2023年7月29日土曜日

下げ止まらない内閣支持率の背景 衆院解散も簡単にはいかない…「岸田降ろし」が始まるのか―【私の論評】岸田首相はこれ以上支持率を下げないため起死回生策を打つべき(゚д゚)!

高橋洋一「日本の解き方」

岸田首相

 産経新聞社とFNNが実施した世論調査で、内閣支持率は前回よりも4.8ポイント低下し、41.3%となり、自民党支持率も2.8ポイント低下して31.4%となった。朝日新聞の調査でも内閣支持率は5ポイント低下し、37%となり、自民党支持率も5ポイント低下して28%となった。読売新聞と毎日新聞の調査でも内閣支持率の低下が報じられている。

 内閣支持率の低下要因として、マイナンバーカードの混乱が挙げられるが、筆者はそれに疑問を持っている。実際には問題が少なく、マスコミが不安を煽りすぎていると指摘している。また、マイナンバーカードの導入によって本人確認のコストが低減されているため、騒ぎはこの夏までに収束するとの見方もある。

 内閣支持率の低下の要因は、政府税調答申での「サラリーマン増税」やLGBT法によって岩盤保守層が離れたことも考えられる。さらに、日本維新の会が支持率を上げており、自民党の支持率を減らしていると指摘されている。

 10月にはインボイス制度がスタートする見通しであり、混乱が予想される。これによって内閣支持率がさらに低下する可能性もある。支持率を回復させるためには拉致問題の解決が重要であるが、北朝鮮の反応次第では真の解決にはならない可能性もある。

 衆院解散は容易ではなく、岸田首相に対する批判が高まる可能性もあると述べている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

これは元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】岸田首相はこれ以上支持率を下げないため起死回生策を打つべき(゚д゚)!

非接触型カード・リーダー・ライターとマイナカード

私も、上の記事で高橋洋一氏が語るように、支持率低下の原因がマイナンバーカードを巡る混乱だとは思っていません。当初はマスコミの煽りに幻惑された人たちも、そもそも紙の保険証の悪用などの問題が明らかにされてからは、幻惑から覚醒したものと思われます。

LGBT法案と、サラリーマン増税に関しては分けて考える必要があるものと思います。サラリーマン増税に関しては、生活に直接大きな影響があるため有権者のほとんどが反発したものと思います。その後岸田首相は「サラリーマン減税をするつもりはない」と否定していますが、未だその疑念は多くの有権者から払拭されていないと思います。

LGBT法案に関しては、自民党を支持してきた私自身も含めた保守岩盤層の多くが離反したと考えられるものの、保守岩盤層でない多くの人、そもそもLGBT法案に関しては周知されおらず、あまり影響はなかったのではないかと思います。

日本のLGBT運動

ただ、LGBT法案に関しては、保守岩盤層ほんどとが反対してきたにもかかわらず、成立してしまったため、増税を否定する岸田総理の表明に対しても、疑心暗鬼になっているのではないかと思います。

保守岩盤層の一部や、増税に反対する従来の自民党支持層が、維新の会に流れている可能性があります。

ちなみに、安倍政権で支持率が30%を切ったことはほとんどなかったことから、この約30%の有権者が保守岩盤層ではないかとみられます。

安倍政権の時に支持率が20%台になったのは2回しかありません。1度目は森友問題と共に学校法人「加計学園」による獣医学部新設問題を野党から追及される中で「共謀罪」創設を柱とする改正組織犯罪処罰法が成立した後の17年7月の26%。そして2度目は閣議決定で定年延長された東京高検の検事長が賭けマージャン問題で辞職した20年5月の27%です。それでも20%台後半で踏みとどまりました。

安倍元総理

しかし、現在この保守岩盤層の中からも、自民党を支持することをためらう人々がでてきたのだと思います。岸田政権の支持率が20%台になれば、自民党内で岸田おろしが始まる可能性は高まるでしょう。

私自身は、積極的に岸田政権を支持しているわけではありませんが、茂木氏、林氏、河野氏、林氏がポスト岸田になる可能性が高く、これでは岸田政権よりも、さらにリベラル的になる可能性が高いです。

それだけは避けたいところです。ただ、今のまま、岸田首相が増税疑念を払拭できなかったり、LGBT法案の成立により、女性への被害が増えたり、複数の自治体で小学校などでLGBT運動団体のメンバーが講師となりLGBT研修が行われるような事態になったり、韓国や中国に対して無用の譲歩したりすれば、やむなしとして、自民党支持の有権者も自民党を支持しないという選択肢も選ぶかもしれません。

岸田首相もしくは、自民党はそうならないために、起死回生策を打つべきです。岸田首相としては、先日もこのブログで指摘したように、増税疑念を払拭するために、24年度GDP600兆円実現(かつて安倍首相がこれを約束、現状のままなら達成する可能性がかなり高い)を前提に、30年度までにGDPを700兆円にすることを打ち出すべきです。そうして、安倍首相の外交でも経済政策でも、安倍元首相の路線を引き継ぐことを表明し実行すべきです。

岸田政権の凋落が止まらない場合は、自民党は岸田おろしをしても良いとは思いますが、次期総裁としては、安倍元総理の路線を確実に引き継くと見られる人を選び、それだけではなく、自民党幹部らは、自分の主義主張はせずに、その人物を挙党一致で支持・支援する体制を築くべきです。

自民党は、1955年(昭和30年)に日本社会党の台頭を危惧したかつての、自由党と日本民主党が合同(いわゆる保守合同)して結成された保守政党です。自民党は保守政党であり続けるべきです。ここで私がいう保守とは、立場や政策や考え方をいうのではありません、エドマンド・バークににまで遡る、真の保守主義のことです。

そうして、安倍政権は憲政史上最長の政権になったのですから、現代日本では安倍政権の継承こそ、もっとも自民党政権を長期安定化させる道であるということを理解すべきです。これが現実なのですから、自民党内のリベラル左派もこれに従うべきです。どうしても嫌なら、自民党に在籍し続けるべきではありません。それは、公明党も同じです。

公明党が自民党と連立を組み続けたいなら、リベラル左派的な考えを貫くのはやめるべきです。それがどうしても嫌なら自ら、連立を解消すべきです。

自民党岩盤支持層もこれで納得するでしょうし、他の自民党支持者もこれで納得するでしょう。

これ以外の道を選択すれば、岸田政権は凋落し続けるでしょうし、岸田首相以外の人が総裁になっても、自民党の凋落は止まらなくなるでしょう。その先は、自民党は再び下野するしかなくなるでしょう。そのくらいの瀬戸際にあることを自民党は理解すべきです。

多くの自民党員はそれを理解しているのでしょうが、まだ派閥の力学だけで動こうとする政治家が存在しており自民党としての起死回生策に踏み切れないでしょう。

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