2023年12月3日日曜日

補正予算案「真水」は10兆円程度か あまりにひどい〝低い税収見積もり〟のカラクリ 国債はもっと減額できるはずだ―【私の論評】マスコミの偽りと保守の課題:岸田政権の減税案に隠された真実と救国シンクタンクの警告

高橋洋一「日本の解き方」

まとめ
  • 歳出総額は13.1992兆円で、前年度補正予算の10.6兆円を大幅に上回った。
  • 経済対策関係経費は13.1272兆円で、GDPの0.7%程度にとどまっている。
  • 物価高対策の規模が小さく、ガソリン補助金や家計支援金などの実施が遅れている。
  • 定額減税の実施が来年度予算送りとなり、経済への効果が大きく減退するだろう。
  • 財務省の税収見積もりは桁違いに過小であり、公債依存度が高さの演出をしているとみられる。
【衆議院 本会議(2023.11.24)】2023年度補正予算案を与党などの賛成多数をもって17 時過ぎに可決

 2023年度の補正予算案が衆院を通過した。この予算案は、経済対策を裏付けるための財政措置を含んでいる。財務省の予算フレームによれば、経済対策関連の経費総額は約13兆1272億円に上る。これには、物価高対策や賃上げ・所得向上、国内投資、社会変革、国土強靱化などの分野が含まれている。

 ただし、この中でGDPに直接影響を与える部分(いわゆる真水)は約10兆円ほどであり、残りの3兆円以上は即効性を持たない支出と見られる。また、今回の補正予算には定額減税も含まれており、これにより経済対策の実効性が高まるとの見方もあるが、その実施が来年6月以降になるため、予算案の十分性に疑問符がつく。

 予算案の税収見積もりについても懸念がある。過去の実績から予測される税収増加に対して、予算案の税収見積もりは慎重すぎる。2023年度の政府の中期財政試算では、名目成長率が4・4%と見込まれており、それに基づく税収増加率から計算すると74兆5400億円の税収が予想される。しかしこの見積もりは、実際の税収増加がこの予測を上回る可能性を無視しており、過去の実績から考えると、6兆円以上の増収が予想されます。そのため、補正予算のため国債発行8兆8750億円は減額できるはずである。

 こうした予算案の評価から、経済対策への予算配分や税収見積もりの慎重さについて、今後の議論が続くことが予想される。政府が財政措置をどのように調整し、実施していくかによって、経済への影響や財政の持続可能性にも大きな影響が及ぶだろう。

この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧ください。

【私の論評】マスコミの偽りと保守の課題:岸田政権の減税案に隠された真実と救国シンクタンクの警告

まとめ
  • 2023年度補正予算案は、予算の使い方や税収見積もりが慎重すぎる。
  • 税収弾性値は慎重すぎると見直すべき。
  • 国民は減税そのものを否定していない。
  • 岸田内閣は、大胆な減税を提案し、本気であることを証明する必要がある。
  • 草の根の保守は、岸田内閣に減税案を強化するよう圧力をかけるべき。
高橋洋一氏は、2023年度補正予算案に対して、予算の使い方や税収見積もりが慎重すぎると批判しています。髙橋氏の指摘は、経済対策に使われる予算のうち、実際に経済に効果がある部分は少なく、税収見積もりが実際の増加よりも悲観的に過ぎるのではないかという点です。そのため、予算の配分や税収見積もりの見直しが必要だと主張しています。髙橋洋一氏はこれについて、動画でも説明しています。以下の動画をご覧ください。


動画で高橋洋一氏は、税収弾性値を問題にしています。これは、名目国内総生産(GDP)の成長率と税収の伸び率の関係を表す指標です。通常、GDPが上がると税収も増える傾向がありますが、その関係性を数値化したものです。

高橋洋一氏は、財務省が使っている税収弾性値が慎重すぎると指摘しています。つまり、GDPが増えると税収が増える割合が実際よりも小さいと見積もられていると主張しています。実際の税収増加が予測よりも大きい可能性があるため、税収見積もりの根拠となる税収弾性値の見直しを求めているのです。これが、彼が税収弾性値に疑問を持っている理由です。

税収弾性値は、経済の成長や縮小に伴う税収の変化を示す指標です。具体的には、国内総生産(GDP)などの経済活動が増減した際に、税収がどれだけ変化するかを示す比率です。たとえば、税収弾性値が1だとすると、GDPが1%成長すれば税収も1%増えるという関係があります。

一般的に、経済が拡大すれば税収も増える傾向がありますが、その関係性を数値化したものが税収弾性値です。税収弾性値が1より大きければ、経済成長に対する税収の反応が大きく、税収がより急速に増加することを意味します。逆に、税収弾性値が1より小さければ、経済成長に伴う税収の増加が緩やかであることを示します。

この動画で説明用いている「令和5年度補正予算フレーム」を以下に掲載します。

クリックすると拡大します

このフレームは、以下から閲覧することができます。

令和5年度補正予算

このフレームの税収1,710億円は、確かに、あまりに低すぎます、これを国会で質問すれば、髙橋洋一氏が指摘したように、財務省が様々な屁理屈を言いそうですが、国会議員でこれを質問する人はいないというのが驚きです。財務省が批判されるべきは、当然のことですが、積極財政議連などは何をしているのでしょうか。来年にむけて、さらに議論を活発化させていくべきです。

なお、このような予算フレームは、財務省のサイトで通常予算、補正予算ともに公開されているので、財政に関心のある人は、マスコミなどの二次情報ではなく、まずこれを見るべきです。

今回の、補正予算の不味さについては、上の髙橋洋一洋一氏の指摘で十分に言い尽くされていると思います。令和5年度補正予算は、遅くてショボいということは歴然としています。

ただ、私には補正予算などに絡んで、さらにかなり危惧していることがあります。それは、最近のマスコミが岸田首相が所得減税を言い出したことを選挙目当てである批判し、国民は減税に反対しているので、政治家が減税をいうととんでもないことになるような印象操作をしていることです。

これについては、救国シンクタンク理事渡瀬裕哉氏が以下の動画で警鐘を鳴らしています。


上の動画で、渡辺氏が行った調査の結果は、以下のリンクをご覧ください。

減税に関する1000人インターネット世論調査回答

この調査からわかったことを一言でいえば、"「岸田政権の減税政策は偽減税として国民が理解している」ので支持されていないだけであり、国民は減税政策そのものを否定しているわけではない。正しい世論調査結果の普及が必要である"ということです。

減税をめぐる日本の状況は単純です。救国シンクタンクが実施した調査では、多くの国民は減税政策そのものを真っ向から否定するのではなく、岸田政権減税案を不誠実なもの、あるいは誤解を招くようなものだと捉える国民認識の問題が浮き彫りになったといえます。

渡瀬裕哉氏 「救国シンクタンク」の第一回公開研究会 2020年 にて


これは、政府の意図と減税に対する国民の認識との間に、コミュニケーションや理解のギャップがあることを示唆しているとともに、多くの国民はマスコミの情報操作にまどわされるほど愚かではないことを示しています。

減税策を打ち出したことが、岸田政権の支持率低下につながったとするマスコミの印象操作に岸田政権や自民党議員が乗ってしまえば、悲惨な結果を招き、財務省を喜ばせ勢いづけるだけとなります。

その結果は、岸田政権、自民党政権の崩壊につながることになりかねず、政治は混乱して財務省のいいなりの政治が行われるだけになると思われます。

日本の国民は、減税自体に反対しているわけではありません。しかし、岸田内閣の現在の減税案は、本物ではないと国民は考えているようです。なぜなら、政治家は空約束や策略で知られているからでしょう。

岸田内閣は、もっと大胆で、もっと意味のある減税を提案し、本気であることを証明する必要があります。消費税率を5%引き下げるようなことは、大胆であり、懐疑論者を打ち負かすことでしょう。

草の根の保守は、岸田内閣に減税案を強化するよう圧力をかけるべきです。左翼メディアに対抗するために、減税政策全般への支持を表明する必要もあるでしょう。保守派はメディアにこの問題を操作させてはならないです。

日本の草の根保守の人々  AI生成画像

また、岸田内閣は、国民の不信感や「偽りの」減税だという認識を克服するために、税制案の詳細やメリットをもっとうまく伝えるべきです。減税が国民に利益をもたらすことを納得させるような、シンプルで明確なメッセージが必要です。それには、消費税減税をすることと、そのメリットを強調するのが、現状では最も良い方法です。

重要なのは、減税は正しい政策ですが、岸田内閣は国民を説得するのが下手だということです。草の根の保守派は、より大規模で大胆な減税を支持し、そのメリットについてコミュニケーションを改善し、この問題で左翼や反対派に屈しないよう政治家に警告する必要があります。

保守派の強力な後ろ盾があれば、岸田内閣はまだこの状況を好転させ、意味のある減税を成立させ、政治的混乱を避けることができるかもしれません。しかし、世論の反発が強まる前に素早く行動しなければならないでしょう。

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