2023年7月31日月曜日

「最低賃金1000円越え」への強烈な違和感…数字に基づいた「正しい水準」があったはずだ―【私の論評】今後岸田政権は民主党政権のように迷走し続ける可能性もでてきた(゚д゚)!

「最低賃金1000円越え」への強烈な違和感…数字に基づいた「正しい水準」があったはずだ





岸田首相

 7月末の先週、日本では以下の4つの大きな出来事があった。
  1. 松野博一官房長官は、サラリーマン増税を否定。
  2. 日銀は、長短金利操作の柔軟化を決定。
  3. 厚労省の中央最低賃金審議会は、今年度の地域別最低賃金額改定の目安を答申。
  4. 木原誠二官房副長官の妻の当時の夫の2006年の怪死事件について、妻を担当した取調官が実名で記者会見。
 これらの出来事について、以下に詳しく説明する。
  • 松野博一官房長官は、7月26日(木)、「サラリーマン狙い撃ちした増税行わない」とした。これは、夕刊フジが報じた、岸田首相がサラリーマンを狙い撃ちした増税を検討しているという報道に対する反論だ。松野官房長官は、政府税調が提出した答申には、サラリーマンを狙い撃ちした増税は含まれていないとし、政府はサラリーマンを守るために政策を講じていくと述べた。
  • 日銀は、7月28日(金)、金融政策決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール。YCC)の柔軟化を決定した。これは、YCCの目標とする長期金利の上限を0.5%から1.0%へと引き上げることを意味する。日銀は、この決定は、インフレ目標2%の達成に向けて必要な措置であると説明している。しかし、市場からは、日銀がインフレを恐れて金融引き締めに転じているとの懸念が広がっている。
日銀植田総裁
  • 厚労省の中央最低賃金審議会は、7月27日(金)、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申を取りまとめた。これによると、全国平均の最低賃金は、昨年度の961円から1002円に引き上げられる方向となった。これは、2016年以降で最大の引き上げ幅だ。厚労省は、今回の引き上げにより、低所得者層の生活を改善し、消費を拡大させることを目指している。
  • 木原誠二官房副長官の妻の当時の夫の2006年の怪死事件について、妻を担当した取調官が実名で記者会見を行った。取調官は、妻が当時の夫を殺害した疑いがあると述べ、警察が捜査を続けていることを明らかにした。木原官房副長官は、妻の事件についてコメントを控えている
 これらの出来事は、いずれも日本にとって重要な問題です。

 松野官房長官は、サラリーマン増税を否定し、政府はサラリーマンを守るために政策を講じていくと述べた。

 日銀は、インフレ目標2%の達成に向けて必要な措置として、YCCの柔軟化を決定した。

 厚労省は、低所得者層の生活を改善し、消費を拡大させることを目指して、今年度の地域別最低賃金額を大幅に引き上げた。

 木原官房副長官の妻の事件については、警察が捜査を続けています。これらの出来事が今後どのように展開していくか注目だ。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】今後岸田政権は民主党政権のように迷走し続ける可能性もでてきた(゚д゚)!

本当に、先週はかなり大きな動きがありました。この4つはどれも大きなものであり、大勢の人が消化不良気味になっているのではないかと思います。

1.松野博一官房長官は、サラリーマン増税を否定。

本当にサラリーマン増税をするつもりがないのなら、政府税調の答申を受け取らないというパフォーマンスをすべきでした。宮澤喜一首相は、1995年6月21日、政府税調の答申を受け取らなかったことを明らかにしました。これは、答申に消費税の増税が含まれていたためです。喜一首相は、消費税の増税を断固として拒否し、答申を受け取らなかったのです。

これらは、当時の新聞で明らかにされています。
  • 朝日新聞 1995年6月22日朝刊 1面
  • 読売新聞 1995年6月22日朝刊 1面
  • 毎日新聞 1995年6月22日朝刊 1面
  • 日本経済新聞 1995年6月22日朝刊 1面
こういうパフォーマンスをしなかったのですから、岸田政権としては増税の懸念を払拭するのは難しく、岸田首相としては、先日もこのブログで指摘したように、増税疑念を払拭するために、24年度GDP600兆円実現(かつて安倍首相がこれを約束、現状のままなら達成する可能性がかなり高い)を前提に、30年度までにGDPを700兆円にすることを打ち出すべきです。そうして、安倍首相の外交でも経済政策でも、安倍元首相の路線を引き継ぐことを表明し実行すべきです。


松野博一官房長官

2.日銀は、長短金利操作の柔軟化を決定。

日銀が許容する長期金利の上限は0.5%から1.0%へと引き上げられたといつて良いでしょう。実質上の利上げといって良いと思います。

今回のYCC修正前 実質金利=0.5-2%=-1.5% 修正後 実質金利=1~0.5ー1.9=-1.4%~-0.9%となります。実質金利を植田総裁は強調しますが、将来時点の物価見通しが低下ないし同じ(25年度)中で、予想実質金利の上昇幅を拡大する政策は、緩和を抑制するスタンスと理解されても不思議ではありません。

理由はマクロ経済よりも一部金融機関の「副作用」対応が優先したということとかもしれません。あとは自然利子率が上昇していると判断したのかもしれません。そうだと良いのですが。

しかし、すでに影響もで始めています。

大手銀行5行は31日、8月の住宅ローン金利を発表し、全行が代表的な固定期間10年の基準金利を引き上げた。日銀による大規模金融緩和策の修正を受け、金利上昇圧力が高まっており、住宅ローン金利は9月以降さらに上昇する可能性が出てきています。

8月の10年固定の最優遇金利は、三菱UFJ銀行が0.09%上昇の0.78%、三井住友銀行は0.10%高い0.89%、三井住友信託銀行が0.07%上昇の1.15%、みずほ銀行は0.05%高い1.20%、りそな銀行が0.05%上昇の1.39%。

5行がそろって上げたのは、昨年12月に日銀が長期金利の変動容認幅を0.25%から0.5%に拡大した直後の今年1月以来となります。変動金利は全行が据え置きました。

3.厚労省の中央最低賃金審議会は、今年度の地域別最低賃金額改定の目安を答申。

これは、高橋洋一氏が元記事でも解説されていましたが、当時までの数量分析から、最低賃金引き上げ率は、5.5から前年の失業率を引いた程度がいいと、安倍氏に進言したそうです。

実体経済を無視して、機械的に賃上げをすることは危険です。文在寅時代の韓国では機械的に賃上げをしたことにより、雇用が激減しました。賃上げも、ほどほどにしないと、とんでもないことになります。岸田政権は、これは目安として、実際には先程の穏便な賃上げにすべきでしょう。

4.木原誠二官房副長官の妻の当時の夫の2006年の怪死事件について、妻を担当した取調官が実名で記者会見。

木原誠二官房副長官の妻の当時の夫の2006年の怪死事件について、妻を担当した取調官が実名で記者会見しましたが、私は、この件については再捜査になることはないと考えています。なぜなら、この事件は、2006年にすでに警察によって捜査が終了し、不起訴処分となっているからです。また、取調官が記者会見で述べた内容は、警察の捜査結果とは異なるものであり、新たな証拠も提出されていないことから、再捜査を行う必要はないと考えています。

ただし、この事件は、木原誠二官房副長官の政治生命に大きな影響を与える可能性があります。なぜなら、この事件が再び注目されることで、木原官房副長官の妻に対する疑惑が再燃する可能性があるからです。また、木原官房副長官自身も、この事件について説明責任を果たす必要があるでしょう。

木原官房副長官が、この事件を乗り越え、政治生命を維持するためには、国民からの信頼を回復することが重要です。そのためには、妻の事件について、真摯に説明するとともに、国民に安心感を与えるような行動をとることが必要になるでしょう。それにしても、ここしばらくは政治の表舞台にでてくることはないと思われます。


木原誠二官房副長官

木原誠二官房副長官は、2021年10月4日に就任し、現在も務めています。木原官房長官は、岸田文雄首相の側近であり、首相の信頼が厚い人物です。木原官房長官は、岸田政権における重要な役割を担っています。

木原官房長官の主な役割は、以下のとおりです。
  • 首相の補佐
  • 内閣の運営
  • 国会との調整
  • 行政の統括
  • 外交・安全保障
木原官房副長官は、これらの役割を果たすために、首相や他の閣僚、国会議員、行政官、外交官、安全保障関係者など、多くの関係者と密接に連携しています。木原官房長官は、岸田政権の円滑な運営に貢献しています。

現在この木原官房長官の役割は、機能していないとみられます。無論、怪死事件に対する対応などて、木原氏の時間や能力がこれに割かれているためとみられます。これが機能していれば、本当にサラリーマン増税をするつもりがないのなら、政府税調の答申を受け取らないというパフォーマンスができたと思います。

日銀は、長短金利操作の柔軟化を決定に関しても、これを理解するのは難しく、政権内でも理解するのは木原氏くらいであり、木原氏が機能していないのを見越して、このようなことをしている可能性があると思います。地域別最低賃金額改定の目安も木原氏が機能していれば、もっと穏当になった可能性もあります。

木原氏機能不全で、岸田政権はここしばらく、迷走をつづけそうです。心配なのは、木原氏にかわる人物がいなかった場合、今後岸田政権は民主党政権のように迷走し続ける可能性もでてきたことです。

ビジネスの世界でも、政治の世界でも、一人の才能に頼るということは非常に危険だということがよくわかります。

経営学の大家ピーター・ドラッカーが「優秀なエンジニアが欲しければ、6人のエンジニアを雇うべきだ」と述べています。この名言の出典は、『エッセンシャル・ドラッカー:60年にわたるピーター・ドラッカーのマネジメントに関するエッセンシャルな著作のベストを一冊にまとめたもの』という本です。

その中でドラッカーはこう書いています。

「優秀なエンジニアが欲しければ、6人のエンジニアを雇え。一人は天才、二人は優秀、三人は平均的だろう。しかし、6人目は他の者を生産的にする者になる」。

ドラッカーが言いたいのは、1人か2人のエンジニアを雇えば、運が良ければ天才が手に入るかもしれないが、平均的なエンジニアが手に入る可能性の方が高いということです。しかし、6人のエンジニアを雇えば、ほぼ確実に少なくとも1人の天才を得ることができ、他の5人のエンジニアも意欲的に働き、天才から学ぶことができるようになるということです。

この言葉は、良い仕事をするための最善の方法は、才能ある人々に囲まれることだということを思い出させてくれます。エンジニアリング・チームを成功させたいなら、最高のエンジニアを雇う必要があります。また、最高の人材を雇う余裕がなくても、優秀なエンジニアを数人雇い、一緒に仕事をさせることで、素晴らしいチームを作ることができます。

この言葉は、チームにおける多様性の重要性を強調している。長所も短所も異なる6人のエンジニアからなるチームは、全員が同じエンジニアからなる6人のチームよりも生産性が高いです。

この言葉はまた、メンターシップの重要性も強調しています。ドラッカーの例にある天才エンジニアは、他の5人のエンジニアを指導し、彼らのスキルや知識の向上を助けることができます。

ただし、たとえ6人の優秀なエンジニアを雇ったとしても、その全員が生産的になるという保証はないです。しかし、ドラッカーのアドバイスに従うことで、成功の可能性は高まるでしょう。

木原氏の他にも多くの人材がいれば、岸田政権が迷走することもなかったでしょう。

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