2020年11月21日土曜日

習氏、TPP参加「積極的に検討」 APEC首脳会議―【私の論評】習近平の魂胆は、TPPを乗っ取って中国ルールにすること(゚д゚)!

 習氏、TPP参加「積極的に検討」 APEC首脳会議

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は20日、環太平洋経済連携協定(TPP11)への参加を「積極的に考える」と表明した。日米中など21カ国・地域のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にオンラインで出席して述べた。習氏がTPP11の参加検討を表明するのは初めて。

APEC首脳会議で議長を務めるマレーシアのムヒディン首相

習氏は「中国は地域経済の一体化を進め、アジア太平洋の自由貿易圏を一日も早く完成させる」と述べた。日中韓など15カ国が署名した東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定についても「歓迎する」と成果を強調した。

TPPは米国を含む12カ国で署名したが、トランプ米政権が2017年に離脱を宣言、米を除く11カ国で18年末に発効した。米はRCEPにも参加していない。習氏は19日の関連会議でも米国の保護主義を念頭に強く批判しており、米国の政権移行期にアジア太平洋地域で中国の存在感を高める狙いがある。

中国がTPP11に参加するには加盟国の同意を取りつける必要がある。国有企業の改革や工業製品の関税ゼロ、非関税障壁の撤廃などを高い水準で実現することも求められる。国有企業が大きく工業製品の関税率も高い中国にとって参加のハードルは高い。

20日の首脳会議は菅義偉首相、トランプ米大統領らも出席し、3年ぶりに首脳宣言を採択した。

日本や中国などが15日署名したRCEP協定に参加する15カ国の大半はAPECにも参加しており、域内で貿易自由化を加速する機運が高まる。APECはTPP11やRCEPを土台に、参加国・地域の一段の経済統合をはかる方針だ。

【私の論評】習近平の魂胆は、TPPを乗っ取って中国ルールにすること(゚д゚)!

元々は米国が提唱したTPPからトランプ大統領が選挙公約通りに離脱しましたが、中国は米国がTPPで留守の間に、TPPを乗っ取って中国ルールにしたいのでしょう。WTOにおける中国の振る舞いをみれば、それは容易に想像がつきます。

TPPの現状のルールは先進国にとっては当然のことで、加入するのは難しくないですが、中国にとってはかなり困難です。中国が現在のままのTPPに加入するためには、国内の体制を変えなければ無理です。

特に、民主化、政治と経済の分離、法治国家化は必須です。これができないと、TPPのルールを満たすことは不可能です。しかし、これを実行してしまえば、中国共産党は国内で統治の正当性を失い、共産党一党独裁制は崩れ、現体制は崩壊することになります。


そのようなことを中国共産党が許容できるはずもありません。にもかかわらず、TPP加入をするというのなら、これはTPPの高いハードルを乗り越えるというのではなく、中国にとって都合の良いようにハードルを低くするということを意図しているとしか考えられません。

日本としては、この高いハードルを低くすることなく、その上で英国や台湾をTPPに取り込んでも、民主主義陣営のTPPを守るべきです。そうして、次の米国大統領が誰になったとしても、米国にTPPが中国包囲網にもなることを理解させ、復帰してもらうべきでしょう。

そうして、TPP「拡大」は、米国と中国を牽制するだけではなく、混沌とする世界に新たな秩序をもたらし、世界を救うことにつながることになります。

このTPPを日本という軍事的・経済的覇権によらない国が旗振り役を務めたということが大きいです。

最早世界は、軍事・経済的覇権によって振り回され続けることに倦んでいるのだと思います。ここに、日本が世界でリーダーシップを発揮できる好機が訪れたともいえます。

日本のTPP参加大反対していた方々は、この中国の魂胆を見抜けずサポートしていたようなものです。このTPP参加反対していた人たちは、「米国に良いようにしてやられる」と語っていましたが、その後米国が抜け、その他反対派の人々の語っていた、日本にとって不都合になるようなことは未だに起こらず、急速に反対運動はしぼみました。

TPPに反対していた人たちは・・・・・・

米国が抜けても、日本が努力してTPPを米国抜きでも発効させたことは、自由主義世界にとっては幸いでした。

さて、最近はRCEPが調印されましたが、中国主導だから、加入すべきでないとした方々も、中国の魂胆が見抜くことができず、結果として中国をサポートしているようなものです。

RCEPは経済連携とはいうものの、そのルールは物品貿易やサービス貿易の自由化(FTA)に限りなく近いものです。そのため、TPPの厳しいルールのように忠告にとっては体制変更が必要ないため、中国も加入することができます。

RCEPがスタート後、どちらの方向に向かうのか、次のステージが気になるところです。ただ、日本もインドもRCEP参加しないとなると、ASEAN諸国はすぐにでも、中国に取り込まれることになります。そうして、中国、ASEAN諸国、韓国の強力な経済圏ができあがることになります。これらの国々でますます中国の覇権が強まることになります。

日本がRCEPに加入しないということは、日本がASEAN諸国が中国に取り込まれることを許容することになります。

これは、日本としても避けたいので、敢えてRCEPに参加し、中韓に対抗しASEAN諸国を日本のルール(自由主義圏で通用するルール)で取り込み、いずれは米国もASEAN諸国もTPPに取り込む方向に持っていくべきです。


日本の危機というと、すぐに尖閣、台湾危機を煽る人が多いですが、無論こちらも脅威ですが、中国がTPPのルールを中国ルールに変えようとすることや、RCEPでASEAN諸国が中国に取り込まれしまうようなことも、日本はもとより世界にとって脅威です。この脅威はもっと多くの人に認識されてしかるべきと思うですが、そうではありません。メディアは、発効したり調印された事実を淡々と述べるだけです。

日本としては、TPPを大いに発展させ、1993年以降の世界貿易の変化を反映したTPP協定の規定をWTOに採用するように働き掛けることができます。これには、EUも賛成するでしょう。
TPPのルールを世界のルールにするのです。単なる先進国だけの提案ではなく、アジア太平洋地域の途上国も合意したTPPの協定をWTOに持ち込むことには中国も反対できないでしょう。

TPPのルールがWTOのルールとなれば、中国は中共を解体してもTPPルールを含む新WTOに入るか、新WTOには入らず、内にこもることになります。内にこもった場合は、中国を待つ将来は、図体が大きいだけのアジアの凡庸な独裁国家に成り果てることになります。その時には他国に対する影響力はほとんどなくなっているでしょう。

いずれにせよ、TPPは加盟国だけではなく世界にとって、有用な協定になる可能性が高まってきたのは事実です。日本は、TPPのルールを世界の自由貿易のルールとするべくこれからも努力すべきです。


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