2022年3月15日火曜日

ウクライナ大統領府顧問、5月初旬までの戦争終結を予想―【私の論評】ロシアは4月から6月までの間に国家財政破綻し戦争継続はできなくなる(゚д゚)!

ウクライナ大統領府顧問、5月初旬までの戦争終結を予想

14日、スムイ州Okhtyrkaで、砲撃で破壊された建物の前を歩くウクライナ軍兵士

ウクライナ大統領府の顧問を務めるオレクシー・アレストビッチ氏は14日遅く、ロシアが攻撃に使用できる資源は5月初めに枯渇する見込みで、それまでに戦争が終結する可能性が高いとの見方を示した。
  
ウクライナとロシアの停戦交渉はこれまでのところ、一般市民が避難する人道回廊の設定を除き、ほとんど成果が出ていない。 ウクライナの複数のメディアが掲載した動画で、アレストビッチ氏は、実際にいつ終結するかは、ロシア大統領府が軍事侵攻にどれだけの資源を費やすつもりかに左右されると説明。

 「5月初旬以前に和平合意があるだろう。それよりもかなり早いかもしれない」と述べた。 その上で、1─2週間内に和平合意が結ばれ、ロシア軍が撤退することになるか、例えばシリア軍がロシア軍に合流して戦闘が長引き、4月半ばから下旬に合意が後ずれするかの分岐点に現在あるとの認識を示した。 ロシアが1カ月間の訓練しか受けていない新たな徴集兵を派遣するという「全くクレージー」なシナリオもあるとした。

【私の論評】ロシアは4月から6月までの間に国家財政破綻し戦争継続はできなくなる(゚д゚)!

ウクライナに侵攻しているロシア軍の中に、訓練が不十分な徴兵者たちがいることが明らかになっています。

プーチン大統領は否定しましたが、彼らを派兵しているとの疑念は強く、ロシア国防省は関係者の処分を急ぐ考えを表明しました。

ロシアでは約30年前の内戦で、徴兵された若者たちが多数死亡し、彼らの母親が政権を激しく非難して厭戦ムードが高まったことがあります。今回も母親団体から懸念の声が上がり始めており、戦争継続への影響が注目されます。

徴収兵などは十分に訓練するか、戦争にすぐに派遣するなら、前線などではなく、補助的な業務か、後方支援をさせるべきです。もし前線に送り込めば、足手まといになるだけではなく、彼らをみすみす的の銃弾や砲弾の的にするだけです。

もし、十分訓練されていない徴収兵を前線に送り込むというのなら、これは非人道的であり、これは現代版督戦隊のようなやり方で残虐きわまりありません。この面からも欧米諸国はこれを糾弾し、ロシアがやめないなら更に制裁を強化すべきです。

健康診断を受ける徴収兵

ウクライナ大統領府顧問、5月初旬までの戦争終結を予想通りロシアは今のままだと戦争継続不可能になるでしょう。

ロシアの財務大臣は3月13日、「海外資産の半分が凍結されて利用できなくなっている」と述べたといます。

16日には、最初のロシアの外貨建ての国債の利払の時期がきます。ロシアは利払いをルーブルで、それもマーケットのレートではなく、公的為替レートで払うとしていますが、これを実施と、事実上の債務不履行(デフォルト)になります。

それが明日(16日)起こるのですす。起きたところで何が変わるわけではないのですが、4月~6月の間にロシアが正式にデフォルトとなり、経済的にかなり痛手を被ることになります。デフォルトしたからといって国家が消滅するということはありませんが、それにしても戦争をやめない限り、IMFもこれを救うことはできませんから、ロシアやむを得ず戦争を終結させることになるでしょう。

ですから6月までに、ウクライナはどれだけロシア軍の攻撃に耐え、欧米諸国はいかに制裁を持続できるかということが問われているといえます。

欧米諸国はロシアの海外の資産を凍結してしまったため、ロシアは為替の防御のための資産が枯渇してしまったため、ロシア中央銀行(日本の日銀に相当)が何をやったかと言うと、政策金利を9.5%から20%に大幅に上げたのです。

そうすると住宅ローンなど、銀行間、あるいは企業とのローンが跳ね上がります。それによって、経済活動がストップしてしてしまい、これはロシアにとってSWIFTよりもはるかに悪影響があり、相当効いているようです。

ロシアは、これに対する対抗策として、制裁国に対して「資産を没収する」としています。ロシアで活動している海外企業が撤退しています。ロシアは、こうした企業の資産を没収するとしています。 

さらにこうした企業に対して、利払いや債務を返済しないといった措置を取っています。そのため、ロシアにお金を貸している企業、金融機関は直接影響を受けいますが、金融システム全体への影響は限定的です。

ロシアの国債の残高は200億ドルくらいなので、それほど大きくはないのです。 ですから、これを発端として、 リーマンショックのような、あるいは1997年のロシア危機の時のように世界が金融不安に陥るというようなことはありません。

さらに資産凍結はプーチン政権を支えてきた「オリガルヒ」と呼ばれる富裕層の個人資産にまで及んでいます。これによってプーチンの周りの影響力のある人たちをターゲットにすることで切り崩すことができます。

ドイツで押収されたオルガリヒの「クルーザー」

ロシアはメディアを掌握していますから、プロパガンダで「戦争などは起きていません、ウク特別作戦を実行しているだけです」、「ウクライナがウクライナのロシア系住民を迫害したから、特別作戦を実施している」とか「ロシアが正しいのだ」として事実を隠すことはできますが、政策金利の暴騰や超インフレを隠すことはできません。

そうなると、さすがに国民は「何かおかしいぞ、何が起きているのだ」という状態になります。そういう意味でも、中央銀行への制裁の影響は大きいと思います。

ロシアでは、旧ソ連時代には物資が不足しており、そうしてソ連崩壊直前直後に、激しいインフレに見舞われたということが記憶に残っている人は多いでしょう。そうして、外国企業が撤退して行くと、そこで働いている人たちも職を失いかねません。そうなれば、国民も「これは何かおかしいぞ」と思うこになるでしょう。


そのうち制限はされているものの、SNSでいろいろな情報にある程度アクセスできると、「ロシア政府がやっていることは問題だ」となる可能性は高いです。そうなれば、プーチン政権の切り崩しにつながる可能性があります。

他方、イランへの制裁のときに、決済の抜け道として、中国が大きな役割を果たしたということがありました。欧米諸国がロシアを制裁すると自身も痛手を受けますし、ロシアはさらに大きな痛手を受けることになります。これは、相互にどこまで耐えられるかという持久戦なのです。

持久戦をしているところで中国がロシアを支えると、ロシアがより我慢できてしまい、欧米がらり我慢できなくなってしまう。ですから、中国のサポートをなくすことによって、ロシアを追い詰めて行くということになるでしょう。場合によっては、中国にも制裁を課すことになるかもしれません。

ただ、当の中国は「ゼロコロナ政策」が失敗しそうな風向きになってきたので、ロシアを積極的に支援することはできないかもしれません。当然、ロシアにはできるだけ痛い制裁を加え、欧米は痛手を緩和しつつ持続力を保つようにすべきです。

4月〜6月にはロシアはデフォルトして、戦争継続は不可能になることでしょう。おそかれ、はやかれこのようなことになるのは最初から見えていました。にもかかわらず、なぜプーチンは、ウクライナに侵攻したのでしょうか。本当に疑問です。

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