2021年5月29日土曜日

いつまで「弱小国の振り」を続けるのか? 日本が“再軍備”できない本当の理由―【私の論評】日本はQuadでも安全保障条約の締結をし、東アジア・太平洋地域の平和維持に貢献すべき(゚д゚)!

いつまで「弱小国の振り」を続けるのか? 日本が“再軍備”できない本当の理由

グレンコ・アンドリー(国際政治学者)

グレンコ・アンドリー氏

日本はどうして弱小国家の振りを続けているのだろうか。

国際政治学者のグレンコ・アンドリーは、戦後日本の基本原則である「吉田ドクトリン」があったお陰で、日本の軍事力は高まることがなかったと指摘する。この時代の、日本における真の安全保障とは何だろうか。

※本稿は、グレンコ・アンドリー 著『NATOの教訓』(PHP新書)の内容を、一部再編集したものです。

吉田ドクトリンの功罪

戦後、日本を国際関係の「弱者」「小国」として固定させたのは、いわゆる「吉田ドクトリン」である。

吉田ドクトリンとは、安全保障をアメリカに依存することで、軽武装を維持しながら経済の復興、発展を最優先させることによって、国際的地位の回復を目指した戦後日本の外交の基本原則である。

アメリカは朝鮮戦争勃発のため、日本に軍事費増加を要求したが、吉田茂首相は日本国憲法第9条を盾に、この要求を拒否した。

吉田首相が退陣した後も、吉田ドクトリンの路線は日本に定着した。安全保障をアメリカに任せたおかげで、日本は復興や発展に集中でき、高度経済成長を成し遂げて世界第2位の経済大国となった。吉田ドクトリンに基づく方針はおおむね現在も続いており、多くの人から評価されている。

それでは、実際に吉田ドクトリンは正解だったのだろうか。日本が高度経済成長を成し遂げたのは紛れもない事実だから、成功だという意見は理解できる。

一方、吉田ドクトリンが日本の足枷になっていることもまた、事実である。主権を回復してから70年近く経っているにもかかわらず、日本は憲法9条を改正できず、自国の防衛、安全保障政策を自主的に制限している。

もしあの時、アメリカの要求通り軍事費を増やしていれば、その後の再軍備も現実的になり、今の日本は自立した軍隊を持つ「普通の国」になっていた可能性が高い。

日本が弱小国の振りを続ける余裕はもうない

吉田ドクトリンが妥当だったかについては、やはり議論の余地がある。百歩譲って、吉田首相の在任当時は経済の復興を一刻も早く実現する手段として合理的な判断だったとしても、その後もずっと日本の安全保障政策の基本になっている状態は明らかにおかしい。

吉田首相自身も、再軍備の拒否と復興、発展の最優先を敗戦直後に置かれた状態を踏まえた上で決断したと思われ、同じ状態が未来永劫、続くことは想定しなかっただろう。

「21世紀の日本は小国として、大国の中国やアメリカ、ロシアとバランスを取りながらうまく付き合う」という方針は、驚くべきことに今でもかなりの支持を集めている。実際自民党から共産党まで程度の差はあれども、国政政党が軒並み小国路線を支持している

しかし、これでいいのだろうか。まず言えることは、人口が1億人以上で、世界第3位のGDPの国は、どう見ても「弱小国」ではない。弱小ではない日本がなぜ「弱小国」の振る舞いをしなければならないのか。

日本は東アジアにある。隣に中国とロシアのような凶暴な軍事大国と、日本人を拉致する犯罪国家の北朝鮮がある。このような地域に位置すれば、弱小国は必ず危険に晒される。仮に直接の軍事侵攻を受けなくても、隣国に振り回される運命を免れない。

実際にいま日本の領土はロシアと韓国に不法占領されており、尖閣諸島も中国に狙われている。中国をはじめ、近隣諸国は日本の外交・内政問題への干渉を繰り返している。

この状態で、日本が弱小国として振る舞うことは決して許されない。今は当たり前の平和な日常が破壊されても構わないなら、そのままでもいいのかもしれない。だが、現在の暮らしを守りたいなら、弱小国の振る舞いを続ける余裕は、日本にはもうない。

アメリカに"日本を守る気になってもらう"ために

筆者は、地政学的な思考としては「親米」を選ぶ。そして「日本の安全保障政策の基本は、日米同盟を軸にした親米路線しかあり得ない」とも考えている。

しかし、戦後復興を成し遂げた後もなお吉田ドクトリンを続ける路線は、決して親米ではない。さらに言えば、それは対米従属ですらない。もし日本が本当に対米従属であれば、アメリカの要望通りある程度の再軍備を実行したはずだ。

再軍備を拒否した時点で、日本は対米従属の国ではない。現在でも吉田ドクトリンを支持している論者には、アメリカに対する愛も尊敬も、執着もないといえるだろう。自分で生活を守る努力をせず、ただ楽をしたいためにアメリカを利用しているだけである。

吉田ドクトリンの支持者は、「いざというときにアメリカは日本を守ってくれる」と言う。それを批判する反米左翼は「話し合えば分かり合える」と言う。さらにそれらを批判する反米保守は「アメリカは絶対に日本を守ってくれないから、対米自立しかない」と言う。しかし、全部間違いなのである。

吉田ドクトリンの支持者と反米左翼は「日本が努力しなくても済む」という点で共通している。また、反米左翼と反米保守は「アメリカとの同盟は要らない」という点で共通している。

さらに、いずれの一派も「アメリカが日本を守る気になるように、日本は今まで何か努力をしたのか」「アメリカが日本を守る気になるように、どうすればいいのか」を真剣に考えていない、という点で共通している。

実際の安全保障において、「アメリカは日本を守る」「守らない」という議論は無意味であり、現状に何の影響も与えない。

むしろ「アメリカが日本を守る気になるために、何をすればよいか」を語る議論こそ現状に影響を与え、日本の安全保障に役立つ可能性が十分にある。

日本は、今までアメリカが日本を守る気になるための努力をせずに、日米安保の条文だけに甘えてきた。条約の条文は大事だが、それが全てではない。実際に各時代の政権が条約をどう運用するかが重要である。当然、日米安全保障条約も例外ではない

日本にとっての"真の安全保障"とは

日本人が日米安保条約の第5条(「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」)の条文に頼るだけの態度を続けるなら、いずれアメリカも条文を守る気にならず、条約が形骸化する恐れがある。

アメリカが日本を守る気になるには、まずは日本が国防のための努力を行い、少なくともアメリカが諸同盟国に要求する防衛費の対GDP比2%の予算を実現し、アメリカの地政学的な戦略に付き合う必要がある。

反米左翼と反米保守は「対米従属」と言うであろうが、これは従属ではない。日本の国家安全保障を確立するために必要な外交政策であり、何よりも日本の国益に適うのだ。

吉田ドクトリンに基づく外交を続け、日米安保条約の条文だけに頼っても、日本の主権と独立を守ることはできない。また、左右の反米主義者の極論を聞いても、日本は危うい道を歩むだけだ。

今の日本に必要なのは、防衛費の倍増と再軍備だ。複雑かつ危険極まる現代の世界において、危機はいつ、どこから迫ってくるか全く予測できない。

不測の事態は必ず起きる。有事にいち早く対応するには、平時のうちに危機に備える必要がある。日本の国民一人ひとりが、国家安全保障が日常生活に直結することに気づき、国防の努力の必要性を理解すべきだろう。

政治家もまた、利権や自分の政治生命ばかりではなく、国家の主権と独立を守ることを第一の目的にしなければならない。

【私の論評】日本はQuadでも安全保障条約の締結をし、東アジア・太平洋地域の平和維持に貢献すべき(゚д゚)!

グレンコ・アンドリー(Gurenko Andrii)氏は、国際政治学者。1987年、ウクライナ・キエフ生まれ。2010年から11年まで早稲田大学で語学留学。同年、日本語能力検定試験1級合格。12年、キエフ国立大学日本語専攻卒業。

3年、京都大学へ留学。19年3月、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程指導認定退学。アパ日本再興財団主催第9回「真の近現代史観」懸賞論文学生部門優秀賞(2016年)。ウクライナ情勢、世界情勢について講演・執筆活動を行なっています。著書に『プーチン幻想』(PHP新書)。

彼の祖国ウクライナは2014年にロシアに侵略されました。彼は日本に来て、国民の平和ボケと危機への無関心ぶりに驚き警鐘を鳴らしています。

国際社会はお花畑の日本人の多くが考えているよりもはるかに厳しいもので、おとなしい平和国家であっても、凶暴な他国から攻撃されることがあります。

似たような状況にもあるように見える、ウクライナと日本は、同じ結末にたどり着く危険性も十分にあると思います。 ウクライナに対して用いられたロシアの共産主義的手法は、今、中国によって日本に対して用いられています。その最も顕著な例が沖縄と尖閣諸島です。沖縄は第二のクリミアになりかねません。

しかし、その日本が弱小国のような振る舞いをするのは、彼からみれば驚きでしょう。現在のロシアのGDPは日本の1/3以下であり、ウクライナはさらにGDPは小さいです。経済力でみると、日本はロシアよりはるかに大きいのです。

さらに、人口でも、日本は1億2千万人、ロシアは、1億4千万人、ウクライナは4400万人です。人口でも日本とロシアはあまり差異がないのです。日本は確かに領土は狭いですが、とても小国と呼べるような存在でないと、彼の目に映るのは当然のことです。

ウクライナは黒海に面する東ヨーロッパの国で、ロシア、ベラルーシ、ポーランド、ハンガリー、モルドバなどと国境を接しています。同国のGDPは約1650億ドルで、世界のGDPシェアの0.23%程度に過ぎません。

しかし、ウクライナは以下の理由からロシアにとっては極めて重要です。

1)ロシアから西欧へ天然ガスを運ぶパイプラインの80%が同国を通っている
2)黒海に面したクリミア半島にロシアの海軍基地がある

そうして、ウクライナの民心は、決して一つではありません。

そもそも、ウクライナは歴史的経緯から、複雑な民族構成になっています。

地方都市リヴィウを中心とする西ウクライナではウクライナ語が話され、住民は欧州に親近感を持っています。

これに対してクリミア半島を含む南東部ではロシア語が話され、住民はロシアに親近感を持っています。

ひとつの国でありながら民心はまとまりを欠いており、親欧州、親ロシアの両勢力が同国のほぼ中心に位置する首都キエフで混在しています。



さて、このウクライナでは、NATO加盟の必要性を巡って激しい議論が繰り広げられていました。2014年までのおおまかな構図としては、保守派と独立派が加盟に賛成であり、それ以外は反対でした。

 また国民世論も、おおよそ六割は加盟反対でした。反対の理由としては、「NATOの戦争に巻き込まれる」「NATOに支配される」「軍事費が増える」といった、まったく根拠のない嘘やプロパガンダでした。真に残念ながら、ロシアや親露派にコントロールされていた言論空間においては、真実の声はあまり国民に届かずに、国民の多くは騙され続けていたのです。

これは、2015年の安保法制改正のときに噴出した反対派の意見と酷似しています。「米国の戦争に巻き込まれる」「戦争になる」挙げ句の果ては「徴兵制」になるという、全く根拠のない嘘やプロパガンダでした。

  もう一つの反対の理由とは「ロシアの反発」「ロシアとの関係悪化」でした。もちろん、ウクライナがNATOに加盟すれば、当然ロシアの反発は不可避でしょう。ところが、それを気にすること自体、当時のウクライナ人の極めて強い属国根性の表れであると言わざるを得ないです。

日本でも、政財界を中心「中国の反発」「中国のとの関係悪化」を懸念する声は今でも大きいです。  

ただし、仮に当時のウクライナ世論がNATO加盟に肯定的だったとしても、あのときウクライナのNATO加盟は不可能でした。

なぜなら、ウクライナ国内だけではなく、ヨーロッパ諸国までロシアの反発を恐れて、ロシアに配慮していたからです。  

ウクライナは一度、NATO加盟を試みたことがあります。2008年4月2日から4日まで、ルーマニアの首都、ブカレストでNATOのサミットが行われました。

そのサミットの前に、ウクライナ、そして同じ旧ソ連のジョージア(旧名:グルジア)がNATO加盟のための行動計画への参加を申請しました。NATO加盟のための行動計画とは、NATO加盟そのものではないのですが、加盟の準備段階であり、それに参加する国は、将来NATOに加盟するという前提で、NATO側との緊密に協力しながらさまざまな改革や準備を行っている過程です。

 もしこのウクライナとジョージアの申請が承認されたていたら、両国はいずれNATOに加盟できたと考えられます。しかし、両国の申請は拒否されました。  

ドイツとフランスが拒否権を発動したのです。そのサミットにはゲストとしてロシアのプーチン大統領も誘われており、彼はその場でウクライナとジョージアの行動計画への参加に強く反発しました。その時ドイツとフランスはロシアの圧力に屈したのです。その結果、あれ以来、ウクライナとジョージアはNATOに参加できないままです。 

このサミットの4カ月後、ロシアはジョージアに侵略し、ジョージアの領土の一部を占領しました。あれから既に10年以上経っていますが、そのジョージアの領土はロシアに占領されたままです。
そして、その6年後、ロシアはウクライナへ侵略し、一部の領土を占領し、その戦争は現在に至っても続いているのです。  

それでは、もしその2008年4月のサミットで、ウクライナとジョージアの申請が承認された場合は、戦争が免れたのでしょうか。 


  
この疑問に答えるにはバルト三国の例を見ればわかります。バルト三国、即ちリトアニア、ラトビアとエストニアは、ウクライナやジョージアと同じく旧ソ連構成国であり、人口はそれぞれ、約280万人、200万人、130万人です。

バルト三国

三国合わせても、その人口はウクライナの七分の一、面積は四分の一しかありません。また、個別に計算すれば、いずれの国もジョージアより小さいです。しかも、ラトビアとエストニアはロシアと陸続きで国境を接しており、両国の人口の四分の一はロシア民族です。そのロシア民族は当然バルト三国がロシアの支配下に入って欲しいし、何かあれば必ずロシアに全面的に強力するでしょう。  

当然、ロシア自身もバルト三国を支配したいという強い願望を持っています。このような状況では、圧倒的な力の差やロシア系住民の存在を考えれば、ロシアのような軍事大国にとって、バルト三国を制圧するのは非常に容易いものです。  

しかしロシアはバルト三国へ侵略できません。なぜなら、バルト三国はNATO加盟国だからです。NATOに入っていれば、どのような小さい国でも安全になります。

なぜならその国が武力攻撃を受けた場合は、アメリカ合衆国やイギリス、フランスなどの軍事大国かつ核保有国が反撃することになるからです。その反撃の恐れは最も効果的な抑止力となり、ロシアのような凶暴的な軍事大国であっても、簡単に手を出せないのです。  

バルト三国とウクライナ、ジョージアの違いとは、正に集団安全保障の枠に入っている国と入っていない国の違いです。  

集団安全保障の組織に入っておけば、どんなに小さい国でも安全でいられます。しかし入らなければ、自国を自分だけで守らなければならないです。もし攻撃してきた敵の方が強かったら、どうしようもないのです。

 だかこそ2008年にウクライナとジョージアのNATO加盟のための行動計画への参加申請が承認され、その後両国がNATOに加盟できていたら、きっとウクライナもジョージアもロシアに侵略されず、領土や何千人の尊い命も奪われずに済んだでしょう。

街路に張り出された死傷者リストを見入るジョージア南オセチア住民

この状況を日本はどう見るべきでしょうか。日本にはすでに日米安保条約があります。この点だけでも、今の日本の状況はウクライナよりは良いです。しかし、日米安保だけでは不十分です。一つは日米安保条約はNATOが基づく北大西洋条約と比べると、同盟国を守る義務が緩いからです。

これらを比較すると、北大西洋条約の方が実際に集団的自衛権が発動される可能性が高いです。だから日本のこれからの課題とは、同盟国同士がお互いを守る義務が今よりも明確化された条約の締結です。

多国間の安全保障条約は二国間の安全保障条約よりは安定しています。だからこそ、日本は積極的にアジア・太平洋地域で、多国間の集団防衛の義務がある安全保障条約の締結を促すべきである。

そうして、このNATOに近いといわれているのが、Quadなのです。当時のマイク・ポンペオ米国務長官は昨年10月6日、中国共産党政権に対抗するため、米国・日本・オーストラリア・インドによる4カ国安保対話(Quad、クアッド)を公式化し、拡大する意思を示しました。

クアッドとは、非公式な同盟を結んでいる米日豪印の4カ国間の会合で、第一次政権時の安倍前首相が2007年に提唱し実現させたのです。安倍首相はその後、間もなく退陣してしまうことになりまいが、この方針は後を受けた麻生政権にも引き継がれ、そして民主党政権を経た後の第二次安倍政権でもこの4カ国の枠組みの維持が図られてきました。

安倍総理が、2007年にこの4カ国の枠組みを提唱したことは、まさしく慧眼だったといえます。

現在のQuadは、まだ軍事同盟にまでは至ってはいませんが、4カ国は、いずれこれを軍事同盟としても機能させるべきでしょう。そのためには、Quadでも安全保障条約の締結をするべきでしょう。

NATOが基づく北大西洋条約の第五条を以下に掲載します。
締約国は、ヨーロッパ又は北アメリカにおける一又は二以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなすことに同意する。したがつて、締約国は、そのような武力攻撃が行われたときは、各締約国が、国際連合憲章第五十一条の規定によつて認められている個別的又は集団的自衛権を行使して、北大西洋地域の安全を回復し及び維持するためにその必要と認める行動(兵力の使用を含む。)を個別的に及び他の締約国と共同して直ちに執ることにより、その攻撃を受けた締約国を援助することに同意する。 
前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。

確かに、この条約がある限りNATOは、ロシアの弱体化にともない軍事的性格は薄れたとはいえ、集団安全保障、集団防衛の同盟であることには変わりないです。

旧ソ連の核兵器や、軍事技術を受け継ぎ、いまでも世界第二位の軍事費を投入するロシアは決して侮れる相手ではありませんが、何しろ経済力が日本の1/3にまで落ちてしまったロシアではできることは限られています。

米国を抜いた、NATOともまともに対峙できないでしょう。NATOと事を構えて、武力衝突ということになれば、初戦では勝ち抜くかもしれませんが、長期にわたって戦線を維持できないでしょう。そのようなことを予め認識しているため、バルト三国を侵略できないのです。

このようなことを考えると、日本の進む道は明らかです。世界の経験からすれば、集団安全保障が平和を守り、単独防衛では平和維持がかなり難しいということが分かります。集団安全保障体制に入っていれば、戦争に巻き込まれる恐れはないのです。

QUADによる集団安全保障は日本にとっていかに大事かということを日本人大多数の共通認識にして、日本は東アジア・太平洋地域の平和維持に貢献すべきなのです。「弱小国の振り」などするのはやめて、他の普通の国と同じようにすべきなのです。

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