2023年2月6日月曜日

中国がロシアに軍事援助、「ウクライナ侵攻を支援」との見方―【私の論評】米露間で板挟み状態の習近平!今春のロシア訪問ではっきりするか(゚д゚)!

中国がロシアに軍事援助、「ウクライナ侵攻を支援」との見方

中国の気球が米国本土の上空を飛行していた問題や、その後のブリンケン国務長官の北京訪問の中止など、米中間の緊張が高まる中、中国は米国主導の制裁措置に反してロシアに軍事援助を行っていることを、2月4日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。

WSJが入手したロシアの税関記録によると、中国の国営軍事企業は、ロシアにナビゲーション機器や戦闘機の部品などの軍事装備を発送している。

今回のニュースは、中国の馬朝旭外務次官が先週ロシアのラブロフ外相と会談し、中国の当局者が「ロシアとの相互の政治的信頼を強化した」と発言した翌日に明るみに出たとロイターは報じている。さらに、ブリンケン国務長官が、モンタナ州上空に中国のスパイ気球が浮かんでいるとの米当局の報告を受け、予定していた中国訪問を突然中止したタイミングとも重なった。

米当局は先週、対ロシア制裁を拒否しているアラブ首長国連邦とトルコに対しても、ロシアへの輸出を抑制するよう迫ったと複数のメディアが情報筋の話として報じた。両国から輸出された物資は、ロシア軍がウクライナへの侵攻を進めるために使用される可能性があるという。

ここ数カ月、ウクライナ軍は東部および南部のロシアによる占領地域を奪還したが、ロシアはウクライナの主要都市へのミサイル攻撃を続けている。米国当局は、気候が暖かくなるにつれてロシアの攻勢が勢いを増す可能性があることを警告し、米国は新型戦車エイブラムスを、ドイツはレオパルト2の供与を決定した。一方、バイデン大統領は、中国がロシア軍を支援していることを示唆する証拠を米当局が発見したと報じられた後、中国企業がロシアに軍事装備を供給することに懸念を表明したと1月24日のブルームバーグは報じていた。

プーチン大統領は2022年9月、ウズベキスタンで中国の習近平国家主席と会談し、ロシアのウクライナ侵攻について中国が「疑問と懸念」を抱いていることを認めていた。中国は、西側諸国がロシアのエネルギーを締め出す動きを見せているにもかかわらず、ロシアからの石油の輸入を増やしており、昨年2月のウクライナ侵攻の開始前にはロシアとの「無限大の信頼関係」を宣言していた。

forbes.com 原文

【私の論評】米露間で板挟み状態の習近平!今春のロシア訪問ではっきりするか(゚д゚)!

4日(現地時間)、ウォールストリートジャーナル(WSJ)によると、中国国営防衛産業会社が航法装置、電波妨害技術、戦闘機部品などをロシア国営防衛産業会社に輸出してきたという事実がロシアの税関資料で確認されました。

WSJは、米国非営利シンクタンク先進国防研究センター(C4ADS)からロシアの税関資料を入手し、昨年2月のウクライナ戦争以降、ロシア税関が記録した8万4000個以上の品目を分析したと明らかにしました。

その結果、ロシアはウクライナ侵攻後、軍用と民用の双方に利用可能な「二重用途」物品を数万件輸入し、このうち大半が中国から輸出されていたことが分かりました。特に今回の資料で、米国の制裁対象となったロシアと中国企業の少なくとも12社が活発な取引を行っていた事実が確認されたといいます。

資料によると、中国国営防衛産業会社のポリテクノロジーは昨年8月31日、ロシア国営軍事装備会社のJSCロソボロネクスポルトにMi17軍用ヘリの航法装置を輸出しました。同月、中国福建南安宝鋒電子も同じロシア企業に軍用車両用通信妨害望遠アンテナを販売しました。

Mi17軍用ヘリ

昨年10月24日には、中国国営航空機メーカーAVICがロシアの国営巨大防衛産業会社ロステックの子会社に120万ドル(約1億5800万円)相当のSu-35戦闘機部品を輸出しました。

また、米制裁対象の中国シノ電子は昨年4~10月だけで200万ドル相当の物品1300件余りをロシアに供給したことが分かりました。

C4ADSのアナリストのナオミ・ガルシア氏は「中国国営防衛産業企業が国際的な制裁対象のロシア防衛産業企業に軍事目的で活用できる部品を輸出し続けていた事実が信頼できるグローバル貿易資料により確認された」とし「ロシア企業はウクライナ戦争でまさにこのような形態の部品を使用した」と指摘しました。

これについて駐米中国大使館の劉鵬宇報道官はWSJに「中国がロシアに援助を提供するという主張は事実的根拠がなく純粋に推測に過ぎず、意図的に誇張されたもの」と反論しました。また、「国際法に根拠のない一方的な制裁に反対する」という中国政府の既存の立場を繰り返しました。

福建南安宝鋒電子はこのような疑惑を否認し、他の中国とロシアの関連企業は論評要請に応じなかったといいます。

WSJによると、ロシアは基本的な軍需品を国内生産する能力を備えていますが、現代戦に欠かせない半導体などの二重用途物品は輸入に大きく依存しています。これに対し西側はコンピューターチップ、赤外線カメラ、レーダー装置などがロシアに輸出されることを統制すれば、ロシアの戦争装備を無力化させることができるという立場でした。

しかし、中国以外にも西側の対ロシア輸出統制と制裁に参加していないトルコ、アラブ首長国連邦(UAE)などを介してもこのような物品を搬入していると、WSJが報じました。

これと関連し、 ロシア大統領府報道官は「ロシアは自国の安保確立と特殊軍事作戦遂行に必要な技術的潜在力を十分に保有している」と述べました。

トニー・ブリンケン米国務長官は当初、5~6日に計画していた訪中期間に中国のロシア支援問題を議題に扱う予定でしたが、中国の偵察風船問題によりブリンケン長官の訪中は無期限延期されました。

これだけ具体的な証拠が次々とでてくると、中露はやはり関係を強化しつつあるようにみるのが正しいのかもしれません。

ロシアのプーチン大統領は昨年12月30日、中国の習近平国家主席とオンライン形式で会談し、来年の春、習主席をモスクワに招待しました。プーチン大統領としては、ウクライナ情勢をめぐるロシア側の立場を改めて説明し、中国との関係強化をアピールする思惑があるとみられます。

ただ、昨年12月30日に中国の外交部長(外相)に任命された秦剛氏は年明けてから早速、活発な外交活動をスタートしました。その一連の外交の中で、ロシアのラブロフ外相との電話会談がありました。

それについては、このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
「同盟しない、対抗しない、第3国をターゲットとしない」、習近平政権、ロシア見切りへ外交方針大転換―【私の論評】習近平がロシアを見限ったのは、米国の半導体規制が原因か(゚д゚)!
秦剛氏

詳細は、粉の記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から一部を引用します。
 ロシア外相との会談が実現されたのは1月9日、米中外相電話会談から8日後のことだ。同じ9日に秦外相がパキスタン、韓国外相とも電話会談を行ったから、ロシアとの関係を「特別視しない」という中国側の姿勢はそこからも伺える。

 そして中国外務省の公式発表では、秦外相は「予約(要請)に応じて」、ロシアのラブロフ外相との電話会談に臨んだという。それは要するに、「向こうからの要請がなかったら電話会談をやっていないかもしれない」ということを暗に示唆しているような表現であるが、わざと「要請されての電話会談」を強調するのにはやはり、ロシアとの距離感を示す狙いがあるのであろう。その一方、米国務長官との会談に関しては、中国側は「要請されて」との表現を使わなかった。

「3つのしない」とは

 肝心の中露外相会談の中身となると、中国外務省の公式発表では、秦外相は電話の中で「中露関係の高レベルの発展」に意欲を示しておきながらも、「中露関係の成り立つ基礎」として、「同盟しない、対抗しない、第3国をターゲットとしない」という「3つのしない」方針を提示したという。

 この「3つのしない」方針の意味合いを1つずつ考えてみると、「第3国をターゲットとしない」とは当然、アメリカ・EUの存在を強く意識したものであろう。つまり中国の新外相はここで、中露関係は決して欧米と対抗するための関係ではないことを、むしろ欧米に向かって表明したのである。

 もう1つ、秦外相はロシアに対して「対抗しない」との方針を示したことも大変興味深い。本来、「対抗しない」云々というのは、対抗している国同士間で関係の改善を図る時に発する言葉であって、友好国家の間でこのような表現を使われることはまずない。

 例えば日本の外相はあえて、米国国務長官や英国外相やフランス外相に向かって「対抗しない」と語るようなことは考えられない。親密関係の友好国同士の間に、「対抗する」ことは最初から想定されていないからである。

 しかし中国の秦外相は、本来なら一番の友好国であるロシアの外相に対して「対抗しない」という言葉を何気なく使った。捉えるようによってそれは、ロシアとの今までの親密関係を頭から否定するような発言でもあれば、「中露は互いに対抗しなければこれで良い」という、中露観の親密さを打ち消すような「冷たい」言い方にもなっているのである。

 そして「3つのしない」の一番目の「同盟しない」となると、要するに中国側は明確に、ロシアと同盟関係を結ぶ可能性を否定した訳である。

それまでは「無制限の関係強化」だった

 しかし、秦外相が示した中国の対露外交の「3つのしない」方針は実は、2021年以来の習政権の進む対露外交方針からの大転換である。
この記事の元記事を書いた石平氏は、中国の退路が意向の「3つのしない」方針をもって、習近平政権、ロシア見切りへ外交方針大転換と結論づけています。

ただ、上にも上げたように中国がロシアに軍事援助をしている事実がいくつも出てきています。

これは、どのように解釈すれば良いのでしょうか。上の記事にも出てきた軍事援助はいままでは、やってきたのですが、これからはやめるのでしょうか。

私として、中国というか習近平は揺れ動いているのだと思います。米国の報復は恐ろしいでしょう。ロシアへの軍事援助を続ければ、セカンダリサンクション(第二次制裁)が中国をはじめとして、中国を援助する国々に加えられるかもしれません。

そうなると、中国もロシアのように半導体そのものがまともに製造も輸入もできなくなるかもしれません。それだけは、避けたい所です。

しかし、同盟国がない中国にとっては、ロシアは同盟国ではないものの、近い関係にあります。中国は、南太平洋の島嶼国を仲間に引き入れ、台湾を孤立させようと企んでいますが、本格的冷戦になれば、これらの国々はたとえ仲間に引き入れても、心許ないです。貧乏国なら、かえって足手まといになりかねないですし、地理的にも離れています。米国と本格的に冷戦を戦うことになれば、ロシアの存在は心強いです。

習近平はこうした板挟み状況になっているものと考えられます。そうして、どちらにするか、未だ保留状態にしているとも見えます。

中露の間で板挟み状態の習近平

先にあげたように、プーチン大統領は昨年12月30日、中国の習近平国家主席とオンライン形式で会談し、今年の春、習主席をモスクワに招待しました。

この頃までには、様々な状況が見えてくると考えられます。ウクライナでロシア軍は一部反攻にでていますが、これがどうなるのか、西欧諸国が提供した戦車がどの程度威力を発揮するのか、中国の「ゼロコロナ政策」の転換が、どの程度中国に影響を及ぼすのか、諸々がはっきりとはしないものの、先行きが予想できるようになっているでしょう。

春になって、習近平がそもそも、ロシアを訪問しなければ、習近平はロシア見切ったと見るべきでしょう。訪問しても、あまり話しが進展しなければ、やはりロシアを見切るつもりであるとみるべきでしょう。訪問して、中露間のつながりをさらに強化すると、はっきり共同声明を打ち出せば、何らかの目論見があるはずなので、これからもロシアに軍事援助を続けることになるでしょう。ウクライナ戦争は長引きます。

米国は、今回の偵察気球でうまく立ち回りました。今後部品が回収され、偵察気球であることがはっきりすれば、さらに強く牽制することが可能になるでしょう。ブリケン国務長官が中国を訪問して、中国側にロシアに軍事援助をするなと苦言を呈するより、訪問そのものを取りやめたことのほうが、はるかに効き目があるでしょう。

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