2020年9月20日日曜日

【新聞に喝!】安倍政権支えた「若者の勝利」 作家・ジャーナリスト・門田隆将―【私の論評】ドラッカー流の"体系的廃棄"をしなければ、新聞はいきづまる(゚д゚)!

 【新聞に喝!】安倍政権支えた「若者の勝利」 作家・ジャーナリスト・門田隆将

  安倍政権の7年8カ月は、新聞や地上波という“オールドメディア”による印象操作報道との闘いでもあった。その意味でマスコミに対して全面戦争を厭(いと)わなかった政権という見方もできるだろう。

 それをあと押ししたのは、ネットの発達だ。マスコミの印象操作の手法は次々とネットで明らかにされ、安倍政権には大きな助けとなった。だが“敵”も最後までその攻撃を止めることはなかった。

 代表格である朝日新聞が12日付で〈若者が見た安倍さんの7年8カ月〉という興味深い記事を掲載した。ネットといえば若者。安倍政権の政権支持率は平均で44%。だが、18~29歳男性の支持率に限ると実に57%だった。まさに安倍政権を支えたのは、若者層だったのだ。その最大支持層の話を集めた記事である。記者はモリカケ・桜への批判を若者から聞き出そうとするが、ほとんど出てこない。

 それはそうだろう。ネットでは多くの証拠が提示され、事実無視の単なる印象操作記事は糾弾対象になってきたからだ。若者は世論誘導に騙(だま)され易(やす)い“情報弱者”たちと一線を画していたのだ。

 だが朝日は〈モリカケや桜を見る会の問題は「国家予算からしたら大きな話ではない」としか思えない〉と、本当は悪いが若者は金銭的な比較で「問題にしていない」と、ここでも印象操作を忘れない。それでも「小中学生のころは、首相がコロコロと交代していた印象がある。在任7年8カ月は長いと思うけど、安倍さんは外交などで行動力もあって信頼していた」と記者の誘導に負けない若者たちの話は頼もしい。いくら“操作”しようとしても、それが通じない層によって安倍政権は支えられたことが分かる。

 記事は「ここ5、6年は特に、学生が妙に大人びていてまじめ」との大学教授のコメントを紹介し、東日本大震災の影響などで、若者は将来の生活や経済に不安を感じており、〈変化を求めず、与党である自民党を支持する学生が多い〉とし、〈若さゆえに政治についての自分の意見が未熟なのは、いまも昔も変わらない〉と締めくくった。とてもこのネット時代には通じない“定番”の終わり方だ。

 朝日は翌13日付で、編集委員による〈またも言葉を光らせられぬ首相を選ぶ。ピンチの温床まるごと継承。すがすがしいほどおめでたい〉との悔しさ満杯のコラムを掲載した。

政権発足前から実に250万部以上も部数を激減(ABC公査)させた朝日。軍配(ぐんぱい)は明確に安倍首相と若者の側に上がったのである。

                 ◇

【プロフィル】門田隆将(かどた・りゅうしょう) 作家・ジャーナリスト。昭和33年、高知県出身。中央大法卒。新刊は『疫病2020』。

【私の論評】ドラッカー流の"体系的廃棄"をしなければ、新聞は必ずいきづまる(゚д゚)!

門田氏の主張することは、数字上でも如実に示されています。

日本ABC協会のまとめによりますと、朝日新聞の8月の販売部数は499万1642部で、前月比2万1千部、前年同月比43万部の減少となりました。朝日新聞の販売部数は1980年代末から2009年にかけて800万部台を誇っていましたが、14年12月に700万部を割り、18年2月には600万部を下回りました。10年ほどで300万部も失った上、減少の速度は増しています。

新聞業界全体で見てもこの20年ほど減少傾向が続いていますが、朝日新聞の場合、14年8月の慰安婦誤報問題や同9月の東京電力福島第1原発事故に関する「吉田調書」問題などで長年のコアの読者が離れたという事情が重なったとみられます。

朝日新聞関係者らによると、販売店の現場では500万部割れには関心が薄いといいます。コロナウイルスの影響で販売店の経営が困難さを増しているため「それどころではない」という気持ちが強い上、販売部数から販売店が注文する以上の分を押し付けられる押し紙の数を引いた実売部数ではとうの昔に500万部を割っているからです。

全国紙などの販売局・販売店関係者の話を総合すると、全国紙の押し紙の割合は販売部数の3~4割を占めるといいます。朝日新聞の場合、押し紙が3割だとすると8月時点での実売部数は約350万部となります。

同新聞の「販売局有志」が16年に出した内部告発文書では同年の押し紙の割合は「32%」と記されており、これを当てはめると、実売部数は約339万部と推測できます。販売関係者の間では300万部は維持しているものの350万部よりは少ないとの見方が強いです。

有力紙の販売局関係者は「(朝日新聞だけでなく)新聞全体の部数減は今後ますます加速していく」と語ります。上述の内部告発文書は、22年には朝日新聞の販売部数は378万部(実売部数は264万部)と400万部を下回り、24年には292万部(同204万部)と300万部を割ると予測しています。

以下に昨年の新聞に関するグラフを二つ掲載します。


昨年もこの状況ですから、今年の販売部数が経つているのは、コロナ禍による一時的なものではないのは明らかです。

この状況を書く新聞社はどのように捉えているのでしょうか。

ドラッカー氏は、昨日を切り捨て廃棄することで新しいことを始めるべきことを主張しています。

長い航海を続けてきた船は、船底に付着した貝を洗い落とす。さもなければ、スピードは落ち、機動力は失われる。(『乱気流時代の経営』)

船底にこびりついた貝と海藻 定期的に除去しないとこうなる

あらゆる製品、あらゆるサービス、あらゆるプロセスが、常時、見直されなければならないのです。多少の改善ではなく、根本からの見直しが必要です。

なぜなら、あらゆるものが、出来上がった途端に陳腐化を始めているからです。そうして、明日を切り開くべき有能な人材がそこに縛り付けられるからです。ドラッカー氏は、こうした陳腐化を防ぐためには、まず廃棄せよと言うのです。廃棄せずして、新しいことは始められないのです。

ところが、あまりにわずかの企業しか、昨日を切り捨てていません。そのため、あまりにわずかの企業しか、明日のために必要な人材を手にしていません。

自らが陳腐化させられることを防ぐには、自らのものはすべて自らが陳腐化するしかないのです。そのためには人材がいります。その人材はどこで手に入れるのでしょうか。外から探してくるのでは遅いのです。

成長の基盤は変化します。企業にとっては、自らの強みを発揮できる成長分野を探し出し、もはや成果を期待できない分野から人材を引き揚げ、機会のあるところに移すことが必要となります。

 乱気流の時代においては、陳腐化が急速に進行する。したがって昨日を組織的に切り捨てるとともに、資源を体系的に集中することが、成長のための戦略の基本となる。(『乱気流時代の経営』)
『乱気流時代の経営』初版本 表紙

『乱気流時代の経営』の日本での初版は1980年です。40年も前からドラッカー氏はこのような主張をしていたのです。

日本のまともな大企業は、ドラッカーの主張をとりあげたのかどうかは知りませんが、昔から少しずつでも、体系的な廃棄を実践してきました。だからこそ、今日の姿があるのでしょう。

しかし、新聞業界はそうではありませんでした。こうしたことからも今日の新聞社は危機的な状況にあるのです。

大手新聞はいますぐに、まずは印象操作をやめること、それに財務省など官庁の発表をそのまま報道するのではなく、きちんと吟味してから、報道するなどのことをすへきです。

デジタル化なども推進すべきですが、その前にまず体質を改めなければ、せっかくのデジタル化投資も無駄になるでしょう。

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