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2016年5月14日土曜日

STAP現象の確認に成功、独有力大学が…責任逃れした理研と早稲田大学の責任、問われる―【私の論評】日本的な抗えない「空気」に流されるな(゚д゚)!

STAP現象の確認に成功、独有力大学が…責任逃れした理研と早稲田大学の責任、問われる


Ruprecht-Karls-Universitaet Heidelberg  ハイデルベルク大学 写真はブログ管理人挿入以下同じ
今年3月10日、ドイツの名門大学、ハイデルベルク大学の研究グループがSTAP関連の論文を発表した。論文タイトルは『Modified STAP conditions facilitate bivalent fate decision between pluripotency and apoptosis in Jurkat T-lymphocytes(邦訳:修正STAP条件によって、JurkatT細胞の運命が多能性と細胞死の間で二極分化する)』である。

海外の一流大学が、いわゆる「STAP現象」の再現実験を行ったということで話題となっている。以下に同論文の概要を紹介する。

<(1)序論:STAP論文は撤回されたが、低pHの刺激による万能性獲得の可能性は、がん、または、がん幹細胞の分野においては魅力的な課題である。

(2)実験:そこで、理化学研究所と米ハーバード大学から発表されたプロトコルを改変して、セルライン化されたT細胞に刺激を与える実験を行った。

(3)結果:当グループが見つけたpH3.3の条件では、酸処理後、多能性マーカーの一種であるAP染色陽性細胞の割合が増加した。AP陽性の多能性細胞は酸処理ストレス下を生き延びて優位に増加。

(4)考察:小保方晴子氏【編注:一連のSTAP細胞論文問題をめぐり2014年12月に理研を退職】が英科学誌「ネイチャー」で発表したプロトコルでは成功しなかった。それは、使用している緩衝液の緩衝能が適していないことが理由として考えられたので、それも変更した。

一番の発見は、このような瀕死のストレス条件では、Acute T-cell leukemia(ヒト急性T細胞白血病)の細胞株である JurkatT細胞が、万能性を獲得するか、もしくは死ぬかの間で揺らいでいることである。何がそれを左右するのかを探るのが今後の課題だ>

わかりやすく解説すると、以下のようになる。

<小保方氏が発見したSTAP現象を、がん細胞の一種であるJurkatT細胞を用いて再現実験を試みた。同細胞に対しては、小保方氏がネイチャーで発表した細胞に酸性ストレスをかける方法ではうまくいかなかったため、独自に修正した酸性ストレスをかける方法を試してみたところ、細胞が多能性(体のどんな細胞になれる能力)を示す反応を確認した。それと同時に細胞が死んでしまう現象も確認されたので、何が細胞の運命を分けているのかを探っていきたい>

小保方氏

    がん細胞の分野で研究の価値大 

    今回の論文で多能性を確認したAP染色陽性細胞は、小保方氏らのSTAP論文でも発現が確認されている多能性マーカーのひとつである。細胞が酸性ストレスによって多能性を示すという反応は、まさに小保方氏が発見したSTAP現象そのものだ。

世界的に活躍する国際ジャーナリストで、自身もニューヨーク医科大学で基礎医学を学び医療問題に関するリポートも多い大野和基氏は、同論文を次のように評価している。

「STAP現象の論文は撤回されたが、少なくともがん細胞の分野ではまだまだ研究の価値がある、ということだ。細胞の多能性に対する酸性 pH の効果は、がん生物学(がん幹細胞も含む)の分野では、注目されるトピックであり、STAP細胞が、がん細胞ではできた可能性があることを、このハイデルベルク大学の論文は示している。

また、この研究者らの実験では、小保方氏が確認した多能性を示すOCT4の発現を変えることができなかったようだが、異なる結果として、De Los Angelesほかが、STAPプロトコルのような、強いストレスでOCT4の発現が増加した例を紹介している。

ともあれ、『ネイチャー』のSTAP論文撤回後、海外の大学、しかもハイデルベルク大学においてSTAP現象を確認する実験が行われたことは注目すべきことである」

がん細胞の一種であるJurkatT細胞に対して、小保方氏が行った方法ではうまくいかなかった理由について、ある生物学の専門家は次のように分かりやすく説明してくれた。

「細胞の種類によってストレス反応に違いがあることも一因と考えられます。小保方氏はがん細胞以外の細胞を使っていたため、ストレスをかけるpHの違いが出ても不思議ではありません。

また、培養系の実験では、緩衝材の違いはもちろん、試薬のロット(製造日)差によっても結果が違ってくるというのは周知の事実ですし、シャーレのメーカーによっても結果に違いが出ることがあるほどです。それほど微妙な調整が必要な世界であり、プロトコル(手順)通りにやっても同じ結果が得られないことは普通です。

ハイデルベルク大学の研究グループは試行錯誤の結果、独自にSTAP現象を確認する方法を見いだされたのではないでしょうか」

日本国内では、マスコミによる異常な偏向報道によって、完全に葬り去られたように印象づけられたSTAP現象だが、そのような先入観もない海外の大学によって再現実験が試みられた事実は大きい。

    日本の専門家たちの間違い

一部の専門家は、小保方氏がSTAP細胞のレシピ(詳細な作製手順)を公表するサイト「STAP HOPE PAGE」を開設した際にも、「STAPを今さら研究する研究者は世界にどこにもいない」と批判していたが、それが完全な間違いであったことが証明された。

ネイチャーのSTAP論文が撤回された理由は、小保方氏が発見した「STAP現象」の否定ではなかったことは前回記事で述べた通りである。

小保方氏の人権を蹂躙するかのようなマスコミがつくり上げた世論に同調し、常識を逸脱した禁じ手まで使って論文をなきものとして責任逃れをした理研や早稲田大学と比べ、真摯に生物学的現象を追究するハイデルベルク大学のニュートラルな姿勢は、科学に向き合う本来のあり方を教えてくれる。

ハイデルベルク大学が発表した今回の論文によって、STAP現象に対する世界的な関心が再び高まっていくかもしれない。

(文=大宅健一郎/ジャーナリスト

【私の論評】日本的な抗えない「空気」に流されるな(゚д゚)!

上の大宅健一郎氏の記事にある、ネイチャーのSTAP論文が撤回された理由が、小保方氏が発見した「STAP現象」そのももの否定でなかったことを示す記事のリンクと一部引用を以下に掲載しておきます。
【STAP論文】若山教授、共同執筆者に無断で撤回が発覚…小保方氏捏造説へ誘導【前編】
 今年3月28日、兵庫県警は神戸の理研の研究室からES細胞が盗まれたとする窃盗容疑に関して、容疑者不詳のまま捜査書類を神戸地検に送付して捜査を終了した。これは、小保方氏のES細胞窃盗容疑はなくなったことを意味する。同じ容疑での告発はできないため、小保方氏が同じ容疑をかけられることは完全になくなったが、これを報道したマスコミはほとんどなかった。
 当時、小保方氏は、細胞に刺激を与えて万能性を示す状態となる「STAP現象」を担当しており、これは米ハーバード大学のバカンティ研究所でも成功させていた。小保方氏が記者会見で「200回以上成功した」というのは、このSTAP現象のことを指している。 
STAP細胞」実験の過程
一方、若山氏は小保方氏が作成したSTAP細胞から、ES細胞のように増殖力を持つSTAP幹細胞をつくり、キメラマウスを作成するのが担当だった。

STAP論文における小保方氏の写真の取り違えが判明し、マスコミの加熱する報道が起こり始めると、突如として若山氏は「論文撤回」を主張するようになる。しかも、理研の故・笹井芳樹教授やバカンティ教授など論文執筆者たちの承諾を得ないまま2014年3月10日、NHKの取材に対して勝手に論文撤回発言を行った。論文撤回するかどうかは、共同執筆者全員の賛同を得て初めて成り立つものであり、1人の執筆者が独断で行えるものではない。明らかなルール違反だった。 
 この無責任な発言によってマスコミの報道が一気に沸騰し、修正で済むはずだったSTAP論文は「捏造」というキーワードと共に悪意ある偏見の目で見られるようになり、「重箱の隅をつつく」指摘が止まらなくなる。そして、STAP細胞そのものがなかったことになっていく。 
 このNHK報道を契機として、若山氏は一方的に情報をリークできる立場を確保していく。特にNHKと毎日新聞への度重なる意図的なリークによって、自身に有利な世論を形成できる立場を得ていた。論文執筆者たちは、若山氏との話し合いの前に同氏の言い分を報道で知るという異常な事態となる。 
 この「空気」を追い風に、マスコミを通じて情報発信できる立場を得ていた若山氏は、さらに追い打ちをかけるような情報を発信する。
【STAP論文】若山教授、小保方氏を捏造犯に仕立て上げ…論文撤回理由を無断で書き換え【後編】
若山氏 
 若山氏は論文撤回において、共同執筆者の承諾なしに単独行動を繰り返すことになる。(論文)著者間で行われていたやりとりは、常に公開前にマスコミへとリークされていく。アメリカの著者のもとにNHKから取材が来たとき、著者間でしか知り得ない情報をすでにNHKが入手していたという。 
 さらに、STAP論文が掲載された英科学誌「ネイチャー」に対する論文撤回の連絡も若山氏が独断で行うようになり、若山氏が責任著者でない論文(バカンティ教授が責任著者)に関しても、独自で撤回のやりとりを行っていたという。 
 さらに若山氏は常軌を逸した行動に出る。 
 14年6月、論文執筆者たちが事態を収拾するため、著者全員が論文撤回に同意した。その時同意した内容が若山氏によって巧妙に書き換えられたのだ。
同意書には「STAP幹細胞は若山研に決して維持されていなかったマウスの系統であった」と書かれていたが、もともとの同意書には「STAP幹細胞は若山研に維持されていたマウスのES細胞の系統と一致する」と書かれていた。若山氏は「誰かが勝手に書き換えた」と新聞で一方的に発表していた。
 小保方氏が真相を確かめるために「ネイチャー」編集部に問い合わせると、若山氏が誰の相談もなく撤回理由を修正するメールを勝手に出していることが判明する。そして「ネイチャー」編集部は若山氏が送ったメールを転送してきて、それが物証となり若山氏の単独行動が明らかとなる。

これにより、STAP論文の撤回理由は、若山氏が作成したSTAP幹細胞に疑義があるということになった。しかも、事実とは異なる可能性、誰かがマウスをすり替えた可能性を示唆しつつ。つまり、STAP論文の撤回理由は「STAP現象」の否定ではなかった。
 小保方氏が希望(HOPE)を託した「STAP HOPE PAGE」には4月5日現在、107カ国からアクセスがあるそうだ。アメリカハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学、ロックフェラー大学、イギリスのケンブリッジ大学など、世界中の著名な大学や公的生物学系研究機関、大手製薬会社からもアクセスが続いているという。サイトの広報活動を一切していないにもかかわらず、サイトの影響力は世界中に拡大している。 
 一方的な偏向報道で雲散霧消したと思われたSTAP細胞の存在は、ふたたび小保方氏のサイトにより息を吹き返してきたようだ。小保方氏が望んだように、いつしかどこかの国の科学者が、STAP細胞を再現する日が訪れるのだろうか。
さて、この記事の後に、ブログ冒頭の記事のように、 ハイデルベルク大学の研究グループがSTAP関連の論文を発表したのです。そうして、海外の一流大学が、いわゆる「STAP現象」の再現実験を行ったということで話題となったのです。

なお、STAP現象については、他の研究チームもその存在を確かめています。それについても、このブログで以前紹介したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
小保方さんの発見は真実!ネイチャーにマウスの体細胞が初期化して多能性を持つ「STAP現象」がアメリカの研究者により発表される―【私の論評】日本のマスコミや識者もSTAP細胞騒動を二度と繰り返すな(゚д゚)!
小保方さん
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、小保方晴子さんの発見した「外部ストレスにより体細胞が初期化して多能性を持つ」「STAP現象」が存在した事を報告する論文が、科学雑誌「ネイチャー」の姉妹紙でオンライン専用媒体「Nature.com SCIENTIFIC REPORTS」に2015年11月27日付けで掲載されたことを掲載しました。

以上の例の他にも、従来からSTAP現象の研究は多く行われていました。それにさらに小保方さんのSTAP騒動の後にも、上記2つの研究があったということで、少なくとも小保方晴子さんの研究が正しくなかったとはいえない状況になったものと思います。

狭義の意味では、STAP細胞は存在していました。STAP幹細胞は樹立できなかったのですが小保方さんが実験で観察したようにSTAP細胞は存在していた可能性も否定できなくなりました。それが裏付けるのが以上の2つの研究です。

小保方さんも米国の研究者グループも、ストレスを与えられた細胞が初期化する姿を観察しており、細胞が逆分化していくことを報告している点、非可逆性であるとされている細胞の定説を覆していることになるのかもしれません。これは、まさに千島学説的な研究成果と重なるものです。単に多能性細胞としての実践価値のあるなしにかかわらず、この重要な観察事実を無視することこそ非科学的なことではないでしょうか。

いずれにしても、小保方さんの「STAP細胞はあります」という主張を完璧に否定することはできない状況にはなったものと思います。



人間は不完全ですから、誰でも間違いや失敗をすることはあります。しかし、その後でそれを単に個人の倫理観に委ねていては、何も解決しません。単に「あいつが悪い」で終わってしまいます。

そうして、それを起こしてしまった、システムや背景など何も改善されません。マスコミはまるで、倫理判定装置のような見方で報道するのではなく、こうした観点から、報道すべきですし、理研の幹部や、文部省は、このような観点から調査をするのはもとより、その結果から、理研のシステムを変更するとか、危機管理システムを創設するか、内容を変更するなどの具体的な行動をして、このような事件を再発しないように、あるいは似たような事態が生じた場合には、早めにリスク管理行動を起こして、傷口が今回のように大きく広がることを阻止すべきです。

結局この問題、まともな意思決定ができていないため、過度に小保方さんに責任をかぶせることで、無理やり事態の収拾をはかってしまったようで非常に後味が悪いです。

そうして、なぜこのような状況になったのかといえば、いわゆる日本的な抗えない「空気」があったのだと思います。

空気とは、その場の雰囲気・流れのことです。これを敏感に察することを「空気を読む」といい、読めない人は「空気が読めない」と言われます。ちょっと俗語ぽっく「空気嫁(読め)」や「KY」などとも言われたりします。

しかし、場の空気をあまりにも重要視し過ぎると群集心理(集団心理)のスイッチが入り、多数派の側が合理的な是非を判断しないまま特定の時流に飲み込まれてしまい、暴動やパニック、その他社会にとって好ましくない事件を引き起こしてしまうという問題もあります。

インターネットの掲示板などが荒れるといった現象も群集心理が生み出す典型的な現象の一つです。そういう意味では、あえて「場の空気を読まないで警鐘を鳴らせる人」という存在も一定数必要です。しかし場の空気を「読まない」と「読めない」とでは大違いなので要注意ではあります。

「空気」の研究

この「空気」については、山本七平氏が『空気の研究』という書籍にまとめています。この書籍によりば、昭和期以前の人びとには「その場の空気に左右される」ことを「恥」と考える一面があありました。しかし、現代の日本では“空気”はある種の“絶対権威”のように驚くべき力をふるっています。この書籍では、あらゆる論理や主張を超えて、人びとを拘束するこの怪物の正体を解明し、日本人に独得の伝統的発想、心的秩序、体制を探った名著です。

この書籍では、日本人が 抗えない”空気” が醸成される理由を究明しています。空気の事例として、太平洋戦争に突入する時、誰もがアメリカには勝てないと思っていながら、その場の空気に拘束され、よくわからないまま戦争を始めてしまった例が代表格です。

山本氏は、空気が発生する必要条件として、「対象の臨在感的な把握」を挙げています。これはすべての民族が行う感情移入を前提としていますが、日本人は感情移入を絶対化して、それを感情移入とは考えないで、逆に対象に支配されてしまう状態になると言います。
”臨在感”は、やや分かりにくい表現ですが、”まさにその場にいる” 感じで、ものごとを捉えることです。

例えば、人骨に対する反応が示されています。日本人とユダヤ人の遺跡発掘プロジェクトで人骨がどんどん出てきたときに、ユダヤ人は人骨を物質として捉え平然としているのに、日本人研究者は人骨という対象を絶対化・物神化して、病気になってしまうのです。

さらに、遺影に対する反応では、裁判などで被害者の遺影を見ると、それを絶対化してしまい、被害者の立場に同調してしまうといいます。

絶対化する対象は、人骨という物質や、遺影などのイメージ(像)に留まらず、スローガンなどの言葉も含まれます。一昔前は、「先進国に追いつき、追い越せ」という言葉を絶対化して、そのような空気に支配されてしまったのです。

サラリーマンの飲み会で”脱サラしよう”と盛り上がる空気も事例として挙げられています。ただ、そのような時、誰かが「先立つ金がないよなあ」と水を差し、醸成された空気が崩壊する場面が描かれています。

ここで言う「水」とは水を差すという行為で空気を壊すのですが、それとは逆に、壊れやすい空気の絶対化・継続化を促すものと山本さんは捉えています。水とは、日本人の日常(通常性)を支える情況論理としています。

これには、若干の説明が必要でしょう。山本さんは、「固定倫理(論理)」、「情況倫理(論理)」と、情況倫理から派生する「辻褄が合わない論理」を比較しています。

簡単に言えば、固定論理とは、善悪などを固定・絶対的に考えることです。情況論理とは、固定論理的に考えず、その場その場の情況に応じて善悪などを考えること。辻褄が合わない論理とは、情況論理を採用する日本人が陥りやすい非論理的な考えを指します。


まさしく、本来小保方さんの論文など、固定論理で考えれば、本来さほど大きな問題でもなかったものです。

生物学は、結果が重視される世界です。結果が正しいならば、論文の執筆上のミスによって、その結果を否定することはできません。

たとえば、14年4月25日、STAP論文に疑義がかかった後、理研の野依良治理事長(当時)が理研内部の研究員に対し「論文を自己点検するように」と指示を出しました。その後、修正された論文はかなりの数に上ったのですが、論文が撤回となることもなく、この事実が報道されることもありませんでした。

さらに、STAP問題に対する調査委員会の委員のほとんどに論文の疑義がかかったのですが、その委員らはホームページなどで説明を行い修正することで終わっています。当時、小保方氏がホームページなどで情報発信することを禁じられていたことを考えると、非常に不公平な対応です。

また、小保方氏の早稲田大学時代の博士号が剥奪された際にも、早大の内部調査で博士論文89本に不正が見つかり、そのほとんどが修正だけで済み、小保方氏のような博士号剥奪処分はありませんでした。

14年4月、iPS細胞の発見でノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授の論文の画像にも疑義がありました。山中教授は論文の内容自体は正しいものの、自分以外の共同研究者の実験データが残っていなかったとして「心より反省し、おわび申し上げます」と謝罪して、この件は終了しました。

小保方氏の場合も今後STAP現象が続々と確認されれば、その成果を誰も否定することはできなくなるはずです。

山中伸弥教授

山本氏は、先に挙げた情況論理の基盤としての日本的な親子関係のような人同士の関係、組織内での人間関係のあり方を指摘しています。

これは、簡単に言えば辻褄が合わない主従関係であり、儒教を基本としながらも、それに日本的なアレンジをきかした人間関係の基盤で、「クローズド組織」に典型的に見られるものです。

疑似親子関係の中で、偉い方から「ある力」が加えられると空気ができると、当然、子分とか、その場にいる人間は、「対象を臨在感的に把握」する感情移入をする人たちで、水を差すことはあっても、その都度の情況に応じた論理で、場に追随してしまうのです。

これに関しては、増税論議があります。8%増税のときには、財務省はもとより、東京大学を頂点とする日本の主流派経済学者のほとんどが、8%増税は当然としていました。これに対して、少数ながら増税に反対する人々も存在していて、私も増税には反対でした。

なぜ反対かといえば、この世界にはマクロ経済学という学問が存在しており、この学問からすれば、どう考えてみても、デフレから完璧に抜けきっていない時に、緊縮財政の一手法である増税をするのは間違いであり、本来は積極財政である、減税などをすべきだからです。

しかし、現実にはマクロ経済学の基本は全く無視され、財務省、経済学者、マスコミまでがこぞって8%増税をしても日本経済への影響は軽微としたため、擬似親子関係によりほとんどの政治家が増税賛成の「空気」に迎合したため、安倍自民党政権もこの空気に抗うことはできず、実施されてしまいました。その結果は、皆さんご存知の通り大失敗でした。

しかし、この『空気』のせいか、増税賛成派の人々は現在においてもなお、自分の過ちを認めるような発言はしません。

それは、STAP騒動に関しても同じです。理研や文部科学省、マスコミまでが、擬似親子関係により、問題の本質を小保方さんの倫理問題にすり替えてしまいました。

このようにして、「日本的な抗えない空気」は醸成されるのです。

結局のところ、理研も文部科学省の誰も、今回の件に関して、リスク管理の面から批判されることもなく、リスク管理に対する脆い理研の体質はそのまま温存されることになりました。そうして、日本では未だに『STAP細胞はまがい物』との通念がまかり通っています。

対米戦争開戦が正しいとする説、デフレから脱却してない中での消費税増税が正しいという説、STAP細胞はまがいものであるという説、そうして上では掲載しなかったものの、安保法案は「戦争法案」であるという説などは、すべてこうした『空気』がもたらしたものです。

「腰抜け東条、勝てる戦争なぜやらぬ!」と煽った対米開戦直前の朝日新聞の紙面 
人間関係を円滑にするために、空気を読むことは大切なのです。しかし、それに流されてしまってはいけません。それはそれ、自分は自分で別物として受け取らないといけないのです。

そういう意味では、その場の空気を読むことに加え、その空気の流れを読めなければならないということです。

もしも、好ましくない方向に流れていたら、時にはあえて空気を読まないようにしないといけないのです。

しかし、未だに日本では、こうした『空気』に左右され、間違いが正されないということが往々にしてあります。ではこうした空気に流されないようにするためには、どうすれば良いのでしょうか。

それには、自分の頭で考え、自分の言葉で語り、自分の足で立つことです。それには、まず物事を正しく知ることです。自分の手で生きていくことによって、『空気』から脱却することができるのです。そうして、空気に流されることなく、時には自分の価値観や、ライフスタイルを追求するために人に嫌われることも厭わないようにするのです。そのことによって、人から操作されない自分を確立して、自分自身が自分の主人公になるのです。それこそが、『空気』に流されない唯一の道です。

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2016年3月31日木曜日

小保方さんの恩師もついに口を開いた!米高級誌が報じたSTAP騒動の「真実」―【私の論評】小保方さんの倫理問題にすり替えるな!理研と文科省のガバナンスの問題こそ本質(゚д゚)!

小保方さんの恩師もついに口を開いた!米高級誌が報じたSTAP騒動の「真実」

小保方晴子さん

小保方さんは間違っていたのか、それとも正しかったのか—アメリカの権威誌に掲載された記事には、日本で報道されていない新たな証言が書かれていた。世界中が彼女に注目し始めている。

すさまじい駆け引き

「私は、STAP細胞は正しい、確かに存在すると100%信じたまま墓場にいくつもりだ」
こう語るのは、小保方晴子さん(32歳)の恩師、アメリカ・ハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授だ。バカンティ氏は、小保方さんが発表し、後に撤回された「STAP細胞論文」の共著者でもある。

小保方さんが、自らの言葉で綴った手記『あの日』が、海の向こうでも話題になっている。アメリカで有数の権威を持つ週刊誌『NEW YORKER』(ニューヨーカー)の電子版に、一連のSTAP騒動を検証する記事が掲載されたのだ。筆者は、アメリカ人のデイナ・グッドイヤー女史(39歳)。'07年まで『ニューヨーカー』の編集者として勤務し、その後、ノンフィクション作家として独立した人物である。

冒頭のバカンティ氏の言葉は、グッドイヤー女史のインタビューによって騒動以降、初めて明らかになったものだ。

在米の出版社社員が現地の様子について語る。

「バカンティ教授が取材を受けたのも『ニューヨーカー』だからこそです。それくらいこの雑誌で記事が組まれることはステータスでもあるんです。この記事を掲載するに当たって編集部は約半年にもわたり、準備をしたそうです。かなり気合が入った記事であることは間違いない。小保方さんが手記を出したことで、世界が再び彼女に注目しています」
『ニューヨーカー』はアメリカ雑誌界の最高峰に君臨。読者層は知的好奇心が高く、「高級で権威がある雑誌」と認識されている。紙の雑誌の発行部数は100万部以上。

電子版も好調で、こちらも100万人以上の会員数を誇る。一本一本の記事が丁寧に書かれている総合誌で、非常に読み応えがあるのが特徴だ。

小保方さんに関する記事のタイトルは「THE STRESS TEST」。幹細胞研究の世界はまさに陰謀、欺し合いが錯綜している。そこに細胞に対して行う「ストレス・テスト」を引っかけ、ストレスに弱い者は、科学界で生き残れないことをこの記事は示している。

グッドイヤー女史は日本中を巻き込んだ「STAP」騒動をどう分析しているのか。

まず小保方さんの登場について記事ではこう書かれている。

「この仕事(STAP)の背後にいた『革命児』が小保方晴子であった。彼女は男性中心の日本の科学界に女性として一石を投じた。彼女は他の女性に比べて、男たちとの駆け引きの中で生きることに長けていた。そして独創的な考えの持ち主であると賞賛されていた」(『ニューヨーカー』より・以下カッコ内は同)
その小保方さんを引き上げた人物こそ、バカンティ教授だった。

「小保方がバカンティ教授の研究室にやってきた時、バカンティはすぐに『彼女にはopen‐minded(心の広さ、進取の気性に富む)と、明敏さがある』ことに気づいた。ただしバカンティは当面、細胞にストレスを与えると幹細胞を作り出す可能性があるという仮説を伏せておいた。

彼がもっとも避けたかったのは、留学生が自国に戻って、他の誰かの研究室で彼女のアイディアを展開することにあった。バカンティは私にこう言った。『私の主な懸念は、我々はハルコを信用できるのかだ』と」

「彼女には才能がある」

だが、バカンティ氏の懸念は杞憂に終わる。小保方さんは彼の研究室で信頼を高めていった。

「小保方の下でリサーチ・アシスタントとして働いたジェイソン・ロスはこう言った。『彼女がいかに才能があるかは、誰もが分かった。ハルコのような才能のある人はそう多くはいない』。

それに対して小保方はこう返した。『日本では女性研究者は二流です。たとえ年下の大学生でも、男性が必要としたら、女性は顕微鏡を使うのを諦めないといけません』」

やがてバカンティ教授の元での短期留学を終えた小保方さんは、日本に帰国し、'11年に理化学研究所(CDB)の研究員に。そこで「STAP騒動」のキーパーソンである若山照彦教授のチームに所属する。そして本格的にSTAP細胞の研究に取り組んでいく。

「生物学者の山中伸弥がノーベル賞を受賞したとき、CDBの研究者たちの野心は奮い立った。CDBのチームは、自分たちの発見が山中の発見と張り合う、いや山中の研究をobsolete(時代遅れ、廃れた)にしてしまうとまで考えた」
その一方で、当時の小保方さんについては、

「小保方はCDBでの昇進は早かったが、うまく適応できてなかった。アメリカ的になっていたので、元同僚たちによると小保方は、日本の研究所の厳格なヒエラルキーにイライラしているように見えた」
と記している。
'12年、STAP細胞発見への意欲を見せる小保方さんのもとにもう一人の協力者が現れる。それが騒動中に自殺した笹井芳樹・元CDB副センター長だった。笹井氏のもとで、小保方さんは論文を再構築する。

そして'14年、ついに世界的権威を持つ科学雑誌『ネイチャー』にSTAP論文が掲載される。日本のメディアは割烹着姿で顕微鏡をのぞき込む小保方さんを「リケジョの星」、「ノーベル賞級の発見」と煽り持ち上げた。

だが、風向きが急速に変わり始める—。

「ブランドン・ステルという名の神経科学者が'12年に創設した『PubPeer』というオンライン・フォーラムがあり、そこでは誰もが科学論文を分析して議論することができる。STAP論文は彼らにとってまさに、好奇心をそそる材料であった。2週間も経たないうちに、匿名のユーザーが論文に掲載された画像の2つがほとんど同一のものであることに気づいた」

STAP論文の発表は世界に衝撃を与えると同時に、世界中の研究者からの検証にさらされることにもなった。これこそが「ストレス・テスト」なのだ。このテストにバカンティ氏と小保方さんは耐え抜くことができなかった。

「ハーバード大学の科学者でボストン小児病院の幹細胞移植のディレクターであるジョージ・ダレイは私にこう言った。『当時、世界中の私の同僚たちは、お互いにメールをしあって、おーい、何が起きているんだ。うまくできたか? 誰も成功してないのか、と言い合っていた』」

今も信じている

グッドイヤー女史によると、ダレイは「STAPは幻想である」ことを立証するための論文を『ネイチャー』に発表する準備を始めたという。さらにダレイは2回にわたって、バカンティ氏に間違いを諭そうとしたが、無駄に終わったという。

「ダレイは私に『バカンティは自分が正しいと思い込んでいる』と言った。

そして、昨年の9月、『ネイチャー』はダレイのSTAPに関する論文を掲載した。そこには小保方の主張を正当化すべく7つの研究室が再現をしようとしたが、すべて失敗したと書かれていた。
この論文の共著者であるルドルフ・イェーニッシュは、遠慮することなく私にこう言った。『小保方が若山にいろいろ混ざった細胞を渡したことは明らかだ。若山は彼女のことを信じてそれを注入した。そして美しいキメラができた』」
バカンティ氏は一度、小保方さんに「データの捏造はしてないのか」と尋ねたが、小保方さんの答えは、「それならこんなに時間をかけて実験はしない」だったという。

さらに記事の中には、バカンティ氏は論文撤回後もSTAP細胞作製に向け、いまも研究を続けていると書かれている。

断っておくが、『ニューヨーカー』に掲載されたこの記事は、誰が正しいと断定はしていない。あくまでそれぞれの当事者に取材し、主張を丁寧に拾ったものである。騒動以降、口を閉ざしたままだったバカンティ氏が、今も小保方さんを信じ続けていることは、この記事を読めば十分に伝わってくる。

筆者のグッドイヤー女史は今回、記事を書くにあたって小保方さんとメールでコンタクトを取ったことを明かしている。

「小保方は『私はスケープゴートにされた』と書いてきた。『日本のメディアはすべて、若山先生が犠牲者で、私がまったくのろくでなしと断定した』とも」
小保方さんは今、どんな思いで、何を考え、日々を過ごしているのだろうか。

「週刊現代」2016年3月26日・4月2日合併号より


【私の論評】小保方さんの倫理問題にすり替えるな!理研と文科省のガバナンスの問題こそ本質(゚д゚)!

小保方さんに関しては、本日は以下のようなニュースも掲載されていました。
小保方氏がHP開設、STAP作製“手順”公開…「他の研究者がSTAP細胞の実現を希望」
 STAP細胞論文の著者だった理化学研究所の元研究員、小保方晴子氏(32)が、STAP細胞の作製手順や理研による検証実験の内容を公開するホームページを開設したことが31日、分かった。 
 全文が英語。トップページには3月25日付で小保方氏の名前とともに「他の研究者がSTAP細胞を実現してくれることを希望し、作製手順を公開する」との説明がある。 
 また、「STAP細胞の研究が科学の最前線に戻ることを願う」として、今後も内容の更新を続けると表明。理研が平成26年に実施した検証実験に対しては「厳しい監視の下で行われ、同じ作業を毎日繰り返すことしかできなかった」と批判している。 
 小保方氏は1月には自らの主張をまとめた手記を出版している。
小保方さんのサイトのリンクを以下に掲載しておきます。
STAP HOPE PAGE
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に、小保方さんが公表したHPのトップページを以下に掲載します。


このサイトが公開され、万が一にも小保方さんとほぼ同じブロトコル(方法)で、STAP現象が確認されたり、あるいは少し改変した形で、STAP細胞ができたとしたら、一体どうなるのでしょうか。

仮定の話をしても仕方ありませんが、それにしても、あのSTAP騒動は今に至るまでも、本当に後味の悪いものでした。

そのことについては、このブログでも何度か掲載したことがあります。その代表的な記事のリンクを以下に掲載します。
米国でも「STAP細胞はあります!」 共著者バカンティ氏、研究続ける 「正しいと確信したまま墓場に」―【私の論評】この事件誰が正しいか間違いかではなく、何が正しいか間違いかを検討しなれば、また同じ轍を踏むことになる(゚д゚)!
小保方さん(前列左)とチャールズ・バカンティ氏(前列右)
小島氏(後列左)、大和氏(後列右)
 詳細は、この記事をごらんいただくものとして、以下にこの記事結論部分のみ以下に掲載します。
理研のこの事件に関する、調査は本当にしっくりきません。何やら、責任はすべて小保方さんの倫理観にあるかのような調査結果の内容です。

要するに、理研も「誰が正しいか、誰が間違いか」という観点で調査を行うという過ちを犯しているのだと思います。

このような調査ですませていては、今回自殺者まで出してしまった、事件に関して、一時しのぎはできるかもしれませんが、小保方さんがES細胞を混入させたさせないという観点ではなく、どうしてES細胞が混入するような事態が生じてしまったかという観点で調査すべきです。

小保方さんや、若山さん、あるいは他の人が混入させたにしても、そもそも、なぜ混入などという不祥事が生じてしまったのか、その背景と、それを阻止するための方策にまで言及すべきです。

人間は不完全ですから、誰でも間違いや失敗をすることはあります。しかし、その後でそれを単に個人の倫理観に委ねていては、何も解決しません。単に「あいつが悪い」で終わってしまいます。

そうして、それを起こしてしまった、システムや背景など何も改善されません。マスコミはまるで、倫理判定装置のような見方で報道するのではなく、こうした観点から、報道すべきですし、理研の幹部や、文部省は、このような観点から調査をするのはもとより、その結果から、理研のシステムを変更するとか、危機管理システムを創設するか、内容を変更するなどの具体的な行動をして、このような事件を再発しないように、あるいは似たような事態が生じた場合には、早めにリスク管理行動を起こして、傷口が今回のように大きく広がることを阻止すべきです。
 ブログ冒頭の記事の最後のほうに、「小保方は『私はスケープゴートにされた』と書いてきた。『日本のメディアはすべて、若山先生が犠牲者で、私がまったくのろくでなしと断定した』とも」と掲載されています。

仮に、小保方さんが「まったくのろくでなし」であったとしたら、そこでさらに疑問がわきます。では、なぜ「まったくのろくでなし」をSTAP細胞研究のユニットリーダーに抜擢したのかが疑問です。

理研は小保方さんが、「まったくのろくでなし」あることを見抜く能力がないのか、ないとしたら何に問題があるのか、それを解決する方法や、それを防ぐための「危機管理マニュアル」など存在しないのでしょうか。

理研は、存在しないというのなら、これから作るつもりなのか、それで本当にリスク回避ができるのかを開示すべきです。

また、理研も組織であるので、監査や内部統制はどうなっているのか、今回の出来事で監査が有効に実施されていなかったのは、はっきりしています。どのような監査が行われていたのか、不十分だったのか、不十分であれば、どのように改善するのかをはっきりさせるべきです。

日本版SOX法における内部統制フレームワーク

さらに、内部統制は組織的に実施されていたかの問題もあります。内部統制(ないぶとうせい 英:internal control)とは組織の業務の適正を確保するための体制を構築していくシステムを指します。組織がその目的を有効・効率的かつ適正に達成するために、その組織の内部において適用されるルールや業務プロセスを整備し運用すること、ないしその結果確立されたシステムをいいます。

これは、ガバナンスの要とも言えるもので、近年民間企業においてはその構築と運用が重要視されています。内部監査と密接な関わりがあるので、内部監督と訳されることもありますが、内部統制が一般的な呼び名となっています。

民間企業でわかりやすい事例としては、たとえば、財務部門と経理部門を一つの組織として、1人上長が管理するようなことはすべきではないというものがあります。

財務と経理の仕事は、中小企業などでは特に区分していない企業も多いですが、上場企業においては明確に区分されています。

経理部門が「日々の経費の精算や帳簿の記帳などをする」「事業活動を数字に表していく処理をする」仕事がメインですが、財務部は「経理部門が作成した財務情報を基礎として企業の今後の経営戦略を財務の視点から考える」部署となります。経理部より財務部の方がより専門性が高い業務といえるでしょう。

また、財務部門は、回収と支払いのサイト管理や資金繰りの管理を通して、企業運営を円滑に進められるように、資金が足りないときは外部から調達してくる役割を担っています。

このような区分を考えると、経理部門と財務部門の管理者が同一であるというのは内部統制上良くないことははっきりわかります。内部統制として望ましいのは、これらの部署が互いに他の部門を牽制するような仕組みをつくることこそ、正しい方向性です。

理研も、民間営利企業ではないものの、理研としてこのような内部統制や、監査の仕組みさらに、危機管理体制がマニュアル化などしてあれば、そもそも、今回のような騒動は起こらなかったかもしれませんし、起こったにしも、あのような無様な形で、主に小保方さんの倫理的な問題にして、ようやく決着をつけるということにはならなかったと思います。

理研の実験室など、あのうろたえぶりからすると、このような観点からすれば、たとえば、レイアウトや、入室、退室のさいの手続きとか、実験の各段階における手続きとか、明確になっていたとはとても思えません。

こういうと、私は小保方さんを援護しているように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。そもそも、部外者である私は、小保方さんの倫理面や人格等を忖度するような立場にもありません。どんな人なのかもわかりません。だから、小保方さんを援護したり、非難したりする気も全くありません。

そんなことよりも、たとえ小保方さんが「まったくのろくでなし」であろうが、なかろうが、あるいは悪人であろうが、なかろうが、私はそんなことよりも、たとえ狡猾でかなり頭の良い極悪人が運悪く研究所内に潜り込んだとしても、何か普段では考えられないような危機が発生したとしても、余程のことがない限り、間違いが起こらないようなシステムを構築すべきということを言いたいのです。そうして、仮に間違いが起こっても、早期に収拾できるリスク管理体制を構築すべきであることを言っているのです。

倫理観に基づく、良き意図は大事です。しかし、良き意図だけでは何もできません。何も守れません。何も変えられません。そもそも、理研など国の最先端の研究機関であれば、このあたり、二重三重に備えをしておかなければ、妨害されたり、邪魔をされたり、成果を盗まれたり、あらぬ方向に操作されたりするので、そのようなことが絶対にないように、その備えを固めよと言いたいのです。

そうして、そのような備えを固めることによって、まともなガバナンス(統治)を実行するための基礎ともなると言いたいのです。このようなことを疎かにするような、理研や文科省であれば、統治の正当性が疑われるということを言いたいのです。

もし、理研や文部省がまともなガバナンスができないというのであれば、ガバナンスがまともにできる民間研究所に委託するか、全く新たな組織を作ったほうが良いということを言いたいのです。

ブログ冒頭の記事では、NEW YORKERに小保方さんに関する記事が掲載されたとしていますが、理研や文科省のガバナンスに関する観点については掲載されていませんでした。関係者へのインタビューなどは掲載されているようですが、これではあまり意味がないと思います。ただし、NEW YORKERのもとの記事には触れられているのかもしれません。機会があったら、当該記事を読んで見たいものです。

いずれにしても、理研に限らず、最先端の研究をしている民間の研究所や、大学の研究室など、今回のような出来事は明日は我が身ということにもなりかねません。まずはできることからで良いので、リスク管理、内部統制、監査、ガバナンスに関してもう一度見直し、脆弱なところがあれば、補強しておくべきものと思います。

それから、マスコミにも注文をつけたいです。STAP騒動におけるマスコミの報道ぶりは最悪でした。まるで、マスコミは倫理審判団のように、小保方さんを糾弾し、STAP現象を完璧にまがい物扱いしました。STAP現象は、いまのところは作業仮説ですが、まがい物ではありません。

あのような報道では、全く無意味です。倫理問題など従の扱いで、もっと本質的なガバナンスや危機管理の点からの報道をもっとすべきでした。

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「小保方さんがかけたきた涙の電話  若山照彦」というタイトルの記事が掲載されています。

2016年3月24日木曜日

「五体不満足」の乙武洋匡氏が不倫を謝罪 「慕ってくださる方々を裏切る行為」と公式サイトに 妻も「私にも責任の一端」とコメント―【私の論評】乙武氏のリスク管理はSTAP細胞騒動で揺れた理研と同レベルか?

「五体不満足」の乙武洋匡氏が不倫を謝罪 「慕ってくださる方々を裏切る行為」と公式サイトに 妻も「私にも責任の一端」とコメント

乙武氏
ベストセラー「五体不満足」で知られ、自民党が夏の参院選での擁立を検討している作家でスポーツライターの乙武洋匡(ひろただ)氏(39)に不倫騒動が浮上した。「週刊新潮」が最新号で「『乙武クン』5人との不倫」などと題して報道。乙武氏は24日、この記事を受けて「慕ってくださっている方々を裏切る行為であり、決して許されるものではありません」などと公式サイトとツイッターで謝罪した。

乙武氏は2001年に結婚し、2男1女の父。週刊新潮は、20代後半の女性と年末年始にパリなどに海外旅行に出かけたことや、国内でも密会したことなどを伝えている。乙武氏は同誌の取材に不倫を認め、記事によると、この20代後半女性以外にも親密交際した女性が2人おり、「一晩限り」の女性たちもいたことを明かしている。

乙武氏は作家活動に加え、教員や教育委員を歴任。ごみ拾いボランティアも主催している。

【私の論評】乙武氏のリスク管理はSTAP細胞騒動で揺れた理研と同レベルか?

乙武氏といえば、夏の参院選に出馬するという噂がありました。朝日新聞には、以下のような記事が掲載されていたので、今回の不倫騒動がなければ、出馬の予定であったのは間違いないようです。

"

自民、乙武洋匡氏擁立で最終調整 参院選「目玉候補」に

自民党は夏の参院選に、「五体不満足」などの著書で知られる作家の乙武洋匡(おとたけひろただ)氏(39)を擁立する方向で最終調整に入った。東京選挙区か比例区での立候補を検討。4月上旬にも正式発表する。

乙武氏は、障害とともに生きてきた経験をもとに執筆や講演活動を続けており、安倍政権の掲げる「1億総活躍社会」に合うとして、同党の「目玉候補」に浮上した。早稲田大学在学中に出版した「五体不満足」はベストセラーに。2007年から3年間、小学校教員を務めたほか、東京都教育委員なども務めていた。
"
乙武氏は、不倫騒動後にテレビなどでインタビューを受けたときに「参院に出馬されるそうですが」と聴かれて、はっきりとは否定していませんでした。

今回の不倫騒動がなければ、「出馬します」とか「その予定です」と答えたのだと思います。

そんなところに降って沸いたように、不倫騒動が持ち上がってしまったため、大方の予想ではおそらく、参院出馬はこれでなくなったと見ているようです。

しかし、乙武氏の発言からは、今のところ出馬は完璧に断念したという発言はありません。おそらく、自民党のほうとしても、はっきりと断念するというのではなく、様子見というところなのだと思います。

そうして、私自身は、乙武氏は出馬を断念はしていないと思います。

さてブログ冒頭の記事には、本当はまだ続きがあって、「以下は乙武氏のコメント全文」と続き、乙武氏と、奥さんの謝罪文が掲載されています。

この記事でも、それを引用したいと思います。内容は、同じなのですが、ここでは敢えて、「謝罪文公式サイト」からそのまま引用します。画像をキャプチャーしたものを以下に掲載します。


これは、報道機関などにFAXで送信されたものと同じものです。これは、ある放送局には朝四時に送られてきたそうです。

私は、この乙武氏の反応は事の是非は別にして、リスク管理の観点からいって非常に優れたものだと思います。

この観点からいうと、乙武氏もしくは乙武氏に協力しているとみられる、リスク管理の軍師は、かなり良い管理を行っていると思います。

以下、乙武氏の倫理問題は全く別にして、リスク管理の観点のみから、今一度この出来事をみなおしてみましょう。

まずは、乙武氏が週刊新潮で不倫に関するインタビューを受けたときに、「5人の女性」と不倫したとはっきり述べています。これは、おそらく、マスコミなどか調べた場合、おそらくこの5人に関しては、調べることが可能であろうということで、隠し立てせずに最初に5人と語ったうえで謝罪したものと思います。

これを1人、2人などと言ってしまえば、週刊誌やさらに他のマスコミが調べて、別の不倫が発覚などということになるよりも、はるかに傷口は少なくてすみます。

乙武氏に近い人の間では、乙武氏は奔放な人柄であることは周知の事実だったようです。そのため本当は、さらに多くの不倫相手がいたかもしれません。しかし、それは別にして、とにかく5人まではマスコミ等が丹念に調べれば、調査可能と判断して、5人という具体的な数をあげたものと思います。

その後に、朝の四時前後という非常に早い段階で、謝罪文を発信しています。これだと、テレビやラジオだと、当日中にこの事実を報道してもらえる可能性が非常に高いと判断したのだと思います。

新聞でも、紙ベースの新聞には間に合わないかもしれませんが、ウェブ版なら確実に間に合いますし、紙ベースでも夕刊になら確実に間に合います。

そうして、謝罪文に関しても、内容は簡潔で、要領を得たものであり、それも乙武氏のものだけではなく、奥さんの仁美さんのものまで出しています。

そうして、その内容も謝罪文としては、非の打ち所のないものであり、特にすでに夫婦間で不倫に関しては、コンセンサスがとれており、その上でこれからも、夫婦としてともに歩んでいくことが掲載されています。

そうして、この謝罪文は、「謝罪文公式サイト」にも同じものが、かなり早い時期に掲載されています。このサイトへのリンク先を以下に掲載しておきます。
http://ototake.com/
そうして、この掲載されているサイトがすごいのです。すごいとは、一体どういうことかというと、これに関しては「ふくゆきブログ」という個人ブログの内容をご覧いただくとわかると思います。そこから、以下にその内容をそのままコピペさせていただきます。
今回、不倫で有名になった乙武さんの謝罪文はAWSのS3で構築してる。技術的にもプロの犯行だ。S3とは、ざっくり言うとAmazonさんが運営してるほぼ絶対落ちない静的サーバのことです。http://ototake.com をDNSで全部S3に降ってる。要するに謝罪文しか表示しないけど絶対落ちないサーバをAmazonさんから短期的に借りる。今後、芸能人の謝罪文はAWSのS3というソリューションが増える。GMOさんは芸能人に強いのに営業しないのかな。CAと組んで謝罪文サーバとか売ればいいのに。これは、芸能人のサイトを運用している人には重要な事例だ。教科書にのるかもしれない。むしろ、今後の謝罪ページのセオリーになるかもしれない。昔に比べて、DNSの浸透は爆速になったので、こういうのが可能なんだろな。
今まで、ototake.comを無視して、短期的にS3にDNSを降ることで、以下のメリットが有る。
・いくらアクセスが来ても落ちない。さすがAmazon。・別のサーバなので昔のototake.comの記事が速攻で見られなくなる。(googleキャッシュ、webarchiveとかweb魚拓以外)・謝罪モードが終わった時の復旧が楽。正直、メディア対策として、メリットは大きい。今後、参考にすべきだ。
乙武氏もしくは、そのリスク管理の軍師がAmzonが運営しているこのようなサイトに謝罪文を掲載することを意思決定したということです。

twitterなどのSNSで謝罪などすれば、炎上の恐れもあります。実際、乙武氏のツイッターのタイムラインをみてみましたが、炎上ぎみです。そうして、乙武氏は沈黙しています。ブロックなどはしてはいなようで、タイムラインに批判が結構並んだ状態になっています。

これもリスク管理的にみると、正しい措置です。ここで、乙武さんがいちいち批判に対して、応えていれば、ますます傷口を広げるだけになると思います。また、下手にブロックなどすれば、ブロックされたということが、ツイッターなどのSNSに掲載され、傷口を広げることになります。

しかし、このままだと、乙武は何も応えないということで、傷口を広げることになるところですが、そこは「謝罪専用サイト」設置して、そこに謝罪文を掲載するということで、そこには、一般の人がコメントできない形式で謝罪文だけが掲載してあるということで、これも傷口が広がらないような措置がなされています。

この一連の流れをみると、おそらく乙武さんには、やはりリスク管理のプロがついているのだと思います。

それにしても、そもそも、不倫をしなければ、このようなリスク管理も必要なかったのであり、脇が甘いと言われてしまえばそれまでではあります。しかし、人間は誰しも失敗することはあるので、乙武さんの今回の不倫騒動を単なる不倫の問題の側面だけみていては、何も得ることはありませんが、これをリスク管理の観点からみると、非常に良い事例になると思います。

さて、今のところその観点からいえば、初期対応では管理がうまくいって、同じ不倫騒動でもあの議員退職した、宮崎議員の対応などと比較すれば、プロ級の対応で終わって傷口をあまり広げない措置がなされています。これは、あのSTAP細胞騒動で揺れた、理研のリスク管理よりも数段上です。

2014年4月の会見時の小保方さん
そうして、このような対応をしていることから、乙武さんはまだ、参議院議員に出馬することを諦めていないのだと思います。さらに、参議院議員になれなくても、今回のことで傷ついたイメージできるだけ回復したいと考えているはずです。

そうして、乙武さんの背後にリスク管理のブロがついているとすれば、そのブロは自民党からの公認を得るために、次の手を打つことと思います。

それがどのような手なのか、リスク管理の観点から興味がつきないところです。もし、乙武さんが参院に出馬できたり、あるいは参議院議員になれたとしてら、このプロはただものではないということになると思います。

それから今回は、掲載しませんでしたが、乙武氏は自身のパーソナルブランドを長期間にわたり積み上げ着実につくりあげてきたのですが、それが今回のことでかなり毀損されてしまいました。これをどのように修復していくのかも興味のつきないところです。


私たちは、どのような人からも学ぶことはできます。多くの人が倫理問題のみで思考停止しているようですが、リスク管理や、パーソナルブランドに関して、乙武氏から学べることは多くあります。

この、ブログでも、倫理問題に関しては触れたとしても何の益にもならないので、これからも触れることはありませんが、今後こうした観点から、乙武さんの行動や言動に何か変化が見られた場合、また掲載させていただきます。

【追記】

本日3月25日(金)に追記を加えることにしました。タイトルも少し変えました。

最初のタイトルは『【私の論評】乙武氏のリスク管理はSTAP細胞騒動で揺れた理研より数段上(゚д゚)!』というものでしたが、本日になって『【私の論評】乙武氏のリスク管理はSTAP細胞騒動で揺れた理研と同レベルか?』にタイトルを変えました。

なぜそのようにしたかといえば、リスク管理の観点からみると、本日に至るまで、記者会見をして謝罪をしないからです。やはり、今回のような件については、自ら記者会見を開催し、謝罪をすべきだったでしょう。

さらに、今回の場合奥さんも謝罪していることから、奥さんも会見場に来て、質問等に応えるべきであったと思います。

しかし、今に至るまで、謝罪会見はないし、その予定も公表されていないことから、リスク管理の観点からすると、これは及第点はあげられるような内容ではありません。

考えるに、乙武さん自身は、選挙がどうのこうのというより、やはり家庭、特にお子さんを省みて、これ以上子供のために晒し者にはなりたくないという思いがあったのかもしれません。

だから、リスク管理をうまくやること、パーソナルブランドの毀損を補うことをやめて、子供のことを第一に考えたのだと思います。

乙武氏がそのように決断したというのであれば、それはそれで良いと思います。何しろ、乙武家は家族であって、企業でもないし、役所でもないのですから・・・・・。

本日は、以下のような記事が産経新聞に掲載されていました。
5人不倫の乙武氏、参院選出馬断念か 夫婦での謝罪コメントに政治への強い未練が…
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、乙武氏の不倫は、あまりにも代償の大きいものだったようです。

乙武氏は、まだ政治家になることを諦めていないというのなら、謝罪会見を実施したでしょうが、それはしませんでした。

これは、これ以上家族、特に子どもを守ろうという意図の現れではないかと思います。少なくとも、私はそう信じたいです。
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手記出版「あの日」…小保方さんは何を語っているのか―【私の論評】小保方さんの手記ではみえないSTAP細胞問題の背後にある危機(゚д゚)!






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2016年1月28日木曜日

手記出版「あの日」…小保方さんは何を語っているのか―【私の論評】小保方さんの手記ではみえないSTAP細胞問題の背後にある危機(゚д゚)!


2014年4月の会見時の小保方さん 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
突然の出版

講談社の社員も知らない極秘プロジェクトだったようだ。

2016年1月27日、STAP細胞事件の当事者である小保方晴子さんが手記を出版することが明らかになった。その名は「あの日」。

STAP細胞論文の記者会見から1月28日でちょうど2年。2014年4月の会見以来、公の場に姿を現すことなく、弁護士を通じたコメントなどでしか動向がわからなかった小保方さんが、その思いの丈を手記という形で世間に問う…

いったい何が書かれているのか。1月28日午前0時、電子書籍版を速攻でダウンロードし、読んでみた。

出版の意義

内容に触れる前に、手記が出版されること自体の意義について考えてみたい。

小保方さんはSTAP細胞事件で激しい批判にさらされた。いわば「炎上」した。もちろん、ご本人の行った研究者としての逸脱行為は問題だし、ペナルティを課されねばならない。しかし、これまで触れてきたように、研究不正は世界各地で起きており、小保方さんより悪質な例はいくらでもある。あそこまで叩かれる必要はない。

過剰なバッシングで失われた名誉を回復するために、本人が口を開くことは許されることだと思う。

また、研究不正の事例として、当事者の考えを知ることは重要だ。今後の教訓にもなる。ただし、正直に語ってくれることが必要条件となる。

始まりはハーバード

では早速手記の中身をみていこう。表現はやや拙い感じがしており、本人が書いた手記っぽい印象だ。たぶんゴーストライターは使っていないだろう。

手記は小保方さんの幼少時代から始まる。次第に科学に魅力を感じ、研究者を志す様子が描かれる。

そこまではどこにでもいる研究者だ。そんな小保方氏が、どうしてSTAP細胞論文を、世界有数の科学論文誌Natureに出すに至ったのか。きっかけはハーバード大学への留学だ。

留学中に与えられたテーマである、スポアライクステムセル(胞子様幹細胞)の性質を調べるうちに、キメラマウスの作成が必要となり、理化学研究所発生・再生医学総合研究センター(CDB)の若山照彦博士のもとで研究することになった。

小保方氏は、理研CDBで若山博士と共同研究するうちに、研究規模は次第に大きくなり、若山博士やその研究室のメンバーが加わり、総がかりで行われるようになった。一流論文誌に不採択となったことや、若山博士が山梨大学に移動になったことをきっかけに、笹井芳樹博士が論文執筆にかかわるようになり、丹羽仁史博士もアドバイザーとして関与するようになる。また、小保方氏も理研のユニットリーダーに採用される。そしてSTAP細胞論文発表につながる。

このあたりは報道もされたので、ご存じの方も多いだろう。

しかし、なぜ、STAP論文は撤回されることになったのか。

若山主犯説

小保方氏は、論文に問題があったことは認めているが、単なる勘違いだったと述べる。また、たしかに問題だったが、データはあるし、実験に問題はなかったとも言っている。

一方で、小保方氏は、ハーバード大学での研究以来、体細胞が多能性幹細胞になったマーカーであるOct4という遺伝子の発現という現象に注目しており(のちにSTAP現象と呼ばれる)、それを研究したかったが、あとから研究に加わった若山氏が、STAP幹細胞(増殖能を持つ)の作成にこだわったという。そして、STAP幹細胞を証明するキメラマウスの作成や胚の操作は若山博士や研究室の人たちが行い、自分が関与できなかったという。細胞の管理も小保方氏は行えなかったという。

だから、STAP細胞なるものがES細胞の混入であった点は、自分ではなく若山氏が関与したと述べる。また、研究者の多くがSTAP細胞の存在を疑うにいたった「TCR再構成」も、若山氏の細胞の管理の問題だと述べる。

若山氏が、研究データよりストーリーを重視し、仮説にあわないデータを意図的に除外するなど、逸脱行為をしている点を述べる。

しかし、STAP細胞の論文で挙げられた疑義は多岐にわたり、この本ではそのすべてに答えていない。

STAP細胞はあるのか

小保方氏は、狭い意味でのSTAP現象、つまり体細胞に刺激を与えてOct4の発現を蛍光発光で確認することはできたと述べ、それが200回STAP細胞を作ったという記者会見での発言につながったという。だから、いまでもSTAP細胞はあると考えている。多くの人たちが考えるSTAP細胞存在の定義より狭く考えているのだ。

検証実験に失敗したのも、検証実験にキメラマウスの作成が求められ、若山氏が関与した部分に手を出せなかったからという。

しかし、蛍光発光という現象を小保方氏が見たのは事実だろうが、検証実験や2015年のNature誌の論文で、Oct4の発現含めたSTAP現象が否定されているので、説得力はないように思う。

報道被害、バッシング被害

このように、言い訳に終始した感のある本書だが、冒頭に述べたように意義はある。それは報道、バッシングによる被害の様子がどんなものかを当事者の口から聞けるということだ。

生活に支障の出るほどの過剰な取材や、一方的なバッシングの渦中にある当事者が、どんなに大変なめにあうのか…確かに小保方氏は問題行為をしたが、ここまでひどい扱いを受けることはない。メディアに出演し、小保方氏を批判した私は、決して本人を貶めるようなつもりはなかったものの、バッシングに加担したことになるわけで、その点は申し訳なく思った。

この本から得られる教訓

この本から得られるものは、初動の重要さだ。

結局、理化学研究所が早々に論文の問題点を認め、証拠保全をし、研究不正の調査をしていたら、ここまで騒ぎにはならなかっただろう。笹井博士もなくなることはなかったかもしれない。本書の出版を含め、関係者がメディア上で意見を言い合うというのは、もはや科学ではない。

小保方氏が本書で自分に都合のよい主張を述べている点も含め、この本の出版は、科学コミュニティが研究不正に向き合わなかったことの報いなのだ。

【私の論評】小保方さんの手記ではみえないSTAP細胞問題の背後にある危機(゚д゚)!

今日は、甘利大臣の辞任という大きな出来事もありましたが、この件についてまだ私自身以前このブログに掲載した以上の情報は持ちあせていないことと、まだ考えが良くまとまっていないことなどから、本日はこの大きなニュースの影に隠れて、見逃されがちである、この小保方さんの記事をとりあげさせていただくことにしました。

小保方さんに対するマスコミの扱いなど、確かに榎木氏が語るように、不当なものだったと思います。

それに、この事件で主に責任をとったのが小保方さんのみであったということも今でも納得のいかないところがあります。STAP細胞に関しては、大きなプロジェクトで動いていたにもかかわらず小保方さんだけが責任をとり、後はほとんどお咎めなしというのが、なんというかあまりに典型的なトカゲの尻尾切りのようで、興ざめしてしまいます。

まともに考えれば、小保方さんがSTAP細胞を自分自身で作成できたと勘違いしていたとしても、小保方さんだけの責任とされるのは、筋が通りません。

何もかも小保方さん一人の責任なのか?
研究所で、誰かが何かを発見したとして、まずはその発見の真偽の本人以外の人間が確かめるというのが、筋であり、たとえそれが滅多にできないものであったにしても、確かめて間違いないと判断できたものは発表すれば良いし、そうでなければ、発表しなければ良いだけの話だと思います。

また、発表したにしても、それが間違いかもしれないとわかった後の理研の対応も悪すぎです。それにマスコミも問題だったと思います。理研は事態が拡大する前に、速やかにリスク管理をすべきだったと思います。理研の対応は、臭いものに蓋をするようなものに終始していたと思います。マスコミもこの出来事の背景について、科学的な観点のみならず、他の観点においても、全く視野の狭い報道しかしていませんでした。

それに、STAP細胞に関しては、小保方さんのやり方ではないものの、米国の学者が別の方法で、存在を確かめたという事実もあり、それは以前このブログにも掲載しました。

その記事の、リンクを以下に掲載します。
小保方さんの発見は真実!ネイチャーにマウスの体細胞が初期化して多能性を持つ「STAP現象」がアメリカの研究者により発表される―【私の論評】日本のマスコミや識者もSTAP細胞騒動を二度と繰り返すな(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、少なくともSTAP現象はこの世に存在することは、アメリカの学者らの研究で、証明されたといえそうです。この研究が、推進され、STAP細胞が作り出されることもあり得ると思います。

この記事では科学誌『ネイチャー』の運営するオンライン電子ジャーナル「Scientific Reports11月27日付テキサス大学医学部ヒューストン校やピッツバーグ大学医学部の研究者たちが発表した'Characterization of an Injury Induced Population of Muscle-Derived Stem Cell-Like Cells損傷誘導性の筋肉由来幹細胞様細胞群という論文に関して掲載しました

しかし、この論文で小保方さんが発見したというSTAP細胞の存在が証明されたわけではありません。しかしその一方で、研究者らは「マウスから採取した筋肉の細胞に刺激を与えた(損傷させた)ところ、(ES細胞やiPS細胞のようにさまざまな細胞になることができる)幹細胞に"似た"細胞ができた」ということを発表、これを「iMuSCs細胞」と名づけているのです。

確かに、手法や結果は小保方さんのSTAP細胞とはまったく異なりますが、複雑な工程を経ることなく幹細胞(万能細胞)に近い性質を持つ細胞を生み出したという点に着目すれば、今回の研究の方向性が、少なくとも小保方さんのSTAP細胞と同じ目標を見据えたものであるという点だけは間違いないでしょう。

そうして、ES細胞やiPS細胞ではない幹細胞(万能細胞)に近い存在『iMuSCs細胞』が見つかったことは確かです。そうして、STAP細胞のような簡単な手法で万能細胞ができる可能性について、世界の科学界ではあって当然のものとして誰もが認めています。まさに基本中の基本であり、それを誰が最初に見つけるかあるいは、その利権を我が物にしようと激烈に争っているのです。

理研は、小保方さんが生成したSTAP細胞について、研究室の冷蔵庫にあったES細胞の混入が原因だったと結論づけています。しかし、実際にSTAP現象が起こることが、他の方法で確かめられた以上、小保方さんが提示した実験手順で、新しい万能細胞が生まれていたかもしれない可能性はまだ捨てきれません。

現在、日本ではSTAP細胞=ウソ、いかがわしいものの代名詞のような扱いを受けています。しかし、複雑な手順を経ることなく万能細胞を生み出そうとするSTAP細胞と同様のコンセプトを掲げ、世界中の科学者たちが日夜熾烈な競争を繰り広げており、小保方さんもその渦中にあったことだけは間違いないです。

今や世界の先進国で日本だけが、STAP細胞まがい物という、世論が形成されている稀有な国と言っても過言ではないと思います。


日夜熾烈な競争というと、化学や物理学等の他の分野もそうなのですが、それにしても、これらの学問の歴史は古いので現状ではある程度落ち着いたという感がありますが、生物学の分野は裾野も広く、ここ数十年で長足の発展をとげ、それこそ最先端の分野では、激烈な競争が繰り広げられています。

その激烈な競争の一端を知ることができるあのiPS細胞の生みの親である、山中教授の発言もあります。

京都大学の山中伸弥教授が応じた『週刊朝日』のインタビューでは、この構造が「仁義なき戦い」と形容され、山中氏自らこう語っています。

「簡単に言いますと、ヒトのiPS細胞は自分たちのほうが先に作っていたんや、とアメリカのベンチャー企業が主張しました。同社の特許の請求内容を見たら、京大が先に出願していた請求内容とほとんど違わない。もう完全に戦争するつもりできているわけですね」(『週刊朝日』、2014年11月7日号)

山中教授がiPS細胞を発表したほぼ同時期に、アメリカのベンチャー企業が、同じ内容の論文を発表しています。これはつまり、アメリカが京都大学のデータを盗んでいたということを意味します。この時に京都大学がとった措置は、アメリカで裁判を起こすと不利になるため、アメリカでの特許権を放棄する代わりに、アジア・ヨーロッパで認めてもらうように図らうことでした。

山中伸弥教授 iPS細胞の世界で熾烈な理研争いが・・・・
これと同じように、STAP細胞に関しては、最先端の熾烈な研究活動だけではなく、利権を巡る熾烈な戦いもすでに始まっていたということです。

おそらく、世界的な医療分野の巨大企業は、かなりの投資をして、この分野の利権を得ようと血眼になっています。

理研も当然そのことは、承知しており、その渦中に小保方さんのSTAP細胞の研究があったということです。

そうして、アメリカの巨大企業は、何が何でも、ありとあらゆる手段で、STAP細胞の利権の先陣争いに勝とうと画策しているのは間違いありません。

こうした画策に関しては、研究者は無防備です。小保方さんも、無防備だったと思います。無論研究者はそれで良いと思います。研究者は、研究することが本分であって、リスク管理などに気をまわしていれば、研究がおろそかになります。

それに、リスク管理の対象になる人々が、リスク管理をするというのでは、監査役が会社の事業をしているようなもので、そもそも管理などできません。

しかし、理研を管理する人や、国がそうであってはいけないはずです。

このことに関連する動画を以下に掲載します。



この動画の会話を以下に掲載します。
クライン孝子:理研も小保方さんも犠牲になったように感じた。調べてみたら理研の平成24年度の内訳には予算が844億円、正社員が3000人くらいいる、外部から出入りするのが3000人くらい。外人のところを見てぎょっとした。636人中、中国が141人、韓国が88人、東南アジアは131人、欧州は192人、北米が60名。3分の1が中国韓国。 
水島:外国との交流は科学はありますけれど、中国や韓国とはやる必要はないと思います。 
クライン孝子:やるんならば日本も諜報機関を作らなければ、やられ損じゃない。 
水島:この問題の本質はスタップ細胞が本当かどうかこれにかかっているだけです。これがあるとしたら大変なことです。人類史上の大変革ですから、何百兆、製薬会社から。 
クライン孝子:だから全部狙っているんでしょう。いろんなところで開発しようとしている。日本はかなりいい線いっているところを、日本の開発を止めさせようとしているのは見え見えだね。 
水島:仰る通りで、論文の撤回などとんでもない話で、まずやることは全力を挙げてスタップ細胞が本当かどうか、存在があるのかどうかをまずはやってから小保方女史のミスとかをやればいい。日本のマスコミはその手先になって、自分たちは正義のつもりでやっている。 
水島:今回のスタップ細胞もハーバードのバカンティーという人が加わったり、リニアモーターカーを安倍さんが、開発に1兆円くらいかけているものをアメリカの鉄道に売るというけれども、結局無償で技術を提供してしまう、アメリカは死に物狂いで生き残りをやっています。日本は所詮属国なんです。 
クライン孝子:属国にしてしまった日本人が悪い。理研も外国人の研究員や教授を呼んで、中国と韓国人で3分の1を占めて、本当に丸裸にされてきた。それに気がついていない。今になってこういう問題が出てくるのは当たり前だし、上の方は責任逃れだし。どうにもならない。
上の動画で、水島氏がSTAP細胞の本当かどうかだけが、この問題の本質のような話をしていますが、それは間違いだと思います。それよりも、理研にこれだけの数の外国人が存在するということのほうが余程重要問題であり、これは理研のリスク管理体制が脆弱であることを示していると思います。

理化学研究所は1917年(大正6年)に財団法人として創設されました。戦後、株式会社科学研究所、特殊法人時代を経て、2003年(平成15年)10月に文部科学省所轄の独立行政法人理化学研究所として再発足し、2015年(平成27年)4月には国立研究開発法人理化学研究所になりました。

理化学研究所は従来も準国立の機関のようなものでしたが、今では完璧に国の機関です。大学や、民間の研究機関などとは異なります。

学問の自由な発展のためには、外国人の研究者も招き入れるなどのことも必要だと思います。しかし、理研は、国の機関ということから、そうではあってはいけないと思います。

無論外国人を一人も入れるなというような極論を言うつもりはありません。しかし、中韓はよほどのことがない限り、入れるべきではありません。研究内容が盗まれるだけです。他の外国人も、かなり厳しい身辺調査なども含む厳しい選別をして入れるべきです。

このこと、一つとっても、理研はリスク管理体制がほとんどできていないのだと思います。これでは、秘密も何もあったものではありません。

この状況では、極端なことをいえば、アメリカの巨大企業の息のかかった研究者が、密かにSTAP細胞とされるものをすり替えた可能性も絶対にないと否定しきれないのではないかと思います。アメリカのスパイなど、このようなことはかなりの訓練を受けて、簡単に実行できると思います。

それだけではありません。小保方さんの実験内容なども、参考のために盗まれているかもしれません。いや、それどころか、日本にSTAP細胞で先を越されないために、STAP問題を単なる倫理問題にすり替えて、日本のSTAP細胞開発の芽を摘むという企みを画策して実行したかもしれません。資金が潤沢な巨大企業なら、そんなことも可能です。もし、そうだとしたら、海の向こうで誰かが大声で高笑いしているかもしれません。

一昨年 理研にタクシーで出勤した際の小保方さん
性善説に立脚していては、日本の知的財産を守ることはできません。日本のSTAP細胞に関する識者の論評やマスコミの報道は、この観点を全く欠いた軽薄なお花畑的なものがほとんどです。

ブログ冒頭の記事も、全くそうだと思います。結局のところ、問題の本質を見ることなく、小保方さん、マスコミ、理研の倫理的な問題にすり替えているだけです。そうして、研究者であった小保方さんに問題の本質を解明することを期待するのも間違いです。

結局、小保方さんも理研の幹部なども、そうして文部省も司法で裁かれるといことはありませんでした。もしそうなれば、理研のリスク管理体制の甘さがクローズアップされたかもしれません。さらに、外国勢力の危険性も検討されたかもしれません。

しかし結局、この問題は、単なる小保方さん個人の倫理的な問題にすり替えられてしまったようです。問題を倫理の問題にすり替えてしまえば、対策をするといっても個々人の善意にゆだねるだけになり、問題の本質はいつまでたっても見えないことになります。

やはり、理研の幹部や、理研を監督する文部科学省がまともなリスク管理体制を築くべきです。特に、この件に関して文部科学省の責任が問われないことは、重大問題です。

このSTAP細胞問題の本質は、理研のリスク管理体制の甘さに起因しているものであり、それがたまたま今回表面にでできたものだと思います。リスク管理体制がまともであれば、このような問題は最初から起こらなかったし、起こったにしても、早期に収拾できたものと思います。

それに、小保方さんも、あそこまでバッシングされることもなかったと思います。研究活動も人間のやることです。そこには、思い込み、間違いなどがつきものです。このような間違いを犯す事自体は、犯罪でも何でもありません。

エジソンも失敗は、発明の母という趣旨で自分の失敗の数々を語っています。数えきれない様々な間違いを経た上で、大発見や大発明があるのです。だから、小保方さんが誤りを犯したかもしれないとしても、それ自体は何の問題もなかったはずです。

そんなことよりも、その誤りかもしれない事柄を発表し、誤りかもしれないと指摘されたときに、理研が何をどうするのか、危機に陥ったときに何の手順もなく混乱してしまい、狼狽え、それをマスコミが正義の味方のように倫理問題として糾弾し、小保方悪、STAP細胞は紛い物という空気をつくりあげ、結局何もかも小保方さんの倫理の問題にしてしまったことが重大な問題です。

実際、ブログ冒頭の記事を書いた、榎木英介氏による、以下のような記事もあります。
やっぱり小保方さんなんてかわいいほうだった~2015年も多発した研究不正事件

世界では、小保方さんなど霞んでしまうような、とんでもない研究不正事件が数多く起こっています。

こういうことことからも、やはり理研のリスク管理体制の甘さが是正されないかぎり、この種の問題は解消されません。文部科学省など、これを放置しておけば、また似たような事件に悩まされることになるでしょう。

もし、今回の問題に世界の大企業などが関係していたとしたら、彼らはまた、日本に先を越されないため、手を変え品を変え、日本の最先端技術等の芽をつむため暗躍を続けるかもしれません。
良き意図だけでは、世の中は変えられません。成果も挙げられません。誤りや、間違いを許容しない社会は発展しません。それは、硬直した官僚主義的な社会を生み出すのみです。

倫理的に物事を考えるということは、決して悪いこととはいいません。しかし、それにしても倫理的側面だけで、物事を見て判断して、人を糾弾するということは、最近の日本の社会でよく見られることです。こんなことを繰り返していては、日本における政治、マスコミ、学問や、マネジメントなどのあり方も劣化するだけです。

そうして以上に述べたようなことは、STAP細胞問題の当事者である、小保方さんや理研の研究員などにはなかなか見えないことです。そもそも、研究員が研究をしないで、そのようなことに気を使うべきではなく、ここはやはり、理研をマネジメントする人々や、文部科学省の責任です。

今回の事件ではこのことが、全く追求されもせず、問題にされません。これでは、日本は海外勢力から無防備であるとの謗りを受けても致し方無いと思います。

私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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「小保方さんがかけたきた涙の電話  若山照彦」というタイトルの記事が掲載されています。

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