2020年11月25日水曜日

中国外相、あきれた暴言連発 共同記者会見で「日本の漁船が尖閣に侵入」 石平氏「ナメられている。王氏に即刻帰国促すべき」―【私の論評】王毅の傍若無人な暴言は、中共の「国内向け政治メッセージ」(゚д゚)!

 中国外相、あきれた暴言連発 共同記者会見で「日本の漁船が尖閣に侵入」 石平氏「ナメられている。王氏に即刻帰国促すべき」

王毅国務委員兼外相

 中国の王毅国務委員兼外相が、大暴言を連発した。24日の日中外相会談後、茂木敏充外相と行った共同記者会見で、沖縄県・尖閣諸島をめぐり、中国の領有権を一方的に主張したのだ。両外相は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて制限しているビジネス関係者の往来を11月中に再開することで合意したというが、菅義偉政権はこの暴言を放置するのか。

 茂木氏は記者発表で、「尖閣周辺海域に関する日本の立場を説明し、中国側の前向きな行動を強く求めた」と強調した。

 これに対し、王氏からは、次のような看過できない発言が飛び出した。

 「ここで1つの事実を紹介したい。この間、一部の真相が分かっていない日本の漁船が絶えなく釣魚島(=尖閣諸島の中国名)の周辺水域に入っている事態が発生している。中国側としてはやむを得ず非常的な反応をしなければならない。われわれの立場は明確で、引き続き自国の主権を守っていく。敏感な水域における事態を複雑化させる行動を避けるべきだ」

 尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も日本固有の領土である。

 1919(大正8)年冬、中国・福建省の漁船が尖閣沖で遭難して魚釣島に漂着した際、日本人住民は中国漁民を救護した。当時の中華民国駐長崎領事は翌20(同9)年5月に感謝状を贈ったが、そこには「日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島」と記されている。

 中国が「領有権」について勝手な主張を始めたのは、国連の報告書で東シナ海に石油埋蔵の可能性が指摘された2年後の71(昭和46)年以降だ。

 中国海警局の公船は、今年だけで尖閣周辺を計300日以上も航行し、“領海侵犯”を繰り返している。先日、公船に武器使用を認める「海警法」案まで発表された。

 国家の基本である、領土・領海について許しがたい主張をされて、菅政権はなぜ怒らないのか。

 中国事情に詳しい評論家の石平氏は「日本はナメられている。中国の人権問題をめぐって欧州各国から批判が集まり、日本は『日米豪印戦略対話(QUAD=クアッド)』を推進する立場でもある。中国は本来、習近平国家主席の『国賓』来日など、日本に頼みごとをする立場だ。にもかかわらず、王氏は日本の首都で尖閣の領有権を堂々と主張した。言語道断であり、王氏には即時帰国を促すべきだった」と痛烈に批判した。

【私の論評】王毅の傍若無人な暴言は、中共の「国内向け政治メッセージ」(゚д゚)!

日中外相の会見で、中国側に「事実として日本漁船が魚釣島の水域に入った。必要な対応を取らなければならない。我々の立場は明確だ。我々は自国の主権を守って行く」と言われ苦笑するだけというのはいただけないです。通訳にも「東海」と訳される始末です。ニタニタしてないで、その場で訂正すべきでした。そうして、その場で会見を蹴っても良かったと思います。

中共が初期対応を誤った事により世界中が感染症に苦しむ中、ウイグルの人権問題、香港の弾圧、南シナ海の領海既成事実化、そして尖閣諸島への公船侵入。日本政府として毅然とした態度で抗議すべきなのに、王毅外相の主張に対して反論もせず、握手の代わりに肘タッチの茂木大臣。

では、会談の成果そのものはどうだったのでしょうか。

日中双方は五つの重要な共通認識と六つの具体的な成果を達成した。王毅氏は会談後の合同記者会見で次のように述べました。

茂木外相と中日関係および共に関心を持つ国際・地域問題について率直かつ踏み込んだ意思疎通を行い、五つの重要な共通認識と六つの具体的な成果を達成しました。

双方は、両国指導者の戦略的指導に従い、中日間の四つの政治文書を踏まえ、「互いに協力パートナーとなり、互いに脅威とならない」との精神を堅持し、相互信頼を増進し、前向きな相互作用を図り、新時代の要請に合致する中日関係の構築に努力することで一致しました。

双方は、引き続き手を携えて新型コロナ感染症と闘い、速やかに情報を交換し、医療・薬品に関する協力を展開し、両国民の健康を守り、地域・国際公衆衛生分野の協力に共同で貢献することで一致しました。

双方は、両国の経済回復を協力して推進し、新たな中日ハイレベル経済対話を来年の適切な時期に開催し、科学技術イノベーション、省エネ・環境保護、医療・健康、電子商取引、第三者市場などの重点分野での協力を引き続き強化することで一致しました。

双方は、地域包括的経済連携協定(RCEP)の早期発効を共同で推進し、中日韓自由貿易協定(FTA)の交渉と地域協力のプロセスを積極的に推進、ルールを基盤とする多角的貿易体制を共同で維持・強化することで一致しました。

双方は、東京五輪北京冬季五輪を互いに支持し、大会の成功に向け協力することで一致した。また中日ハイレベル人文(人的・文化的)交流協議メカニズムの会議を適時に開催し、感染症終息後に二国間の人的往来を全面的に再開、地方の交流・協力を拡大し、両国民の相互理解と友好を増進、両国関係の民意をめぐる環境を改善することで合意しました。

双方は次のように決定しました。

 1、厳格な感染症予防・抑制措置を前提に、両国が必要とする人的往来の「優先レーン」を今月中に始動し、操業再開・生産回復に向けた両国の協力をさらに促進する。

 2、中日食品・農水産物協力の部門横断協議メカニズムを構築し、意思疎通と協調を加速、この分野での協力が早期に成果を収めるよう推進する。

 3、両国の気候変動に関する政策協議メカニズムを構築し、気候変動・環境保護政策の協調と実務協力を推進する。

 4、2022年の中日国交正常化50周年記念行事の準備作業を開始するとともに、今年と来年に予定されていた「中日文化スポーツ交流促進年」を来年と再来年に延期することを積極的に検討する。

 5、新たな中日海洋事務ハイレベル協議を来月に行い、両国の外交主管機関と海上法執行機関の意思疎通と交流を強化する。

 6、両国防衛機関の海空連絡メカニズムの直通電話の年内開通を図り、リスク管理をさらに強化し、安全保障での相互信頼を増進する。

王毅氏はまた次のように強調しました。新たな情勢の下で、中国は日本と共に、より広大な視野、より効果的な行動、より幅広い分野で、共に責任を引き受け、協力を積極的に推進し、中日関係が両国民と国際社会によりよく利益をもたらすようにしたい。

当たり障りない内容で、こんな話などしないで、すぐに会見をやめるべきだったと思います。

一方、松井一郎市長が「習近平主席の国賓来日あり得ない」と、夕刊フジのコラム(下写真)で明言しました。菅首相ともつながりの強い松井さんのこの一文は、中国・王毅外相への茂木外相の対応に多くの国民が不満を抱くタイミングで、意義深い一文となりました。党代表は吉村府知事に代わるが、今後の維新のありようにも影響するでしょう。


先日もこのブログに掲載した、米国の大手世論調査専門機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が10月6日に発表した世界規模の世論調査報告によると、多くの先進国における反中感情は近年ますます強まり、この1年で歴代最悪を記録しました。

同調査によると、反中感情を持つ14か国とその割合は、高い順番から日本(86%)、スウェーデン(85%)、豪州(81%)、デンマーク・韓国(75%)、英国(74%)、米国・カナダ・オランダ(73%)、ドイツ・ベルギー(71%)、フランス(70%)、スペイン(63%)、イタリア(62%)となっている。また、米国、英国、ドイツ、フランス、スウェーデン、イタリア、韓国、豪州、カナダの9か国の反中感情は、同機関が調査を始めてからの15年間で、過去最悪となった。


それにしても、王毅の傍若無人な発言は何を意味しているのでしょうか。このブロクでは、先日制服組トップの許其亮・中央軍事委員会副主席は「能動的な戦争立案」に言及したことを掲載しました。

許其亮・中央軍事委員会副主席

これに関して、多くのメディアは中国で先月下旬に開かれた重要会議を受け、中国軍が「戦争準備」の動きを強めているとしていますが、これについて、私はこれは「国内向けの政治メッセージ」であると結論づけました。

それと同じような背景で、王毅も「国内向けの政治メッセージ」として、暴言を吐いたものと思われます。

このブログに何度か掲載したように、中国海軍や民兵が、尖閣に上陸したとしても、尖閣を維持することはできません。

なぜなら、静寂性に優れたどころか、最近の最新鋭艦では無音とも言っても良いくらいの、日本の潜水艦隊が尖閣を包囲してしまえば、中国軍の哨戒能力は日米に比較して極度に劣っているためにこれを探知できないからです。空母があろうが、超音速ミサイルがあろうが、宇宙兵器があろうが、三戦に秀でていようが、発見できない敵に対して、中国軍は何もできません。

中国軍や民兵が尖閣諸島に上陸したとしても、日本の潜水艦に包囲されてしまえば、補給船撃沈されるか、それを恐れて尖閣諸島に近づけず補給ができなくなりお手上げになります。

かといって、輸送機やそれを護衛する艦艇・潜水艦、戦闘機などを尖閣に派遣すれば、中国の潜水艦を日本側は世界トップレベルの哨戒能力ですぐに発見できるため日本の潜水艦隊等の格好の標的になるだけであり、郵送機や艦艇も日本の自衛隊の格好の標的になるだけです。

かといって、中短距離核兵器などを用いれば、日本の世論一気に悪化して、日本も核武装の検討をはじめるし、憲法改正もして、中国にとっては大きな脅威になるでしょう。だから、中短距離核兵器などは用いることはできません。

そのことを中国側は、熟知しているでしょう。結局尖閣を一時的に上陸はできても、確保することはできないのです。その証左として、中国海軍のロードマップによれば、今年2020年には第二列島線を確保することになっていますが、それどころか、尖閣諸島を含む第一列島線すら確保できていないのです。

王毅や中国のタカ派がよく見せる過激な発言は、必ずしも国際情勢に合わず、時には中国の利益にも反するものですが、ただその主要目的は国内宣伝にあるのです。

政権の対外強硬姿勢を見せなければ、怒りを沸騰させる愛国ネットユーザー等や権力闘争には対処できないのです。そしてそうした憤怒のマグマを、特に習近平政権には向けたくないのです。

以前中国は自分の都合て動く国だということをこのブログにも掲載したことがあります。このような中国は日中外相会談すら、中共の「国内向け政治メッセージ」を発信する場にするということも珍しくないてす。

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