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2020年8月28日金曜日

コロナ禍でも踏ん張れるアベノミクス2800日の「レガシー」―【私の論評】安倍晋三首相の連続在職日数が史上最長になったのは、多くの人の支えや賛同があったから(゚д゚)!

コロナ禍でも踏ん張れるアベノミクス2800日の「レガシー」

田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

田中秀臣氏(写真はブログ管理人挿入)

安倍晋三首相の連続在職日数が8月24日に2799日となり、史上最長になった。首相の大叔父にあたる佐藤栄作元首相を抜く記録である。

佐藤政権の時代はちょうど高度経済成長の後期に該当し、筆者も当時をよく記憶している。特に政権の最晩年に近づくにつれ、単に長期政権というだけで、国内のマスコミや世論の批判を受けていた側面がある。国外ではノーベル平和賞をはじめ、経済大国に押し上げた経済政策を評価されていたこととは対照的だった。

現在も続く新型コロナ危機でも、安倍首相の経済対策と感染症抑制に対する評価が国内外で全く異なっていることは、前回の論考でも説明した。筆者は常に、政策ごとにデータと論理で評価することに努めている。

政策には100点満点も0点もあり得ない。しかし、多くの人は全肯定か全否定しがちである。それは愚かな態度であるが、おそらく本人に指摘しても変わることはないほど強固な認知バイアスだといえる。

筆者の周囲にも「私の直観や感情では、安倍首相は悪い人」といって、どんなに論理や事実を提示しても意見、いや「感情」を改めることのない人は多い。このような人たちの多くは、テレビのワイドショーや報道番組の切り口に大きく影響されてしまう。「ワイドショー民」としばしば呼ばれる人たちだ。

このような感情的な反発がベースにあるワイドショー民が増えてしまえば、政治家の「人格」も「健康」も軽く扱われてしまう。要するに、非人道的な扱いの温床につながるのである。

安倍首相のケースでいえば、8月17日と24日の慶応大病院での受診や、新型コロナ危機の前後から続く過度な執務状況がそれに当たる。心ない反安倍系のマスコミ関係者や野党、そしてそれに便乗する反安倍的な一般の人々による、まさに醜悪といっていい発言を最近目にすることが多い。

この人たちはおそらく人を人と思っていないのだろう。どんな理屈をつけてきても、それでおしまいである。議論の余地などない。

ましてや、国会で首相の健康の状況を政争の論点にしようとしている野党勢力がある。そのようなレベルの考えだから、いつまでたっても支持率が低いままなのだ。きちんと政治を見ている心ある人たちもまた多いのである。

経済評論家の上念司氏は、8月24日の文化放送『おはよう寺ちゃん活動中』で「野党が(首相は)休むんじゃないとかひどいことを言っている。この健康不安説を流しているのは野党とポスト安倍といわれる政治家の秘書ではないか」と推論を述べている。首相の健康不安を過度にあおり、それを政争にしていく手法は、本当に醜悪の一言である。

この手の政治手法に「よくあること」などと分かった風のコメントをする必要はない。単に、人として品性下劣なだけだからだ。

実際には「一寸先は闇」なのが政治というものである。それでも、民主国家の日本でこれほどの長期政権を続けられるのは、国民の支持がなければあり得ないことだ。

この連載でも常に指摘していることだが、安倍政権が継続してきた主因は経済政策の成果にある。新型コロナ危機を一般化して、安倍政権の経済政策の成果を全否定する感情的な人たちもいるが、論外である。

もちろん景気下降の中で消費税率の10%引き上げを2019年10月に実施した「失政」を忘れてはならない。さらにさかのぼれば、二つの経済失政がある。2014年4月の8%への消費税引き上げと、18年前半にインフレ目標の到達寸前まで近づいたにもかかわらず、財政政策も金融政策も事実上無策に終わらせたことだ。

ただし、きょう2800日を迎える中で、新型コロナ危機以前の経済状況については、雇用を中心に大きく前進していた。「長期デフレ不況」の「不況」の字が取れ、「長期デフレ」だけになっていたのが、2度目の消費増税に踏み切る19年10月以前の経済状況だったといえる。

このことは、経済に「ため」、つまり経済危機への防御帯を構築したことでも明らかである。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の防御帯は主に3点ある。「雇用の改善」「株価、不動産価格など資産価格の安定」「為替レートが過度な円高に陥ることがないこと」である。

これらのほぼ全てを事実上、アベノミクスの「三本の矢」の金融政策だけで実現している。この状況に、積極財政の成果も急いで加えることができたら、インフレ目標の早期実現も可能となり、経済はさらに安定化しただろう。

雇用改善については、第2次安倍政権発足時の完全失業率(季節調整値)が4・3%で、新型コロナ危機前には2・2%に低下していた。現状は2・8%まで悪化しているが、あえていえばまだこのレベルなのは経済に「ため」があるからだ。

有効求人倍率も、政権発足時の0・83倍から、新型コロナ危機で急速に悪化したとはいえ、1・11倍で持ちこたえているのも同じ理由による。ただし、「ため」「防御帯」がいつまで持続するかは、今後の経済政策に大きく依存することは言うまでもない。

このような雇用の改善傾向が、若い世代の活躍の場を広げ、高齢者の再雇用や非正規雇用者の待遇改善、無理のない最低賃金の切り上げなどを実現することになった。

そのような中で、朝日新聞は首相連続在職最長になった24日に「政策より続いたことがレガシー」という東京大の御厨(みくりや)貴名誉教授のインタビュー記事を掲載していた。現在の朝日の主要読者層には受けるのかもしれないが、7年にわたる雇用の改善状況を知っている若い世代にはまるで理解できないのではないか。

日経平均株価は政権発足前の1万230円から2万3千円近くに値上がりし、コロナ危機でも安定している。為替レートも1ドル85円台の過剰な円高が解消されて、今は105円台だ。これらは日本の企業の財務状況や経営体質を強化することに大きく貢献している。

ところが、24日の日本経済新聞や読売新聞では、新型コロナ危機下であっても、財政規律や基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化の先送りを問題視する社説や記事を相変わらず掲載している。産経新聞は、比較的アベノミクスの貢献を詳しく書き、消費増税のミスにも言及している。

ただ、今回は別にして、産経新聞も財政規律を重んじる論評をよく目にすることは注記しなければならない。他にもツチノコのような新聞があったが、今はいいだろう。

      2万3000円台を回復した日経平均株価の終値を示す株価ボード
      =2020年8月13日午後、東京・日本橋茅場町
2万3000円台を回復した日経平均株価の終値を示す株価ボード=2020年8月13日午後、東京・日本橋茅場町
 これらのマスコミは経済失速を問題視する一方で、その主因の消費増税などをもたらす財政規律=緊縮主義を唱えているのだ。まさにめちゃくちゃな論理である。

感情的な印象論で決めがちなワイドショー民、健康を政争にすることを恥じない野党勢さ力、不況を責めながら不況をもたらす財政規律を言い続けるめちゃくちゃなマスコミ。こんな環境の中で、安倍首相はよく2800日も政権を続ける強い意志を持ち続けたと思う。本当に「偉業」だと率直に評価したい。

【私の論評】安倍晋三首相の連続在職日数が史上最長になったのは、多くの人の支えや賛同があったから(゚д゚)!

安倍総理自身による辞任の公表かなされてから、安倍総理や安倍政権に関する記事を、読んでみました。

ネットで見る限り、「レガシーなしの安倍政権」などの表題が踊っており、これらはとてもじゃないですが、自分自身のブログに掲載して、それを論評することなど、到底不可能と思い、本日は田中秀臣氏の上の記事を掲載させていただきました。田中氏の論評はいたって、まともだと思います。ただし、この記事は安倍総理が辞任を公表する前の、

田中秀臣氏に関しては、どのような人なのかは、他のメディアにあたってください。ただし、他のメディアにはない私の知っている田中秀臣氏に関してはここで若干説明させていただきます。

まず、田中氏は自他共に認める「リフレ派」です。私自身は、田中氏は正統派リフレはだと思っています。正統派とは、まともなマクロ経済学的観点からの、リフレ派だという意味です。田中氏とは、主にtwitter上のでのやりとりがありましたが、その中で感じたのは、やはり正統派ということでした。

ただし、私が正統派という場合、日本の経済学者の主流派という意味ではありません。東大を頂点とする、日本の主流派経済学者らは、はっきりいいますが、財務省の走狗であり、彼らの主張をは、世界標準の主流の経済学とはかけ離れており、まともではありません。

そのせいもあってか、最近はそのようなことはなくなりましたが、一昔まえは、異端派経済学者とみられていた時期もあったようです。

その中において、田中氏はいつもまともに、日本の経済の本当の有様を解説し、それ対する政策はこうあるべきだとの主張をしてこられました。

それは、上の記事をご覧いただいてもおわかりになると思います。あくまで、安倍政権の経済政策を是々非々でみて、論評しています。この姿勢は、以前から一環しています。

なお、民主党政権の政策については、自民党にお灸をすえるつもりで、民主党政権に政権交代させれば、大変なことになると批判してました。実際そのとおりになりました。

このブログの古くからの読者なら、おわかりでしょうが、私も無論そのように予測していました。そうして、私自身も安倍総理の政策を是々非々でみていました。高く評価したこともありますが、もちろん批判したこともあります。

この田中氏ですが、上の記事など読んでいると、田中氏のことを「保守派」と思うかたもいらっしゃると思いますが、本人は「リベラル派」と思っているようです。ただし、「リベラル派」とは現在の日本に多く存在するいわゆる似非リベラル派ということではなく、元々の正しい意味での「リベラル派」のようです。

その真性リベラル派からみても、安倍総理のレガシー(遺産)は、確かに今の日本にとって、間違いなく役にたっているのです。

たしかに、失敗もあるのですがそれでも、もし安倍政権になってからの、金融緩和政策がなければ、今頃失業率が軒並みあがり、日本はとんでもないことになり、コロナ対策どころではなくなっていた可能性が非常に高いです。

そのようなことを考えると、安倍総理のレガシーによって、現在日本は、コロナ禍に見舞われても、なんとか踏ん張ることができ、今後政策を間違えなければ、早期の回復も期待できるのです。

それと、安倍総理のもう一つのレガシーは、やはり極めて限定されているというものの、集団的自衛権の行使ができるようになったことでしょう。

集団的自衛権は世界中、どこの国でも保持しているし、殆どの場合、自由に行使が出来ます。集団的自衛権に関して、議論されていたときに、野党や新聞は、日本がこの行使が可能になれば、すぐに戦争になるとか、徴兵制が復活するなどと多騒ぎしました。

2015年8月30日午後2時、東京・千代田区の国会議事堂前で開かれた「戦争法案廃案!安倍政権退陣!
8・30国会10万人・全国100万人大行動」に参加した日本市民の巨大な波が国会を包囲

しかし、未だに日本は戦争をしていません。さらに、日本以外の国々では、集団的自衛権の行使を制限なくできますが、それらの国々のほとんどが、戦争をしていません。

日本だけが集団的自衛権を行使容認すると、途端に戦争が始まるという議論は、日本を特別に貶めるヘイト・スピーチだといっても過言ではありません。日本も世界の各国も対等です。日本だけが集団的自衛権の行使が許されず、仮にその行使が決定した瞬間に戦争になるというのは、論理的に破綻しています。

安全保障の議論は、空理空論であってはならない。集団的自衛権の行使容認によって、「立憲主義」が破壊されるという議論もありましたが、これもおかしな議論です。調べてみると、あのときに立憲主義が破壊されると叫んでいる人の多くが、PKO法案に反対し、「立憲主義が破壊される」と叫んでいた人々でした。

しかし、PKO活動が可能になって、30年近くの歳月を経た現在、PKO活動で立憲主義が破壊されるという主張はなされていません。自衛隊が海外に派遣され、自然災害等々で苦しんでいる人々を救援していることは、多くの日本国民にとって誇りです。弱い立場にある人々を救援して、立憲主義が破壊されるとは、滑稽な空理空論でした。

それと、「もりかけ桜」(くだらない上に面倒なので、このように一つまとめます)で、野党は安倍政権や安倍総理個人を攻撃し続けましたが、いまだにどれも「疑惑」の範囲を超えていません。あれだけ、長い時間をかけたのですが、結局どれもいわゆる「物証」などが出てこず、安倍政権や安倍総理を追い込むことはできませんでした。

ワイドショー民は、そのようなことはしないようですが、私自身は、公に公表されている関連文書をいくつか読んでみましたが、どれ一つをとっても、倒閣に結びつくものはありませんでした。私の出した結論は、倒閣でありもしない問題をさも「問題あり」としているだけという結論を出しました。

このようなことばかりやっていると、野党は自らをすり減らし、弱体化していくだけだと思いました。そうして、実際そのとおりになっています。次の選挙では、与党がよほどの間違いをしでかさない限り、与党が勝つのは当たり前という状況です。

それと、外交においても、全方位外交を実践し、日本の存在感を高めました。外交をするだけではなく、実際に多く国々との関係を深め、TPPや日欧EPAを発足させました。しかし、海外では高い評価を受けているものの、日本国内ではあまり評価されませんでした。

経済でも、安全保障でもこのような、外交でも、不可思議で無意味な議論がまきおこる、日本において、安倍政権は2800日も政権を続けることができたということは、奇跡に近いかもしれません。

さて、ポスト安倍ですが、私は現在のところは、麻生氏が総理大臣をつとめるのが、一番だと思います。他のポスト安倍候補は、先日も述べたように、河野防衛大臣や小泉環境大臣も含めて、全員が増税などを正しいと信じる緊縮派です。ただ、麻生氏は例外です。

麻生氏は、従来は麻生氏を要に、財務省の意向を政権内部周知徹底するという役割を担っていたようで、本人自身も「増税は国際公約」と述べるなど、かなり財務省よりでしたが、最近豹変しました。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
麻生氏の「豹変」が象徴する政府と日銀の“対コロナ連合軍” 相変わらずのマスコミ報道には笑ってしまう ―【私の論評】ピント外れのマスコミには理解できない日本国債の真実(゚д゚)!
麻生副総理、財務大臣
詳細は、この記事を読んでいただくものとして、以下に一部を引用します。
 いずれにしても、戦前の大恐慌並みの経済ショックの際に、過去最大規模の国債を発行するのは当然である。それでも財務省の事務方は財政再建の旗を降ろさないが、麻生太郎財務相には、事務方とは違う良い兆候もある。麻生氏は5月12日の記者会見で、政府の借金が増え過ぎることによって日本財政が信頼されなくなる可能性を指摘してきた財務省を「オオカミ少年」と表現したのだ。
この記事にも掲載したように、新規国債の発行額が、当初予算と1次、2次補正を合わせて過去最大の90兆2000億円に達したと報じられたのですが、 戦前の大恐慌並みの経済ショックの際に、過去最大規模の国債を発行するのは当然である。それでも財務省の事務方は財政再建の旗を降ろさないが、麻生太郎財務相は5月12日の記者会見で、政府の借金が増え過ぎることによって日本財政が信頼されなくなる可能性を指摘してきた財務省を「オオカミ少年」と表現したのです。

コロナ・ショックは戦争状態ともいえるような非常事態です。そこで麻生氏が共同談話で「日銀と政府の関係は、きちんと同じ方向に向いていることがすごく大事なことだ」と語ったことが重要です。

これは、政府と日銀との連合軍が組まれたことを意味します。経済政策としては、財政政策と金融政策の同時・一体発動を意味しており、コロナ・ショックという戦後初、戦前の大恐慌に匹敵するくらいの経済危機に対し、政府の危機感を示すものでした。

政府と日銀との連合軍では、政府が大量の国債発行によって財源調達を行うのですが、その一方で、日銀がその国債の買い入れを行います。これによって政府が巨額の有効需要を創出でき、不況の下支えをするのです。まさに大恐慌スタイルの経済政策です。

この政策のリスクは、インフレ率が高まることです。しかし、コロナ・ショックは基本的に需要蒸発した需要ショックなので、当面はインフレというよりデフレを心配すべきときです。こんなときに、「デフレがー金利がー」と叫ぶような人は、経済が、特に未曾有の経済危機に至ったときの、経済政策がどうあるべきか等を知らない人です。

現時点で、麻生氏以外が総理大臣になった場合、消費税増税や、かつての復興税のようなコロナ増税を、財務省手動のもとで推進しかねません。そうなれば、日本経済はリーマンショックのときにのように、一人負けになり、他国がコロナ禍から経済が回復した後も、しばらくデフレや、円高に悩まされかねません。それだけは、避けるべきです。

最後に百田尚樹氏のツイートを掲載します。



まさに、百田氏の言う通りだと思います。安倍総理のレガシーをまともに評価できない人は、他の評価も信憑性に欠けるとみるべきです。

そもそもも、安倍晋三首相の連続在職日数が8月24日に2799日となり、史上最長になりえたのは、多くの人の支えがあったからです。独裁国家ではそのようなことは簡単なのかもしれませんが、日本のような民主国家では、多くの人の支えや賛同がなければ不可能です。

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2020年7月6日月曜日

コロナ禍でも着実にアフリカを従属させていく中国―【私の論評】中国は目の前の、ザンビアの債務問題と、人種差別問題の両方で、厳しい舵取りを迫られている(゚д゚)!


岡崎研究所

 6月11日付の英フィナンシャル・タイムズ紙で、同紙のアフリカ担当編集委員のピリングが、米国がアフリカの実情を無視して、米中冷戦の観点からのみ対アフリカ政策を策定するのは誤りであると論じている。ピリングの論説の一部要旨を紹介する。


 武漢に始まる新型コロナウイルスの感染拡大が、アルジェリアからジンバブエに至るまでアフリカ経済を不況に陥らせ、結果、中国に対する巨大債務の問題が顕著になった。それは今やアフリカの債務全体の5分の1を占める。

 しかしながら、中国は、自国の評判を高めるためにパンデミックを利用してきた。欧米諸国が検査キットや防護具を買い占めたと非難された時期に、ジャック・マーはアフリカ54か国に莫大な寄贈を行った。米国がワクチンが開発された場合の知的所有権につきその立場をあいまいにしている間に、WHO総会で習近平は中国で開発されるワクチンは自動的にアフリカで利用可能となる旨述べた。米国は、ビル・ゲイツ財団などを通じ或いは政府間で、中国よりもはるかに多くの拠出をアフリカの保健分野に行い続けている。それでも、何故か、中国は中国の方がより多く貢献しているかのように見せている。

 中国がアフリカで地歩を固めつつあることの証拠はいくらでもある。中国の対アフリカ貿易は米国のそれの4倍以上に達し、アフリカ人留学生は米国よりも中国の方が多い。アフリカにおける通信分野においては、ファーウェイにまともな競争相手はいない。米国がアフリカで何をしようと十分とは言えない。

 上記のピリングの論説で挙げられているよりも以前から、実は、中国のアフリカにおけるプレゼンスは築かれてきた。古くは冷戦期から、AA(アジア、アフリカ)グループの一員として、また、1990年代以降からは、アフリカの資源開発等に中国は投資を始めた。今日では、巨大な市場をアフリカの一次産品に提供し、経済面での中国依存を深化させてきた。さらに、2001年の中国WTO(世界貿易機関)加入を契機に、消費財の輸入も中国に依存することになった。そして、習近平主席の登場による「一帯一路」構想によりインフラ整備の資金供給源としての中国の存在感はさらに高まった。

 そして、この新型コロナウィルス危機である。今後、感染拡大が予想され、医療体制が整わず医療機器も不足するアフリカ諸国にとっては中国の援助は有難いに違いない。債務問題についてもG20の債務モラトリアムの方針に中国も同調したと伝えられる。西側諸国は、今後必要になる債務削減に中国が参加するよう圧力をかけるべきであろう。

 アフリカ諸国にしてみれば、米中冷戦の観点からアフリカを巻き込まないでもらいたいということであり、少なくとも米国の対中国非難に同調することは期待できない。民主主義という点で米国に対する好感度もまだ残っている由であるので、米国はアフリカのニーズに直接に向き合い、アフリカの支援を考えるべきであろう。

 中国は、短期的には、新型コロナウイルス感染発生国としての責任回避や当初の隠蔽といった事実から目をそらさせるために、ことさら医療支援に力を入れている。長期的には、中国経済を支えるための国際的な経済流通圏を構成し、また、中国の意向に従わせることにより、台湾や尖閣諸島をめぐる有事の際の国際的な多数派工作の基盤を作ろうとしているのであろう。

 欧米メディアでは、中国批判を取り上げがちであるが、アフリカ等の現場では、トランプ大統領の「アメリカ・ファースト主義」により米国は孤立し、中国との国際的な宣伝戦においても劣勢のように見える。米国にとり外交政策立て直しは急務であり、アフリカ政策も例外ではない。

【私の論評】中国は目の前の、ザンビアの債務問題と、人種差別問題の両方で、厳しい舵取りを迫られている(゚д゚)!

21世紀の世界の牽引役として期待を集めているアフリカ、その中でも特に注目を浴びているのはナイジェリアです。

国土は日本のおよそ2.5倍、人口は1.9億人、GDPは世界31位となっています。国連の予測によると2020年以降人口増加率の上位10位はすべてアフリカ諸国で占められます。2050年にはナイジェリアの人口は世界第3位まで増加し、世界の黒人の7人にひとりはナイジェリア人となります。2030年の段階で世界の5人にひとりがアフリカ人となる計算です。


20世紀にはBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の成長が注目されましたが、今注目されているのはMINT(メキシコ、インドネシア、ナイジェリア、トルコ)です。

ナイジェリアに限らず、アフリカの多くの国は人口の増加と経済発展を続けており、そこには中国の資本とメディアが入り込んでいます。世界におけるアフリカの重要性は増しており、中国はそれを見越して着々と準備を進めてきました。一帯一路もそのひとつです。

中国がアフリカで行っているのは「欧米とは違う新しい選択肢を提示」ということです。これは一見よいことのように聞こえますが、民主主義的価値観に照らすとそうではありません。

ひらたく言えば、「独立を維持しつつ経済発展を促進する」ことなのですが、中国のいう独立とは既存の権威主義(独裁や全体主義など)の維持に他なりません。表向きは民主的プロセス(投票など)を経るものの、内容はそうではありません。

欧米の援助あるいは経済関係において、民主主義的価値の尊重は重要であり、人権侵害などがあれば経済制裁を加えられることもあります。これに対して中国は民主主義的価値の尊重には重きを置かないどころか、むしろ尊重していない方が望ましいのです。そのためアフリカ諸国の多くは現状の政治体制を維持しつつ、経済発展を遂げることができるかもしれないのです。

これには欧米の苦い失敗も影響しています。かつてアフリカにおいて民主主義は混沌と破壊をもたらす劇薬でした。急に民主主義的プロセスだけを導入してもうまくいかないということが図らずも実証されてしまったのです。

アフリカ諸国は、いずれ中国に飲み込まれる可能性が十分ありました。冒頭の記事も、その懸念を表明しました。しかし、この状況は、コロナ禍で随分変わってしまいました。

中国のマクドナルドの店舗
広東省広州のマクドナルドの店舗は4月14日、入り口に「アフリカ人入店お断り」の貼り紙を貼りだしたが、その写真がSNSなどで拡散した結果、謝罪に追い込まれました。

これは氷山の一角に過ぎません。中国政府が3月半ば、「コロナのピークを過ぎた」と宣言するのと同時に「外国からコロナが持ち込まれる懸念がある」と述べたこともあり、医療体制がとりわけ貧弱なアフリカの出身者が、あたかもコロナの原因であるかのように白い目で見られているのです。

その結果、Twitterには住んでいた部屋をいきなりオーナーに追い出されてホームレスになったり、警官にいきなり拘束されたりするアフリカ人たちの姿が溢れています。

英BBCの取材に応えたシエラレオネ出身の女性は、「ピーク越え」が宣言された後もアフリカ人にはPCR検査を義務づけられ、自分は検査結果が2回とも陰性だったにもかかわらず隔離されていると証言しています。

アフリカ進出を加速させる中国は、人の交流を増やしてきました。そのため、中国には8万人ともいわれる留学生をはじめアフリカ人が数多く滞在しています。

こうした人の交流は従来、中国とアフリカの関係の強さの象徴でした。しかし、それは今や外交的な地雷にもなっているのです。

中国と異なりアフリカのほとんどの国では、国の体制は独裁であつたにしても、たとえ手順に問題があっても選挙が行われ、ネット空間も中国よりは自由です。そのため、中国でのアフリカ人差別に激高する世論に政府も反応せざるを得ないのです。

実際、中国に滞在するアフリカ各国の大使は連名で中国政府に状況の改善を要求しており、アフリカの大国ナイジェリアの外務大臣は「差別は受け入れられない」と非難しています。

これに関して、中国政府は「人種差別はない」と強調しています。また、ジンバブエやアルジェリアなど、とりわけ中国との関係を重視する国も「一部の問題を大げさに言うべきではない」と擁護しています。

その一方で中国政府は、外交問題にまで発展しつつある人種問題を覆い隠すように、アフリカに医療支援を増やしています。

中国は自国の「ピーク越え」宣言と並行して海外に向けて医療支援を始め、その相手は3月末までに世界全体で約90カ国にのぼりました。この段階ですでにアフリカ29カ国に中国政府は支援していたのですが、これに加えて3月25日には中国のネット通販大手アリババがエチオピアを経由してアフリカ54カ国に500台の人工呼吸器などの空輸を開始しました。

なぜ中国から直接各国に運ばず、一旦エチオピアを経由するかといえば、他のアフリカ各国は中国との航空路線をキャンセルしているからです。そのエチオピアには4月18日、中国の医療チームが支援に入っていました。

先進国の場合、相手国との関係次第で援助を減らすことは珍しくないです。これに対して、アフリカの警戒と批判に直面する中国は支援を減らして恫喝するのではなく、官民を挙げて支援を増やすことで懐柔しようとしているといえます。

中国が少なくとも公式にはアフリカへの不快感を示さず、むしろ友好関係をことさら強調することは、医療支援を通じてポスト・コロナ時代の主導権を握ることを目指す中国にとってアフリカへの支援に死活的な意味があるからとみてよいです。

アフリカは医療体制が貧弱で、このままではコロナ感染者が半年以内に1000万人にまで増加するとも試算されている。先進国が自国のことで手一杯のなか、ここで「成果」を残すことは、コロナ後の世界で「大国としての責任を果たした」とアピールしやすくなる。

もともと中国にとってアフリカは、冷戦時代から国際的な足場であり続けてきました。

それまで中華民国(台湾)がもっていた「中国政府」としての国連代表権が1971年に中華人民共和国に移った一因には、国連の大半を占める途上国の支持があったのですが、なかでも国連加盟国の約4分の1を占めるアフリカの支持は大きな力になったといわれています。

つまり、「世界最大の途上国」を自認する中国にとって、数の多いアフリカとの良好な関係は国連(その一部にはWHOも含まれる)などでの発言力を保つうえで欠かせないのです。だからこそ、中国はアフリカの不満を力ずくで抑えるより、歓心を買うことに傾いているのです。

この状況のもと、米国政府が4月24日、ケニアや南アフリカに医療支援を約束したことは、アフリカを「こちら側に」引き戻すための一手といえます。とはいえ、先進国からの援助は決して多くないため、アフリカ各国の政府にとって中国と対決姿勢を保つことは難しいです。

ただし、医療外交をテコに勢力の拡大を目指す中国にとって、最大のウィークポイントは人種差別にあります。

アフリカでは一般的に、中国との取り引きに利益を見込めるエリート層ほど中国に好意的で、ブラック企業さながらの中国企業に雇用される労働者や、中国企業の進出で経営が苦しくなった小規模自営業者ほど中国に批判的です。

そのため、海外で中国人が巻き込まれた暴行などの事件の約60%はアフリカで発生するなど、コロナ蔓延の前からアフリカでは「中国嫌い」が広がっていたのですが、中国における人種差別でこれは加速しています。例えば、ナイジェリアの医師会は中国の医療チームの入国に反対しました。

国によって温度差はあるものの、「中国嫌い」が加速するなかで中国が援助を加速させれば、人々の反感は各国の政府にも向かいかねないです。それによって反中的な政府が誕生したりすれば、中国にとって逆効果になるため、支援をひたすら増やすことも難しいです。

こうしてみたとき、中国で広がる人種差別は、まわりまわって中国外交の足かせにもなっているといえるでしょう。

地図の赤い部分がザンビア
こうした最中、最近中国がザンビアの「債務のわな」に捕らわれています。ザンビアは、中国国営銀行のほか国際通貨危機金(IMF)などの国際機関や、国際的な民間債権者が絡む、複雑な外貨建て債務の再編を進めようとしています。交渉結果は他のアフリカ諸国にとって重要な前例になるとともに、アフリカ大陸における中国の立場を再定義する可能性があります。

ザンビアは主に4種類の債務を抱えています。ユーロボンドの発行残高が30億ドル、民間銀行による融資が約20億ドル、IMFや世界銀行など国際機関による融資が約20億ドル、そして中国輸出入銀行や中国発展銀行など、中国国営機関を通じた対中債務が約30億ドルです。

手数料500万ドルで債務再編アドバイザーを務めることになったラザードの(世界トップクラスのファイナンシャル・アドバイザリーファーム)にとって、これは平常時でさえ骨が折れる仕事でしょぅ。その上、米中間の緊張が苦労を倍増させます。トランプ米大統領は中国債権者の負担が軽くなるのを望まないからです。

既に50%余りもの債権棒引きが視野に入った民間債権者も、間違いなくトランプ氏の味方をするでしょぅ。中国がザンビアに債務免除の割合を増やせば増やすほど、自分たちが引き受けなければいけない債務免除の割合が少なくてすむからです。

この結果、習近平国家主席が派遣する交渉団は、窮地に立たされるでしょう。いつものように秘密裏に事を進めることは期待できそうもないだけに、なおさらです。

過度に重い条件を要求すれば、銅輸出しか当てのないザンビア経済がしっかりと立ち直れる可能性は低くなり、結果的に債権者の資金回収が脅かされることになります。先にも述べたように、4月に広東省広州市でアフリカ出身の居住者を人種差別する事件が相次いだことで、アフリカの長きにわたる友達という中国のイメージは傷ついており、印象悪化に追い打ちをかけることにもなるでしょう。

しかし、ザンビアに甘くし過ぎると、中国として最終的に経済的な打撃を被りかねないです。米ジョンズ・ホプキンス大の研究者らによると、中国は2000年から17年にかけて、アフリカ諸国に1460億ドルを融資しました。規模は定かでないですが、この大半が未返済だと考えられます。

18年にエチオピアに対して行ったように、中国による債務免除はこれまで、低金利で返済期限を繰り延べる形が主体でした。しかし、新型コロナウイルス感染の世界的大流行によってザンビアの経済的苦境は増幅されており、そうした中国のやり方では、しのげない状況に至っている可能性があります。

新型コロナ危機により、債務免除という寛容さを示すことの倫理的意義も高まった。中国がどの道を選ぶか、同国から融資を受けている他のアフリカ諸国は、固唾(かたず)飲んで見守っている。

このように、中国は目の前の、ザンビアの債務問題と、人種差別問題の両方で、厳しい舵取りを迫られています。どちらも対応を誤れば、中国の今までの努力が水の泡となります。しかも、これをコロナ禍と、米国との厳しい対立の最中に行わなければ、なりません。

米中の外交を比較すると、米国はインド・太平洋地域になるべく多くの勢力をつぎ込もうとしています。そうして、当面の敵は中国であり、中東諸国、北朝鮮やロシアなど、他国は中国と対峙する上での、制約要因に過ぎないとみなしているようです。非常にシンプルです。

中国対応に優先順位をはっきりつけて、中国と対峙し、中国関連の決着がつけば、次の優先順位に大部分の勢力を費やすのでしょう。

しかし、中国は違います。世界中の様々なところで、攻勢に出ています。どれか、最優先なのか、良くわかりません。

個人も、企業も、そうして国でさえ、その中でも米国のような豊な国であってさえ、使える資源には限りがあります。

優先順位の分析については多くのことがいえます。しかしドラッカーは、優先順位と劣後順位に関して重要なことは、分析ではなく勇気だといいます。彼は優先順位の決定についていくつかの原則を挙げています。そしてそのいずれもが、分析ではなく勇気にかかわる原則です。

 第一が、「過去ではなく未来を選ぶこと」である。 

 第二が、「問題ではなく機会に焦点を合わせること」である。

 第三が、「横並びでなく独自性を持つこと」である。

 第四が、「無難なものではなく変革をもたらすものに照準を当てること」である。
容易に成功しそうなものを選ぶようでは大きな成果はあげられない。膨大な注釈の集まりは生み出せるだろうが、自らの名を冠した法則や思想を生み出すことはできない。大きな業績をあげる者は、機会を中心に優先順位を決め、他の要素は決定要因ではなく制約要因にすぎないと見る(『経営者の条件』)
優先順位をしっかりつけて、優先すべきものを10個くらいに絞って仕事をしたことのある人ならわかると思います。

最優先事項を解決すると、不思議と二番目から、場合によっては4番目くらいまで、ほど自動的に解決してしまうことがほとんどです。

優先順位をつけず、いくつもの課題を同時に実行すると、時間や手間はかなりかかるものの、いつまでたっても何も成就しないことがほとんどです。

米国と中国を比較すると、明らかに米国は、優先順位をはっきりした、外交を展開しています。米中対決、この点からしても、米国にかなり有利です。

中国のアフリカ展開について、まだ新たなことが生じた場合、このブログでリポートしようと思います。

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2020年7月5日日曜日

迫る濁流、必死の避難 川には巨大石「ただごとではない」―【私の論評】コロナ禍の他、自然災害対策でも、財務省抜きの政府日銀連合軍で様々な対策を実行せよ(゚д゚)!

迫る濁流、必死の避難 川には巨大石「ただごとではない」



    闇の中、荒れ狂う川からあふれ出した濁流が静かな日常をのみ込んだ。3日から4日にかけて、熊本県南部で大きな被害をもたらした豪雨。住宅街には泥水や土砂が流れ込み、電気などのライフラインも一部断たれた。住民らは恐怖や不安に押しつぶされそうになりながら、力を合わせて懸命に避難した。

    球磨川の雨量は、3日深夜から4日未明にかけて急増。県内の広範囲で氾濫した。

    川沿いにある球磨村の集落は、波立つ濁流にのみ込まれた。14人が心肺停止で見つかった特別養護老人ホーム「千寿園(せんじゅえん)」では、ヘリコプターを使って救助活動が行われた。

    隣接する八代(やつしろ)市では、坂本町で複数の住民が孤立。祖父母らと4人で暮らす専門学校生、松村拓海さん(20)は4日早朝、家族全員で自宅2階に「垂直避難」し、難を逃れたが、濁流は階段の途中にまで迫ってきたといい、「死ぬかと思った」と振り返った。

    近くの橋が流された商店店主の男性(83)は「夜中に停電し、妻と自宅2階に逃げた。朝になると(1階の)商品は泥まみれで水浸しだった」という。「何もかも泥だらけ。何から手をつけたらいいのか」と言葉を失った。

    同市海士江(あまがえ)町の自営業男性(50)は高齢の両親と妹とともに車に乗り、近くの商業施設の立体駐車場に逃げた。「父親は介護が必要で体も弱く、新型コロナウイルスも怖いので避難所には行けなかった」と声を震わせた。

    球磨川でのラフティングツアーを開催するラフティングストーンズ(人吉市)の大石権太郎代表(50)は市の要請で、浸水した市街地にボートを出した。屋根に取り残された被災者らを救出。「こんな時だからこそ協力しようと思った。ほかのラフティング会社の多くはボートが流されたようだ」と話した。

     芦北(あしきた)町では、旅行業を営む佐藤圭吾さん(62)の自宅兼事務所の1階部分が水浸しになった。

    「午前3時ごろに(大雨の)緊急メールを受けたときは、まだ大丈夫だろうと思っていた」というが、4日明け方には周辺は冠水。近くの知り合いと同じボートに乗り、1人暮らしのお年寄りらの救出に向かった。

    「雨が上がって周辺の水は引いたが、電気や水道は使えず通信障害も起きている」と佐藤さん。「自宅の片づけもしないといけない」とこぼした。

     同町田川地区では大規模な土砂崩れが発生。民家が流失し、複数人と連絡が取れていない。現場では地域住民らが、不安そうな様子で捜索を見守った。

     土砂崩れで心肺停止状態の住民が見つかった津奈木(つなぎ)町では、自営業女性(60)が4日未明、自宅に隣接する川で巨大な岩が流されるのを目撃。「ただごとではない」と直感した。

    自宅は周囲より少し高い場所にあるため、被災は免れた。女性は「避難所に向かう高齢者が『新型コロナが怖い』と話していた。雨は上がったが気は抜けない」と語った。

【私の論評】コロナ禍の他、自然災害対策でも、財務省抜きの政府日銀連合軍で様々な対策を実行せよ(゚д゚)!

下の写真は、球磨川上流の支流・川辺川の、ダムで水没する予定だった地域です。ダム建設は反対運動で中止されました。これが水の中に埋もれるのはとても惜しいです。しかし、今日のような洪水の被害は本当に恐ろしいです。美しい景観を守るためなら、洪水の犠牲はやむを得ないのでしょうか。皆さんは、どう思われますか。


民主党政権は八ッ場ダムと川辺川ダムの建設中止を掲げ、思考停止したマスメディアはこれに一斉に同調し、両ダムの建設を悪魔化しました。八ッ場ダムは何とか建設されて昨年の豪雨で機能しましたが、球磨川上流の川辺川ダムは中止のまま。セキュリティホールが突かれた形になりました。

降水量の空間分布を見ると川辺川ダムの集水域に豪雨が集中しています。「コンクリートより人」の美辞麗句は災害のリスク対応には無力です。また、素人が声高に叫ぶ「森林の保水力」も豪雨の前には無力であることが、当該地域で実施された国交省の調査によって立証されています。



これについては、さらに詳しく分析している方がいらっしゃいました。その方のブログの記事のリンクを以下に掲載します。
川辺ダムがあったら球磨川は氾濫しなかったか?
事前に貯水率3割程度に減らしておけば、人吉市内※7/5コメント追記の球磨川の防げるだろう。 
去年の台風19号の時に「台風19号で八ッ場ダムが普通に稼働していたとして役に立ったか?」で計算してみたが、この時は理論上は役に立つという結果だったが、今回は実用でも役に立つだろう結果だった。 
今回の被害額は知りませんが、費用対効果もダムを作る時の判断に加えるべきことを最後に書いておきます。 
※2020/7/5追記 人吉水位観測所での氾濫が抑えられることが想定されるのであって、それより下流や上流で堤防が低い箇所では発生した可能性あり。
この分析、私は大学生のときに、あるシンクタンクで、都市計画の積算業務のアルバイトをした経験があるので、その内容は理解できました。
2008年12月20日 朝日新聞夕刊より転載
「川辺川・大戸川ダム事業休止 財務省原案で事業費カット」(朝日新聞) 
 20日に各省庁に内示された09年度政府予算の財務省原案で、流域の知事らが反対を表明している国土交通省の大戸川(だいどがわ)ダム(滋賀県)、川辺川(かわべがわ)ダム(熊本県)両計画はいずれもダム本体の建設を前提とした事業費が一切盛り込まれず、同年度の事業は休止することになった。今後、知事らの反対姿勢が覆らない限り予算措置されない見込みで、両計画は中止となる公算が大きくなった。
 
 国土交通省は大戸川ダムで10億円、川辺川ダムで34億円を概算要求していた。財務省原案では、水没予定地の住民に対する生活再建費や現地の工事事務所の維持費、継続的なデータ収集が必要な水位・流量観測費、道路の保全費のみ認められた。 
 大戸川は5億円で主に工事事務所の維持・管理費。川辺川は21億円で、事務所費のほか、水没予定地住民の移転先などへの付け替え道路の整備費などの生活再建費となっている。国交省と地元の協議が整えば執行に移る。ダム湖予定地を挟んで分かれた移転先を結ぶ付け替え道路などに関する費用は、事業の中止が正式に決まればダム予算そのものがなくなるため、別途、補助事業とするなどの手当てが必要になる。
 
 両計画とも、概算要求にはダム建設を前提に環境調査費や地質調査費などが盛り込まれていた。しかし、「知事らが明確に反対を表明している中、事業を強行できないのは明らかで、着工を前提とした予算は認められない」(財務省)と判断され、建設につながる部分はすべて削られた。 
 国交省の担当幹部は「現時点で先がどうなるかわからないダム本体の建設にかかわる部分は、認められなくても仕方がない。この先の県側との協議の行方や知事意見の正式表明の中身次第で今後の着工の是非を判断することになる」としている。 
 大戸川ダム建設は11月に大阪、京都、滋賀、三重の4府県知事が共同意見として反対を表明した。年内にも正式な知事意見が出される見込み。
 
 川辺川ダムは熊本県の球磨川水系に計画。前知事の任期満了に伴う3月の知事選で「是非を半年で判断する」と公約した蒲島郁夫知事が9月に反対を表明していた。 
 知事らの反対は環境への負荷や財政負担の大きさなどを理由とするもので、地元知事の反対表明をきっかけに、ダム計画が大詰めを迎えた段階で事業が休止となるのは初めて。国交省は今後、どの段階で正式に中止とするのか判断を迫られる。その場合、ダムなしでの新たな治水対策という課題も浮上する。(松川敦志)
当時は、民主党政権でしたが、民主党はいわゆる政権交代選挙の時に、「コンクリートから人へ」などを標語としたいくつかの公約を掲げ、選挙に大勝して政権与党となりました。

元々緊縮財政大好きな、財務省はこの標語通り、喜び勇んで緊縮財政路線を実行しました。民主党と当時の野党谷垣総裁率いる自民党の協力の下で、消費減税増税に道筋をつけました。自民党巨大なダムや堤防のプロジェクトは、予算をつけずに、廃止に追い込みました。その他の公共工事も、予算を削減したので、多くの施設が放置されることになりました。さらに、防衛費も教育費も削減しました。

そのため、今日あらゆる施設が老朽化しています。格好の事例は、首都高です。首都高は前回の東京オリンピックを目指して設置されましたが、その後目だった改修もされずに、老朽化しています。

当時は、民主党が政権与党でしたが、その当時の野党も似たり寄ったりでした。今日その痕跡をサイトの記事で見ることができます。その記事のリンクを以下に掲載します。
【02.12.11】川辺川ダムに予算をつけるな、計画を中止せよ!
今日、日本国中で洪水などの自然災害の被害が起こっていますが、私は、この原因は温暖化や、気象変動だけが原因ではなく、財務省の緊縮にも原因があると思います。

昨年千葉で災害の後で、かなり間停電が続いたのは、結局のところ緊縮財政も大きな原因の一つだけだとされています。長い間電柱が放置されていたため、老朽化して、強風で多くの電柱がなぎ倒されたというのです。

痛ましい犠牲の球磨川大洪水とは、対照的に昨年の関東大水害で八ツ場ダムが下流域を守るため威力を発揮しました。感情論でなく本当に建設中止が原因だったのか徹底検証すべきです。スーパーコンピューター富岳を用いて、今回の線条降水帯の雨量等全てのデータを解析して、ダムが建設されていた場合と現状の比較計算すべきです。未来の世代の為に是非実施していただきたいと思います。

ただし、いくらスーパーコンピュータを用いて、解析をしたとしても、財務省が緊縮をしていては、どうしようもありません。

日本緊縮教団教祖? 岡本氏

コロナ禍と、昨年の消費税増税で景気はかなり落ち込んでいます。このような時には、積極財政をすべきなのです。

財源は国債を刷れば良いのです。そうして、日銀が国債を買い取れば良いです。現在デフレ気味なのですから、なおさらこれを実行すべきなのです。これを将来世代に負担になるという意見の人が、ジャーナリストや、いわゆる識者と言われる人々も中にもいますが、これは全くの出鱈目です。日銀買取国債について利払費は納付金で政府に戻り、元金も日銀引受できるので元利償還負担などありません。

この制度を知らないまま発言すると恥かくだけです。ただ、財務省も多くの政治家もそうなのですが、恥をかいているという認識も無いようなので、本当に困ってしまいます。こういう嘘がまことしやかに出てきて、コロナ禍対策が難航するのを見越して政府と日銀は財務省を外して連合軍を作ったことは以前のこのブログでも述べました。

コロナ禍の他、自然災害対策も、財務省を加えず、政府日銀連合軍で、様々な対策を実施していただきたいです。そうして、これによって、日本でもまともな財政政策ができるように道ずけをしていただきたいものです。

【私の論評】

自然災害大国ニッポン、災害で壊れたインフラ「そのまま放置」のワケ―【私の論評】令和年間は緊縮財政を捨て、公共投資に力を入れよ、現状ではそれが国富を高めることになる(゚д゚)!

麻生氏の「豹変」が象徴する政府と日銀の“対コロナ連合軍” 相変わらずのマスコミ報道には笑ってしまう ―【私の論評】ピント外れのマスコミには理解できない日本国債の真実(゚д゚)!


2020年6月6日土曜日

香港デモ同様の手口か。全米に広がる暴動の裏に中国「関与」の噂―【私の論評】米国人の中共に対する憤りは、コロナ禍も相まってますます激烈になる(゚д゚)!

香港デモ同様の手口か。全米に広がる暴動の裏に中国「関与」の噂

米国の暴動

燎原の火のごとく全米中に広がり、収集がつかない状況となっている大規模な暴動。各地で放火や略奪が多発していますが、その裏に「あの国」の関与が囁かれ始めているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、「デモ隊のなかに中国からの指示を受けた工作員が紛れ込んでいてもなんら不思議ではない」としてそう判断する理由を記すとともに、日本に対しても尖閣海域でも不穏な動きを見せる中国への警戒を呼びかけています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年6月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】中国のアメリカ暴動への関与疑惑が出はじめた

トランプ大統領SNS投稿 暴動起こしている人たち「急進左派」

ミネソタ州ミネアポリスで白人警官が偽札使用の容疑で拘束した男性の首を圧迫し死亡させた事件をきっかけに、全米で大きな暴動が発生しています。抗議デモに便乗して店を襲撃、略奪を行う輩や破壊活動を行うアナーキストなども入り混じって、アメリカは大変な混乱状態にあります。

これほどまでに騒動が大きくなった一因には、新型コロナウイルスによる失業拡大で、貧困層のフラストレーションがたまり、人種差別による事件をきっかけにそれが一気に爆発したと言われています。

発展途上国など、コロナ災禍により多くの被害が生じた地域や国では、これから経済的なダメージが本格化すると見られており、このアメリカの混乱が他国へと広がれば、感染と同じくらい、あるいはそれ以上に世界情勢は大きなショック状態に陥ることが懸念されます。中国発の新型コロナの怖さは、負の連鎖がどこまでも続くことです。

この状況に、トランプ大統領はツイッターで、暴動を起こしている者を「アナーキスト」として、「野党・民主党が主導する都市や州は、ミネアポリスの州兵の鎮圧を参考にすべきだ」と述べました。

このようなアメリカの状況について、中国は積極的に国内で報道しています。香港での人権弾圧をアメリカから批判されているだけに、「アメリカも人のことをいえるのか」ということを、国内にアピールする狙いがあるのでしょう。

以前、アメリカがウイグルでの人権弾圧を批判し、人権侵害に関わった当局者に制裁発動をするための「ウイグル人権法案」を可決した際には、中国政府は「アメリカは先住民を虐殺したではないか、こんな法案をつくる資格があるのか」と反発しました。

ウイグル人権法案可決に激怒、「アメリカも先住民を虐殺した」と言い始めた中国

とはいえ、150~400年前の先住民弾圧と、現在の少数民族弾圧を同一に語るのは、明らかに欺瞞です。それならば清末のイスラム教大虐殺の洗回を中国はどのように考えているのか。そもそも中華歴代王朝は周辺民族をすべて野蛮な夷狄として扱ってきました。夷狄とは、その文字を見てもわかるように、禽獣のことです。

米中の民族問題は、それぞれまったく異なるものです。中国のほうは非漢族の言語を潰して漢化させる同化主義であり、民族浄化でもあります。

それはともかく、中国は自らの正当性を主張するために、とにかく屁理屈をこねて、相手の不当性を訴えます。

中国南部広東省の省都広州にある「リトルアフリカ」の路上に集まる人々(2018年3月2日)

以前のメルマガで、中国ではアフリカ系の黒人が新型コロナ感染の第2波の元凶であるかのように目され、入店拒否や住居からの退避、さらには集団隔離が行われているということをお伝えしました。こうした黒人差別によって、中国はアフリカ諸国から抗議を受けています。

「銃殺してしまえ」…コロナ禍の中国で深刻な黒人差別が始まった

そうした批判を交わすため、さかんにアメリカでの黒人差別の様子や、それによって大きな暴動が起こっていることを報じているわけです。

こうしたやり方は、中国の「三戦」という戦術に基づいたものです。これは、2003年に修正された「中国人民解放軍政治工作条例」のなかに盛り込まれた、人民解放軍の戦術です。

この三戦とは、世論戦、心理戦、法律戦の3つのことです。世論線とは国内および国際世論に影響を及ぼし、自分たちへの支持を築くこと、心理戦は威嚇や脅迫、恫喝などによって相手の士気を低下させること、そして法律戦は国際法や国内法を利用して、相手の不当性に非を鳴らすとともに、自らの絶対的な正当性を主張することです。そのためにはどんな屁理屈も厭わない。

たとえば、南シナ海の領有権については、「古文書に書いてある」などという不確かな情報を根拠に、とにかく「漢の時代から管理していた」などと主張し、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所から「中国の主張に根拠なし」という判決が下されれば、西側諸国が勝手に決めた国際法に従う必要はないとし、「そんな判決は紙くずだ」と吐き捨て、まったく判決を守ろうとしません。

言い換えれば、あくまで自己中心的で、自分の都合いいように何でも解釈するということです。

今回のアメリカでの暴動についても、中国はアメリカの黒人差別を人権問題だとして、ウイグルや香港問題に口を挟むなと牽制するつもりなのでしょう。

ところで、この全米での暴動について、中国が裏で関与しているのではないか、という噂があちらこちらから出てきています。

私もよく知る元中国人の石平氏は自身のツイートで「アメリカの『抗議者』、どういうわけか中国共産党党旗、中国の国旗を掲げている。暴動の背後に中共の暗影があるのではないかとの疑惑が深まっている」と述べ、ジャーナリストの門田隆将氏もこの投稿をリツイートしながら、「やはりというべきか“中国の関与”が取沙汰されてきた。SNS上の映像では中国語が飛び交い、抗議者の掲げる旗に中国国旗も」と指摘しています。

ジャーナリスト・門田隆将氏 米国全土の暴動で「“中国の関与”が取沙汰されてきた」

以前、香港デモでは変装した香港警察や中国軍がデモ隊に潜り込ませ、過激な暴動を演出したことがありました。香港人は英語が話せるのに、彼らはまったく英語を話せなかったことから、大陸の中国人だということがバレたことがありました。

こうしたことも、世論戦の一環なのです。そのため、アメリカでのデモ隊のなかに中国からの指示を受けた工作員が紛れ込んでいても、なんら不思議ではありません。

台湾も、中国から多くのフェイクニュースを流されており、蔡英文政権も中国発のフェイクニュースによって扇動されないよう注意を呼びかけています。

武漢発のパンデミックを利用して、中国は南シナ海だけでなく、尖閣海域にも手を伸ばしているという、不穏な動きがあります。日本は中国の火事場泥棒への警戒を緩めてはいけません。

【私の論評】米国人の中共に対する憤りは、コロナ禍も相まってますます激烈になる(゚д゚)!

上の黄文雄氏の記事では、香港デモでは変装した香港警察や中国軍がデモ隊に潜り込ませ、過激な暴動を演出したことがあったとしています。これは、いかにもありそうな話で、中国が、そのようなことをしていたとしても驚くには、値しません。

しかし、現実の中国はそれ以上のことをしていました。デモが10週目に入ろうとしていた、昨年の8月10日に、中国政府は米国が香港の抗議デモを扇動しているとして非難を強めました。

同9日には全身黒ずくめの数百人の参加者が市内の国際空港に集まり、3日間の座り込みを始めました。週末に予定されていたいくつかのデモが地元警察によって禁止されたことで、さらなる衝突につながる可能性がありました。中国政府は数日前、香港警察が騒動を沈静化できなければ直接介入に踏み切る用意があると警告しました。

中国本土と香港の中国政府系メディアは同8日と9日、香港の米総領事館員ジュリー・イーデー氏がホテルのロビーで反対派の主要人物らと面会した写真を公開しました。5年前に香港を揺るがした抗議デモの主導者、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏(22)の姿もありました。

中国の国営英字紙チャイナデイリーなど本土のメディアはこの面会を、米国の「黒い手」が抗議活動の背後にある証拠だと論じました。一部のメディアはイーデー氏の経歴や子供の名前も公表しました。

国営の中国中央テレビ(CCTV)は同9日、米中央情報局(CIA)は2000年代に旧ソ連諸国で起きた抗議活動「カラー革命」を扇動したことで知られると伝えました。中国政府は今週、香港の騒乱はカラー革命の様相を呈しているとの見方を示しました。

香港の米総領事館員の報道官は、イーデー氏はコメント要請に応じられないと述べました。

黄氏は9日、自身も自身の団体も全米民主主義基金や米政府から資金を受け取っておらず、また米総領事館からも物資や助言を受けていないと述べました。

昨年の香港デモで星条旗を掲げる参加者達

確に香港のデモでは、デモ隊の中には米国の星条旗を掲げる人たちもいましたが、それは米国に煽られたということではなく、米国の支援も期待していることを表明したものであると思われます。実際その後米国では11月に香港人権・民主主義法が成立しました。

この法律に対しても、中国は「内政干渉」だと強く抗議をしました。しかし、国際法においては、人権に関わるものに関して、内政干渉には当たらないとされています。

ここで、国際法の適用などの可否などの判断はしませんが、それにしても確かなことがあります。中国が米国が香港のデモを煽ったとか、内政干渉であると主張するなら、国際司法裁判所などに提訴すれば良いと思うのですが、なぜかそのようなことはしないですし、国際法という言葉も用いることはありません。

そもそも、中国は南シナ海の領有に関して、上の記事にもあるように国際司法裁判所に提訴され、「中国の南シナ海領有に関しては、全く根拠がない」との裁定を下されています。にも関わらず、中国はその裁定を守るどころか、最近でも南シナ海の実効支配地域の軍事化を強化している有様です。

それに、中国は未だに、米国が香港デモを煽ったと言う証拠をあげていません。もしあげていたとすれば、これをもとに、米国を徹底的に叩いていたでしょう。


中国が米国の暴動を裏で煽っているとすれば、その理由は明らかです。上で、黄文雄氏が述べている理由もありますが、そのほかにもトランプ大統領の再選阻止という目的もあるでしょう。

ただし、次の大統領が仮にトランプ氏以外の、バイデン氏やその他の人になったとしても、今後の米国の対中国政策はあまり変わらず、中国に対して厳しいものになるでしょう。なぜなら、米国では既に議会が上下院ともに、中国に対して厳しい見方をしているからです。

それよりも何よりも、米国人の多くが、今や中国に対して、厳しい見方をしているからです。今回の米国内の暴動が、中共によって煽られたことが、今後の調査などで明らかになれば、米国人の中国に対する憤りは、中共がもたらしたコロナ禍も相まってますます激烈になるでしょう。

さて、最後に新唐人テレビの動画を掲載します。


この動画では、ホワイトハウス付近の放火現場で飛び交う中国語をはじめ、 暴動の背後に中共の鬼影があることが示されています。

【関連記事】

2020年5月23日土曜日

米、中国に激怒!コロナ禍に香港で“火事場泥棒” 国防予算も異常な高水準で軍事大国へ突き進み ―【私の論評】実績をつけたい習近平は、これからも火事場泥棒的なことも平気で繰り返す(゚д゚)!

米、中国に激怒!コロナ禍に香港で“火事場泥棒” 国防予算も異常な高水準で軍事大国へ突き進み 
第2の天安門に!?香港デモ

開幕した中国の全人代で、習国家主席は拍手で迎えられた

 中国の習近平政権が、「火事場泥棒」的体質をあらわにした。新型コロナウイルスの感染拡大で世界各国が混乱するなか、22日に北京で開幕した全国人民代表大会(全人代=国会)で、香港に直接「国家安全法」を導入する方針を示したのだ。香港立法会(議会)を無視した暴挙であり、「一国二制度」を事実上終了させる。香港市民だけでなく、ドナルド・トランプ米政権も激怒している。さらに、覇権拡大のため、国防予算も異常な高水準を維持した。

 「(中国の今後の出方次第で)強く問題視するだろう」

 トランプ大統領は21日、ホワイトハウスで記者団に、こう語った。マイク・ポンペオ国務長官も22日の声明で「(国家安全法の香港導入は)破滅的な提案」と非難し、中国に再考を求めた。英国とオーストラリア、カナダの外相も同日、共同声明を発表し「深い懸念」を表明した。

 中国が香港に導入するという「国家安全法」では、国家分裂や政権転覆行為、組織的なテロ活動、外国勢力による介入が禁止される見通しだ。制定されれば、1989年の天安門事件の犠牲者を追悼する集会なども恒久的に禁止される可能性がある。王晨副委員長が22日の全人代で提案。最終日(28日)に採決される見通しという。

 香港の民主派は「(言論や集会の自由が認められた)『一国二制度』は、正式に『一国一制度』になってしまう」と激しく反発し、インターネット上でも抗議デモが呼びかけられている。22日の香港株式市場は混乱の拡大を懸念し、前日終値比で大幅下落した。

 自国で発生した新型コロナウイルスの影響で、2カ月半延期されていた全人代。「2020年の国内総生産(GDP)の成長率目標」や「台湾問題」「感染第2波」などが注目されていたが、習政権は「香港問題」で強権を発動してきた。

 さらに、習政権は「軍事大国」に突き進んでいる。

 中国の2020年国防予算は1兆2680億500万元(約19兆1000億円)で、前年実績比6・6%増と高水準を維持した。日本の20年度当初予算の防衛費5兆3133億円の約3・6倍にあたる。中国の国防予算の実態は、公表額の2倍以上との見方もある。

 習政権は、南シナ海や台湾問題をめぐって、世界最強の米軍との対立が今後激化するとみている。民主主義国家が、新型コロナ禍で軍事・防衛費が抑制される流れになるなか、共産党独裁国家は異様な軍備増強路線を止める気はなさそうだ。

【私の論評】実績をつけたい習近平は、これからも火事場泥棒的なことも平気で繰り返す(゚д゚)!

習近平は、今回に限らず、米国等を苛立たせる火事場泥棒的な行動を何度もくりかえしてきました。そうして、特に最近そが目立つようになってきました。それはなぜなのでしょうか。中国は元々、対外関係などよりも、自国の都合で動く国であり、最近の一連の火事場泥棒的な行動も、そのほとんどが中国国内の都合によるものです。

コロナ禍で忘れ去られた感がありますが、本年2020年は、中国の二つの100年計画の一つ「小康社会の全面的実現」目標の期限である建党100周年の2021年より一年前であり、もし、習近平が、過去の主席らに匹敵するような、大きなことをやってのければ、習近平政権にとっては長期独裁を全党および人民に納得させるだけの効果を持つ歴史的偉業となるからです。

      2000年台「全面的な小康社会の実現」に向けて、実現程度は年々スピードアップ
      していると言われた。写真は2007年、将校社会のポスターの前を歩く女性

コロナ禍に関しては、これはマイナスになると考えるのが普通ですが、習近平はこれを無理やりに終息させ、それも他国に先駆けて終息させ、巧みに自分の手柄としました。しかし、これだけでは、全党や人民に納得させるだけの歴史的偉業とはなりません。

習近平としては、コロナ終息に加えて、何か一つでも良いので、両方で歴史的偉業になる、何かを付け加えたいのです。それが、台湾統一や、香港問題の解消なのかもしれません。とにかく、時宜を得た歴史的偉業を達成するための何かを追い求めるあまり、米国などからすれは、火事場泥棒のようなことを平気でやってしまうようです。

実際のところ、習近平は過去の主席と比較すれば、何も実績があったとはいえません。特に、権力闘争の相手方にみせつけられるようなものはありません。

習近平の唯一ともいえる有利な点は、中国の政治において最も重要なファクターは「客家人ネットワーク」だと言わており、習一族もこの客家に属しているということです。「アジアのユダヤ人」とも言われる彼等は、中国、シンガポール、台湾、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、米国などの中枢に強固な繋がりを持つ華僑ネットワークを形成しています。

客家は、孫文、鄧小平、宋美齢、江沢民、習近平、李登輝、蔡英文、李光耀など、アジアを中心として多くのキーパーソンを排出しています。

ところが、習近平は、2018年3月11日、全国人民代表大会において中国憲法の改正案が採択された結果、国家主席や副主席の任期が連続して2期を超えてはならないとしてきた従来の規定が削除され、終身主席の道を拓きました。

習近平が2012年11月15日に党総書記に就任(翌年3月14日に第7代国家主席に就任)した時点で、現在の空前の権力集中を予測した者はほとんどいませんでした。

習近平政権を特徴づけるのが、党幹部に対する強烈な反腐敗運動です。政権第1期の5年間で200万人以上の党幹部がなんらかの処分を受け、なかには前政権での政法部門のトップだった周永康、軍制服組のトップだった郭伯雄や徐才厚、次世代の総理候補と目されていた孫政才など、高官までもが失脚の憂き目に遭いました。

周永康のような党常務委員経験者については、従来は党内規律違反による摘発や刑事訴追がおこなわれない不文律が存在していたとされますが、そのタブーをあえて踏み越えた習近平政権の特殊性は際立ちます。

法定に姿を見せた周永康氏、わずかの期間で白髪頭となり、中国内で話題となった

中国では江沢民・胡錦濤時代に腐敗が進行し、庶民の怨嗟の的となっていました。反腐敗運動は国民的な支持を得やすい政策なので、党内の引き締めという意味の他に、一種のポピュリズムの側面も持つと見られます。

腐敗幹部たちが地位を失った後、習近平派の幹部がそのポストを襲う形で出世する例も多く、反腐敗運動は習近平による自派の官僚団へのポストのばら撒き政策としての側面もあります。

なお、習近平派の官僚たちの多くは習近平の過去の地方勤務時代の部下や、習近平及び父の習仲勲と過去に縁があった人物で占められています。こうした官僚は、習近平がかつて浙江省の書記を務めていた時代に地元紙に連載していたコラム「之江新語」から名前を取って「之江新軍(しこうしんぐん)」と呼ばれています。

他に個人崇拝の復活も特徴的です。中国では文化大革命時代の極端な毛沢東崇拝への反省から、1970年代末からは鄧小平のもとで個人崇拝の忌避や集団指導体制が打ち出されてきたのですが、習近平はそのタブーを破った形となっています。

プロパガンダポスターなどに、習近平(および妻の彭麗媛)の肖像や名前がしばしば大きく取り上げられ、また習近平個人を礼賛する楽曲も登場しています。はなはだしくは、習近平の顔が大きくプリントされた置物用の景徳鎮の皿なども、党員の研修先に指定されやすい革命聖地の売店などではよく売られています。

  前任者の江沢民・胡錦濤時代はあまり見られなかった、習近平個人を前面に出した
  プロパガンダが目立つようになった。地方都市や、一部の革命聖地では、しばしば
  「習近平グッズ」が売られるようになってもいる。

こうした現象は前任の胡錦濤時代まではほぼ見られなかったものです。習近平の書籍や語録が大量に出版されていることも興味深いです。

2018年の改憲では、ついに憲法の中に「習近平新時代中国特色社会主義思想」なる、習近平個人の名前を冠したイデオロギーが国家の指導思想として明記されるに至りました。

中国の憲法のなかで、過去に個人名を冠したイデオロギーが含められた例は毛沢東(毛沢東思想)と鄧小平(鄧小平理論)だけであり、習近平はこうした過去のストロングマンに並ぶ場所に押し上げられた形となりました。

しかし、習近平には毛沢東は建国の父として、鄧小平は改革・開放で経済を伸ばしたという実績がありますが、習近平にはそのような実績はありません。

その実績のない習近平が、コロナ禍に関しては、無理やり終息させたため、人民には根強い不信感が残っています。共産党内部でも、実績のない習近平は当然権力闘争の相手方からは、不興を買っています。

だからこそ、香港で弱みを見せられない習近平は、米国などから火事場泥棒のようにみられることを承知でも、香港に直接「国家安全法」を導入する方針を示したのです。

実績をつけたい習近平は、これからも、国外からみれば火事場泥棒的なことも平気で繰り返すことになるとみられます。

台湾や、日本の尖閣諸島などは、格好の標的です。日台はもとより、米国などもこのことをわきまえ、中国の今後の動きに対応していくべきです。まずは、習近平を失脚するようにもっていくべきです。

そのようのなか、習近平の国賓待遇での訪日など、あり得ないことです。習近平としては、日本の天皇謁見を自らの権威付けとして期待しているだけのことです。日本は、絶対にそのようなことをさせるべきではありません。

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2020年5月13日水曜日

「昭和恐慌」に学ぶコロナ対策 金融緩和と積極財政が有効、リーマンの失敗繰り返すな! ―【私の論評】コロナ禍を奇貨として、日本は「シバキ倒し」社会から「まともな社会」に移行すべき(゚д゚)!

スペイン風蔓延時にマスクをする当時の女子学生たち

 いまから約100年前、スペイン風邪や関東大震災、昭和恐慌に見舞われた日本はどのように抜け出したのか。今回のコロナ・ショックからの脱出を目指すうえでどのような点を参考にすべきだろうのか。

 昭和恐慌は、1930年から31年にかけて起こった戦前日本の最も深刻な恐慌で、第一次世界大戦による戦時バブルの崩壊を契機としている。20年代、世界の主要国は金本位制へ復帰していたが、今ではその結果として20年代末期から世界大恐慌が起こったと分析されている。

 このような状況下、29年7月に成立した立憲民政党の濱口雄幸内閣は、金解禁・緊縮財政と軍縮促進を掲げた。このマクロ経済政策を今の言葉で言えば、金融引き締め政策と緊縮財政政策だ。濱口雄幸内閣の事情は、城山三郎著『男子の本懐』に書かれているので、ご存じの方も多いだろう。

 この本では、濱口首相は東京駅で銃撃され、非業の死を遂げた英雄として描かれている。その大前提として、立派な経済政策を遂行したとの評価があり、その信念を男の美学として「男子の本懐」としている。

 筆者は40年前、当時の大蔵省に入省したが、新人研修でこの本の感想文を書かされた。筆者以外の同僚は、信念に基づき命をかけてまで打ち込むことは素晴らしいというものだった。

 しかし筆者は、金解禁つまり金本位制への復帰をなぜ行ったのかが理解できなかった。そのため、正しいかどうかわからない政策に命をかけるのはいかがなものかという感想文を書いた。当時、金本位制に復帰することは金融引き締めであり、緊縮財政とセットで国民を「シバキ上げ」る政策は、失業を増加させマクロ経済運営で問題だったはずだからだ。

 これがユニークな感想だったため、筆者は同僚の前で大蔵省の先輩教官に面罵された。この教官はその後、事務次官になった。さすが緊縮策の権化の財務省ならでの人事だ。

 史実としては、この金融引き締めと緊縮財政政策は政変によって終わった。31年12月、立憲政友会の犬養毅内閣となったが、高橋是清蔵相はただちに金輸出を再禁止し金本位制から離脱、積極財政に転じた。積極財政では日銀引受を伴い、同時に金融緩和も実施され、民政党政権が行ってきたデフレ政策を180度転換した「リフレ」政策となった。その結果、先進国の中でも、恐慌から比較的早く脱出した。

 昭和恐慌は、世界恐慌とともに需要ショックによって引き起こされた。それは、日銀引受を伴う金融緩和と積極財政が最も有効な処方箋だ。

 コロナ・ショックも、世界的なサプライチェーンの寸断という供給ショックもあるが、人の移動制限の伴うビジネス停止により一気に需要が喪失する需要ショックの面が強く、昭和恐慌と同様の経済対策が必要だ。

 今回のコロナ・ショックは12年前のリーマン・ショックを上回るかもしれない。当時は金融緩和と積極財政が不十分だったが、今度こそ昭和恐慌を模範例とすべきだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】コロナ禍を奇貨として、日本は「シバキ倒し社会」から「まともな社会」に移行すべき(゚д゚)!

世界恐慌、日本では昭和恐慌がなぜ起こったのかは、謎でした。しかし、1990年代の研究によって今では明らかになっています。その答えとは、デフレです。米国をはじめ、世界中の政府が財政政策では緊縮政策、金融政策では引き締め政策をとったため、デフレに陥ったというのが、真相でした。

日本では、高橋是清による積極財政政策、金融緩和政策により、世界で一番はやく、教皇から脱出しました。米国が恐慌から完全に脱却できたのは、第二次世界大戦に入ってからしばらくしてからでした。

大蔵大臣として有能だった高橋是清だが、なぜか今の日本では高く評価されない

これらは、歴史研究から明々白々なのですが、なぜか日本では、高橋是清の業績が正しく理解されず、未だに不況になれば、緊縮財政をして、金融引締をすべきと思っている官僚や政治家が存在することには驚かされます。

挙げ句の果に、財務省では濱口雄幸氏を英雄視するのですから、さもありなんです。ほんらいであれば、恐慌の歴史研究の内容からすれば、濱口氏は、デフレを深刻化させた、無能宰相として、無能のそしりを受けるのが当然です。

財務省では英雄視させる総理大臣としては無能だった濱口雄幸氏

このような反省が真摯になされていないためか、今でも消費税増税等で、国民を「シバキ上げ」る政策は公然と継承されています。日本では、官僚も政治家も国民「シバキ上げ」が大好きです。

日本人はよほど「シバキ上げ」が大好きなようです。根性論で戦争を押し進め、国民を弱肉強食の戦地に送り込み、前代未聞の損害を与えた「軍官僚の暴走」の過去を反省したほうが良いと思います。

日本は「一億・総シバキ上げ社会」です。まず失われた30年。技術革新による人手余りで、徐々に労働環境が悪化しているのに、財務省は緊縮財政で国民をしばき。日銀はデフレを放置どころか金融引締で国民をしばき、企業は低賃金・長時間ブラック労働で労働者をシバキ倒しました。

仕事が減っているというのに、「所得の低下と失業は自己責任だー、社会(マクロ)に責任を転嫁するなー」と叩きまくる奴らが大量に発生して多くの国民をシバキ倒しました。特に若者に対するシバキは異常ともいえました。

新聞マスコミが総出で「消費税の増税と社会保障の削減をしろ」とシバキ倒し、労働者の政党であるはずの民主党(当時)が消費税の増税法案を強行して、止めを刺しました。

近頃、金融緩和でようやく人手不足になってきたと思ったら、人材派遣会社が賃金をピンはねでシバキ。新聞マスコミは人手不足だと大騒ぎするのですが、企業は消費税の増税が先に見えているから、安易に正社員を増やすより派遣を増やして様子を見るのは当然といえば当然です。

マスコミは、企業の過剰な留保を攻め立てましたが、実際にコロナ禍のようなことが起こってみれば、政府の保証などあてにならず、内部留保をしていた企業は余裕を持ってこれに対処できますが、そうでない企業は倒産し、従業員は露頭に迷うことになっています。

ただし、企業も、もしさらに不況になれば、派遣切りで、労働者を「シバキ倒す」気満々です。同一労働、同一賃金等の施策がとられたとしても、首を切られしまえば、元の木阿弥です。

マスコミ御用学者一体で、そんな茶番を繰り広げる一方で、政府は一億総活躍と称して、老若男女すべてを労働に刈り出すど根性政策にまい進しています。

そんなことより、普通の就労者が普通に仕事をしつつも、普通に生きていける、その中で少しでも努力すれば、その分報われるのが当たり前の社会にするのが本来のあり方のはずです。

まるで、今の政府、その中でもあたかも大きな政治集団のごとく振る舞う財務省は何としても働かなければ、国民に一円も与えないと思っているかのようです。女性が働かなくても子育てできる「所得保障社会」を実現するのではなく、女性を働かせるための政策を推進。女性を労働に駆り立てるために、新聞マスコミがイクメンなどとはやし立てる有様です。


すばらしき、一億・総「シバキ上げ」社会。日本では、何のために科学技術が進歩してるのでしょか、お答えください。

答えは、「シバキ拷問装置」を高度化するためとでもしておきます。

この「シバキ上げ」思想は完璧に間違っています。企業同士が、互いに「シバキ上げ」切磋琢磨して、次々とイノベーションを成し遂げ、社会を発展させていくというのならともかく、本来政府の役割は、企業同士が正々堂々と、不正な手段に訴えることなく互いに「シバキ上げ」競争するためのインフラを築くのが仕事のはずです。

しかし、いつの間にか日本では、政府や日銀が、国民や労働者を直接「シバキ倒す」のが仕事になってしまったようです。だからこそ、平成年間のほとんどの期間、日本はデフレでした。

令和年間はそのようなことにすべきではありません。コロナ禍は、多くの人命を失い大変なのですが、大きく社会を変える契機にもなり得るはずです。これを奇貨として、日本は「シバキ倒し社会」から「まともな社会」に移行できるようにすべきです。そのためには、直近では消費税減税は、必要不可欠です。

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2020年5月12日火曜日

コロナ禍に動く中国の“軍事謀略” 米中対立激化、台湾排除…国内で権力闘争も 河添恵子氏が緊急寄稿 ―【私の論評】尖閣問題は、単なる領土問題ではなく、コロナ後の世界新秩序における日本の地位を決める(゚д゚)!


米中貿易戦争

 新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)が続くなか、世界保健機関(WHO)の年次総会が18日、開催される。ドナルド・トランプ米政権は、世界全体で28万人以上もの死者(米ジョンズ・ホプキンズ大学、10日集計)が出ている「死のウイルス」をめぐり、習近平国家主席率いる中国とWHOの責任を厳しく追及する構えだ。加えて、日本と米国、欧州は「世界の人々の命と健康を守るため」にも、感染拡大を封じ込めた台湾(中華民国)のオブザーバー参加を支持するが、中国は強硬に反対している。激化する「米中の対立」と「中国の軍事的挑発」「中国国内の権力闘争」とは。ノンフィクション作家の河添恵子氏が緊急寄稿第13弾で迫った。


 「WHO総会や国連関係の会議に、台湾のオブザーバー参加を支援するよう、すべての国に訴える。WHOのテドロス・アダノム事務局長に対し、台湾を年次総会に招待するよう要請した」

 マイク・ポンペオ米国務長官は6日、記者会見でこう語った。

 台湾は「中華台北」の名義で、2009~16年にWHO総会に招かれたが、蔡英文総統が就任した翌年(17年)からは、中国の反対で参加できていない。寄付の申し出すら拒絶されている。

マイク・ポンペオ長官

 香港出身のマーガレット・チャン氏が事務局長時代の11年5月には、WHOが内部文書で台湾を「中国台湾省」と表記したため、台湾はWHOに正式抗議した(=AFPなどが報道)。

 新型コロナ禍のなか、WHO総会は18日、テレビ会議方式で開催される。ポンペオ氏は、この会議に「世界一の防疫先進国」である台湾の参加を支持するよう、世界各国に呼び掛けるとともに、「中国ベッタリ」と揶揄(やゆ)されるテドロス氏を牽制(けんせい)したのだ。

 これに対し、中国で台湾政策を担う国務院(政府)台湾事務弁公室の馬暁光報道官は7日、「最近、民進党と台湾独立を企てる分離主義勢力は、新型コロナウイルスの流行に便乗して、WHOの問題への台湾の関与を誇大宣伝し、『1つの中国』の原則に挑戦している」と反発した。

 だが、米国側は一歩も引かない。

 米国の上下両院外交委員会の幹部らは8日、日本を含む55カ国の政府に書簡を送った。書簡には、「われわれは貴国政府に対し、米国とその他の国のように、台湾を排除する中国の『国際組織外での行為』を終わらせるよう要請する」という一文が含まれていた。

 台湾外交部の欧江安報道官は9日、米国への深い謝意を示したが、「国際組織外での行為」とは、一体何を示すのか?

 最近では、欧州・チェコの有力政治家の身に起きた悲劇が、世界に報じられたばかりだ。

 台湾訪問を2月に予定していたヤロスラフ・クベラ上院議長が1月20日、心臓発作で急逝した。クベラ氏の未亡人と娘は、国営テレビの番組に出演し、「夫は中国政府に脅迫されていて、そのストレスが急死の引き金になった」と衝撃的な告白をした。

 クベラ氏急死と中国の関係については、ロイター(日本語版)も2月19日、「中国がチェコ企業への報復示唆、高官の台湾訪問巡り」とのタイトルで報じている。

 在チェコ中国大使館が1月10日付で、チェコ大統領府に送った書簡には、「中国に経済的利益を持つチェコ企業はクベラ議長の台湾訪問の代償を払わなければならなくなるだろう」と記されていたという。ロイターが書簡を確認したというが、公然とした脅迫というしかない。

 世界各国が、新型コロナウイルスのパンデミックで危機的状況にあるななか、中国人民解放軍は“戦闘モード”にあるといえる。

 同軍東部戦区は、国家安全教育日の4月15日、公式アカウント「人民前線」に、「幻想を捨て、戦闘を準備せよ」とのメッセージを掲載した。東部戦区の任務は「台湾有事」「日本有事」に備えることとされる。

 この直前の4月10日から11日にかけて、中国海軍の空母「遼寧」を中心とする艦隊が東シナ海を航行した後、沖縄本島と宮古島間を通過した。3月以降、中国軍のミサイル駆逐艦や早期警戒機などが、沖縄や台湾周辺で挑発的行動を見せている。空母「遼寧」の艦隊は4月28日、沖縄本島と宮古島間を通過して東シナ海に向かった。

 ■中国は“内戦外戦”状態

 習主席はこれまでも、「(台湾)統一のために、武力行使も放棄しない」と公言してきた。

 中国軍の不穏な動きを受けてか、米太平洋空軍は4月29日、台湾を含む19カ国の空軍参謀総長や指揮官とテレビ会談を行った。

 台湾の蔡総統は今年1月15日、英BBCのインタビューを受け、「中国の圧力」と「戦争リスク」について、次のように語っている。

 「戦争がいつ起きるか、その可能性は排除できない。だから臨戦態勢で有事に備えなければならない」「軍事的な準備に加え、より重要なことは国際的な支援を得る必要がある」「台湾政府としては、北京を挑発して事態を悪化させたり、北京に攻撃の口実をつくらせないよう、挑発しない態度を貫いている」

 新型コロナウイルスをめぐり、世界から「台湾は防疫模範国」と称賛されたことで、中国を刺激したとすれば、皮肉だ。

 ただ、習氏は共産党内部の“戦闘”にも明け暮れている。

 4月の孫力軍公安部副部長の逮捕に続き、3日には孟建柱元公安部長と、北京・上海の公安部幹部数十人の逮捕が報じられた。孫氏と孟氏は、習氏と対立する江沢民一派の超大物だった。

 中国は、内憂外患どころか“内戦外戦”状態とも言えそうだ。

 ■河添恵子(かわそえ・けいこ) ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。著書・共著に『米中新冷戦の正体-脱中国で日本再生』(ワニブックス)、『世界はこれほど日本が好き』(祥伝社黄金文庫)、『覇権・監視国家-世界は「習近平中国」の崩壊を望んでいる』(ワック)など。

【私の論評】尖閣問題は、単なる領土問題ではなく、コロナ後の世界新秩序における日本の地位を決める(゚д゚)!

習近平は、なぜここまで、台湾に執着するのでしょうか。それには、それなりの理由があります。それについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
米軍コロナ禍、その隙に台湾を恫喝する中国の卑劣さ―【私の論評】東アジアで失敗続きの中国は、今後軍事的挑発をエスカレートし、台湾武力奪取の可能性大(゚д゚)!
台湾海峡を通過中の米海軍イージス駆逐艦「バリー」(写真:米海軍)
以下に、この記事から一部を引用します。
中国としては、台湾が中国ウイルス封じ込めに失敗していれば、中国がイタリアなどのEU諸国に対して実施している、マスクや医療機器の提供や、医療チームの派遣などで微笑外交を台湾に対しても実行したことでしょう。 

これにより、中国は今年1月の台湾総統選での蔡英文氏の再選により、失った台湾での失地回復を行うことができたかもしれません。 
そうして、中国ウイルスが終息した後には、甚大な被害を受けた台湾に対して、莫大な経済的援助をすることになったと思います。 
そうなると、台湾独立派が台頭した台湾を馬英九政権時代のように、親中派を増やすことができたかもしれません。
考えてみると、中国は昨年11月には、香港区議会議員選挙で親中派が敗北しています。今年1月には、台湾選挙で蔡英文総統が再選されています。いわば連敗続きでした。 
中国ウイルスに関しては、韓国は当初は対策に失敗しましたが、最近では収束に向かっています。日本も、感染者が増えつつはありますが、それでも死者は相対的に少なく、中国や米国、EU諸国に比較すれば、中国ウイルス封じ込めには成功しています。 
香港の対応も素早いものでこれも封じ込めに成功しています。中国国内で武漢における感染発生がまだ隠され、警鐘を鳴らした医者が警察に処分されていた1月1日前後、一国二制度のおかげで報道の自由がある香港メディアは問題を大きく報道し、市民に注意を呼び掛けました。 
中国官僚のごまかしをよく知っている香港人が、2003 年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の教訓をしっかりと心に刻み、徹底的な対策をしたことも効果的でした。 
中国は、中国ウイルスで、台湾、香港、日本がかなり痛めつけられていれば、得意の微笑外交で、台湾、香港、日本に対して存在感を高めることができたかもしれません。 
しかし、台湾は世界的にみても、最高水準で中国ウイルスの封じ込めに独力で成功し、独立国としての意地をみせました。 
今の中国が、台湾統一のためにできることといえば、軍事的な脅威をみせつけて、存在感を強調することです。
 ・・・・・・・一部略・・・・・・・・・ 
本年2020年は、中国の二つの100年計画の一つ「小康社会の全面的実現」目標の期限である建党100周年の2021年より一年前であり、もしこの時点で台湾統一が実現できれば、習近平政権にとっては長期独裁を全党および人民に納得させるだけの効果を持つ歴史的偉業となるからです。

ウイルスの封じ込めと、台湾統一に成功すれば、これは、習近平が成し遂げた大偉業ということになります。今まで、際立った業績のが一切なかった習近平にとって大きな手柄となり、習近平体制が定着することになります。
この記事では、中国の台湾武力奪取について掲載しましたが、いきなり台湾ということになれば、国際社会はこれを絶対に許さないと思います。しかし、その前段階として、中国による 東シナ海実効支配というシナリオは十分にあり得るものになったと考えます。

東シナ海は、太平洋西部にある縁海であり、北は対馬海峡を通じ日本海と接し、東は南西諸島を挟んで太平洋(フィリピン海)に接します。南南西に台湾海峡を通じ、南シナ海と結ばれているほか、北西は黄海に接している。大規模河川として長江が流入しています。


海域の中央部には島嶼は無いですが、北辺から東を経て南辺にかけて周囲に島弧があります。主な島嶼として、北から済州島、九州、南西諸島、台湾となっています。ユーラシア大陸縁辺部には舟山群島などの小島嶼があります。

海底はほとんどがユーラシア大陸から続く大陸棚で、深度200mより浅いですが、東部は沖縄トラフであり深度約2,000mと深くなっています。海流としては黒潮およびその分流の対馬海流が流れています。

日本と中国の間では尖閣諸島問題のほか東シナ海ガス田問題に絡んで経済水域の設定に争いがあります。また、韓国と中国の間でも蘇岩礁にからみ争いがあります。

この地域の海域のほとんどを中国は実効支配した後に、尖閣諸島や台湾付近の海域を徐々に封鎖するなどの実効支配し、最終的には両方とも奪取するつもりであるとみておくべきでしょう。

東シナ海も日本のニュースでは殆ど報じられなくなってしまいましたが、中国は着実に東シナ海を狙っています。ここでの接続水域への中国公船の侵入が頻繁になっています。侵入という言い方は接続水域への場合はちょっと微妙ですが。

それから領海内への侵入、これも向こうからの言い方で敢えて言うと着実に繰り返し、頻度を少しずつ上げ、かつ船の数を増やして来ています。この問題を私たちは、南シナ海から東シナ海に連なる中国の海洋進出として厳しく捉え直すべきです。

尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海に侵入した中国海警局の船が日本漁船を追尾した問題で、中国外務省の趙立堅報道官は11日、海上保安庁の巡視船が現場で漁船の安全を確保したことについて「違法な妨害を行った」と非難し、「日本は釣魚島(尖閣諸島の中国側名称)の問題において新たな騒ぎを起こさないよう希望する」と述べて責任を日本側に転嫁しました。

中国外務省の趙立堅報道官

趙氏は、外交ルートを通じて日本側に「厳正な申し入れ」を行ったことを明らかにした上で「中日両国は力を集中して(新型コロナウイルスの)感染症と戦うべきだ」と発言しました。

趙氏は「中国の領海で違法操業」している日本漁船を発見した中国海警局の船が「法に基づいて追尾・監視」したと主張。「釣魚島の海域を巡航することは中国側の固有の権利だ」と強調しました。

これについて菅官房長官は閣議のあとの記者会見で「全く受け入れることはできない」としたうえで、「現場海域で警告を繰り返し行うとともに、外交ルートでも厳重に抗議し、日本漁船への接近と追尾を直ちにやめて、速やかにわが国の領海から退去するよう強く求めるなど、冷静にきぜんと対応した」と述べました。

そして「政府としては、わが国の領土、領海、領空は、断固として守り抜く方針のもとで、引き続き緊張感を持って情報収集に努めつつ、尖閣諸島周辺の警戒監視に万全を期していきたい」と強調しました。

衛藤沖縄・北方担当大臣は、閣議のあとの記者会見で「尖閣諸島は歴史的にも国際法上も明らかにわが国固有の領土であり、国内外でわが国の立場に正確な理解が浸透するよう発信強化に努めたい。中国の態度は大変遺憾であり、日本ももっとはっきりと対処を行わなければならない時がきていると認識している」と述べました。

南シナ海においては、中国は新型コロナウイルスの混乱に乗じて軍事要塞化の動きを加速しており、米軍はこれを牽制するため「航行の自由作戦(度を超した海洋権益を主張していると判断した国の海域を対象に米軍の艦船等を派遣する作戦)」を展開しています。さらに米軍は中国側の神経を逆なでするかのように台湾との軍事面の連携を強化しており、一触触発の状態にあると言っても過言ではありません。

米国は、新型コロナウイルスによるパンデミックを通じて、中国に対する政策を根本的に変えざるを得ないと確信したのは間違いないところです。

トランプ大統領の中国攻撃は、日々エスカレートしています。また、マーク・エスパー国防長官は、コロナ危機発生後の2020年2月の下院軍事委員会公聴会で、「米国にとって中国こそが軍事面、防衛面で最大の挑戦者として対峙する相手だ」と断言しました。

そのエスパー国防長官の下で現在、中国を睨んだ米軍の再編・態勢見直しが急ピッチで進められています。

その内容はまだ公表されていないが、エルブリッジ・コルビー元米国防次官補代理とA・ウェス・ミッチェル元米国務次官補は共同で、ウォールストリート・ジャーナル(2020年5月8日付)に「中国封じ込めに向けた困難な道」のタイトルで、その方向性を示唆する次のような記事を寄稿しています。
 ロシアの脅威には、欧州の同盟国、すなわち北大西洋条約機構(NATO)が自らの防衛をいま以上に自分たちの力で担う形で安全を確保させ、中東では、「より軽く、より小さく、より低コストの米軍事プレゼンスを特徴とするような経済的戦力を保持する戦略」へと移行する。そのうえで、インド太平洋地域において、より強力な米軍事力を展開し中国を抑止する。(要約)
すなわち、パンデミック後の米国の大戦略は、中国がもたらす脅威の中心部分への対応を優先するべきとし、そのため、他の地域では関与の度合いを弱めたり、デタント(緊張緩和)の機会を求めて調整したりする必要があることを意味しています。

そして、米戦略の焦点であるインド太平洋地域では、日本、オーストラリア、台湾、インド、ベトナムのような国々が持っている対中防衛能力を基盤とした国防戦略(2018NDS)で説明されているような信頼できる前方防衛が必要であり、米国とその同盟国は、中国と対峙せずして自国の利益を守ることはできないと強調しています。

いうなれば、「中国封じ込め」です。

欧米諸国は、中国を封じ込めるためにはいま代償を払うか、それとも後から払わされるかのどちらかしかないことを認識せねばならないと問いかけ、いま代償を払うなら、より負担が軽く済む可能性が高いと指摘しています。

同時に米国は、自国の重要な産業、人工知能(AI)や国防の供給網に蓄積された脆弱性に対処することで、経済面で中国に依存する度合いを減らさなくてはならないとし、経済的切り離しの強化を求めています。

また、中国が国際ルールの適用を回避する形で、自国市場参入の条件を他国に押しつけることを可能にしてきたことに対し、歴史的な対抗勢力連合を再形成し、中国の強大な力を制御、抑制する必要性を指摘しています。

今後の最大のテーマは、対中安全保障です。。

コロナ危機以降、米中関係の悪化は決定的となり、米国は中国を主敵としたインド太平洋重視戦略に大きく舵を切ります。

この際、米国とその同盟国は、中国と対峙せずして自国の安全や利益を守ることはできないのであり、わが国は、中国との経済関係が深いことを理由に、米国と中国の間を渡り歩くコウモリ的振る舞いや鵺(ぬえ)的態度は許されません。

日本には、米国との同盟を堅持する一貫性した姿勢が求められ、その難しい課題を克服する努力を始めなければならない。

日本としては、この米国の動きに歩調を合わせるしかありません。中国と運命共同体になることはできません。選択の余地などありません。習近平の日本への国賓待遇での招待など、早々に反故にすべきです。

また、憲法改正と法律の改正も行い、尖閣水域から中国の艦艇を海自を使って排除できるうにすべきです。コロナ危機を単なる伝染病の流行などとみるべきではありません。中国や米国の動きをみていれば、これは過去の世界大戦と同レベルで、コロナ後の世界秩序を変えていくのは間違いありません。

中国は、中国独自のコロナ後世界秩序をつくるべく、躍起になっています。米国も、そうさせじと、コロナ後の世界秩序をつくるべく躍起になっています。日本もそのことを忘れるべきではありません。

忘れてしまえば、今回の新たなコロナ後の世界秩序の作成に乗り遅れ、第二次世界大戦後の世界秩序づくりに参加できず、第二次世界大戦後から今日までのように、独立国でありながら、独立国でないような地位に甘んずることになりかねません。

今や尖閣は、単なる領土問題ではなく、今後のコロナ後の世界の新秩序に向けての、日本にとっての大きな分水嶺の一つになるのです。尖閣一つ自力で解決できないようでは、世界の新秩序における地位は低下するだけです。米国も、これを日本の試金石とみているでしょう。

逆に、日本が尖閣問題を自力で解決できるようになれば、コロナ後の世界で米国とともに、リーダー的な地位を獲得することも可能になります。そのほうが、米国にとっても世界の新たな秩序を安定維持しやすくなります。

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