ひそかに「失業率」が上昇している…!「緩和継続」を否定する人がやっぱり見落とした!矛盾だらけの「引締め論」の「最悪の中身」
まとめ
- エネルギー価格は、いずれは下落する。
- 金融引き締めは、物価上昇率をさらに低下させる。
- 失業率の上昇は、賃金上昇と物価上昇のモメンタムを崩す。
- 円安は、輸出増加とインバウンド観光客の増加によっていずれは収まる。
- 金融緩和は、経済成長と雇用拡大を促進する。
日銀植田総裁 |
エネルギー価格の上昇は、短期的には物価上昇につながる。しかし、高くなれば増産する国が現れ、長期的には、新たな油田が開発され、シェールオイルのような別の地質からの原油が発掘される。また、いずれは再生可能エネルギーのコストが低下していく。つまりエネルギー価格は、「供給」が増えれば下がるのである。
具体的には、以下のような例が挙げられる。
円安は、物価上昇の一因であることは事実だが、だからと言って金融を引き締めて円高にすべきだろうか。2008年、リーマンショックの後に、日本だけ金融緩和をしなかったことによって1ドル79円という超円高になり、日本経済は大打撃を受けたことを思い出そう。
もちろん、過度な金融緩和が円安をもたらし、円安が止まらなくなると懸念する向きもある。しかし、心配するには及ばない。円が下落すれば、輸出が増加し、インバウンド観光客も増大する。
具体的には、以下のような例が挙げられる。
具体的には、以下のような例が挙げられる。
- 2008年のサブプライムローン危機後の原油価格は、2008年7月の147ドルから、2009年3月の40ドルまで下落した。
- 2014年のサウジアラビアによる原油価格の下落合意後の原油価格は、2014年6月の115ドルから、2015年2月の27ドルまで下落した。
- 2020年の新型コロナウイルス感染症による原油価格の下落は、2020年4月の20ドルまで続いた。
日本の多くのエコノミストの物価予想は、金融引き締めを主張する政策提言と矛盾している。
2023年7-9月期の消費者物価上昇率は3.0%(実績)だが、日本のエコノミストの予測を平均したESPフォーキャスト調査によると、23年度平均では2.79%、24年度平均では1.93%に低下してしまう(ESPフォーキャスト調査、2023年10月11日)。
金融引き締めは、金融市場の混乱を引き起こし、企業の投資や雇用を抑制する可能性がある。その結果、物価上昇率がさらに低下する恐れがある。
失業率の上昇は、賃金上昇と物価上昇のモメンタム(勢い、はずみ)を崩す可能性がある。
2023年初から失業率が上昇している。これが一時的なものか、長期的なトレンドの変化を表すものか分からないが、この傾向が続けば、労働市場の逼迫に依る賃金上昇、物価上昇のモメンタムも崩れてしまうだろう。
具体的には、以下のような例が挙げられる。- 1990年代後半から2000年代前半の日本の失業率の上昇は、賃金の伸び悩みや物価上昇率の低下につながった。
- 2008年のリーマンショック後の失業率の上昇は、賃金の下落や物価上昇率の低下につながった。
円安は、物価上昇の一因であることは事実だが、だからと言って金融を引き締めて円高にすべきだろうか。2008年、リーマンショックの後に、日本だけ金融緩和をしなかったことによって1ドル79円という超円高になり、日本経済は大打撃を受けたことを思い出そう。
もちろん、過度な金融緩和が円安をもたらし、円安が止まらなくなると懸念する向きもある。しかし、心配するには及ばない。円が下落すれば、輸出が増加し、インバウンド観光客も増大する。
具体的には、以下のような例が挙げられる。
- 2023年6月以降、円安による輸出増加やインバウンド観光客の増加によって、経常収支黒字は月2兆円のレベルに戻った。
この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になって下さい。
【私の論評】日本の多くの愚かなエコノミストは、円安是正などの金融緩和効果にはタイムラグがあることを知らないようだ(゚д゚)!
まとめ
- 多くの日本のエコノミストは現在の円高に鑑み、金融引き締めを主張しているが、消費者物価上昇率の実績は3.0%であり、将来予測では低下する可能性がある。
- 物価が下がった状態で金融引き締めが行われると、景気後退や失業率の上昇などのリスクが高まる。
- 金融政策の効果は即効性がなく、数ヶ月から数年かかるため、現在の金融引き締めがすぐに円安につながるわけではない。
- 物価が下がった状態で金融引き締めの効果が現れた場合、企業の倒産や失業率の上昇の可能性がある。
- エコノミストが金融引き締めを主張する際に、物価の下落や失業率の上昇といったリスクを考慮していない可能性があり、これは誤ったアプローチである。
上の記事における原田氏の論点は以下に集約されると思います。
日本の多くのエコノミストは、現状の円高などに鑑み金融引き締めを主張しているが、 2023年7-9月期の消費者物価上昇率は3.0%(実績)だが、日本のエコノミストの予測を平均したESPフォーキャスト調査によると、23年度平均では2.79%、24年度平均では1.93%に低下してしまう(ESPフォーキャスト調査、2023年10月11日)としている。にもかかわらず、金融引き締めを主張するのは、矛盾している。
このように、物価が下がりそうなときに金融引き締めをするとどうなるかといえば、以下のようなことが考えられます。
- 景気後退のリスクが高まる
- 失業率が上昇するリスクが高まる
それと、上の記事ではマクロ経済学上、あまりに常識的なため、説明されていませんが、一般的に、金融緩和によって円安や失業率の低下などの効果が出るまでには、数ヶ月から数年程度はかかります。タイムラグがあるのです。現在円高だからといって、金融引き締めをしたとして、すぐに円安になるわけではないのです。これが、多くの人にとって金融緩和を継続すべきという主張を分かりにくくしている可能性があると思います。
数ヶ月から、数年という事を考えると、現在円高を是正するために金融引き締めをすると、その効果は早くても半年から遅ければ数年後出るということであり、上記で示したように、半年後には物価が1.93%になっていることが予想されるので、物価が下がった状態で、金融引き締めの効果が現れれば、ますます物価が下がるということになります。これは、デフレになることを意味します。最悪の結果を招くことになります。
たとえ、金融引き締めの効果が現れなかったにしても、物価が下がっていれば、わざわざ引き締める必要もないわけで、どちらにころんだとしても、現在金融引き締め策等する必要性などないのです。
だかこそ、「緩和継続」を否定する人が見落としている、矛盾だらけの「引締め論」の「最悪の中身」として原田氏は、批判しているのです。
テレビのスイッチを押せばすぐにテレビを見ることができます。しかし、金融政策は、政策を変えたからといって、すぐにその効果が現れるわけではないのです。もし、金融政策がテレビのようにすぐに効果が出るというのなら、多くのエコノミストが言うように、現在金融引き締めして、半年後には金融緩和に踏み切れば良いということになりますが、現実はそうではないのです。
デフレで苦しむ人々 AI生成画像 |
失業率に関しては、これも典型的な遅行指標であり、現在の失業率は半年前の政策を反映するものであるとされています。
半年後に物価が下がった状態で金融引き締めの効果が現れた場合、企業の倒産や失業率の上昇につながる可能性があります。
体的には、以下のシナリオが考えられます。
- 金融引き締め効果によって、金利が上昇する。
- 金利が上昇すると、企業の投資や消費が抑制され、経済成長が鈍化する。
- 経済成長が鈍化すると、失業率が上昇する。
- 金融引き締め効果によって、円高が進む。
- 円高が進むと、輸出企業の収益が悪化し、倒産や失業率の上昇につながる。
なお、金融引き締めによって失業率が上昇するかどうかは、金融引き締めのスピードや、市場の反応によっても異なります。例えば、金融引き締めが急激に進めば、失業率の上昇は大きくなる可能性があります。一方、金融引き締めが緩やかに進めば、失業率の上昇は比較的抑えられる可能性があります。
失業で苦しむ人々 AI生成画像 |
また、金融引き締めによって失業率が上昇するかどうかは、経済の構造によっても異なります。例えば、労働市場の流動性が低い場合は、失業率が上昇する可能性が高くなります。現状の日本では、労働市場の流動化はすすんでいません。
以上のことから、物価が下がった状態で金融引き締めの効果が現れた場合、失業率が上昇する可能性が高くなります。
日本の多くのエコノミストは、金融緩和の効果は、早くて半年後、失業率は半年前の政策の結果であるということを忘れているようです。全く愚かしことです。
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