2021年8月28日土曜日

バイデンのアフガン危機は「米国の歴史上で最もばかな行動」とトランプ―【私の論評】表面を取り繕うだけの、バイデンの中東外交は破綻した(゚д゚)!

バイデンのアフガン危機は「米国の歴史上で最もばかな行動」とトランプ

<引用元:FOXニュース 2021.8.27

フォックスニュースのショーン・ハニティ氏

ドナルド・トランプ前大統領は26日の「ハニティ」(ブログ管理人注:フォックスニュースのショーン・ハニティのこと)の独占インタビューで、ジョー・バイデン大統領がアフガニスタンの危機を増大させたのは、「おそらく米国の歴史上でなされた最もばかな行動」の結果だと述べた。また、デラウェア州民主党の大統領は、優先順位を国家安全保障からリベラル政治に転換させた「ウォークな(社会的不公正や人種差別に対して敏感な)将軍」に囲まれていると続けた。

トランプは司会のショーン・ハニティに、バイデンの「ウォークさ」とマーク・ミリー統合参謀本部議長のような将軍のそれが、一般軍人の力と傾向を間違って解釈し、優先順位をごちゃ混ぜにしていると警告した。

「バイデンとウォークな将軍たちは全くのウォークだ。私は在任期間の終わりに言っていたのだが、平等やこうした別の事柄についての手紙が送られてくるのを見ていた――兵士たち、彼らは戦いたいと思っており、戦う覚悟を持ちたいと思っており、兵士でありたいと思っているのだが、ウォークな将軍たちが、もう誰も信じられないようなレベルにまで状況が変わってしまっていた」とトランプは述べた。

アフガニスタンにおいて、バイデンと司令官たちは自分と同じように撤退しようとしていたが、それを全く逆の順序で行ったとトランプは述べた。「彼らは1つ忘れていた。彼らは人々を一緒に連れて行くのを忘れていた。品物を一緒に伴うのも。つまり世界で最高の軍事装備を持っていくのを忘れたということだ。そしてそれは信じ難いことだ。なぜなら子供でも分かることだったからだ。軍隊は最後に撤退させるものだ。子供でも分かることだった。どうして彼らはこのことを我が国に対して行ったのだろうか?」

その行動が米国の歴史上で現職の大統領による最悪の決定の1つとなり、13人の軍人が今回死亡し、カブールの混乱状態が継続しているとトランプは述べた。

「非常に残念だ。おそらく軍事戦術の観点からもそうだし、全く恥ずべきことであり、米国に起こったことの中で最も恥ずべきことだ。我々は世界中から見てばかのように見え、弱く、悲惨であり、自分で何をやっているか見当もつかない人々がリーダーとなっている」とトランプは語った。

「軍隊を撤退させて、これから人々を脱出させると言い、それで突然、タリバンが入ってきている―我々はタリバンを完全に支配下に置いていたので、我々の許可なしには行動しなかった。我々は信じられないほど素晴らしい合意を結んだ。我々の兵士を殺してはいなかった」

トランプは、バイデンが遠回しにその件についての自分の成功に言及したと述べ、大統領が発言の中で、2020年に結んだ合意のためにタリバンは18カ月間米軍兵士を1人も殺していなかったことを認めたことを指摘した。

「私が話したいことは、我々の兵士たちは、市民もだが、とてつもない危険に瀕していると思う。空港を出入りする飛行機はとてつもない危機に瀕していると思う。(タリバンは)最高の装備、最高のロケット、最高の戦車とヘリコプター、アパッチ・ヘリコプターを持っている。数多くあり、非常に価値のある物だ――ところでロシアはそれらを欲しがっている。調査のためであり、我々がはるかに優れた技術を持っているからだ。また中国も欲しがっている」とトランプは警告した。

「これはもっともばかなことだ――おそらく米国の歴史上でなされた最もばかな行動だったと思う。これが起こるのを許したのであり、軍隊を引き揚げてから『ああ、人々を脱出させたいと思います』と言っている」

トランプは、米国中央軍司令官のケネス・「フランク」・マッケンジー・ジュニア将軍が、米国は8月31日までに完全撤退することについて、タリバンと「共通の目的を共有」していると述べたことを批判した。

「その共通の目的を生かし続ける限り、彼ら有益な協力相手だった。彼らは我々の安全上の懸念の一部を縮小させ、協力していくのに有益だった」と司令官は述べた。

「マッケンジー将軍がタリバンが我々を守ると言うのを聞いたが、タリバンは敵だ。私はタリバンの指導者と取引した。この人物はあまり単純な男ではないし、ボーイスカウトではない」とトランプは怒りをあらわにした。

トランプはその後司会のショーン・ハニティに、自身がタリバン指導者のアブドゥル・バラダルと直接会談と交渉を行った際に、不当な行為があれば米軍による10倍の報復を受けることになるとその武闘派に対して明言したと述べた―その姿勢をバイデンの敬意を持った立場と対比させた。

「我々は彼らを完全に支配下に置いていた。動きを見た時はいつも、F-18で攻撃し、その動きは止まった」とトランプは述べた。

「だが我々はアブドゥルのためにそうしたことはほとんどなかった。我々が話した人物だが・・・アブドゥルは誰にも何もさせなかった」

(以下略)

【私の論評】表面を取り繕うだけの、バイデンの中東外交は破綻した(゚д゚)!

ウォークカルチャーのウォークは"Woke"で、もともとは「目覚める」という意味の動詞"wake(ウェイク)"の過去分詞ですが、そこから転じて「社会的正義や人種差別などに敏感なこと」を意味し、「あの映画はwokeだった」「あの人はwokeだ」のように使います。

ウォークカルチャーを標榜する人たちのデモ

wokeであること自体は、一見素晴らしいことかもしれません。しかし、一部ではそれが暴走して「絶対的な正義」を掲げ、自分と違う意見や大らかな意見、あるいは何も気にしない人々を強く非難するような人も出てきています。最近米国でしばしば話題となる「キャンセルカルチャー」もその流れでしょう。

キャンセルカルチャーとは、著名人やインフルエンサーの過去の発言などを掘り出し、前後の文脈や時代背景を無視して徹底的に糾弾するという潮流です。キャンセルとは「いらない/受け入れられない」を意味し、SNS上でさまざまな著名人が「おまえなんかキャンセルしてやる」とばかり吊るし上げられています。

例えば、2019年2月のアカデミー賞授賞式で司会を務めるはずだった黒人コメディアンのケヴィン・ハートは、約10年前の同性愛嫌悪的な発言がwokeな人たちの目に留まり大炎上。大役を辞退するに至りました。

私が個人的にも驚いたのは、アンダーグラウンド・コミックス運動の中心人物である作家のロバート・クラムまでもが"キャンセル対象"となったことです。

社会秩序を守るためにコミックスの表現が厳しく規制されていた1960年代、クラムはメインストリームでは決して描けない過激な性的表現、暴力、ドラッグ、差別......など社会の病んだ部分をテーマに、グロテスクな画風でアンダーグラウンドシーンを牽引(けんいん)しました。

彼の作品はたびたび摘発対象となり、販売した書店の店主が逮捕されるなど、麻薬と同じような扱いを受けた時期もありました。

そんな困難を乗り越え、アーティストとして評価されるに至ったクラムは、がんじがらめのメインストリームとは違う場所で独自に自由な表現を勝ち取ったパイオニアといっていいでしょう。彼の挑戦が、コミックスの表現そのものの広がりに寄与したことも紛れもない事実です。

ロバート・クラム

しかし、今や一部の"woke系"の人々にとっては、クラムの作品は「差別的でおぞましいもの」のようです。2018年マサチューセッツ州で開かれたインディ系コミックスの博覧会ではクラムの名前が削除され、先日もメリーランド州での出版系エキスポで、黒人女性漫画家ベン・バスモアがクラムをくさす発言をすると大きな拍手が起きたそうです。

ポップカルチャーを代表する作家で偉大なイノベーターでもあるクラムが、同業者から「表現が不快」との理由でキャンセルされるとは、思ってもみないことでした。

こうした状況を受け、オバマ前大統領は2019年にシカゴで開催されたあるイベントに登壇した際、こう述べました。

「こんなやり方で世の中を変えることなどできない。そうやって気に入らないものに石を投げつけているだけなら、成功には程遠い」

"正義の押しつけ"はリベラルを衰退させるだけという、オバマの忠告は、米国にだけ当てはまるものではないと感じるのは私だけでしょうか。リベラルの動きなど、日本でも少し遅れて、やってくることが多いです。日本もこのようなことにならないことを祈りたいです。

このような風潮を理解していなければ、上のトランプ氏の発言は理解できないでしょう。現在、バイデン政権を巡って信じがたいことが行われています。

たとえば、米軍がアフガニスタンからの退避作戦を円滑に進めるため、退避を希望する米国人やアフガン人の名簿をイスラム主義組織タリバン(Taliban)に提供していたと、米政治専門メディア「ポリティコ(Politico)」が26日に報じました。

この内容は、米当局者はタリバンに米国民、グリーンカード保有者、アフガン人協力者のリストを提供したというスクープです。

退避できなかったアフガン人協力者の命が危ぶまれます。タリバンはすでに外国への協力者をブラックリスト化し、家を訪問して探し回っています。米当局の極めて危険で短絡的で奇怪な行動です。

ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は報道を完全に否定せず、共和党は騒然となりました。 記者団の質問攻めに遭ったバイデン氏は、タリバンに名簿が渡った可能性を排除せず、「実際に名簿があったとは断言できない」と述べました。

「あったかもしれないが、そのような状況は把握していない」 

さらに、「『これが12人の名前で、彼らが来るから通してほしい』といったようなことはなかった。そういうことも十分あり得た」と述べました。

バイデン氏の発言に、共和党は騒然となりました。ケビン・マッカーシー(Kevin McCarthy)共和党下院院内総務は、「政府が国民の名簿をタリバンに渡すだなんて、この国の歴史の中で考えられなかったことだ」と指摘。

「なぜ安全に移動できる状況をつくらなかったのか」 

米国防総省は、大規模な退避を調整するためにタリバンと連絡を取っていたことを認めています。

国務省関係者は、ナンバープレートや空港への到着時刻など、車両に関する情報が共有されることがあるとした上で、退避を円滑に進めるために退避希望者の名前が伝えられることがあった可能性も否定できないと述べました。

確かにこのようなことは、米国のリベラルのスラング的にいえば、ウォークでないとできないかもしれません。このブログにも最近も掲載しましたが、タリバンは、テロリストであり、過去の行状からして、彼らは信用できず、そのようなテロリストに名簿を渡すなどありえないことです。

ただ、ウォークの立場にたてば、タリバンも差別してはならないということで、タリバンに米国民、グリーンカード保有者、アフガン人協力者のリストを提供することも奇怪なことではないのかもしれません。

まだ、このことがなければ、トランプ元大統領もアフガンからの撤退を決めていたため、バイデンは運が悪かったともいえたかもしれませんが、これでは、誰もバイデンを擁護できないでしょう。

春頃に、バイデンの外交に関して、「さすがバイデンは玄人外交。トランプと違って安心して見ていられる」というような趣旨の事を言っていた日本人識者がいました。そうしてその「玄人外交」の結果がカブールでのテロです。一体何が玄人なのか困惑せざるを得ません。

私が見ている限りでも、ツイッターでよく発言をしている「国際政治学者」だけでも、「さすがバイデンは玄人外交。外交音痴のトランプとは違う。これでアメリカは普通に戻った、よかったよかった」と言ってた識者を五人くらいはいたと思います。

カーブル空港の自爆テロでは米兵も多く亡くなりました。数週間の任務の予定でアフガン入りし、二度と国に戻れず家族にも会えなくなってしまった人たち。以下はその人達の写真です。家族が彼らの笑顔を見ることはもうありません。「イスラム国は日本が好きだ」などとイスラム国擁護をしていた某研究者に改めて怒りが沸いてきます。


米軍はアフガニスタン東部でイスラム国に対する空爆を実施したと発表。さらに、本日は、アフガニスタン国内の過激派勢力「イスラム国(IS)」系組織「IS-K」の「計画者」をドローンで攻撃し、標的1人を殺害したと発表しました。

こんなことをしてもイスラム国を壊滅させることはもちろんできないです。先日のテロに報復した雰囲気を出すための演出でしかありません。表面を取り繕えばいいというバイデン政権の中東外交は完全に破綻したようです。

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