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2020年2月26日水曜日

日本の好機とすべきブレグジット―【私の論評】日本にとって、安全保障でも21世紀型の製造業の模索でも頼りになるパートナーになり得る英国(゚д゚)!


岡崎研究所

 2月8日、訪日中のラーブ英外相と茂木外相との間で、第8回日英外相戦略対話が行われた。会談では、英国のEU離脱後も引き続き、日英が価値を共有するパートナーとしてグローバルなリーダーシップやインド太平洋へのコミットメントで協力を進めていくことが確認された。今回の協議を踏まえて発出された共同プレスステートメントの第1パラグラフは、次のように言っている。


 「日本と英国は最も緊密な友人であり、パートナーである。本日、我々は、気候変動に対処し、新しい技術の潜在能力を安全に活用し、地域の安全保障を維持し、持続可能で自立的な開発を促進し、自由貿易を強化し、ルールに基づく国際システム並びに民主主義及び人権を擁護することを含め、グローバルなリーダーシップを発揮すべく共に取り組むことへのコミットメントを再確認した。我々は、自由で開かれたインド太平洋へのコミットメントについて協議するとともに、善を促進する力としてのグローバルな英国という英国のビジョンについて議論を行った」

 EUを離脱した英国にとり、経済連携は最優先課題である。日本にとっても、英国との経済関係を、英国がEUに加盟していた時と同様に維持することが利益になる。「日EU経済連携協定(EPA)を日英間の将来の経済的パートナーシップの基礎として用いるとの過去のコミットメントを再確認した。両国の自由貿易に対するコミットメントに沿って、我々は、新たなパートナーシップを日EU・EPAと同様に野心的で、高い水準で、互恵的なものとするために速やかに取り組む」と共同プレスステートメントにある通り、スムーズに進むと見られる。

 経済の分野では、英国のTPP11への加盟問題もある。英国は既に2018年より、TPP11への加盟に関心を示している。英国がTPP11に加盟することの意義の一つは、TPP11の側から見ると、TPP11の世界のGDPに占める割合が、現行の13~14%から17%に拡大することである。これはTPP11の影響力拡大につながり得る。もう一つの大きな意義は、英国のインド太平洋へのコミットメントが格段に強化される点である。TPP11への加盟には他の加盟国の承認が必要なので、紆余曲折があるかもしれないが、いずれにせよ、日本としては2018年から一貫して英国の加盟を支持している。今回の共同プレスステートメントも「英国は環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定への関心を改めて表明した。日本は英国の関心を歓迎するとともに、この文脈において英国を支援する旨再確認した」としている。なお、英国は、米国、ニュージーランド、豪州との貿易協定も求めている。

 英国のインド太平洋へのコミットメントは、経済分野以上に、安全保障の分野で大きな進展が見られる。日本や豪州との安全保障協力を強化し、フランスなどと「航行の自由作戦」を実施したりもしている。2018年以来、北東アジアに英海軍艦船6隻が派遣されているという。さらに、空母を太平洋に派遣する構想も持っているらしい。

 英国がインド太平洋における軍事的プレゼンスを高めているのは、海洋通商国家として、航行の自由という国際的ルールを守ることが死活的に重要であるからである。共同プレスステートメントには、「南シナ海及び東シナ海における状況について懸念を表明するとともに、現状を変更し、緊張を高めようとするあらゆる一方的な行動に対し強く反対した。我々はまた、南シナ海行動規範(COC)が1982年の国連海洋法条約(UNCLOS)に反映された国際法に整合し、航行の自由及び上空飛行の自由を確保し、かつ南シナ海を活用するステークホルダーの権利及び利益を害さないことの重要性を強調した」とある。

 もう一つの背景としては、この地域には英連邦の国々が多く存在するので、これらとのつながりを強化しておきたいとの英国の意図が考えられる。

 EUを離脱した英国は、グローバル・ブリテンを掲げるが、多くの困難に直面しよう。そうした中で、英国のインド太平洋へのコミットメントの強化は、日本が掲げるインド太平洋構想にとっても心強く、日英双方の利益になる。その進展ぶりから目が離せない。

【私の論評】日本にとって、安全保障でも21世紀型の製造業の模索でも頼りになるパートナーになり得る英国(゚д゚)!

ブレグジット以降に具体化される「グローバル・ブリテン」構想による英国の安全保障政策は、日本が戦後初めて国際社会共通の物差しを世界に浸透させるルールメイキングに成功した「自由で開かれたインド太平洋戦略(FOIP)」とリンクすることで実効性を担保し、極めて大きな効果が期待できます。

FOIPは2012年の第2次安倍政権発足直後、首相名で発表された英文の論文「アジア民主主義防護のダイアモンド」構想が最初でした。中国の台頭に対抗することを念頭に置いて、インド、ASEAN、オーストラリア、アメリカ、それに英国、フランスまでが加わる日本発の安全保障構想です。


すでに米国はこの構想に基づいて、ハワイに本拠を多く太平洋軍の名称を「インド太平洋軍」と改称し、インド軍、自衛隊、オーストラリア軍などが加わる軍事訓練を重ねています。

これらのことから、ジョンソン首相は「第二次日英同盟」にしばしば言及しており、2018年10月には日本がUKUSA協定国(ファイブアイズとも呼称されている)で行われる多国間机上演習に招待され、防衛省から5名が参加しています。

このUKUSA協定はもともと第二次大戦中にドイツのエニグマ暗号を米英共同で解読したのが始まりで、戦後戦略上最も重要な秘密情報を共有するため、かつて異国の植民地であった国々が参加。参加国は英国の他アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5ヵ国。このことから「ファイブアイズ」とも呼ばれています。

いずれにしろ、高度な情報コミュニティであり、英語圏以外で演習に招待されることは極めてまれで、2016年のドイツ、フランスしかありません。これへの参加は安全保障とステータスの向上という観点から見ると、日本にとって魅力的であり、高度な安全保障システムに参加可能な日英同盟に近づくステップにもなりうるのです。

「グローバル・ブリテン」構想のもう一つの柱は、英国が経済的な自由を取り戻し、世界的な展開を推進することです。ブレグジット後はEU以外の国・地域との貿易関係の強化が急務となります。そのため、英国政府は2018年7月からアメリカ、ニュージーランド、オーストラリアとのFTA(自由貿易協定)協議に加え、アメリカが抜けた後、日本が主導的にまとめ上げたTPP(環太平洋パートナーシップ)11への参加に前向きな姿勢を示しています。

英国の経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT紙)が2018年10月31日、アメリカが関税障壁を引き上げたり、中国との貿易戦争を続けている状況と対比し、TPP11の発効は自由貿易の類まれなる勝利だと評価。また、FT紙は10月8日付の記事で安倍晋三首相へのインタビューを掲載。安倍首相が英国のTPP11参加を「もろ手を挙げて歓迎」し、TPP11のさらなる拡大に意欲的なことを紹介。TPP11が「グローバル・ブリテン」の経済面での重要な位置づけとなることを表明しました。

FT紙は2018年10月8日付の記事で安倍晋三首相へのインタビューを掲載

英国としても世界で最も繁栄している環太平洋地域の経済活動に参加して、ブレグジット後の活路を見出そうとしていると思われます。ブレグジット後の英国にとって日本の存在価値は高いと言えますし、日本にとっても世界の安全保障と経済に深くコミットする道筋となることでさらなる飛躍のチャンスでもあるのです。
一方英国は、21世紀型の製造業を興すことで地盤沈下した地方経済を蘇らせて国内経済の〝南北問題〟を解消する一方、大学を中心に世界中から人材を吸い寄せて資本も集める挑戦を開始しました。それは、ティースバレー(ティーズ川の下流域を中心とした英国の北東に都市領域)とその周辺を、関税、付加価値税(VAT)のないフリーポート・フリーゾーンにする構想です。

石炭と鉄鉱石の産地が近いティーズバレーは、19世紀から製鉄で栄え、ピーク時には年間1000万トンの石炭と鉄鉱石を飲み込み、350万トンのスラブ(鋳塊)と鉄製品を吐き出しました。造船や化学も強く、1970年代前半まで工場労働者で賑わいました。旧工業地帯の人口は70万。今や見る影もなく工場は閉鎖し、周辺にはシャッター街が広がっています

このディーズバレー港とその周辺を関税、付加価値税(VAT)のないフリーポート・フリーゾーンにする構想が脚光を浴びています。外資を呼び込んで新しい産業を興し、EUだけでなく、北米・南米・アジア・オーストラリア・英連邦加盟国とティーズバレーを結ぶ壮大な構想です。 

「仕事なんか戻ってくるもんか」「私たちゃあ生きてるんじゃない。ただ存在しているだけさ」と地元住民でさえ吐き捨てる街を蘇らせるためにティーズバレー市長ハウチェン氏がジョンソン首相に掛け合い、マニフェスト(政権公約)にも採用された秘策があります。

今後3年のうちに自由貿易協定(FTA)で貿易額全体の80%をカバーする戦略を掲げるジョンソン政権の切り札と言えるかもしれないです。フリーポートは一言で説明すれば国内に〝オフショアの産業特区〟を設けるアイデアです。

港のティーズポートには18・2平方キロメートルの遊休地があり、フリーポートに指定された暁には今後25年で52億ポンド(約7400億円)の投資が見込めます。地域の失業率は7・2%(英国全体は3・8%)ですが、サプライチェーンも含め3万2000人の雇用を創出、経済効果は20億ポンド、税収増は10億ポンドとハウチェン市長は算盤)を弾いています。

英財務省の首席政務次官を務める保守党のリシ・スナック下院議員(2月13日の内閣改造で財務相に抜擢)の報告書によれば、フリーポートやフリーゾーンは世界135カ国3500カ所に広がり、6600万人の雇用を創出。米国では250カ所のフリーゾーンが42万人の雇用と7500億ドルの商取引を生み出しています。

関税やVAT、規制から完全に自由なフリーポートとフリーゾーンを組み合わせたり、その中に工場や企業を誘致したり、世界のフリーポートには実に97もの異なるモデルがあります。

しかし、EU規制下で認められるフリーポートは短期間保管するだけの保税倉庫に毛が生えたようなもので、同一競争条件(レベル・プレーイング・フィールド)により国家補助金や税制、環境、労働条件に厳しいタガがはめられています。

このため12年を最後に英国からリバプールやサウサンプトンなどのフリーポートは完全に姿を消しました。ジョンソン首相が描くのは規制緩和や国家補助金を呼び水にフリーポートやフリーゾーンへ外資や21世紀型の製造業を呼び込む競争力ある産業特区です。

これまで議会で単独過半数を獲得し、EUから離脱するのがジョンソン首相の最優先課題でした。先の総選挙で保守党は「レッドウォール」と呼ばれる旧炭鉱・造船街などオールドレイバー(古い労働党)の支持を得ました。

「レッドウォール」を再活性化させるため、フリーポート構想に加え全国一律の法定生活賃金(労働者の生活を保障する賃金の下限)の引き上げを行い、国内経済の〝南北問題〟を是正しながら、EUに縛られずに世界と繋(つな)がるグローバル・ブリテンを目指す試練が始まりました。

英国の起業家ネットワーク、テク・ネーションの調査では、19年に企業価値が10億ドルを超えるスタートアップ企業である「ユニコーン」を8社も生み出した英国のデジタルテクノロジーへの投資は、前年に比べ31億ポンド増えて過去最高の101億ポンド(約1兆4400億円)を記録しました。ドイツの54億ポンド、フランスの34億ポンドを合わせた額より多く、欧州全体の3分の1を占めています。


ベンチャーキャピタル投資は前年比44%増。成長率で見た場合、ドイツ41%増、フランス37%増、イスラエル22%増、米国20%減、中国65%減を上回り、世界首位に立ちます。英国のユニコーンは計77社になり、ドイツの34社を圧倒しています。

英国にはオックスフォード大学やケンブリッジ大学など世界トップ100に入る大学が11校もあり、テクノロジーの拠点は全国に広がっています。EU市民は英国離脱によって自由に行き来できなくなりますが、米国や中国に比べるとはるかに就労ビザが取得しやすいという強みがあります。

EUとの通商交渉の行方はまだ分かりません。しかし21世紀型の製造業を興すことで地盤沈下した地方経済を蘇らせて国内経済の〝南北問題〟を解消する一方、大学を中心に世界中から人材を吸い寄せて資本も集める英国の挑戦がこれから始まろうとしています。

これから、大きなチャレンジをする英国は、日本にとって安全保障でも21世紀型の製造業の模索でも頼りになるパートナーになるのは間違いないようです。



2018年4月29日日曜日

マスコミ洗脳し財政危機煽る…財務省の災いは日本の好機だ 脱緊縮政策が経済に福となる―【私の論評】財務省は、現在の大企業に比較しても格段に遅れた時代遅れの組織(゚д゚)!


福田淳一氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

財務省は決裁文書の改竄(かいざん)に続くセクハラ疑惑で、旧大蔵省の接待汚職以来となる事務次官の途中辞任という事態に見舞われた。

 財務省の問題をめぐって、筆者は面白い体験をした。某紙から取材を受けたのだが、質問は「財務省の不祥事で財政再建が後退することの日本経済への影響」というものだった。取材者の意図は、財政再建が後退すると日本経済にはマイナスになるが、これでいいのかというものだったのだろう。

 筆者は、時間の無駄になることは承知で次のように対応した。

 財務省はこれまで「日本は財政危機であり、財政再建が必要だ」と言ってきた。一方、今回の不祥事で分かったことは、決裁文書の改竄を行い、国会で嘘ともいえるような答弁をしてきたこと。そしてセクハラ疑惑では、危機管理対応の観点でも、かなり杜撰(ずさん)な対応だったことだ。いずれも財政危機との説明と似ていて、真実を語っているとは言いがたい。

 今回の不祥事で財務省の説明に嘘があることがばれれば、マスコミや国民の呪縛も解けるのではないか。その結果、財務省が唱える緊縮財政(増税や歳出カット)という間違った政策が正されれば、日本経済にとってプラスである-。

 こう言ったら取材者はかなり混乱した様子だった。「マスコミの皆さんは、財務省に洗脳されていて、財政危機であると信じ込んでいるでしょう」と水を向けたら、「その通り」と言い、「財政危機ではないのか」と聞いてきた。

 財政状況は、政府のバランスシート(貸借対照表)に表れる。総債務残高から資産を差し引いたネット債務残高対国内総生産(GDP)比が重要となるが、日銀を含めた連結ベース(統合政府)では、ほぼゼロであり、他の先進国と比較するまでもなく財政危機ではないと説明した。

 「その根拠を示してくれ」というので、「ネット上で検索すればいくらでも出てくるし、必要なら取材に応じてもいい」と言っておいた。なお、昨年来日したノーベル賞受賞学者のジョセフ・スティグリッツ氏も同意見を述べていることも付け加えておいた。

 今のほとんどのマスコミでは、「財政危機ではない」という意見はまともに報じられないだろう。それほど、マスコミは財務省の言いなりになっているとみていい。

 事務次官を辞任した福田淳一氏は、辞任表明の記者会見においてまでも消費増税や財政再建堅持を主張していた。財務省が信頼を失ったので来年の消費増税や財政再建路線に影響が出るか、という問いかけに対して、「財務省は財政の管理人でしかない。管理人の不祥事があるからといって、財政問題に結びつけた議論はしないでほしい」とも述べていた。しかし、管理人が財政危機を過度に煽るような情報を流していれば、「善良な管理人」とはいえない。

 今回の財務省不祥事が契機となって、経済を痛めつけるような緊縮財政策がなくなれば、日本経済にとっての好機となり、災い転じて福となるだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】財務省は、現在の大企業に比較しても格段に遅れた時代遅れの組織(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏は「マスコミの皆さんは、財務省に洗脳されていて、財政危機であると信じ込んでいる」と記者に話をしたことが掲載されています。

これは、もうネット上ではすでに明らかにされている事実です。そうして、これはマスコミに限らず、多くの政治家もそうです。政治家といった場合、野党はほとんどがそうです。

与党自民党の議員もほとんどが、日本は財政危機にあると信じ込んでいます。そうではないとみられるのは、安倍総理とそのとりまきの一部のブレーンだけです。

そうして、経済学者や民間のエコノミストといわれる人々のほとんどは、おそらく本当は日本は財政危機にないことを知っていながら、財務省のいいなりで、「財政危機にある」と主張しているのが実体です。もし本当に「財政危機にある」と考えいいるなら、真性の馬鹿ですから、経済学者やエコノミストなど即刻辞任すべきです。

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏は「今回の財務省不祥事が契機となって、経済を痛めつけるような緊縮財政がなくなれば、日本経済にとっての好機となり、災い転じて服となるだろう」と結論を述べていますが、私はそうはならないと思います。

今のまま財務省を放置しておけば、ここ数年間は大人しくして、なりを潜めたようにしていますが、数年たてばまた元通りで、「財政危機」を連呼して、大増税キャンペーンを繰り広げ、実体経済にはおかまいなしで、増税とともに緊縮を主導し、安倍総理が退任したころには、ここぞとばかり大増税を実行することになます。

日銀も右に習えで、これも実体経済を無視して、緊縮財政をはじめることになります。そうして、日本は再度デフレ・スパイラルのどん底に沈み、超円高に見舞われ、この悪影響を避けるために、企業はまたぞろ、中国に進出して、現地で製造をするようになります。

かつて超円高だったときの中国進出コンサルタントは、現在では中国撤退コンサルタントとして活躍しているそうですが、彼らは再び中国進出コンサルタントとして大活躍することになります。

そうして国内では、雇用環境が再び大悪化して、若者は再び就職氷河期にみまわれ、就活で苦しむことになります。これから社会に出ていく若者が、最初から社会に必要ではないと拒絶され、精神的な傷を負うことになってしまいます。

なぜ、このようになることを自信を持って、言えるかといえば、過去にも同じようなことがあっても、財務省の体質は結局変わらず、今日に至っているからです。

過去に大蔵省でも大蔵省接待汚職事件があり、大蔵省への国民への信頼が大いに揺らぎました。

大蔵省接待汚職事件(おおくらしょうせったいおしょくじけん)とは、1998年(平成10年)に発覚した大蔵省を舞台とした汚職事件です。ノーパンしゃぶしゃぶ事件とも言われています。多くの人にとって、「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」のほうが一般的だと思います。

「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」の舞台となった「ローラン」

この事件が発覚後、官僚7人(大蔵省4人、大蔵省出身の証券取引等監視委員会の委員1人、日本銀行1人、大蔵省OBの公団理事)の逮捕・起訴に発展しました。起訴された官僚7人は、執行猶予付きの有罪判決が確定しました。この責任を取り三塚博大蔵大臣と松下康雄日本銀行総裁が引責辞任し、大蔵省解体の一つの要因となりました。

にもかかわらず、旧大蔵省の体質、特に実体経済とは関係なくどんなときでもなるべく緊縮財政を実施するという方針は温存され、今日にいたり、実際平成14年に5%から8%への消費税の増税が実行されため、日本のGDPの6割を占める、個人消費が抑制され、未だに日本のGDPの伸び率は韓国以下です。

ただし、金融緩和は2013年から継続しているため、雇用情勢はここ20年では、最も良い状況になっています。

このようなことから、今回の財務省不祥事が契機となって、経済を痛めつけるような緊縮財政策がなくなるということはないと断言できます。

大正12年9月1日 関東大震災で瓦解した大蔵省の建物

経済を痛めつけるような緊縮財政を永遠になくすためには、財務省が大蔵省時代から、中途半端に統治と実行の両方を同時に行っているということをやめさせるしかありません。

実行に関しても、企画と実行そのものも分離しなければなりません。現在の財務省は、財政に関わる統治(財政の方向性を定めること)と、統治に基づいた財政企画と財政の実行を同一組織で行っていることが問題なのです。

財政に関わる統治は、政府が行うべきものです。財政企画と、財政の実行を同一組織で行うことは、不正の温床になります。

これは、企業でいえば、財務部長が財務担当取締役の権限のうちで一番重要な統治の部分にも踏み入っているような有様であり、さらに財務部門と経理部門が同一組織で行われているというような状況です。大企業ならば、そもそもこれが分離されていないと上場はてできません。人数の少ない中小企業ならともかく、ある程度大きな企業であれば、これは不正を誘発するようなものですし、会社法等にも明らかに違反しています。

財務省の組織


現代の大企業の理想的な統治部門の組織図、現在の財務省は現代の企業に比較しても
遅れた前近代的組織、財政に関する統治と実行が財務省内で行われている

何よりも内部統制的にみても、財務部長(財務省でいえば、財務次官)の社内での専横や不正を助長するようなものです。絶対にあってはないらないことです。

現在の財務省は、財政に関する統治に関する部分は、政府に完全に移行し、財務企画部門と、財務の実行部門とも別組織にすべきなのです。

これを実行すれば、実質上財務省の完全解体ということになってしまいます。そもそも、このような異常な組織がいつまでも温存されるということは組織論的にみても、あってはならないことです。はっきり言って、今の財務省の組織は、現在の大企業よりも格段に遅れた時代遅れの組織といわざるを得ません。

大企業では、企業統治論が従来からいわれていて、少なくとも統治と実行は組織的に分離されています。企画と実行も分離されるようになってきています。国の財政に関わる統治と実行(企画と実行)が分離されずに曖昧になっているなどということが許されるはずはありません。

統治と実行の違いや、財務省の完全解体については以前もこのブログに掲載したことがありますので、ここでは詳細は説明しません。以下の【関連記事】のところにリンクを掲載しておきます。興味のある人はこの記事を是非ご覧になって下さい。

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