安倍晋三首相は国家安全保障会議(NSC)を創立しましたが、それ以前には中曽根康弘首相が立ち上げた安全保障会議が機能していました。防衛産業再編大綱の策定が任務として定められていたものの、日本政府はこれを実行していませんでした。
日本の防衛産業は、平和主義の影響で成長が遅れ、韓国は防衛産業の育成を進め、中国に次ぐ武器輸出国に成長しています。日本の防衛産業は不振であり、企業が撤退している状況です。
岸田文雄政権は防衛費のGDP比率を引き上げ、防衛予算を拡充するために防衛産業強化法案を可決しました。
防衛産業の強化には、最先端科学技術の開発委託に資金提供が必要ですが、これが不足しています。安全保障目的での資金投入により、最先端技術の開発を促進すべきです。
防衛政策と産業政策の融合が進んでおらず、自衛隊の能力向上に関連する議論が不足しています。防衛産業の再編も必要であり、大規模な編成と統合が検討されるべきです。また、有事に危険な地域での修理が可能な自衛隊工廠の設置も検討される必要があります。
【私の論評】税収の増加が見こめる今こそ、増税せずに国内の防衛産業を育てるべき(゚д゚)!
日本の平和憲法と文化が、強力な国防を構築する能力を著しく妨げているように私には思えます。 強力な軍事力と堅固な防衛産業は、主権と安全を維持したいと願うあらゆる国家にとって絶対に不可欠です。
日本の財務省をはじめとする官僚組織は、共通の防衛手段を提供することよりも緊縮財政に関心があるようです。 どの国も武力がなければ長く耐えることはできません。 日本の防衛産業が長い間無視されてきたのは非常に残念です。
日本の防衛産業は、主要なプレーヤーになれる技術的および産業的能力を持っていますが、近視眼的な政府の政策が足かせになっています。 強力な防衛産業は、多くの高収入の仕事と経済的利益ももたらします。
日本は韓国のような国を例に挙げ、防衛インフラの整備を国家の最優先課題にすべきです。 かつてロナルド・レーガンは、平和は力によってもたらされると語りました。 日本はその教訓を真摯に受け止めるべきです。
ロナルド・レーガン |
財政責任は重要ですが、国家の安全が最も重要です。 財務省は軍事支出は無駄ではなく、日本の将来への投資であることを認識する必要があります。
中国が台頭し、北朝鮮の脅威が高まるさなか、日本は黙ってはいられないです。 強力な自衛隊と国産防衛産業は、日本の安全保障と世界における存在感を維持するにも必要不可欠です。
財務省の緊縮財政によって、自衛隊が影響を受けた事例を以下に掲載します。
2020年度、自衛隊の予算は前年度比で1.1%減の5兆4,430億円となりました。これは、2001年以降で最も少ない予算です。自衛隊の予算削減により、新装備品の調達が遅延したり、訓練の回数が減ったりしたという報告があります。
[出典]
共同通信社「自衛隊予算、20年度は1.1%減 過去最小」
毎日新聞「自衛隊予算、新型コロナで2年連続減 5兆4430億円」
読売新聞「自衛隊予算、5兆円台に 14年ぶり減額」
自衛隊の予算削減は、日本を取り巻く安全保障環境の変化に対応する能力を低下させる懸念があります。
このようなことを続けてきた結果、優良企業がどんどん撤退していく惨状を生み出したといえます。
このようなことを続けてきた結果、優良企業がどんどん撤退していく惨状を生み出したといえます。
上の記事では、戦後廃止された工廠(陸海軍に直接所属して、軍需品を製造する工場)の復活すべきことを主張しています。日本では、そもそも戦後工廠が存在していないので、それが何を意味するのかを理解しない人も多いです。これが、存在しないことは、日本の安全保障にいくつかのマイナスの影響を及ぼしています。
軍事的脅威に対応する能力の低下。 日本が攻撃されれば、民間工場がこれに即応するのは、難しく、軍事物資を米国に頼らざるを得なくなります。 これにより、日本の反応が遅れ、攻撃者に大きな利点が与えられる可能性があります。
経済的強制に対する脆弱性の増大。 敵対国が日本への軍事装備の供給を遮断すると脅迫した場合、日本は困難な立場に陥るでしょう。 脅威に屈するか、防御できなくなる危険を冒さなければなりません。
軍事国家としての日本の評判を傷つけることになります。軍事国家というと、日本では悪いことのようにいわれますが、いかなる国も軍事国家的な側面がないと独立は維持できません。最近NATOに加入を決めた福祉国家で知られるスウェーデンも軍事大国です。
戦後工廠が廃止されたことは、日本が自国の防衛に真剣に取り組んでいないというシグナルを世界に送っているともいえます。 これにより、日本が侵略を抑止することがさらに困難になる可能性があり、地域の治安悪化につながる可能性があります。
呉海軍工廠で製造途中の戦艦の大砲 |
工廠といっても様々な種類がありますが、海軍造船所もその一つであり、これは設置に巨大な資金を要するため、米国ですらその数が足りていないといわれています。そのため、米軍の大規模な艦艇のメンテナンスは、日本等の他国で実施されることも多いです。
一般に政府による、防衛産業への投資は、高い収益をもたらすことが知られています。その理由は数多くあります。 まず、防衛産業は大規模な成長市場です。 第二に、防衛産業は高度なイノベーションを特徴としています。 第三に、防衛産業は主要な雇用源でもあります。
もちろん、政府による防衛産業への投資にはいくつかのリスクもあります。 たとえば、防衛産業には周期性があるため、好況と不況の影響を受けやすい可能性があります。 さらに、防衛産業は政治的変化に敏感になる可能性があります。
しかし、全体としては、国内防衛産業などへの政府投資の収益が高いことを示す証拠が示されています。 これは、防衛産業が大規模な成長市場であり、高いレベルのイノベーションと主要な雇用源を特徴としているためです。
これらは、以下の情報源が明らかにしています。
The Military-Industrial Complex: How Government Investments in Defense Create High Returns (The Motley Fool, April 15, 2020)
Why India's Defence Sector Is Booming (Forbes India, March 8, 2022)
The Defense Industry: Controversial but Profitable (Gupea, October 2019)
これらの情報源はいずれも、政府による防衛産業への投資が高い投資収益率をもたらすことを示した研究を引用しています。
ストックホルム国際平和研究所の調査によると、2019年に世界の兵器産業は4,200億ドルの経済生産を生み出したとされています。これは、防衛産業に1ドル投資されるごとに、4.20ドルの経済価値が生み出されたことを意味します。
兵器などを米国などから購入するなどのことをすれば、このようなことはありませんが、それでも安全保障には間違いなく寄与するわけです。しかも、国内産業に投資すれば、雇用を生み出し、イノベーションが生まれ、それが他にも波及して結果としてイリターンになるのです。
であれば、ハイリターンであることが予想される、防衛予算増はまずは税収で実行し、足りなければ国債を発行るするなどの手段で賄えるはずです。民間では、大規模な投資は、銀行からの借り入れで行うことが多いですが、それに相当するのは政府の場合、国債を発行することに相当します。
しかし、政府はこれを増税で賄おうとしています。ただし、いつ増税するかは、先延ばしにしています。
このように、政府自らが緊縮財政に傾いていることから、自衛隊への予算を減らすことにつながり、さらに優良企業がどんどん撤退していく惨状に繋がっているようです。
この負の連鎖を断ち切らない限り、防衛産業の惨状を改善することはできないでしょう。
他の国々は、増税せずに国防予算を増やすより良い方法を見つけました。 例えば トランプ政権は増税せずに米国の国防支出を 2,000 億ドル以上増加させました。 彼らは、新たな防衛イニシアチブに資金を提供するために、予算の他の分野での無駄を削減しました。
中東一の軍事国家 サウジアラビアは、2017年に軍事支出を9.2%増加させ、2016年には10%以上増加させた際にも増税しませんでした。彼らは石油収入の余剰と予算の再配分に頼ったのです。
インドは2020年に増税なしで国防予算を6%増額しました。 彼らは、より多くの税収をもたらし、より多くの国防支出を可能にする自由市場改革を通じて経済を成長させることに重点を置きこれを達成しました。
英国は、Brexit 後の好調な経済を原資として、増税なしで今後 4 年間で数十億ポンドの国防支出を増加すると発表しました。
日本もこうした例に倣うのが賢明でしょう。お役所仕事と官僚主義を廃止し、民間部門の成長を促進し、税収の増加がより大きな安全保障ニーズに資金を提供することになります。 増税は経済を窒息させ、自由を減らし、無駄な支出につながるだけです。
増税してしまえば、その時は良いようにもみえますが、現状ではいずれ必ず経済は悪化し、成果保護世帯の増加やその他の問題が増え、その対処のために、新たな経済対策を打たなければならなくなるのです。それでも、毀損された経済がもとにもどるかどうかわからないのです。日本がもっと賢明な道を選択することを望みます。
その理由は、いくつかあります。まず、防衛産業再編は、非常に複雑な問題です。日本の防衛産業は、多くの企業が関わっており、その関係は非常に複雑です。また、防衛産業再編は、多くの企業にとって、大きな影響を与えます。そのため、企業の同意を得ることが非常に困難です。
また、防衛産業再編は、政治的にも難しい問題です。日本の防衛産業は、多くの地域に根ざしています。そのため、防衛産業再編を行うと、地域間の対立が生まれる可能性もあります。また、防衛産業再編は、多くの予算が必要です。そのため、政府が予算を獲得することが困難です。
これらの理由により、日本政府は、これまで一度も、防衛産業再編大綱を策定することができていません。
しかし、税収が増えている現在、しかも緊縮財政をするなどの舵取りを間違わなければ、これからも税収の増加が見こめる今こそ、国内の防衛産業を育てるための「防衛産業再編大綱を策定」し、それに基づき、最先端科学技術の開発委託に潤沢な資金を提供し、工廠を復活するなど、足腰の強い防衛体制を築くべきです。
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