景気が低迷するドイツ AI生成画像 |
第1・四半期のGDPは0.3%減から0.1%減に、昨年第4・四半期のGDPは0.5%減から0.4%減に修正された。冬季に緩やかな景気後退に陥ったことになる。
家計消費は冬季の低迷から第2・四半期に安定を取り戻した。
第2・四半期のGDPは前年比(物価・日数調整後)で0.2%減だった。
INGのマクロ担当グローバルヘッド、カーステン・ブルゼスキ氏は「ドイツ経済は停滞と後退の中間地帯にはまっているとの見方を変えていない」と指摘。購買力の低迷、鉱工業受注の縮小、過去数十年で最も積極的な金融引き締めの影響、予想される米経済の減速が、経済活動の低迷を示唆していると述べた。
パンテオン・マクロエコノミクスのユーロ圏チーフエコノミスト、 クラウス・ビステセン氏は「ドイツ経済は当面、ぬかるみから抜け出せないだろう」と述べた。
ドイツ経済は現在リセッション(景気後退)にあり、2四半期連続でマイナス成長と定義されている。2023年第1四半期は0.1%、第2四半期は0.3%経済が縮小した。ドイツが景気後退に陥るのは、COVID-19パンデミックによって経済活動が急激に低下した2020年以来である。
【私の論評】岸田首相は、人の話を聞くだけではなく、ドイツをはじめとするEU諸国の失敗から学ぶべき(゚д゚)!
ドイツの経済的苦境は、誤ったリベラル的政策とロシアのエネルギーへの過度の依存が招いたものです。2018年にトランプ大統領が国連の演説で賢明にも指摘したように、ドイツは原子力を放棄し、天然ガスをロシアに依存することで自らを脆弱にしてきました。
原子力発電の段階的廃止はエネルギーコストを高騰させ、ドイツの産業界を疲弊させました。これにウクライナ紛争によるエネルギー価格の高騰が重なれば、ドイツ経済が低迷するのも当然です。
ドイツの緑の党は愚かな環境保護政策をとってきましたが、それがついにしっぺ返しとなって我が身に振り返ってきたともいえます。原発を停止し、エネルギーのためにプーチンに寄り添ったことで、彼らは自らを破滅に追い込んだともいえます。
ドイツの緑の党による環境保護政策 |
グリーン・エネルギーとロシアの好意を信じる彼らの甘すぎる認識は、ドイツを不況に導くだろうことは、容易に想像できました。トランプ大統領を馬鹿にするのではなく、賢明な警告に耳を傾けてさえいれば、今日のようなことはなかったでしょう。
第73回国連総会での演説で、トランプ大統領はドイツがロシアの石油輸出に依存していることを批判しました。
「単独の海外供給国に依存すれば、強要や脅迫を受けやすくなる恐れがあります。ですから我々は、ポーランドのように、ヨーロッパの国がエネルギー需要を満たすためにロシアに依存しないようバルチック・パイプ建設を主導していることを祝福します。ドイツは直ちに方針を変えなければ、完全にロシアのエネルギーに依存するようになるでしょう」とトランプは述べた。
「この西半球で、我々は拡大を進める外国勢力の侵害からの独立性を維持することに全力で取り組みます」とトランプが続けると、ドイツ代表団にカメラが向けられ笑っている様子が映った。 以下にのそのときの動画を掲載します。
トランプは2018年のドイツとNATOリーダーとの会談中にも同様に、ドイツのエネルギー依存について警告するコメントを発していました。
「ドイツがロシアと莫大な石油・天然ガス取引を行うのはとても残念だ。ロシアを警戒すべきであるのに、ドイツはロシアに年間何十億ドルも支払おうというのだ。そういうわけで我々はあなたたちをロシアから守ることになっているのに、ロシアに何十億ドルも支払っているのだから、それはとても不適切だと思う」とトランプは述べた。トランプは、ノルドストリーム2パイプラインの完成を阻止するための制裁を許可しました。パイプラインができれば、ロシアはウクライナをバイパスして天然ガスをヨーロッパに送ることができ、ロシアのウラジミール・プーチン大統領にとって地政学的な大勝利となります。
「ドイツはロシアと新パイプラインから60ー70パーセントのエネルギーを得ることになるので、ロシアに完全に支配される。そしてそれが適切かといえば、否だと私は思う」とトランプは、イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長に呼びかけた。
ジョー・バイデン大統領は、就任に際して制裁を取り消したのですが、ロシアのウクライナ侵攻後最近になってからようやく制裁を元に戻しました。ロシアがウクライナに侵略し、ドイツ経済が低迷し、回復の見込みもない現在、このトランプの演説の内容を聴いて、笑うもの等一人もいないでしょう。
現在、このときの動画を視聴すると、当時のドイツ代表団は、間抜けとしか言いようがありません。まさに、ドイツはロシアにエネルギーを依存することにより、ロシアのウクライナ侵略を促した可能性も否定できません。
ドイツを牛耳る左派は、この苦境を自分たち以外のせいにすることはできません。彼らの急進的な考え方と常識からの逸脱は、以前は好調だったドイツ経済に深刻なダメージを与えましたた。
ドイツ政府は現在、景気浮揚策を講じる必要に迫られています。しかし、ドイツ政府は多くの課題に直面しています。ウクライナでの戦争はまだ続いており、世界的なサプライチェーン危機は収束の兆しを見せていません。また、財政赤字が大きいため、景気刺激策を実施するにも限界があります。
その結果、ドイツの景気後退がいつまで続くかは不透明です。政府は2023年後半からの景気回復を期待していますが、その保証はありません。ウクライナ戦争が長引き、世界的なサプライチェーン危機が悪化する可能性もあります。この場合、ドイツ経済は今後も縮小を続ける可能性があります。
他のEU諸国も現在、経済的苦境に立たされています。
EU諸国の経済的苦境 |
イタリアは、肥大化した福祉プログラム、高い税金、過剰な政府支出のために、何年も停滞と高い失業率と戦ってきました。巨額の国家債務と財政赤字が経済成長を阻害しています。
フランス経済は、高い税金、融通の利かない労働法、威圧的な政府の介入といった同様の問題により、ほとんど成長していません。マクロン大統領の改革は行き詰まり、「黄色いベスト」デモはさらに景況感を悪化させています。
スウェーデンの経済は、住宅危機、輸出の減少、世界的な貿易戦争の影響により著しく減速しています。グリーンエネルギーへの過度の依存と高いエネルギー税が企業のコストを引き上げています。
スペイン経済は一時的に回復したものの、政情不安、分離独立運動、金融危機の影響を引きずる脆弱な銀行システムにより、再び低迷しています。若者の失業率の高さは依然として慢性的な問題です。
ギリシャは債務危機と経済破綻から完全には回復していません。救済措置や緊縮財政によって財政赤字は縮小したものの、政治的混乱や脱税、ビジネスチャンスの欠如が続いているため、経済成長はまだ達成されていません。
景気後退に見舞われている国々は、過剰な支出と債務、過剰な規制、高い税金、グリーン・エネルギー政策によるエネルギーコスト上昇、経済の柔軟性の欠如、景況感を損なう政治的・社会的不安定性など、同じような根本原因を抱えています。
さて、日本を振り返ると、ドイツや他のEU諸国などと比較すると、良い状況にあると考えられます。
その要因としては、安倍・菅両政権においてあせわて、100兆円(安倍政権60兆円、菅政権40兆円、合計100兆円は当時の受給ギャップに匹敵する)にも及ぶ補正予算を増税なしで組み、コロナ対策を実行したことがあげられます。
さらに、他国が、最近ではかなりのインフレに見舞われたため、利上げなどの金融引締策を実行したさなかにあり、日本はデフレ気味であったので、金融緩和政策を継続したことが考えられます。これにより、円安になったことから輸出産業が好調になったことが、現在の日本の景気を支えています。
岸田首相は、安倍・菅政権の政策に支えられ、現在の好調な経済を引き継ぐことができたのです。今後、岸田首相が配慮すべきは、ドイツなどの失敗でも明らかになったように、エネルギー政策を間違わないこと、EU諸国の現在の経済低迷の背景ともなっている、リベラル左派的な政策をとらないこと、後もう一つは増税などの緊縮財政などを実施しようとする財務省を中心とする一派の策略に乗らないことです。
岸田首相は、人の話をよく聞くだけではなく、ドイツをはじめとするEUの国々の失敗から学ぶべきです。米国のつきあい方なども考えるべきでしょう。
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