経済同友会桜田幹事 写真はブログ管理人挿入 以下同じ |
経済同友会が経済成長や財政状況の2050年度までの試算と提言をまとめた。そこでは公的債務残高が国内総生産(GDP)に占める比率を縮小させるには、消費税率を段階的に19%まで引き上げる必要があると指摘した。また、コロナ対策による債務については「現在世代」で負担すべきだとしている。
本コラムで何度も繰り返して説明しているが、財政状況を理解するには資産と負債を示すバランスシート(貸借対照表)をみる必要がある。なぜ、負債(債務)だけを取り出して財政の議論をするのか、正直なところ筆者には理解できない。
今回のコロナ対策は、日本政府の広義のバランスシートをみれば、資産を加味したネット債務残高を増加させないため、財政状況を悪化させるものではない。財政状況が悪くなっていないので、増税などの対応は、無駄であるばかりか、有害になる。
筆者の出身である財務省(旧大蔵省)は、財政キャンペーンのとき、債務の大きさだけを説明していたが、役人時代の筆者はそれに疑問を呈し、バランスシートで説明すべきだと内部で主張していた。
大蔵省の役人として財政投融資を担当していたとき、資産負債総合管理(ALM)の必要性が出てきて、筆者はALMシステム作成の指示を受けた。
そのためには財政投融資のバランスシートが必要となったのだが、まず国全体のバランスシートを作った。1995年ごろだ。国全体のバランスシートを作成しないと、その一部である財政投融資のバランスシートを作ることはできないためだ。
そうしてみると、当時の大蔵省の財政キャンペーンに不都合な事実が少なくなかった。その後、ALMシステムを大蔵省が作成したことは公表されたが、国全体のバランスシートを作ったことは明かされなかった。
その後も10年程度公表されなかったが、小泉純一郎政権時にようやく公表されるようになった。しかし、財務省が積極的に記者レクチャーしないので、会計知識の乏しい日本のマスコミは、国全体のバランスシートについてまともに報道できていない。
本コラムで何度も繰り返して説明しているが、財政状況を理解するには資産と負債を示すバランスシート(貸借対照表)をみる必要がある。なぜ、負債(債務)だけを取り出して財政の議論をするのか、正直なところ筆者には理解できない。
今回のコロナ対策は、日本政府の広義のバランスシートをみれば、資産を加味したネット債務残高を増加させないため、財政状況を悪化させるものではない。財政状況が悪くなっていないので、増税などの対応は、無駄であるばかりか、有害になる。
筆者の出身である財務省(旧大蔵省)は、財政キャンペーンのとき、債務の大きさだけを説明していたが、役人時代の筆者はそれに疑問を呈し、バランスシートで説明すべきだと内部で主張していた。
大蔵省の役人として財政投融資を担当していたとき、資産負債総合管理(ALM)の必要性が出てきて、筆者はALMシステム作成の指示を受けた。
そのためには財政投融資のバランスシートが必要となったのだが、まず国全体のバランスシートを作った。1995年ごろだ。国全体のバランスシートを作成しないと、その一部である財政投融資のバランスシートを作ることはできないためだ。
そうしてみると、当時の大蔵省の財政キャンペーンに不都合な事実が少なくなかった。その後、ALMシステムを大蔵省が作成したことは公表されたが、国全体のバランスシートを作ったことは明かされなかった。
その後も10年程度公表されなかったが、小泉純一郎政権時にようやく公表されるようになった。しかし、財務省が積極的に記者レクチャーしないので、会計知識の乏しい日本のマスコミは、国全体のバランスシートについてまともに報道できていない。
財務省太田次官 |
経済同友会も、財務省からのバランスシートの説明がなかったのか、負債に関してのみ説明を受けたのかは分からない。しかし企業人がバランスシートを読めないとは考えにくい。何か別の原因があるのではないか。
一般論として、企業人としては税金や税務署を意識せざるを得ない。税務署では社会教育の一環として租税教育を地元の学校などで行っている。その教材は国税庁が作るが、基本的に財務省の資料や見解が反映されている。
となると、企業人が筆者の主張のような見解を出すと、結果的に税務署の言うことを否定することにもつながりかねない。まともな企業人なら、あえて無用な争いをしたくないはずだ。
ただし、社会的に有害ともいえる提言をする必要もないのではないか。
(内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)
【私の論評】消費増税8%の前の消費支出水準に戻るまで、増税ではなく積極財政、金融緩和をするのが当然(゚д゚)!
これによりますと、2人以上の世帯の消費支出は1ヵ月あたりの平均で見て27万6167円となり、物価変動の影響を除いた実質で、前年度から4.9%減となりました。落ち込み幅は比較可能な2001年度以降で、消費増税後の2014年度(5.1%減)に次いで2番目に大きくなりました。
それでも世界で見ると、日本は落ちていない方です。結果的にそれが雇用の安定につながっていると考えられます。失業率は、足元で2.9%くらいですが、これは少し上がっているのですが、それても他国と比較すれば、さほど上がっているわけではありません。
コロナ禍があってから、毎月家計の動きを見ると、緊急事態宣言をすると消費支出が下がる傾向があります。3月は6.2%プラスとなっています。4月は少し良いかも知れないですが、5月はまた緊急事態宣言があったので下がることになるでしょう。
前年比だけで見ると、コロナの影響で前年が普通の年ではありませんから、前の年も悪いので、実数も慎重にみるべきです。 2020年3月から5月を振り返ると、相当消費が落ち込んでいました。
伸び率だけを見ているとと、前の年が普通だという前提であれば、これでも良いのですが、前の年が違うときには違う読み方をするべきです。1年間の数字だけを見ているとよくわからないのです。
2~3年を続けて見ると、ある程度わかります。 11日に発表された家計調査の3月の数字が出たので、年度と3月単月で出ていて、3月単月の方を取って「6.2%プラスでした」とするメディアも多くありました。
そのような報道からすると良いようにみえますが、3月だけではなく、その前も状況でした。2020年2月くらいからずっと悪い状況でした。
それと比較して「あまり動いていない」という状況でありこれはかなり厳しいです。2020年の1年間は、その前の年と比べるとかなり低いです。コロナ禍になってから、旅行や飲食なども含めて消費需要が飛んでしまっています。消費が飛んでいるからGDPが落ちているのです。
政府はコロナ禍にあっても雇用を守ることを目標にして来ました。そのためコロナ禍のようなときにも、雇用を維持しやすい「雇用調整助成金」などを増やしたのです。
巷には「現金給付をなぜしないのか」という主張もありますが、現金給付は、どちらかというと失業が出てしまったあとに対応する手段です。そうであれば、「失業が出ないように頑張った方がいい」という割り切り方もあるのです。政府は、収入が途絶えたあとの手立てではなく、収入が途絶えさせない方を実行したのです。
コロナ禍における雇用対策は、様々な国の対策見をながら、様々な対策を考えます。例えば雇用調整助成金の制度がない国もあります。そうすると失業率が増えるときには、いきなりかなる増えるのです。増えるから仕方なく現金給付になってしまうのです。米国は特にそうです。
そもそも米国には日本の雇用保険に相当する制度がありません。そのため、不況になると失業率が急激に跳ね上がるのです。政府は、それが良いのかどうかということを議論するためにも、国際比較をしながら雇用対策をしているのです。
今回多少の雇用減はあったものの、他国と比較すれば全体的には雇用は維持されて、ある程度社会は安定しているといえるでしょう。一方で、飲食業などではが大変な状況になっています。
日本では憲法を改正しないからできないのですが、私権制限をしながらやると、個々の業種は現在ほど厳しくならないはずです。日本は私権制限ができないため、どうしてもある業種に偏ってしまうのです。本来は、休業補償を十分に出すべきでしょう。全額まではいかなくても、手厚くすべきでしょう。
日本の私権制限には限りがある |
このような直近の状況を見ている限り、どう考えても、すぐに増税などということは、全くありえないことです。
今後すぐに家計の消費支出が元に戻るなどということは考えられず、コロナ禍が収束したとしても、これを元に戻すには数年かかるとみるべきでしょう。消費増税8%の前の消費支出水準もどるまで、増税ではなく積極財政、金融緩和をするのが当然の措置です。
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