2023年11月23日木曜日

「心は女」事件 稲田朋美氏見解に有本香氏が反論「逮捕されたからいい、では済まされない」―【私の論評】トランプ氏の影響力が日本政治にも?日本保守党の注目の動向

「心は女」事件 稲田朋美氏見解に有本香氏が反論「逮捕されたからいい、では済まされない」

稲田朋美議員

 三重県桑名市の温泉施設で男性が女性風呂に入った事件が、LGBT理解増進法に関連する議論を巻き起こしている。この出来事を受け、自民党の稲田朋美議員は事件と法律の関連性を否定しているが、これに対しジャーナリストの有本香氏は疑問を投げかけている。有本氏は、このような問題が法制定時から予測されていたことを指摘し、稲田氏に対する説明責任を求めている。一方、厚生労働省は公衆浴場での男女の判断基準を身体的特徴に基づいていることを改めて確認し、LGBT理解増進法の実施に合わせて通知を発出した。

 稲田氏は、理解増進法法制定前後で変わらず、この行為が犯罪であることを主張しているが、有本氏は法律よりも上位に位置する法制度に注目すべきだと主張している。彼女は、公衆浴場側が利用を拒否した場合に差別として訴えられる可能性や、犯罪者に免罪符を与えることになる問題を指摘している。さらに、同様の事件が起きた際、稲田氏がどのように対応するか、そしてLGBTに対する偏見を助長しないための法改正の必要性について言及。

 一部からは、稲田氏に対して責任を求める声も上がっている。有森氏は、日本社会は性転換や女装を含め包括的な姿勢を取ってきたため、LGBTに関する法律は必要ないとしつつも、少なくとも法改正は不可欠だと主張している。同様の問題が続けば、LGBTに対する偏見が増幅され、理解増進とは逆の方向に進む可能性があると懸念されている。稲田氏には、誤りを認め、是正する姿勢が求められています。

 稲田朋美衆院議員の回答全文は次の通り。


「事案の詳細を承知しませんが、理解増進法とは関係ないようです。公衆浴場や温泉施設の利用に関して厚労省が管理要領を定めており、男女の判断基準は身体的特徴によるものとすることになっています。これは理解増進法が制定される前後で全く変更はありませんし、法制定前も後も犯罪であるということをX上などで繰り返し申し上げてきました。いずれにせよ犯罪行為に対して、引き続き厳正に対応していくことは当然です」

以上は、稲田議員の回答を除き、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧ください。

【私の論評】トランプ氏の影響力が日本政治にも?日本保守党の注目の動向

私には、有本氏の主張はもっともであり、稲田氏の回答は、無責任であり政治家としてあるまじきものだと思います。

そうして、従来はこのような政治家がいたとしても、犯罪でも犯さない限り辞めさせることはできず、多くの有権者はこれをどうすることもできず、我慢するしかなかったというのが実情でした。

無論選挙で票を投じないということで、有権者は意思表示はできるのですが、稲田氏のような世襲の有力政治家には、資産があり選挙運動資金は潤沢であり、地元で強力な支援団体が存在しており、政治家としては相応しいとか相応しくない、あるいは能力などに関係なく、比較的若いうちに政治家になり、当選回数を重ねると、自民党内で重要な役割を担ったり、閣僚になっていくというのが今までのスタイルでした。

多くの有権者は、数十年に一回に現れるか現れないかの、安倍晋三氏のような政治家が現れることを待つしかありませんでした。その安倍氏も暗殺されてしまいました。今後すぐに安倍氏のような政治家が現れることはないでしょう。

安倍晋三首相

そのため、多くの有権者は「どうせ」などと諦め、政治に無関心になっていくという傾向がさらに強くみられるようになりました。

しかし、この古い政治スタイルが破られる可能性がでてきました。何と「日本保守党」の事務総長を務める有本香氏が、22日放送のネットニュース番組「ニュース生放送 あさ8時!」において、福井県に近々訪れることを明らかにしました。

この県は稲田朋美元防衛相の地元であり、LGBT法を推進したことで保守派の一部から離反を招いていました。有本氏は、「年末の予定が変動していましたが、ようやく福井1区にお邪魔する機会が見えてきた」と述べ、この目的については、全国からの支持や立候補についての意向を探るためだと説明しています。

また、有本氏は直接の候補者指名には否定的で、「立候補するか否かは未定であり、情勢を踏まえた上で判断するが、現時点でははっきりとは決めていない」と述べています。国際政治学者の島田洋一名誉教授も番組に出演し、「保守派の支持を集める魅力的な候補が立てば、福井1区では充分に勝算がある」と励ましました。

一方で、日本保守党が直面する課題について有本氏は、「政党要件を満たさないため、比例代表への重複立候補ができない。候補者に対して『小選挙区1本での戦い』を促すしかないため、候補者を見つけることが難しい状況にある」と述べています。

おそらく、私は、日本保守党は当初はこのようなことを実施するだろとみていましたが、やはりそうかと、思いを新たにしました。

現在日本保守党は、小さな存在ですが、一流作家の代表百田氏が率い、共同代表の河村たかし氏は、選挙戦術と戦略に長けた人物としてい知られていますし、事務総長の有本香氏有本氏はジャーナリストとして活動し、その明確な根拠に基づく保守派としての舌鋒鋭い発言は、保守党の発信力を強化することでしょう。

私は日本保守党は、当面結党の精神を忘れリベラル化してしまった自民党にかつをいれることになるのではと期待しています。

そうして、日本保守党は、来年の大統領選挙で最も有力とみられる、トランプ氏の選挙戦術・戦略を参考にすると良いと思います。

日本保守党が見習うべきトランプ勝利の鍵はいくつかあります。 

まずは、国民を第一に考えるポピュリズム的政策に焦点を当てることです。ポビュリズムとは、政治変革を目指す勢力が、既成の権力構造やエリート層を批判し、国民に訴えて、その主張の実現を目指す運動のことです。日本では、ネガティブに受け取られがちですが、米国ではポジティブに受け取られることが多いです。ここでいうポビュリズムとは、無論良い意味のそれです。

トランプ大統領にとってこれは、貿易や移民などに関する「アメリカ・ファースト」の政策を意味するものです。日本保守党にとっては、文化的価値、経済、外交をめぐる、よりナショナリスト的な政策を意味するかもしれないです。そうして、日本保守党はすでにこれに関する、スローガンをあげています。それは、「日本を豊に、強く」です。

トランプ氏の「アメリカ・ファースト」はマスコミなどに曲解されましたが、これは米国の孤立主義を意味するものではなく「米国を豊に、強く」というのが元々の意味です。実際、トランプ氏は大統領のときに、米国孤立主義など実行しませんでした。



トランプ氏は「沼地(The Swamp)」と戦うアウトサイダーとして立候補しました。「沼地(The Swamp)」とは、ドナルド・トランプが大統領選挙キャンペーン中に腐敗している、あるいは利己的であると描いた、ポリティカル・コレクトネスに凝り固まった政治組織やエリートのことです。

トランプ氏は「沼の水を抜く」と公約することで、一般市民よりも政治家やロビイストに利益をもたらすように仕組まれた政府機関に対する多くの有権者の不安を取り除くことを約束したたのです。

より具体的に言えば、「沼」とは次のような意味です。 長年の政治家や政府関係者は、公共の利益のためというよりも、現状維持や自分たちの権力を守ることに関心がある。 政治におけるカネとロビイストの影響力により、有権者よりもむしろ自分たちの利益のために、強力な特別利益団体が政策や法案を形成することができる。 実力よりもコネや便宜、特権に基づいて動く政治的王朝や階層のことです。「沼の水を抜く」とは、こうした状況を一掃するという意味です。

「沼の水を抜く」をイメージ化したイラスト

日本保守党が、これらから「アウトサイダー」として売り込むことができる候補者は、ポピュリストにアピールできるでしょう。

 連邦政府の官僚主義が拡大し、規制の行き過ぎがお役所仕事とコンプライアンスに起因するコスト高でビジネスを阻害し、経済に損害を与えているとトランプは主張しました。

「沼」とは、有権者が政府や政治体制について腐敗している、利己的である、非効率的であると認識しているすべてのものの比喩なのです。このことが日本では、ほとんど報道されていません。こうした「沼の水を抜く」ことを誓うトランプのような候補者が大きな支持を得るのは当然のことだと思われます。

日本保守党は、ますます「リベラル化」していく自民党に対抗して、真の保守主義を代表する立場をはっきりとさせています。有権者は、いままでの枠内でものごとをすすめようとするのではなく、枠を破り現状を打破しようとする候補者に熱狂するでしょぅ。このようなことは、安倍首相の登場を除けば、久しくなかったことから、支持するなどの次元ではなく熱狂することになるでしょう。

トランプ氏のように、日本保守党のリーダーたちも、保守層の有権者の心に響くような直接的な表現ができます。有本氏の「明確な証拠」に基づく「舌鋒鋭い発言」は、より信憑性を求める多くの有権者の心をつかむことでしょう。

日本保守党は、より重要な問題に焦点を当てるべきです。トランプ氏にとっては、移民問題やNAFTA(北米貿易協定)のような貿易取引などがそれに当たります。日本保守党にとっては、LGBT問題、教育政策などがそれに当たるでしょう。特に自民党が保守の核となる価値観を「忘れてしまった」分野で強い姿勢を示せば、自民党の支持者を引き離すことができるでしょう。

トランプ氏、百田氏、河村氏、有本氏のような指導者のカリスマ的人格は、草の根の熱烈な支持を集めます。支援者の熱狂を活用し、ポピュリスト的な魅力とメディアに精通した候補者を中心とした「ムーブメント」を構築することが鍵となります。

街頭演説をする、左から河村氏、百田氏、有本氏

現状維持の体制に対する有権者の不満を利用したこの種の反乱キャンペーンは、本質的に反体制的です。保守党はまだ小規模ですが、コミュニケーション、価値観、パーソナリティをめぐるこうした戦略に注力することで、その知名度を大幅に高め、成長を加速させることができるでしょう。

今後日本では、米国でトランプ旋風が起こったような、日本保守党旋風が巻き起こる可能性もでてきました。ただ、それまでの道のりは長いです。しかし、保守派からすれば、どうしても容認できないような議員に対して、一矢を報いることができるようになる可能性は高まってきました。これが具体化すれば、有権者の関心は嫌が負うでも高まると考えられます。

自分では、日本保守党はトランプ氏を参考にすべきという記事を書いたつもりなのですが、百田氏としてはトランプ氏の戦術・戦略を最初から参考にしているように思えてきました。百田氏はトランプ氏に注目してきたのは明らかであり、そもそも日本保守党は日本でもトランプ旋風のようなことを起こせないかということが、結党の動機となっている部分があるのかもしれません。

世襲政治家の典型でありながら、稀有の安倍晋三氏の戦術・戦略は、百田氏には参考にしたくてもできません。しかし、トランプは違います。日米では政治風土は無論、国民性や文化などは異なるものの、トランプ氏のやり方は、百田氏に多いに参考になっているものと思います。

無論、日本ではトランプというとネガティブに捉えられがちですが、日米メディアともトランプ氏をあれだけネガティブに報道しながらも、現在トランプ氏が来年の大統領選の最有力候補になっていることを考えれば、多くの米国人はそうは思ってはいないようです。私もそう思います。

この動きが、有権者の政治への関心を高め、さらに日本の政治を変える原動力になれば、幸いです。

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