2023年12月31日日曜日

NATO、スウェーデンが加盟すれば「ソ連の海」で優位…潜水艦隊に自信―【私の論評】忘れてはならない! 冷戦期の日本の対潜活動が、現代のインド太平洋の安全保障に与えた影響

NATO、スウェーデンが加盟すれば「ソ連の海」で優位…潜水艦隊に自信

まとめ
  • スウェーデンのNATO加盟により、欧州の安全保障は新たな時代を迎える。
  • バルト海は、NATO優位の構図が固まる。
  • スウェーデンの潜水艦隊は、バルト海で120年にわたる経験を有し、NATO加盟後は偵察・監視の役割を担う。
  • NATO軍は、スウェーデンの加盟により、北欧とバルト海全域をその防衛計画に組み込むことが可能になる。
  • ロシアにとって、バルト3国への軍事侵攻の難易度が飛躍的に高まる。


 スウェーデンが200年の中立・非同盟政策を転換し、北大西洋条約機構(NATO)に加盟すれば、欧州の安全保障は新たな時代を迎える。スウェーデン海軍はかつて「ソ連の海」と呼ばれた、バルト海で120年以上にわたり潜水艦を運用してきた経験とデータを持っている。

 これらはNATO加盟後、ロシア海軍バルト海艦隊の動きを偵察・監視する役割を果たすことになる。スウェーデンの加盟により、NATO軍は北欧とバルト海全域を防衛計画に組み込むことが可能になり、特に旧ソ連バルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)が恩恵を受ける。

 有事の際、スウェーデン潜水艦はバルト3国沖合に潜み、ロシア軍艦船の接近を阻む任務につくと予想されている。これにより、ロシアから見れば、バルト3国への軍事侵攻の難易度が飛躍的に高まる。

 その結果、ロシアが侵攻を思いとどまるなら、NATO側の狙い通りとなります。スウェーデンがNATOに加わる意義を強調するワンレンブルグ司令官は、「高度な潜水艦は敵に頭痛の種を与え、抑止力を生む。それがNATO軍の潜水艦となればなおさらだ」と述べている。

 これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】忘れてはならない! 冷戦期の日本の対潜活動が、現代のインド太平洋の安全保障に与えた影響

まとめ
  • 冷戦期の日本の対潜活動は、ソ連の太平洋艦隊の封じ込めに貢献し、西側の安全保障に大きな役割を果たした。
  • 今日の日本の対潜水艦戦能力は世界トップクラスであり、アジアにおける中国やロシアの侵略を抑止するのに役立っている。
  • 日本の海軍力と経験は、アジアの平和と安定にとって重要であるにもかかわらず、過小評価されている。
  • もし冷戦期に日本が対潜能力や作戦を強化していなかったら、今日の世界は大きく異なっていたかもしれない。
  • 日本の貢献は、もっと評価されるべきである。

もう一つの「ソ連の海」があります。それは、オホーツク海です。冷戦時代にオホーツク海は、ソ連の原潜の聖域とされました。日本は米国の依頼により、対潜哨戒能力を高め、オホーツク海で対潜哨戒作戦にあたり、ソ連原潜の囲い込みに成功し西側諸国に貢献しました。

今日、この時の経験が積み重ねられ、日本の対潜水艦戦争(ASW)は米国と並び世界のトップクラスになっています。両国のASWは、他国をはるかに凌駕する水準にあります。

また、日本もこれを意識して高めてきました。今日日本は、20隻以上の高性能の潜水艦隊を擁するとともに、世界でも有数の海軍力を持つに至っています。そのため、今日中国ロシアからみれば、インド太平洋地域での軍事行動の難易度が飛躍的に高まる結果となっています。

日本のマスコミはこのことをほとんど伝えませんが、以上のことはもっと高く評価されて良いと思います。

日本は冷戦時代、ソ連の太平洋艦隊を封じ込めるのに必要不可欠な存在でした。オホーツク海での対潜哨戒と監視は、ソ連の潜水艦活動を制限する上で極めて重要でした。

ソ連はオホーツク海を原子力潜水艦の砦(聖域)と考えていたため、そこで潜水艦を封じ込めた日本の成功は、西側の安全保障上の利益を助ける大きな成果となりました。

旧ソ連のオスカー型原潜

今日、日本の海軍力、特に対潜水艦・対潜水艦戦能力は依然として世界トップクラスであり、アジアにおける中国やロシアの侵略を抑止するのに役立っています。

特に日本の潜水艦隊は、先進的なソナー、航空機、水上艦艇と相まって、この地域における中国やロシアの潜水艦作戦を非常に困難なものにしています。

このことは、中国やロシアがインド太平洋で力を行使しようとする計画を著しく複雑にします。日本の海軍力と経験は、アジアの平和と安定にとって重要であるにもかかわらす、過小評価されています。特に、マスコミはこれをほとんど報道しません。

日本は、中国やロシアに近接し、技術的・戦術的に優れているため、米国や他の同盟国が直接対処することが困難な脅威に対抗することができます。日本は、地域のライバルに対抗するために意図的に海軍力を鍛えてきたのであり、自由世界はその努力から利益を得ているのは間違いありません。

もし冷戦期に日本が対潜能力や作戦を強化していなかったら、今日の世界は大きく異なっていたかもしれないです。

ソ連の核ミサイル潜水艦の活動範囲が拡大していたでしょう。 東アジアにおいて、ソ連の核ミサイル潜水艦はより自由に活動できるようになっていたでしょう。これにより、ソ連はより攻撃的な行動に踏み切った可能性があり、第2撃能力が強固になることで冷戦全体で緊張が高まり、代理戦争が増加していたかもしれないです。

 日本が周辺海域の支配権を争わなければ、中国は潜水艦部隊と作戦の拡大に際してほとんど抵抗に遭わなかったでしょう。東シナ海・南シナ海の領土問題に大きな影響を与える可能性のある、地域レベルでの海軍覇権をすでに達成していたかもしれないです。

日本の対潜障壁は北朝鮮の潜水艦活動を抑え、弾道ミサイル搭載潜水艦の配備や隠密な挑発行為を制限してきました。日本海軍がいなければ、北朝鮮はより強力な海洋核抑止力を獲得していたかもしれないです。

米国は太平洋地域にさらなる軍事資源を投入することを余儀なくされていたでしょう。 日本との補完なしに、米国はヨーロッパにおけるNATOへの関与を弱め、全体として世界レベルでのアメリカの軍事プレゼンスを薄めることになったでしょう。中国やロシアの封じ込めのコストはより高くなっていたでしょう。

地域の安定と安全保障同盟が弱体化していたことでしょう。 中国やロシアといった、より強圧的で権威主義的な勢力に有利な方向で、インド太平洋地域の勢力均衡が崩れていたかもしれないです。米国のパートナーとしての日本の信頼も低下していたかもしれないです。

 日本の海上自衛隊は、ソナー、消音技術、水中センサーなどの分野で進歩を牽引しており、これらの技術は西側諸国の海軍にも波及していました。日本の対潜技術需要がなければ、今日の世界における西側諸国の対潜技術と潜水艦技術は、全体として今より洗練されていなかったかもしれないです。


このように、冷戦期の日本の対潜活動なしでは、今日の地政学的秩序ははるかに悪いものになっていた可能性は高いです。重要な敵対勢力に対抗し、地球上の重要な地域で安定を維持するという点で、日本の海軍力は過去も現在も極めて重要です。

当時の日本が哨戒・監視能力を強化する上で示した積極性は、今もなお世界に利益をもたらしています。戦略的に重大な意義を持った貢献の一つだと言えます。

日本の貢献は、もっと評価されるべきです。日本は、インド太平洋地域の安全保障と主権を脅かすような大国の野心を抑えるために、地理的な位置と海軍の技術を活用してきたのです。特に対潜水艦戦能力は、潜在的な敵対勢力に抑止力と困難をもたらすものであることついては、重ねて強調しておきたいです。

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