GDP、3期ぶりプラス 年1.6%増、消費けん引―海外減速に不安・1~3月期
内閣府が17日発表した2023年1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.4%増、この成長が1年続いた場合の年率換算で1.6%増となった。22年10~12月期がマイナスに改定されたため、プラス成長は3期ぶり。コロナ禍からの経済活動の正常化に伴う個人消費の増加が景気の持ち直しを支えたが、海外経済減速の影響もみられ、回復の持続には課題が残る。
1~3月期のGDPの増減に与える影響(寄与度)は内需がプラス0.7%だったのに対し、外需はマイナス0.3%だった。内需の柱である個人消費は前期比0.6%増と4期連続のプラス。外出の増加で外食や宿泊などサービス消費が好調だったことに加え、供給制約の緩和で、自動車の販売が回復した。設備投資も0.9%増と2期ぶりのプラス。国内販売が好調だった自動車への投資支出の増加が寄与した。
一方、輸出は4.2%減と6期ぶりのマイナス。統計上は輸出に分類するインバウンド(訪日外国人)消費が伸びたが、世界的な半導体市況の悪化を受けた半導体製造装置の落ち込みや自動車の減少などが響いた。
同時発表した22年度の実質GDP成長率は前年度比1.2%増と2年連続のプラスを確保した。金額は、名目ベースでは物価上昇の影響で561兆円と比較可能な1994年度以降で最高となったが、実質では547兆円とコロナ前の19年度(550兆円)を下回った。
【私の論評】安倍・菅両政権における100兆円の補正予算がもっと使われていれば、経済はさらに伸びた(゚д゚)!
このGDPの速報に関して、高橋洋一氏が動画で説明しています。その動画を下に掲載します。
高橋洋一氏は、動画の中で、GDPが伸びていることは評価すると述べています。これは、安倍・菅政権合わせて100兆円の補正予算が組まれ、経済対策が行われたものによるとしています。
ただ、目詰まりがあり、100兆円がフルに使われていないため、本来もっと伸びているはずがさほとでもないことになっていると考えられるとも語っています。
それには、具体的な根拠があります。
100兆円の補正予算のうち、2022年10月末までに消化されたのは約45兆円にとどまっています。岸田政権が成立したのは、2021年(令和3年)10月4日ですから、岸田政権が成立して1年近くたってもこの程度しか消化されていなかったことになります。
2023年5月18日現在では、100兆円の補正予算のうち約87兆円が消化されました。(出典:財務省「令和3年度第3次補正予算の執行状況について」)。それでも、まだ13兆円が未消化です。
これは、財務省が財政規律をを重視し、補正予算の使い方に慎重になっていることが一因と考えられます。高橋洋一氏流にいえば、まさに「姑息な手段で財政出動をさせないZ?のやり口」ということです。
また、補正予算の対象となる事業が、受注者や実施団体などの調整に時間がかかっていることも、消化の遅れにつながっていると考えられます。
例えば、2021年度補正予算で計上された「デジタル田園都市国家構想推進交付金」は、2022年10月末時点でまだ10%程度しか消化されていませんでし。これは、交付金の対象となる事業が、まだ具体的に決まっていないことが一因と考えられます。
高橋洋一の氏語る、目詰まりとは何なのでしょうか、無論財務省による財政重視の姿勢があることはいうまでもないですが、その具体的な現れの一つとして、日本の経済対策のほとんどが補助金・助成金によることがあげられます。
補助金、助成金は、申請から交付までに時間がかかることがあり、また、交付後も事業の実施状況の確認や検査など、多くの事務が発生します。そのため、地方自治体などの事務が追いつかず、未消化となっている可能性があります。
政府の経済対策における補助金・助成金のほぼすべてが、主管は中央省庁ですが、実際に交付するのは地方自治体の事務ということになります。となると、100兆円分の補助金・助成金の事務処理は地方自治体の事務処理量をかなり増やすことになります。これは、コロナ対策の初期のクラスターの把握で、各地の保健所の事務量がとてつもなく増えたことでも、ご理解いただけると思います。
無論、到底地方自治体だけでは、処理仕切りれない事務の場合は、外部に委託しますが、外部に委託にするのにも時間がかかります。
また、補助金、助成金は、事業の実施に一定の条件が設けられている場合が多く、これらの条件を満たす事業者がいないことも、未消化の一因となっている可能性があります。
このように、100兆円の補正予算の消化が遅れている原因は、補助金、助成金などの事務が追いつかず、未消化の原因となっている可能性は十分にあると思います。
経済対策の柱を補助金・助成金ではなく、減税にすれば、対策を素早く行える可能性は十分にあると思います。減税は、補助金・助成金のように、申請や審査などの手続きが不要なため、すぐに効果を発揮することができます。また、減税は、国民のすべての人に行き渡る可能性があるため、補助金・助成金のように、特定の層に偏った効果をもたらす可能性は低くなります。
無論、政策によっては、補助金・助成金も必要ですが、日本では例外はあるものの、ほとど減税策はとられず、補助金・助成金によって実施されます。この体質はいずれ、変えるべきでしょう。そうでないと、せっかく補正予算を組んでも、経済対策が滞ることになります。
ジョン・メイナード・ケインズなどの経済学者が提唱した有効需要論は、経済生産と雇用の水準を決定する総需要の重要性を強調するものです。この理論によれば、減税措置と補助金・助成金のいずれを景気刺激策として用いるにしても、最終的な目的は総需要を高め、経済活動を活性化させることになります。
これを考えれば、やはり地方自治体の事務量を減らし、対策を速やかに行うためには、政府の経済対策における減税の比率を高めたほうが良いと思います。
日本のようにデフレが続いている場合には、減税によって消費を喚起し、景気回復を促すことが期待できます。また、減税は、企業の設備投資や研究開発を促進し、経済成長につながる効果もあります。
このように、減税には、財政赤字を拡大するリスクと、景気回復や経済成長につながる効果の両方があります。
もし、経済対策でもっと減税策が用いられ、すみやかに行われていれば、今回の速報値でももっとGDPが伸びていた可能性が十分にあります。特に、消費税減税などが行われていれば、かなり効き目があり、かなり伸びていた可能性があります。
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