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2020年7月18日土曜日

米、中国共産党員の渡航禁止を検討! ハイテク排除、ハリウッドの対中協力も非難 識者「習政権への宣戦布告」— 【私の論評】中国は超大国になるために海洋進出を諦めるかもしれないが、それでも油断は禁物!(◎_◎;)


米、中国共産党員の渡航禁止を検討! ハイテク排除、ハリウッドの対中協力も非難 識者「習政権への宣戦布告」

トランプ氏(写真)は習氏の入国も認めない?
 米国の対中「宣戦布告」なのか。ドナルド・トランプ政権は、全ての中国共産党員と家族による米国への渡航禁止を検討していると米メディアが報じた。8月には通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)など中国企業5社の製品を使う企業が米政府と取引することを禁じる法律も施行される。米中対立は全面戦争状態に突入しそうだ。
 ロイター通信は関係筋の話として、中国共産党員と家族の渡航禁止について、政府高官が大統領令の草案を準備し始めたと報じた。検討は初期段階で、トランプ大統領にはまだ諮られていないというが、複数の連邦機関が関与し、党員の子供が米国の大学に在籍することを拒否するかどうかも検討されているという。

 米国の大学に留学する中国共産党幹部の子供も多く、実現すれば影響は小さくない。

 中国事情に詳しい評論家の石平氏は、「中国共産党員は約9000万人とされ、配偶者や子息を合わせると数億人になるのではないか。いったん入党すれば離党しづらく、世界中に党員は存在する。中には党の任務を負う人もいると考えられ、中国本土だけの問題ではないだろう」とみる。

 一方、米政府が取引停止の対象としたのは、ファーウェイのほか、中興通訊(ZTE)、海能達通信(ハイテラ)、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)の5社の製品。

 官報に8月13日から実施する規則を掲載。施行されれば、原則として対象企業の製品やサービスを利用する企業との新規契約や契約更新も行わない。各社は米政府と中国企業のどちらと取引するのか選択を迫られる。

 中国に協力するハリウッドの映画業界や米IT企業にも注文を付けた。ウィリアム・バー司法長官は16日、ハリウッドにが興行収益のため中国当局を怒らせないよう「恒常的に自主検閲している」と指摘。中国のイメージを悪くするシーンを自ら削除することが横行していると説明し、「中国共産党の一大プロパガンダ作戦」に利用されていると懸念を示した。

 IT企業についてはグーグル、マイクロソフト、アップルなどが「中国の手先になっている」と主張した。

 人もモノも中国排除が進む。前出の石平氏は、「米国への留学生や共同研究者などを経た技術の流出もあるが、ハイテク競争の域を越え、党自体を否定することで、習近平政権への事実上の宣戦布告になる」と指摘した。
【私の論評】中国は超大国になるために海洋進出を諦めるかもしれないが、それでも油断は禁物!(◎_◎;)
最早、米国は宣戦布告をしたのも同様という石平氏の見解は、正しいと思います。米国は、このように様々な方策を講じて、米国内やインド太平洋地域から中国を排除し、中国を封じ込めようとしています。
これは、いずれ成功し、中国は、米国や他の国々によって封じ込められるのでしょうか。私は、そうではないと考えています。
その根拠になることが、米国のニュース・ウイーク紙日本版に掲載されています。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで浮上する第2の道とは
詳細は、この記事を読んでいただくものとして、この記事では、中国が超大国になるための道筋は二つあると言います。

以下に一部を引用します。
1つは、アメリカの多くの戦略専門家が予測してきた道だ。この道を選んだ場合は、まず自国の周辺の西太平洋に君臨し、それを踏み台にしてグローバルな超大国の座を目指すことになる。もう1つは、これとはまるで違う道だ。こちらは、戦略と地政学の歴史的法則に反するアプローチに思えるかもしれない。
まず、最初の道筋は、時刻周辺の南太平洋に君臨し、それを踏み台にしてグーロバルな超大国の道を目指すことです。

これは、困難が伴うとこの記事にも書かれています。なぜなら、最大の障害として日本が立ちはだかっているからです。

中国にとっては、日本は単独でも脅威です。先日中国の潜水艦が日本の接続領域を潜航したのですが、これはあっさりと日本に発見され、河野防衛長官がその事実を大々的に発表しました。その内容は、日本のマスコミでも公表されました。

中国としては、自国の最新鋭原潜が日本や米国に探知されるか否かを試しに、日本の接続領域に潜航させて見たのでしょうが、あっさりと発見されてしまったわけです。

これは、日本のマスコミはいずれも公表しなかったのですが、中国の潜水艦は未だ、日本に簡単に発見されてしまい、日本の敵ではないことを暴露されてしまったわけです。

これに対して、中国は日米の潜水艦の行動をいまだに探知できないようです。これは、機密事項なので、公には公表されませんが、おそらく日米の潜水艦は、中国側に発見されず、自由に南シナ海は無論のこと、東シナ海や黄海あたりを潜航していると思います。

中国が日米の潜水艦の行動を探知できるなら、今まで一度くらいは、日本の高野防衛大臣が行なったように、日米の潜水艦の行動を公表するに違いありません。そうすることによって、中国として、対潜哨戒能力の技術が向上したことをアピールするとともに、日米に対する牽制ができます。

これは、日本単独でも、日本の潜水艦は中国の潜水艦を含む艦艇を、中国に発見されることなく、探知して撃沈できることを示します。これに対して、中国海軍は日本の潜水艦に撃沈は愚か、どこにいるかさえ把握できないのです。

これでは、最初から勝負が決まったようなものです。これでは、尖閣上陸も恐ろしくてできないはずです。無論、私自身は、このブログでも以前から指摘しているように、中国の艦艇の尖閣での狼藉を放置せよと言って訳ではありませんが、それにしても、中国は今のところ、日米の潜水艦が障害となって、未だ尖閣諸島に上陸できないばかりか、尖閣諸島を含む第一列島線すら確保できないでいます。

中国海軍のロードマップでは、今年中には、第二列島線まで、確保する予定なのですが、今のところ、全く不可能な状態です。さらには、英海軍がインド太平洋地域に空母「クリーンエリザベス」を派遣するとの報道もあり、中国海軍のロードマップはますます絵に描いた餅に近づいてきました。


中国がこのように海で苦戦するのは、やはり自らは未だシーパワー国にはなり切れておらず、ランドパワー国でもあるにも関わらず、海洋進出をしようとしているからでしょう。

これについても、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
台湾問題だけでない中国の南太平洋進出―【私の論評】海洋国家を目指す大陸国家中国は、最初から滅びの道を歩んでいる(゚д゚)!
詳細は、この記事をごいただくものとして、以下にこの記事から一部を引用します。
現在の中国は鄧小平が劉華清(中国海軍の父)を登用し、海洋進出を目指した時から両生国家の道を歩み始めました。そして今、それは習近平に引き継がれ、陸海併せ持つ一帯一路戦略として提示されるに至っています。しかしこれは、マハンの「両生国家は成り立たない」とするテーゼに抵触し、失敗に終わるでしょう。
劉華清(中国海軍の父)
事実、両生国家が成功裏に終わった例はありません。海洋国家たる大日本帝国は、大陸に侵攻し両生国家になったため滅亡しました。大陸国家たるドイツも海洋進出を目指したため2度にわたる世界大戦で滅亡しました(ドイツ第2、第3帝国の崩壊)。ソビエト帝国の場合も同じです。よもや、中国のみがそれを免れることはないでしょう。一帯一路を進めれば進めるほど、地政学的ジレンマに陥り、崩壊への道を早めてゆくことになります。
中国の海洋進出には、日本が巨大な壁として立ちはだかっているだけではなく、シーパワー国の雄である、米国の軍隊が駐留しています。さらには、中国の香港などでの横暴に、脅威を抱き、中国の海洋進出に脅威抱いたこれもシーパワー国である英国が、「空母クイーンエリザベス」を太平洋に常駐させる計画を立てています。

シーパワー国になることは、容易ではないのです。まずは、優れた海軍を持つには、資本の蓄積が必要です。資本があれば、艦艇は作れますが、それだけでは優れた艦艇は作れません。高度の技術が必要です。

高度な技術を用いて、優れた艦艇を多数作れるようになってもそれだけでは駄目です。今度は、優れた多数の艦艇を操るノウハウが欠かせません。そうなると、シーパワー国になるための敷居はかなり高いです。かつて、世界には英国だけがシーパワー国だった時期があり、その頃には日本も米国もランドパワー国だったのですが、数十年かけて、シーパワー国に変貌しました。

中国がこれから、本格的にシーパワー国になろうとすれば、少なくとも今後20年くらいはかかるでしょう。

そうして、今後ますます多くの国々がインド太平洋地域において、中国に対して反旗を翻することでしょう。そうなると、中国としては、インド太平洋地区を治めることは、ほとんど不可能といって良いです。

これでは、中国周辺の西太平洋に君臨し、それを踏み台にしてグローバルな超大国の座を目指すことはほぼ不可能です。

では、先ほどのニューズウィークの記事に出てきた、中国が超大国になるもう一つの道とはどのようなものなのでしょうか。

その第二の道は、中国が自国の東に位置する西太平洋ではなく、自国の西に目を向けることです。ユーラシア大陸とインド洋に中国主導の安全保障・経済秩序を確立し、それと並行して国際機関で中心的な地位を占めることを目指すのです。

先のニューヨークタイムズの記事によれば、このアプローチの土台を成すのは、世界のリーダーになるためには、軍事力よりも経済力と技術力のほうがはるかに重要だという認識です。そうした発想に立てば、東アジアに勢力圏を築くことは、グローバルな超大国になるための前提条件ではありません。西太平洋では軍事的バランスを維持するだけでよく、軍事以外の力を使って世界に君臨することを目指せば良いということになります

元々、ランドパワー国である、中国がこの道筋を取ろうと方針転換をすれば、これは今よりも大きな脅威になります。

軍事力以外の力を使って君臨することを目指すにしても、やはり軍事力は重要です。それに関しては、すでにミサイルや核兵器も開発してきた中国ですから、それなりのノウハウも持っており、ランドパワー国としての技術力やノウハウを開発することは、中国に取っては、シーパワー国を目指すよりは、遥かに簡単です。

このブログでも以前示したように、中共は、南シナ海、東シナ海、太平洋、アフリカ、EU、中東などに手を出しつつ、ロシア、インド、その他の国々との長大な国境線を守備しつつ、米国と対峙して、軍事力、経済力、技術力を分散させています。

かつてのソ連も、世界中至る所で存在感を増そうとし、それだけでなく、米国との軍拡競争・宇宙開発競争でさらに力を分散しました。当時は米国も同じように力を分散したのですが、それでも米国の方が、国力がはるかに優っていたため、結局ソ連は体力勝負に負け崩壊しました。

今日、中共は、習近平とは対照的な、物事に優先順位をつけて実行することが習慣となっているトランプ氏という実務家と対峙しています。今のままだと、中国も同じ運命を辿りそうです。

このように、米国と比較すると、今のところ世界中で攻勢に出ているように見える、中国は超大国になるための2つの道の両方を同時試そうとしているようですが、いずれ中国は海洋進出の拡大を諦めて、ユーラシア大陸とインド洋に中国主導の安全保障・経済秩序を確立し、それと並行して国際機関で中心的な地位を占めることを目指すことに、集中するかもしれません。

そうなるとかなり厄介です。ただし、それ以前に中国の経済か政治制度が揺らいだり、競争相手の国々が賢明な対応を取れば、どちらの道もうまくいかない可能性も大いにあります。

米国などの自由主義陣営は、そのことも考慮に入れて、中国と対峙すべきでしょう。そうして、今はインド太平洋地域を最重要点として、中国と対峙していくべきでしょう。そのようにすれば、当面中国はますます、シーパワー国を目指して、多大な経費や労力を無駄に浪費することでしょう。

そうすれば、中国がランドパワーを強化し、ユーラシア大陸とインド洋に中国主導の安全保障・経済秩序を確立しょうとしても、疲弊してうまく行かなくなる可能性が大です。

ただ、我々が気をつけなければならないのは、中国が早めに海洋進出を諦めたように見えた場合、それは自由主義陣営に敗北したためとすぐに判断すべきではないということです。

もしかすると、それは、中国がユーラシア大陸とインド洋に中国主導の安全保証・経済秩序を確立することに転じたサインかもしれないということです。

もし中国がそれに転じたとしても、現在の失敗続きで懲りた中国は、鄧小平が残した「韜光養晦(とうこうようかい)」という言葉を思い出し、今度は細心を注意をしながら、自由主義陣営になるべく気がつかれずに、行動するようになるかもしれません。



ユーラシア大陸の、ロシアや中央アジアの国々に対して、過去の強権的なやり方ではなく、もっとスマートな形で、自らの経済圏に取り込むように働きかけるようになるかも知れません。

気がついたときには、ヨーロッパ、ロシア、中央アジア、インドなどの地域が実質的に中国に飲み込まれているかもしれません。これもかなり困難なことですが、太平洋のハワイの西側まで中国の海とすることよりは、簡単です。

日米を含めた自由主義陣営は、過去には中国が経済成長して豊かになれば、まともになるだろ等として、過去には中国の暴挙を許容してきました。それが今日の危機を招きました。

中国が第二の道を選んだ場合にも、自由主義陣営も過去の失敗を繰り返すことなく、早めにその芽を積むべきです。どのように外見や態度を変えて見せたところで、現在の中共の本質は変わりません。中共が消えるまで、戦いは続くと見るべきです。

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2020年3月19日木曜日

米国家安全保障会議、中国が「武漢コロナウイルス」を食い止めていないと声明で非難―【私の論評】反グローバリズムで中国は衰退し、新たな秩序が形成される(゚д゚)!

米国家安全保障会議、中国が「武漢コロナウイルス」を食い止めていないと声明で非難

習近平

国家安全保障会議(NSC)は17日、中国共産党がジャーナリストを国外に追放し、中国が起源となったウイルスを止めることに集中するのではなくその起源に関する偽情報を広めていることを非難した。

「中国と香港からジャーナリストを追放するという中国共産党の決定は、中国国民と世界から同国に関する本当の情報へのアクセスを奪うことに向けてのまた新たな一歩である。米国は、中国の指導者がジャーナリストを追放することと、武漢コロナウイルスを食い止めようとする全ての国に対して偽情報を広めることから関心を向け直すことを求める」とNSCは声明で述べた。

NSCの声明は、中国がニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナルの米国人ジャーナリストを追放すると発表したことを受けてのものだ。

「(中国共産党は)また、ボイス・オブ・アメリカ、タイム・マガジンを含めたそれらの報道機関が、中国政府に活動の詳細情報を提供するよう要求した。発表ではさらに、現在中国本土で活動する米国人ジャーナリストは、『香港とマカオ特別行政区を含む中華人民共和国でジャーナリストとして活動することを許可されなくなる』としていた。2つの地域は半自治区であり、理屈の上では本土よりも報道の自由が大きかった」とニューヨーク・タイムズは報じた

「世界が自由な報道活動を行う能力を中国が今日締め出すと決定した事を遺憾に思う。そうした活動があれば率直にいって中国国民にとっては本当に有益になるのだが。これは残念なことだ。彼らが再考することを願う」とマイク・ポンペオ国務長官は報道陣に語った。

ニューヨーク・タイムズのディーン・バケット編集長は中国の措置を非難し、「コロナウイルス・パンデミックに関する確かな情報が、自由で開かれた形で流通することを世界が必要としている時に、ことのほか無責任である」と述べた。

ワシントン・ポストのマーティン・バロン編集長は、「我々は、米国人記者を追放するための中国によるいかなる措置も明白に非難する。中国政府の決定がとりわけ遺憾であるのは、COVID-19に対する国際的な対応に関する明確で信頼できる情報が不可欠な、前代未聞の世界的危機の只中でのものであるためだ。その情報の流れを大幅に制限するという、現在中国が行おうとしていることは、状況を悪化させるだけだ」と述べた

ウォールストリート・ジャーナルのマット・マレー編集局長はツイートでこう述べた。「中国の報道の自由に対する前代未聞の攻撃は、前例のないほどの世界的危機の時に行われているものだ。中国から同国に関して信頼できる報道を行うことは、この上なく重要なものだった。我々は世界のどこであっても、政府が自由な報道に干渉することに反対する。中国について完全に深く報じることに対する我々の深い関与は不変だ」


ウォールストリート・ジャーナルのマット・マレー編集局長

中国はコロナウイルスの起源に関する偽情報を広めることを目指した必死のプロパガンダ活動を開始している。

外交問題評議会の上級研究員でアジア研究部長のエリザベス・C・エコノミーは、ニューヨーク・タイムズに、「習近平にとっての危機は、ウイルスが世界的に広がる中で、タイムリーな対応を遅らせることにおいて中国の統治制度が果たした役割が、国際社会からますます監視と批判を浴びることだ」と語り、プロパガンダは「責任を逸らし、何が本当に起きたかについての国際社社会からの誠実な釈明要求を避けるための、習による苦肉の策」であると述べた。

【私の論評】反グローバリズムで中国は衰退し、新たな秩序が形成される(゚д゚)!

中国が恐れているのは、世界の中国を見る目が変わることです。現状では、未だ武漢コロナウイルスが蔓延しているため、各国政府も、個々の国民もこれに対応することで精一杯で、中共を非難するよりもまずは、病気を食い止めることに注力しています。

しかし、これが一旦小康状態になるか、終息すれば、多くの人々から中国共産党や習近平に対する怨嗟の声があがるでしょう。

以前のこのブログにも掲載したように、
親しい人、愛する人を失った人々、感染してひどい目にあった人たち及びこれらに惻隠の情を禁じえない人々は、この不条理を生涯忘れないでしょう。自分の過ちを認めない、上から目線の中国共産党に対しては、世界中の多くの人々がこれを認めないでしょう。米国の対中国冷戦は、世界中の多くの国民から支持されることになるでしょう。 
たとえ、自国の政府が親中的であったにしても、支持するでしょう。
このような事態に遭遇した人たちは、ウイグルやチベットの人々に対してもさらに深い理解を示すようになるでしょう。迫害されている他の中国人民の気持ちも理解できるでしょう。
そもそも、中国共産党や習近平は巧みに論点をすり替えています。そもそも、武漢コロナウイルスの発生源など主たる問題ではないからです。発生源がどこであろうと、中国共産党が、武漢コロナウィルスによる肺炎が発生しているにもかかわらず、それを中国国内や海外に対してさえも隠蔽したことが問題なのです。

この隠蔽さえなければ、国内では武漢市内、もしくはもっと極限された地域だけで、感染を食い止められたかもしれません。そこまでいかなくても、中国国内だけで感染が食い止められた可能性が大きいです。特に、世界各国の支援を受け入れ、早めに防疫体制を整えていれば、今日のような事態を招くことはなかったでしよう。

しかし、中共が隠蔽したため、多くの国々が武漢コロナウイルスの備えを固めることができないうちに、侵入を許してしまったという、事実があります。この事実は、変えようがありません。

この隠蔽の事実と、世界に武漢コロナウィルスが蔓延しつつある事実は、中共がいくら発生源で論点をすり替えようとしても変えようがありません。

先に述べたように、今後武漢コロナウイルスの世界への伝播が小康状態になったり、終息した場合には、世界は大きく変わるでしょう。

それは、過去の世界史をみてみれば、わかります。たとえば、 強大な軍事力を背景に北はスコットランドから南はシリアまでを領地に繁栄をつづけたローマ帝国の衰退の一因に「疫病」がありました。

皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌス(121~180)のお抱え医師、ガレノスが当時蔓延した疫病について詳細な記録を残していました。この疫病は165年から167年にかけてメソポタミアからローマに到達したとされています。

皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌス(121~180)の像

この疫病では、多くの患者が血を吐いたされています。病人の顔が黒くなれば葬式の準備を始めたほうがいいともいわれたそうです。もちろん治る患者もいました。「黒い発疹」が出れば生き延びる可能性があったそうです。この疫病は、今では天然痘だったのではないかと見られています。総死亡者数は1000万人を超えたのではないかと推定されています。ローマでは毎日2000人が死んだともされています。

ローマ軍の軍人たちも罹患し、軍がガタガタになりました。それに乗じて一時はゲルマン人がローマにまで攻め込んできました。最終的には押し返したのですが、ローマ帝国の最強神話がぐらつくきっかけになりました。

皇帝マルクス・アウレリウスもこの病気で死んだといわれています。『ローマ帝国衰亡史』で知られるギボンは、「古代世界はマルクス・アウレリウス統治時代に降りかかった疫病によって受けた打撃から二度と回復することはなかった」と書いています。

このように、大きな疫病は、昔から流行した後に、世界を変えています。今回の武漢コロナウイルスによっても、終息後には世界は大きくかわるでしょう。

まずは、中国自体の弱化です。

武漢市の全面閉鎖に象徴される社会機能の麻痺により当然、経済は落ち込むでしょう。その結果、軍事に投入される国家資源も相対的に減ることになります。なにしろ国民多数の国内での移動や就業自体が大幅に制限されたのですから、総合的な国力が削られるのは自明です。

次に、中国をみる世界の目の変化です。

上でも述べたように、世界の多くの国は習近平政権が当初、ウイルスの拡大を隠し続けたことを非難しました。国際社会のそうした非難は当然、中国の孤立傾向を強めることになります。伝染病の流行までも隠蔽しなければならない独裁政権の異様な体質への国際的な忌避や嫌悪だともいえます。

そもそも中国はいま全世界を苦しめる武漢コロナウイルスの発生地であり、加害者です。日本も米国もそのウイルスから自国民を守るためには中国との絆を断つ動きをとらざるを得ないのです。

日本をはじめ多くの諸国が中国からの来訪者を入国制限をしました。これは、自国民保護のための自衛の防疫措置でしたた。しかし、その結果は中国との交流の縮小となり、中国は世界のなかで孤立に向けて押しやられることになりました。

三番目は、グローバリゼーションの変化です。

このウイルス拡散がグローバル化を阻み、縮小させる影響である。

グローバリゼーションとは、国家と国家の間で人、物、カネが国境を越えて、より自由に動く現象を指します。そのグローバル化は貿易の実例でも明らかなように世界全体、さらには人類全体に数えきれない利益をもたらしてきました。ところがそのグローバル化にも光と影がありました。

ウイルス感染症が中国から他の諸国へとすばやく拡大していったのも、グローバル化の産物でした。この危険なウイルスの国境を越えての拡散を防ぐためには、国境の壁を高く厳しくする措置が欠かせなくなります。国境を高くすることはグローバル化への逆行です。

米国のトランプ大統領は選挙公約にもはっきりとグローバル化への反対をうたっていました。トランプ大統領は、主権国家の重要性を強調した政治リーダーなのです。その米国で中国発生のウイルスへの対策として、中国との絆の縮小や遮断を説く声が起きるのも、自然な流れです。

このブログでも以前、トランプ政権のウイルバー・ロス商務長官は「このウイルスの拡散は雇用を北米へ戻すことを加速させる」と述べて、批判されました。

ウイルバー・ロス商務長官

仮にも中国の多数の国民を苦しめる感染症を米国の雇用を増すプラスの出来事として描写したことの不謹慎さを非難されたのです。ところが、今回のウイルス拡大がこれまで中国へ、中国へ、と流れていたアメリカ国内の生産活動の移動を元に戻す効果があることはまぎれもない事実です。

トランプ政権はウイルス拡散の以前から中国との経済関与を減らすことを政策目標にしていました。中国共産党政権の国際規範無視の膨張に反対するためでした。

ところが、このウイルス拡大はそのアメリカ主導の脱中国の動きを加速させ、中国に重点が移りかけていた全世界のサプライチェーンまでにも正面からブレーキをかけられることになったのです。まさにグローバリゼーションの大きな変化でした。

すでにコロナウイルスの感染者が多数出たイタリア、イラン、韓国などという諸国も多様な方法で中国との関与や接触を断つ方向への措置を取り始めました。グローバル化への逆行です。

ただし、このブログでも以前述べたように、中国の過剰貯蓄が世界の経済を変えてしまったところがあります。これが、グローバリゼーションの変化により是正される可能性があります。

1990年代末から顕在化し始めた中国に代表される新興諸国の貯蓄過剰が、世界全体のマクロ・バランスを大きく変えてしまいました。リマーン・ショック後に生じている世界経済のマクロ状況は、その世界的貯蓄過剰は、それまでとは異なるものです。

各国経済のマクロ・バランスにおける「貯蓄過剰」とは、国内需要に対する供給の過剰を意味します。実際、中国などにおいてはこれまで、生産や所得の高い伸びに国内需要の伸びが追いつかないために、結果としてより多くの貯蓄が経常収支黒字となって海外に流出してきたのです。

このように、供給側の制約が世界的にますます緩くなってくれば、世界需要がよほど急速に拡大しない限り、供給の天井には達することはありません。世界中で供給制約の現れとしての高インフレや高金利が近年の先進諸国ではほとんど生じなくなったのは、そのためです。

この「長期需要不足」の世界では、財政拡張や金融緩和を相当に大胆に行っても、景気過熱やインフレは起きにくいのです。というよりもむしろ、財政や金融の支えがない限り、十分な経済成長を維持することができません。

ひとたびその支えを外してしまえば、経済はたちまち需要不足による「停滞」に陥ってしまうからです。それが、供給の天井が低かった古い時代には必要とされていた緊縮が現在はむしろ災いとなり、逆に、その担い手が右派であれ左派であれ、世界各国で反緊縮が必要とされる理由なのです。

中国の過剰生産は、凄まじいものがあります。先進国などでは、とうに倒産したようなゾンビ企業が、中国政府から補助金等の支援を受け製造を継続し、製品をつくりまくり、輸出をし続けたのですから、世界も供給過剰になるわけです。

しかし、今回の武漢コロナウイルスの蔓延をきっかけに、各国が中国から輸入を減らせば、世界の供給過剰はなくなるわけですから、世界経済は従来よりは良くなる可能性が高いです。

無論短期では、様々な問題が生じるでしょうが、それは決して克服ができないような問題ではありません。何しろ、中国が製造できるものは、先進国ではすべて製造できるものがほとんどだからです。ただ、自国で製造するよりも安いといういう理由で輸入してきただけです。

とはいいながら、世界は、グローバル化の恩恵を完璧に捨て去ることはできず、自由貿易のルールを守れない中国とその他の少数の例外的な国々が貿易圏をつくりその中で貿易を行い、他方では、自由貿易ができる先進国等の国々が貿易圏をつくり、その中で自由貿易を行うというように、変わっていくと思います。

ただし、自由貿易のルールが守れない、中国や他の国々など、徐々に衰退していき、いずれ消滅するのではないでしょうか。ただし、それらの国々も国民がいるわけですから、それらの国民が新たな国を設立して、自由貿易ができる国を目指すことになると思います。その時は、また世界はグローバル化の時代を迎えることになるでしょう。

【関連記事】

2018年11月28日水曜日

今も残る「ロスジェネ」の苦境…正社員比率や賃金に世代格差 90年代の政策は非難に値する―【私の論評】本当の愛国者は、子どもは私達の未来であることを片時も忘れない(゚д゚)!




 このところ雇用は急速に改善しているが、デフレやバブル崩壊後の不況で、「就職氷河期世代」と呼ばれた1970年~82年ごろに生まれた人たちの雇用や給与なども改善しているのか。そして、個別の政策的な手当は必要なのだろうか。

 池井戸潤氏の経済小説には、「バブル世代」の半沢直樹と「ロスジェネ(ロスト・ジェネレーション)」の森山雅弘が登場する。そこではロスジェネは厳しい就職戦線を勝ち抜いてきたので、有能な社員として描かれている。

 ただし、就職できなかった人の物語はほとんどないのではないか。筆者の知っているロスジェネには、就職に苦労して非正規の渡りを繰り返して現在に至っている人もいる。

 一般的な人は、日本企業に正規社員で採用されると、当初の給料は低いが、40歳ごろにはそこその水準に上昇することが多い。ところが前述のロスジェネのように最初の就職に失敗すると、この賃金上昇カーブの恩恵を受けられない。

 40代になると、中途採用を受け入れる企業も少ない。一般的な日本企業では、50代前半で賃金はピークになるので、40代は人件費コスト高なのだ。

 ロスジェネの後には、「ゆとり世代」がくる。2002年から10年に改訂されるまでの学習指導要領に基づく「ゆとり教育」を受けた1987~2004年生まれを指す。

 ゆとり世代の前半部分は、リーマン・ショックと民主党時代の雇用政策の無策を受けて、就職はやはり困難だった。しかし、アベノミクスの雇用環境の改善から、かなり救済されている。この点で、ロスジェネとは好対照だ。

 労働力調査で各年齢階級の正社員比率をみると、25~34歳は17年が74・16%で、18年(9月まで)が74・97%。35~44歳が71・45%と71・11%、45~54歳が67・73%と67・81%だ。

 ロスジェネにあたる35~44歳では正社員比率が低下しているが、その前後の世代は上昇しているという状況だ。たしかに、ロスジェネは苦しい。

 次に賃金構造基本統計をもとに各年令階級の正社員賃金をみると、25~34歳は16年が26万2100円、17年が26万2700円、35~44歳は32万9000円と32万8100円、45~54歳が38万9900円と38万6300円だった。25~34歳は上昇しているがが、35~44歳と45~54歳は低下している。ここでも、ロスジェネは苦しい。

 一方で、データを見る限り、他の年齢階級と顕著な差があるわけではないことも分かる。となると、個別の政策的な手当が必要かというと、疑問である。ロスジェネの実例を挙げて苦境をリポートすることは難しくないが、それが統計データとしてひどい格差とはいいがたいからだ。

 とはいえ、1990年代の就職困難な状況を招いたマクロ経済政策の不在、特に引き締め基調の金融政策は、十分に非難するに値する。雇用の確保は政府として当然の責務だと筆者は考えているからだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】本当の愛国者は、子どもは私達の未来であることを片時も忘れない(゚д゚)!

ロスジェネについては、上記の高橋洋一氏の記事ではあまり説明していないので、ここでその意味や特徴等について掲載しておきます。

ロスジェネ」は「ロスト・ジェネレーション」の略です。つまり失われた世代という意味になります。

この「ロスジェネ世代」にあてはまるのはバブル崩壊後から約10年間の期間に就職活動をした人たちのことです。つまり、1970年~1982年頃に生まれた世代がそう呼ばれているのです。年齢でいうと、現在48歳〜36歳くらいです。


「バブル景気」と呼ばれた好景気の急激な後退が起こったのが1980年代後半になります。それまで高騰し続けていた株価や地価が下落に転じたのです。

そもそもバブルが崩壊する前に日本がバブル景気に入ったのには円安を武器に輸出産業で大幅な黒字をあげるのに対し、自国の製品が売れず大幅な貿易赤字に陥っていた米国が円高に誘導するべくプラザ合意を締結したことにありました。

プラザ合意によって1ドルが約250円から1年後には約150円まで円高が進んだのです。輸出産業にとって大きな打撃となり一時的な不況に日本はみまわれました。

この状況を打破するために当時、日銀が行ったのが金融緩和政策で、企業にお金を貸し出す時の金利を下げたのです。企業はこぞってお金を借り、株や土地に投資するようになりました。当時は「土地を買えば必ず儲かる」といういわゆる土地神話が信じられており、不動産をみんなが欲しがりました。結果、不動産価格は上昇し続けたのです。

また、金利が安いうちに買っておこうという考えから株価も高騰します。消費が活発なこの状態がバブル景気です。ただし、この頃土地や株などの資産価格は上昇していましたが、一般物価はさほどでもなく、インフレとはいえない状況でした。

ところが、日銀の官僚があまりに馬鹿で、統計のまともな見方すら理解せず、このバブル景気は一般物価を下げないと収まりがつかないと信じ込み、あろうことか金融引き締めに走ります。

また、この時期にど愚かな財務官僚も、経済統計などまともにみることができずに、何かと緊縮財政に走りました。

そのため、金利が上がったことでお金が借りづらくなり不動産は買い手がつかなくなり、株価も急速に下がっていきました。

多額の資金を借り入れていた企業が続々倒産し、不良債権の山となり銀行の経営すら危うくなりますした。一般社会にもボーナス減少、リストラなどの影響を及ぼし急激に景気は後退しました。これが「バブル崩壊」です。

このような状態であれば、通常ならば財務省は積極財政、日銀は金融緩和をするのが正しい対応ですが、なぜか日銀と財務省の無能官僚どもは、緊縮財政、金融引締めにあけくれました。

この誤謬も数年ですめば良かったのですが、それ以降日本はデフレ状況に陥り、愚かな官僚どもは、本来なすべきことをなさず、緊縮、引き締めを20年にもわたって繰り広げ「失われた20年」と呼ばれる長い経済停滞の時代に突入しました。中でも、バブル崩壊から10年間は特に景気が悪く、企業における新入社員の採用意欲も下がりました。

この就職氷河期という厳しいタイミングで就職活動をすることとなった人たちが「ロスジェネ世代」なのです。

バブル崩壊後の不景気の最中に就職活動をしたロスジェネ世代の正社員には他の世代にはない特徴があるとされています。

まずは、仕事に対する姿勢についてです。当時の社会的な背景から厳しい戦いになることを分かった上で就職活動に臨んだ彼らはより専門的な知識であるとかスキルといった自分の強みになるものを身に着けることに対して一生懸命である傾向があります。

仕事にありつけることの難しさを知っているからか、仕事に対してとても前向きな人が多いのです。指示に対しても忠実な世代であると言われています。

もちろん個人差はありますが、考え方にも特徴があります。バブル世代という浮ついた雰囲気が一変する瞬間を目の当たりにしてきたロスジェネ世代には将来を悲観的に考えてしまう傾向が強いようです。

将来への不安から収入を貯蓄に多く回す人が多いのもその考え方によるものであると言えるでしょう。結婚に消極的な人が増えたのもロスジェネ世代以降です。

考え方についてはネガティブな印象が強いようですが、一方でロスジェネ世代は優秀な人材が多い世代でもあります。非正規雇用で働き続けなければならなくなった人も少なくないタイミングで正規採用を勝ち抜いたという事実はその実力の高さを証明していると言うことも可能です。

また、希望する企業よりもワンランク落として就職活動をした人が多いのも優秀な人材が多いと感じさせる要因の1つと言えます。

これらの事からロスジェネ世代は、考え方はやや慎重すぎることがあるのですが、仕事に熱く、スキルも確かな人が多い世代と考えられます。

ただし、これはあくまで正社員として雇用された人たちのことです。普通に大学を卒業して、普通に就職活動をしてもなかなか正社員になれなかった人が多いというのもこの世代の特徴です。

しかし、以上は私の感覚のようなものです。実際に数字はどうなっているのか、確認してみます。これには、田中秀臣氏の以下の記事が大いに参考になります。
雇用大崩壊を経験した「ロスジェネ」はあれからどうなったか
田中秀臣氏


この記事から下に一部を引用します。
 非正規雇用の増加とそれに伴う経済格差拡大の「象徴」としてロスジェネ世代が取り上げられることを、今日でもしばしば見かける。40代の給与減少の報道もその関連で行われたのかもしれない。

 だが、10年前に比べると、ロスジェネ世代の雇用状況はかなり改善している。失業率の低下はすでに説明した通りだ。ここでは正規雇用者数と非正規雇用者数の変化をみてみよう。

 まず、筆者が『雇用大崩壊』を出版した2009年、ロスジェネ世代の雇用状況をみると、男性の正規雇用は599万人、非正規は90万人だった。女性の正規は303万人、非正規は219万人であった
 ロスジェネ世代は、今やだいたい35歳から44歳になっている。この世代を2018年4月と5月の平均値で考えると、男性の正規は649万人で、09年に比べて50万人増加し、非正規は24万人減少して66万人になっている。一方、女性の正規は290万人で、09年に比べて13万人減少し、非正規は88万人増加して306万人となっている。

 女性の非正規雇用の大幅増加は、主婦層がアルバイトやパートなどを始めたことで、求職意欲喪失者層から非正規層に流入したことが主因だろう。この場合、家計の所得補助となる可能性が大きく、世帯的にはむしろ所得の安定に寄与する。それゆえ、非正規の増加がそのまま所得の不安定化をもたらすと考えるのは間違いである。

 さらに注目すべきなのは、ロスジェネ世代で正規雇用が10年前に比べ、男女合計で31万人増、率でいうと3・3%大きく増加したことだ。増加に伴って、男性の非正規雇用も大幅に減少し、10年前と比べて約27%減少している。

 この正規雇用の増加により、いわゆる「ニューカマー効果」を生み出すだろう。非正規層や求職意欲喪失者層にいた人たちが正規層に入っても、そこで同じ世代の人たちが従来手にしていた待遇と同レベルのものを得ることは難しいだろう。要するに、給与が抑えられる可能性が大きいのである。この雇用改善と平均賃金の低下の関係性をニューカマー効果という。

 ただし、経済の安定化が継続すれば、やがて平均賃金も上昇していくことを注意しなくてはいけない。このニューカマー効果が、冒頭で言及した40歳代の給与が5年前と低下した可能性を、ある程度は説明できているかもしれない。いずれにせよ、ロスジェネ世代の雇用環境は大幅に改善していることだけは確かなのである。

 それでは、ロスジェネ世代の象徴といわれた経済格差はどうだろうか。経済格差を示す指標である「ジニ係数」をみてみると、2009年と比べれば、世帯主が40歳代の世帯でも、30歳から49歳までの世代でも低下している。つまり、経済格差は改善しているのである。

 これがさらに継続しているかどうかは今後の調査をみなければいけない。だが、拙著でも言明したが、ロスジェネ世代による経済格差が雇用改善とともに縮小するのは大いにあり得る事態である。
 もちろんロスジェネ世代が生み出されたのはこの世代の人たちのせいではない。すでに指摘したように、政府と日銀の責任である。そして、さらなる改善もこの二つの政策に大きく依存しているのである。 
 また、ロスジェネ世代が、マクロ経済政策だけでは改善できないほど生涯所得が落ち込んだり、所得の落ち込みが将来の年金など社会保障の劣化を招くとしたら、今まさに積極的な社会保障政策を先行してこのロスジェネ世代に活用することも必要だろう。あくまで、まだ議論されている最中だが、ロスジェネ限定のベーシックインカム(最低所得保障)の早期導入も考えられるのではないか。
今後、雇用が改善されていくという時期に、入管法が改正されました。これによって、どの程度ロスジェネ世代に影響がでるか未知数なところがあります。

いずれにしても、ロズジェネの障害所得が落ち込んだり、所得の落ち込みにより、将来大きな影響があると予測される場合は、やはり田中秀臣氏が主張するように、抜本的な手を打つ必要があるでしょう。

無論、資金的手当だけではなく、雇用のミスマッチの是正策も実施すべきです。人は、経済的に満たされればそれで満足というわけではありません。尊厳というものがあります。それは、働いて人の役に立っているという実感がなけば、なかなか満たせるものではありません。

今後弊害がでてきたとき、これをそのまま放置しておけば、ロスジェネだけの問題ではなく、他の年齢層の人々も大きな悪影響を及ぼすことは必至です。

それに、高橋洋一氏が語るように、確保は政府として当然の責務であり、雇用面で著しく不利益を被った層への救済もそうであると思います。ある世代だけが、著しく不利益を被るということは許されることではありません。

最後に、以前このブログにも掲載した。ルトワックの言葉を掲載します。これまでで述べたこととはちょっと趣が違いますが、日本にとって大切なメッセージでもあると思います。
私は日本の右派の人々に問いたい。あなたが真の愛国者かどうかは、チャイルドケアを支持するかどうかでわかる。民族主義者は国旗を大事にするが、愛国者は国にとって最も大事なのが子どもたちであることを知っているのだ。
愛国者は国とってもっとも大事なのが子どもたちであることを知っている

全くそのとおりだと思います。無論国旗を大事するなと言っているわけではありません。子どもとは、私達の未来であるということを言っているのです。それも、間近な未来なのです。たとえ、どのような仕事をしていたとしても、何に興味があろうと、政治信条がどのようなものであれ、子どもたちにとって良い国、社会をつくることこそが、私達大人の最大の任務なのです。 

もう、すでに起こってしまったことは、消すことはできません。そのため、ロスジェネ世代の人たちが、マクロ経済の改善だけでは生涯賃金において他世代よりもかなり低くなるということでもあれば、何らかの形で埋め合わせをすべきです。

そうして、現在の子どもたちが、大人にになって就職する頃には、「就職氷河期」などがあってはならないです。そのようなことをなくすのが、私達大人の責務です。それは、無論経済面はもちろん、安全保障面でも、尊厳の面についても、私達のせいで将来の子どもたちの住む社会が毀損されることがあってはならないのです。

そのために、私たちは日々働いているのだということを片時も忘れるべきではないのです。それを大半の人が忘れたとき、国の衰退、衰亡が始まるのです。

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2017年11月17日金曜日

北朝鮮 SLBM搭載の新型潜水艦建造か―【私の論評】日本は北を先制攻撃しても世界から非難されないが国内で非難されるこの矛盾(゚д゚)!

北朝鮮 SLBM搭載の新型潜水艦建造か

潜水艦のものとみられる部品が移動、SLBM用の潜水艦の建造進展か
 アメリカの北朝鮮研究機関は16日、北朝鮮東部で、弾道ミサイルを発射できる新型の潜水艦の建造が進んでいる可能性があるとして、衛星写真を公開した。

 アメリカの北朝鮮研究機関が公開した北朝鮮・新浦にある潜水艦基地の衛星写真で、建設エリアでは継続的に部品が動かされ、中には潜水艦の船体部分の部品とみられるものがあることから、SLBM(=潜水艦発射弾道ミサイル)を搭載するための、新型潜水艦の建造が進んでいる可能性があると分析している。

 また、エンジンの噴射実験を示す動きが確認できるとして、潜水艦の建造と並行して、SLBMの開発も続いていると指摘している。

【私の論評】日本は北を先制攻撃しても世界から非難されないが国内で非難されるこの矛盾(゚д゚)!

本日写真を公開したアメリカの北朝鮮研究機関とは、38 Northのことです。この写真が掲載されている元の記事は以下のリンクからご覧になることができます。
North Korea’s Submarine Ballistic Missile Program Moves Ahead: Indications of Shipbuilding and Missile Ejection Testing
38Northは、フェイスブックページがあります。以下にそのページのリンク先と、そのページにあった写真を掲載します。
https://www.facebook.com/38NorthNK/

38ノース(38 North)は北朝鮮に関する分析を専門とするウェブサイト。ジョンズ・ホプキンズ大学ポール・H・ニッツェ高等国際関係大学院の米韓研究所(USKI)のプログラムであり、米国務省の元職員ジョエル・S・ウィットとUSKIアシスタント・ディレクターのジェニー・タウンによって管理されています。

著名な貢献者として核科学者のジークフリート・ハッカー 、元AP通信平壌支局長のジーン・H・リー 、サイバーセキュリティの専門家ジェームス・アンドリュー・ルイス及び「ノースコリア・テック」の創設者マーティン・ウィリアムズがいます。

Siegfried S. Hecker (ジークフリート S. ハッカー)
38ノースは北朝鮮の主要分野の商業衛星画像を使用し、アナリストに国内の開発に関する洞察を明らかにする機会を提供しています。たとえば、過去に以下のような発表を行っています。
2013年11月、38ノースは北朝鮮のミサイル発射地点で新たな建造物を発見したと公表し、より大型のロケットを扱えるようにアップグレードされていると述べました。
2015年12月21日の北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星1号」の「排出」実験後の2016年1月に、38ノースは新浦市南部の造船所の衛星画像分析を使用して北朝鮮のSLBMプログラムについて報告しました。ジョセフ・バミューデスは衛星画像は北朝鮮のSLBMプログラムへの能動的な探求を示していると述べ 、その予測は後に2016年の3回のSLBM実験(4月23日、7月9日、8月24日)や、2017年2月13日に北極星1号を改良し、地上発射型にした新兵器「北極星2号」の試験発射成功で裏付けられることになりました。
2016年1月下旬、38ノースは北朝鮮の東倉里ミサイル発射場での不審な活動を報告しました。ジャック・リウによる衛星画像分析で東倉里の主要施設と地点で低レベルの活動が示されました。記事が公表されてから10日後、北朝鮮は東倉里で人工衛星「光明星4号」を搭載した光明星の打ち上げを実施しました。
2016年4月、38ノースのアナリストは主要プラントを加熱するために使われた寧辺核施設の蒸気プラントから出ている排気プルーム(煙)について報告しました。これは追加プルトニウムの再処理が進行中である徴候の可能性があるとされました。4月中旬、38ノースは北朝鮮が核兵器用のプルトニウムの再処理を開始したことを示す活動を報告しましたが、国際原子力機関は約2ヶ月後の6月7日まで認めませんでした。
2016年9月、38ノースはジョセフ・バミューデスとジャック・リウによって行われた衛星画像分析に基づき豊渓里核実験場の3か所のトンネル全てで新たな活動が見られると報告したました。この活動は、メンテナンスと小規模な掘削作業が再開したことを示していました。翌日、北朝鮮は豊渓里で5回目の核実験を実施しました。
過去の実績内容からみても、38ノースはかなり確度の高い情報を提供しています。北朝鮮情勢を知るには見逃せないサイトです。

朝鮮中央テレビでは、昨年「戦略潜水艦弾道弾水中発射成功」を大々的に報道しました。その動画を以下に掲載します。



このときは、まだ半信半疑でした。今回の38ノースの発表からどの段階までいっているのかわかりませんが、SLBMとこれを発射可能な潜水艦を開発中であることは間違いないようです。いつ開発に成功し、実戦配備するのかは、まだ未知数ですが、北朝鮮の過去の核・ミサイルの開発をふりかえると、いずれ数年のうちにはブロとタイプができるとみるべきでしょう。

だからこそ、38ノースはこの動きを公表したのでしょう。日米の対潜哨戒能力などは、かなり高度であり、たとえ北朝鮮がSLBM発射可能の潜水艦を開発したとしても、それを撃沈することはできます。しかも、北朝鮮の付近の海域には、日米が追跡することが不可能なとほどの深い海域はありません。

さらに、北朝鮮の潜水艦は原潜ではないので長い期間潜水することはできません。また、原潜までいかなくとも、技術水準の高い水準の高い日本の新型潜水艦のように、実戦的には十分であると考えられる長時間潜水もできません。ちなみに原潜は理論上、無限近いほどに潜水していられますが、乗組員の飲料・食料の補給、交代があるため限界があります。

しかし、そうはいっても潜在的脅威になることは間違いないです。北朝鮮のSLBMを搭載した潜水艦がオホーツク海や、南シナ海の深海に潜伏することが可能になれば、日米もこれを発見することは難しいです。

現状では、そんなことはあり得ないと断言できますが、中国がその究極の目的である深い海域のある南シナ海を中国原潜の聖域(戦略原潜を深海に沈めて敵から発見できない場所)にすることに成功した場合、北朝鮮の潜水艦もここを聖域にすることを許容するなどということも考られます

あるいは、元々北朝鮮という国をつくったソ連の後継国であるロシアが、深い海域が存在するオホーツク海を北朝鮮の潜水艦の聖域にすることを許容するなどということも全くあり得ない話ではありません。

もし、そのようなことがおこることが事前に察知できた場合には、日本としては北朝鮮の潜水艦を撃沈することも視野にいれておかなければなりません。

イスラエルは、過去にイラクの原子力施設を破壊したことがあります。これは、イラク原子炉爆破事件として有名です。

建設中に破壊されたイラク・「オシラク原子炉」
イラク原子炉爆撃事件は、イスラエル空軍機がイラクのタムーズにあった原子力施設を、バビロン作戦(別名オペラ作戦)の作戦名で1981年6月7日に攻撃した武力行使事件です。

これはイラクが核兵器を持つ危険性があるとして、イスラエルが「先制的自衛」目的を理由にイラクに先制攻撃を行ったものです。この攻撃に対して国際連合安全保障理事会決議487(英語版)がなされ、イスラエルは非難されました。

バビロン作戦における戦闘爆撃機の飛行進路
しかし、これはイラクの原子力施設が必ずしも核兵器につながるとはいえないにも関わらず、先制攻撃したため非難されたものです。しかし、結果としてイスラエルはイラクの原子力施設を破壊して、イラクの核の脅威を葬り去ったのです。

日本の場合は、北朝鮮が日本に攻撃すると威嚇し、実際にミサイルの発射実験を行ったり、核実験を行っているし現実に北朝鮮は日本にミサイルを発射することができるわけです。北朝鮮の報道官が、今年8月9日に「日本列島を瞬時に焦土化できる」と警告する声明を発表しました。日本が北朝鮮を先制攻撃をして、核施設やミサイル施設を破壊したとしても、イスラエルのように非難されることはありません。

当の北朝鮮や、中国やロシアなどは非難するかもしれませんが、国際連合安全保障理事会決議により、非難されるということにはなりません。他の国々は最初から非難することもないでしょう。

なぜなら、国連憲章でも独立国の自衛戦争は認めらているからです。独立国であれば、自国が他国に攻撃されることがあらかじめわかっている時に自衛のために他国を攻撃することは自然権であるという認識は、世界の常識です。その常識が日本にだけ通用しません。

日本も、この自衛戦争は、憲法改正でも良いし、憲法解釈の改変でも良いのでできるようにしておくべきです。

仮に日本が北朝鮮を先制攻撃しても、世界から非難されることはないのに、日本国内で非難されるという、この奇妙な現実は変えなければなりません。

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2014年6月2日月曜日

G7、中国名指し非難へ 首脳宣言 海洋進出、自制促す―【私の論評】崩壊しつつある中国に情け容赦がなくなりつつあるG7、中国発の中国幻想はもう効力がなくなりつつある・・・・・・?

G7、中国名指し非難へ 首脳宣言 海洋進出、自制促す

前回のG7での安部総理

 ベルギー・ブリュッセルで4、5両日に開かれる先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)で採択される首脳宣言に、東シナ海や南シナ海で強引な進出を繰り返す中国を名指しして非難し、自制を迫る文言が盛り込まれる方向で調整されていることが1日、分かった。自由と価値観を共有するG7が結束し、対中包囲網を敷くことになる。日本政府関係者が明らかにした。

                     ◇

G7にロシアを加えた1998年以降の主要国(G8)時代を含めて首脳宣言で中国の国名を明示し、海洋進出の動きを批判するのは初めて。17年ぶりにG7で開催する今回のサミットは、対ウクライナ支援とロシアへの対応が焦点となるが、日米が主導する対中圧力が「もう一つの重要なテーマ」(政府関係者)に浮上した。

政府関係者によると、安倍晋三首相はサミットの政治討議の場で、「海における法の支配」の順守を訴える。その上で、中国が東シナ海上空で自衛隊機に異常接近するなど尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で挑発行為を繰り返したり、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島周辺で一方的に石油掘削を始めたりしていることを指摘し、批判する意向だという。

これに5月28日の外交政策演説で「経済的な台頭と軍事的な進出が近隣諸国の懸念になっている」と中国を指弾したオバマ米大統領も賛同し、最終的にG7の総意として首脳宣言に対中非難の姿勢を強く打ち出す方向となった。宣言に盛り込む具体的な文言はサミットで協議する。

この記事の詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】崩壊しつつある中国に情け容赦がなくなりつつあるG7、中国発の中国幻想はもう効力がなくなりつつある・・・・・・?

中国に関しては、今までは日本以外にも世界中にいわゆる親中派、媚中派が存在してきました。だから、中国が傍若無人な真似をしても見逃してきたという経緯があります。

その典型はオバマです。オバマは、いわゆる親中派・媚中派ではないのかもしれませんが、外交オンチで、最近はシリアでもウクライナでも、大失敗しています。オバマは、現在アメリカだけが世界唯一の超大国であり、中国はまだまだ発展途上国であることを理解してないようです。

外交で失敗し続けアメリカの国益を脅威にさらすオバマ

これらの大失敗は、少なくとも5年前、できうればオバマ就任当初から手を打っておけば、十分回避できました。

尖閣問題なども、オバマ就任当初から火種はあったわけで、就任した直後に何か中国がやらかしたときに、はっきりと「尖閣は日本固有の領土であり、日中間に領土問題は存在しない」とはっきり宣言しておけば、大きな問題にはならかったはずです。

それに、尖閣というか日本に関しては、日本のことなど全く度外視して、アメリカの国益としての戦後体制の保持の立場のみからいっても(私がこれに賛成というわけではありません)、尖閣そうして日本は米国の持ち物であり、中国には間違ってもこの所有権は渡さないぞという強烈な意思表示と場合によっては一部軍事的介入(すぐ戦争という意味ではない)などもすべきでした。

しかし、結局及び腰で対処してしまったため、中国はつけあがり、東シナ海、南シナ海で暴挙にでるようになってしまいました。この暴挙を放置しておけば、アメリカはアジア・太平洋における軍事力をかなり増強しなければならなくなります。

どうしてこんなことになってしまったといえば、やはり中国側が流布した中国幻想にまんまと引っかかってしまったためです。要するに、中国は経済発展していずれ米国と肩を並べるだとか、中国が発展して世界は、米中の二極体制になる、中国の市場は今後も急速に成長し、世界最大の市場になるとか・・・・・・。

これらは、すべて中国発のキャンペーンによるものであって、実体はともなっておらず、まともなインテリジェンス(情報ならびに知性の両方の意味)がある人なら、中国はまだまだ発展途上国であり、そのまま分裂崩壊する確率がかなり高いという事実を理解できるはずであり、理解すれば媚中派・親中派になどなりようがないはずです。

インテリジェンスを情報という意味で捉えれば、アメリカのインテリジェンスは高度に発展していますから、中国の実体などアメリカのそれなりに地位の高い人々も理解できないはずはありません。

アメリカのインテリジェンス当局は、そもそも、中国の統計など出鱈目で、GDPが世界第二位であることもかなり疑わしく、照明の数により、中国のGDPを正確にわりだそうとする研究も進めているくらいです。その他ありとあらゆる情報を収集しています。

親中派代表格のイアン・ブレマー氏

しかし、中国幻想を無邪気信じる知性の低いか、あるいは中国スパイのいずれかである愚かな人たちが、アメリカにも大勢いて、しかも結構社会的に高い地位の人々の中にも存在しているため、オバマもこれに影響され、媚中派・親中派的な行動をとってしまったのが今日の有り様です。

こうしたオバマの及び腰対中政策に対して、危機感を抱いたのがアメリカ議会です。これに関しては、このブログでも以前掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
米国議会で日増しに強くなる対中強硬論―【私の論評】世界は複雑だ!米中一体化、G2など中国の妄想にすぎない!しかし、日本にとってはこの妄想につけこむ絶好のタイミングかもしれない(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、米国議会では日増しに対中国強硬論が強くなっていることを掲載しました。

オバマの対中政策などそのまま放置しておけば、アメリカの国益を損なうことがはっきりしてきたので、議会が動き出したということです。

アメリカは変わり、日本の安部総理は元々中国をアジアの安定と平和のための阻害要因と捉えて、就任以来対中国政策を進めています。

ドイツ・イギリスなどは、中国に対して擦り寄りの姿勢を見せていましたが、擦り寄ったとしても、たとえば、ドイツの製造業がさほど中国によって潤っているわけではないし、これからも潤うことなどないということを理解したものと思います。イギリスも似たようなものです。

こんなことから、G7も各国内で、中国幻想から目覚めつつあり、その結果次のG7の首脳宣言では、中国名指し非難するということになったのだと思います。傍若無人な蛮行を繰り返す、中国に対して、G7も情け容赦がなくなりつつあるということです。 

それにしても、中国ますます追い込まれているようです。石平氏が以下のようなツイートをしています。
これは、警官が銃を使わなければ、暴動を鎮圧できなことを示していて、中国の崩壊も秒読み段階に入っているということです。私は、過去のこのブロクで、中国崩壊について掲載しました。そうして、そのときの掲載した内容ではもう現在では中国はとっくに分裂しているはずでした。

要するに、予測が外れたわけですが、その予測が外れた原因の一つとして、私自身の中国に対する見方が甘かったということがあげられます。どこが甘かったかといえば、中国の他国には見られない、人民のものではない、中国共産党に属する公安警察、人民解放軍、城管などの超強力な武装勢力の存在です。

これらの勢力が、他国では到底不可能と思われるような人民に対する、取り締まり、破壊攻撃などが簡単にできるということを見逃していました。

だから、中国経済はリーマン・ショックのときに破綻しているのですが、無理やり大きなプロジェトを作り出し、海外からの投資を招き、国内で何か反対があれば、武力で鎮圧ということを実施していました。現在に至るまで、中国が分裂崩壊しなかったのはこれによるものです。他の国なら、とっくに崩壊していたことでしょう。

しかし、武力鎮圧もそろそろ限界にきているということです。であれば、崩壊も近いことでしょう。

一方国内に目を向けてみると、やはりインテリジェンスが足りないか、中国のスパイとも目される愚かな、親中派・媚中派が大勢いて、安部総理の足を引っ張っています。

石平氏は、本日は以下の様なツイートをしていました。


本当に石平氏がおっしゃる通りだと思います。しかし、日本には、与党内にも野党内にも、マスコミにも官僚にも、いわゆる識者といわれる人々の中にも現実をまともに認識できない、知性の低い親中派・媚中派が大勢います。

日本で、こうした勢力をなくすか、なくさないまでも有名無実化するなどしてこれに対抗しなければ、安部総理の行動を制限してしまうかもしれません。そんなことは、断じてさせてはならないと思います。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

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2013年10月13日日曜日

【ボール・クルーグマン】財政赤字ガミガミ屋どもこそ非難すべき―【私の論評】日本も同じ!!でも政治家のほとんど、特に自民党に"いかれポンチ"が多すぎ!日米両国とも財政赤字の罠にはまってしまった!

財政赤字ガミガミ屋どもこそ非難すべき

by ポール・クルーグマン

アメリカのいかれポンチ代表共和党のJohn Boener

あと2週間後に政務上限危機が起きて経済に悲惨な影響がでたとして,そのときは John Boehner のもとでヘマした連中を非難しよう.それに,財政赤字ガミガミ屋どもも非難しよう――「責任ある」ピーターソン予算委員会みたいな連中,それに,支持したおマジメなみなさんもそろって非難してやろう.

『ニューヨークマガジン』でジョナサン・チェイト (Jonathan Chait) が思い出させてくれてるように,ああいった組織はそろいもそろって2011年に共和党を応援した.共和党がはじめて債務上限を使って現職の大統領に脅しをかけたとき,連中はそろって応援してた.

いかれポンチを応援した、いかれポンチの Jonathan Chait

金融危機が起こりそうないまの様子をみて連中がびびってたとして……ねえ,あんたら,自分の目標に役立つならあんなゆすりもOKだって主張してたのは他でもなくあんたたちだったよね.

© The New York Times News Service

【私の論評】日米双方とも政治家に"いかれポンチ"が多すぎ!だから両国とも財政赤字の罠にはまってしまった!

いかれポンチ?これは、ある方のtwitterの写真です

イカレポンチ

@u_ya_mu_ya


いわゆる、“いかれポンチ”も数が多くなるととんでもないことになります。アメリカでは、 John Boehner のもとでヘマした連中、財政赤字ガミガミ屋どもは、現状のアメリカの様子をみると、“いかれポンチ” も数が多いと、 あと2週間後に政務上限危機が起きて経済に悲惨な影響が出るようなとんでもない事態になることを示しています。

リーマンショックの時には、敏速に対応して、金融緩和を積極的に進めた米国とは、対象的に日本では、日銀が金融緩和をしなかった(当時の日銀はしたといっていていたが、他国と比較すると量的に少なすぎ)日本が、もともとリーマンショックとはほとんど関係なかったのに、ほとん゛と独り負け状態になったことから、米国のほうが経済対策は、はるかに優れているようにみえました。

そうして、日本の政治家や、官僚なども、アメリカに比較すると"いかれポンチ"が多いのかと思い、忸怩たる気持ちがしたものです。

しかし、上の状況をみていると、アメリカも経済に関しては"いかれポンチ"が多数いるということで、お気の毒ではありますが、何やら滑稽でもあります。はっきり、「ばーかみたい」という感じです。ホール・クルーグマン氏もこれらマクロ経済が全くわからない"いかれポンチ"を随分前から、批判し揶揄していました。そうして、著書で、「テレビなどでは、医学の分野の話だと、医師が説明するのが普通だが、なぜか経済の話になると、マクロ経済と全く関係のない人がそれこそ、"いかれた話"を平気でする」と嘆いていました。"いかれポンチ"は、米国でも日本と変わらず多いようです。

日米共にマクロ経済オンチは多いようですが、日本は左に(おそらく反資本主義であるマルクス主義の影響)、アメリカは右に(リバタリアニズムや古典派系経済学の影響だろう)多い傾向があるようです。ただし日本でも新自由主義の構造改革系は反マクロ経済学的要素が強いです。財務省も緊縮デフレ脳です。政治家も少数の例外を除けば不勉強極まりありません。

経済学者のいうことは当てにならないなどという人もいますが、クルーグマン博士も言っていたように、現在の世の中でも、マクロ経済学的な見方は成り立っています。それに、今の日本経済をみていても、マクロ経済学が現実の世界に当てはまるのかなどということは、到底理解できません。

なぜなら、今の日本は、過去20年にもわたって、マクロ経済がこうすべきことと教えていることのすべて逆をやってきています。ただし、今年の4月から、包括的金融感をして、ここ20年ではじめて、マクロ経済学の教えに合致した金融政策をやりはじめたばかりです。これでは、マクロ経済学が、世の中の現実に即しているのかどうかなど、検証不能です。今の日本、まずはマクロ経済学の教えと合致する経済政策をするのが、最優先課題だと思います。

それにしても、日本では、こうしたマクロ経済学を全く無視する"いかれポンチ"が顕在です。顕在どころから、数的にほとんどが"いかれポンチ"です。自民党も、数的には安倍総理も"いかれポンチ"の多数派に囲まれ、長期安倍安定政権を目指すために、忸怩たる思いで「来年4月からの増税」に妥協してしまいました。

自民党の"いかれポンチ"議員は、民主党の"いかれポンチ"議員などと比較すれば、まだましですが、その数の多さは、パーセンテージでみれば、あまり変わりはありません。民主党の"いかれポンチ"度合いは、酷すぎました。中国に対する態度も、自民党にもこうしたとんでもない議員も多数いますが、民主党のポンチ度合いは、度外れていました。

むろん、自民党にも、民主党さえまともな人もいました。民主党は、閣僚はほとんど全部"いかれポンチ"でした。これでは、いくらまともな議員がいてもどうにもなりません。自民党の場合は、少なくとも安倍総理は"いかれポンチ"ではないですし、閣僚にも、議員にもそうではない人もいます。だから、自民党のほうがまだまともかもしれません。だからこそ、こういう人たちに頑張って欲しいです。

認知症の老人は、自分が認知症と理解してない人も
多い。いかれポンチも自分をそうだと思ってない(゚д゚)!

"いかれポンチ"の多数派は、このことに気づいていません。"いかれポンチ"は、全く自分のことをそう思っていません。認知症の老人の多くが、自分は認知症ではないと思っているのと非常に良く似ています。他人評価でなくて、自己評価の世界に生きていて、他人の言うことなどは、歯牙にもかけません。

民間企業の経営者などが、マクロ経済を理解しなくても、"いかれポンチ"とはいえないとは、思います。なぜなら、彼らはミクロ経済の担い手だからです。現経団連会長、米倉のようなのは、いただけませんが、企業経営者の中には、マクロ経済のことは知らなくても、商売上手、事業運営のうまい人はいくらでもいます。しかし、政治家や、経済新聞記者、マスコミ、経済に関係する官僚、財界団体の長などがマクロ経済に疎ければ"いかれポンチ"と言われても仕方ないと思います。

経団連米倉会長

これは、本当に国に関係なく、日米共通です。このまま"いかれポンチ"をそのままにしておけば、上記のアメリカのような、滑稽な出来事が起こっても不思議ではありません。実際、日本の民主党政権下でも、もう少しで現在のアメリカと同じようなことが起こりかけたのは、記憶に新しいところです。

いずれにしても、"いかれポンチ"の多い政治家による政治は、うまくはいきません。日本で、"いかれポンチ"を見抜く方法は、簡単です。クルーグマンのように 「財政赤字ガミガミ屋」は、日本でも"いかれポンチ"の代表格です。特に、「このままでは、日本は財政破綻する」などと心の底から信じ込み、経済成長よりも、財政再建が先と信じ込む政治家は極めつけの"いかれポンチ"です。

社会保障費の削減と、経済成長するということは、全く別次元の問題であり、社会保障費が増えようが、増えまいが、経済成長は実現できます。それに、デフレから一刻もはやく脱却して、経済成長しなければ、税収が減り、そうなれば、ますます、財政赤字が増えるわけです。だから、今は経済成長が最優先なのです。そのためには、アベノミクスの第一の矢である、金融緩和をさらに推し進め、年内には実現できなかった、第二の矢である、大規模な財政出動が必須です。

こんな簡単な理屈がわからないのが、"いかれポンチ"です。いかれポンチどころか、精神を病んでいるのではないかと思います。あるいは、頭が老化したか、完璧に劣化したのか・・・・・・・?

これらの、"いかれポンチ"の言論を徹底的に批判すること、言質をとること、選挙のときには当選させないようにすることが、日本をまともにする最初の一里塚になります。これは、アメリカも同じことです。だかこそポール・クルーグマン氏は、上記のように"いかれポンチ"どもを徹底的に批判しているし、過去においても手ひどく、執拗に批判しまくっていたのです。そういわれてみれば、ブッシュ政権批判など度がすぎていて、批判というより一歩間違えば、罵倒という感じでした。

辛辣な批判をすることで有名なポール・クルーグマン博士

一流の経済学者から罵倒を浴びせられれば、さすがに、参ってしまうだろうし、経歴に傷がつくだろうし、相当ショックだろうと思います。でも、仕方ないです、そもそも"いかれポンチ"は、アメリカだろうが、日本だろうが、政治家などになってはいけないのです。日米双方の、まともな経済学者、まともな言論人、そうした私たちのような草の根の人間は、これから、徹底的に"いかれポンチ"を叩いていくべきです。そうでなければ、日米双方ともまともにはなりません。

日本が財政破綻するなどは、単なるトンデモ説であることは、このブログでも何回か説明しましたし、このブログの読者の皆様は、ほとんどご存知だと思いますが、そうではない方のため、本日は以下に動画を掲載します。この動画をご覧いただければ、よくご理解できると思います。



国家の経済を家庭の主婦的感覚で考えて、貿易赤字(貿易赤字がたくさんあるからといって、それが即経済が悪いこととは結びつかない)で大変だとか、景気が悪いのに、財政赤字をガミガミ(景気が悪いときには、何をさておいても経済成長が重要)いう"いかれポンチ"は、日米ともに政治家になる資格はありません。ましてや、このあたりを理解できなマスコミ関係者も、日米ともに、経済記者、経済新聞を名乗る資格はありません。こういう"いかれポンチ"どもは、世のため、人のため、この世から駆逐しなければなりません。

私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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