2023年2月21日火曜日

対ロシア経済制裁、効果は限定的…昨年GDPは予想より小幅の2・1%減―【私の論評】効果は限定的等というのは、戦時経済の実体を知らない者の戯言(゚д゚)!

対ロシア経済制裁、効果は限定的…昨年GDPは予想より小幅の2・1%減

プーチン大統領

 ロシア統計局が20日発表した2022年の国内総生産(GDP)速報値は、前年比2・1%減となった。日米欧などの経済制裁が影響したが、減少率はリーマン・ショック後の09年(7・8%減)やコロナ禍が広がった20年(2・7%減)より小幅だった。輸出の柱の原油や天然ガスの価格が急騰し、個人消費や生産活動の落ち込みを補ったとみられ、経済制裁の効果が限られている実態が明らかになった。

 マイナス成長は2年ぶり。国際通貨基金(IMF)は昨年4月、ロシアのGDPは22年に8・5%落ち込むと予測していた。専門家の間では当初、2桁のマイナスになるとの見方もあった。

 項目別では、GDPのほぼ半分を占める個人消費が1・8%減だった。経済制裁の影響で国外の企業が撤退し、衣料品の店舗や自動車の工場などが閉鎖されたため、消費が低迷した。一方、国防費の増加などの影響で、政府支出は2・8%増だった。輸出や輸入の前年比は示していない。

 業種別では、卸売・小売業が12・7%減と大幅に落ち込み、最も大きな割合を占める製造業は2・4%減だった。農林水産業は小麦が豊作だったことなどから6・6%増、資源採掘を含む鉱業は0・4%増だった。

 ロシア財務省の統計によると、石油やガスから得られた22年の歳入は28%増と大幅に伸びた。価格の高騰に加え、中国やインドなど制裁に加わらない国々がロシア産資源の輸入を増やしたためとみられる。

 米国のバイデン大統領は20日、ウクライナの首都キーウを訪問し、今週中には対露追加制裁措置を発表すると明らかにした。

【私の論評】効果は限定的等というのは、戦時経済の実体を知らない者の戯言(゚д゚)!

この記事を書いた記者は、戦争経済を理解していないようです。そもそも、現在では冷戦時代のソ連の経済統計はほとんど出鱈目だったことが、わかっています。ロシアましてや、戦時中のロシアの経済統計が出鱈目でないという保証はありません。

さらに、戦争中には実体経済が悪くなるのは事実なのですが、数字だけみるとそれがわからないことが多いのです。ドラッカーなどの著名人でも、GDPなどの数字を見ていると欧州大戦はなかったように見えるとしている人も多いです。

なぜそのようなことになるかというと、戦時中には戦争遂行のために武器、弾薬、軍事用の備品や食料品を大増産しますが、それは無論GDPに含まれることになるからです。

さらに戦争が終了すると、今度はかなりの勢いで戦後復興がはじまり、これもGDPが伸びることになり、特に年単位の経済統計だけみていると、戦争などなかったかのように見えるのです。

無論局所的に一時的にかなり悪くなることもありますが、年間を通じてみるとGDPなどはあまり変わりないということは大いにあり得るのです。

戦争が始まると、各国は戦時体制を取ります。戦争を遂行することが最優先の目標となり、国の政策は目標達成を目指したものとなるのです。太平洋戦争時の日本では、戦時統制経済が導入されていました。国家は軍需産業の活動を優先させ、資金もそこに集中することになりました。

軍需産業とは、軍隊で需要があるものを製造・販売することです。軍隊に需要があるものとは、たとえば軍艦、潜水艦、航空機、ミサイル、戦車といった兵器や、軍服などの装備。そのほか軍隊で使う食糧や毛布、燃料といったものも含まれます。

戦時には、民生品の製造を犠牲にしてまで、軍需産業を優先することになります。これらの製造は無論GDPに含まれます。だから、GDPは平時と比較して大きく落ち込むことはないのです。

ただ、戦争は実体経済への影響も大きく、それは人々の生活にも及んでいます。ひとつは物価の高騰です。終戦後のインフレは年率59%、1947年は年率125%という高い数字でした。


近年日銀はインフレの目標を2%としていしていましたが、最近は消費者物価の全体の指標では達成できていることになっていますが、これは海外由来のエネルギー・資源価格に高騰によるものであり、現状コアコアCPIは3%です。


確かに物価高ではありますが、比較すると戦後のインフレ率の高さが実感できできます。インフレ率が125%となると、1年で物の値段は倍以上になってしまいます。こうした高いインフレ率は、国が戦争に必要となる巨額の資金を、日銀の直接引き受けによって調達したことによるものです。

 

行き過ぎた物価上昇への対応として、1946年には預金封鎖がおこなわれました。預金封鎖とは、銀行預金などの引き出しを制限することです。日本で実施された預金封鎖は、完全に引き出しができなくなるわけではなく、1カ月の引き出し可能額が決められるというものでした。出回るお金の量を減らし、インフレを抑える目的のために、人々は生活の中で不便な思いをしました。


ロシアの経済の実体も、GDPだけではわかりません。やはりインフレ率などみてみるべきでしょう。

11月のロシアのインフレ率は前年比で11.98%となり10月の12.63%から低下した。4月の17.83%をピークに7か月連続で低下したことになります。

大分類別に見ると、食料品が前年比で4月のピーク(20.48%)から11月には11.12%と大幅に低下したほか、財(非食料品)が3月のピーク(20.34%)から11月に13.36%まで低下した。一方、サービスは3月以降の高止まりが続き、11月は11.22%と横ばいでの推移となっている。

コア指数は前年比で11月は15.06%となり、総合指数と同様に4月(20.37%)をピークに減速しているものの、減速のスピードは総合指数と比較して緩やかな状況が続いている。

前月比では、総合指数が11月に0.37%と3か月連続のプラスの伸び率となり、伸び幅も拡大している。11月のコア指数も前月比0.18%と3か月連続のプラスとなっている(図表3)。


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11月のロシアのインフレ率は前年比で11.98%となり10月の12.63%から低下した。4月の17.83%をピークに7か月連続で低下したことになります。

大分類別に見ると、食料品が前年比で4月のピーク(20.48%)から11月には11.12%と大幅に低下したほか、財(非食料品)が3月のピーク(20.34%)から11月に13.36%まで低下した。一方、サービスは3月以降の高止まりが続き、11月は11.22%と横ばいでの推移となっている。

コア指数は前年比で11月は15.06%となり、総合指数と同様に4月(20.37%)をピークに減速しているものの、減速のスピードは総合指数と比較して緩やかな状況が続いている。

前月比では、総合指数が11月に0.37%と3か月連続のプラスの伸び率となり、伸び幅も拡大している。11月のコア指数も前月比0.18%と3か月連続のプラスとなっています(図表3)。

しかしながら、以前高い水準で推移しているのは確かです。現在でも、ロシアからは物価高のニュースが続いています。そもそも、昨年にかなり上がりきっているわけですから、その後多少下がったとか、伸びきが穏やかになったとはいっても、国民の生活実感はさほど変わらないでしょう。

それどころか、あまりの物価高に、節約が進み、自給自足や物々交換がすすんでいるということも考えられます。

昨年の消費者物価指数の推移

一方財政をみると、財政赤字の拡大を受けて、ロシア政府は国債の発行残高を増やしています。ロシアの国内向け国 債の発行残高は2022年10月まで15兆ルーブル程度でしたが、翌11月より増加が続き、直近2023 年1月時点で18兆ルーブル台に達しました。

貯蓄率が低いロシアの場合、国債の市中消化に 限界があるものの、背に腹は代えられない状況なのでしょう。 加えて、財政の予備費である国民福祉基金(NWF)を取り崩すことで、ロシア政府は財政赤字 を補填しています。

この NWF は、原油高の局面で上振れした石油・ガス収入を積み重ねたもので あり、従来はその用途を国家的な建設プロジェクトの補填に限定していたのですが、ウクライナに侵攻 して以降は、景気対策や金融市場安定化策(証券の市場購入)などにも利用されています。

歳入の細目を確認すると、いわゆる「石油・ガス収入」の低迷が顕著であす。ロシア産の原油価格の低迷やヨー ロッパ向けのガス輸出の減少が、石油・ガス収入の低迷につながっています。 

石油・ガス収入は引き続き低迷すると予想される一方、軍事費が引き続きロシアの財政を圧迫し続けます。したが って、ロシアは今後も予備費である国民福祉基金を取り崩し、財政赤字を補填するでしょう。

経済が健全であれば、量的金融緩和を行えば良いのでしょうが、そうすれば、さらにインフレが亢進し、ハイパーインフレになりかねません。

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日本の場合は、戦後に国際社会に復帰することができ、戦後の復興はかなりのスピードで実現することができ、1960年代には、高度成長をとげています。

ロシアは現体制のままなら、経済制裁は続き、国際社会に復帰できないことも予想されます。

これでは、対ロシア経済制裁、効果は限定的とてもいえません。

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