台湾有事で中国空母が撃沈されれば、習近平は権力の座から引きずり降ろされる
海自「たいげい」型より性能が上と噂の台湾「海鯤」
最大の後ろ盾・アメリカは通常型潜水艦が造れない
台湾は現在、使える潜水艦が4隻あるものの、そのうち2隻は第二次世界大戦時の古い艦で、残りの2隻も40年以上前に建造された老朽艦。台湾は自分たちで潜水艦を造ろうとしているが、技術やノウハウがなく、アメリカを中心に7カ国が協力していると報じられている。ただ、現在のアメリカは、原潜を製造する能力はあるが、最新の通常型を製造する能力はない。
台湾は国際的な立場が微妙であり、簡単に潜水艦を売ってくれる国はほとんどない。中国は台湾に武器を売ることを強く嫌い、制裁をかける可能性があるため、多くの国が中国と国交を持っている「一つの中国」原則に従って台湾に武器を輸出しない。
ただし、アメリカは台湾関係法を盾にして台湾に武器を売り続けており、他の7カ国も中国の報復を恐れながらも台湾を支援している。台湾が自前で潜水艦を製造できるようになったことは中国にとって大きな衝撃であり、これが台湾にとっても重要な安全保障手段となる。
「台湾武力統一」に執着する中国・習近平政権
中国の習近平政権は、台湾を武力で統一することに執着しているが、海軍力が伴っていない。フォークランド諸島紛争では、アルゼンチン海軍は満載排水量1万トン超の「ヘネラル・ベルグラーノ」巡洋艦を使ってイギリスに挑んだが、英海軍の原潜に撃沈され、300名以上の死者を出しました。その後、アルゼンチン海軍は主要な艦艇を洋上に出せなくなり、その威厳は損なわれ、敗北の大きな原因の一つとされた。
専門家らは、台湾有事の場合、西側諸国の潜水艦が台湾を支援する可能性があると指摘している。台湾の潜水艦が中国の航空優勢を阻止すれば、中国の海洋展開は困難になるだろう。さらに、中国の潜水艦が撃沈された場合、潜水艦の行動は秘中の秘とされており、中国は公式にその事実を認めることができず、中国による台湾の海上封鎖というシナリオは機能しなくなる可能性が高い。
台湾2027年までに5隻以上の潜水艦を量産する計画が議論されているという情報も西側諸国からでている。これは台湾をめぐる習近平政権の武力統一への執着が顕著になっている兆候とされています。
まとめ
- 台湾初の国産潜水艦「海鯤」が進水式を行い、中国への牽制として注目されている。中国の台湾侵攻への脅威が、台湾をして潜水艦建造へと駆り立てたのだが、台湾の新型潜水艦は中国にとって台湾侵攻への大きな障害となるだろう。
- 海鯤は高性能な装備を備え、中国にとって技術的脅威であり、静かで長時間潜航が可能なリチウムイオン電池が決定的な要素。2025年に実戦配備され、2027年までに最低2隻が就役し、10年以内には合計8隻が戦力化される予定。
- 台湾が自主建造の潜水艦を完成させた後、「スタンド・オフ・ミサイル」を発射できる潜水艦の開発が話題。中国への対抗手段として、ミサイルを潜水艦に搭載する計画が進行中。
- 台湾の技術的な限界やアメリカの通常型潜水艦製造能力の不足などが懸念されつつも、台湾は自前で潜水艦を製造する取り組みを進めており、これが中国にとっても重要な安全保障手段となる可能性がある。
- 中国の習近平政権は台湾の武力統一に執着しているが、これが台湾が潜水艦を建造するこ要因となり、中国にとって台湾の武力統一への執着がやぶ蛇だった感を示すものとなった。
台湾初の国産潜水艦「海鯤」(かいこん/ハイクン:想像上の巨大魚)進水式 |
台湾初の国産潜水艦「海鯤」(かいこん/ハイクン:想像上の巨大魚)型の1番艦が、高雄の造船所で進水式を行った。この自主建造計画は台湾総統の蔡英文が支持し、彼女は進水式で「我々は成し遂げた」と述べ、中国への牽制としても注目されている。メディアは中国の台湾侵攻を警戒する一方、中国にとって潜水艦は大きな脅威である。中国は装飾的で目立つ軍艦に力を入れる一方で、台湾の後ろ盾である日米に比べて対潜能力が劣るとみられる。
台湾の技術や分析力は中国にとって脅威であり、中国は台湾の行動を過敏に反応して非難するものの、それは中国にとって深刻な問題である可能性がある。海鯤は通常動力型で、推定排水量2500~3000トン、全長70~80mで、日本のたいげい型と似た性能を持つがやや小さい。リチウムイオン電池や高性能な戦闘システムを搭載し、高性能の長距離誘導魚雷も装備する。特に「Mk48」魚雷は非常に優れた性能を持ち、世界最高峰の潜水艦の一つとされるたいげい型よりも性能が上だとの見方もある。
これらの能力を生かし、海鯤はバシー海峡などで敵艦を待ち伏せる戦法も可能であり、静かで長時間潜航が可能なリチウムイオン電池が決定的な要素となる。海鯤は近い将来に台湾海軍に引き渡され、2025年に実戦配備される予定で、2027年までに最低2隻が就役し、10年以内には合計8隻が戦力化される見通しとなっている。
台湾は現在、使える潜水艦が4隻あるものの、そのうち2隻は第二次世界大戦時の古い艦で、残りの2隻も40年以上前に建造された老朽艦。台湾は自分たちで潜水艦を造ろうとしているが、技術やノウハウがなく、アメリカを中心に7カ国が協力していると報じられている。ただ、現在のアメリカは、原潜を製造する能力はあるが、最新の通常型を製造する能力はない。
台湾は国際的な立場が微妙であり、簡単に潜水艦を売ってくれる国はほとんどない。中国は台湾に武器を売ることを強く嫌い、制裁をかける可能性があるため、多くの国が中国と国交を持っている「一つの中国」原則に従って台湾に武器を輸出しない。
ただし、アメリカは台湾関係法を盾にして台湾に武器を売り続けており、他の7カ国も中国の報復を恐れながらも台湾を支援している。台湾が自前で潜水艦を製造できるようになったことは中国にとって大きな衝撃であり、これが台湾にとっても重要な安全保障手段となる。
スタンド・オフ・ミサイル搭載型潜水艦の開発も視野
台湾が自主建造の潜水艦を完成させた後、「スタンド・オフ・ミサイル」を発射できる潜水艦の開発が話題になっている。この新たな取り組みは、敵勢力の射程範囲外から攻撃が可能な巡航ミサイルを潜水艦に搭載する計画だ。このミサイルは敵の領域や拠点を狙うことができ、台湾は自身の防衛能力を強化するために積極的に研究開発を進めている。その背景には、中国の台湾への侵攻に備えるという意味がある。中国が台湾を侵攻した場合、相手の攻撃拠点や軍事施設を最初に撃破することが軍事上の基本戦略となる。台湾はそのような攻撃に対抗するため、自衛のための手段を確保しようとしている。
中国との緊張関係の中、台湾は自国の安全を確保するため、自主開発の対地巡航ミサイル「雄風2E」の生産を始め、さらに射程が広い改良型ミサイルの開発にも着手している。これらのミサイルは中国本土へと届く射程を持ち、主要港湾都市をはじめとする攻撃拠点を狙っている。また、中国が攻撃しにくい台湾の地理的に有利な山岳地帯の東側にもミサイルを配備している。しかしながら、巡航ミサイルは撃墜を避けるために飛行ルートを変えるため、全ての射程が有効とは限らない。台湾はそのようなリスクを少しでも減らすために移動式のミサイル発射装置を山岳地帯やトンネルに隠すとともに、移動できるようにしている。
今後、台湾は「スタンド・オフ・ミサイル」を潜水艦に搭載する計画を推進し、それによって中国の攻撃拠点や重要施設に対して有力な反撃手段を持つことを目指している。この潜水艦の開発は12〜24発のミサイルを搭載することが計画されており、これによって台湾は防衛力を一層高めることが期待されている。台湾の行動は中国の行動を抑制する可能性があり、台湾有事の際、中国の行動を制限する要因となる。
中国の習近平政権は、台湾を武力で統一することに執着しているが、海軍力が伴っていない。フォークランド諸島紛争では、アルゼンチン海軍は満載排水量1万トン超の「ヘネラル・ベルグラーノ」巡洋艦を使ってイギリスに挑んだが、英海軍の原潜に撃沈され、300名以上の死者を出しました。その後、アルゼンチン海軍は主要な艦艇を洋上に出せなくなり、その威厳は損なわれ、敗北の大きな原因の一つとされた。
専門家らは、台湾有事の場合、西側諸国の潜水艦が台湾を支援する可能性があると指摘している。台湾の潜水艦が中国の航空優勢を阻止すれば、中国の海洋展開は困難になるだろう。さらに、中国の潜水艦が撃沈された場合、潜水艦の行動は秘中の秘とされており、中国は公式にその事実を認めることができず、中国による台湾の海上封鎖というシナリオは機能しなくなる可能性が高い。
台湾2027年までに5隻以上の潜水艦を量産する計画が議論されているという情報も西側諸国からでている。これは台湾をめぐる習近平政権の武力統一への執着が顕著になっている兆候とされています。
【私の論評】台湾が潜水艦建造国になったこと自体が、中国への強烈な政治・軍事的メッセージに!
まとめ
- 台湾の最新潜水艦と舵の公開: 台湾の「海鯤(カイコン)」型潜水艦の進水式写真が公開され、舵が「Xウイング型」であることが注目された。写真から日本の「そうりゅう型」に似た特徴も見られる。
- ドイツのダイムラー・ベンツ社が1970年代に開発したXウイング舵は、小型化と軽量化を実現し、操縦性を向上させる利点がある。
- 日本の舵の進化: 現在の日本の潜水艦には、十字舵とX舵があり、X舵は操縦性の向上に貢献している。将来的に日本の潜水艦はX舵を採用し続ける見通し。中国の潜水艦にはX舵はみられない。
- 台湾の進水式での情報公開は、従来の潜水艦情報の秘匿と対照的であり、中国に対する情報戦における一環と見られる。情報公開は台湾の軍事力を強調し、中国に対するメッセージとなる。
- 日本や米国など他国も潜水艦を運用し、情報公開によって中国へのメッセージングや情報戦が展開されている。台湾の新型潜水艦は、今後情報戦における重要な要素となる。
上の記事に掲載された情報等は、過去にこのブログにほとんど掲載しており、このブログを読まれている方なら、ほぼ全部をご存知だと思います。ただ、この記事のようにコンパクトにはまとまっておらず、このブログでは記事がいくつかあり、さらにあちらこちらに分散されていたり、内容も重複するものもあり、相対的に理解しにくい面もあったため、上の記事を掲載させていただきました。皆様の理解がさらに深まれば、幸いです。
上の記事の進水式の写真(ブログ管理人挿入)は、台湾政府が公開したものですが「海鯤(カイコン)」の尾部にご注目ください。この写真は、スクリューは隠しているものの、舵は露出しています。この舵は真後ろからみればX状の形をしています。このような形状の潜水艦の舵を「Xウイング型」と呼びます。
さらに、写真を良く見ると、舵の他に安定板のようなものがみえます、これは日本の「そうりゅう型」潜水艦にかなり似ており、尾部だけをみていると日本の潜水艦のようにみえます。
進水式直前の「はくげい」 舵は「Xウイング型」になっていることがわかる |
Xウイングの舵が本格的に採用されるようになったのは、1990年代以降です。この頃になると、コンピューター制御技術の進歩やコンピュータそのものの小型化により潜水艦に高性能なコンピュータを搭載することも可能になり、Xウイングの舵の操縦性が十分に確保できるようになったためです。
X舵は4枚の舵がそれぞれ独立して動くことで、上下左右に動くことができます。しかし、4枚の舵を同時に制御するのが難しいため、コンピューター制御が必須です。
日本では、そうりゅう型潜水艦からX舵が採用されています。X舵の採用により、潜水艦の操縦性が向上し、より複雑な動きが可能になりました。
今後、日本の潜水艦はX舵になっていくと思われます。
台湾当局は、進水式において尾部の舵は露出させ、スクリューは隠すということで、潜水艦建造技術、特に工作技術においては未だ先進国の1990年代のレベルにとどまっているとみられる、中国に対して、台湾の潜水艦は中国の先をいっていることを示したものと思われます。
基本的には昔から潜水艦の行動は秘中の秘とされ、潜水艦の情報は隠されるのが常でした。進水式の情報ですら隠されていたのです。
その理由は、潜水艦は海中を自由に移動できるため、敵国にとっても脅威となるからです。潜水艦の情報が敵国に知られてしまうと、潜水艦の行動を予測しやすくなり、攻撃の対象とされやすくなってしまいます。
そのため、潜水艦の建造は秘密裏に行われ、進水式も一般には公開されませんでした。進水式が公開されると、潜水艦の外観や性能が知られてしまうためです。
しかし、近年では、潜水艦の技術が進歩し、敵国による探知や攻撃が困難になってきています。そのため、潜水艦の情報も徐々に公開されるようになってきました。
日本では、1990年代以降、潜水艦の進水式が一般公開されるようになり、潜水艦の情報も積極的に公開されるようになりました。
2017年潜水艦「しょうりゅう」の進水式 |
ただし、現在でも、潜水艦の詳細な情報は依然として秘密にされています。具体的には、潜水艦の性能や搭載兵器、配備先などは、一般には公開されていません。
しかしながら、このブログで様々な台湾の潜水艦に関する情報を掲載できるようになったり、上の記事のように台湾の潜水艦に関する情報がかなり開示されていることをみると、これは中国の情報戦に対抗するための、情報戦の一環でもあるともみられます。
それも、台湾だけではなく、日米やその同盟国にとっても、情報戦の強力なツールになります。
台湾の最新の潜水艦に関する情報公開は、このような軍事開発を取り巻く典型的な秘密主義を考慮すれば、通常とは一線を画すものです。これを中国の情報戦に対抗するための情報戦の一環として、台湾の軍事力を誇示し、より広い意味で台湾の防衛態勢について台湾と台湾を守ろうとする国々が中国に対してメッセージを送るための有効な手段ともなるでしょう。
ただし、このメッセージは、以前このブログも掲載した中国の空母のような政治的メッセージに終止するものではありません。台湾が強力な最新型潜水艦を建造し、これからも建造し続けるということで、強力な軍事的メッセージを発信できるようになったのです。
これには、様々なことが考えられます。現在でも台湾を守ろうとする国々は、台湾付近に潜水艦を潜ませていることは間違い無いでしょう。これをある程度開示すれば、対潜水艦戦(ASW:Anti Submarine Wafare)能力が、脆弱な中国にとっては、これは強力なメッセージとなります。
ASWの概念図 |
私は、尖閣付近にも日本の潜水艦が潜んでいると推測しています。これは、中国側も意識しており、様々な尖閣付近で様々な示威行動はするものの、尖閣上陸などのことは未だに実行しないことからも十分に予想がつきます。日本側がこれを多少でも開示すれば、これも強力なメッセージなるでしょう。
南シナ海にも、米国とその同盟国の潜水艦が潜んでいることでしょう。これもある程度開示すれば、強力なメッセージになります。
台湾は潜水艦を建造したばかりで、未だASWの能力は高いとはいえません。上の記事の元記事にもあるように、ASWの中でも、敵潜水艦の動向を探る地味な対潜水艦(対潜)哨戒能力は、台湾の“後ろ盾”である日米と比べてかなり劣ると見られます。高度な半導体技術と長年のノウハウの蓄積、そして得られたデータの分析力がモノを言う分野で、一朝一夕には力がつかないからです。
これをASWの能力が世界トップレベル日米が支援したり、訓練したり、演習を行うことも、中国に対する強力なメッセージとなります。
日米台だけではなく、他の国々も演習に参加すれば、これも強力なメッセージとなります。さらに、日米と台湾を支援する国々は、潜水艦を用いて、中国海軍に関する情報収集なども共同で行えるでしょう。
さらには、以上のようなことを元に、他の様々なメッセージを効果的に送ることができます。中国が台湾海峡で、何かをすれば、これに対して、すぐにメッセージを返すことができます。
今後習近平は、単に台湾の新型潜水艦というに軍事事実だけにとどまらず、台湾や台湾を守ろうとする国々からの、様々な政治的、軍事的メッセージに翻弄されることになるでしょう。まさに、台湾と台湾を守ろうとする国々とって、台湾が新型高性能潜水艦の建造国となったことによって、新たな情報戦のツールをも得たといえます。
日本も、日本の潜水艦隊や台湾の潜水艦、米国など同盟国の潜水艦やASW能力を巧みに用いた中国に対する情報戦を効率的に運用すべきです。
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