「ゼロリスク」思考の落とし穴 |
ゼロリスク思考とは、リスクをゼロにすることを目指す思考のこと。この思考は、東京電力福島第1原発の処理水放出への反対や、マイナンバーをめぐるトラブル追及の背景にあると考えられている
国際原子力機関(IAEA)は、福島第1原発の処理水について、日本による海への放出計画が国際基準に合致しているとする最終報告書を公表した。この報告書では、処理水の放出が人や環境に与える影響は無視できる程度だとしている。
しかし、それでも処理水の放出に反対する人はいる。彼らは、「人や環境へのリスクはゼロでない」という言い方をする。筆者は、「今この場で隕石が降ってきて死ぬリスク(確率)はゼロでないが、無視しているではないか」と答えるようにしている。
マイナンバーカードでも、保険証へのひも付けが7000件ほど間違っていたと報じられると、「あってはならない」「もし自分がそうなったらどうするのか」と言う人がいる。そういう時、筆者は「1.5万人に1人なのでめったに当たらない、宝くじを30枚購入して100万円が当たるようなものだ」と答える。
それでも、リスクはゼロであるべきだという「ゼロリスク思考」の人は、はじめから確率を聞こうともしない。
世の中に100%安全はなく、リスクは何%程度かという程度問題にすぎない。しかし、人はしばしばリスクを「有」「無」の二分法で考え、ゼロリスクを求める。
というのは、筆者はリスクを数量的な確率で考えるが、一般の人たちはリスクを確率でなく、「恐ろしさ」と「未知なもの」という2つの因子で認識しがちだ。これは、米国の心理学者ポール・スロビック博士が提唱した考え方だが、その結果、リスクを「有」「無」の二分法で考えることに陥りがちなことをよく説明している。
加えて、人は定量的な理性より「有」「無」の直感が優位に立つ。2002年ノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者のダニエル・カーネマン博士のいうように、直感は「速い思考」であるのに対し、理性は「遅い思考」なのだ。筆者もその例外ではないが、遅い思考をできるだけ速く行い、速い思考を抑えているだけだ。
リスクを「有」「無」の二分法で考えないようにするためには、リスクを定量的に日常で体感できるものと比較するのがいいだろう。筆者がよく使うのは前述の宝くじのほか、交通事故率や天気予報の降水確率だ。
交通事故の死者・重傷者数は年間約3万人で、保険証のひも付けミスに遭う確率はそれより低い。降水確率は0%と表記するが、気象庁は「ゼロ」でなく「れい」と発音している。降水確率0%は0~5%の意味なので、「れい」(零)のほうが適切だ。この場合、ほとんどの人が傘を持たないが、まれに雨に降られることもある。保険証のひも付けミスに遭う確率は、降水確率0%で雨に降られるよりもはるかに低い。
悪質なのは、リスクを確率で考えられない人の弱みにつけ込んで、「安全より安心」などという人たちが後を絶たないことだ。
これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧ください。
【私の論評】まともな過程を通じて意思決定する習慣をもたなければ、重要な意思決定ができなくなる(゚д゚)!
ドラッカー |
ドラッカーは著書『エフェクティブ・エグゼクティブ』の中で、新製品に投資するかどうかの決断を迫られたマネジャーの例を挙げています。マネジャーは決断を下す前に、問題を明確に定義する必要があります。投資の目的は何か?潜在的なリスクと利益は何か?
ドラッカーは著書『Efective Executive(邦題:経営者の条件)』の中で、「リスクゼロを目指す経営者は、成果ゼロを達成する」と書いています。そして、"計算されたリスクを取ることを厭わない経営者は、大きな成果を達成する "と述べています。
ドラッカーが言いたいのは、リスクを恐れるべきではないということでしょう。しかし、無謀であってはならないです。それぞれの決断のリスクとベネフィットを慎重に検討し、組織にとって最善の利益をもたらす決断を下すべきです。
ピーター・ドラッカーは、ゼネラル・モーターズ会長アルフレッド・スローンを例に、意思決定プロセスにおける反対意見の重要性を説きました。スローンは、会議で反対意見が出なければ、その決定は適切に検討されていないと考えていました。彼は、問題のあらゆる側面が検討されたことを確認するために、しばしば自分の提案に反対するよう人々に求めました。
アルフレッド・スローン氏 |
これは、意思決定の前に情報を集め、それを注意深く分析することの重要性を強調するドラッカーの意思決定論と一致しています。反対意見を求めることで、スローンは各決断の潜在的なリスクとベネフィットをすべて考慮するようにしていました。これにより、彼はより良い決断を下し、感情や直感に基づく決断を避けることができました。
スローンの意思決定に対するアプローチは、計算されたリスクを取る方法の良い例です。反対意見を求めることで、彼は各決断の潜在的リスクを確実に認識していたのです。しかし、彼は多少のリスクを伴う決断も厭いませんでした。それが大きな成果を上げる唯一の方法であることを知っていたからです。
意思決定のためには、正しい妥協をすることも重要です。なぜなら、大方の意思決定は、理想通りにはいかず、妥協を迫られることがほとんどだからです。しかし、妥協でも、して良いものとそうではないものがあります。
ソロモン王の裁き 半分のパンは食用になるが・・・・・・ |
この物語は、関係者全員にとって公平な妥協をすることの重要性を示しています。意思決定においては、両者が満足する中間点を見つけることがしばしば必要です。しかし、その妥協案が公平なものであり、一方の当事者に有利なものでないことを確認することが重要です。
ドラッカーは、正しい妥協をすることがリーダーの重要なスキルであると主張しました。リーダーには、さまざまな利害関係者のニーズのバランスをとり、誰にとってもうまくいく解決策を見出す能力が求められます。正しい妥協をすることで、リーダーは信頼と協力を築き、目標を達成することができます。
安倍総理の演説妨害者を説教するおばちゃん、超絶有能―【私の論評】「安倍憎し」ばかりを繰り返すなら、今度はマスコミ、リベラル・左翼全体が崩壊する(゚д゚)!
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