2023年11月27日月曜日

【動画】稲田朋美議員「“政治不信”の根底には国民のモラルの低下があるのではないか!?」―【私の論評】「国民のモラル低下」発言を検証! 経済対策の「バラマキ」は間違いなのか?

 【動画】稲田朋美議員「“政治不信”の根底には国民のモラルの低下があるのではないか!?」

本日は、ある方のツイートを掲載します。

今朝(ブログ管理人注:26日)、NHK日曜討論に出演された

自民党 稲田朋美幹事長代理
『政治不信の根底には国民のモラルの低下があるのではないか』

おいおい、それは違うだろ。

政治とカネ、政治と宗教など様々な問題を抱える自民党政治家のモラル低下こそが政治不信を招いているんだろ!

#日曜討論

【私の論評】国民のモラル低下」発言を検証! 経済対策の「バラマキ」は間違いなのか?

まとめ
  • 稲田朋美議員の「国民のモラルが低下した」発言は問題である
  • 経済対策は、需給ギャップを埋めるために行うものであり、減税か補助金かは二義的である
  • 経済対策では量が重要であり、その範囲の中で行うバラマキは正しい政策である
  • 稲田朋美議員や熊谷亮丸氏のような、国民を甘やかすと批判する政治家やアナリストこそ、モラルを喪失している
  • このような傲慢で思い上がった人たちは、経済に関わる分野から排除すべきである
国民のモラルが低下しているのではないでしょう。自民党の稲田朋美議員のような議員を、甘やかし続けてきた有権者が多くの国会議員のモラルを低下させたというのなら、まだ理解できますが、稲田氏のこの発言はかなり問題があります。

それに、国民とはいっても1億2千万人も存在します。その中には、モラルの低い人や高い人、普通の人など様々な人達がいるはずです。

そもそも、稲田朋美のように、過去の政府の経済対策などについてバラマキと明確な根拠もなく批判する人もいますが、こういう人に限って経済対策について誤った認識を持っています。

有効需要を喚起するためには、需給ギャップ(髙橋洋一氏等の試算によれば現在16兆円)を埋めなければならないのです。マクロ的には、経済対策はまずは量が重要なのであって、減税にするか、補助金にするかは二義的な問題に過ぎず、マクロ的に両方とも同じような効果があります。

髙橋洋一氏

標準的なマクロ経済学の教科書においては、有効需要を喚起するためには、需給ギャップを埋めなければならないと教えています。需給ギャップとは、潜在GDPと実際GDPの差であり、経済が潜在能力を十分に発揮できていない状態を指します。

経済対策は、この需給ギャップを埋めるために行われるものであり、その効果は、経済規模に占める割合(量)が重要であるとされています。つまり、同じ規模の経済対策であれば、減税でも補助金でも、マクロ的には同じような効果があると考えられます。

これに関して、かつて元FRB議長のノーベル経済学賞を受賞した、ベン・バーナンキ氏は「日銀はトマトケチャップを買え」と発言していました。非常にわかりやすいたとえだと思います。マクロ的に考えれば、量や方法を巡って考え込んで、実行を引き伸ばすよりも、適切な量で対策を素早く実行したほうが良いでのです。この点において、需給ギャップに相当する額のバラマキは正しい政策なのです。

ベン・バーナンキ氏は昨年ノーベル経済学賞を受賞

ただし、減税と補助金には、それぞれに異なる効果もあります。減税は、家計や企業の所得を増やすことで、消費や投資を促進する効果があります。一方、補助金は、特定の財やサービスを買うように誘導する効果があります。

したがって、経済対策の目的や対象によって、減税と補助金のどちらが適切かは変わってきます。例えば、消費を促進したい場合は、減税が有効です。その中でも、現状では消費税減税が特に有効です。一方、特定の産業を育成したい場合は、補助金が有効です。ただ、マクロ経済的な見方からは両者にさほど違いはありません。

しかし、需給ギャップを埋められるだけの、量がなければ、経済対策は効果をあげることできません。政府が行うべきまともな経済対策に関して、バラマキと語り、国民のモラルを低下させたと語る稲田氏のような政治家こそ、モラルを喪失しているのでないでしょうか。

それは、政治家に限らず、たとえば 熊谷 亮丸氏のようなアナリストは、さすがに「国民のモラルの低下を招いた」とまではいいませんでしたが、「国民を甘やかした」などと稲田氏と同じようなことを語っていました。

熊谷亮丸氏はかつて「消費税増税しても経済は悪くならない」と主張していました。しかし、現実には多くの人が予想したとおりに悪くなりました。かつては、テレビの報道番組などに頻繁にでていましたが、最近ではほとんどみかけなくなりました。

2023年11月26日現在の番組表を見ると、熊谷亮丸氏は、テレビ東京系列「ワールドビジネスサテライト」のレギュラー出演のみで、他にはテレビ出演の予定がありません。 他にも理由があるのかもしれませんが、さすがに、テレビ局も頻繁にテレビに出演させられなくなったのでしょう。


稲田氏もそのようなことになるかもしれません。いや、有権者がそうしなければなりません。もうこのような議員は日本に必要ありません。

「国民のモラルを下げる」「国民を甘やかす」などという考えの傲慢で思い上がった人は、何も稲田氏や熊谷氏だけではありません。政治家、官僚、マスコミ、財界人の中にも多いです。こういった人たちは、考えを改めさせるか、改まらないというのなら、経済に関わる分野や、経済に大きく影響を及ぼす立場等からは、排除すべきでしょう。

むろん、合法的にです。選挙なら有権者がそのような政治家には投票しないとか、企業ならそのようなアナリストは採用しないなどの方法です。

そうでないと、日本の経済はいつまでたっても、良くならず、日本人の賃金もいつまでも上がらないでしょう。

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