韓国は外交ストップなのに…「軍事支援を明言」さらに緊密化する北朝鮮とロシア
まとめ
- 北朝鮮とロシアが「包括的な戦略的パートナーシップに関する条約」を締結し、軍事同盟を復元した。
- 条約第4条では、両国のどちらかが戦争状態に陥った場合、もう一方が独自に軍事支援を提供すると明記されている。
- 一方、韓国の外交・安全保障ラインは非常戒厳事態以降、正常な機能を停止しており、朝鮮半島情勢の緊張が高まっている。
韓国政府の外交・安全保障ラインは非常戒厳事態により、機能が麻痺している状況だ。トップ外交官たちが重要な外遊や国際会議を延期・キャンセルしていることから、韓国の外交姿勢は厳しい状況にあることが伺える。特にチョ・テヨル外交部長官は2024世界新安保フォーラムへの参加をキャンセルし、他の高官たちも同様に対外日程を抑えている。これにより、韓国は外交的な立場を弱めるリスクに直面している。
このような背景の中、米国のドナルド・トランプ次期大統領が北朝鮮との直接対話を模索する可能性が浮上している。専門家は、キム・ジョンウン委員長がロシアとの関係を強化することで米朝対話の再開に備えているのではないかと指摘している。さらには、ロシアが米朝対話の仲介者として活躍する可能性があり、それにあたって韓国が排除される危険性も懸念されている。これらの状況は、朝鮮半島の緊張感を高め、周辺国の外交政策にも影響を与える可能性がある。
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にもかかわらず、これが韓国内でマスコミや識者が強調するのには、当然のことながら、北朝鮮の工作が大きく影響しているとみるべきである。
そうして、北の工作は紛れもなく韓国に影響を及ぼし続けており、今回の戒厳令とその後の社会不安などにも関与している可能性は高い。
【私の論評】韓国の戒厳令発令と解除に見る北朝鮮の影響と情報戦略の可能性
まとめ
- 尹錫悦大統領が戒厳令を発令し、その後すぐに解除したことは異常であり、北朝鮮の影響の可能性は否定できない。
- 北朝鮮とロシアの関係強化が国際情勢の変化をもたらし、両国の軍事同盟が復活している。
- 北朝鮮の情報戦略が韓国の社会不安を助長し、政府への信頼を損なわせる影響を与えている。
- 尹大統領の政治的動揺を利用し、北朝鮮は親北政権の樹立を狙った工作活動を強化している可能性がある。
- 韓国政府はこの状況を重く受け止め、北朝鮮の情報戦略に対する効果的な対策を講じる必要がある。
にもかかわらず、これが韓国内でマスコミや識者が強調するのには、当然のことながら、北朝鮮の工作が大きく影響しているとみるべきである。
そうして、北の工作は紛れもなく韓国に影響を及ぼし続けており、今回の戒厳令とその後の社会不安などにも関与している可能性は高い。
深夜、ソウルの街を覆う異様な静寂。突如として鳴り響いたサイレンが、韓国全土に戒厳令の発令を告げた。しかし、その音が消えぬうちに、再び別のサイレンが鳴り響く。戒厳令解除の知らせだ。この一連の出来事は、韓半島を取り巻く緊張の縮図であり、北朝鮮の影が色濃く落ちている可能性を示唆している。
戒厳令発令の背景には、北朝鮮とロシアの関係強化という国際情勢の変化がある。2024年6月、ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩総書記は包括的戦略パートナーシップ条約に署名した。この条約には、第三国からの攻撃があった場合の相互支援が盛り込まれており、両国の軍事同盟の復活とも言える内容となっている。
さらに、2024年11月には北朝鮮の崔善姫外相がモスクワを訪問し、ロシアのラブロフ外相と会談した。崔氏は「ロシアがウクライナ戦争で勝利するまで北朝鮮がロシアを支援する」と表明し、両国の関係が「無敵の軍事的同志関係」にまで高まっていると強調した。
この状況下で、尹大統領は国民の安全を守るため、強硬措置を取る必要があると判断したようだ。しかし、その判断は脆くも崩れ去った。韓国の尹錫悦大統領は2024年12月3日夜、突然戒厳令を宣布した。戒厳軍司令官名が政治活動を禁じ、令状なしに逮捕することができると宣言し、「政権によるクーデター」を図ったが、制圧に失敗した。国会で戒厳令を無効化する決議を通され、“大統領の反乱”はわずか6時間で失敗した。
この出来事は、尹大統領が自分の権力を維持するために野党勢力を抑え込もうとした強権的な試みということだけが強調されているが、そういう側面がなかったとは言い切ることはできないが、無論それだけではないだろう。尹大統領は国会が犯罪者集団の巣窟となり、立法独裁を通じて国家の司法・行政システムを麻痺させ、自由民主主義体制の転覆を企てていると主張した。しかし、野党はこれを「内乱罪」にあたると規定し、国会で弾劾を推進する意向を明らかにした。
混乱する韓国社会 |
一方北朝鮮の情報戦略は、この混乱した状況を生み出しさらに巧みに利用している可能性が高い。韓国内の工作員直接の工作や、SNSやインターネットを通じたデマや誤情報の拡散は、韓国社会に深刻な混乱をもたらしている。2017年、核実験や弾道ミサイル発射で韓国国内の不安を煽った北朝鮮は、「朝鮮中央通信」を通じて韓国政府を批判し、国民の不信感を助長した。「南朝鮮人民は政府の圧政に苦しんでいる」との報道は、韓国国内の不満を煽り、国民の間に不安感や不信感を生じさせる効果があった。
イ・ソクヒョン教授は「北朝鮮は情報操作を通じて、韓国の内部に混乱をもたらし、政府への信頼を損なわせる狙いがある」と指摘する。この言葉は、北朝鮮の工作が戒厳令への支持を減少させた可能性を示唆している。
さらに、北朝鮮はこの混乱を利用して、韓国に親北政権を樹立させようとする工作活動を強化している可能性もある。尹錫悦大統領の支持率が低下し、弾劾の可能性も浮上しているこの状況下で、北朝鮮は韓国の政治動揺を利用し、親北的な政治勢力を後押しするための情報操作や工作活動を展開しているかもしれない。
韓国に再び文在寅政権よりさらに強力な親北政権が登場する可能性もある。文在寅政権時代には、北朝鮮との和解路線が強調されていたが、次の政権がさらに親北的な政策を推進する場合、韓国の安全保障と日米韓の連携に大きな影響を及ぼす可能性がある。石破茂首相は、韓国の政治動揺と北朝鮮の敵対関係強化について「安全保障の状況が根底から変わるかもしれない危惧の念を抱いている」と語っている。
韓国に親北政権が登場した場合、北朝鮮との関係がさらに緊密化し、米国や日本との関係が悪化する危険性がある。特に、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が再び見直される可能性もある。これにより、東アジアの安全保障環境がさらに不安定化する可能性が高まる。
「GSOMIA」は、弾道ミサイルの発射の兆候など、秘匿性の高い軍事情報を2国間で交換するため、情報を適切に保護する仕組みなどを定めている。 |
韓国政府は、この事態を重く受け止め、北朝鮮の情報戦略に対する効果的な対策を講じる必要がある。この異常な事態は、韓半島を取り巻く緊張関係の縮図であり、今後の東アジアの安全保障にも大きな影響を与える可能性がある。
我々は、この出来事を単なる一過性の混乱として片付けるのではなく、より大きな文脈の中で捉え、その意味を深く考察する必要がある。戒厳令の発令と解除という一連の出来事は、韓国社会の脆弱性を露呈させると同時に、北朝鮮の情報戦略の巧妙さを示すものかもしれない。この教訓を活かし、韓国はより強固な社会システムと国際協力体制を構築することにより、今後の韓半島の平和と安定につなげていくべきだろう。また、これを他山の石とし、日本も北朝鮮の情報戦にそなえていくべきである。
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