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2019年5月1日水曜日

新天皇がご即位 令和幕開け―【私の論評】即位に関する儀式は本日だけではなく、約1年にわたってさまざまな儀式・行事が行われる(゚д゚)!


「退位礼正殿の儀」に向かわれる新天皇、皇后両陛下=30日午後,皇居・半蔵門

皇太子さまは1日、第126代天皇に即位された。30年余り続いた「平成」が終わり、「令和」に同日改元された。平成時代の天皇陛下は4月30日で譲位し、上皇となられた。天皇の譲位は江戸時代の光格天皇以来202年ぶりで、憲政史上初めて。天皇陛下は59歳で、戦後生まれの初の天皇となられた。陛下は5月1日、皇居・宮殿で皇位継承に伴う国事行為「剣璽等承継(けんじとうしょうけい)の儀」と「即位後朝見(ちょうけん)の儀」に臨まれる。

 皇太子妃雅子さまと皇后さまは、それぞれ皇后、上皇后となられた。秋篠宮さまは皇位継承順位1位の皇嗣(こうし)として、皇太子の役割を担われる。長男の悠仁さまが継承順位2位となられた。85歳の上皇さまは、これまで担ってきたほぼすべての公務を陛下に引き継がれた。

 上皇さまは4月30日午後5時、皇居・宮殿「松の間」で「退位礼正殿の儀」(退位の礼)に臨まれた。退位の礼では、歴代天皇に伝わる三種の神器のうち、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)の複製品と八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)、公務で使われる天皇の印「御璽(ぎょじ)」、国の印章「国璽(こくじ)」を、側近が「案(あん)」と呼ばれる台の上に安置。安倍晋三首相は自然災害などで困難に直面した際、常に国民に寄り添われてきた上皇さまに「明日への勇気と希望を与えてくださいました」と述べた。上皇さまは国民に「心から感謝します」と改めて謝意を示された。

退位の礼には上皇后さまが陪席されたほか、天皇、皇后両陛下、秋篠宮ご夫妻をはじめ、女性を含む成年皇族方がご参列。安倍首相と閣僚のほか、衆参両院の正副議長、都道府県知事の代表と配偶者ら約290人も出席した。

 剣と勾玉などは5月1日午前0時をもって陛下に引き継がれた。陛下は1日午前に宮殿で行われる「剣璽等承継の儀」に臨み、続く「即位後朝見の儀」で、三権の長らと面会して天皇として最初のお言葉を述べ、即位を告げられる。

 今回の譲位は、平成29年6月に成立した、上皇さま一代限りで認める皇室典範特例法に基づいて行われた。

【私の論評】即位に関する儀式は本日だけではなく、約1年にわたってさまざまな儀式・行事が行われる(゚д゚)!
改元や、平成天皇のご譲位、令和天皇のご即位など、王室のある英国などは別にして、諸外国ではないことなので、海外で日本の即位がどのように受け止められているのかは興味深いです。実際どのように報道されていたのか、以下に掲載します。

英国 BBC

イギリスBBC放送のワールドニュースの見出しは、
Japan's new Emperor Naruhito succeeds father Akihito
”日本の新なるひと天皇が父あきひとを継いだ

日本では、天皇陛下とか皇太子さまと等と報道されていますし、名前は漢字で書かれているので、なんというお名前なのか多くの国民があまり馴染みがないですが、英語圏では、名前が報道されます。日本に興味のある海外の人のほうが日本人よりも名前を知っているかもしれないです。

天皇については、
The emperor in Japan holds no political power but serves as a national symbol.
” 日本の天皇は、政治的権力を持たず、国の象徴としての役割を果たす"と紹介しています。

その後、「儀式はいつ行われるのか」とか、「新天皇について我々が知っていること」とか「天皇家の家系図」などが紹介され、「日本の君主制はなぜ重要なのか」という内容にも踏み込んでいます。

米国 ニューヨークタイムズ
Emperor Akihito Abdicates, and a New Era Arrives in Japan
あきひと天皇が退位、そして新しい時代が始まる

5/1日本時間朝の時点でニューヨークタイムズに載っている記事は、昨日の退位式の模様のものです。

式典の写真と、まだ愛子さまが赤ちゃんの頃の新天皇家族の写真が掲載されています。記事では、主に新旧天皇の個人的な考え方について言及しています。

日本では、新聞は、天皇を個人として扱わず、個人として扱うのは週刊誌であるように思考えられているようです。このあたりが、日本と米国の違いのようです。

フランス ルモンド

今朝のルモンドのサイトには日本に関する記事が国際ページの中に2つありました。

ひとつは、
Au Japon, il n’y a pas de débat sur les fonctions de l’empereur
”日本では、天皇について議論はない

もうひとつは
Quel bilan pour Akihito, l’empereur du Japon qui a abdiqué après trente ans de règne ?
”30年の治世を経て退位した天皇あきひとはどうなるのか"というものでした。

どちらも読者の質問に答えるという形で記事を展開しています。中では第2次世界大戦のことや天皇の行動や意見が日本社会に与える影響、宗教としての神道についても書かれています。

フランスでの日本の天皇は象徴とはいいながら、政治に結びついていると受け止めらているようです。英語でもフランス語でも天皇と皇帝は同じ単語。確かに、皇帝等と言われたら、日本語でも権力者であると受け止められるかもしれません。

中国 中国新聞網
日本德仁天皇5月1日即位,开启“令和”时代
”日本の徳仁天皇は5月1日に即位し、「令和」時代を迎えた"中国の新聞は令和が入っています。元号が見出しに入ったのは中国だけです。今ではもう中国で元号は使われていないのですが、漢字で表記されることもあり、なんとなく多くの人に馴染みがあるようです。記事の中には平成も昭和も出てきます。そうして、令和の意味についても述べられています。

そしてこの縁起のいい日に、多くの婚姻届けが出され、結婚式が行われる予定になっていることを紹介しています。これはほかの国の新聞にはない視点です。

また、新宿アルタのモニターに前天皇陛下が映し出されている街の様子の写真が採用されています。

安倍首相の発言も紹介されていて、日本が直面する社会問題についても触れています。

この記事がほかの国の記事と比べて日本の報道と一番近い内容が書かれていたと思います。日本に暮らした経験があり、日本語もよくわか記者が書いているのでしょう。中国は近くの国であるということがわかります。

ちなみに、中国は韓国などとは違い、天皇を直接批判することはないようです。それどころか、中国の高官などが天皇陛下に謁見すると、その高官の中国での権威が高まるようです。

これについては、他の国でも似たようなところがあります。なぜなら、天皇は英語ではEmpero(皇帝)ですが、現在でEmperorが存在する国は日本しかないわけですから、日本で首相と面談するよりも、天皇陛下に謁見するほうが、はるかに権威が高いものとみなされるのは当然といえば当然です。

特に現中国は過去の古代の中国とは完璧に断絶されていて、歴史が70年くらいの国ですから、格式とか権威にはこだわりがあるようです。


各国読者の天皇に対する興味は国によって違うようです。そのため、国によって報道の仕方に違いがでてくるのでしょう。英国の報道がいちばんニュースらしいものでした。基本的な知識をきっちり押さえたうえで、書いているいるという印象を受けました。また、どの国の新聞も天皇の名前を載せています。日本ではこのようなことは、ほとんどありません。

米国人は天皇陛下個人に興味があるようです。フランスでは政治に興味があり、中国では国民の暮らしに興味があるという印象を受けました。

このあと即位関連の儀式の模様も世界で報道されるでしょう。これは日本人でも一生に何度立ち会えるものではないため、その珍しさに興味があることでしょう。

昨日、前天皇陛下は最後の儀式である「退位礼正殿の儀」にのぞまれ天皇を退位され、本日、令和の時代を迎えました。午前には「剣璽等承継(けんじとうしょうけい)の儀」「即位後朝見の儀」が行われ、新天皇が即位されたことを初めて国民にお示しになられました。

誤解されがちのようですが、この2つの儀式では仰々しいことは行われず、極めてシンプルな内容で、それぞれ数分から10分ほどで終了しました。

『剣璽等承継の儀』は、宮殿のなかで一番格式の高い正殿『松の間』で行われます。よくテレビのニュース番組などで、ピカピカに光った板張りの大きな部屋でモーニング姿の新首相が天皇陛下から信任を受ける儀式の模様が流れますが、そこで使われている部屋といえば、わかりやすいかもしれません。

儀式では新天皇が侍従長より三種の神器と、天皇と日本国家の印鑑である国璽(こくじ)と御璽(ぎょじ)を受け取り、承継されました。三種の神器という言葉はよく使われますが、正式には天皇の継承権を保持される方だけが保有を許される“神物”という意味で、この儀式では三種のうちで八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)と草薙の剣(くさなぎのつるぎ)のみが継承されました。ちなみに草薙の剣の実物は熱田神社に置かれているため、『形代』、いわゆる複製品が使用されました。

「剣璽等承継の儀」に臨まれる新天皇陛下=皇居・宮殿「松の間」2019年5月1日午前10時32分

「即位後朝見の儀」は、新天皇が三権の長、つまり首相、衆参両院の議長、最高裁判所長官にお会いになられ、即位後としては初めてのおことばを述べられました。そのほかにも、皇族方、閣僚や地方自治体の長なども参列しますが、前日に天皇を退位された上皇と上皇后は出席されませんでした。

「即位後朝見の儀」でお言葉を述べられる新天皇陛下=1日午前、皇居・宮殿「松の間」

新天皇即位に関する儀式は本日だけではなく、約1年にわたってさまざまな儀式・行事が行われます。たとえば、3日後の5月4日には一般参賀、10月22日には祝賀御列の儀、いわゆるパレードが行われ、さらに10~11月にかけて複数日にわたり、国内外から多くの代表者を集めた祝宴や晩餐会が行われます。

平成天皇即位のときの祝賀御列の儀

注目の儀式はやはりパレードでしょう。新天皇はモーニング、そして新皇后の雅子さまは華やかなロングドレスとティアラをお召しになられて、参道に集まった人々に笑顔で手をお振りになられ、日本全体が大きな祝福ムードに包まれるでしょう。

このほかには、大嘗祭も注目されます。新天皇が国民の安寧と五穀豊穣を祈念される祭礼で、皇位継承に伴い一世に一度しか行われない重要な儀式です。儀式のなかで行われる事柄や決まり事が非常に多く、平成の大嘗祭は午後6時半から始まり約9時間もかかりました。

平成の大嘗祭

今回も11月14日の夕方ごろから翌日未明にかけて行われる予定です。ちなみにこの大嘗祭は、実は具体的にどのようなことが行われているのかは秘密となっており、内容がほとんど知られていないことでも有名で、儀式が執り行われる大嘗宮は27億円かけてつくられますが、終わるとすぐに撤去されてしまいます。

代替わりという“国家的行事”だけに、私たち国民にとっても一生のうちで何度も立ち会うことのできない貴重な体験となりそうです。

このような儀式が1000年を超えて継承されてきたということに、畏敬の念を覚えます。

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2018年10月25日木曜日

冷戦Ⅱ?米中関係の新たな時代の幕開け―【私の論評】冷戦Ⅱは、先の冷戦と同じく米国が圧勝!中国には微塵も勝ち目なし(゚д゚)!

冷戦Ⅱ?米中関係の新たな時代の幕開け

岡崎研究所

 10月4日、ペンス副大統領は米国の保守系シンクタンクであるハドソン研究所で、トランプ政権の対中政策に関して、約43分間にわたる演説を行なった。米国政府の対中政策として包括的な演説であり、以下に要点を紹介する。なお、ペンス副大統領は11月中旬に来日予定である。

10月4日の、ペンス副大統領の演説は中国を名指しで具体的に非難するものだった

・トランプ政権は、昨年4月6日に米国で、11月8日に中国で、米中首脳会談を開催し、個人的信頼を築きながら対中関係を優先的に推進してきた。しかし中国は、政治的、経済的、軍事的手段及びプロパガンダを利用して、米国における自国の利益や影響力を高めようとした。

・昨年12月にトランプ大統領が発表した国家安全保障戦略では、「大国間競争」の時代が明記された。これら外国勢力は国際秩序を自国に有利になるように変えようとしている。この戦略で、トランプ大統領は、米国が中国に対して新アプローチを採用したことを明らかにした。

・1949年、中国共産党は政権を取るなり、独裁膨張主義に走るようになった。ともに戦った第二次世界大戦から5年しか経っていないにもかかわらず、米中両国は朝鮮半島で戦火を交えた。父は現地で参戦した。1972年、中国との敵対関係は終わり、ほどなく米中は国交回復した。ソ連が崩壊後、自由中国の出現は不可避と思ったが、希望は満たされなかった。自由の夢は中国の人々からは遠ざかったままだ。

・この17年間で中国のGDPは9倍になり、今や世界第2の経済大国である。その成功は米国の対中投資に依るところも大きい。中国共産党は、自由で公平な貿易とは相いれない政策を行なった。それには、関税、為替操作、知的財産権の窃取、技術移転の強要、産業補助等が含まれる。米国の対中貿易赤字は、昨年は3750憶ドルで、これは全世界の半分を占めた。トランプ大統領曰く、25年間で「米国は中国を再建してあげた」のである。

・中国共産党は、「メイド・イン・チャイナ2025」計画で、世界の最先端産業のロボット、AI、バイオ産業等の90%を占めようとしている。中国は、米国の財界に、中国でビジネスをしたいなら企業秘密を渡すよう要請する。

・中国は、その経済力を軍事力にも使用した。中国の国防予算は、他のアジア諸国のそれを合算したものに相当する。中国は、日本が施政権下におく尖閣諸島周辺に定期的にやってくる。南シナ海には人工島を作り対艦・対空ミサイルを配備した。自由航行作戦を展開している米国艦船に中国艦船が接近してきた。

・中国共産党は、自国民への規制、人権弾圧も強化している。チベットの仏教徒は、政府の弾圧に抗議して、過去10年で約150人が焼身自殺した。新疆では、約100万人のウイグルのイスラム教徒が収容所に入れられた。先月、中国最大のキリスト教地下教会群が閉鎖させられた。

・中国は、米国の大学、学者、メディア、シンクタンク等に、影響力を行使しようとする。資金援助をして親中派を増やしたり、また、反中派には中国に招待すると言ってサイバー攻撃をかけたりする。ビザ更新等で圧力をかけることもある。米国内の留学生や中国人団体等が中国共産党の諜報機関的役割を果たすこともある。

・米国の今年の中間選挙、2020年の大統領選挙に、共和党やトランプ大統領が勝利しないように、プロパガンダを仕掛けている。

・トランプ政権は、中国が公平、相互的かつ主権を尊重するように、様々な措置を取っている。2560憶ドル相当の品目に課す関税措置、レーガン政権以来の軍備費拡大、対米投資委員会の規制強化、司法省の中国メディアへの措置等がそうである。米国は、決して屈することはない。

参考:White House‘Remarks by Vice President Pence on the Administration’s Policy Toward China’October 4, 2018

 上記の演説内容で特徴的なのは、今回、ペンス副大統領は、中国の政治的、経済的、軍事的、社会的行動の具体例をかなり挙げて、中国を名指しで非難したことである。「攻撃」や「盗んだ」、「債務外交」等、否定的言葉が目についた。中国のことを「中国共産党」と呼ぶこともマイナスの意味合いを持つ。

 米国の論調は、このペンス演説を、米中関係の新たな時代の幕開けと見ている。例えば、10月4日付でワシントン・ポスト紙コラムニストのジョッシュ・ロウギン氏は、米中関係はこれによりリセットされたと述べている。また、10月8日付ウォールストリート・ジャーナル紙にはウォルター・ラッセル・ミード教授が、このペンス演説は1972年のキッシンジャー訪中のように米中関係を決定的に変えるもので、この米中関係を「冷戦Ⅱ」であると呼んだ。

 この冷戦Ⅱはおそらく進行し加速する。冷戦Ⅱの事象は、演説で述べられこことだけではない。10月10日、司法省は、中国情報機関高官による産業スパイを摘発したことを公表した。同じく10日、財務省は対米投資規制の詳細を発表し、半導体、情報通信、軍事など 27産業を規制対象に指定した。9月20日には、中国がロシアから SU-35戦闘機とS-400地対空ミサイルを購入したことに関連して人民解放軍に制裁を発動した。

 こうしてみると、冷戦Ⅱは既に、米中対立が貿易戦争の枠を超えてきていることがわかる。さらに、貿易戦争自体、早期に収拾されることは期待できず、覇権争いになってきていることがうかがえる。事実、ペンス演説でも、昨年12月にトランプ大統領が発表した国家安全保障戦略に触れ、世界的に影響力を行使し国際秩序を自身の良いように変えようとしている大国がある、と指摘された。

 ペンス副大統領は、11月、シンガポール及びパフア・ニュー・ギニアで開催されるASEANやAPEC(アジア太平洋経済協力会議)など、アジア地域で行われる多国間会議に、大統領の代理で米国を代表して出席すると言う。自由で開かれたインド太平洋地域に関する演説も準備中だそうだ。安倍総理も同様の会議に参加予定である。

【私の論評】冷戦Ⅱは、先の冷戦と同じく米国が圧勝!中国には微塵も勝ち目なし(゚д゚)!

ペンス副大統領の演説は、以前もこのブログで紹介しましたが、演説内容の詳細までは掲載しませんでしたので、本日は上の記事を掲載することにさせていただきました。

というのも、この演説は歴史に残るものになると予想されるからです。しかも、米国の圧倒的勝利になることが最初から明らかだからです。

本日は、なぜそういうことがいえるのかを具体的に解説します。

米国経済はトランプ政権になってから力強い成長を続けています。米国は、貿易戦争によるマイナス面は気にする必要など全くありません。

さらに、中国の輸出依存度が24.1%であるのに対して、米国の輸出依存度はたった9.4%です。どちらに軍配が上がるかは最初から明らかです。

ちなみに日本の貿易依存度は14.6%です。20数年前までは、8%台でした。通説の「日本は輸出(貿易)立国」であるという話は全くの間違いです。ましてや、日本の高度成長は貿易によってもたらされたというのも間違いです。日本も米国にならぶ内需大国であるということができます。


そうして内需大国であるということは、悪いことではありません。なぜなら、経済の大半が自国内で完結してしまうので、外国の影響を受けることが少ないです。それは、極端にグローバル化をすすめた韓国が現状どうなっているかを見れば明らかです。ただし、ギリシャのような国はまた別です。自国内の経済の規模もかなり小さく、外需もめぼしいものがないです。

さらに、中国が13億人を養う食料を集めるのにかなりの輸入で四苦八苦しているのに対して、米国はあり余る食料を輸出しています。

また、世界最大の産油国は現在ロシアです。サウジアラビアではありません。さらに、来年(2019年)には米国が世界最大の産油国になる見込みです。近年のシェール・オイルの開発・増産が寄与しています。

エルサレムに米国の駐イスラエル大使館を移したことは暴挙とされましたが、これは米国が、湾岸戦争の時のように、産油国であるアラブ諸国に気を使う必要など無くなったからできたことです。

それに対して、中国の2018年7月の原油の国内生産量は日量375万バレルです。そして、税関発表の輸入量は同850万バレル。全体の7割の原油を輸入に頼っている状況です。

この弱点ゆえ、今回の米国との貿易戦争においても輸入原油は報復関税の対象リストに入れることができなかったのです。

日本やドイツが第2次世界大戦を起こした大きな理由の1つが、石油などのエネルギー確保のためであることはよく知られた事実です。共産主義中国もこの生命線を今まさにつかれているのです。

誰もが認める最新兵器に支えられた軍事力はもちろんのこと、前述の食料・エネルギー、さらにはシリコンバレーの頭脳など、どこをとっても世界最強国である米国に対して、中国はエネルギーも食料も自立できないですし、軍事力も遠く及ばず、しかも自国の優秀な頭脳はシリコンバレーに吸い上げられています。

この中国が米国に刃向かったのは無謀以外の何ものでもありません。

過去を振り返ると自由主義を信奉する米国は、もともと共産主義独裁国家を毛嫌いしていました。
ただ、米中国交回復以後は米国は「豊かになれば共産主義独裁国家もいつか民主化するのでは無いか?」という考えで積極的に中国の発展を支援しました。米国だけでは無く欧州でもその考えが主流でした。
ところが、中国は一人あたりのGDPなどでは、未だ日米は愚か他の先進国には及ばない状況ながらも、人口が13億以上と多いため、総体のGDPでは米国の背中が見えるほど巨大になったにもかかわらず、共産主義中国の民主化は一向に進展せず普通選挙さえいまだに実現されていません。行われているのは共産党が仕切る人事と幹部の指名です。
それどころか、習近平氏は、大躍進と文化大革命で中国人民を大量虐殺した毛沢東を目指すとまで言い始めています。
テロ容疑者として中国に逮捕された15歳から30歳のウィグル人男性たち
さらに、中国によるウイグルに対する弾圧は見過ごせない状況になってきています。また、尖閣や、南シナ海などでの領土的野心を隠さない行為も米国を大いに刺激しています。。
多くの日本人同様、多数の米国民も「共産主義中国に恩をあだで返された」と感じています。

中国が豊かになれば、いずれ先進国並みに、民主化、政治と経済の分離、法治国家化がされるのではないかという甘い考えが幻想であることが分かれば、共産主義中国にどのように米国が対応すべきかは明らかです。

関税だけでは無く、中国企業の米国内の活動そのもの国防上の観点から大幅に規制しようとするZTEに対するようなアクションは、まさに「戦争に備える国防問題」なのです。

北朝鮮のICBMが米国本土に届くかもしれないということが話題になり、それを阻止することもトランプ大統領にとって重要課題ですが、共産主義中国の核兵器やICBMは、米国にとってそれをはるかに上回る現実の軍事的脅威です。

ただ、現在、徴兵制を停止(制度そのものは現在も存続。停止したのは議員の息子が徴兵されることによって、ベトナム反戦運動が激化したため)している米国が、米国の若者の血を大量に流す本物の戦争を長期間続行するのは、国民からの人気を人一倍気にするトランプ大統領が避けたいことです。

北朝鮮や共産主義中国などのならず者国家は、その事情を見透かしているところがあります。

しかし米国は、どのような国も太刀打ちできない最新兵器に裏打ちされた強大な軍事力だけでは無く、血を流さない戦争=「無血戦争」においても圧倒的な強さを持っています。

「貿易戦争」もその1つですし、本当の戦争で言えば「海上封鎖」に相当するような「経済制裁」も、ボディーブローのようにじわじわ効いてくる効果的な戦略です。対北朝鮮では、この戦略を極めて有効に活用しています。

世界最大の金融街 ウォール・ストリート

しかし、「無血戦争」における米国最大の武器は「金融」です。世界の資金の流れを支配しているのは間違いなく米国です。戦争用語の「制空権」ならぬ「制金権」を米国が握っているのです。

そもそも、米国ドルは国際決済で、最も用いられています。人民元の信用度は現在まだ高いですが、それは中国がおびたたしい量のドルと、米国債を所有していることによるものです。これがなくなれば、人民元は紙切れです。

米国はドルが足りなくなれば、勝手に自分で刷り増すことができますが、中国にはそれができません。やれば、単なる偽札づくりです。

このこと一つとっても、米国の「制金権」は圧倒的であり、中国は足元にも及ばないことが理解できます。

その他にも例えば、北朝鮮やイランの高官の口座を経済制裁の一環として凍結したというようなニュースを聞くことがあります。その時に、「どうやって口座を調べたのだろう」という疑問を持つ人も多いのではないかと思います。

このような人物が本名で海外に口座を開くとは考えにくく、当然偽名やトンネル会社などを使用します。しかし、そのような偽装をしても、FBIやCIAの捜査官は、例えば田中一郎という口座名義人が、実は大原浩であるということを、口座間の送金履歴、入出金履歴などを解析して簡単に見つけ出すことができるのです。この基本技術は、30年ほど前から実用化されているといわれています。

その後、日本でもテロ対策、マネー・ロンダリング対策で銀行口座開設や送金の際の本人確認が非常に厳しくなって「面倒くさい」と思っている方も多いと思います。これは日本政府や銀行協会の方針でというよりも、米国の指示によるものです。つまり日本だけでは無く世界的な現象なのです。

これは以前、スイスのプライベートバンクの匿名性が攻撃され、口座情報が丸裸にされたのもこの戦略と関係があります。ナチス残党の秘密口座などがやり玉に挙がっていましたが、本当のところは、米国の敵国(実は同盟国も……)の指導者の口座情報を得るための手段であり、米国はスイス政府に猛烈な圧力をかけたのです。

結局、少なくとも米国の同盟国・親密国においては、どのような偽装をしても米国の監視の目からは逃れられないということです。

そして、北朝鮮、共産主義中国など米国と敵対している国々のほとんどの幹部は、汚職で蓄財した個人資産を時刻に保管しておくには適さないです。いつ政権が転覆したり革命が起きるかわからないので、米国やその同盟国(親密国)の口座に保管をするしかないのです。

米国と敵対する国々の指導者の目的は、もちろん国民の幸福では無く、建前は色々と言っていますが、個人の蓄財と権力の拡大ですから、彼らの海外口座の個人資産を締めあげれば簡単に米国にひれ伏すことになります。

そんなことによりも、彼らの海外口座の個人資産を凍結したり、あるいはサイバー攻撃により消滅させるようなこともできると思います。私は、そのうち習近平をはじめとする、中国の幹部の中で、不正に蓄財した財産を消滅させられて、無論誰に訴えることもできず希望を失って発狂する者もでてくるのではないかと思っています。

さらに、米国はすでに挙党一致で、議会主導で中国を叩いています。一方の中国は、未だに権力闘争が続いていて、とても一致協力して米国と闘う体制にはなっていません。そのうち、冷戦Ⅱを権力闘争に利用し、習近平派を潰そうとする輩が目立つようになることでしょう。

その時には、習近平派は失脚するかもしれません。しかし、中国は次の体制になっても、基本的には中国共産党一党独裁は変えないでしょうから、その後も冷戦Ⅱが続き、いずれソ連崩壊の二の舞いを舞うことになるでしょう。

その後は、中国もかなり弱体化し、現ロシアなみのGDPに落ち込むことになるでしょう。ちなみに、現ロシアのGDPは韓国よりも少し少ないくらいです。韓国は、東京都なみのGDPです。今やロシアは、どうあがいても米国に立ち向かうことはできません。ロシアの人口は1億4千万人で、日本より二千万人多いくらいで、中国は13億を超えていますから、そこまではいかなくとも、かなり弱体化することになるでしょう。

孫子は「戦わずして勝つ」ことを最良の戦略としていますが、まさに多くの手法を駆使した「無血戦争」で、連勝を続けているトランプ氏は、歴代まれに見る策士なのかもしれません。

1989年のベルリンの崩壊と1991年のソ連邦の崩壊で冷戦が終了し、共産主義国家はいずれ消え去ると思われていました。ところが共産主義国家群はしぶとく生き残り、共産主義中国のように国家資本主義体制ともいえる体制に移行して、一時的に繁栄する国まで出てきました。

しかし、全体主義的・専制主義的国家が現代の先進的経済社会で繁栄し続けることはありえないです。

小手先で市場化・民主化を気取っても、「国家の繁栄」によって人民が民主化、政治と経済の分離、法治国家化をを要求するようになることが、共産党にとって最大の脅威なのです。それが達成されてしまえば、中共は統治の正当性を失うことになります。そうなば、中共は崩壊するしかありません。だから、結局経済的繁栄よりも一党支配による独裁を選ばざるを得ないのです。

1936年ナチス政権下で行われたベルリンオリンピック
全体主義国家であった、ナチス・ドイツはベルリンオリンピック開催後10年以内に崩壊しました。同じ全体主義国家であった、ソビエト連邦も、モスクワオリンピック開催後ほぼ10年で崩壊しました。

中国は、2008年に北京オリンピックが開催されて、今年で10年ですが、中国の場合はさすがに崩壊しませんでしたが、今年は事実上崩壊が決まった年となりました。

中間選挙でのトランプ氏の行く末が注目を浴びていますが、それがどうなろうと、あるいはトランプ氏が来年の選挙で大統領になろうとなるまいと、そうして、習近平が失脚しようがしまいが、長年準備されてきた「対中無血戦争」は、中国が全面降伏するまで延々と続くことになります。

この戦争は「自由主義社会」と「全体主義(専制主義)」との全面対決であり、ペンス副大統領が言うように、冷戦Ⅱ(無血戦争)と呼ぶことができます。そして勝敗は初めから分かっています。

米国が勝ち、中国が負けるのです。ペンス副大統領は、勝ち戦をすると言っているのです。

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2017年10月27日金曜日

【習独裁の幕開け】「ポスト習近平」は習氏…抱く“世界の覇者”への野望 次世代のホープはチャイナセブン“選外”―【私の論評】習近平による新冷戦が始まった(゚д゚)!

【習独裁の幕開け】「ポスト習近平」は習氏…抱く“世界の覇者”への野望 次世代のホープはチャイナセブン“選外”

習近平総書記(中央)ら新しい政治局常務委員(チャイナセブン)=25日、北京の人民大会堂
 第19回中国共産党大会は、「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」という表現で、党規約に指導思想が明記されることが決議され、24日に閉幕した。

 この表現をより具体化すると、「習近平新時代=脱江沢民の新時代」「中国の(習独裁を軸とする)特色ある社会主義=縁故資本主義体制」が船出することになる。

 そして、中国共産党は25日午前、党大会最終日に選出された第19期中央委員会による第1回総会(1中総会)を開き、新たな指導部が発足した。

 中央政治局常務委員(通称、チャイナセブン)の布陣は、留任の習氏(64)と李克強首相(62)以外に、栗戦書・党中央弁公庁主任(67)、汪洋・副首相(62)、王滬寧・党中央政策研究室主任(62)、趙楽際・党中央組織部長(60)、韓正・上海市党委員会書記(63)の7人となった。

 栗氏はこの数年、習氏の特使として、ロシアのプーチン大統領と度々、面会をしてきた人物で、中露関係のキーパーソンになりそうだ。汪氏は、4月の訪米では、レックス・ティラーソン国務長官の対面に座り、米国との関係も深い。王氏は、江沢民時代、胡錦涛前国家主席、習一次政権まで3代のトップに仕えてきた人物である。

 世界のチャイナウオッチャーにとって意外だったのは、胡前主席が目をかけ、次世代のホープの1人とされてきた胡春華・広東省党委書記(54)が選から漏れたことだ。そして、もう1人も漏れた。

 この数カ月、にわかに注目度をあげ、2段階のロケット出世の噂も噴出していた陳敏爾・重慶市党委書記(57)である。

 出世街道を驀進(ばくしん)する、習氏の地方指導者時代の部下たちについて、一部からは「鶏犬昇天」(=出世した人のおこぼれで、親族や取り巻きなど周りまでが出世する、の意味)と揶揄(やゆ)されていたが、その筆頭格でもあった。

 ただ、歴代の最高指導部はさまざまな地方で経験を積み、外遊もし、海外人脈も構築していくなかで、北京へ上がっていく。ところが、50歳過ぎまで故郷、浙江省内に留まっていた陳氏は超ドメスティック(内向き)な人材だ。学歴についても見劣りする。習氏の“腰巾着”にすぎない、とみなされたのか。

 序列8位から25位までの中央政治局委員にも、習氏が福建、浙江両省での22年間の在任中に培った人材が続々と昇格した。共産主義青年団出身(=最近は『胡錦涛派』とも呼ぶ)もいるが、習独裁体制といえる。

 つまり、「ポスト習近平」も習氏なのだ。2000年にロシア大統領に就任して以来、長期にわたり世界でも影響力を発揮し続けるプーチン氏に憧れる習氏。毛沢東主席を凌駕する“中国の皇帝”を目指すのみならず、“世界の覇者”となる野望を抱いているはずだ。

 ■河添恵子(かわそえ・けいこ) ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。著書・共著に『豹変した中国人がアメリカをボロボロにした』(産経新聞出版)、『「歴史戦」はオンナの闘い』(PHP研究所)、『トランプが中国の夢を終わらせる』(ワニブックス)、『中国・中国人の品性』(ワック)など。

【私の論評】習近平による新冷戦が始まった(゚д゚)!

第19回党大会にて政治報告をする習近平総書記=
18日午前9時6分、北京の人民大会堂、
日本国内では、最近選挙があったので、第19回中国共産党大会についてはその本質が十分に報道されていません。結論からいうと、今回習近平が演説で語ったことは、「新たな冷戦」宣言です。

通常、中国の国家主席の任期は2期10年であるため、2期目に入ると後継者を抜擢するのが普通です。しかし、ブログ冒頭の記事にもあるように、今回の人事では、政権3期を狙うとされる習近平の続投の意志が表れる人事となりました。

全体会議に先立ち、24日の中国共産党大会では、習氏が3時間20分も演説も行い、各紙に大きく取り上げられました。( http://news.livedoor.com/article/detail/13791532/)

この演説はあまりに冗長で、空疎な内容も多く要旨を読むだけでも大変なので、、このブログではその中でも習氏の「野望」が強く表れている発言のみをピックアップすることにします。そのほうが、今回の習の演説の本質が十分に理解できると思います。

習は、いわゆる「中国の夢」について、「新時代の中国の特色ある社会主義の偉大なる勝利」と「中華民族の偉大なる復興」だとし、自身の功績を称えた上で、次のように述べました。


「中国の特色ある社会主義は新時代に入った。(中略)科学的な社会主義は21世紀の中国の強大な活力を生み、中国の特色ある社会主義の偉大な御旗を世界に高く掲げたのだ。人類の問題を解決するため、中国の知恵と中国の方針で貢献したのだ。この新時代は、中国の特色ある社会主義の偉大な勝利の時代である。全国の各民族人民が団結して、中華民族の偉大なる復興という中国の夢の実現に向けて奮闘するのだ。わが国は、日に日に世界の舞台の中央に近付いている」

習氏は、演説を通して139回にわたり「社会主義」という言葉を使用し、中国が資本主義体制の西側諸国と一線を画していることを強調しています。また、「中国の特色ある社会主義は新時代に入った」という発言からは、中国がかつてのソ連を超えた「社会主義国」であるという主張がうかがえます。

「今世紀中ごろまでに人民の軍隊を世界一流の軍隊にする」

こうした「中国の夢」を現実のものとするのが、習氏の具体的な目標設定です。

これまで中国共産党が掲げていた目標は、2021年までに国内総生産と個人所得を安定させ(小康社会)、2049年までに豊かな社会主義国家を建設するというものでした。これに対して習氏は、2021年までの目標だった「小康社会」は達成したとして、さらに中長期ビジョンを打ち出しています。

「20~35年」と「35年~今世紀半ば」の二段階に目標を細分化。35年までに、経済力、科学技術力を大幅に向上させ、「社会主義近代化の実現」を果たした後、今世紀半ばまでに、総合的な国力と国際的影響力でトップクラスの国家になると目標を定めました。

人民解放軍が昨年新たに創設した「火箭軍(ロケット軍)」
「トップクラス」を目指す習近平の野望は、軍事面でも明確に現れています。習氏は、軍事戦略についてこのように明言しました。

「2020年までに軍の機械化を基本的に実現し、情報化建設で重大な進展を得て、戦略能力を大幅にアップさせる。そして2035年までに、国防と軍隊の現代化を基本的に実現し、今世紀中ごろまでに人民の軍隊を世界一流の軍隊にする」「軍隊というものは、常に戦争を準備しておくものだ。すべての活動は、必ず戦闘力のレベルを堅持することに充て、戦争ができて戦争に勝てることに照準を定めねばならない」

世界一流の軍隊を有し、いつでも戦争に勝てる状態にしておくという発言は、自由主義に基づく軍事大国・アメリカへの宣戦布告とも言えるものです。

さらに習氏は、「人類運命共同体」という言葉を用い、「責任ある大国としての役割を発揮」すると述べていますが、党規約に現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の推進が盛り込まれていることを考えますと、発展途上国を支援するという名目で、中国社会主義圏に取り組むという方針でしょう。

一方習は、「中国の発展は、いかなる国の脅威にもならない。中国の発展がどこまで進もうが、永遠に覇権を唱えず、永遠に拡張を求めない」としていますが、南シナ海に軍事基地を造り、日本を含むアジア諸国の領海を脅かしている中国の行動を見れば、空虚なお題目にすぎないことが分かります。

習氏の演説が描くのは、ソ連に成り代わった中国が、再び自由主義諸国に冷戦を仕掛ける未来そのものです。

習氏が2026年まで3期続行し、独裁政権の強い指導力の下、着実に強国化を進めれば、2050年時点で中国が西洋諸国を凌ぐことは十分考えられます。その時には、現在強いリーダーシップをとっているドナルド・トランプ米大統領の任期も終了しています。

現在、日本では北朝鮮問題ばかりがクローズアップされますが、確かに北の脅威は大きなものではありますが、これから顕在化する中国による新たな冷戦のほうが、はるかに深刻な問題です。

中国の新冷戦は、冷戦でソ連が敗北し米国の勝利に終わったように、いずれ中国の敗北により終焉すると私は見ています。中国の夢の実現は、かなりの無理があります。かつてのソ連のように中国も軍拡で、経済がズタズタになり冷戦体制を維持することは困難になるでしょう。しかし、終焉するまでの間に及ぼす悪影響がどの程度の水準になるのか、計り知れないところがあります。

北朝鮮問題は、大きな枠組みからみれば、新冷戦への前哨戦になることでしょう。いずれ近いうちに、北朝鮮の体制は崩れます。それを念頭におき、その後の北朝鮮をどうするかという、話し合いがAPECなどで行われるでしょう。

これらの会談は、いわば北朝鮮版「ヤルタ会談」のようなものです。この会談にて、日米が、いかに中国の要求を押さえ込めるかが、新冷戦の趨勢をうかがう試金石になると思います。

アジアにおけるアメリカの影響力が低下する可能性を視野に入れて、日本は「自分の国を自分で守る国」に舵を切らなければならないです。そうして、自国のみのことを考えるだけではなく、世界の安全と平和に寄与すべきです。

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