東京都のモニタリング会議後、取材に応じる小池百合子知事=13日午後、東京都庁 |
沖縄では11月あたりから、コロナ感染の死亡者はゼロ人が続いている |
都のモニタリング会議では、直近7日間平均の新規感染者が20日時点で9576人との試算が示され、「1万人を超えることは現実的に起こり得る」との声も出た。
13日時点の病床使用率は15・1%。都は20%で蔓延(まんえん)防止等重点措置、50%で緊急事態宣言を国に要請するとした。
一方で小池氏は「感染を止める、社会は止めない」と述べ、5類相当への引き下げを含めて検討を求めた。
新型コロナウイルスは感染症法上の1~5類とは別の「新型インフルエンザ等感染症」に分類され、入院勧告や外出自粛の要請など強い措置が可能で医療費が公費負担となる1~2類に近い。5類相当となれば、保健所を介さずに医療機関で対応が可能となるが、入院費が自己負担となる可能性もある。
安倍晋三元首相や松井一郎大阪市長は5類相当への見直しを検討すべきだとの見解を示すが、岸田文雄首相は13日、新型コロナの感染症法上の分類を当面見直さない考えを示した。
元厚生労働省医系技官の木村盛世氏は「5類への引き下げによって、企業や組織で感染者が出ても影響は最小限になり、医療従事者や保健所の負担も低減される。一定期間、医療費を公費負担にするなど柔軟な対応も可能ではないか」と語る。
厚労省によると、最近1週間の感染者のうち、30代以下が全体の71・1%を占め、20代が突出している。
国立感染症研究所が10日までに厚労省のシステムに登録されたオミクロン株の感染者817人のデータを解析したところ、軽症者は61・7%で中等症は0・7%、人工呼吸器などが必要な重症者はいなかった。
感染爆発状態の沖縄も県基準の重症者は13日時点で0人。国基準では35人だった。
国のまとめでは13日時点の全国の重症者は125人で前日から20人増えており油断はできないが、柔軟な対応も求められる。
前出の木村氏は「今後、国民の半分が感染者、全員が濃厚接触者になる事態も考えられる。現行制度のままではオミクロン株ではなく人災として医療崩壊を招き、経済の息の根を止めることになりかねない」と警告した。
木村氏は、第5波が急減したことについて、「人流抑制がどの程度効果があったかは分からない」と話し、その上で、現在のオミクロン株への対応について「南アフリカのようにワクチン接種がかなり低いところでも収束してきているわけですから、ワクチンも治療薬もできたなかでは、感染を無理に止めない。医療体制を万全に整えることが私たちがやらなければならないこと」と指摘しました。
これには宮根が「感染を無理に止めないとおっしゃいましたよね?日本人にはその感覚はないんですよ」と目を丸くしたが、木村氏は冷静。「無理に感染する必要はないけど、感染は山を描く。ということは一定程度の感染ができないと、下がってこないということ」と持論を展開した。
木村氏はオミクロン株の感染力が高いことについても「感染力が強くなるということは、変異したウイルスが私たち共存していく絶好の条件を得られたということ。コロナでも変異を繰り返しながら、感染の数は増えながら致死性は減っていて、通常の風邪に近づいていくことになる」と前向きにとらえました。
また「この感染症はある日突然消えてなくなるものではなく、変異する前からほとんどの人にとって、軽症で無症状。にも関わらず、かかったら隔離して、社会活動を止めなければならないこんなバカげたことはない」「効果がどれだけあるか分からない自粛やまん防を繰り返すのは止めた方がいい」などと刺激的な物言いで自説を述べました。
続けて「(コロナの)致死性は、変異が進む前からも多くの人にとっては通常の風邪かインフルエンザ並みで済んでいます。そんな感染症をここまで社会的に重篤に扱われることによって、人為的医療ひっ迫を起こしている」と話し、指定感染症2類相当に扱われている状況から5類相当に引き下げることを提案しました。
新型コロナは感染症法で現在、ジフテリアや結核、鳥インフルエンザでも病原性の高い「H5N1」型などの「2類」に相当すると特例的に位置付けられていますが、入院治療を原則としているため、病院や保健所への負担が大きく、5類に格下げし、軽症者や無症状については隔離施設や自宅療養とするなど、現場の負担を和らげるべきとの意見が出ています。
安倍氏も同様の考えのようで、「感染の仕組みが次第に解明され、昨年末には飲み薬も承認されました。オミクロン株への警戒は必要ですが、薬やワクチンで重症化を防げるならば、新型コロナを季節性インフルエンザと同じ『5類』として扱う手はあります」と述べました。
安倍氏は20年8月に首相退任を表明した記者会見で、2類相当の運用を見直す方針を示していたのですが、後継の菅政権では専門家などから慎重な意見が強まったこともあり、見送られました。
安倍元首相 |
自民党の細野豪志衆院議員はツイッターで「読売朝刊で安倍元総理が『新型コロナを季節性インフルエンザと同じ5類として扱う手はあります』と発言。インパクトは大きい。日常を取り戻したいという気持ちはみんな同じ。飲み薬が普及すれば可能性があるが、政府内には慎重な意見が多く、年明け早々大議論になるだろう」との見通しを示していました。
ただ、東京都ではこの日、新規感染者数が3か月ぶりに3桁となる103人に増加。沖縄県でも昨年9月25日以来となる130人にまで急増しました。毎日新聞によると、新規感染者の増加を受けて岸田首相は後藤厚生労働相に対し「臨機応変に対策に取り組まないといけない」と指示を出したといいますが、岸田政権では昨年12月初め、国交省が航空各社に国際線予約停止を要請し、その後、批判が強まったため撤回したばかりです。
安倍氏の提言が受け入れられるかは不透明です。安倍氏は20年8月に首相退任を表明した記者会見で、2類相当の運用を見直す方針を語っていました。
今後、オミクロン株への対応や発言等により、個々の政治家の本質というか、地金がでてくるのではないかと思います。またとない機会となるかもしれません。ただ、いずれにせよ、政治的パフォーマンスや利権は抜きにして、国民とって最も良いと考えられる対応をすべきと思います。
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