2021年10月6日水曜日

ラテンアメリカの動向で注視すべき中国の存在―【私の論評】日本も本格的に、対中国制裁に踏み切れる機運が高まってきた(゚д゚)!

ラテンアメリカの動向で注視すべき中国の存在

岡崎研究所

 9月18日、ラテンアメリカ・カリブ共同体(CELAC)の第6回首脳会合がメキシコシティーで開催された。CELACは、元々、ベネズエラのユーゴ・チャベスが主導して、キューバを排除している米州機構(OAS)に対抗して、米国とカナダを排除したラテンアメリカとカリブの共同体として2011年に結成されたものであった。ラテンアメリカ諸国間の分裂により17年の第5回首脳会議以来4年振りの首脳会議であった。


 この間、対ベネズエラ制裁やボリビア大統領選挙などについて、米国がOASを政治的圧力の手段として用いることや、米国寄りのアルマグロ事務局長に対する左派側の反発もあり、議長国であるロペス・オブラドール(メキシコ大統領)としては、4年振りの首脳会議において、OASの在り方の見直し、将来的には、CELACがその役割を代替していくといった方向性を打ち出すことを構想していた。

 キューバは、米国による経済封鎖解除を要求する機会として利用すべく、ディアスカネル大統領がメキシコ独立記念日の賓客として16日からメキシコに乗り込み、また、出席が予定されていなかったベネズエラのマドゥロー大統領もCELACが米国の対ベネズエラ制裁解除を決議することを期待してが急遽参加するというサプライズもあった。

 しかし、OASに関する問題を正式議題とすることにコロンビアが強硬に反対するなど諸国間の意見対立があり、恐らくは米国に対する配慮もあり、ロペス・オブラドールも当初の構想を断念し、最終宣言では、内政不干渉などが国際法の原則として抽象的に強調されただけでOASの見直しには言及は無く、CELACの活動拡充・強化の方針が確認されたにとどまった。

 米国のキューバに対する制裁措置の撤廃に関する特別宣言は採択されたが、同趣旨の決議は国連総会決議でも採択されており、ベネズエラに対する米国の制裁撤廃の特別宣言は話題とはならなかった。

 むしろ注目されたのは、議場における首脳間の辛辣な応酬であり、ラテンアメリカ諸国間の分断を改めて印象付けた。一つは、ウルグアイ及びパラグアイの首脳が、キューバ、ベネズエラ、ニカラグアにおける非民主主義的状況を批判したのに対しこれらの国が強く反発したこと、また、もう一つは、意外なことにニカラグアがアルゼンチンが内政干渉したとして強く非難し、同国が次回議長国に就任することに唯一反対したという事態である。これは、ニカラグアのオルテガ政権が逮捕、投獄した野党指導者の解放を求める国連人権高等弁務官(バチュレ前チリ大統領)の報告書をアルゼンチンが支持したことが理由のようである。

 したがって、左派諸国を中心にCELACが結束して米国に対抗し、あるいは、米国に圧力をかけるどころではなかったわけである。また、メキシコには、米国との特別な関係があり、原油を武器にカリブ諸国などを取り込んだかつてのベネズエラのような資金力がある訳でもなく、左派ラテンアメリカ諸国の盟主として米国と正面から対立することは元々無理なのだと言えよう。

習近平がビデオメッセージで参加

 ラテンアメリカ諸国の左派政権の動向の懸念を指摘するとすれば、むしろ、チリ、コロンビア、ブラジルに左派政権ができることであるように思われる。CELAC発足時との大きな違いは中国の存在である。

 中国は、2015年に中国・CELAC閣僚会議を北京で開催し、今回のサミットでも習近平のビデオメッセージで参加した。中国はその資金力を背景にCELACを対ラテンアメリカ外交の1つのツールとして位置付けている。特にブラジルにルーラ政権が復活しCELACに復帰するようなこととなれば、雰囲気はかなり変わってくる可能性もあろう。

【私の論評】日本も対中国制裁で中国の世界中の国々への浸透を阻止すべき(゚д゚)!

「今、米国と世界は、中国の共産主義に立ち向かわなければ、南米を失うだろう」

中国共産党政府は、ここ数十年南米で密かにプレゼンスを高めてきている。

フジモリ政権で外務大臣を務めたフランシスコ・トゥデラ氏は、スティーブン・バノンのポッド・キャストの人気番組「ウォー・ルーム」で語りました。

スティーブン・バノン氏

以下に抜粋を掲載します。
決選投票で、ケイコ・フジモリ氏にごく僅差で勝利した急進左派政党「自由ペルー党」のペドロ・カスティージョ候補は、7月28日に大統領就任を宣言した。フジモリ氏は、「いくつかの重要な選挙区で不正があった」と証言に基づいて抗議をしたが、最終的に選挙結果を受け入れた。
これに対してアルベルト・フジモリ元大統領の外務大臣を務めたフランシスコ・トゥデラ氏はバノンのインタビューで、以下のように語った。
「もし、今米国と世界が立ち上がらなければ中国共産党が南米を占拠するだろう。」

米国の南北大陸の中国共産党によるマルクス主義化は、南米をステップとして準備されてきた。
現在のペルー憲法は、自由経済を認める民主と自由主義を認めている。
しかし、この新政権は、カスティージョ氏は否定しているが、共産党政権だ。同党の書記長は、「我々はマルクス、レーニン、毛沢東主義者だ」と認めている。
この社会主義者政権は、自由主義憲法を社会主義憲法へと改変を狙っている。そのために、議員の半数だけは選挙で選出され、残りの半数は自分たちの指名した議員にして、有効な選挙が行われない制度を確定させようとしている。 
ペルーで、ついに完全な全体主義の政権が誕生した。 
彼らは全ては「人民のため」という名目で、全ての彼らの政策を正当化しようとしている。 
彼らのやり方は、多くの経済的混乱を作り出し、争いを人々の間に起こし、人々を分断し、自らが権力に永久にとどまれるような制度に法律を変えている。 
彼らは、民主主義という名前を一応は語るが、たった一つの目的は、憲法の改変と議会を使っての一党独裁政治だ。 
なぜこのようなことが起きたのか? 最大の罪はメディアにある。 メディアがこれらの事実を「報道しない」ことを続けてきたからだ。 
「ペルーの天然資源の63%は中国に買収された」ペルーは天然資源の豊かな国だ。
しかし、数十年前から、中共政府は天然資源鉱山を密かに買い占めていった。中共政府は最初は「経済支援」のようなフリをして入ってくる。中国商業銀行など既に170社の中国企業が進出している。 
中国資本は、ペルーの63%の天然資源を既に買収した。特に銅(世界最大の埋蔵量と言われる)と鉄を中心にして、既に大半が中国に買収されている。 
彼らは、その次には港を押さえにかかった。最初の商業用港を押さえた。 
リマからも近い1マイルの幅を持つ大きな港だ。ここはペルー発展の鍵となると中国政府は語って貸借を進めた。
フランシスコ・トゥデラ氏

 不正選挙はどのように起きたかとの質問に対して、フランシスコ・トゥデラ氏は次のように答えています。

中国政府は、最初文化面から侵入する。それも20年間かけて、大学や高校などの学校の教科書の歴史や事実を意図的に変えてきた。共産主義ドクトリンを時間をかけて広めてきた。
そして、社会主義の影響下にあるマスコミは、自由を求める国民を貶め攻撃し、まるで愛国者を恥ずかしい存在であるかのような報道を続けた。メディアは、ペドロ・カスティーヨの対抗馬であったケイコ・フジモリを徹底的に攻撃した。
現在、南米では米国か中国政府か、どちらが大きな影響力を持っているのか、との質問には、以下のように答えています。
「既に中国が米国より遥かに大きな影響力を持っているのが現実だ。」と答えた。

 しかし、なぜ米国はこの事実を知らないのか?

それは、米国のメディアが「真実を報道しない」からだ。 
既に、アルゼンチン、ボリビア(リチウムが豊富なことで既に中共政府が浸透している)も同様に中国共産主義の侵入が激しい。 
ペドロ・カスティーヨはファアで公正な選挙で勝利していない。ペルー人の選挙後の統計で、75%は不正があったと統計で出ている。
私はこのトゥデラ氏の発言を聞いて、この共産主義者の進める原理は、新マルクス主義フランクフルト学派が教科書通りの侵略方法であると思いました。「教育機関」「メディア」「社会」に侵入するという基本を忠実に南米と米国でも行っていると感じました。

そうして、このペルーで過去起きていたことは、米国でも同様のことが起きており、昨年の大統領選挙、今年バイデン 政権が誕生してから次々と発表される社会主義政策と、社会主義者が民主党の枢要を担うところに既視感を感じました。

この老練なペルー外交官は、自らの国で起きたことが現在米国でも起きており、もし今立ち上がらなければ、その結果は破滅的な結果を招くだろうと警告しています。

1980年代中南米で、世界最大の埋蔵量を持つ石油資源を背景に最も豊かだったベネズエラは、共産主義マデューロ政権によって、現在ハイパーインフレから国民の90数%が最貧の状態まで追い込まれています。

1980年代、大勢の共産国キューバからベネズエラに亡命してきたキューバ人が共産主義の脅威をベネズエラ人に語ったのですが、ベネズエラ人はそれを信じませんでした。そんなことは自分たちの国で起こるわけはないと信じていたのです。

現在、ベネズエラは、水、食糧、薬という最低必要な生活必需品がほぼ入らないところまで追い込まれています。

しかし、これは米国や中南米だけの問題ではありません。同じことが日本でも既に起きています。

本日は、ZAKZAKに以下のような記事が掲載されていました。
日本の弱体化狙い「沖縄などで独立運動をあおっている」 仏軍事研究所「中国の影響力」報告書

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部を引用します。 

 IRSEMは仏国防省傘下の研究機関。報告書は「中国の影響力作戦」と題して、9月に発表された。約650ページあり、在外華人を使った共産党の宣伝工作、国際機関への浸透、インターネットの情報操作などの事例を分析している。
 沖縄への関与は、中国にとって「日本や在日米軍を妨害する」意味を持つと指摘。沖縄の一部住民には日本政府への複雑な気持ちが残り、米軍基地への反発も強いため、中国にとって利用しやすい環境にあるとした。中国が独立派を招いて学術交流を促したり、中国人が米軍基地近辺で不動産投資を進めるなどの動きがあると列記した。
 中国は独立派と同様に、「憲法9条改正への反対運動」「米軍基地への抗議運動」を支援しており、その背景には日本の防衛力拡大を阻止しようという狙いがあるとも指摘した。

このようなことは、すでに日本国内でも随分前から多くの人によって指摘されていたことですが、 フランスの軍事研究所という、日本とは直接利害関係のない機関が、このような報告書を公表したということで、改めて示された形です。

フランシスコ・トゥデラ氏は、「自らの国で起きたことが現在米国でも起きており、もし今立ち上がらなければ、その結果は破滅的な結果を招くだろう」と警告しています。

少し前の米国、特に民主党オバマ政権では、このようなことが進行しつつあったのは確かです。それを止めようとして登場したのがトランプ大統領です。トランプ氏は、昨年の大統領選挙では敗北しましたが、米国議会においては、共和党も民主党も中国に対抗する勢力があり、これが対中国制裁法案を議会に提出し、次々と成立しています。

これからもこの動きを止めることはできないでしょう。日本では、親中派の二階幹事長が自民党内で、大きな権力を持ち、つい最近の6月には、中国当局による新疆ウイグル自治区などでの人権弾圧を非難する国会決議案が通常国会で採択されなかったということが起こりました。これは、無論二階氏による妨害工作によるものです。

自民党の幹事長は、自民党に配布される政党助成金を配分する権限を持ち、これを傘にきて党内で強力な権力を誇示することができます。

親中派の二階幹事長は、3Aと呼ばれる、反中派の安倍・麻生・甘利氏との対決しなければならなくなりました。ただ、総裁選挙の前までは、互いを意識しながらも、穏やかな対立に終始していました。

それは、何といっても総裁選の後に控える衆院選を意識したからでしょう。あの時点で、両者の争いが表面化してしまえば、衆院選に悪影響を与えるのは必至でした。

しかし、総裁選に菅総理が出馬しないことを表明した後には、状況が全く異なることになりました。総裁選を通じて、両者の争いが先鋭化したのです。総裁選は、3Aが協力した岸田氏が勝利しました。

そうして、二階氏と3A対立も、3A側の勝利に終わり、二階派は現在退潮ムードにあります。岸田新政権においては、閣僚は、環境大臣と、経済安全保障担当大臣の2名のみです。そうして、何といっても、党内人事では、甘利氏が幹事長になったことが、3Aの大勝利を雄弁に物語っています。小石河連合は、安倍元総理の努力により、結局自民党内の多くの議員によって拒絶されました。

そうして、この対立は角福戦争のような大きな抗争になることなく終焉しました。これで、数の力の意味を知る自民党は最終的にはまとまり、衆院選を戦える状態になったと思います。自民党はこれで、次の衆院選で、少なくとも過半数を維持できる可能性が高まってきました。

岸田政権においては、安倍元総理が、これからもキャスティングボーダーとなり、様々なことに挑戦できます。安倍元総理は、総理だった時代より、より多くのことを成就できる機運が高まってきました。

これからは、日本でも欧米並に、甘利幹事長のもと自民党が中心となり、対中制裁法案が次々と提出され、議決される体制が整うでしょう。

これで、日本でも中国と、共産主義に対抗する、体制が整うことになるでしょう。

このブログでも何度か指摘したように、中国は軍事力を増強しつつあり、艦艇数などでは米国を上回るようにまでになりましたが、それでも、質的には劣っています。特に、日米に比較すると対潜戦闘力はかなり劣っているため、海戦では日米にまともに対峙することはできません。海戦においては、日本単独とでも、戦えば負けます。対峙して、軍事行動を起こせば、中国海軍は壊滅します。

軍事力では日米にかなわない中国は、今後ますます世界中の国々に対して浸透工作を強めていくでしょう。それに対抗するすべは日本でも整いつつあります。

日米およびその同盟国は、今こそ立ち上がり、中国の浸透工作をラテンアメリカも含む世界中で阻止すべきです。

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