2025年9月20日土曜日

ロシア・中国・日銀──我が国を脅かす三つの危機。我が国を守れる指導者は誰か

まとめ

  • ロシアの挑発エストニア上空でロシア戦闘機が領空侵犯、NATO第4条協議に発展。日本周辺でも同様の危険がある。
  • 中国の浸透豪州とパプアニューギニアの安全保障条約「Pukpuk Treaty」に中国が反発。南太平洋シーレーンを巡る覇権争いが激化。
  • 日銀の裏切りETF・REIT売却発表直後、日経平均は一時1.78%超急落。デフレ脱却前の金融引き締めは国力低下を招く。
  • 三つの脅威ロシアの軍事、中国の経済、日銀の内的失策。これらは相互に関わり、国家独立を揺るがす。
  • 高市自民総裁の役割防衛強化、積極財政、経済安全保障で一貫した姿勢を持つ高市自民総裁が誕生すれば、三つの脅威に立ち向かえる。

1️⃣ロシアと中国の外圧
 

2025年9月19日の朝、エストニア上空にロシア空軍のMiG-31戦闘機3機が突如侵入した。場所はフィンランド湾のヴァインドロー島付近。飛行計画は未提出、トランスポンダーは停止、航空管制との交信もなしという無法行為で、約12分間も領空に居座った。

迎え撃ったのは、NATOのバルト空域防衛任務に参加し、エストニアのエーマリ基地に展開していたイタリア空軍F-35Aだ。2機がスクランブル発進し、対象機を識別・追尾。ロシア機は領空を離脱し、事態は拡大せずに収束した。

トランスポンダーとは、航空機が識別コードや高度を自動送信する装置である。これを切って飛ぶ行為は、意図的に姿を消す挑発行為にほかならない。エストニアはこの事態を重大な脅威とみなし、NATO条約第4条協議を要請した。第4条とは、加盟国が安全や独立が脅かされると感じたとき、全同盟国に正式協議を求める条項である。軍事行動を義務づけるものではないが、同盟全体の危機意識を呼び覚ます仕組みだ。北海道や尖閣で同じ事態が起きても不思議はない。日本もまた、即応体制と政治の意思を持てるかが問われている。

一方、南太平洋でも緊張が走った。豪州とパプアニューギニアが「Pukpuk Treaty(クロコダイル条約)」と呼ばれる安全保障条約の文書に合意したのだ。内容は相互防衛、軍事協力、サイバー防衛など多岐にわたる。しかしPNGの閣議が署名承認に必要な定足数を欠いたため、今回は共同声明にとどまり、正式署名は後日に持ち越された。

この動きに中国は「PNGの主権を損なう」と強く反発した。だが狙いは明白だ。経済援助と債務で島嶼国を囲い込み、我が国の生命線たる南太平洋のシーレーンを握ろうとしているのである。ここが押さえ込まれれば、日本のエネルギーも交易も途絶し、経済は窒息する。豪州は立ち上がった。米国も支援を表明した。我が国も「自由で開かれたインド太平洋」を口先ではなく行動で示さねばならない。
 
2️⃣日銀の裏切りと国力の切り崩し
 
日銀植田総裁

同じ日、日本国内では日銀が新たな動きを見せた。ETF(上場投資信託)とREIT(不動産投資信託)の売却開始を決めたのである。ETFとは株価指数などに連動する投資信託で、REITは不動産収益を投資家に分配する仕組みだ。日銀は金融緩和の一環でこれらを大量に抱えてきたが、ここで出口を切った。

発表直後の2025年9月19日、東京市場は敏感に反応した。日経平均は高値圏から一気に崩れ、一時1.78%超の下落を記録。為替市場では円高に振れる場面が出た。市場は「緩和の終焉」という合図を読み取り、資金調達コスト上昇や資産価格の調整を織り込み始めた。

だが忘れてはならない。我が国はまだ完全にデフレを克服していない。ここで金融を締めれば、需要は冷え込み、投資は鈍る。再び「失われた30年」に逆戻りしかねない。経済がやせ細れば、外交も防衛も空虚な看板に成り下がる。戦闘機を飛ばし、艦艇を動かす力の源泉は経済にある。日銀の判断は、市場原理の仮面をかぶった国力切り崩しだ。
 
3️⃣我が国を守る指導者
 
空からはロシアの挑発、海からは中国の浸透、そして内側からは日銀の裏切り。これらは互いに無関係ではない。すべてが我が国の独立を揺るがす「三つの脅威」である。

戦いは銃弾だけで行われるのではない。為替と株価の乱高下も、シーレーンの封鎖も、国家を無力化する武器になる。経済の背骨を欠いた安全保障は虚構であり、外交は砂上の楼閣である。我が国はいま、この三つの脅威に同時に晒されている。

必要なのは、他国の顔色をうかがう政治ではない。断固たる意思と国民を守る覚悟である。強い意志を持つ国だけが生き残る。この真実を忘れてはならない。


では誰がこの三つの脅威に立ち向かえるのか。答えは明白だ。高市早苗総裁の誕生である。高市氏は防衛費増額と自衛隊強化を一貫して訴え、経済政策では積極財政を主張してきた。さらに総務大臣時代から経済安全保障を最重要課題に据え、通信や放送といった基盤を守るために実績を残してきた。

軍事・外交・経済を一体として捉え、国家の独立を守る覚悟を示す指導者――いま我が国に必要なのは、高市総裁誕生である。

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