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2019年10月21日月曜日

NBAの中国擁護が米国団体にとって今に始まったことではない理由―【私の論評】いずれ中国は、世界市場から完璧に弾き出るよりしかたなくなる(゚д゚)!


    レブロン・ジェームズの中国への渡航は、大部分は商品を販売することだが、
    利益のために道徳を犠牲にすることの最新事例に過ぎない

<引用元:ニューヨーク・ポスト 2019.10.19>スティーブン・W・モッシャー氏(人口研究所(Population Research Institute)所長で、「Bully of Asia: Why China’s ‘Dream’ is the New Threat to World Order」の著者。)による寄稿

レブロン・ジェームズは、中国での「状況について教育を受ける」必要性について他人に説教してもいいが、世間知らずの人間だ。その共産主義大国に約20回――おそらくその合計で何千万ドルも稼いだことだろう――訪れているにもかかわらず、自分のギャラを支払ったのがどのような怪物なのか全然わかっていないようだ。

レブロン・ジェームス

香港の人々――レブロンはその人たちが自由を求めて必死に戦っていることを無視したいようだが――は、もっとよくわかっている。中国共産党が国境の向こうで支配しているのは単なる警察国家ではなく、13億の国民を常に監視することを文字通り目標とする世界最先端の刑務所だと理解している。

香港の人々は、共産党が世界最大の強制収容所ネットワークを管理しており、何百万もの政治犯と少数民族がそこで安価な輸出用製品の製造を強いられていると知っている。

少しでも国を分断させようとするなら「体は打ち砕かれ骨は粉々に」なるだろう、と中国の習近平主席が警告したことを彼らは知っている。最後に、米国が自分たちの苦境に対して無関心を示せば、習が悪質な脅しを行動に移す可能性がよりいっそう高くなると知っている。

いうまでもなく、中国にへつらうのはレブロン・ジェームズとNBAだけではない。米国の個人と団体――それが最も裕福で高名であっても――は、米中関係のまさに初期から中国に頭を下げてきた。

富を追及して、米国企業は1980年代から北京の政権と協力してきた。何百もの米国企業は、中国が奴隷のような条件で進んで提供する安価な労働力を巧みに利用するために工場を作り、その過程で米国の労働者を裏切った。

現在でも米国のハイテク企業は、中国が自由を損ねるほどに監視国家を築くのを手伝い続けている。グーグルが人工知能開発で中国との協力を継続しているのは1つの例に過ぎない。

これまでの一連の政権は、蔓延する人権侵害をほとんど無視して、米国人に中国での投資を奨励してきた。例えば1989年に北京の街で1万人の学生が意図的に虐殺されても、当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領が親中政策を断念するよう説得するには不十分だった。

米国の数十年にわたる中国融和政策の邪魔をする人は誰でも――香港を支持するツイートをしたヒューストン・ロケッツのダリル・モーリー・ゼネラルマネージャーがそうしたように――犠牲にならなければならなかった。

私に尋ねてくれ。知っているからだ。裏切られたのは私が最初だった。そして実にスタンフォード大学ほどの一流の機関によって、だ。私は人類学で博士号の最後の仕上げをしようとしていた。1949年以来中国で研究する初めての米国人社会科学者に選ばれたためだ。私は到着した時にぎりぎりで、中国が新たに発表した一人っ子政策の恐怖の目撃者となった。

私の「犯罪」は、中国が若く妊娠した母親たちを逮捕し、刑務所に入れ、堕胎させたことを本で非難した事だった。

中国はこれを「中国国民に対する攻撃」と解釈し、大学に私に対する「厳しい処罰」を要求した。そしてスタンフォード――世界の一流大学の1つ――は屈服し、私が獲得した博士号を否定し、私を解雇した。

スタンフォードを屈服させた脅しは何だったのだろうか?

スタンフォードは、私の情報提供者が危険にさらされたことを懸念したと主張したが、これは人類学的な倫理に違反しており、私は排除された本当の理由を知っていた。つまり中国は、スタンフォードの学者を全員無期限に中国から追放すると脅していたのだ。

私の件に関する臆病さはカーター政権のトップにまでずっと拡大した。カーター政権国家安全保障会議ですらスタンフォードに中国の要求に従うよう強く促した。

中国は米中学術交換プログラム全体を中止すると脅していたことが判明した。

NBAを追放すると脅したのと全く同じだ。

このパターンがわかるだろうか?

「アジアのいじめっ子」の初期動作――嫌いなものを見る時の――は脅迫することだ。

幸運なことに、我々の今の大統領には屈服する習慣はない。ピーター・ナバロ通商顧問とロバート・ライトハイザー米国通商代表の協力を得て、トランプ政権ホワイトハウスは融和政策の終了を提唱しており、議員と企業役員の両方に中国に対抗するよう――また米国の典型的な自由の価値観と表現の自由を支持するように強く促している。

それがとても良いことだと思わないのであれば、香港の抗議者たちに尋ねてみることだ。

【私の論評】いずれ中国は、世界市場から完璧に弾き出るよりしかたなくなる(゚д゚)!

10月上旬は特に、米国の団体・企業などが中国から締め出しを受けたり、怒りを買ったケースが多発しました。
・10月2日に中国で放送されたアメリカの人気アニメ「サウスパーク」の内容が、中国の政治犯に対する弾圧を批判。習近平国家主席をくまのプーさんになぞらえるなど、当局を刺激するものだった。7日に中国での放送中止が決まった。 
・10月7日、「ティファニー」の広告画像で、モデルの女性の右目を手で覆い隠すポーズが反発を受けた。8月にあった香港デモに参加の女性が、警官の撃ったゴム弾を右目に受けて負傷したことで、一時デモ参加者たちが右目に眼帯をしたり、右目を右手で覆って負傷女性への連帯と香港警察への抗議を示した。広告にはその意図は無かったが、ティファニーは広告画像を削除した。 
・10月8日、中国共産党機関紙「人民日報」(電子版)が、iPhone用の香港の地図アプリ「HKmap Live 」を香港デモを支援するアプリだと批判。10日にはAppStoreに表示されなくなってしまった。 
・10月11日、アメリカの人気DJであるZEDD(ゼッド)がTwitterで「(前出のアニメ)サウスパークのツイートを『いいね』したら、中国から永久に入国禁止を受けた」と明かした。
こうしたなかでひときわ大きな話題となったのがNBAでした。10月4日、NBAヒューストン・ロケッツのダリル・モーリーGMが香港デモへの支持をTwitter上で示すと、中国で瞬く間に反発が拡大。中国バスケットボール協会はロケッツとの提携関係の見直しを発表し、中国での配信権を持つIT大手のテンセント(騰訊)は一時、NBAの試合の配信を中止しました(14日から再び配信を行っています)。

さらに中国で予定されていたNBA関連イベントや、国営放送でのプレシーズンマッチの放送が中止になるなど、影響が続きました。

NBAは約30年前から中国と関わり始めました。ロケッツで活躍し、現在は中国バスケ協会の会長でもある姚明(ヤオ・ミン)氏がNBA入りした約20年前から、中国市場への投資が本格化しています。ロケッツ同様、他のNBA各チームも中国でのビジネスに力を入れています。

今回の事態を受け、NBAの公式スポンサーになっていた中国企業25社中12社がスポンサーの取りやめ、または一時停止を発表。現地メディアの中新網は「ロケッツは年間4億元(現在のレートで約60億円)を損失し、NBAに至ってはさらに多いだろう」と指摘しました。

ロケッツのダリルGMは、中国からの反発を受け、当該ツイートを削除。10月7日には「自分のツイートが中国のロケッツファンや友人たちを不快にさせるつもりはなかった」と投稿しましたが、反発はまだ収まっていません。

ロケッツのダリル・モーリーGM
ちょうどその時期、ロケッツとトロント・ラプターズが、16年ぶりの日本でのNBAプレシーズンマッチ開催のため来日していました。NBAのトップであるアダム・シルバーコミッショナーも来日、10月8日の試合前に臨んだ記者会見では、海外メディアから厳しい質問が飛び交いました。

「NBAには、表現の自由をしっかりと擁護してきた長きに渡る伝統がある。彼(ダリルGM)にはそれを行使する権利がある」と毅然と発言したことに、さらに中国側は反発しました。会見翌日、上海に渡り、「この件について怒っている」と言われるヤオ・ミン氏(中国バスケットボール協会会長)との会談を行ったようですが、現時点まで詳しい内容は明かされていません。

テンセントはNBAの試合を10月14日から配信再開したましたが、同日の中国外交部の定例会見で、テンセントの動きを支持するかと問われた耿爽(グン・シュアン)報道官は、「我々は各企業の具体的なビジネスに対して評論する立場にはない」と強調、「スポーツ交流は中国とアメリカの友好関係が増す。しかし、交流していく上では相互尊重が重要」と釘を刺しています。

一方、せっかくシルバー氏が中国側の激しい反発を受けつつも、「言論の自由の保証」について表明したにも関わらず、10月10日に台無しにすることがありました。

さいたまアリーナでのNBAプレシーズンマッチ終了後の会見で、アメリカCNNの記者が一連の問題について、ロケッツの選手2人に質問しようとしたときのことです。チーム広報担当が「バスケと関係ない質問をするな」と遮ったのです。結果、言論の不自由さが際立つ結果になってしまいました。

このやり取りはすぐに報道されてTwitterでも拡散し、NBAに批判が殺到。NBAはすぐさま、CNN記者に謝罪することとなりました。

この問題、日本での関心はそれほど高くないですが、実は日本の企業や著名人もこれまでに巻き込まれています。日産自動車の中国での合弁会社である東風日産は10月9日、NBAへのこの問題、日本での関心はそれほど高くないですが、実は日本の企業や著名人もこれまでに巻き込まれている。日産自動車の中国での合弁会社である東風日産は10月9日、NBAへのスポンサード中止を発表しています。

また、アイドルグループAKBの姉妹グループで、上海を拠点にする「AKB48 Team SH」は、10月8日に上海で行われたNBAのプレシーズンマッチに出演予定だったのですが直前に出演を取りやめています。共に公式声明文の中で中国への支持を表明しています。



中国でも大人気のバスケ漫画・アニメ「スラムダンク」も“被害”を受けました。

作者・井上雄彦さんが4カ月前に、Twitter上で河野太郎外相(当時)など香港デモを支持するツイートに対して「いいね」を押していたことが、なぜか10月8日になって中国のSNS上で広がり、大規模ではないものの反発が発生しました。

「がっかりした。泣きたい」

「これからは正規版では無く、違法コピー版を読む!」

「好きな漫画は、テニスの王子様に変える」

との声が出ていました。

中国では一度敵視されると、徹底的にたたかれ、市場から排除されます。それでも巨大な市場で利益を享受したいと考える海外の企業は多いです。

中国とどう折り合いを付けていくのでしょうか。中国を刺激しないように、中国の顔色をうかがいながら、忖度していく。こういった企業がますます増えていきそうです。

ただ一ついえるのは、外国の企業や団体を中国市場から排除するようなことを続けていけば、そのような国ではどの企業も事業継続は不可能とかんがえるようになり、いずれ中国が世界市場から叩き出されることになります。

現在の中国は、TPPにも、EPAにも参加できません。参加するためには、中国国内の構造改革が必要になります。特に、民主化、政治と経済の分離、法治国家化は必須です。

これができなければ、いずれ中国が世界市場から完璧に弾き出るよりしかたなくなります。自国と、札びらで頬を叩いて無理やり仲間にした、自分のことを良く聞く金にしか芽がない発展途上国と中国で、経済圏を作り出し、その中で生きていくしかなくなります。そのような経済圏は発展する見込みがありません。

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