米国が世界で失いつつある二つの力とは
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岡崎研究所
まとめ
- ウォールストリート・ジャーナルの記事は、米国の抑止力喪失と戦略的後退に警鐘を鳴らす。
- バイデン政権は中東の複雑な危機に直面し、イスラエルとハマスの緊張が高まっている。
- 中国やロシアの挑発行動もあり、米国の抑止力の低下が懸念されている。
- 問題は軍事力だけでなく、国内の価値観や公共意識の変化も影響している。
- バイデン政権は軍事的な対応だけでなく、国内の価値観にも焦点を当てる必要があると指摘されている。
安倍晋三首相(当時)とミード氏(2016年) |
2023年10月19日付のウォールストリート・ジャーナル紙は、「米国が抑止力を失い、戦略的受動性に向かって次第に退却を始めると、世界はあるとき突然失速し、制御不能の錐もみ状態に陥る」という、ウォルター・ラッセル・ミードの警告記事を掲載している。
この記事は、世界が抑止力を喪失し、戦略的な後退を経験する中で、国際情勢が混迷し、制御不能の状態に陥る危険性を警告している。この警告は、バイデン政権が中東で巨大で複雑な危機に直面していることを裏付けている。イスラエルとハマスの緊張が高まり、周辺のアラブとイスラム世界を巻き込んでいる。さらに、中国やロシアの挑発行動も顕在化しており、米国の抑止力が薄れつつあるとの指摘もある。
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この問題は、軍事力だけでなく、国内の価値観や意識の変化にも根差している。特に、前政権の大統領の行動やそれを支持する一部の米国民の態度、国内の社会的変化、そして抑止力における「ソフトウェア」とも言える価値観や公共意識の変化が問題視されている。
このような状況が国際的な緊張を高め、地域的な軋轢をエスカレートさせる可能性がある。バイデン政権は、単に軍事的な対応だけでなく、国内の価値観や意識を巡る問題にも目を向ける必要がある。この議論は、今後の国際政治に大きな影響を与える可能性がある点で重要である。
このような状況が国際的な緊張を高め、地域的な軋轢をエスカレートさせる可能性がある。バイデン政権は、単に軍事的な対応だけでなく、国内の価値観や意識を巡る問題にも目を向ける必要がある。この議論は、今後の国際政治に大きな影響を与える可能性がある点で重要である。
この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になって下さい。
【私の論評】トランプ大統領のリーダーシップ:中東平和合意と国内価値観の変化がもたらした米国の抑止力強化
まとめ
- トランプ前大統領の政策が中東の地政学を変革し、イスラエルと複数のアラブ諸国の間で歴史的な合意であるアブラハム合意を実現させた。
- アブラハム合意により、イスラエルとアラブ諸国の関係が正常化し、イランの侵略に対抗する重要な同盟が形成された。
- ハマスやその過激なイスラム原理主義のイデオロギーはアブラハム合意によって打撃を受け、中東での憎しみと戦争からの脱却が可能となった。
- トランプ大統領は国内では保守的価値観を重視し、国旗や国歌、法の支配を尊重し、キリスト教的価値観を公共の場に取り戻すことを推進した。
- 急進左派の政策は米国を弱体化させるものであり、トランプ大統領のリーダーシップが米国の立場を強化したといえる。
この問題は、軍事力だけでなく、国内の価値観や意識の変化にも根差している。特に、前政権の大統領の行動やそれを支持する一部の米国民の態度、国内の社会的変化、そして抑止力における「ソフトウェア」とも言える価値観や公共意識の変化が問題視されている。
これに関しては、抑止力は軍事力だけではなく「ソフトウェア」とも言える価値観や公共の意識の変化も重要であるという点には同意します。
しかし、「前政権の大統領の行動やそれを支持する一部の米国民の態度」を問題視するという指摘にはとうてい同意できません。特に、一部の米国民の態度を問題視するという、発言はとうてい容認できません。犯罪者や、詐欺師を支持するようなことは、問題ですが、いかなる国においても、誰が誰を支持しようと、いかなる政策を支持しようと、それは自由であるはずです。
トランプ氏の支持者 |
トランプ大統領は、平和は宥和ではなく力のパランスによってもたらされることを理解していました。彼はISISやイランのような敵に戦いを挑み、イスラエルとアラブ近隣諸国との間にこれまで想像もできなかったような協力をもたらしました。
トランプ大統領の指導の下、イスラエルはアブラハム合意として知られる一連の歴史的合意において、いくつかのアラブ諸国との関係を正常化することができました。何十年もの間、ほとんどのアラブ諸国はイスラエルの生存権を認めることさえ拒否していました。
彼らは不倶戴天の敵だったのです。しかし、トランプ大統領はイスラエルを強力に支持しつつイランに対する強硬路線とも相まって、中東の地政学的な同盟関係を再編成しました。UAE、バーレーン、スーダン、モロッコといった国々は、イランの侵略に対抗するなど、イスラエルと重要な利害を共有していることに気づきました。
そこで彼らは、外交関係と協力関係を正式に結ぶことに合意しました。数年前には考えられなかったことです。しかし、トランプ大統領のイスラエルとの揺るぎない友好関係と、過去の誤ったイデオロギーに屈しない中東へのビジョンが、これを可能にしたのです。
初めてイスラエルの民間機がサウジアラビア領空を通過できるようになりました。イスラエル人と首長国は公然とビジネスを共にすることができるようになりました。何世代にもわたって立ちはだかってきた憎しみの壁は崩れ始めました。
イスラエルと複数のアラブ諸国との間でこれらの国交正常化協定を締結したことで、トランプ大統領は、それまでのどの大統領もなし得なかったことを成し遂げました。彼は世界で最も戦争が絶えない地域のひとつに、恒久的な平和の見通しをもたらしたのです。
アブラハム合意は最高の成果であり、トランプ大統領の就任が世界における米国の地位を強化に貢献しました。
以下は、ドナルド・J・トランプ大統領、バーレーンのアブドゥラティフ・ビン・ラシド・アル・ザヤニ外務大臣、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相、アラブ首長国連邦のアブドゥッラー・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤニ外務大臣が、2020年9月15日(火)、ホワイトハウスの南芝生でアブラハム合意に署名した直後の写真です。
彼らはイスラエルを全イスラム教徒の不倶戴天の敵として描いてきました。しかし、アブラハム合意はその物語を粉々に吹き飛ばしたのです。アラブの指導者たちは、イスラエルが脅威なのではなく、イランとハマスのようなテロリストたちが真の脅威なのだと認識したのです。
だからハマスは、ロケット攻撃やその他の暴力でイスラエルを攻撃したのです。彼らは和平プロセスを頓挫させ、イスラエルを再び孤立させ、自らの存在感を保とうと必死なのです。彼らの力は、協力や協調ではなく、対立から生まれるものです。
アブラハム合意は、中東が憎しみと戦争から脱却しつつあることを示すものでした。今回のテロ攻撃は、アブラハム合意によってもたらされた脅威に対する反動なのです。ハマスが恐れているのは、イスラエルによる反撃よりも平和的な協調とそれによる繁栄です。
彼らのロケット弾攻撃は、アラブ人の多くがもはや望まない、必要としない戦争に火をつけようとする絶望的な試みといえるでしょう。しかし、ハマスが暴力と憎悪によって地政学的にガザを支配する時代は終わろうとしています。
だからこそ、彼らはますます絶望的で破壊的な行動をとっているのです。アブラハム合意は、地域全体のテロリストにとって戦略的敗北でした。アラブ諸国が和平プロセスに参加すればするほど、ハマスとその一派は暴れ続けるでしょう。
しかし、彼らの大義は失われました。日本ではほとんど報道されませんが、多くのパレスチナ人は絶え間ない戦争ではなく、協力と協調で繁栄する未来を望んでいます。だからこそ、和平合意はイスラエルにとっても、中東全域の平和を愛するアラブ人にとっても勝利だったのです。ハマスの暴力は長期的には無益なものです。アブラハム合意は、取り消すことのできない協力の力を解き放ったのです。
ガザを行進するハマス戦闘員 |
国内では、トランプ大統領は、国旗、国歌、法の支配を尊重しました。トランプ減税で、景気を抑止、雇用を生み出しました。彼はキリスト教的価値観を公共の場に呼び戻しました。ホワイトハウスの現職とは異なり、米国の強さは、道徳に裏打ちされた勇気と価値観から始まることを確信していました。「国内の価値観や態度」の変化が国家の安全保障に大きく影響するというのは、まったくその通りです。
トランプ大統領は、米保守派の伝統的な価値観である「信仰、家族、自由」を大切にすることこそが、米国を真に偉大な国にするものと信じていました。こうした原則を攻撃し、分断の種をまくことで抑止力を弱めようとするのが急進左派です。
彼らの政策は、米国を弱くするものであって、強くするものでありません。トランプ大統領のリーダーシップは、世界の舞台における米国の立場を強化しました。米民主党こそ、移民政策をはじめとするその悲惨な政策、米国の伝統的価値観に対する軽蔑、独善的なポリティカル・コレクトネスと全体的な戦略的消極性によって、米国の抑止力を脅かしているといえると思います。
米国の最近の国内の価値観や公共意識の変化による抑止力の低下は、トランプ前大統領が招いたのではなく、アフガン撤退にも失敗し、ロシアへのウクライナ侵攻直前の対応等にも失敗したバイデン大統領が招いたと言って良いと思います。
トランプ大統領は、米保守派の伝統的な価値観である「信仰、家族、自由」を大切にすることこそが、米国を真に偉大な国にするものと信じていました。こうした原則を攻撃し、分断の種をまくことで抑止力を弱めようとするのが急進左派です。
彼らの政策は、米国を弱くするものであって、強くするものでありません。トランプ大統領のリーダーシップは、世界の舞台における米国の立場を強化しました。米民主党こそ、移民政策をはじめとするその悲惨な政策、米国の伝統的価値観に対する軽蔑、独善的なポリティカル・コレクトネスと全体的な戦略的消極性によって、米国の抑止力を脅かしているといえると思います。
米国の最近の国内の価値観や公共意識の変化による抑止力の低下は、トランプ前大統領が招いたのではなく、アフガン撤退にも失敗し、ロシアへのウクライナ侵攻直前の対応等にも失敗したバイデン大統領が招いたと言って良いと思います。
バイデン氏が今後すべきは、上の記事にもあるとおり、軍事的な対応だけでなく、国内の価値観や意識を巡る問題にも目を向けるべきです。
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