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服部倫卓 (北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授)
- ウクライナ侵攻後、ロシアの貿易統計は非公開となったが、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの図書館で2022年版の貿易統計集が発見された。
- この統計集によると、ロシアの貿易は、欧米日などの「非友好国」から、中国やインドなどの「友好国」に大きくシフトした。
- 特に石油輸出では、中国とインドが急増し、2023年第1四半期には、ロシアの原油輸出の73.3%が中印向けとなった。
- 半導体輸入については、先進国からの輸入が減少したものの、中国からの輸入は減少せず、ロシアの半導体不足は解消されていない。
- ロシアの対外貿易では、中国が圧倒的なシェアを占めており、2023年には、露中貿易が往復で2200億ドルに達する見込みである。
ウクライナ侵攻後、ロシアの貿易統計は非公開となったが、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの図書館で、2022年の貿易統計集が発見された。
この統計集によると、ロシアの貿易は、欧米日などの「非友好国」から、中国やインドなどの「友好国」に大きくシフトした。
特に石油輸出では、中国とインドが急増し、2023年第1四半期には、ロシアの原油輸出の73.3%が中印向けとなった。
また、半導体輸入については、先進国からの輸入が減少したものの、中国からの輸入は減少しなかった。
さらに、ロシアの貿易相手国では、中国が圧倒的なシェアを占めており、2023年には、露中貿易が往復2200億ドルに達する見込みである。
この結果、ロシアは、中国への依存度を高め、中国のジュニアパートナー化まっしぐらと言える状況となった。
なお、ロシアは、貿易統計を非公開とした理由について、国際的な制裁によるダメージを避けるためと説明している。
しかし、ロシアが貿易統計を隠したことによって、かえって、ロシアの経済状況の悪化を世界に知らしめることとなった。
【私の論評】ロシア、中国のジュニア・パートナー化は避けられない?ウクライナ戦争の行方と世界秩序の再編(゚д゚)!
まとめ- 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターは、旧ソ連・東欧地域の総合的・学際的研究を行う国内唯一の研究所である。
- センターは、ロシアは中国のジュニア・パートナーになりつつあることを指摘。ウクライナ戦争でロシア最終的に敗北することになるだろう。
- ロシアの敗北は、プーチン政権の存続にも影響を与える可能性がある。
- ロシアの敗北は、中国の台頭をさらに加速させ、ユーラシア大陸の安全保障に大きな影響を及ぼすだろう。
- 理想的な結末は、プーチンが失脚し、ロシアが西側諸国との関係を回復することである。
北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターは、旧ソ連・東欧地域の総合的・学際的研究を行う研究所です。国内唯一のセンターで、専任研究員11名、客員研究員20名、研究生20名が在籍しています。
研究テーマは、政治、経済、社会、文化、歴史など多岐にわたります。地域比較研究にも力を入れています。
研究成果は、学術論文や著書、報告書などの形で発表されており、国内外の学界で高い評価を受けています。政府や企業などの政策立案にも活用されており、旧ソ連・東欧地域の総合的な研究で国内外で高い評価を受けています。
私は、上の記事のロシアが中国のジュニア・パートナーになりつつあるという評価に賛成です。貿易統計がそれを裏付けています。ロシアが石油輸出を中国に依存していることは特に問題です。そのことについては、前から言う人もいましたが、今回それが数字で明確に確認されたといえます。
もし中国がロシアの石油の輸入を減らすことになれば、ロシア経済に壊滅的な打撃を与えるでしょう。そうして、現状ではそのようなことはないでしょうが、その可能性は完全に否定できません。そうしてこのような脅威があるからこそ、ロシアが中国のジュニア・パートナー化はますます避けられなくなるでしょう。半導体に関しても同じことがいえると思います。 ウクライナ戦争でロシアが勝つと信じている人は、欧米にはみられません。ほとんどの専門家は、ロシアはいずれ敗北すると考えていますが、それがいつになるかはわからないです。ただ、長期的には敗北するだろうと見る人が大勢を占めているように見えます。 日本では、ロシアのプロパガンダに影響されてロシアが勝つと信じている人もいるようですが、現実にはロシアは戦争に負けています。ロシアは多くの犠牲者を出し、経済はボロボロです。
米国、欧州、日本はウクライナに軍事・財政援助を行っています。この援助は、ウクライナが自国を守り、ロシア軍を押し返すのに役立っています。 ただロシアが核保有国であることを忘れるべきではありません。戦争が続けば核がエスカレートする危険性があるということです。しかし私は、ロシアが核兵器を使用するよりも、通常兵器で敗北する可能性の方が高いと考えます。 結論として、ロシアは中国のジュニア・パートナーになりつつあり、最終的にはウクライナでの戦争に敗北することになるでしょう。
そうして、ロシアの無謀なウクライナ侵攻が敗北に終われば、プーチン政権にどれほどのダメージを与えるかわからないです。モスクワの街頭での抗議行動から、明白な政権交代まで、何が起こるかわからないです。
ロシアはすでに侵略と人権侵害で西側諸国から孤立しています。そして中国は、世界的な影響力を拡大するために、ロシアの弱みにつけ込もうとしているようです。ウクライナで敗れたロシアが中国への依存を強めれば、中国がユーラシア大陸を支配し、海外における日米とその同盟国の利益を脅かすことになりかねないです。
これは保守派にとっては耐え難いことです。理想的な結末は、プーチンが失脚し、その後、西側諸国との関係を回復し、中国の手先になることを避ける新たな指導者が誕生することです。
自由で民主的なロシアが西側諸国の仲間入りをする。これは容易なことではないでしょうが、自由と民主主義はこれまでも長い困難を乗り越えてきました。さらに、中国経済はかつてないほど疲弊しています。強さと勇気と信念があれば、米国とその同盟国はロシアを共産主義中国の牙城から引き離すことができでしょう。
ウクライナ戦争の行方により、中国陣営と自由世界がロシアの引き抜き合戦を行い、その結果により世界秩序の再編が起こることなるでしょう。
1 件のコメント:
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