2020年9月9日水曜日

中国が直面する米国の「挙国一致」反中外交―【私の論評】中国の体制が変わるまで、制裁を続けるのは米国の意思となった(゚д゚)!

 中国が直面する米国の「挙国一致」反中外交

岡崎研究所

 中国に対する姿勢は、米大統領選における一つの大きな争点となっている。世論調査によれば、最近の米国人の対中認識は極めて厳しいものになっており、かつ、その認識は共和党支持者にも民主党支持者にも共有されている。パンデミックをめぐる中国の不誠実な態度、国際約束である香港の一国二制度の事実上の解体、南シナ海における中国の国際法を無視した高圧的態度、中国によるスパイ行為、ウイグルなどでの人権侵害などを考えれば当然のことであろう。当否はともかくとして、中国によって米国の雇用が脅かされているという不安や不満も大きいであろう。



 そういう世論を踏まえ、選挙戦において、トランプ陣営がジョー・バイデンは中国に弱いと言い立てるのは自然であり、かつバイデン陣営がそうではないと反論するのも自然であろう。お互いにどちらが中国にきつく当たれるかを競い合うことになり、対中関係は大統領選挙中には改善しないし、選挙後も速やかに改善していくことは予想しがたいと思われる。

 こうした状況に対し、ワシントン・ポスト紙コラムニストのJosh Roginは、8月26日付け同紙掲載の論説‘The Republican National Convention highlights political abuse of the China challenge’において、共和党と民主党がお互いに対中政策で攻撃し合い、その結果、超党派で行われるべき対中政策がうまくいかなくなる危険がある、との懸念を示している。論説は「(党大会で)共和党は中国問題を濫用し、すべてのアメリカ人がともに直面しなければならない重要問題と言うより民主党を酷評するための一連のキャッチフレーズにしてしまった」と批判する。

 確かに、外交問題を党派間の争いにすることは、いつでも好ましいことではないが、Roginの懸念は心配し過ぎのように思われる。対中姿勢が争点になっているといっても、両党間で正反対の主張がなされているわけではなく、厳しい対中認識については、両党間に差異はあまりない。世論の動向を見れば、厳しい対中態度はトランプが勝とうが、バイデンが勝とうが、変わらないのではないかと思われるし、超党派的な支持を得るだろう。

 中国は、これまでのやり方に対し、米国内のみならず、主要国内で反発が強いことを十分に認識し、行動を変えることが必要であろう。それなくして、中国と西側主要国の関係改善はあり得ないように思われる。

 ポイントは、国際約束を含む国際法は守ること、コロナ・ウイルスはCIAや米軍が持ち込んだなどといったプロパガンダをやめること、ウイグルその他の人権侵害をやめることであろう。中国が戦術的小細工で、あるいは正面突破で、今の難局を克服できるとは到底思えない。

【私の論評】中国の体制が変わるまで、制裁を続けるのは米国の意思となった(゚д゚)!

米国のトランプ大統領は中国との関係について、経済的なつながりを切り離すことを意味する「デカップリング」に言及し、大統領選挙を視野に中国に厳しい姿勢を強調し、支持を広げたいねらいがあると見られます。

トランプ大統領はアメリカの祝日であるレーバーデーの7日、ホワイトハウスで記者会見しました。


この中で、中国との関係について、経済的なつながりを切り離すことを意味する「デカップリング」に言及し、「興味深いことばだ。中国とビジネスをしなければわれわれは何十億ドルを失うこともない」と述べ、中国と経済関係を断てば損失を回避出来るという考えを示しました。

そのうえで「仮にジョー・バイデンが大統領になればアメリカは中国のものになる」などと述べ、民主党の大統領候補のバイデン氏は中国に弱腰だと批判しました。

トランプ大統領としては新型コロナウイルスの感染拡大や貿易問題をめぐり国民の中国への根強い反発もあるなか、大統領選挙を視野に中国に厳しい姿勢を強調し、支持を広げたい狙いがあると見られます。

一方、この日、バイデン氏はアメリカ最大の労働団体の東部ペンシルベニア州の事務所を訪れ、トランプ大統領の政治姿勢を厳しく批判し、支持を訴えました。


また、同じ日、共和党と民主党の副大統領候補のペンス氏とハリス氏は激戦州の中西部ウィスコンシン州でそれぞれ支持を訴えていて、11月の大統領選挙に向け、選挙戦は激しさを増しています。

トランプ大統領は8日、遊説先のノースカロライナ州で、民主党の大統領候補に指名されたバイデン前副大統領が中国寄りだと激しく批判しました。

トランプ氏は同州ウィンストン・セーラムで開いた支持者集会で「バイデン氏のテーマはメード・イン・チャイナだ。私のテーマはメード・イン・USAだ」と発言。「バイデン氏はグローバル主義の裏切り者であり、米国の地域社会を荒廃させた」と訴えました。

全米の世論調査では、バイデン氏がトランプ氏にリードしています。

バイデン氏は、国内の農家や産業がトランプ氏の対中貿易戦争で打撃を受けたと主張。米中通商合意の成果が出ていないと批判しています。

ノースカロライナ州は11月3日の大統領選の激戦州の1つ。トランプ氏は過去1週間弱で2回、同州を訪れています。

こうなると、最悪は戦争になることも考えておくべきかもしれません。このブログでも掲載したように、南シナ海は中国より1000kmも離れている上に、戦略家のルトワック氏が指摘しているように、南シナ海の中国軍基地は象徴的な意味しかなく、米軍なら5分で吹き飛ばせます。

選挙戦で圧倒的に不利になれば、トランプ氏は中国と戦争することも厭わなくなるかもしれません。

そうなると、中国軍の艦隊は南シナ海一帯に展開する米潜水艦の魚雷の餌食になる可能性が高いです。中国軍が潜水艦部隊で応戦しようにも、米軍との間では、兵器の性能や練度に圧倒的な差があり歯が立ちません。今の両軍の力の差を考えれば、戦闘は1週間で米軍の圧勝に終わるでしょう。

特に、対潜哨戒力に関しては、米国は世界一であり、中国軍のそれはかなり低ぃです。原潜は通常型に比較すると、どうしても音がかなりでるので、ステルス性には劣るのですが、それにしても米中の原潜を比較すれば、米国のほうがステルス性に優れています。

通常型は、原潜よりはステルス性にすぐれていますが、今年6月奄美沖の接続水域を中国のおそらく通常型潜水艦が航行しましたが、すぐに日本に発見されました。日本よりも対潜哨戒能力に優れた米国であれば、中国の通常型も原潜もすぐに発見できるでしょう。

中国軍が米国の潜水艦を探そうとモタモタしているうちに、ほとんどの艦艇や潜水艦が撃沈され、環礁上の中国軍基地もぼぼ破壊されることになるでしょう。日本の軍事評論家などは、潜水艦のことをあまり大きくとりあげずに、中国軍が強いと繰り返すむきもおおいですが、私は米中が戦争になれば、米軍は潜水艦を多様するのは間違いないと思います。

いずれの国の軍隊も自ら最も得意の分野で、戦争をするのは当然のことです。現在でも多数の米原潜が、中国には気づかれずに、インド太平洋太平洋地域に多数潜んでいるはずです。南シナ海などで戦争がはじまるとすれば、まずはこれらの潜水艦郡が先端を開くことになるでしょう。その時点で中国軍は壊滅状態になります。

ただ、そのことを中国側を熟知しているので、わざわざ自ら戦争することはないでしょう。そうすれば、あっという間に大敗を喫して世界の笑い者になるだけの話です。そうなれば、「弱い中国」というイメージがつき、中国の覇権拡大戦略は頓挫することになります。かといつて、核兵器を使おうにも、これも米軍のほうが圧倒的に数でも性能も優れています。

となると中国としては、どのような戦略をとるかといえば、米国と直接対峙することは避けて、ひたすらインド太平洋地域の国々を威嚇し、中国に従わせるということになるでしょう。

これに関しては、米国側も黙ってはいません。たとえばパラオ共和国は、太平洋の島国に米軍の新基地を誘致することで中国に対抗しようとしている、とウォールストリート・ジャーナルが8日に報じました

グアム、フィリピン、そしてインドネシアの間に位置する小さな島国であるパラオは、北京が影響力の拡大を目指してきた決定的な領域を占めています。

「パラオは太平洋でとても重要な場所だ」「パラオは中国の侵略的な経済行為と悪意ある影響力に悩まされてきた。・・・パラオは米国の良き友人であり太平洋の主要なパートナーだ」とジョン・ヘネシー・ニランド駐パラオ米国大使は同紙に語りました。

中国は南シナ海周辺に対して影響力を行使することに焦点を当てており、現在世界最大の海軍艦隊を誇示し、水中警戒システムと新しい空母を建設しています。米国のパラオとの関係強化は、同盟国との関係を強化することで地域での中国の優位性に対抗しようとするワシントンの取り組みと一致します。

「同盟国・協力国との堅固なネットワークは、依然として同等に近い競争相手、つまり中国に対して我々が持つ永続的で非対称的な優位性となっている。中国は多くの場合他者を犠牲にして、自分達の利益を拡大するためにルールに基づく秩序を弱体化させ破壊しようとしている」とマーク・エスパー国防長官は8月の演説で述べました。

パラオの国旗


ここ数カ月のうちに、米国は南シナ海で航行の自由作戦を複数回実行しました。8月にアレックス・エイザール保健福祉省長官は、1979年以来でパラオの同盟国である台湾を訪問した最高位の米国高官となりました。

米国は、中国に威嚇される国々を支援することと、中国に対する種々様々な制裁をしつつ、これからも中国と対峙し続けていくことでしょう。

上の記事では、中国がが実施すべきポイントとして、国際約束を含む国際法は守ること、コロナ・ウイルスはCIAや米軍が持ち込んだなどといったプロパガンダをやめること、ウイグル、香港その他の人権侵害をやめることとしていますが、たとえ中国がそれを約束したにしても、米国は中国に対する対峙をやめず制裁を続けることでしょう。

なぜなら、米国は中国にWTOや他のことでも、騙され続けきたきたので、約束程度のことでは信用しないからです。中国の体制が具体的に変わらなければ、中国共産党が崩壊するまで、制裁を続けるでしょう。

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