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2020年7月26日日曜日

未来学者フリードマン氏が看破する中国の致命的弱点— 【私の論評】中共は米国に総力戦を挑むことはないが、国内で統治の正当性を強調するため、世界各地で局地戦を起こす可能性大!(◎_◎;)

未来学者フリードマン氏が看破する中国の致命的弱点

米中間に「トゥキディデスの罠」が当てはまらない理由

中国、北京の道路

(平井 和也:翻訳者、海外ニュースライター)

 近年、米中対立が激しさを増している中で、国際政治の専門家の間で米中間の「トゥキディデスの罠」という考え方が浮上している。トゥキディデスの罠とは、新興国が覇権国に取って代わろうとするとき、2国間で生じる危険な緊張の結果、戦争が不可避となる状態を指す言葉だ。ハーバード大学のグレアム・アリソン教授が古代ギリシャの歴史家トゥキディデスにちなんで提唱した概念として注目されている。

 アリソン教授は、東京新聞のインタビュー記事(2019年12月2日)の中で「トゥキディデスの罠に米中が陥り、全面戦争に発展する可能性は高まっているのか」という問いかけに対して、「もしトゥキディデスが今の米中関係、特に中国の国益を追求する姿を見ていたら、新興国(中国)と覇権国(米国)は、衝突する方向に明らかに加速している、と言うだろう」と答えている。

 この米中のトゥキディデスの罠について、米ジオポリティカル・フューチャーズ(GPF)の創設者であり、世界的なインテリジェンス企業ストラトフォーを創設したことでも知られている未来学者・地政学アナリストのジョージ・フリードマン氏が、7月14日にGPFのサイトに一読の価値がある論考を発表した。

 フリードマン氏はこの論考で、「中国の台頭」にまつわる言説には誤解があると指摘し、米中間に「トゥキディデスの罠」は当てはまらないと述べる。中国には経済面、軍事面で「弱点」があり、依然として米国には対抗できないというのだ。以下では、フリードマン氏の論考の概要を紹介したい。

「台頭する中国」は誤認

 記事の冒頭でフリードマン氏は、アテネとスパルタの間で戦われたペロポネソス戦争から数千年後に、評論家たちは「この戦争が、権威主義的な政府は民主的な政府を打ち破るだろうということを示した」と論じたとし、この考え方は第2次世界大戦の初期段階に広く唱えられ、冷戦の間も繰り返し唱えられたと述べている。

 ただしフリードマン氏は、「実際には、民主主義国と圧政的な体制についてトゥキディデスが言ったことは、敗北主義者が引き合いに出す単純なスローガンよりもはるかに洗練されて、複雑なものなのだ」と指摘する。

 トゥキディデスの罠が持ち出される言説には、しばしばいくつかの間違っている点があるという。フリードマン氏は次のように述べている。

 「間違っているのは、中国が台頭する大国だという考え方だ。中国は毛沢東の死後から急激に盛り上がったという意味で台頭という言葉を使っているのだとしたら、それは正しい。しかし、中国が米国に挑戦することができるくらいまで台頭したと言われているのは、誤認に基づいた言説だ。米国が過剰反応するかもしれないという議論は、この間違った認識に基づいている。米国は中国に強い圧力をかけるという戦術を選んでいるが、そのリスクは低い」

中国の輸出依存体質

 フリードマン氏によると、中国に関して最も重要な点は、中国の国内市場が、工場で作られた製品を資金的に消費できないことである。

 「中国は確かに成長したが、その成長ゆえに海外の顧客に囚われの身となってしまったのだ。中国の国内総生産(GDP)の20%は輸出によって生み出されており、輸出の5%を買っているのは、中国にとって最大の顧客である米国だ。長期的に見て中国経済を約20%減少させる可能性があるのは、このどうしようもない脆弱性だ。新型コロナウイルスが今後も多くの国を傷つけ続けるだろうが、中国にとっては、国際的な貿易が崩壊すれば、国内消費の減少が海外市場の損失の上に現われることになる」

 「中国は米国からの非軍事的な脅威にさらされている。米国はそのGDPの1%のわずか半分を中国からの輸出に依存しているにすぎない。米国は中国製品の購入を減らすだけで、中国にダメージを与えることができる。中国が台頭する大国だとしても、その台頭は非軍事的な非常に滑りやすい傾斜の上に成り立っている」
 加えてフリードマン氏は、米国にはさらに軍事的な破壊的なオプションがあるとしている。

 「中国は、大きく依存している世界市場に、東海岸の港からアクセスしなければならない。そのため、南シナ海は中国にとって特別な利益を握る境界だ。

 中国は海洋にアクセスするために少なくとも1カ所の出口から通商航路をコントロールしなければならない。しかし、米国はこれらの通商航路をコントロールする必要はなく、中国に航路を与えなければいいだけの話だ。この違いには極めて大きな意味がある。中国はアクセスを確保するために、米国を深くまで後退させる必要があるが、米国は、巡航ミサイルを発射するか、または地雷を設置するための適所にいるだけでいいのだ」

中国が太刀打ちできない洗練された同盟システム

 さらにフリードマン氏は、米国の同盟システムの有効性について述べている。

 「米国海軍は、アリューシャン列島から日本、朝鮮、台湾、フィリピン、インドネシア、オーストラリアに至るまでの太平洋をコントロール下に置いており、中国が太刀打ちできないような洗練された同盟システムを持っている。

 同盟国を持たないということは、紛争時に他の国を巻き込む戦略的なオプションを持たないということだ。中国は周辺の1カ国と同盟関係を結ぶだけで、戦略的な問題は解決するかもしれない。同盟国を獲得できないことは、中国の力と信用を地域的に評価する上での指標となる。中国の戦略的な問題には、中国の国益に対して敵対的なベトナムやインドといった国と国境を接しているという面もある」

 「仮想的には、中国はロシアと同盟関係を構築できるかもしれない。だが問題は、ロシアが西方とコーカサス地方に注力しなければならないという点にある。ロシアには中国に貸せるような陸軍はなく、太平洋の作戦で決定的な意味を持つような海軍も持っていない。ロシアによる西方からの、そして中国による東方からの同時攻撃は、一見すると興味深いものに思えるが、米国と同盟国を分断するには至らず、中国に対する圧力を排除でき
ない」

輸出依存のままで戦争を始めるのは無理な話

 次にフリードマン氏は、中国の輸出依存体質について再度強調する。つまりグローバルな貿易システムに組み込まれた中国の脆弱性について、である。

 「中国が台頭する大国であることは確かだが、前述のとおり、中国は毛沢東時代から台頭している。中国は相当程度の軍隊を持っているが、その軍事力は輸出依存という脆弱性が排除されない限り、縛られたままだ。このような状況では、戦争を始めるなどというのは無理な話だ。中国はたぶん世界のどこの国よりも、グローバルな貿易システムを破綻させるようなリスクを冒すことができない国だ」

 「米国は西太平洋での戦争には興味がない。西太平洋の現状は満足のいく状況であり、紛争を起こしても、何も得るものはない。ただ、米国は太平洋をあきらめてはおらず、これまでにも太平洋を維持するために、第2次世界大戦や朝鮮戦争、ベトナム戦争を戦ってきた。米国は中国大陸を侵略したり征服したりすることはできないし、巨大な中国陸軍に対して軍を差し向けることもできない。その意味で、中国は安全だ。中国が恐れているのは、世界市場からの孤立という海洋にある」
トゥキディデスの罠は米中には当てはまらない

 軍事力そのものに関しても、米国は今なお中国に対して圧倒的に優勢だという。フリードマン氏は以下のように述べる。

 「戦争に勝つためには、経験豊富な人員と、勇敢でモチベーションの高い軍隊、へまをしない工場が必要だ。工学技術は戦争の一部だが、その本質ではない。もちろん、テクノロジーは重要だが、それは実戦経験を積んだ人々の手の中にあって初めて決定的な意味を持つ。

 しかし、中国はそれを欠いている。ハードウェアとテクノロジーを持っているとは言っても、中国は1895年以来、海戦を戦っていない。中国は陸上での戦闘経験と比べて、海戦の伝統がない。それに対して、米国は、航空機で陸上の標的に対抗したり、対潜水艦調査を実施したり、実戦環境で艦隊用の防空システムを運用したりしてきた豊富な経験がある」

 「私が誤認した識者の意見に反対するのは、この点においてである。彼らは、米国が追いついていないテクノロジー面での優勢に着目して、中国は台頭していると考えている。たぶんその通りだと思うが、米国は依然として経済的な優勢、地理的な優勢、同盟関係における政治的な優勢、海と空、宇宙における経験の優勢を誇っている。テクノロジーは、これらの点における不足を相殺するだけだ」

 以上のような考察からフリードマン氏は、「トゥキディデスの罠という概念は米中には当てはまらない、と私は考えている。中国はいかなる側面においても、米国を追い詰めてはいない」と結論づける。米国は実戦経験など様々な分野において依然として圧倒的な優勢を誇っているため、トゥキディデスの罠の理論は米中には通用しない、というわけである。
【私の論評】中共は米国に総力戦を挑むことはないが、国内で統治の正当性を強調するため、世界各地で局地戦を起こす可能性大!(◎_◎;)
私は、フリードマン氏の主張には全面的に賛成です。なぜかについては、もうすでにこのブログに掲載しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
米、対中制裁リストに11社追加。ヒューストン中国領事館閉鎖命令— 【私の論評】米中はトゥギディディスの罠に嵌って総力戦をすることはないが、局地戦あり得る!(◎_◎;)

習近平とオバマ


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事ではそもそも中国は超大国ではないし、超大国になる見込みもないことから、米中はトゥキディディスの罠に嵌って、総力戦をすることはないが、米軍が南シナ海の中国軍基地を爆撃するなどの、局地戦はあり得ることを掲載しました。

上の記事で、フリードマン氏は指摘はしていませんでしたが、いわずもがなの、米ドルは基軸通貨でありながら、人民元はそうではないということも、中国にとって徹底的に不利です。

何しろ、元々人民元は、中国が多数の米ドルや米国債を所有していることにより、保証されているわけです。

そもそも、米国が中国による米ドルの使用禁止を実施したり、中国米国債の無効化をしてしまえば、人民元は紙切れになる可能性もあります。

そうして、それ以前に、国際貿易のほとんどが、ドル決済されているため、中国は貿易ができなくなります。

このような状況では、中国が米国に対して戦争を挑むようなことは到底考えられません。

トゥキディデスの罠とは、新興国が覇権国に取って代わろうとするとき、2国間で生じる危険な緊張の結果、戦争が不可避となる状態を指す言葉ですが、中国が米国にとってかわろうことなど到底できません。

にも関わらず、中国はなぜ、戦浪外交を展開するのでしょうか。それには、二つの可能性があります。一つは、先にリンクを掲載した当ブログ記事の記事にもあるとおり。中国もしくは習近平の妄想によるものです。

この記事では、以下のように掲載しました。いかに一部を引用します。
2015年の米中首脳会談で、バラク・オバマ米大統領と中国の習近平国家主席はトゥキディデスの罠についてじっくり話し会いました。オバマは、中国の台頭が構造的ストレスを生み出してきたが、「両国は意見の不一致を管理できる」と強調しました。また両者の間で「大国が戦略的判断ミスを繰り返せば、みずからこの罠にはまることになる、と確認した」と習は明らかにしています。
以下に、これに関連する部分をさらに引用します。
私自身は、2015年の米中首脳会談で、バラク・オバマ米大統領と中国の習近平国家主席はトゥキディデスの罠についてじっくり話し会ったことが、習近平に勘違いをさせたのではないかと思います。
オバマ大統領、本来ならば、中国は超大国米国には、到底及ばないことを習近平にはっきりと言うべきだったと思います。軍事力でも、技術力でも、金融の面でも、遠く及ばないことを自覚させるべきでした。米国にたてつけば、石器時代に戻してやるくらいの脅しをかけるくらいでも良かったと思います。
妄想ではあっても、中国がその妄想を実現すべく邁進しているわけですから、当然米国は、これに対峙せざるを得ないのです。
パラク・オバマは、習近平の妄想を最終的に、後押ししただけで、それ以前からこのような論調は、ありました。

最近、私は英語の読解力を上昇させようとして、”速読速聴・英単語 Advanced 1100 ver.4”という教材を読んでいます。本日で61回目の読み込みに入ったのですが、この教材の中に、”China’s biggest exports growing nicely”(The Sydney Morning Herald, June 21. 2012)という記事が掲載されていました。

オーストラリアは今でこそ、中国に対して厳しい態度をとっていますが、2012年あたりだと、政権そのものが親中的でした。 この記事の中に、以下のような記載がありました。(日本語訳の方を掲載します)
彼ら(ブログ管理人注:中国のこと)は、2017年に世界最大の経済国として米国を追い越す過程にあるに違いないのだから、消費をあおるプロセスの中で投資と建築はそのコアメンバーとともに重要な要素なのである。 
現在、オーストラリアが中国に依存しているほど、中国はヨーロッパ経済に依存してはいない。したがって、準備銀行取締役会の議事録における我々の最大の貿易相手国に関する残りの段落がとりわけ重要なのである。
現在では、中国に対して厳しい態度をとっている、米英豪加、あたりでもこのような見方をしている人は大勢いました。

2012年というと、このブログでは、すでに中国経済の脆弱性や、他の様々な問題について論じていました。それどころか、中国の崩壊に関することも論じていました。

しかし、当時は、米国でもパンダハガー(親中派)が主流でした。米国在住のある日本の国際政治学者 は、米国では中国に対するエンゲージメント(関与)派が米国エスタブリッシュメント(支配層)の主流を占めているので、米国の親中国的姿勢はこれからも続くとしていました。

結局、多くの国々が通商により、あらゆる面で伸びゆく中国と取引をして金儲けのビジネスをしようとしていたので、つい数年前までは、中国に対して親和的的でした。それが、中国を増長させて、特に習近平を増長させて。超大国幻想を助長した面は否めません。この超大国幻想が、現在の中国の戦浪外交を後押ししている可能性が大です。

もう一つの見方としては、習近平は、建国の父毛沢東や、経済改革をして今日の中国の経済の基礎を作った鄧小平などと比較すると、誇るべき実績がなく、自らの統治の正当性を強く主張できないという状況にあることです。

中国には、選挙はありませんが、それでも全人代で幹部に指名されたり、幹部になった後に自分の思い通りに国を動かすには、強力に統治の正当性を主張する必要があります。特に、共産党幹部や長老たちを納得させなければなりません。そうでなければ、権力闘争が凄まじくなります。

この側面から見ると、習近平には誰をも納得させる実績が全くと言って良いほどありません。だからこそ、党内でも諸外国に対しても、弱みを見せられないのです。だからこそ、外国に対して戦狼外交を展開しているのです。

この二つの見方のいずれが正しいのか、あるいは、両方とも正しいのかもしれません。しかし、今のところははっきりとはしません。いずれ、わかる時期が来ると思います。

しかし、厄介なのは、いずれの場合であったにしても、中国は米国と総力戦に入ることはありませんが、三戦などを駆使しつつ、南シナ海や東シナ海、台湾、あるいはインドやロシアとの国境で、あるいは全く思いがけないところで、局地戦を起こす可能性が高いということです。下表に、中国による日本に対する「三戦」で想定されるものを掲載します。


これらのいずれかの戦争を起こし、プーチンがクリミア併合を成し遂げたように、勝利を収めれば、プーチンがそうだったように、習近平は国内で統治の正当性高めることになるからです。中国の場合は、中国共産党の統治の正当性も大いに高めることになるからです。

中国に対峙する我々自由主義陣営の国々は、米中が総力戦に入ることはないと見て良いですが、局地戦ありうるとの認識のものと、対抗策を講じるべきです。そうして、局地戦が起こった場合には、必ずこれを勝利に導くべきです。

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2020年5月12日火曜日

コロナ禍に動く中国の“軍事謀略” 米中対立激化、台湾排除…国内で権力闘争も 河添恵子氏が緊急寄稿 ―【私の論評】尖閣問題は、単なる領土問題ではなく、コロナ後の世界新秩序における日本の地位を決める(゚д゚)!


米中貿易戦争

 新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)が続くなか、世界保健機関(WHO)の年次総会が18日、開催される。ドナルド・トランプ米政権は、世界全体で28万人以上もの死者(米ジョンズ・ホプキンズ大学、10日集計)が出ている「死のウイルス」をめぐり、習近平国家主席率いる中国とWHOの責任を厳しく追及する構えだ。加えて、日本と米国、欧州は「世界の人々の命と健康を守るため」にも、感染拡大を封じ込めた台湾(中華民国)のオブザーバー参加を支持するが、中国は強硬に反対している。激化する「米中の対立」と「中国の軍事的挑発」「中国国内の権力闘争」とは。ノンフィクション作家の河添恵子氏が緊急寄稿第13弾で迫った。


 「WHO総会や国連関係の会議に、台湾のオブザーバー参加を支援するよう、すべての国に訴える。WHOのテドロス・アダノム事務局長に対し、台湾を年次総会に招待するよう要請した」

 マイク・ポンペオ米国務長官は6日、記者会見でこう語った。

 台湾は「中華台北」の名義で、2009~16年にWHO総会に招かれたが、蔡英文総統が就任した翌年(17年)からは、中国の反対で参加できていない。寄付の申し出すら拒絶されている。

マイク・ポンペオ長官

 香港出身のマーガレット・チャン氏が事務局長時代の11年5月には、WHOが内部文書で台湾を「中国台湾省」と表記したため、台湾はWHOに正式抗議した(=AFPなどが報道)。

 新型コロナ禍のなか、WHO総会は18日、テレビ会議方式で開催される。ポンペオ氏は、この会議に「世界一の防疫先進国」である台湾の参加を支持するよう、世界各国に呼び掛けるとともに、「中国ベッタリ」と揶揄(やゆ)されるテドロス氏を牽制(けんせい)したのだ。

 これに対し、中国で台湾政策を担う国務院(政府)台湾事務弁公室の馬暁光報道官は7日、「最近、民進党と台湾独立を企てる分離主義勢力は、新型コロナウイルスの流行に便乗して、WHOの問題への台湾の関与を誇大宣伝し、『1つの中国』の原則に挑戦している」と反発した。

 だが、米国側は一歩も引かない。

 米国の上下両院外交委員会の幹部らは8日、日本を含む55カ国の政府に書簡を送った。書簡には、「われわれは貴国政府に対し、米国とその他の国のように、台湾を排除する中国の『国際組織外での行為』を終わらせるよう要請する」という一文が含まれていた。

 台湾外交部の欧江安報道官は9日、米国への深い謝意を示したが、「国際組織外での行為」とは、一体何を示すのか?

 最近では、欧州・チェコの有力政治家の身に起きた悲劇が、世界に報じられたばかりだ。

 台湾訪問を2月に予定していたヤロスラフ・クベラ上院議長が1月20日、心臓発作で急逝した。クベラ氏の未亡人と娘は、国営テレビの番組に出演し、「夫は中国政府に脅迫されていて、そのストレスが急死の引き金になった」と衝撃的な告白をした。

 クベラ氏急死と中国の関係については、ロイター(日本語版)も2月19日、「中国がチェコ企業への報復示唆、高官の台湾訪問巡り」とのタイトルで報じている。

 在チェコ中国大使館が1月10日付で、チェコ大統領府に送った書簡には、「中国に経済的利益を持つチェコ企業はクベラ議長の台湾訪問の代償を払わなければならなくなるだろう」と記されていたという。ロイターが書簡を確認したというが、公然とした脅迫というしかない。

 世界各国が、新型コロナウイルスのパンデミックで危機的状況にあるななか、中国人民解放軍は“戦闘モード”にあるといえる。

 同軍東部戦区は、国家安全教育日の4月15日、公式アカウント「人民前線」に、「幻想を捨て、戦闘を準備せよ」とのメッセージを掲載した。東部戦区の任務は「台湾有事」「日本有事」に備えることとされる。

 この直前の4月10日から11日にかけて、中国海軍の空母「遼寧」を中心とする艦隊が東シナ海を航行した後、沖縄本島と宮古島間を通過した。3月以降、中国軍のミサイル駆逐艦や早期警戒機などが、沖縄や台湾周辺で挑発的行動を見せている。空母「遼寧」の艦隊は4月28日、沖縄本島と宮古島間を通過して東シナ海に向かった。

 ■中国は“内戦外戦”状態

 習主席はこれまでも、「(台湾)統一のために、武力行使も放棄しない」と公言してきた。

 中国軍の不穏な動きを受けてか、米太平洋空軍は4月29日、台湾を含む19カ国の空軍参謀総長や指揮官とテレビ会談を行った。

 台湾の蔡総統は今年1月15日、英BBCのインタビューを受け、「中国の圧力」と「戦争リスク」について、次のように語っている。

 「戦争がいつ起きるか、その可能性は排除できない。だから臨戦態勢で有事に備えなければならない」「軍事的な準備に加え、より重要なことは国際的な支援を得る必要がある」「台湾政府としては、北京を挑発して事態を悪化させたり、北京に攻撃の口実をつくらせないよう、挑発しない態度を貫いている」

 新型コロナウイルスをめぐり、世界から「台湾は防疫模範国」と称賛されたことで、中国を刺激したとすれば、皮肉だ。

 ただ、習氏は共産党内部の“戦闘”にも明け暮れている。

 4月の孫力軍公安部副部長の逮捕に続き、3日には孟建柱元公安部長と、北京・上海の公安部幹部数十人の逮捕が報じられた。孫氏と孟氏は、習氏と対立する江沢民一派の超大物だった。

 中国は、内憂外患どころか“内戦外戦”状態とも言えそうだ。

 ■河添恵子(かわそえ・けいこ) ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。著書・共著に『米中新冷戦の正体-脱中国で日本再生』(ワニブックス)、『世界はこれほど日本が好き』(祥伝社黄金文庫)、『覇権・監視国家-世界は「習近平中国」の崩壊を望んでいる』(ワック)など。

【私の論評】尖閣問題は、単なる領土問題ではなく、コロナ後の世界新秩序における日本の地位を決める(゚д゚)!

習近平は、なぜここまで、台湾に執着するのでしょうか。それには、それなりの理由があります。それについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
米軍コロナ禍、その隙に台湾を恫喝する中国の卑劣さ―【私の論評】東アジアで失敗続きの中国は、今後軍事的挑発をエスカレートし、台湾武力奪取の可能性大(゚д゚)!
台湾海峡を通過中の米海軍イージス駆逐艦「バリー」(写真:米海軍)
以下に、この記事から一部を引用します。
中国としては、台湾が中国ウイルス封じ込めに失敗していれば、中国がイタリアなどのEU諸国に対して実施している、マスクや医療機器の提供や、医療チームの派遣などで微笑外交を台湾に対しても実行したことでしょう。 

これにより、中国は今年1月の台湾総統選での蔡英文氏の再選により、失った台湾での失地回復を行うことができたかもしれません。 
そうして、中国ウイルスが終息した後には、甚大な被害を受けた台湾に対して、莫大な経済的援助をすることになったと思います。 
そうなると、台湾独立派が台頭した台湾を馬英九政権時代のように、親中派を増やすことができたかもしれません。
考えてみると、中国は昨年11月には、香港区議会議員選挙で親中派が敗北しています。今年1月には、台湾選挙で蔡英文総統が再選されています。いわば連敗続きでした。 
中国ウイルスに関しては、韓国は当初は対策に失敗しましたが、最近では収束に向かっています。日本も、感染者が増えつつはありますが、それでも死者は相対的に少なく、中国や米国、EU諸国に比較すれば、中国ウイルス封じ込めには成功しています。 
香港の対応も素早いものでこれも封じ込めに成功しています。中国国内で武漢における感染発生がまだ隠され、警鐘を鳴らした医者が警察に処分されていた1月1日前後、一国二制度のおかげで報道の自由がある香港メディアは問題を大きく報道し、市民に注意を呼び掛けました。 
中国官僚のごまかしをよく知っている香港人が、2003 年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の教訓をしっかりと心に刻み、徹底的な対策をしたことも効果的でした。 
中国は、中国ウイルスで、台湾、香港、日本がかなり痛めつけられていれば、得意の微笑外交で、台湾、香港、日本に対して存在感を高めることができたかもしれません。 
しかし、台湾は世界的にみても、最高水準で中国ウイルスの封じ込めに独力で成功し、独立国としての意地をみせました。 
今の中国が、台湾統一のためにできることといえば、軍事的な脅威をみせつけて、存在感を強調することです。
 ・・・・・・・一部略・・・・・・・・・ 
本年2020年は、中国の二つの100年計画の一つ「小康社会の全面的実現」目標の期限である建党100周年の2021年より一年前であり、もしこの時点で台湾統一が実現できれば、習近平政権にとっては長期独裁を全党および人民に納得させるだけの効果を持つ歴史的偉業となるからです。

ウイルスの封じ込めと、台湾統一に成功すれば、これは、習近平が成し遂げた大偉業ということになります。今まで、際立った業績のが一切なかった習近平にとって大きな手柄となり、習近平体制が定着することになります。
この記事では、中国の台湾武力奪取について掲載しましたが、いきなり台湾ということになれば、国際社会はこれを絶対に許さないと思います。しかし、その前段階として、中国による 東シナ海実効支配というシナリオは十分にあり得るものになったと考えます。

東シナ海は、太平洋西部にある縁海であり、北は対馬海峡を通じ日本海と接し、東は南西諸島を挟んで太平洋(フィリピン海)に接します。南南西に台湾海峡を通じ、南シナ海と結ばれているほか、北西は黄海に接している。大規模河川として長江が流入しています。


海域の中央部には島嶼は無いですが、北辺から東を経て南辺にかけて周囲に島弧があります。主な島嶼として、北から済州島、九州、南西諸島、台湾となっています。ユーラシア大陸縁辺部には舟山群島などの小島嶼があります。

海底はほとんどがユーラシア大陸から続く大陸棚で、深度200mより浅いですが、東部は沖縄トラフであり深度約2,000mと深くなっています。海流としては黒潮およびその分流の対馬海流が流れています。

日本と中国の間では尖閣諸島問題のほか東シナ海ガス田問題に絡んで経済水域の設定に争いがあります。また、韓国と中国の間でも蘇岩礁にからみ争いがあります。

この地域の海域のほとんどを中国は実効支配した後に、尖閣諸島や台湾付近の海域を徐々に封鎖するなどの実効支配し、最終的には両方とも奪取するつもりであるとみておくべきでしょう。

東シナ海も日本のニュースでは殆ど報じられなくなってしまいましたが、中国は着実に東シナ海を狙っています。ここでの接続水域への中国公船の侵入が頻繁になっています。侵入という言い方は接続水域への場合はちょっと微妙ですが。

それから領海内への侵入、これも向こうからの言い方で敢えて言うと着実に繰り返し、頻度を少しずつ上げ、かつ船の数を増やして来ています。この問題を私たちは、南シナ海から東シナ海に連なる中国の海洋進出として厳しく捉え直すべきです。

尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海に侵入した中国海警局の船が日本漁船を追尾した問題で、中国外務省の趙立堅報道官は11日、海上保安庁の巡視船が現場で漁船の安全を確保したことについて「違法な妨害を行った」と非難し、「日本は釣魚島(尖閣諸島の中国側名称)の問題において新たな騒ぎを起こさないよう希望する」と述べて責任を日本側に転嫁しました。

中国外務省の趙立堅報道官

趙氏は、外交ルートを通じて日本側に「厳正な申し入れ」を行ったことを明らかにした上で「中日両国は力を集中して(新型コロナウイルスの)感染症と戦うべきだ」と発言しました。

趙氏は「中国の領海で違法操業」している日本漁船を発見した中国海警局の船が「法に基づいて追尾・監視」したと主張。「釣魚島の海域を巡航することは中国側の固有の権利だ」と強調しました。

これについて菅官房長官は閣議のあとの記者会見で「全く受け入れることはできない」としたうえで、「現場海域で警告を繰り返し行うとともに、外交ルートでも厳重に抗議し、日本漁船への接近と追尾を直ちにやめて、速やかにわが国の領海から退去するよう強く求めるなど、冷静にきぜんと対応した」と述べました。

そして「政府としては、わが国の領土、領海、領空は、断固として守り抜く方針のもとで、引き続き緊張感を持って情報収集に努めつつ、尖閣諸島周辺の警戒監視に万全を期していきたい」と強調しました。

衛藤沖縄・北方担当大臣は、閣議のあとの記者会見で「尖閣諸島は歴史的にも国際法上も明らかにわが国固有の領土であり、国内外でわが国の立場に正確な理解が浸透するよう発信強化に努めたい。中国の態度は大変遺憾であり、日本ももっとはっきりと対処を行わなければならない時がきていると認識している」と述べました。

南シナ海においては、中国は新型コロナウイルスの混乱に乗じて軍事要塞化の動きを加速しており、米軍はこれを牽制するため「航行の自由作戦(度を超した海洋権益を主張していると判断した国の海域を対象に米軍の艦船等を派遣する作戦)」を展開しています。さらに米軍は中国側の神経を逆なでするかのように台湾との軍事面の連携を強化しており、一触触発の状態にあると言っても過言ではありません。

米国は、新型コロナウイルスによるパンデミックを通じて、中国に対する政策を根本的に変えざるを得ないと確信したのは間違いないところです。

トランプ大統領の中国攻撃は、日々エスカレートしています。また、マーク・エスパー国防長官は、コロナ危機発生後の2020年2月の下院軍事委員会公聴会で、「米国にとって中国こそが軍事面、防衛面で最大の挑戦者として対峙する相手だ」と断言しました。

そのエスパー国防長官の下で現在、中国を睨んだ米軍の再編・態勢見直しが急ピッチで進められています。

その内容はまだ公表されていないが、エルブリッジ・コルビー元米国防次官補代理とA・ウェス・ミッチェル元米国務次官補は共同で、ウォールストリート・ジャーナル(2020年5月8日付)に「中国封じ込めに向けた困難な道」のタイトルで、その方向性を示唆する次のような記事を寄稿しています。
 ロシアの脅威には、欧州の同盟国、すなわち北大西洋条約機構(NATO)が自らの防衛をいま以上に自分たちの力で担う形で安全を確保させ、中東では、「より軽く、より小さく、より低コストの米軍事プレゼンスを特徴とするような経済的戦力を保持する戦略」へと移行する。そのうえで、インド太平洋地域において、より強力な米軍事力を展開し中国を抑止する。(要約)
すなわち、パンデミック後の米国の大戦略は、中国がもたらす脅威の中心部分への対応を優先するべきとし、そのため、他の地域では関与の度合いを弱めたり、デタント(緊張緩和)の機会を求めて調整したりする必要があることを意味しています。

そして、米戦略の焦点であるインド太平洋地域では、日本、オーストラリア、台湾、インド、ベトナムのような国々が持っている対中防衛能力を基盤とした国防戦略(2018NDS)で説明されているような信頼できる前方防衛が必要であり、米国とその同盟国は、中国と対峙せずして自国の利益を守ることはできないと強調しています。

いうなれば、「中国封じ込め」です。

欧米諸国は、中国を封じ込めるためにはいま代償を払うか、それとも後から払わされるかのどちらかしかないことを認識せねばならないと問いかけ、いま代償を払うなら、より負担が軽く済む可能性が高いと指摘しています。

同時に米国は、自国の重要な産業、人工知能(AI)や国防の供給網に蓄積された脆弱性に対処することで、経済面で中国に依存する度合いを減らさなくてはならないとし、経済的切り離しの強化を求めています。

また、中国が国際ルールの適用を回避する形で、自国市場参入の条件を他国に押しつけることを可能にしてきたことに対し、歴史的な対抗勢力連合を再形成し、中国の強大な力を制御、抑制する必要性を指摘しています。

今後の最大のテーマは、対中安全保障です。。

コロナ危機以降、米中関係の悪化は決定的となり、米国は中国を主敵としたインド太平洋重視戦略に大きく舵を切ります。

この際、米国とその同盟国は、中国と対峙せずして自国の安全や利益を守ることはできないのであり、わが国は、中国との経済関係が深いことを理由に、米国と中国の間を渡り歩くコウモリ的振る舞いや鵺(ぬえ)的態度は許されません。

日本には、米国との同盟を堅持する一貫性した姿勢が求められ、その難しい課題を克服する努力を始めなければならない。

日本としては、この米国の動きに歩調を合わせるしかありません。中国と運命共同体になることはできません。選択の余地などありません。習近平の日本への国賓待遇での招待など、早々に反故にすべきです。

また、憲法改正と法律の改正も行い、尖閣水域から中国の艦艇を海自を使って排除できるうにすべきです。コロナ危機を単なる伝染病の流行などとみるべきではありません。中国や米国の動きをみていれば、これは過去の世界大戦と同レベルで、コロナ後の世界秩序を変えていくのは間違いありません。

中国は、中国独自のコロナ後世界秩序をつくるべく、躍起になっています。米国も、そうさせじと、コロナ後の世界秩序をつくるべく躍起になっています。日本もそのことを忘れるべきではありません。

忘れてしまえば、今回の新たなコロナ後の世界秩序の作成に乗り遅れ、第二次世界大戦後の世界秩序づくりに参加できず、第二次世界大戦後から今日までのように、独立国でありながら、独立国でないような地位に甘んずることになりかねません。

今や尖閣は、単なる領土問題ではなく、今後のコロナ後の世界の新秩序に向けての、日本にとっての大きな分水嶺の一つになるのです。尖閣一つ自力で解決できないようでは、世界の新秩序における地位は低下するだけです。米国も、これを日本の試金石とみているでしょう。

逆に、日本が尖閣問題を自力で解決できるようになれば、コロナ後の世界で米国とともに、リーダー的な地位を獲得することも可能になります。そのほうが、米国にとっても世界の新たな秩序を安定維持しやすくなります。

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2020年4月12日日曜日

「マスク戦争」の戦犯は誰なのか 中国、日本から“奪った”マスクを政治利用!? 有事に備え「中国依存」の脱却が急務だ―【私の論評】安倍政権は、中国から生産拠点を国内や第三国に移転する企業への支援を表明(゚д゚)!

「マスク戦争」の戦犯は誰なのか 中国、日本から“奪った”マスクを政治利用!? 有事に備え「中国依存」の脱却が急務だ

マスク姿の習近平

 新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)はさらに加速しており、米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によると、死者が10日、世界全体で10万人を超えた。2日に5万人を上回って約1週間で倍増したかたちだ。日本でも同日、新たに過去最多となる634人の感染者が確認された。累計は6159人。無症状でも他人に感染させるリスクが指摘されるなか、日本だけでなく世界各国で「マスク不足」が深刻化しており、強奪・盗難事件まで発生している。前代未聞の「マスク戦争」を引き起こした戦犯は一体誰なのか。国際投資アナリストの大原浩氏が緊急寄稿で解き明かす。


日本政府が、「1世帯あたり2枚」の布マスクを郵送すると発表したことに対して、「アベガ-」などを中心に激しい反発が起こった。「アベノマスク」などという言葉も登場したようだ。

 これについては、中身のないウソを国民に広げるためにプロパガンダが洗練されているファシズム国家や共産主義国家と違って、日本人の伝統的考えである「良い仕事をすればみんな分かってくれる」という政府・官僚の広報対策の不備が責められるのは、ある意味仕方がない。しかし、この「布マスク2枚」は国家の全体戦略のあくまで一部だということを考えるべきであろう。

 現在有事にある日本国民は、ジョン・F・ケネディ大統領の「国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。あなたが国のために何ができるかを問うてほしい」という名言を思い出すべきだ。

 特に悲しいのは、日本人同士がいがみ合うことである。

マスク不足の原因として、転売屋やドラッグストアに行列する高齢者などがやり玉にあげられる。それが事実である部分もあるが、根本的原因は「中国」または「中国依存」にある。


 新型コロナウイルスの感染が拡大する前、日本のマスクの年間生産・輸入量は約55億枚だったが、そのうち約44億枚が輸入品(=ほとんど中国製)で、国内の生産量は約11億枚しかなかった。つまり国産比率が20%程度なので、(輸入が止まって)国産だけで過去の需要を満たそうと思えば、これまでの5倍を生産しなければならない。政府の要請で国内各社が増産しても、5倍というのは厳しいハードルだ。

 しかも、現在はほとんどの国民がマスクを使用しているので、全国民の8割程度の1億人が毎日マスクを使用すれば、年間では365億枚と過去の需要の約7倍にも膨らみ、到底調達できない。

 だから、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化するなか、日本政府が(病院などに医療用マスクを回すために)再使用が可能な布マスクを国民に送付して、有効利用を要請するのは理にかなっているのだ。

 気になるのは、過去44億枚あった輸入品の行方である。AFP通信(7日)などは「中国は医療用物資の輸出を制限しているのか」などと報じている。

 検証可能な数字はないのだが、現在の中国からの輸入は週に1000万枚程度ともいわれるから、単純計算で年間5億枚程度で、過去の輸入量から比べれば雀(すずめ)の涙だ。

 しかも、そのようにして事実上日本企業=日本国民から奪ったマスクを、中国側がマスク不足に苦しんでいる各国にもったいぶって売りつけるという政治利用を行っているとすれば許しがたいことである。

 例えば、フランスには、マスク10億枚の供給と引き換えに、第5世代(5G)移動通信システムについて、中国の華為技術(ファーウェイ)の導入を求めたと伝えられた(=中国側は否定)。

 日本国民が怒りをぶつけるべき相手は、初期に日本からのマスクの寄贈を受けたにも関わらず(=そもそも、寄贈には問題があったが)、恩をあだで返す(人の足元を見る)中国共産党だとしか思えない。

 輸入依存で危険なのはマスクだけではない。

 在宅医療現場で使用されている人工呼吸器の約98%が輸入製品である。その他の医療製品も輸入比率がかなり高い。世界中で医療製品の取り合いが起こっており、この状況は非常に危険だ。

 食糧調達にも暗雲が立ち込めている。日本農業新聞によれば、4月3日時点でロシア、カンボジア、カザフスタンなど11の食糧輸出国が、自国への供給を優先する輸出規制を行っている。

 世界の穀物供給センターである米国でも状況は厳しい。新型コロナウイルス感染症の広がりによる国境封鎖・都市封鎖などによって外国人を始めとする労働者の確保が難しくなっているほか、配送トラック・配送センターの業務にも大きな支障が出ている。

 新型コロナウイルス感染は早く終息してほしい。もしそれが実現されなければ、われわれはまさに「戦時」の中で暮らさなければならないのだ。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

【私の論評】安倍政権は、中国から生産拠点を国内や第三国に移転する企業への支援を表明(゚д゚)!

中国への過度の依存について、政府も手を拱いているわけではありません。これに対応スべく安倍総理は行動を開始しています。

日本政府は、新型コロナウイルスの感染拡大で製造業のサプライチェーンの分断を受け、中国などから生産拠点を国内や第三国に移転するための支援を表明しました。米上院議員らはこの報道を受けて、米国もこの動きに追従すべきだと発言しました。脱中国依存の流れの始まりとしています。

この移転支援策は、4月7日に発表された緊急経済対策の一つとして盛り込まれました。総額は2435億円で、国内回帰分が2200億円、残り235億円が第三国への移転分として用意されます。

安倍首相は3月5日、官邸で開かれた未来投資会議でこの支援策について、次のように述べています。「中国などから日本への製品供給の減少による我が国のサプライチェーンへの影響が懸念される中で、一国への依存度が高い製品で付加価値の高いものは、我が国への生産拠点の回帰を図る。そうでないものも、一国に依存せず、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国などへの生産拠点の多元化を図る」


マスクがなくなったということで、マスクに関しては中国に依存していることが、多くの人に知られるようにはなりました。しかし、日本がどの程度中国に依存しているのかも明らかにしておく必要があります。

中国の主要な輸出先(2017年)は、1位米国、2位香港、3位日本、4位韓国の順。トップ4の顔触れは、20年前の1997年と全く同じです。ただ、日本は低下しており、輸出先としてのシェア(同)は6%と10年間で3分の1に低下しました。

急浮上したのが5位ベトナムです。同国への輸出額は過去20年間で約70倍、同10年間で6倍に急増、中国の対世界輸出額が各々13倍、2倍だったのに比べ大きな伸びを記録しました。この結果、ベトナムは中国の輸出先として10年前(2007年)の22位から急上昇しました。

世界貿易に占める中国の中国のシェア
上のグラフからすると、中国の対日輸出・輸入のしエアは年々減っていたことがわかります。この流れを加速することは、十分できそうです。米国もドイツも低下傾向です。

さらに、GDPに占める貿易の割合は、日本は29.3%、米国は20.56%です。韓国は、70.31%です。日本や、米国は元々貿易依存度が低いので、中国依存をやめることは比較的簡単です。とはいいながら、コロナ禍においては、マスクなどが品薄になるわけですから、早急にすすめるべきでしょう。

米国においては、ジョシュ・ホーリー(Josh Hawley)米上院議員は4月9日、日本政府が中国市場から撤退する企業を支援するとの報道をリツイートして、「米国も同じことをすべきだ」(1万8千いいね)と主張しました。トム・コットン(Tom Cotton)上院議員もまた、同記事を共有して「今後、世界でもっと中国に反旗を翻す動きが出てくるだろう」(3万5千いいね)とコメントしました。

中共ウイルス(武漢肺炎)の大流行は経済に大きな打撃を与え、多国籍企業は全体主義体制下にある中国市場からの撤退の動きが強まっています。調査会社によると、米国人の7割以上が米国のビジネスの中国市場撤退を予想しています。米国の上院議員は、米国も日本を見習って、米国のビジネスマンの復帰を支援するための資金を配分すべきだと考えています。

グローバル製造業コンサルティング会社・カーニー(Kearney)が4月7日に発表した第7回目の年次「回帰指数」(Reshoring Index)によると、2019年の米国国内製造業のシェアは、中国を含むアジア14カ国の生産品のシェアを大幅に上回りました。中国からの輸入が減り、自国生産品の流通が増加したことを示しています。

回帰指数は、アジア14カ国からの輸入品と、米国製品の変化を調査しています。 中国、台湾、香港、マレーシア、インド、ベトナム、タイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、バングラデシュ、パキスタン、スリランカ、カンボジアの14カ国を含めます。

報告書を作成したパトリック・バン・デン・ボッシェ氏は、回帰指数の高まりについて次のように分析しました。米国の生産者は30年前、国内のコスト高を理由に生産と製造、調達を中国に移したましたが、米中貿易戦によって高関税のリスクにさらされています。また、中共ウイルス(COVID-19)の流行が非常事態宣言を招く危機的な状況にあるなか、米国企業は予測不能な経済ショックに対応できるかどうかを考慮しています。

カーニーの年次報告書は、中国発のウイルス肺炎の蔓延により、海外企業の中国生産活動や貿易の縮小、撤退が加速しており、パンデミック前の状態に戻る可能性は低いと指摘しています。また、パンデミックの影響で大きな打撃を受けた企業は、リスクを分散し、中国市場への依存から脱出するために「購買戦略とサプライチェーンを真剣に考え直すことになる」と書いています。

中国は世界の自動車部品、玩具、電子製品だけでなく、ペニシリン、抗生物質、鎮痛剤、手術用マスク、医療機器など多くの医薬品や医療品も生産しています。

ドナルド・トランプ大統領の貿易顧問ピーター・ナバロ(Peter Navarro)氏は2月、フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューで、今回のウイルス蔓延の発生は米国が中国やその他の国からの医薬品や医療品の輸入への依存度を減らすための「警鐘」(wake-up call)であると語りました。

企業活動においても、物品の購入先が一箇所の会社に集中していれば、その会社が業績不審になったり、倒産した場合はもろに影響を被ることになります。分散するか、企業にとって必要不可欠なものは、内製化も検討すべきです。

国と国との関係も同じことです。中国一国に依存しすぎると、これからも何が起こるかわかりません。早急に改めるべきです。ただ、そうはいっても、中国に進出している企業がそれを実行するつもりがなければ、それは実現できません。

中国政府としては産業の高度化を進めるためにも日本企業にもっと来てもらいたいという意向は非常に強いでしょうから、日本政府の補助金に対して、「中国政府もAI(人工知能)や5Gなどハイテク分野において日本企業に補助金を出し、中国にとどまるようインセンティブを付けることも想定されます。

そうなると、対中国冷戦を挑んでいる米国は、そのような日本企業に対して直接制裁を加えるようになるかもしれません。いずれの企業にとっても、対中国依存は危険であると自覚すべきです。

そんなことはないだろうと、高をくくっている企業もあるかもしれませんが、予めコロナ禍も予想できなかったように、コロナ禍後の世界も何が起こるかは全く予想できません。とはいいながら、世界秩序は大きく変わるのは間違いないです。リスクはなるべく減らしておくべきです。

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2019年3月19日火曜日

混乱招いた著作権法改正案 見送りは政治的に当然だが…海賊版サイト対策も急務だ ―【私の論評】国内だけではなく、中国の知的財産権の侵害にも歯止めを(゚д゚)!

混乱招いた著作権法改正案 見送りは政治的に当然だが…海賊版サイト対策も急務だ 




 自民党が、違法ダウンロード規制を強化する著作権法改正案の今国会への提出見送りを決めた。改正案をめぐっては静止画やスクリーンショットなども対象になるとして問題視されていた。

 現在の著作権法では、音楽・映像について、違法に公開されたものと分かっていながらダウンロードする行為は違法である。これは2009年の著作権法改正によって10年1月から施行されている。12年の著作権法改正を受けて、同年10月から違法ダウンロードの刑事罰化が施行されている。

 今回見送られた法案は、著作権法を改正し、違法ダウンロードの対象を漫画、小説、雑誌などインターネット上のコンテンツに拡大する方向だった。刑事罰対象は悪質性の強いものに限定する方針のようだった。

 こうした政府・与党内での動きに対して、海賊版の被害者であるはずの一部の漫画家から、静止画やスクリーンショットなども対象にするのは問題だとの異論が出た。この動きが広がり、日本漫画家協会や日本建築学会などクリエイター団体や、法律の専門家などから反対意見が出た結果、著作権改正案の国会提出は見送りとなった。

 そもそもこの問題は、違法な海賊版サイト「漫画村」が発端だ。日本漫画家協会も、海賊版サイトは創作努力なしで利益をむさぼっていると批判していた。「漫画村」による被害は3000億円以上だという。

そこで政府は対策を求められた。18年4月、緊急措置としてプロバイダーが接続を遮断するサイトブロッキングが浮かび上がったが、憲法上の「通信の秘密」を侵害する恐れが指摘され、それに代わるものとして、著作権法改正が浮かび上がってきたというのが背景だ。

 法技術的には、適用対象を広く定めて、その中で刑事罰を限定的に絞るのは、役人経験のある筆者にはよく分かる。違法といっても罰則がないなら、訓示的に「違法」というだけで、一般人には実害はない。

 しかし、今回のように、静止画やスクリーンショットまで「違法」とされると、多くの人は過剰反応してしまうだろう。

 結果として、著作権法改正に対して日本漫画家協会から反対意見が出てくるに至っては、漫画家の権利保護のために改正するはずだったのに、誰のための改正なのか分からなくなる。このため、法案の国会提出の見送りは、政治的には当然だろう。

 しかし、今回の見送りによって、違法な海賊版サイトの問題は全く解決されていない。

 著作権法の適用対象や刑罰対象をもっと限定的にして著作権法改正をやり直すか、損害賠償をやりやすくするなどの別の方策を考えるのか、いずれにしても出直しである。

 重要なのは、創作している漫画家の権利保護であって、創作していない海賊版サイトが不当な利得を得てはいけない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】国内だけではなく、中国の知的財産権の侵害にも歯止めを(゚д゚)!

政府・与党が海賊版の被害者であるはずの一部の漫画家などの声に応える形で改正案の提出見送りを決めたことには、さまざまな立場の専門家や関係者から評価の声が上がっています。

ただ今回の提出見送りで、ダウンロード違法化と並ぶもう一つの海賊版対策も先送りされることになりました。その中でも、リーチサイトに対する対策です。

3月13日、自民党の古屋圭司・衆院議員はブログに次のように書き込みました。

自民党の古屋圭司・衆院議員

今朝の自民党幹部会にて、ダウンロード対象範囲拡大(投網で大魚だけでなく小魚も一網打尽してしまう懸念)など、まだ関係者の理解を得られていないばかりか、国民の間でも疑問が沸き起こっていることから、今国会での法案提出は見送り。 
次期国会までに関係者へのヒアリングなど丁寧な対応を行い、皆が納得できる法律にブラッシュアップして提出することを決定。 
これこそ自民党の奥深さと良識だ。
古屋氏はマンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟(MANGA議連)の会長を務めており、自民党内では今回の法改正について慎重派の中心だったとされます。

今回、異論の強い法案を数の力で押し切らなかった点で、確かに与党は「良識」を示したといえます。

ただ、冒頭の記事にもあように、今回の著作権法改正は2018年春以降さまざまな案が検討されてきた海賊版対策の柱として浮上したものです。いまも被害が続く海賊版に対して実効性のある策は示されていません。

コンテンツ海外流通促進機構(CODA)は13日、後藤健郎・代表理事の名義で、
著作権法改正案について、今国会への提出が見送られたことは、大変遺憾です。海賊版サイト問題はますます深刻化し、文字通り喫緊の課題です。そのなかのひとつの対策であるダウンロード違法化問題に関し、私的使用目的以外の複製との混同や、対象となる行為への誤解もあったようであり、理解が得られず残念です。
と、遺憾の意を表明した。

今回、政府が提案を目指していた著作権法の改正案にはリーチサイトへの規制が盛り込まれていました。

リーチサイト運営者は、サイトに海賊版のマンガをアップロードせず、海外のストレージサイトなどへのリンクを書き込みます。

海賊版のマンガをウェブサイトにアップロードするのはすでに違法行為ですが、アップロードそのものには関与せず、「リンクを貼る」ことで規制の回避を狙ったものとみられます。

コンピュータソフトウェア著作権協会によれば、最大級のリーチサイト「はるか夢の址」(閉鎖)による被害額は、2016年7月から2017年6月までの1年間で、731億円にのぼったとされます。

私自身は、こうした国内の違法ダウンロード規制も重要だと思いますが、それ以外にも中国による日本の知的財産権の侵害などについても規制をかけるべきと思います。

ワシントンでは中国に関して「統一戦線」という用語が頻繁に語られています。中国共産党の「統一戦線工作部」という意味です。本来、共産党が主敵を倒すために第三の勢力に正体をも隠して浸透し連合組織を作ろうとする工作部門でした。

中国にはすでに、日本工作ののための工作要領がある

習近平政権は米国の対中態度を変えようと統一戦線方式を取り始めました。多様な組織を使い、米国の官民に多方向から働きかけるのです。

そんな統一戦線方式とも呼べる中国側の対米工作の特定部分がワシントンの半官半民のシンクタンク「ウィルソン・センター」から昨年9月上旬に学術研究の報告書として発表されました。米国全体の対中姿勢が激変したからこそ堂々と出たような内容でした。
米国の主要大学は長年、中国政府工作員によって中国に関する教育や研究の自由を侵害され、学問の独立への深刻な脅威を受けてきた。
こんなショッキングな総括でした。

これについては、すでにこのブログでも過去にとりあげました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【古森義久のあめりかノート】中国の「統一戦線工作」が浮き彫りに―【私の論評】米国ではトランプ大統領が中共の化けの皮を剥がしはじめた!日本もこれに続け(゚д゚)!



詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
中国共産党は長年外国に対して統一戦線工作を仕掛けてきましたが、中国共産党はこれを決して公にしてきませんでした。いま、米国政府は公式報告書で中国共産党の統一戦線工作を系統的に暴露し、その化けの皮をはがしています。同時にこれは、他国を転覆しようと画策する中国共産党の不道徳な国際戦略に対し、米国が照準を向けたことをも意味します。 
過去数十年に渡り、中国共産党は不公平な貿易によって自身の経済規模を拡充してきました。また、非合法的な技術の取得による自身の先端科学産業を発展させてきました。そして非人道的な低賃金・人権無視の戦略を用いて外資企業を誘致しました。

その極みとして、不道徳的な統一戦線工作を通して外国の世論や政策を操り、もって他国の政権や民主主義社会の転覆を目論んだのです。 
中国共産党の正体を暴いた同報告書はトランプ政権の大きな実績です。中国共産党の各種不道徳な行為は、トランプ政権によって次々と暴露され始めています。これからも、さらに中国の異形のおぞましい姿が次々に晒されていくと思います。 
なお、この『中国共産党の海外における統一戦線工作』に書かれていことは、以前から知られていることです。多くの筋からそのような内容は、多くの人々に知られていました。その一旦は、このブログにも過去にも数多く掲載しています。 
とはいいながら、このような内容が、米国議会の「米中経済安全審査委員会(USCC)」において、8月24日に『中国共産党の海外における統一戦線工作』という報告書によって正式に公表されたという事実は大きいです。
中国による統一工作の対象は無論米国だけではありません、日本を含めた他国も工作しています。沖縄が中国によって、工作されているのも間違いないでしょう。日本の場合はスパイ保護法がないため、このような工作はもちろんのこと、産業界でも様々な工作により、知的財産が中国によって奪われているのは、確実です。

このようなことは、様々なところから漏れ聞こえてきますが、米国のように日本国内での工作が報告書によって報告されることがないので、一般にはあまり報道されることもなく、多くの国民はあまり知らないようです。そのため、いわゆる反日勢力はそのようなこはないとか、あり得ないとしていることが多いです。

日本でも一刻もはやく、様々な実体を調査し、まずは国会で報告させるような体制を整え、スパイ防止法立法への道筋をつけるべきです。

そのまま放置すれば、日本の知的財産権は侵害されつづけることになります。それだけでも大きな被害なのですが、中国の知的財産の侵害に神経を尖らせている米国は、日本経由で米国の知的財産が漏れているとか、米国製ではないものの、それと同等や類似した日本の技術の中国への漏洩が米国にとって不利益と判断した場合は、日本に対しても制裁を発動するかもしれません。

それは、個人に対するものかもしれません、あるいは企業に対するものかもしれませんし、あるいは日本国政府に対するものになるかもしれません。

米国は、トランプ政権はもとより、議会も、司法当局も中国への対決の姿勢を顕にしています。トランプ大統領がたとえ、ある程度のところで幕引きを図ったとしても、議会や司法当局はその動きはトランプ大統領も止めることはできません。米国は本気です。中国と対決するためには、あらゆる方策を実行し、可能性を探ります。そのことを忘れるべきではありません。

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2018年11月15日木曜日

入管法改正案は廃案にすべし!「外国人労働者を増やしても誰も幸福にはならない」合理的な理由とは―【私の論評】外国人労働者を増やす前に、国内の賃金を上げよ(゚д゚)!


経済評論家 / 上武大学ビジネス情報学部教授
田中秀臣




 外国人労働者の移入拡大を盛り込んだ入管法改正案の審議が本格化している。ここ数年顕在化している「人手不足」への対応を狙ったものであるという。確かに統計をみたかぎりでは、バブル経済の余韻がまだあった1992年以来の「不足感」だ。

 忘れている人や知らない人も多いだろうが、この90年代初めにも外国人労働者の受け入れ拡大が政策課題になっていた。

 私も大学院で、当時、学会の俊英であった故・清野一治氏の論文「国際労働移動と国民経済厚生—静学的影響」(『早稲田政治経済学雑誌』1994年)を、研究会で直接著者から解説を聞き、白熱の論争を教員・学生で行ったことを思い出す。

 清野論文では、外国人労働者の受け入れ国(日本)と送り出し国(諸外国)で、

 1)市場メカニズムが完全ならば労働の移動の結果、両国の賃金は同じになる。このとき受け入れ国(日本)の賃金は低下し雇用は減少する、他方で外国人労働者の賃金は上昇し雇用は増加する。日本の労働者にはメリットはないが、ただし世界全体の経済厚生は大きく改善する。要するに前者の経済厚生上の損失を後者の増加が大きく超えるのである。

 2)市場メカニズムが不完全なケース、例えば日本の雇用環境が閉鎖的であり、または賃金が下方硬直的な場合では、経済厚生は悪化する。具体的なイメージでは、高い賃金や暮らしを目的に海外から外国人労働者がきても日本企業に正規雇用されない、あるいは不況によって日本で失業してしまう場合である。また関連して国内で働く外国人労働者が日本で稼いだお金を母国に送金した場合でも日本の経済的厚生は低下する、

 と清野論文は解説していた。

 清野論文の1)を基本モデル、2)を修正モデルとしておく。

 まず、1)の基本モデルをそのまま日本の現実に適用するのは、かなり疑問だ。そもそも外国人労働者を増やすことで、世界の経済厚生を増やす前に日本の政治家がすべきことがある。それは日本の経済厚生を増やすことだ。具体的には働きたい意欲のある高齢者、女性たちの働く環境の改善である。

 また「失われた20年」に直面し、雇用機会を大きく制限されてしまった30歳代から40代の人たちが、年齢や企業規模に関係なく自由に働き場所を獲得することができることだ。日本の経済厚生は確実に上昇する。日本の働く環境をよくしてから、外国人労働者の受け入れを行えばいい。外国人労働者受け入れ問題についていえば、自国民ファーストは当たり前である。

 実際に、清野氏もまた90年代の外国人労働者問題に直面して議論してきた人たちの現実的な帰結はこのラインだった(参照: 後藤純一「少子高齢化時代における外国人労働者問題」『国際環境の変化と日本経済』)。

 いまの政府の方針はこの成果をまったく顧みていない。

 また政府が5年で最大34万規模の未熟練労働が大幅に拡大しても、他方でAIの進化やオートメーション化の変化によって、これら未熟練労働者が不用になることが今後予想されるのではないだろうか?

 政府は「人手不足」が解消されれば、受け入れを停止するとしている。だが、政府に市場の動向を的確に判断できる能力の保証はない。政府の受け入れ停止の判断はおそらくかなり遅れるか、あるいは政治的怠慢で判断さえされないかもしれない。このとき日本にきた未熟練労働者は、構造的な意味で「失業」に陥るだろう。

 ■ポスト安倍世代の緊縮政策で、外国人労働者は対立と分断の一因に?

 2)の修正モデルから考察してみる。このケースではもともと外国人労働者の移入拡大は、受け入れ側、移動してくる側双方に厳しい状況だ。

 日本の雇用が閉鎖的になるそのもっともありうるケースは、不況だ。

 このケースでは、日本にきたはいいが、職を得ることができないか、あるいは日本の未熟練労働者とパイを食い合う苛烈な競争となる。日本の労働者にも外国人労働者にも明るい未来はない。

 特に不況は緊縮政策によって生まれる。

 現在の安倍政権は積極的な金融緩和政策を採用している。ただし財政政策は、緊縮よりだ。その象徴が来年の消費増税をやめないことにある。ましてやポスト安倍といわれる人たちは、ほとんどが与野党問わず、緊縮政策、財政再建志向の政治家たちである。この増税政治家たちがいまよりも緊縮政策をとれば、日本は長期停滞に戻る可能性が大きい。

 そのときに外国人労働者は日本を経済的にも社会的にも対立と分断の一因になる可能性がある。そのことは、緊縮政策を採用した国々、外国人労働者や移民を増やしていったイギリスやドイツなどの経験をみれば自明である。

 もちろん外国人労働者は「安価な労働」ではない。だが、どうも政府もまたこの「人手不足」を理由に受け入れ拡大を後押ししている経団連などの財界にも、単なる「安価な労働」以外にはみえていない可能性がある。長期停滞の中で、非正規雇用が増えていったが、これも経営者側からみれば「安価な労働」という視点で規制がどんどん緩和していったことを思い出せばいいだろう。いまの改正法案でも派遣形態での外国人労働者の受け入れも認める動きがある。いまは厳格な条件を採用しても、やがてなし崩し的に規制が緩和される可能性が大きい。いまの日本の財界には、日本経済や国益をみたうえでの判断はできない。経済的老害である(参照:田中秀臣『増税亡者を名指しで糺す!』悟空出版近刊)。

 日本の労働者もそして外国人労働者もともに単なる「安価な労働」や都合のいい材料ではない。生身の人なのだ。これを忘れてしまい、ましてや緊縮政策の中で外国人労働者を増やすことは、日本の社会を大きく不安定にしてしまうだろう。改正法案は廃案すべきである。

田中氏のツイッターに掲載されている本人写真
経済評論家 / 上武大学ビジネス情報学部教授

田中秀臣


上武大学ビジネス情報学部教授。早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。国土交通省社会資本整備審議会委員、内閣府経済社会総合研究所客員研究員など歴任。 著作『日本経済は復活するか』(編著 藤原書店)、『AKB48の経済学』(朝日新聞出版)、『デフレ不況』(朝日新聞出版)など多数。毎週火曜午前6時から文化放送『おはよう寺ちゃん活動中』レギュラーコメンテーターとして出演中。

https://twitter.com/hidetomitanaka

【私の論評】外国人労働者を増やす前に、国内の賃金を上げよ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事て、田中秀臣氏は「そもそも外国人労働者を増やすことで、世界の経済厚生を増やす前に日本の政治家がすべきことがある。それは日本の経済厚生を増やすことだ。具体的には働きたい意欲のある高齢者、女性たちの働く環境の改善である」と主張しています。私もそう思います。

それに、永住資格は認めないで、「技能実習」から「特定技能」に切り替えられる可能性を広げる今回の案では、必要な期間だけ雇って、用がなくなれば帰国を余儀なくされるか、日本で職探しするしかない不安定な立場の外国人労働者だけを増やすことになりかねないです。

それだと、日本での安定した生活を求めて来る人たちの期待を裏切り、「派遣労働者切り」をめぐる昨今の問題を海外にまで拡大してしまうことになりかねないです。日本が自国の都合だけで外国人労働者を使っているという批判が各国から強まり、「国際問題」化することになるでしょう。


外国人労働者を増やす前に、やるべきことがあります。それは、まずは国内の労働者の賃金をあげることです。入管法改正を求める声が、人手不足を理由に産業界から出ていることは気がかりです。産業界が「人手不足」というときには、目先のことだけを考えて「賃上げをしたくない」という本音が見え隠れします。

私自身は、人手不足はマクロ経済にとって良いことであり、この際、企業がため込んだ内部留保を吐き出す番だと思います。つまり、アベノミクスによって企業が儲かってきたのですから、これからは労働者が賃上げで潤っていいはずです。

現状は、賃金をあげられるなら上げるべきです。そうして、上げれば、それが景気が良くなることにつながり、企業の収益がますます良くなるという好循環につながるはずです。このような好循環がおこれば、中小企業もその好循環が巡ってくるはずです。

それと、入管法がどうのこうのという前に、日本は移民が増えつつあります。実際日本の移民の数が増加しています。最新の外国人移住者統計によると、日本は経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国の中で、韓国を抜いて4位に上昇したとのことです。


これをもって日本はすでに移民大国などとする識者もいるようです。ただし、これは実数で比較しているので、移民数の当該国の人口との比率でみれば、日本の移民の数はさほどではないのですが、それにしても民主党政権時代から持続して増えているのは事実です。

国家規模の数字がまとまっている2015年時点で、日本への流入者は前年比約5万5千人増の約39万人となり、スペインやカナダよりも多い数字になっていました。ただし、日本の人口は1億2千万人、スペインは4千657万人、カナダは3千671万人です。ちなみに、米国は3億2千570万人です。

人口減と少子高齢化による人手不足を背景に、日本で働く外国人が増え続ける中、経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国の最新(2015年)の外国人移住者統計で、日本への流入者は前年比約5万5千人増の約39万人となり、実数では前年の5位から韓国を抜いて4位に上昇しました。

この観点からすると、今回は入管法を改正するにしても、外国人労働者を新たに受け入れずに、今まで受け入れてきた留学生アルバイトと技能実習生にきちんとした在留資格を与えて、その後はきっちり管理するというスタンスが望ましいです。

先進国のビザは、就労条件について厳格に定められており、その点、日本のビザではそれが曖昧です。この際、入管法改正によって、先進国並みの在留資格に基づいて就労条件を明記することが必須です。そうして、適切に運用することによって、邦人の雇用が失われないようにしなければならないです。

在留者やその家族の社会保障制度などの適用についても、これまで不適切使用が何度も指摘されてきました。誰からも文句を言われないような制度作りも併せて実施してもらいたいものです。

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2017年11月17日金曜日

北朝鮮 SLBM搭載の新型潜水艦建造か―【私の論評】日本は北を先制攻撃しても世界から非難されないが国内で非難されるこの矛盾(゚д゚)!

北朝鮮 SLBM搭載の新型潜水艦建造か

潜水艦のものとみられる部品が移動、SLBM用の潜水艦の建造進展か
 アメリカの北朝鮮研究機関は16日、北朝鮮東部で、弾道ミサイルを発射できる新型の潜水艦の建造が進んでいる可能性があるとして、衛星写真を公開した。

 アメリカの北朝鮮研究機関が公開した北朝鮮・新浦にある潜水艦基地の衛星写真で、建設エリアでは継続的に部品が動かされ、中には潜水艦の船体部分の部品とみられるものがあることから、SLBM(=潜水艦発射弾道ミサイル)を搭載するための、新型潜水艦の建造が進んでいる可能性があると分析している。

 また、エンジンの噴射実験を示す動きが確認できるとして、潜水艦の建造と並行して、SLBMの開発も続いていると指摘している。

【私の論評】日本は北を先制攻撃しても世界から非難されないが国内で非難されるこの矛盾(゚д゚)!

本日写真を公開したアメリカの北朝鮮研究機関とは、38 Northのことです。この写真が掲載されている元の記事は以下のリンクからご覧になることができます。
North Korea’s Submarine Ballistic Missile Program Moves Ahead: Indications of Shipbuilding and Missile Ejection Testing
38Northは、フェイスブックページがあります。以下にそのページのリンク先と、そのページにあった写真を掲載します。
https://www.facebook.com/38NorthNK/

38ノース(38 North)は北朝鮮に関する分析を専門とするウェブサイト。ジョンズ・ホプキンズ大学ポール・H・ニッツェ高等国際関係大学院の米韓研究所(USKI)のプログラムであり、米国務省の元職員ジョエル・S・ウィットとUSKIアシスタント・ディレクターのジェニー・タウンによって管理されています。

著名な貢献者として核科学者のジークフリート・ハッカー 、元AP通信平壌支局長のジーン・H・リー 、サイバーセキュリティの専門家ジェームス・アンドリュー・ルイス及び「ノースコリア・テック」の創設者マーティン・ウィリアムズがいます。

Siegfried S. Hecker (ジークフリート S. ハッカー)
38ノースは北朝鮮の主要分野の商業衛星画像を使用し、アナリストに国内の開発に関する洞察を明らかにする機会を提供しています。たとえば、過去に以下のような発表を行っています。
2013年11月、38ノースは北朝鮮のミサイル発射地点で新たな建造物を発見したと公表し、より大型のロケットを扱えるようにアップグレードされていると述べました。
2015年12月21日の北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星1号」の「排出」実験後の2016年1月に、38ノースは新浦市南部の造船所の衛星画像分析を使用して北朝鮮のSLBMプログラムについて報告しました。ジョセフ・バミューデスは衛星画像は北朝鮮のSLBMプログラムへの能動的な探求を示していると述べ 、その予測は後に2016年の3回のSLBM実験(4月23日、7月9日、8月24日)や、2017年2月13日に北極星1号を改良し、地上発射型にした新兵器「北極星2号」の試験発射成功で裏付けられることになりました。
2016年1月下旬、38ノースは北朝鮮の東倉里ミサイル発射場での不審な活動を報告しました。ジャック・リウによる衛星画像分析で東倉里の主要施設と地点で低レベルの活動が示されました。記事が公表されてから10日後、北朝鮮は東倉里で人工衛星「光明星4号」を搭載した光明星の打ち上げを実施しました。
2016年4月、38ノースのアナリストは主要プラントを加熱するために使われた寧辺核施設の蒸気プラントから出ている排気プルーム(煙)について報告しました。これは追加プルトニウムの再処理が進行中である徴候の可能性があるとされました。4月中旬、38ノースは北朝鮮が核兵器用のプルトニウムの再処理を開始したことを示す活動を報告しましたが、国際原子力機関は約2ヶ月後の6月7日まで認めませんでした。
2016年9月、38ノースはジョセフ・バミューデスとジャック・リウによって行われた衛星画像分析に基づき豊渓里核実験場の3か所のトンネル全てで新たな活動が見られると報告したました。この活動は、メンテナンスと小規模な掘削作業が再開したことを示していました。翌日、北朝鮮は豊渓里で5回目の核実験を実施しました。
過去の実績内容からみても、38ノースはかなり確度の高い情報を提供しています。北朝鮮情勢を知るには見逃せないサイトです。

朝鮮中央テレビでは、昨年「戦略潜水艦弾道弾水中発射成功」を大々的に報道しました。その動画を以下に掲載します。



このときは、まだ半信半疑でした。今回の38ノースの発表からどの段階までいっているのかわかりませんが、SLBMとこれを発射可能な潜水艦を開発中であることは間違いないようです。いつ開発に成功し、実戦配備するのかは、まだ未知数ですが、北朝鮮の過去の核・ミサイルの開発をふりかえると、いずれ数年のうちにはブロとタイプができるとみるべきでしょう。

だからこそ、38ノースはこの動きを公表したのでしょう。日米の対潜哨戒能力などは、かなり高度であり、たとえ北朝鮮がSLBM発射可能の潜水艦を開発したとしても、それを撃沈することはできます。しかも、北朝鮮の付近の海域には、日米が追跡することが不可能なとほどの深い海域はありません。

さらに、北朝鮮の潜水艦は原潜ではないので長い期間潜水することはできません。また、原潜までいかなくとも、技術水準の高い水準の高い日本の新型潜水艦のように、実戦的には十分であると考えられる長時間潜水もできません。ちなみに原潜は理論上、無限近いほどに潜水していられますが、乗組員の飲料・食料の補給、交代があるため限界があります。

しかし、そうはいっても潜在的脅威になることは間違いないです。北朝鮮のSLBMを搭載した潜水艦がオホーツク海や、南シナ海の深海に潜伏することが可能になれば、日米もこれを発見することは難しいです。

現状では、そんなことはあり得ないと断言できますが、中国がその究極の目的である深い海域のある南シナ海を中国原潜の聖域(戦略原潜を深海に沈めて敵から発見できない場所)にすることに成功した場合、北朝鮮の潜水艦もここを聖域にすることを許容するなどということも考られます

あるいは、元々北朝鮮という国をつくったソ連の後継国であるロシアが、深い海域が存在するオホーツク海を北朝鮮の潜水艦の聖域にすることを許容するなどということも全くあり得ない話ではありません。

もし、そのようなことがおこることが事前に察知できた場合には、日本としては北朝鮮の潜水艦を撃沈することも視野にいれておかなければなりません。

イスラエルは、過去にイラクの原子力施設を破壊したことがあります。これは、イラク原子炉爆破事件として有名です。

建設中に破壊されたイラク・「オシラク原子炉」
イラク原子炉爆撃事件は、イスラエル空軍機がイラクのタムーズにあった原子力施設を、バビロン作戦(別名オペラ作戦)の作戦名で1981年6月7日に攻撃した武力行使事件です。

これはイラクが核兵器を持つ危険性があるとして、イスラエルが「先制的自衛」目的を理由にイラクに先制攻撃を行ったものです。この攻撃に対して国際連合安全保障理事会決議487(英語版)がなされ、イスラエルは非難されました。

バビロン作戦における戦闘爆撃機の飛行進路
しかし、これはイラクの原子力施設が必ずしも核兵器につながるとはいえないにも関わらず、先制攻撃したため非難されたものです。しかし、結果としてイスラエルはイラクの原子力施設を破壊して、イラクの核の脅威を葬り去ったのです。

日本の場合は、北朝鮮が日本に攻撃すると威嚇し、実際にミサイルの発射実験を行ったり、核実験を行っているし現実に北朝鮮は日本にミサイルを発射することができるわけです。北朝鮮の報道官が、今年8月9日に「日本列島を瞬時に焦土化できる」と警告する声明を発表しました。日本が北朝鮮を先制攻撃をして、核施設やミサイル施設を破壊したとしても、イスラエルのように非難されることはありません。

当の北朝鮮や、中国やロシアなどは非難するかもしれませんが、国際連合安全保障理事会決議により、非難されるということにはなりません。他の国々は最初から非難することもないでしょう。

なぜなら、国連憲章でも独立国の自衛戦争は認めらているからです。独立国であれば、自国が他国に攻撃されることがあらかじめわかっている時に自衛のために他国を攻撃することは自然権であるという認識は、世界の常識です。その常識が日本にだけ通用しません。

日本も、この自衛戦争は、憲法改正でも良いし、憲法解釈の改変でも良いのでできるようにしておくべきです。

仮に日本が北朝鮮を先制攻撃しても、世界から非難されることはないのに、日本国内で非難されるという、この奇妙な現実は変えなければなりません。

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