アフガニスタンに向けて出発する航空自衛隊機=23日午後、埼玉県の航空自衛隊入間基地 |
自衛隊法に基づく措置で、外国人の輸送は初めてとなる。
第1陣となる航空自衛隊のC2輸送機1機は同日夕、派遣先のカブール国際空港に向けて入間基地(埼玉県狭山市など)を出発。24日にはC130輸送機2機が出発する方向で調整している。隊員計数百人も現地入り。準備が整い次第、輸送活動を開始する。
輸送対象は、国際機関の日本人職員に加え、日本大使館や国際協力機構(JICA)のアフガニスタン人などの現地スタッフで、家族も含め数百人規模になる見通し。カブール国際空港から周辺国に向かう。
【私の論評】困難を伴う任務の成功とみなさんの無事の退避を心から願う(゚д゚)!
昨日のこのブログで、今回の自衛隊の作戦は、現地アフガニスタン人スタッフやその家族の保護も含むだろうと予測しました。その予測はあたりました。本当に良かったです。
せめて、現地アフガニスタン人スタッフやその家族を中継地まで送り届けるべきとも主張しましたが、その通りになったようです。
アフガンでは、まだ戦闘が続いています。タリバンの報道官は「敵はパンジシールで包囲されている。我々は平和的解決を望んでいる」と主張しています。パンジシールのアフマド・マスウードの方も話し合いを求めているので、どちらも真実なら戦闘は発生しないことになる。戦闘が発生すれば、どちらかがウソをついていたことになります。
タリバンはガニ大統領と政府高官に対する恩赦を発表していますが、これを信じて戻ったら大変なことになるでしょう。タリバンは政府関係者や外国への協力者をブラックリスト化し、一軒一軒探し回っていると多くのメディアが伝えています。すでに殺害・処刑された人もいます。
タリバンはガニ大統領と政府高官に対する恩赦を発表していますが、これを信じて戻ったら大変なことになるでしょう。タリバンは政府関係者や外国への協力者をブラックリスト化し、一軒一軒探し回っていると多くのメディアが伝えています。すでに殺害・処刑された人もいます。
今回の輸送の前提となる「安全」について、政府は米軍が首都カブールの空港を掌握しており確保されていると説明しています。ただ、輸送対象の邦人や大使館などの現地職員らは自力で空港までたどり着かなければならず、危機下の邦人保護の難しさも浮き彫りになっています。
岸信夫防衛相は23日、防衛省で記者団に「各国は自らの軍用機で自国民や現地職員を退避させている。人道的な観点から、自衛隊がこうした方々を退避させることは重要な責務だ」と強調しました。
防衛省は今回の輸送にあたり、カブール空港に現地調整所を設置します。空港は米軍の管理下にあり、輸送対象の邦人らは米軍のセキュリティーゲートを通過し、外務省職員による本人確認などの検査を受けることになります。自衛隊はそうした手続きのサポートに加え、輸送機までの誘導などを担いますが、その活動範囲は空港内にとどまるのが現実です。
日本政府は平成28年に施行した安全保障法制で、自衛隊法を改正し在外邦人の保護措置に関する規定を整備しました。同法84条の3「在外邦人等の保護措置」に基づけば武器使用範囲が広がり、任務遂行を妨害する相手に対しても武器使用が可能となります。ただ、権限がより強くなる分、前提条件も今回適用する84条の4「在外邦人等の輸送」よりも厳格で、「当該外国の同意」が必要となります。
日本政府は、タリバンが樹立を目指す新政権を承認するかどうか慎重に見極める構えです。混乱が続くカブール空港外で、自衛隊による「在外邦人等の保護措置」を実施するのは困難です。
また、空港から国外へ退避させたアフガニスタン人の現地スタッフとその家族らをどう処遇するかも課題の一つとなっています。安全な場所にいったん、退避させた後、本人の希望を踏まえて日本に入国させることや、第三国に移動させることなども検討します。
アフガンに赴くためC2輸送機に乗り込む自衛隊員ら |
今回の作戦における最大の懸念は、故障あるいはミサイル攻撃等でカブールにおいて修理が必要になった場合、国産のC-2では米軍の支援を受けることを期待できず、最悪の場合、カブールで放棄しなければならなくなる可能性もあるということです。一方のC-130は、世界中で使われている航空機です。こうした点では安心です。
C-2を使う場合は、カブールには直接飛ばさず、ディエゴガルシア(インド洋にある環礁。アメリカ軍とイギリス軍の基地がある)と在日米軍基地間など、幹線空輸用に使用することが望ましいのでそのようにするかもしれません。
もし自衛隊機がタリバンの携帯式SAMで攻撃され、フレアなどでミサイルを回避できなかった場合、大変な悲劇になることを懸念している方がいると思います。
戦闘機と違い大型の輸送機は、機動するといってもそれほど派手な機動はできません。懸念は、もっともかもしれません。
しかし、大丈夫です。携帯式SAMでは、よほど運が悪くなければ、ミサイルが命中しても大型機が墜落することはありません。
イラク派遣の直前には、かなりの輸送機が、バグダッド国際空港の周辺で携帯式SAMによる攻撃を受け、一部にはミサイルが命中しています。
軍の輸送機についてはニュースになっていませんが、国際宅配便の独DHLの航空機が被弾し緊急着陸したことは報じられています。この時は、運悪く主翼内の燃料が燃えたため、かなりのダメージとなりましたが、人的被害はありませんでした。
携帯式SAMは、多くのものが赤外線誘導で、熱源であるエンジンに命中します。当然、そのエンジンは故障しますが、携帯式SAMの弾頭は手榴弾程度の破壊力しかないので、早い話、命中したエンジンしか壊せないのです。むしろ、エンジンから飛び散ったブレードの方が怖いくらいです。
そうして、旅客機でも同じですが、大型機は、エンジン1基が故障しても、飛行を続けられるように作られています。また、当然ながら軍用機は民間機よりも頑丈です。
C-130にせよ、C-2にせよ、たとえ攻撃を受けても、DHL機のようにカブールに緊急着陸しなければならなくなる可能性はありますが、撃墜される可能性はきわめて低いと言えるでしょう。
ただ、現地では何が起こるかはわかりません。カーブル空港北門付近で銃撃戦が発生し、米軍や独軍も巻き込まれアフガン治安部隊メンバーが死亡したという報道もあります。困難を伴う任務の成功とみなさんの無事の退避を心から願います。
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