2022年1月3日月曜日

台湾煙酒がリトアニア産ラム酒2万本買い取り=中国の足止めで行き場失う―【私の論評】今後中国に接近するのは、独裁者とそれに追随する一部の富裕層だけが儲かるノウハウを欲するような国ばかりになる(゚д゚)!

台湾煙酒がリトアニア産ラム酒2万本買い取り=中国の足止めで行き場失う


台湾煙酒は3日、中国の港で足止めされて行き場を失っていたリトアニア産のラム酒約2万400本を買い取ったと発表した。台湾の消費者に対し、リトアニアへの応援を呼び掛けている。

リトアニアは台湾への代表機関設置を発表して以降、中国から圧力を受けている。昨年11月には、台湾の代表機関「駐リトアニア台湾代表処」が首都ビリニュスに設置され、業務を開始した。リトアニア側の代表機関は今年初頭に台湾に設置される見通し。

台湾煙酒によれば、昨年12月初旬、中国税関の電子通関手続きシステムの「原産地」リストからリトアニアが削除され、リトアニアから輸出した貨物が中国の港で足止めされた。中国は後にリトアニアをリストに再度加えたものの、すでに足止めされていた貨物は依然として受け入れが認められなかった。

同社は同18日、駐リトアニア代表や財政部(財務省)からの相談を受け、中国に輸出するはずだったリトアニアメーカーのラム酒が行き場を失っていることを知ると、関係先に連絡を取り、ラム酒を買い付けたという。

ラム酒は今月上旬に台湾に到着する予定。ラベルを新しく貼り替えた後で販売するとしている。

【私の論評】今後中国に接近するのは、独裁者とそれに追随する一部の富裕層だけが儲かるノウハウを欲するような国ばかりになる(゚д゚)!


昨年は、中国が台湾に意地悪をして、台湾産パイナップルを輸入しませんでしたが、日本が買い付けました。日本の買付高は、従来の中国の買付高を上回ったそうです。

私も購入しました。美味しかったです。私は、それ以外にも、台湾産パイナップルケーキも購入しました。これも良かったです。また、機会があれば、購入したいです。

台湾のパイナップルケーキ

さて、人口約280万人のヨーロッパの小国バルト三国に一つリトアニアは、昨年は大国・中国相手に大立ち回りを演じて、世界の注目を集めました。かつてはちょうど30年前に消滅したソ連邦の構成国のひとつで、現在はEU加盟国です。日本との関係で言えば、第二次世界大戦中にこの地に赴任していた日本人外交官・杉原千畝氏がユダヤ人に発給した「命のビザ」が有名です。

昨年5月、リトアニア議会が中国の新疆ウイグル自治区での人権問題について「ジェノサイド(大量虐殺)である」と決議しました。さらに中国が中・東欧で進める経済構想圏から離脱しました。

昨年7月には台湾がリトアニアに事実上の大使館に相当する機関を設置することを発表、リトアニアも台湾に同様の機関を置くと発表しました。蔡英文総統が就任して以来、ここ5年間で台湾は中国の戦狼外交によって7ヵ国との外交関係を失っていました。

台湾がヨーロッパに代表機関を置くのは18年ぶりといいます。蔡総統の右腕である陳建仁・前副総統はリトアニアを訪問して「リトアニアは自由と民主主義の先駆者だ」と称賛しました。

中国は、この動きに反発を強めました。まずは駐リトアニア大使を召還し、中国にあるリトアニア大使館の名称を変更して外交上の「格下げ」にしました。

さらに12月21日のロイター電によれば、多国籍企業に対してリトアニアとの関係を絶たなければ中国市場から閉め出すと圧力を掛けました。

リトアニアがこれほど中国と対決姿勢をとるのは、中国がロシアと接近していることの警戒感があるとされています。両国とも強権主義の国であり、リトアニアはかつてソ連に併合された歴史もあります。そのため、30年前のソ連解体の過程でもっとも早く独立宣言をしたのはリトアニアでした。

リトアリアに限らす、中東欧諸国では中国に限らず、中国が政治・経済の両面において強い影響力を誇った時代は終わりつつあります。これについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事の、リンクを以下に掲載します。
中東欧が台湾への接近を推し進める―【私の論評】中国が政治・経済の両面において強い影響力を誇った時代は、徐々に終わりを告げようとしている(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下に一部を引用します。
中国は人口が多いので、国全体ではGDPは世界第二位ですが、一人あたりということになると未だこの程度(1万ドル前後)なのです。このような国が、他国の国民を豊かにするノウハウがあるかといえば、はっきり言えば皆無でしょう。

そもそも、中国が「一帯一路」で投資するのを中東欧諸国が歓迎していたのは、多くの国民がそれにより豊かになることを望んでいたからでしょう。

一方中国には、そのようなノウハウは最初からなく、共産党幹部とそれに追随する一部の富裕層だけが儲かるノウハウを持っているだけです。中共はそれで自分たちが成功してきたので、中東欧の幹部たちもそれを提供してやれば、良いと考えたのでしょうが、それがそもそも大誤算です。中東欧諸国が失望するのも、最初から時間の問題だったと思います。

ちなみに、日本、台湾、中国、リトアニアのGDPの推移のグラフを以下に掲載します。

一人あたりの名目GDPということでは、リトアニアも中国を上回っています。リトアニアも中国とあまり違いがない時代もありましたが、それはやはり冷戦の悪影響を受けたためでしょう。

台湾は、中国やリトアニアよりも高いです。これらの国々は日本をはじめ、中国よりは民主化がすすんでいます。民主化と経済発展には相関関係があります。民主化が進んでいる国のほうが、経済発展する可能性が高いです。それは、この引用記事に掲載した高橋洋一が作成したグラフでもわかります。

点の一つ一つが各国の一人あたりのGDPを示します

このグラフからもわかるように、民主化されていない発展途上国が、経済発展をしても、民主化しないと1万ドル前後で成長か止まってしまうのです。これを中進国の罠といいます。例外産油国などの特殊な例外をのぞいてはほとんどありません。

リトアニアとしては、最初は経済が発展しているようにみえる中国に期待したのでしょうが、実際蓋をあけてみると、失望することばかりだったのでしょう。

これは、当然といえば当然です。リトアニアは一人ひとりの国民を豊かにしたいと期待してたのでしょうが、中国にはそのようなノウハウは全くなく、世界をみまわしてみると、台湾という民主国があり、人口はリトアニアよりは、多いですが、中国(人口約14臆人)と比較すれば、小さな国です。

しかし、台湾のほうが一人あたりのGDPは高いです。そうであれば、リトアニアにとっては、台湾のほうがより参考になると考えたのでしょう。しかも、台湾は半導体などで、先端分野を切り開いている国です。何よりも、中国よりもはるかに民主的ということで、リトアニアは、台湾と親交を深めることに決めたのでしょう。

リトアニアや他の中東欧諸国等の行動をみていると、今後中国に接近する国は、非民主国であり、独裁者とそれに追随する一部の富裕層だけが儲かるノウハウを欲するような国ばかりになるのではないかと思います。

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