むことはできません。
ニューズウィーク日本版は、今年の3月5日以下のような記事を掲載していました。
トランプ、習近平を「終身国家主席」と賞賛 「米国でもいつか試したい」
トランプ米大統領は3日、中国共産党が国家主席の任期撤廃案を明らかにしたことに関し、無期限で任期を務められることになるとして習近平国家主席を称賛した。CNNが報じた。 
撤廃されれば、習氏は2023年以降も続投できることになる。 
CNNによると、フロリダ州での非公式な資金集めイベントでトランプ大統領は「習氏はいまや終身大統領、終身大統領だ。そして、習氏は偉大だ」と発言。「そして、習氏にはそれが可能だった。素晴らしいことだ。われわれもいつか試してみなくてはならないだろう」と述べ、支援者から拍手を浴びたもようだ。 
トランプ大統領が米大統領の任期延長について発言したものか、冗談だったのかは不明。ホワイトハウスからのコメントは得られていない。 
民主党下院議員のロー・カンナ氏はツイッターで「これが冗談だったのかどうかにかかわらず、習氏のように終身大統領(国家主席)となることに言及するのは、米国の大統領が明らかにした心情として最も米国的らしくないものだ」と述べた。 
米国の大統領は、ルーズベルト大統領が1932年以降4回選出された以外は、慣例的に2期(1期は4年)が最長となっていた。1951年の憲法改正後、任期は最長2期と定められた。
このCNNの報道は日本版ニューズウィークばかりではなく多くのメディアが引用していました。

トランプ大統領は、習の「終身国家主席」は、「すばらしい!」といっています。ところがその一方で、対中強硬派を政権につけ、貿易戦争を大々的に開始しました。トランプ大統領の行動を見れば『主席任期撤廃』を期に反中に旋回しています。トランプ氏の本心はどちらなのでしょうか。

その本心に近づくには、10年前のトランプ氏の著書が役立つかもしれません。

トランプ大統領は、ビジネス本の分野でのベストセラー作家でした。10年前に出版されたロバート・キヨサキとの共著『あなたに金持ちになってほしい』を読むとトランプ氏がビジネスの世界で「自分を表現する」ことに特別の価値観を認めている人物であることがわかります。


私も耳にしたことがあるが、従業員なのに「まるで会社が自分のものであるかのような働きぶりだ」と評判の立つ人がいる。自分が会社のオーナーであるかのように、その成功を唯一の目的に一途に働く人たちだ。自分のビジネスを持ちたいと思ったら、一つの目的に向かって献身することが必要だ。例えば、ビジネスオーナーには労働時間に制限はない。何日も休まずに働くことさえある。それに、最終的な責任はすべてオーナーにかかってくる。 
私はそういう責任を負うのが好きだ。自信が湧いてくるからだ。疲れるどころか、エネルギーを与えてくれる。そういうプレッシャーを楽しめないという人もいるが、そういう人は従業員のままでいた方がいい。 
もちろん、自分のビジネスを持つことには、誰の目にも明らかなご褒美がついてくる。それは説明するまでもないだろう。一度自分のビジネスを持つと、他人のために働く生活に戻るのはむずかしくなる。どう考えてみても、この二つの世界は違う。 
だからこそ、自分の船の船長であり続けるために、あれほど一生懸命に働こうという気にもなるのだ。自分のビジネスを持てば、あなたは毎日自分に向かってこんなふうに言うことができる。「すべては私から始まる―今、ここで、今日!」これは実にすばらしい気分だ。 
自分のビジネスを持つのは木を育てるようなものだ。ビジネスも季節の変化や嵐を乗り越え、美しい夏の日や冬の猛吹雪を経験して生きる生命体だ。それは成長を続けるものであり、文字通り自分自身を表現するものでもある。私が、自分のやることの品質管理に細心の注意を払っている理由の一つがここにある。 
自分を表現するものが何かあったら、自分の知るかぎり、あるいは達成できるかぎりそれを最良のものにしておきたい。そうすれば、自分に対するハードルをどんどん高くすることができるし、決して退屈しなくてすむ。そのことは保証してもいい。
トランプ氏にとって勤勉はとても重要な価値なのです。ビジネスの目的は、金を稼ぐことではなく、「木を育てる」ようなものなのです。金はその結果としてついてくるのです。これは典型的なピューリタニズムの原理です。3度の結婚、派手な女性関係、贅沢な生活などは、トランプの上っ面で、本質はとても真面目で仕事を通じて社会に貢献したいという信念を持っている人物なのです。

さらにトランプ氏は、自由という価値を重視しています。
会社勤めをしていて退屈な仕事があったとしても、会社をやめる以外にできることはほとんどない。でも、自分のビジネスならば自分でコントロールすることができるし、それはより多くの自由があることを意味する。「自由」というのはなかなか興味深い言葉だ。 
なぜなら、自由にはふつう代価が伴うからだ。ビジネスオーナーのほとんどは従業員よりも何時間も多く働いているが、他人のために働く方がましだと言う起業家に私はお目にかかったことがない! ただの一度も……。 
「自分を表現する」という話は、特に芸術や文学に関して、みんなどこかで聞いたことがあるだろう。ビジネスでも自己表現が可能だ。私はビジネスも一つの芸術だと思っている。鍛錬、技術、忍耐力など、ビジネスと芸術には多くの共通点がある。表現の自由もその一つで、それこそが、ビジネスオーナーであることが特にすばらしい理由だ。 
自分がやりたいことについてビジョンが湧けば、私はそれに取り組み、実現させる。もちろん、土地の用途規制などその地域の規則には従わなければいけないが、アイディアやそれを実現するためのパワーは私の中にあって、誰にも邪魔されることはない。こういうのはすごく気分がいい! 
人がインスピレーションを受けるのには、何らかの理由がある。インスピレーションはやる気を起こす源だ。インスピレーションが湧き上がっても、それに注意を向けないでいると、人は欲求不満に陥る。インスピレーションを持っていて、それをもとに勤勉に、集中してやり続けることができる人には、自分のビジネスを持つことを考えてみるように勧める。 
ほかのことをやるより大きな見返りがあるし、「自分でまいた種を自分で刈り取る」という古いことわざはここにも当てはまり、きっと大きな収穫を得ることになるだろう。これは考えてみるだけの価値がある。
インスピレーションに基づいて、「自分に対するハードルをどんどん高く」しているうちに、トランプ氏は、アメリカ合衆国大統領になってしまったのです。

第三者的に冷静に観察すると、トランプ氏の主張は、国内的には米国人に勤勉さを取り戻すことを訴えています。そして、勤勉さに相当する報酬が得られるシステムを構築しようとしています。外交面では、米国にとって、直接的な利害関係のない問題には関与しないという非介入主義です。

しかし、直接的な利害関係のある問題には関与するということです。勤勉であり、自由を愛するトランプ氏は、中国の価値観とは真っ向から対立することになります。

そもそも、中国は民主化されておらず、政治と経済も分離されておらず、法治国家化すらされていません。典型的なピューリタニズムの原理に基づき行動する典型的な米国の保守層に属するトランプ氏はもともと、中国とは価値観を共有することはできません。

トランプ氏にとっては、ピューリタニズム的な勤勉が報われるような社会にしたいとこですが、それを邪魔するのが、中国なのです。中国による、知的財産権の侵害はもとより、中国にの現体制化における米国との貿易は、そもそも米国の勤労者にとって不利益をもたらすものであるというのが、トランプ大統領の考えです。

 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(マックス・ヴェーバー著、
大塚 久雄訳、岩波文庫)の中の挿入画 ピューリタニズム的な勤勉の原点が掲載されている

そうして、トランプ氏の典型的なピューリタニズムの原理に基づく行動こそが本来米国の富を築いてきたのですが、この原理にもとづく行動は、現代の米国のリベラル派からすれば、過去に戻るというだけであって、せっかく長年かけてリベラルが気づいてきた社会に逆行するものでしかないわけです。

ただし、米国ではリベラル派がマスコミはもとより、政治や学問の世界、ありとあらゆるところで、主流派となったので、本来米国の人口の半分近くを占めるはずのビューリタニズム的な勤勉をバックボーンとする保守層の考えはごく最近まですっかりかき消されてきたといのが現実でした。

半分の人々の考えを無視するというのは、とても民主的なやり方ではありません。かといつて、保守が主流となってしまうというのも、民主的ではないです。保守とリベラルがどこまで、価値観を共有できるかが鍵です。

トランプ政権下では、米国が外交面で内政面でも本格的にチェンジ(変化)する可能性が大です。

以上のようなことを日本のマスコミは全く無視しています。日本のメディアによるトランプ大統領報道、安倍総理報道は最初から色眼鏡でみて疑うくらいが丁度良いです。

2016年12月20日火曜日

中国が抗議…空自「妨害弾」の真実 オスプレイ報道も疑問 ジャーナリスト・桜林美佐氏が迫る―【私の論評】日本のマスコミ、翁長知事、民進党は中国スパイでなくて馬鹿であって欲しい(゚д゚)!


那覇基地からスクランブル発進する、航空自衛隊のF15戦闘機
 

中国軍機6機が10日、沖縄本島と宮古島の間を通過した際、航空自衛隊のF-15戦闘機がスクランブル(緊急発進)した。当然の防衛行動だが、中国国防省は「空自機が『妨害弾』を発射して安全を脅かした」と発表し、日本政府は「事実と異なる」と反論・抗議した。日本に迫る危機について、ジャーナリストの桜林美佐氏が迫った。

「クリーピング・エクスパンション」とは、ほふく前進でいつの間にか敵の陣地を奪うことをいう。中国がまた歩を進めてきた。

沖縄での件について、中国が主張する「妨害弾」が、何を指すかは不明だ。仮にミサイルを欺瞞(ぎまん)するフレアが発射されたとしても、それは危険回避のための措置であり「防御弾」と言った方がいいだろう。

防衛省はフレア使用を明白にしていない。ハッキリしているのは、現場空域で、中国機がかなり危険なことを仕掛けてきていることと、あらぬ言い掛かりをつけてきていることだ。

気になるのは「戦闘機にはパイロットが乗っている」という当たり前のことを、国民が忘れているのではないかということだ。危険にさらされているのは鉄の塊ではなく、生身の人間なのだ。

連日のように、中国軍などによる恫喝(どうかつ)を受けて、命のやり取りをしているのだとしたら、どのような精神状態だろうか。案じる理由は、日本独特のいびつな状況にある。

防衛ジャーナリストになる以前の桜林美佐氏
元戦闘機パイロットで、航空自衛隊南西航空混成団司令を務めた佐藤守・元空将は「万が一、沖縄県・尖閣諸島上空で、『領空侵犯事態』が起きた場合、どうすべきかが問題です」という。

今回のスクランブルを「領空侵犯機」への対応と捉えるような記事の見出しが散見されるが、正確ではない。自衛隊はあくまでも「領空侵犯を阻むための措置」をしているのである。

しかし、一線を越えられてしまっても、法的には撃墜はできないことになっている。安全保障法制論議でも忌避された法的不備を、政治はどうするつもりなのか。

佐藤氏は「毅然として、列国空軍と同様の対応を取ることが必要です。中国の戦闘機が反抗してきたなら撃墜することです。必ず撃墜しなければ相手がつけ上がるばかりです」という。

そのための法的根拠がなければ、国の意志が示されないことは言うまでもない。責任まで現場に丸投げは許されない。

さらに、ひどいのは一部マスコミだ。

まさに一触即発の防空がなされている最中、空自基地で情報管理のために通話記録を任意で集めたとして、批判的記事が出ていたのには驚いた。

沖縄で不時着したオスプレイ
 沖縄でのオスプレイ事故も、米軍パイロットは乗員の命を守り、沖縄県民も被害に遭わせない、ギリギリの操縦をした。熊本地震の救援にも駆け付けた人物という。報道は批判一色で、同盟国の軍人に対する、お見舞いの言葉も見られない。中国には数日後にやっと抗議したのに、米軍にはすぐに苦言を呈した。

一体、日本の置かれた状況を分かっているのだろうか?

【私の論評】日本のマスコミ、翁長知事、民進党は中国スパイでなくて馬鹿であって欲しい(゚д゚)!

現在の日本の対応は、領空侵犯前に所属不明機等が防空識別圏に侵入した場合は戦闘機が緊急発進し、所属不明機に張り付きます。同時に、無線と戦闘機による警告が実施され領空侵犯が確実と場合は警告射撃を行い、強制着陸をさせます。

実例として、1987年12月9日に発生した対ソ連軍領空侵犯機警告射撃事件があります。この時は領空侵犯機がTu-16J型機でしたが、堂々と沖縄上空を飛翔しています。

領空侵犯の時点で迎撃に上がった航空自衛隊第302飛行隊所属のF-4EJ戦闘機2機の内1機が警告射撃を実施していますが効果はなく、悠々と空域を離脱したそうです。

このようときのロシアのTu-16Jように警告に従わず、領空を侵犯する所属不明機を撃墜するような規定は日本にはありません。

ただし、攻撃されは場合は、その限りにはありません。たとえば、国籍不明機が武装して1直線に原子力発電所に向かっている状況があれば防衛大臣は総理大臣に報告して決断を迫ることになるでしょう。

総理大臣が、防衛出動を命じて撃墜と同時に解除してしまえば国会承認は必要ありません。自衛隊法では防衛庁が政府に出動の承認は求める必要性はあるものの、出動の可否は求めていません。

中国機が明らかに日本のいずれかの場所に攻撃を加えることが明らかな場合は、内閣総理大臣の責任において、無論反撃することは可能ではあります。

緊急事態に決断力のない総理大臣を筆頭とする軟弱な内閣が現れない事を祈るしかありません。いずれにせよ、おそらく、映画「シンゴジラ」での官邸でのやりとりのような事が行われてからようやっと動くということになると思います。


この映画を観ていたとき、官邸の頓珍漢な動きに、周りで視聴していた多くの人から笑い声が巻き起こりました。シンゴジラへの対応を決定する意思決定がもどかしいので、それをおかしく感じたのでしょう。

しかし、あの対応はもしほんとうにシンゴジラのような生物が存在し日本に上陸した場合、あのような対応にならざるをえないというが実情です。

一番恐ろしいのは、上の記事で桜林さんは、直接指摘はしていませんでしたが、中国が明らかな意図をもって、自衛隊の航空機に攻撃を加えようとしたり、日本のどこかを爆撃しようとした場合、その対応するのに、それこそシンゴジラへの対応のように、すぐに意思決定ができない場合、失わなくても良かったはずの、最前線の戦闘機のパイロットの命は、最前線の基地などの自衛隊員の命が奪われてしまうことです。

失う必要もなかった、自衛隊員の命が奪われてからはじめて、今のままでは、反撃に移るという愚かなことが起こってしまうこともあり得るのです。

このような危機については、マスコミや野党などもほとんど取り上げません。

しかし、オスプレイの不時着となると、マスコミや沖縄県など全く筋違いの批判を繰り返したりします。

オスプレイが墜落したというのなら、まだしも、不時着したことをあそこまでセンセーショナルに伝える必要性など全くありません。

米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの飛行再開を受け、民進党など野党や沖縄県側は19日、「拙速な飛行再開は沖縄県民の気持ちに寄り添っていない」(大串博志民進党政調会長)などと、飛行再開に理解を示す政権への攻撃材料とする構えを見せました。ですが「拙速」と判断する根拠は弱く、「オスプレイは危険」というイメージばかりが先行しています。

そもそもオスプレイが24年10月に米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備された際、同機の安全性を強調したのはほかならぬ民主党政権でした。オスプレイの10万時間当たりの事故率は昨年9月時点で2・64で、他の海兵隊機も含めた平均値と変わりがありません。

今回の事故は、空中給油訓練中のMC130特殊作戦機の給油ホースと接触したオスプレイのプロペラが損傷し、飛行困難となったことが原因です。米軍は「搭載システム、機械系統、機体構造を原因とするものではない」と説明しています。


翁長氏らは、今回の事故が「不時着」ではなく「墜落」だと主張し、重大な事故と印象づけようともしているようです。ですが、自衛隊のあるヘリコプターパイロットは「残骸は1カ所に固まっており、狙ったところに着陸した証拠だ。『墜落』ならバラバラになる」と証言しています。これは、オスプレイの不時着現場をみれば、誰でも容易に理解できるのではないでしょうか。

下の写真は、ノルウェーのヘリコプターが墜落したところの現場写真です。この事故では、13人が死亡しています。機体はバラバラになってあちらこちらに散乱している状態です。


写真に写っているのは、ローターの一部だと思われます。

オスプレイというと、中国にとってはまさに「悪魔のヘリコプター」です。なぜなら、航続距離が異常に長いからです。沖縄のオスプレイは、給油をしながら、ネパール震災のとき沖縄からネパールに直接飛行して、現地入りしました。

普通のヘリコプターだと航続距離が短いため、給油をしてでさえ沖縄からネパールまで直接飛行することは不可能です。ヘリコプターを遠いところに運ぶ際には、分解をして船や、車両に載せて現地まで運び、それをまた現地で組み立てるということになります。しかし、そんなことをしていては、被災地の支援には間に合いません。

しかし、オスプレイは給油しながらであれば、沖縄からネパールまで直接飛行することができます。これは、他のヘリコプターにはできない芸当です。

この意味するところは、給油さえすれば、オスプレイで中国全土のどこへでも、兵員をピンポイントで輸送できることを意味します。

中国側からみれば、習近平氏個人をオスプレイを使って、拉致することも可能であるということです。あるいは、中国に対して軍事作戦をする際に、本当に中国の軍事上の拠点で、弱点となるところに、ピンポイントで兵員を輸送できることを意味します。

これは、日米にとっては、安全保証上の優位です。まさに、日米にとっては「天使のヘリコプター」です。

しかし、日本のマスコミや野党、翁長知事などは、まるでオスプレイを「悪魔のヘリコプター」呼ばわりしています。これでは、彼らのことを、中国スパイか余程の馬鹿であると断ずる以外に理解のしようがありません。

私としては、彼らが馬鹿であって欲しいと思います。なぜなら、馬鹿はかなり難しいかもしれませんが、心を入れ替えたり、本気で物事を知るように努めれば、まだ治る見込みもあるからです。しかし、中国スパイであれば、治りようがありません。一度スパイを働いたものは、もう元には戻しようがありません。日本国、日本国民の敵です。
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