政府税調は、首相の諮問機関であり、中期答申は、2025年度から30年度までの10年間の税制改革の方向性を示すもの。答申では、通勤手当だけではなく、退職金や控除の見直しなど、サラリーマンの生活に関わる問題だけでも別表のような項目が列挙されている。
田中秀臣上武大学教授は、「歴史的に党税調が税制改正の方針を決めてきた経緯からも、『今は考えていない』というのは本当だろう。しかし、政府税調が中長期的な方針を打ち出してもおかしくない。安倍晋三、菅義偉政権下で陰に隠れていた政府税調が最近、注目されるようになった。岸田首相に定まった経済政策観がない中、財務省が好機ととらえ、政府税調を利用し、観測気球を飛ばしたのではないか」とみる。
高橋洋一嘉悦大学教授は、「政府税調の答申についてメディアや世論が黙っていれば増税に向けて動き出す可能性もあった。党税調が増税を考えていないというのなら結構なことだが、国民に不安を与えたのは、政府税調の答申を棚上げしたり、もっと短い答申を出すよう調整したりしなかった政権側のミスだといえる」と指摘した。
岸田首相は、国民の怒りを買うような増税はあり得ないと強調しているが、今後も増税派の動きが注目される。
上の記事を読んでいて、やはり党税調と、政府税調の違いが気になるところだと思います。
1950年、自民党は税制調査会(党税調)を設置しました。党税調は、税制改正の方針を決める党の諮問機関であり、現在では、税制改正の際には、党税調の答申を参考にして、税制改正大綱が作成されています。
党税調が税制改正の方針を決めてきた経緯には、いくつかの理由があります。まず、税制は、国民生活に大きな影響を与えるものであり、その改正には慎重な議論が必要です。党税調は、与党の議員で構成されており、国民の声を反映した税制改正の方針を決めることができます。
また、党税調は、税制改正の際には、政府税制調査会(政府税調)と協力して、税制改正大綱を作成しています。政府税調は、専門家で構成されており、党税調と政府税調の協力により、より良い税制改正大綱が作成されています。
今後も、党税調は、税制改正の方針を決める重要な役割を果たしていくと考えられます。
政府税制調査会は、1949年に設立されました。当時、日本の財政は戦後復興期にあり、税制の抜本的な改革が必要でした。そこで、政府は、税制調査会を設置し、税制の在り方について議論してもらうことにしました。政府税制調査会は、学識経験者や実務家で構成されており、税制の現状や課題について調査・研究を行った上で、答申を提出しました。政府は、この答申を参考にして、税制改正を行いました。
政府税制調査会は、税制の在り方について議論する場として重要な役割を果たしてきました。今後も、税制の抜本的な改革が必要な場合には、政府税制調査会が議論の場として活用されることになるでしょう。
政府税制調査会は、意見を聞く会という性格が強いと思います。これは、政府税制調査会が、学識経験者や実務家で構成されており、税制の専門家であるからです。政府税制調査会は、税制の在り方について、専門的な意見を述べることができます。
政府税制調査会は、意見を聞く会という性格が強いですが、その意見は、政府の税制改正に大きな影響を与えます。政府は、政府税制調査会の答申を参考にして、税制改正を行います。そのため、政府税制調査会は、税制の在り方について議論する場として、重要な役割を果たしています。
政府税制調査会は、学識経験者や実務家で構成されており、税制の在り方について議論する場として重要な役割を果たしてきました。しかし、政府税制調査会の答申は、あくまでも参考意見であり、政府は、最終的に、政府税制調査会の答申を参考にして、税制改正を行うかどうかを判断します。
一方、党税調は、与党の議員で構成されており、税制改正の方針を決める党の諮問機関です。党税調は、政府税制調査会の答申を参考にして、税制改正の方針を決めますが、最終的には、党税調が税制改正の方針を決定します。
そのため、党税調は、実質上税に関する自民党の意思決定機関と言えます。
さて、政府税制調査会(政府税調)が提出した中期答申には、幅広い分野での「増税・負担増」候補が盛り込まれていますが、これがすべて実現したとすれば、国民の負担は大きく増加すると考えられます。具体的には、次のようなものが考えられます。- 所得税の引き上げ
- 社会保険料の引き上げ
- 消費税の引き上げ
- 資産課税の強化
- 環境税の導入
さらに、増税・負担増は、国民の経済的格差を拡大させる可能性もあります。所得税の引き上げや社会保険料の引き上げは、低所得層に大きな影響を与えると考えられます。また、資産課税の強化は、富裕層に大きな影響を与えると考えられます。
このように、政府税制調査会の中期答申に盛り込まれている増税・負担増は、国民の生活に大きな影響を与えると考えられます。国民の中でも、特にサラリーマン世帯にかなりの負担になることが予想されるため、岸田文雄首相は、自民党税制調査会の宮沢洋一会長と官邸で会い、「サラリーマン増税はまったく考えていない」と伝えたのです。
岸田文雄首相は、2023年度までにGDPを700兆円に増やすことを打ち出せば、支持率がかなり上がると私は思います。
日本経済は、2023年前半+1%台の堅調な成長が続いています。他国と比べてインフレ率が低い日本では、22年からの通貨安(円安)が経済成長を支えています。さらにコロナ収束で外国人訪日客が戻り、円安がインバウンド消費を刺激しているので、観光資源を持つ地方を含め経済回復に大きく貢献しています。23年1-6月のインバウンド消費は2.2兆円、GDPの0.8%に相当します。
日本のインバウンド消費 AI生成画像 |
日銀の金融緩和が円安を後押ししていますが、日本のインフレは他国対比でかなり低いままなので金融緩和継続は当然でしょう。22年以来の米欧の高インフレ、そして金利上昇が主たる円安要因です。米欧の高インフレは当事国にとって大きな経済問題だが、円安は日本経済にとっては追い風となりコロナ禍の収束とあいまって、世界経済が減速する中でも日本経済は底堅さを保っています。
経済政策については一定程度成果を挙げているのですが、岸田政権の支持率上昇要因になってはいないようです。7月に入り内閣支持率は、大臣の辞任などが続いた2022年末と同水準まで再び低下しています。支持率が低下する要因はいくつかありますが、「成長重視の政策対応が今後も続くか」との疑念が払拭されないので、政権への信認が高まらない事が一因と思われます。
例えば、恒久的な歳出拡大が決まる中で、増税による緊縮財政政策への転換が政府税調などから提唱されています。我が国には財政規律を最重視すべきとの信念を持つ政治勢力が存在します。岸田政権がこれらを採用するかは政治判断次第ですが、岸田官邸には経済政策に確たる軸がないため、いつ緊縮的な財政政策に転じても不思議ではありません。
岸田政権が経済成長を重視し続ける場合、これが信認されるにはどうすればいいだろうか?第2次安倍政権は2015年に名目GDP600兆円を目標に掲げました。最新の政府見通しでは2024年度に名目GDPは600兆円台に達しますが、これは楽観的ではなく十分達成可能です。この意味でも、岸田政権は安倍・菅内閣の経済政策を部分的に継承し、予定より遅れたが成果が出始めています。
岸田政権は、24年度GDP600兆円実現を前提に、2030年度までにGDPを700兆円に増やすことを打ち出せば良いでしょう。これは、名目3%成長が2025年~2030年続けば達成可能です。安倍政権を超えるGDP目標を掲げれば、増税を優先して緊縮財政に早期に転じるとの疑念は薄れるのではないでしょうか。
日本が目指すGDP700兆円 AI生成画像 |
名目GDP拡大ともに税収も持続的に増えるので公的債務の持続性が高まり、経済安全保障政策の自由度も高まる。安倍政権を超える目標を設定し、岸田政権が経済成長を重視し続けるのであれば、日経平均株価は2,3年以内に史上最高値まで上昇してもおかしくないです。
具体的には、以下の政策を打ち出せば良いでしょう。企業の設備投資を促進する税制優遇措置を導入するのです。
- 成長戦略の策定と実行
- 規制改革の推進
- 科学技術イノベーションの推進
- 人材育成の強化
- インフラ投資の拡大
- 国際協調の強化
税収上振れ3年連続 「菅内閣レガシー」岸田首相に刺さった中西質問―【私の論評】岸田首相は現状では、「増税しない」選択肢を持っていることはだけは間違いない(゚д゚)!
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