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高橋洋一実質賃金のマイナスに不安を感じる人々 AI生成画像 |
厚生労働省が発表する毎月勤労統計によると、実質賃金は4月まで13カ月連続でマイナスとなっている。
実質賃金は、名目賃金を消費者物価指数で割り戻して得られる。この伸びがマイナスというのは、名目賃金の伸びよりインフレ率が高いことを意味する。
一般論として、物価は経済状況をすぐ反映して上がりやすいが、賃金は労使交渉などで決まる要素があり、物価より遅れがちだ。また、賃金は過去の物価状況をみて、生産性上昇分を加味して決まる傾向がある。
実際の数字をみると、インフレ率は前年同月比で昨年4月から2%を超え、今年1月に4・3%とピークになった。その後、3%台に落ち着き、4月に3・5%、5月に3・2%となっている。
実質賃金がマイナスになったのは昨年4月からだ。名目賃金の上昇は、昨年来2%程度の伸びであるが、インフレ率にはかなわない。しかも、今年に入り、名目賃金の伸びがいまいちだ。その結果、実質賃金はマイナスの伸びとなっている。今年1月には4・1%低下、4月は3・2%低下だった。
今後のインフレ率は、徐々に伸びが弱まり、日銀によれば2023年度の見通しは2%弱だ。一方、今年の名目賃金は年後半にかけて上がっていくはずだ。となると、遅くとも今年度中には実質賃金がプラスになっているだろう。
ただし、名目賃金が上がるためには、失業率が低位で維持されていることが必要だ。今の経済状況であれば、景気が維持され、そうした良い雇用環境である公算が大きい。
だが、岸田文雄政権が緊縮財政に転じたりしてGDPギャップ(総需要と供給力の差)が拡大すると雇用環境が壊されるかもしれない。
植田和男総裁体制の日銀は、岸田政権の緊縮度をみながら金融引き締めのタイミングを計るので、財政緊縮になると、金融政策も同時に引き締めとなりかねない。
岸田政権は、今のところは「ステルス増税」かその準備段階なので、まだ増税・緊縮財政は顕在化していない。
一方、22年度の国の税収は71兆円台と初めて70兆円を超えた。本コラムでは、既に税収が70兆円を超えることは予想しており、別に驚かないが、まさに円安のたまものだといえる。円安で法人企業収益が伸びるのは、筆者が財務官僚時代から変わらない。そのため、法人税や所得税も伸びた。さらに多少インフレ気味なので消費税の税収が伸びた。
税収が3年連続で過去最高を更新しているにも関わらず、防衛増税、少子化対策でのステルス増税(扶養控除見直し、社会保険料引き上げなど)を引っ込める動きはまだない。
ここは増税とは逆に、秋の補正予算で税収の上振れを還元すべきだ。賃上げに特化した減税などの景気対策を行えば、実質賃金はすぐにプラスに転じるだろう。絶好のチャンスを逃してはならない。
賃上げを行った企業に対する法人税率の一時的引き下げ。これは企業にとって賃上げのインセンティブとなり、ひいては労働者の所得を押し上げ、消費を刺激します。
賃上げを行った企業に対する税額控除。これは、法人税率の一時的引き下げと同様の働きをするが、企業が賃上げを行うための、より的を絞ったインセンティブとなります。
財務省(MOF)は日本における強力な組織であり、経済政策に大きな影響力を持っています。財務省は徴税と国債管理を担当しており、安定した財政状況を維持することに強い関心を持っています。
消費税減税は大幅な財政刺激策であり、政府歳入の減少につながる可能性が高いです。そのため財務省は、消費税減税を自らの権力と影響力を脅かすものと考え、反対する可能性が高いです。ただ、これは杞憂にすぎず、たとえ消費税減税をしても小幅なものであれば、それによる経済成長が考えられるので、税収減は相殺されることが予想されます。
財務省はまた、与党の自民党にも強い影響力を持っています。自民党の政治家の中には、元財務省職員であり、経済政策に関して大蔵省の見解に同調する可能性が高いです。そのため、自民党の政治家が公然と消費税減税を支持する可能性は低いようです。
さらに、財務省はメディアや経済界に強力なネットワークを持っています。これらの味方は、消費税減税を支持する政治家を批判する可能性が高いです。このため、自民党の政治家が消費税減税を支持することは、政治家としてのキャリアを危険にさらすことになり、さらに難しくなるようです。
財務省の権力と影響力の結果、与党の政治家が公に消費税減税を支持する可能性は低いです。消費税減税は景気を回復させ、実質賃金を上昇させる非常に効果的な方法であるにもかかわらず、この機会を逃し続けているのです。
実質賃金は、名目賃金を消費者物価指数で割り戻して得られる。この伸びがマイナスというのは、名目賃金の伸びよりインフレ率が高いことを意味する。
一般論として、物価は経済状況をすぐ反映して上がりやすいが、賃金は労使交渉などで決まる要素があり、物価より遅れがちだ。また、賃金は過去の物価状況をみて、生産性上昇分を加味して決まる傾向がある。
実際の数字をみると、インフレ率は前年同月比で昨年4月から2%を超え、今年1月に4・3%とピークになった。その後、3%台に落ち着き、4月に3・5%、5月に3・2%となっている。
実質賃金がマイナスになったのは昨年4月からだ。名目賃金の上昇は、昨年来2%程度の伸びであるが、インフレ率にはかなわない。しかも、今年に入り、名目賃金の伸びがいまいちだ。その結果、実質賃金はマイナスの伸びとなっている。今年1月には4・1%低下、4月は3・2%低下だった。
今後のインフレ率は、徐々に伸びが弱まり、日銀によれば2023年度の見通しは2%弱だ。一方、今年の名目賃金は年後半にかけて上がっていくはずだ。となると、遅くとも今年度中には実質賃金がプラスになっているだろう。
ただし、名目賃金が上がるためには、失業率が低位で維持されていることが必要だ。今の経済状況であれば、景気が維持され、そうした良い雇用環境である公算が大きい。
だが、岸田文雄政権が緊縮財政に転じたりしてGDPギャップ(総需要と供給力の差)が拡大すると雇用環境が壊されるかもしれない。
植田和男総裁体制の日銀は、岸田政権の緊縮度をみながら金融引き締めのタイミングを計るので、財政緊縮になると、金融政策も同時に引き締めとなりかねない。
岸田政権は、今のところは「ステルス増税」かその準備段階なので、まだ増税・緊縮財政は顕在化していない。
一方、22年度の国の税収は71兆円台と初めて70兆円を超えた。本コラムでは、既に税収が70兆円を超えることは予想しており、別に驚かないが、まさに円安のたまものだといえる。円安で法人企業収益が伸びるのは、筆者が財務官僚時代から変わらない。そのため、法人税や所得税も伸びた。さらに多少インフレ気味なので消費税の税収が伸びた。
税収が3年連続で過去最高を更新しているにも関わらず、防衛増税、少子化対策でのステルス増税(扶養控除見直し、社会保険料引き上げなど)を引っ込める動きはまだない。
ここは増税とは逆に、秋の補正予算で税収の上振れを還元すべきだ。賃上げに特化した減税などの景気対策を行えば、実質賃金はすぐにプラスに転じるだろう。絶好のチャンスを逃してはならない。
この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたいかたは、元記事をご覧になって下さい。
名目賃金とは、貨幣で受け取った賃金そのものを指します。一般的には、現金で支給された給与額がそれにあたります。そして、名目賃金とセットで考えられるのが実質賃金です。実質賃金とは、物価と賃金の関係を表したもので、労働者が実際に受け取る名目賃金から消費者物価指数をデフレートした値を指します。
現状のインフレ傾向の状況では、実質賃金を上げる工夫が必要です。それには以下のような対策があります。
【私の論評】本当は消費税減税が一番効果があるのだが、それを邪魔するのは誰か(゚д゚)!
現状のインフレ傾向の状況では、実質賃金を上げる工夫が必要です。それには以下のような対策があります。
実質賃金の上昇で喜ぶ人々 AI生成画像 |
賃上げを行った企業に対する法人税率の一時的引き下げ。これは企業にとって賃上げのインセンティブとなり、ひいては労働者の所得を押し上げ、消費を刺激します。
賃上げを行った企業に対する税額控除。これは、法人税率の一時的引き下げと同様の働きをするが、企業が賃上げを行うための、より的を絞ったインセンティブとなります。
消費税の引き下げ。税率が10%になった消費税の税率を5%等に引き下げる。これは一時的であっても効果があると考えられます。景気が加熱して、インフレ率が恒常的に4%〜5%になっても、雇用が改善されなくなった場合また、税率を段階的に上げることなどの措置が考えられます。
税収の増加は、好調な経済や円安や消費増税など多くの要因によるものです。経済的に苦しい人々を助けるために政府が行動を起こす良い機会です。
賃上げは景気回復計画の重要な一部です。賃金上昇を刺激する措置を講じることで、政府は所得を押し上げ、消費を刺激し、雇用を創出することができます。
特にその中でも、 消費税減税は、経済を刺激し、賃金を引き上げる非常に効果的な方法です。消費税減税は、消費者の懐に入るお金を増やし、支出の増加につながります。その結果、商品やサービスの需要が高まり、賃金上昇圧力が高まるでしょう。
加えて、消費税減税は政府にとって比較的実施しやすい措置です。単純に消費税率を引き下げることもできるし、特定の商品やサービスに対する一時的な免税措置を導入することもできます。補助金や助成金と異なり、事務作業が増えることもありません。
上の記事で高橋洋一氏が減税を主張したのは、事務作業が増えて、対策が遅れることを危惧したためであると思われます。
実際、補助金や助成金制度において、審査や実際の配布を行うのは、地方自治体です。補助・助成金には審査もありますし、交付事務もあります。これが莫大な量となれば、地方自治体の負担は半端ではなくなります。
事務量が半端でなく増えた日本地方自治体のオフィスで呻吟する公務員達 AI生成画像 |
コロナ感染の初期から中期にかけての、クラスター確認のための保健所の負担が、半端なものではなかったことを思い返していただきたいです。
安倍・菅両政権においては、両政権あわせて100兆円の補正予算を組んで、コロナ対策にあたりましたが、これには岸田政権になってからも、かなり積み残しがあったとされています。
コロナ対策の補正予算の積み残しの具体例を以下にあげます。
リモートワーク推進費: 政府は2020年度補正予算でリモートワークの推進に1000億円を計上しました。しかし、2022年3月時点で300億円しか使われていませんでした。
中小企業支援資金: 政府は2020年度補正予算で中小企業支援のために1兆円を計上した。しかし、2022年3月時点で7000億円しか使われていませんでした。
ワクチンや治療法の開発資金: 政府は2020年度補正予算で、COVID-19のワクチン・治療法開発費として5,000億円を計上しました。しかし、2022年3月時点で3000億円しか使われていませんでした。
これらはコロナ対策の補正予算の使い残しのほんの一例です。他にも多くの例があり、未使用額の総額は数百億円に上ると推定されます。
これだけの金額が使われずに残っている理由はいくつかあります。ひとつは、政府の対策が遅かったこと。また、地方自治体がパンデミック対策に追われながら、補助金、助成金の審査を行い、交付事務も行ったため、事務作業が増え、外注しても追いつかなかったという事実もあります。それにご存知のように、補助金・助成金というと、不正を助長するということもあります。
以上のようなことから、 私は、日本政府は景気刺激策の一環として消費税減税を検討すべきだと思います。景気を押し上げ、賃金を上昇させるのに効果的な措置です。ただ、 消費税の大幅減税はインフレ率の急上昇を招きかねず、長期的には消費者に打撃を与える可能性もあります。
政府は、消費税減税がインフレに与える影響を慎重に検討した上で決断すべきです。しかし、小幅な消費税減税は、経済を刺激し、賃金を引き上げる非常に効果的な方法だと思われます。
政府は、消費税減税がインフレに与える影響を慎重に検討した上で決断すべきです。しかし、小幅な消費税減税は、経済を刺激し、賃金を引き上げる非常に効果的な方法だと思われます。
こうしたことを与党の政治家が誰も言わないのは不思議です。これは箝口令でも敷かれているのではないかと疑ってしまいます。
だとしたら、言論の封殺としか言いようがありません。その背後には、財務省があると考えるのが、妥当だと思います。
消費税減税は大幅な財政刺激策であり、政府歳入の減少につながる可能性が高いです。そのため財務省は、消費税減税を自らの権力と影響力を脅かすものと考え、反対する可能性が高いです。ただ、これは杞憂にすぎず、たとえ消費税減税をしても小幅なものであれば、それによる経済成長が考えられるので、税収減は相殺されることが予想されます。
財務省はまた、与党の自民党にも強い影響力を持っています。自民党の政治家の中には、元財務省職員であり、経済政策に関して大蔵省の見解に同調する可能性が高いです。そのため、自民党の政治家が公然と消費税減税を支持する可能性は低いようです。
さらに、財務省はメディアや経済界に強力なネットワークを持っています。これらの味方は、消費税減税を支持する政治家を批判する可能性が高いです。このため、自民党の政治家が消費税減税を支持することは、政治家としてのキャリアを危険にさらすことになり、さらに難しくなるようです。
財務省の権力と影響力の結果、与党の政治家が公に消費税減税を支持する可能性は低いです。消費税減税は景気を回復させ、実質賃金を上昇させる非常に効果的な方法であるにもかかわらず、この機会を逃し続けているのです。
絶大な権力を持つ日本の財務省 AI生成画像 |
財務省の権力構造を改革することができるのは、現状では岸田首相以外には存在しないでしょう。そうして、岸田首相が長期安定政権を目指すために、財務省は邪魔な存在であると認識する可能性はあり得ます。
もし岸田首相が本気で財務省改革に取り組むのであれば、いくつかのステップを踏むことができるでしょう。第一に、財務省出身者ではない財務大臣を任命することです。そうすれば、もはや財務省だけが政府の経済専門家ではないというシグナルを送ることができます。現在の鈴木財務大臣は財務省出身ではありませんが、マクロ経済には疎く、力不足です。マクロ経済に通じた人を財務大臣に据えることか、改革の第一歩になるでしょう。
第二に、岸田首相は財務省から独立した新しい経済諮問会議を創設することができます。この諮問会議は、首相に経済政策に関する助言を提供する責任を負います。経済、ビジネス、学術などさまざまな分野の専門家で構成されます。現在の経済諮問会議は財務省のポチと言っても良い人達で構成されています。これらを、マクロ経済に通じた人たちに入れ替えるのです。
第三に、岸田首相は予算編成プロセスを改革することができます。現在の予算編成プロセスは財務省の影響を強く受けています。岸田首相は国会に予算プロセスに対する権限を与え、財務省が支持しないプログラムへの支出に拒否権を行使することをより困難にすることができるでしょう。
これらは、岸田首相が財務省の権力構造を改革するために取りうる措置のほんの一部です。もし岸田首相が本気で財務省改革に取り組むのであれば、大胆な行動を起こす必要があります。
上記の措置に加えて、岸田首相は財務省改革のために以下の措置を取ることもできます。
財務省の透明性と説明責任を高める。これは、財務省の活動に関するより多くの情報を公開し、より独立した監査機構を設けることによって行うことができます。
経済政策決定における国会の役割を強化する。これは、国会に予算編成プロセスに対する権限を与えることや、財務省から独立した新たな経済諮問会議を設けることによって行うことができます。
財務省は日本の金融セクターを監督する責任があります。財務省は大手銀行の利益を守ってきた長い歴史があり、金融セクターの競争促進には消極的でした。
しかし、金融セクターの競争促進が日本経済の長期的な健全性にとって不可欠であるというコンセンサスが高まっています。競争は金利の低下、技術革新の促進、消費者へのサービス向上につながります。
財務省が競争促進に消極的なのは、それが権力の一部を放棄することを意味するからです。金融セクターの競争を促進されることになれば、財務省はこの支配の一部を放棄しなければならないです。
銀行は、さらに、新商品や新サービスの提供など、現在許されていないことができるようになります。このことは、財務省が銀行をコントロールできなくなり、銀行の利益を守ることができず、よって銀行は従来のように居心地の良い天下り先ではなくなります。
これらは、岸田首相が財務省を改革し、日本国民のニーズにもっと応えられるようにするために取り得る措置のほんの一部です。
また、財務省は競争促進にも消極的です。なぜなら、そうなれば、財務省は意思決定についてよりオープンにならざるを得なくなり、国民に対してより説明責任を果たさなければならなくなります。このことは、財務省が密室での意思決定する力を弱めることを意味します。
これらは、岸田首相が財務省を改革し、日本国民のニーズにもっと応えられるようにするために取り得る措置のほんの一部です。
岸田首相が本気で財務省改革をするようにはいまのところ全く見えません。しかし、長期安定政権を維持するために、財務省が最大の障害になりえることを認識した場合は、あり得ると思います。
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