中国、「戦争準備」本格化 制服組トップ、態勢転換に言及 台湾などの緊張にらむ
制服組トップの許其亮・中央軍事委員会副主席 |
制服組トップの許其亮・中央軍事委員会副主席は「能動的な戦争立案」に言及。習近平国家主席(中央軍事委員会主席)は、米国の新政権発足後も台湾や南シナ海をめぐる緊張が続くと予想し「戦って勝てる軍隊」の実現を目指しているもようだ。
10月下旬に開かれた共産党の第19期中央委員会第5回総会(5中総会)は、軍創設100年を迎える2027年に合わせた「奮闘目標の実現」を掲げた。目標の具体的内容は明らかではないが、5中総会は「戦争に備えた訓練の全面的強化」を確認した。
これに関連し、許氏は今月上旬に発行された5中総会の解説書で「受動的な戦争適応から能動的な戦争立案への(態勢)転換を加速する」と訴え、中国軍が積極的に戦争に関与していく方針を示唆した。
国営新華社通信によると、陸海空軍などによる統合作戦の指揮、作戦行動などに関する軍の要綱が7日に施行された。要綱は軍の統合運用を重視する習氏の意向を反映したもので、新華社は「戦争準備の動きを強化する」と伝えた。党機関紙・人民日報系の環球時報英語版(電子版)は、今後の軍事演習では、敵国の空母による南シナ海や台湾海峡の航行阻止を想定し、海軍の潜水艦、空軍の偵察機や戦闘機、ロケット軍の対艦弾道ミサイルが動員されることになりそうだと報じた。
また、人工知能(AI)などの新技術を使い米軍に勝る兵器を開発するため、軍と民間企業が連携する「軍民融合」がさらに強化される見通しだ。5中総会で採択された基本方針には「軍民の結束強化」を明記。5中総会解説書は「国防工業と科学技術の管理で軍民が分離している状況が見られる」と指摘し、国家ぐるみの兵器開発体制の促進を求めた。
INF全廃条約の失効によって米国が中距離核兵器を保有すると、中距離核兵力における中国の優位は失われかねないです。そのため、中国は核戦略の見直しを迫られているとも言われ、戦略核兵器を含めて全てのレベルで米国と対等の抑止力の構築を求める可能性があります。
中国にとって、米国の妨害を排除するのは当然のことであり、そのために東シナ海、台湾周辺海域、南シナ海における状況を変化させるのは正当なことなのです。一方の米国にとっては、中国の軍事行動が自らに対する挑戦と認識され、これを抑え込むことが正当化されます。異なる「正義」を掲げる両国間の衝突は避けられないようにも思えます。
しかし、米中両国は実際に軍事衝突する意図を持たず、あらゆる政治的手段を攻撃的に用いる「政治戦」を戦っています。政治的手段には、対象国周辺で軍事演習や哨戒を実施する等、軍事衝突に至らない軍事力の攻撃的使用も含まれます。実際に戦闘を起こさないのであるから、米中何れが優勢であるのかは各国の認識によります。
そして各国はその認識に基づいて行動します。中国は、空母機動部隊の行動拡大によって、第二列島線までの海域を中国海軍がコントロールしていると認識する可能性があります。また中国は、米国の軍事力が第一列島線まで及ばないと認識すれば、台湾に対する圧力も高めると考えられます。
西太平洋におけるパワーバランスは米中の相互作用によって決定されます。これまで同海域でプレゼンスを示してきた米海軍が、コロナ危機の影響で行動を停滞させると、中国海軍の行動が突出して目立つようになりました。
実際には中国海軍は、コロナ危機以前から、計画どおりに影響力の及ぶ地理的空間を拡大すべく、行動をエスカレートさせてきました。2008年11月に駆逐艦等4隻が沖縄本島と宮古島の間を抜けて太平洋に入って以降、中国艦隊は第一列島線を越えて活発に行動するようになり、2009年4月には呉勝利海軍司令員(当時)が海軍の遠洋訓練を常態化すると宣言しました。特に、2012年9月に中国初の空母「遼寧」を就役させてから、中国では自信を示す発言が増えています。
一方で、艦載戦闘機もその搭乗員も不足している中国空母の作戦能力は限定的です。国防費の伸び率も人民解放軍が計画どおりに軍備増強を進めるためには不足だと考えられるかもしれません。しかし、中国は目標を達成するまで、軍備増強を放棄することも行動のエスカレートを止めることもありません。
中国は3隻目の空母を建造中であり、艦載機も開発しています。また、搭乗員の不足を補うためもあって、AIを用いた自律型の偵察攻撃無人航空機(UAV)も積極的に開発しています。中国は、武器使用のための意思決定のループに人間の存在が必要だと考える欧米諸国とは異なる価値観を有しています。
軍民融合の号令の下、国防費には含まれない、民間企業のICT、AI、IoT技術開発も武器装備品開発に組込まれ、躊躇なく完全自律型兵器を配備していくと考えられます。
公表される中国の国防費の伸び率は政治的メッセージに過ぎない可能性もありますが、コロナ危機による中国経済の落ち込みを考えれば、人民解放軍が望むとおりの予算を得ることは難しいです。それでも中国は、計画どおりに軍備増強と行動拡大を進めていると示さなければならないです。
その結果、中国が軍事的にコントロールしていると認識する地理的空間においては、その認識を覆すために、米海軍はより大きな軍事的圧力をかけなければならなくなるでしょう。そうなれば、予期せぬ軍事衝突が発生する可能性も高くなります。
日本や米国にとって重要なことは、「力の空白」が生じたと中国が認識し、軍事行動をエスカレートさせるのを防止することです。米国と中国の差異は、信頼できる同盟国の有無です。米海軍が十分に行動できないのであれば、日本や豪州といった同盟国がその不足を補わなければならないです。対象国の認識を変えるには、行動を通して自らの意思を示すほかないのです。
【私の論評】中国の「戦争準備」発言は国内向けの政治メッセージだが、弱みをみせてはならない(゚д゚)!
【私の論評】中国の「戦争準備」発言は国内向けの政治メッセージだが、弱みをみせてはならない(゚д゚)!
いわく、「中国は非対称戦で米国に反撃すればいい。我方の長所を用いて敵の短所を攻めるのだ。敵が怖がることを我方がやればいい。敵の弱い領域で我方は発展をすればいい。米国が最も恐れるのは人が死ぬこと。だから米国の空母を二隻沈めて一万人ほど死傷させればいい。それで米国は怖がるだろう」と。
羅援 |
羅援の他にも退役上校の戴旭など対外強硬、好戦的な発言で周辺国を脅し続ける「スポークスマン」は色々いますが(この二人は尖閣諸島問題に関し、東京空襲を訴える発言も)、今回の制服組トップの許其亮を含め、なぜ彼らはいつもそんなに勇ましいのでしょうか。本当に彼らが自信満々でいられるほど、人民解放軍は強いのでしょうか。
十年以上も前だが、当時の石原慎太郎東京都知事がワシントンでの講演で、「米国はイラクで米兵が二千人死ぬだけで大騒ぎするが、生命に対する価値観が全くない中国は憂いなしに戦争を始めることが出来る。戦渦が拡大すればするほど生命の価値にこだわる米国は勝てない」と話して話題になりました。こういう話も、羅援は参考にしているのかもしれないです。
たしかに中国では、政治的にも社会的にも、米国ほど人の生命は尊重されません。しかしそれを以って中国は勇敢(蛮勇か)で米国は臆病だとは断言できません。そもそも米軍が臆病な軍隊だと思う者は世界でどれだけいるでしょう。
それに米国は今でも戦争していて、犠牲者も出しています。最近アマゾン・プライムビデオで「Taking Chance 戦場の送り人」という映画をみました。これは、ある米軍の将官が、戦死者を家族の下に送り届ける使命を遂行する過程を淡々と描いたものです。以下にその予告編を掲載しておきます。
主演は、ケビン・ベーコンです。実話をもとにして描かれた映画です。派手さは、一切ないですが、戦争で犠牲になった兵士が、現地から家族の元に送られる様を遺体を届ける将官の目を通して描かれています。この役はケビン・ベーコンのはまり役だったと思います。かなり良い味をだしていました。
このようなことを日常的に経験している米国では、とても許其亮、羅援のような発言ができるような雰囲気ではありません。そのような発言をすれば、糾弾されるでしょう。
大東亜戦争中の日本軍の中には、米軍将兵は個人主義だから、自分達より臆病だとは感じていた人も多いようです。しかし当時の「リメンバー・パールハーバー」の合言葉に代表される米人の日本に対する復仇心、敵愾心はただごとでなく、最終的には忠烈無比の日本軍を降伏へと追いやっています。物量だけで勝ったのではなく、愛国心も旺盛だったのです。そして今や米軍は世界中が束になってかかっても倒せないほど強大になっています。
それに比べてあの頃の中国軍には、その愛国心が何より欠如していたと思います。
孫文が「砂を撒いたような民族」と称したように、中国人は伝統的に個人的利益しか念頭になく、愛国心、団結心に著しく欠けているようです。そのため国民党軍は日本軍には連戦連敗しました。いや敗れる以前に戦いを避けて逃げ回ったといったところかもしれません。そしてついには奥地に引き籠り、漁夫の利を得ようと米国が日本に勝つのをじっと待ったのです。
死ぬのを極度に恐れたといっても良いでしょう。それは当時の日本の将兵が戦地で抱いた共通認識でもありました。八路軍(共産軍)に至っては、日本軍と一度も戦ったことはありません。ひたすら国民党軍と日本軍から逃げ回っていたというのが実情です。
大東亜戦争中の日本軍の中には、米軍将兵は個人主義だから、自分達より臆病だとは感じていた人も多いようです。しかし当時の「リメンバー・パールハーバー」の合言葉に代表される米人の日本に対する復仇心、敵愾心はただごとでなく、最終的には忠烈無比の日本軍を降伏へと追いやっています。物量だけで勝ったのではなく、愛国心も旺盛だったのです。そして今や米軍は世界中が束になってかかっても倒せないほど強大になっています。
それに比べてあの頃の中国軍には、その愛国心が何より欠如していたと思います。
孫文が「砂を撒いたような民族」と称したように、中国人は伝統的に個人的利益しか念頭になく、愛国心、団結心に著しく欠けているようです。そのため国民党軍は日本軍には連戦連敗しました。いや敗れる以前に戦いを避けて逃げ回ったといったところかもしれません。そしてついには奥地に引き籠り、漁夫の利を得ようと米国が日本に勝つのをじっと待ったのです。
死ぬのを極度に恐れたといっても良いでしょう。それは当時の日本の将兵が戦地で抱いた共通認識でもありました。八路軍(共産軍)に至っては、日本軍と一度も戦ったことはありません。ひたすら国民党軍と日本軍から逃げ回っていたというのが実情です。
フィメールソルジャー 八路軍 衛生兵 1/6 アクションフィギュア |
日本軍と、国民党軍が戦い国民党軍が弱ったとみると、八路軍は国民党軍と戦い、日本が戦争に負けて中国からひきあげると、国民党軍との戦いを本格化させ、最終的に戦いに勝って建国されたのが現在の中華人民共和国です。後に毛沢東は日本軍が国民党軍と戦ってくれたからこそ、我々は勝利を収めることができたと語っていたとされています。
それでは現代の解放軍はどうなのでしょうか。あのころに比べ、その民族性は変わったのでしょうか。
台湾の銘伝大学の林穎佑助教授によると、羅援らタカ派がよく見せる過激な発言は、必ずしも国際情勢に合わず、時には中国の利益にも反するものですが、ただその主要目的は国内宣伝にあるといいます。
政権の対外強硬姿勢を見せなければ、怒りを沸騰させる愛国ネットユーザーに対処できないというのです。そしてそうした怒りを、特に解放軍には向かわせたくないとの切実な思いも働いているようです。
なぜなら今の解放軍は「為人民服務」(人民のために奉仕する)の理念を忘れ、「為人民幣服務」(人民元稼ぎのため奉仕する)という腐敗堕落の状態にあるからです。それに、元々人民解放軍は他国にみられる普通の軍隊ではありません。
人民解放軍は中国共産党に属しており、人民のための軍隊ではないのです。しかも、日本でいえば商社のような存在で、様々なビジネスを実施しています。国民の間で「こんな軍隊で戦えるのか」との不信感が高まっており、それを払拭するのが狙いのようです。
つまり人民解放軍の体質も昔のままなのです。愛国心の欠落は変わっていないと見てよさそうです。かつての中国人も今日のタカ派と同様、大言壮語が大好きで、過剰な反日言動で日本人を「暴支膺懲」へと駆り出させたのですが、いざ戦いが始まれば三十六計逃げるに如かず状況に陥ってしまいました。現在の人民解放軍も国より自分の生命と財産が大切なら、やはり戦えないのではないでしょうか。
民衆にしてもやはり昔のままで「砂を撒いたような」ものでしょう。愛国教育が強化され、人々は外国への敵愾心を抱くことは学んでも、しかし国のために自ら戦いたいと願う者はどれだけいるのでしょうか。
一人っ子政策の下、子供は軟弱になりますます戦いに耐えられず、親も子供だけは戦地に送りたくない。もし戦争が始まれば、民衆の怒りは外敵より政権に向かって暴動が繰り返され、それだけで政権の危機となりかねないです。
「人が死ぬのを最も恐れる」のは米国ではなく中国なのです。これだけを考えても、中国タカ派の強硬発言に一々過敏に反応する必要はないことがわかります。
いやそれよりも、過剰な反応は禁物なのだと思います。
なぜなら向こうは、臆病ゆえに強さを誇示したがる民族です。相手が少しでもアタフタして弱さを見せると、後先考えずに突いてくる可能性が高いです。羅援も「敵が怖がることを我方がやればいい」と叫ぶのも、そうした臆病者心理の反映かもしれません。
かつて台湾の李登輝総統は「軟らかい土を深く掘る」と中国の民族性を説明しましたが、とにかく「軟らかさ」(弱さ)を見せないことが肝要です。
つまり人民解放軍の体質も昔のままなのです。愛国心の欠落は変わっていないと見てよさそうです。かつての中国人も今日のタカ派と同様、大言壮語が大好きで、過剰な反日言動で日本人を「暴支膺懲」へと駆り出させたのですが、いざ戦いが始まれば三十六計逃げるに如かず状況に陥ってしまいました。現在の人民解放軍も国より自分の生命と財産が大切なら、やはり戦えないのではないでしょうか。
民衆にしてもやはり昔のままで「砂を撒いたような」ものでしょう。愛国教育が強化され、人々は外国への敵愾心を抱くことは学んでも、しかし国のために自ら戦いたいと願う者はどれだけいるのでしょうか。
一人っ子政策の下、子供は軟弱になりますます戦いに耐えられず、親も子供だけは戦地に送りたくない。もし戦争が始まれば、民衆の怒りは外敵より政権に向かって暴動が繰り返され、それだけで政権の危機となりかねないです。
「人が死ぬのを最も恐れる」のは米国ではなく中国なのです。これだけを考えても、中国タカ派の強硬発言に一々過敏に反応する必要はないことがわかります。
いやそれよりも、過剰な反応は禁物なのだと思います。
なぜなら向こうは、臆病ゆえに強さを誇示したがる民族です。相手が少しでもアタフタして弱さを見せると、後先考えずに突いてくる可能性が高いです。羅援も「敵が怖がることを我方がやればいい」と叫ぶのも、そうした臆病者心理の反映かもしれません。
かつて台湾の李登輝総統は「軟らかい土を深く掘る」と中国の民族性を説明しましたが、とにかく「軟らかさ」(弱さ)を見せないことが肝要です。
本日は、上のニュース以外にも驚くべきニュースが舞い込んでいます。
河野克俊前統合幕僚長は16日、東京都内で講演し、旧民主党の野田佳彦政権を念頭に、尖閣諸島(沖縄県石垣市)の周辺海域に中国海軍の艦艇が接近した場合は「海上自衛隊の護衛艦は『相手を刺激しないように見えないところにいろ』と(官邸に)いわれた」と明かしました。野田政権が平成24年9月に尖閣諸島を国有化した当時、日中の緊張関係が高まっており、中国側に配慮した措置とみられます。
中国軍の艦艇は通常、中国海警局の巡視船が尖閣周辺を航行する際、尖閣から約90キロ北東の北緯27度線の北側海域に展開します。これに対して、海自の護衛艦は不測の事態に備え、27度線の南側で中国軍艦艇を警戒監視しています。
河野氏は「安倍晋三政権では『何をやっているのか。とにかく見えるところまで出せ』といわれ、方針転換しました。今ではマンツーマンでついている」と語りました。自民党の長島昭久衆院議員のパーティーで明かしました。
これでは、中国側にわざわざ弱みをみせるようなものです。どうせ尖閣諸島付近の海域に行っても、日本は中国との紛争になることを恐れて軍艦を出してこないから、何をやっても自由だと解釈するに違いありません。だからこそ、最近でも中国の艦艇による傍若無人な行動が繰り返されるのです。
日本としても、守勢にまわっていだけではなく、中国側に一度底知れない恐怖を味あわせたほうが良いと思います。そうして、日本はそれを十分にできます。
たとえば、中国は日本の潜水艦を哨戒する能力がありませんから、潜水艦からいきなり何かを発射するようなデモンストレーションをして。中国艦艇をパニックに追い込むなどの手もあります。破壊を伴うものではなくても良いですから、中国が探知できない潜水艦がこの水域にもいて、中国の艦艇に標準をあわせていることを周知させるような内容のものが良いと思います。
ただし、中国海軍はそれを自覚しているからこそ、傍若無人な振る舞いをしても、尖閣を占領しようとしません。よって今でも、中国海軍は本来なら今年中に第二列島線を傘下に収めるはずなのに、尖閣諸島を含む第一列島線すら中国の傘下におさめていません。
なぜかといえば、尖閣を占領しても、中国側が探知できない日本の潜水艦が尖閣諸島を包囲してしまえば、中国側の艦艇や航空機はことごとく破壊されてしまい、補給ができずに、尖閣の上陸部隊がお手上げになってしまうのが見えているからです。日本の潜水艦隊の創設は間違いなく安全保障にも功を奏していると思います。
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