森会長の発言真意は“女性蔑視”より“女性登用”では? 不当な「メディアリンチ」こそ深刻な「日本の病」 有本香氏が緊急寄稿
森会長“女性蔑視”発言
有本香氏 |
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毎週木曜のコラムでなく、イレギュラーな寄稿を容赦いただきたい。というのも、「森喜朗イジメ」がひどすぎるからだ。
3日に行われた東京五輪・パラリンピック組織委員会の臨時評議会で出た、森喜朗会長の発言。これに、芸能人から文化人、スポーツ選手らが、我も我もと寄ってたかって、たたいている。加えて、欧州諸国の大使館アカウントまでが乗っかっての騒ぎとなっていることには違和感がある。
まず、今したり顔で森氏を非難している人たちは、発言の全文を読んだのだろうか。確かに、不用意なところのある、分かりにくい発言ではある。そもそも、女性はこうだ、男性はこうだ、と属性で一括(くく)りにしての評価は、身内の会合であっても公言すべきではない。
そうした欠点はあるが、虚心坦懐(たんかい)に全文を読めば、森氏の発言が「女性蔑視」とはむしろ逆の意図に基づいたものだともとれる。
不肖私が森発言を要約すると、次のようになる。
「文科省は各種団体に女性理事を増やすよう強く要請しているが、女性の理事は(男性と異なる)優れた点として競争意識が強い。皆が発言しようとする傾向があるため、『会議に時間がかかる』と文句を言う人がいる。しかし、私(森氏)たちの組織委員会の女性理事は端的に的を射た発言をする人ばかりだから、欠員があるとすぐ女性を選ぼうということになる」
話し言葉では、文意が錯綜(さくそう)することがしばしばある。慎重に話そうとするあまり、分かりにくくなることもある。その多くの単語を都合よく切り取ってつなげば、話者の意図とはまったく別の「差別発言」に仕立てることも可能だ。
特に、森氏の場合、首相時代からのイメージが強くある。約20年前、メディアによって連日、発言の「切り取り」をされ、「失言王」に仕立てられた。そのイメージゆえ、今回も「また森さんか…」と全国の人々に容易に信じ込まれた点も大きい。
今では、森氏の過去の「失言」の大半がメディアの捏造(ねつぞう)、もしくは「切り取り」によるミスリードだったと判明していて、ネット上には名誉回復情報も多く流布しているが、やはりイメージ払拭には十分でない。
森氏は7年前、五輪組織委会長職就任の依頼を受けた際、「無償」を条件に同職を引き受けた。規約上、報酬ゼロにできないと知ると、自らの報酬をアルバイト職員と同額の最低額にし、その全額を積み立てて、寄せ集めの組織委職員が一致団結できるようにと、皆の懇親会費に充ててきた。
多くの関係者が「余人をもって代えがたい」という森氏の人脈、交渉力は、2019年に、ラグビーワールドカップが日本招致されたことでも明らかだ。
7年もの間、「国のため」「五輪のため」に私財をつぎ込み、しかも癌(がん)と闘いながら走ってきた人が、意図を捻じ曲げられたたかれまくる。
その様を見ていると、日本社会に残る「女性差別」よりも、不当な「メディアリンチ」の方がはるかに深刻な「日本の病」と思うが、いかがか。
【私の論評】現在のマスコミ・芸人・識者による森叩きは、線香花火が消える寸前の最期の煌めきのようなもの(゚д゚)!
なにやら、現状のマスコミをみていると、とにかく森氏を叩きまくり、森氏を叩くためなら、誰が何をやっても良いという有様で、とてもまともであるとは見えません。
これについては、以下の2つの動画をご覧いただけると、この問題の真相になかなり迫ることができると思います。
まず一本目は、政治学者岩田温氏によるものです。
なにやら、現状のマスコミをみていると、とにかく森氏を叩きまくり、森氏を叩くためなら、誰が何をやっても良いという有様で、とてもまともであるとは見えません。
これについては、以下の2つの動画をご覧いただけると、この問題の真相になかなり迫ることができると思います。
まず一本目は、政治学者岩田温氏によるものです。
この岩田氏の動画は、この問題が発生してから、しばらくしてから公表されたせいか、この問題の本質を余すところなく伝えています。しかも、岩田氏は、当初は、森氏の発言には女性蔑視の内容が含まれていることは事実であり、その点から擁護はできないと、きっぱりと語っていました。
ただ、森氏への批判や追求がいつまでも続くのに業を煮やして、今回の動画を作成されたのでょう。確かに現状の森批判は、度を超えていて、女性蔑視を批判するなどという範疇ははるかに超えて、これはもう陰湿な老人いじめのような状況になっています。批判することと、いじめることは根本的に違います。そのことを岩田氏は訴えたかったのだと思います。
もう一方は、財務官僚の経験もある経済学者の高橋洋一の動画です。
この動画で、森氏がマスコミなどの標的になるのは、その場を盛り上げようとして、様々な会場で主催者側を持ち上げるように、長い話をするので、その長い話を切りとり、批判の材料にしやすいとしていました。
実際そうなのだと思います。私自身は、森氏講演を2回くらいは聞いたことがありますが、聞いていて本当に楽しいです。それに飽きません。はっきり言って、テレビに出てくる芸人など比較の対象にならないくらい面白いです。
私は、今回の森騒動でオリンピックの聖火ランナーをやめると宣言した、ロンドンブーツの田村淳氏のことも、上の動画の岩田氏が語っているようにほとんど知りません。そもそも、テレビをあまり見ないですし、テレビで視聴する芸人の芸をあまり面白いと思ったことはありません。
むしろ、いわゆる芸人といわれる人達は、森氏の話を虚心坦懐に聞き、なぜあれほどまで多くの人が面白いと思われるのか研究すべきだと思います。
それに抜群の調整力があります。このような人は、オリ・パラに限らず、様々なお祭りや、イベントには欠かせない人だと思います。
私が森喜朗氏のことで、はっきりと印象に残っているのは、2005年8月6日夜のニュースです。当時参院で郵政民営化法案が否決された小泉総理が衆院解散を決意し、それを思いとどまらせようと森氏が官邸を訪ねたのですが、「殺されてもいい」と拒否されたそうです。
その会談で出たのが缶ビールとつまみの「干からびた」チーズでしたた。会談後、森氏は握りつぶした缶ビールと干からびたチーズを取り囲んだ記者団に見せ、「寿司でも取ってくれるのかと思ったらこのチーズと、缶ビールだけでした」「硬くて歯が痛くなったよ」と不平を漏らしました。
その映像を見たわれわれ視聴者は「小泉は命をかけている、本気だな」との印象を強くしたと思います。森氏が記者団に見せた憮(ぶ)然とした表情がなければ、総選挙での自民党の大勝はなかったのではないか、と今でも思ったりします。
その後日談であの干からびたチーズは高級チーズ「ミモレット」だったと報道されました。その当時は、会社でイタリアン・レストランを運営していて、そこでは60種類以上もの、ナチュラルチーズも販売していて、その中にもミモレットもあったので、何度か食べたことがありました。
確かに歯応えは十分ですが、「硬くて歯が痛くなる」ほどではありません。ミディアムに焼いたステーキを食する人なら、難なく口に入ります。「歯が痛くなるなんて、オーバーな表現だな」といぶかったものでした。要するに、これは森氏が仕掛けたマスコミ対策だったのだと思います。
そして、2005年8月12日の午前10時からのテレビ朝日の政治討論番組「サンデープロジェクト」で森氏が出演しました。司会の田原総一朗氏が「あの干からびたチーズの会見は森さんの演技だったという説もありますが、本当ですか」と尋ねました。森氏はニコニコしながら、否定はしせんでした。ということは、やはり芝居だったのかもしれません。演技ならば「硬くて歯が痛くなった」との表現も辻褄(つま)が会います。
ところで番組では、森氏は東京ではなく北陸朝日放送(金沢市)のスタジオから中継で出演していました。同年同月10日に告示された石川県議会議員補欠選挙(19日投票)に立候補している長男の祐喜氏(41)の戦いぶりが気になり、お国入りしたのでしょう。9月のポスト小泉の後継はこれから、まず、自らの後継を固めようとの思いだったのかもしれません。
その祐喜氏は、2011年5月頃より体調を崩して金沢市の病院に入院していましたが、2011年7月25日、入院先の病院で急性膵炎による多臓器不全のため死去。46歳没。森元首相は「今は静かに逝かせてやりたい」と話し、家族たちだけで密葬しました。
このような、森氏をマスコミや芸人までが束になって、言いたい放題で森氏の辞任を要求しています。ここまでいくと、マスコミも一部の芸人たちも、単なる人非人どもと断定せざるを得ません。
マスコミは新聞・テレビとも未だに隆盛を誇っているようにみられますが、このブログにも掲載したように、あと10年で消滅します。完全に消滅するかどうかは、わかりませんが、少なくとも、社会的に大きな影響力を行使できるような組織ではなくなります。
テレビに関しても、ここしばらく視聴率が落ち続けているのですが、昨年はコロナの影響で、自宅でテレビを見る機会が多くなったために、視聴率が伸びています。とはいいながら、各テレビ局の運営は厳しいそうです。それは、ACジャパンの広告が、一昨年の4月前半件から昨年は6,103件と、20倍になったことでもわかります。
視聴率があがっても、肝心のスポンサーがCMを放映しなければ、テレビ局の収入は減るのです。
このままだと、テレビも10年後は危ないです。何らかの形で残りはするでしょうが、今でいえば、ラジオのような存在になるでしょう。主流はインターネットということになるでしょう。そうなると、今までテレビに出ていた、芸人や識者たちは、テレビに出る機会がほとんどなくなると思います。
これを考えると、現在のマスコミや芸人・識者による森叩きは、線香花火が消える寸前の最期の煌めきのようなものかもしれません。
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