2021年11月11日木曜日

プーチンが絶体絶命…ロシア経済が“崩壊寸前”で、いま起きている「本当にヤバい現実」―【私の論評】米露のインフレ率は6%超え、日本は1%に満たない!日銀は大規模な量的緩和を実施すべき(゚д゚)!

プーチンが絶体絶命…ロシア経済が“崩壊寸前”で、いま起きている「本当にヤバい現実」

建国以来の危機に瀕するプーチン

 今年の夏以降、欧州では天然ガスの指標価格が急騰し、この異常事態を招いたとして「ロシア悪玉」説が台頭している。しかし、欧州に対して悪さをしている場合でないほどに、ロシア経済がひっ迫していることを指摘する者はいない。

 ロシアはいま「ソ連崩壊以来の危機に瀕している」と言っても過言ではないだろう。その主因はインフレーションである。

 物価上昇の主因は食料価格だ。ロシアの年間食品価格インフレ指数は、8月の7.7%から9月は9.2%に達した。特に果物と野菜の価格が上昇している。

  ロシアは食糧輸出大国であるにもかかわらず、小麦、砂糖などに加え、主食であるジャガイモや卵なども値上がりしている。いずれも国内での自給可能な品目だが、新型コロナウイルスのパンデミックによる外国人労働者の流入制限による人出不足が災いした。

  昨年夏には、世界初の新型コロナウイルスワクチン(スプートニクV)を承認したが、ワクチンに対する国民の根強い不信感から低い接種率にとどまっており、日本とは対照的に感染の再拡大が生じている。  首都モスクワなどで行動制限が再強化されており、人手不足によるインフレ圧力はますます強まっているのだ。

 プーチン大統領が頼りにしているのは「インフレ・ファイター」として名高いナビウリナ・ロシア中央銀行総裁だ。 

ロシア中央銀行総裁 エリヴィラ・ナビウリナ

 ロシア中央銀行は10月22日の金融政策決定会合で政策金利を7.5%と従来の6.75%から引き上げることを決定した。

 プーチン政権の長期化に対する不満がこれまでになく高まっている中で、インフレと不景気の同時進行(スタグフレーション)が起きるリスクが生じている。

  ソ連崩壊後の1990年代前半のインフレは極めて深刻だった。  忍び寄るインフレの足音は、インフレがいかに国家を混乱させるかを目の当たりにしたプーチン大統領にソ連崩壊時の悪夢を呼び覚ましているのではないだろうか。

この記事の詳細は、以下から御覧ください。


【私の論評】米露のインフレ率は6%超え、日本は1%に満たない!日銀は大規模な量的緩和を実施すべき(゚д゚)!

ロシアのインフレは、確かに深刻です。8月のインフレ率は前年比6.7%(前月比0.2%pt上昇)となったほか、コア・インフレ率は同7.1%(前月比0.6%pt上昇)と、16年7月以来、5年ぶりの高水準に達しています。

米国も深刻です。米労働省が10日発表した10月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.9%上昇。前年同月比の上昇率は6.2%に達しました。食料品とエネルギー品目を除いたコアインフレ率も前年同月比4.6%上昇し、年間上昇率はどちらも30年以上ぶりの高い伸びとなりました。


ロシアや米国では確かにインフレ懸念があります。一方、日本はどうなのかといえば、物価目標は1%にも達しておらず、インフレ懸念からは程遠い状況にあります。

これは、とりもなおさず、日本には未だ金融緩和の余地がかなり、あるということです。これについては、以前このブログでも述べたことがあります。その記事のリンクを掲載します。
【日本の解き方】日本の賃金はなぜ上がらない? 原因は「生産性」や「非正規」でなく、ここ30年のマネーの伸び率だ!!―【私の論評】日本人の賃金が低いのはすべて日銀だけのせい、他は関係ない(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事より一部を引用します。

名目賃金は、1人当たり名目国内総生産(GDP)と同じ概念なので、名目賃金が低いのは、名目GDPの伸びが低いからだということになります。

確かに、日本の名目GDPは、90年からほとんど伸びていません。これは世界で最も低い伸びであり、先進国の中でも際立って低いです。そのくらい名目経済が成長していないので、その成果の反映である賃金が伸びていないのは当然の結果です。労働が経済活動からの派生需要である以上、経済が伸びなければ賃金は伸びないです。つまり、賃金が低くなったのは、90年代以降の「失われた時代」の結果です。

そうして、この30年間で、名目GDPの伸び率と最も相関が高いのはマネー伸び率です。世界各国のデータでみても、相関係数は0.8程度もあります。

以下のグラフは、名目GDPとM2の成長率を比較したものです。相関係数は0.7です。M2とは、マネーストックの一種で、市場全体に供給される通貨(マネー)の量を測る指標です。日本ではかつて、「マネーサプライ」と呼ばれていました。

マネーストックにはいくつかの種類があります。現金と預金通貨の合計は「M1」と呼ばれ、このM1に定期性預金や譲渡性預金(CD)を加えたものが「M2」です。

上のグラフで青い線は名目GDPです。赤い線はマネーストックです
ここで重要なのは、マネーは金融政策でかなりコントロールできることです。ところが、金融政策の主体である日銀はかつて、「マネーは、経済活動の結果であって管理できない」ととんでもないことを言っていましたた。マネーが管理できないなら中央銀行は不要だが、こうしたばかげた議論が実際にあったのです。

2000年代になっても、日銀はインフレ目標を否定し、その上、デフレ志向でした。いわゆる「良いデフレ論」です。しかし、「デフレ」で良いことは一つもありません。結論をいうと、日銀がこのようなスタンスで、金融緩和をしないで来た結果、日本人の賃金は30年間も上昇しなかったのです。
ロシアや米国ではインフレ率が6%にもなっているのです。日本は1%にも満たないのですから、何らかの抜本的な対策が必要なのはいうまでもありません。

この抜本的対策として、高橋洋一氏は物価目標を一時的に4%に引き上げることを提案しています。高橋洋一は、インフレ目標を現状の2%から4%に引き上げれば、所得倍増を12~13年で達成できることを指摘しています。 

日本もこれくらいのことをしないと、いつまでたってもGDPは低迷したままで、日本人の賃金も上がらないでしょう。

インフレを心配する人もいますが、確かにロシアや米国のようなインフレ率になれば、危険信号が点ったともいえますが、ロシアは別にして、米国は金利を上げるなどの方策で十分に回復できる見込みです。

日本銀行が、インフレを恐れて1%の物価目標を達成できないのは、明らかに異様です。今後、量的緩和をより一層すすめていくべきです。コロナ禍から収束を目指す日本においては、日銀は2014年安倍政権成立直後の異次元の包括的緩和の姿勢に戻るべきです。

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